第13話 エピローグ・イゴル
「あっ」
母が急に叫んだ。
「思い出したわ、大学にも送ったけどあなた見てない様ね。」
「……何の事?」
「弟君よ、結婚するのよ。招待状を大学宛てに送ったけど、
その話が全然出ないから見てないわね。」
「すみません、見てません。」
「ガーデンパーティーでやると言っていたから今返事しても大丈夫だと思うわ。
後で連絡しなさい。」
「分かりました。でも結婚……。
お相手はどんな人?」
「骨董屋をやっているお嬢さんよ。
あの子、昔から変なものが好きでしょ。
たまたま入った店がそこだったらしいのよ。
私も何度かお会いしたけど、
ちょっと風変わりだけど感じのいい子だったわ。」
弟に結婚話とは。
私も驚いた。
「あなたもねえ、一緒に暮らしてくれる人が見つかると
安心なんだけど。」
話の矛先が変わりそうだ。
私はそそくさとそこを離れる。
「お昼を作るよ。」
まさか自分の弟が結婚するとは。
口元がにやついた。
そして自分の心が少し温かくなった気がした。
少しだけ、
少しだけ休んで大学に戻ろうか。
突然調べたいものが残っていたのを思い出した。
博物館の話もあの教授に話さなくてはいけない。
きっとすごく羨ましがって悔しがるだろう。
そして結婚式当日、
私は思わぬ人と再会した。
幻想学者 ましさかはぶ子 @soranamu
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