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十年後。
十年前の出来事は実はまだ姉には秘密。とっくに姉はことの内容を知っているかもしれない。でも私はそのことを切り出すことはしなかった。姉も問うてくることはない。
あれ以来、恋愛関係の話は前田君のことを除いて全部姉に相談している。年齢は同じ、身長も体重も見た目も。どこか私より大人な姉。私は姉にはなれない。ならなくてもいいと思っている。諦めに似た感覚。私は別の男性と結婚し、一緒に人生を歩んで行くのだろう。それはまだ先のことかもしれない。そんな姉のアドバイス。私はそっと心の中にしまう。
今日は姉とあの前田君の結婚式。
私はやはり姉にはなれない。彼の目に映るのは姉。ならなくてもいい。私は私。双子の姉の妹。
私はあの恋を誰にも言わずに、一生心に刻んで生きていく。大好きな前田君は私の姉が好き。私ではない。この想いは言葉にできない。
だから――
ちょっぴり悔しいけど――
少し大人になって――
「おめでとう」
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秘める恋 とろり。 @towanosakura
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