目を合わす、目をそらす、

かずは

第1話

特に面白くないよ。

深夜テンションで適当に書いた。

それでも読むなら止めません。



ごほん、俺の名前は清水歩だ。

好きなことは読書と言っておこう。

特に目立ったこともないためこの程度で説明が終ってしまう人物だ。


高校生デビューということで心を弾ませて…はいないが、電車に身を委ね学校へと向かっている。


朝、少し眠気が残っているまま静かに電車と揺れて寝るも良し、何か考えるも良しとまぁこの時間が好きなのである。


先程の挨拶は何だったのかと言われれば、見ての通り自己紹介だ。

メタいことではなく学校最初の難関だと思っている自己紹介イベントに向けてである。

ぼんやりと生きてきた俺は特に目立ったこともなく悲しい現実を見せられていたのである。


そんなことを考えていたら目的地についてしまった。

まぁいつもどおり何とかなるだろう。



キーンコーンカーンコーン


先生が何やら話しているが席が一番後なので本が読める。

もちろん本を読む。


学校のことなど忘れて読みふけっていたがクラスが少しざわついていることに気づいた、どうやら自己紹介が始まるようだ。

さて、流石にクラスの自己紹介くらいは真面目に聞こうじゃないか。


うちの学校は男女が縦に交互という配置らしくまずは前の席にいる元気の良さそうな男子がサッカーをしているなどと言っている。


何とも眩しいな…別に陽の者が嫌いではないが関わることは無さそうだ。

サッカーと言っていたが、俺は何の部活に入ろうか…。

運動は出来ないわけでも、嫌いなわけでもないが特に入りたいものもないのである。


おっとのんびり考えていたらそろそろ順番が近づいて来たな。

あと何番目か数えようと考えたとき、ふと目に入ったのは隣の女子だ。


次の順番だからなのか、少し緊張している様子だ。

ぶつぶつと何やら言葉が聞こえる。

どうやら次に言うことを練習しているようだ。

このような何かと頑張っている姿を見ると応援してあげたくなってしまう。

これは、自分と正反対だからだろうか。


そしてぎこちない動きではあったがその女子は腰をあげ、口を開いた。


『私は藤本春奈と言います。好きなことと特技は裁縫です!部活動は相談部をつくろうと思っています!興味のある方は是非、声を掛けてください!』


小さくとも、しっかりと発せられた声を聞き俺は少し、興味を抱いた。



それから数日、新しい生活ということで最初は皆少し躊躇いのようの空気であったが、所々でグループができ始めている。


ちなみに俺はまだぼっちだ。

…一つ、言い訳じみたことを言えば、進路までも適当に決めたためこの学校には中学の友達、ましてや同じ学校の人までいないのである。

まぁ友達に飢えている訳でもないので、今の所は保留だ。


では俺は学校で何をしているのかと言えば、読書である。

普通に本が好き、というところもあるが何もしていないのに一人でいるのは少し恥ずかしい。

わかる人もいる…と思っている。

変に絡まれるのも困るしな。


だが教室のなかとは騒がしいもので、四方から色んな声が耳に入ってきて集中をかき乱す。

そんなこんなで読む気が失せてしまった。


何となく周囲を見渡していると隣の女子が目に入った。

何やら考え込んでいる様子だ。

暇だし話しかけてみるか。


『凄い形相だけど何か考え事か?』

その人は肩をビクりと震わせた。

『えっ!?そんなふうにみえましたか?』

『あぁ、まるで吽形だったね』

『そ、そんな顔でしたか…』

変な冗談をかましてしまったが特に気にしていない様子だ。


『実は、部活の人が全然集まらないんですよ』

部活?少し引っかかったが思い出せない。

引っかかる言葉ではないと思うが…。

『ほう、部活?何かつくろうとしてるのか?』

『い、一応自己紹介の時に言ったんですけど…』

その時のことを思い出したのか少し顔が赤くなっていた。

『あぁ、思い出した、確か相談部だったかな?』

『はい!そうです!』

『結構頑張って言ったんですけど、そんなに印象に残ってないんですか!?』

この人も元気タイプのようだ。

『いやぁすまない、俺の性格みたいなものでね』

俺は忘れっぽいのである。


『皆さん興味がないんでしょうか?』

そう聞かれてもなぁ。

普通に何するかわからないし、近寄り難いのでは?

『さぁねぇ…』

『…あの』

申し訳なさそうな顔で訪ねてきた。

『ん?』

この流は…。

俺の頭は何かを察した。

『良ければ歩さん入りませんか?』

『やっぱりか』

『?、何がですか?』

きょとんとした顔で言ってきた。

『い、いや何でもない』

思わず口に出してしまった…。

よりによってなんで俺なのだろうか。


『確かに入りたい部活もないが、相談部とやらは一体何をするつもりなんだ?』

名前の通りなんだろうが謎が多い。

部活とは貴重な青春の一部であり、そうやすやすと入れるものでない。

『そうですね…。皆の悩みを聞いて解決出来たらなと思っています』

ほう、そのままだな。

シンプル過ぎて逆に驚いてしまった。

しかしわざわざ部活をつくってまでするのことなのだろうか。


『取り敢えず、授業始まるぞ』

彼女ははっとした表情を見せ、

『そ、そうでした、すみません』

『別にいいが…授業中にでも考えておくよ』

彼女は丁寧にお辞儀をしながら礼を言った。



ふむ、色々疑問もあるが実際どうだろう。

相談といってもたくさん来るわけでも無いだろうし、学校でゲームでも睡眠でも、のんびり過ごせるのではないだろうか。

それに人の悩みを聞けるというのは、なかなかに面白そうだ。

これは案外いいかもしれない。



ふぅ…授業が終わった。

授業というのはどうも最後まで聞く気にならないんだよなぁ。

こんなこと言っているから頭もそこそこなのだろうが…。

しかし子守唄を歌われては子供心が反応してしまうのは仕方がない、なんて思ってしまう。


…。

というかさっきから視線がうるさい。

終わりを告げるチャイムが鳴って解放の気分を味わっていたのだが、どうやら彼女は俺の回答をご所望らしい。

…仕方ない。


『部活動の件だが、仮入部でいいならやってみよう』

彼女はぱぁっと無邪気に笑った。

『ほ、本当ですか!?』

『無理に入らなくてもいいですよ?』

む、この純粋さは思春期の男にはくるものがあるだろう。

口にも顔にも出さないが。

『いや、俺も少し興味が湧いてきてね』

このままでは俺のようなやつに人の相談など聞く機会などないだろうしな。


『でもどうして人の悩みなんてわざわざ聞こうと思うんだ?』

『それは…今はまだ言えません…』

なるほど、まぁそのようなことの一つ二つは皆あるものだろう。


『そうか、というか部活をつくる条件は何なんだ?』

彼女は要らない情報を消すため、上を見上げながら答えた。

『えぇっと、部員は二人以上で後は活動場所と顧問の先生がいたら大丈夫です』

『実は昨日、活動が出来そうな空いてる部屋があったと鈴木先生が教えてくれました』

『顧問の先生は人が集まったらなってもらえると言っていたので無事、つくれそうです』

鈴木先生?誰だかわからないが多分担任だろう。

『それは良かった』

『じゃあ、また何かあったら言ってくれ』

『はい!これからよろしくお願いします!』


部活には入っていいが、作るとなると面倒だと思っていたがそういうことなら問題もないだろう。


思いの外簡単に部活をつくれてしまったがいいのだろうか。

まぁ楽なことに越したことはないのだが。


高校生活そうそう大変なことに巻き込まれている気がするが何か新しい生活でも始まるのだろうか。

高校生活に最近ジョブチェンジしてそろそろなれ始めていたころなので、このまま平穏に生きていたいものだ。



よぉーし、なにはともあれ昼飯だ。

この学校は食堂なんてものはないので基本弁当、あまり居ないが購買の人達もいる。


俺はといえば自作弁当…が作れたら良かったのだが、登校の都合上早起きをしなければならなく弁当をつくってる余裕なんてない、まぁ親も仕事をしているが弁当を作っているのだからただの言い訳である。

母とこの食べ物達に感謝を込めていただきます。



さて、それでは一旦勉強のことなんて忘れてのんびりしよう。


春、そして食後も合わさり体の内側から外側まで心地のいいあたたかさが包みこんでくれる。

今日は良い天気だ、このまま外で寝たら気持ちが良いのだろう。

…まぁ動きたくないのでこのまま寝るのだが。



どれくらいたっただろうか、外部からの衝撃により休んでいた脳が動き出しだんだん意識が覚醒していった。

聞き覚えのある声だと認識し、すぐに話しかけている彼女の方へと頭を動かした。


『すまない、何かようか?』

『寝ているところすみません、鈴木先生が相談部について話があるということで…』


ふむ、部活をつくるというのだから色々話すこともあるのだろう。

寝起きではあるが最大限頭を回して考えた。

『分かった、今行こう』

そう返事をし、席から立ち上がり先生を見つけ、そちらの方へと足を動かせた。


…若干寝ているのを見られるのは恥ずかしいな。

教室で堂々と寝たのは俺であるが。

他に寝るとこは無いだろうか。


鈴木先生は(一応担任の様だ)まだ若い…に入るのかわからなないが女性の先生のようで30前後くらいだろうか。

話を聞く限り相談部にも積極的に力になってくれているし、良い先生なのだろう。


『歩君、君が相談部の部員か』

『はい、話とはなんですか?』

『聞いていると思うが私が一応顧問の先生になる』

『なので相談部のことについてだが、取り敢えず最低人数は揃ったということであなた達の部室を早速案内しようと思っているのだけどどうだろう』

これは早くも寝床を確保できる?

『俺は暇なのでいいですけど』

『私も是非見てみたいです!』

『よし、それでは着いてきなさい』


案内されたところは物置部屋のような扱いになっている部屋であった。

全く掃除がされていないのかホコリも凄い。

寝るにも活動するにも、一度掃除が必要のようだ。


『これは、掃除をしないといけませんね』

『あぁ、少し汚いが空いてる部屋というのもあまりなくてな』

『相談をするくらいなら十分使えるだろう?』

ぶっちゃけ相談なんて部室が無くても出来そうだしな…。

『鈴木先生、わざわざありがとうございます!』

彼女が少し興奮気味に言った。


『それじゃ、また何かあれば声を掛けてくれ』

そう言って先生は来た道を戻って行った。


『そろそろ時間のようだし俺達も戻ろう』

『はい!そうですね!』

まだ、顔が少し赤く興奮が抜けてないようだ。


掃除の時間になり俺達は呼び出された。

察しの良い方はお気づきだろうが、部室の掃除である。

若干サボれるのかと期待していたがだめのようだ。

掃除道具の場所を教えてもらい諦めて掃除にとりかかった。


中に入ってみると構造は自分達の教室と変わらないが全体的にボロく、何かの行事で使ったのかカラフルなお花紙が詰まった箱や、カラーコーンなどが置いてあった。


この時間だけで終わることは無さそうなので、ほどほどに掃除をしてふらふらと部屋を観察していると彼女が目に入った。

どうやら彼女は真面目にやっているらしい。


せっせせっせと掃除をしているが、床についてしまったのか制服が汚れている。

そこまでするのには、やはり何かあるのだろう。


終わりのチャイムがなり、取り敢えず終了だ。



さようならの挨拶をしたら、もう部活の体験が始まっているとのことで教室には数人を残し何処かへ行ってしまった。


今日からでも部室を使っていいと言われたが、行くべきだろうか。

流石に相談に来る人はいないと思うが、掃除の続きをしてもいい。


俺はこうみえても掃除が好きなのだ。

だからといって言われなければ何もしないので自分の部屋や机は酷いありさまである。

そんな話は置いておこう。


取り敢えず彼女に聞いてみるか。

あの様子だと部室に寄っていくのは確実だろうが。


あ…


『あ、すまない、名前は何だったか?』

『え、えぇっ!?全く私に興味がないんですね!?』


少し可哀想ではあるが、名前を聞いたのは一度だけである。

つまりしょうがない。

いや、反省します。


一息ついて彼女は言った。

『私の名前は藤本春奈です!良ければ覚えてくれると嬉しいかもです!』


善処します…。


『えーそれで春奈、今日は部室に行くのか?』

『はい!行こうと思っていますが歩さんも行くんですか?』

うーん…。

この人、一人でも掃除をしそうなんだよな。

名前を覚えてなかった罰はここで免除してもらおう。

『そうだな、暇だし寄ってみるか』 


『あ、すまない、部室の行き方わかるか?』

一瞬きょとんとした顔を見せたが、すぐに焦った顔になり

『え、あ、ごめんなさい!私も忘れてしまいました…』

まさかこいつも忘れているとは。

移動中、妄想を膨らませていたりしていたのだろう。

俺も忘れているのだから責めることは出来ないが。

先が思いやられるというやつだ。


このあと鈴木先生を見つけだし、もう一度お世話になった。

先生は呆れた顔であった。


移動中、横にいる人からもの凄いオーラを感じながら歩いていた。

表すなら絶対記憶するマン、だろうか。

健気な姿をみると、自然と頬が緩んでしまうからいけない。

着いたとき、先生もオーラを感じ取ったのか得に何も言わず去っていった。


ちなみに俺はまだ覚えてない可能性が高い。

入口を見てみると生徒会室にバッテンが書かれているので一応目印としておこう。


よし、掃除でもするか。

今からやれば、少し時間があまるくらいには終わるだろう。

学校が終わっているという解放感もあり、今はやる気が十分にある。


春奈も掃除を始めた。

掃除の時間にも思っていたが、教えてあげたほうがいいのだろうか。

『おい春奈、制服が汚れているが大丈夫か?』

『あ、ほんとですね』

立ち上がってホコリを叩きながら口を開いた。

『私が部活をつくったんだと思ったり、これからのことを考えていたら少し張り切ってしまいました…。』

なるほどな。

『結構なことだが、具代的にどうするかは決めているのか?』

ここまでのやる気となると色々考えているのだろう。

『春休みの間に色々考えてきました!』

自慢げに言ってきた。

『ほう、どんなことだ?』

『まず、相談部の活動内容を記載して宣伝ポスターを貼ってみよかなと』

『そして人が来たら精一杯解決してあげたいと思ってます!』

解決の仕方が根性論な気配がするな…。

俺も相談なんてされたことがないのだから力になれるのかわからないが。


『一通りはわかったが俺は何をしたらいいんだ?』

『何もないならそれに越したことはないんだが』

相談をBGMにして寝るなんてどうだろう。

流石に怒られるか?

『したくないならいいですけど、一緒に相談にのってくれればと考えています』

少し不安な顔を見せながら言っていた。

人の相談にのる、それは重大な場合も多いかもれない。

自信を持て、とも言えないし不安なことは当たり前だろう。

『そうだな、相談には色々な視点があったほうがいいと思うし、やってみるか』

どうせ暇な時間の方が多いだろうし。


『実は少し自分だけでは出来るか不安だったので、そう言ってもらえると嬉しいです』


ほう…。


『今日はまだ時間があるが、ポスターとやらでも考えるか?』

やる気はまだ残っていた。

『そうですね!早速つくってみましょう!』


意気揚々と作りだすのを見ながら考える。

ポスターか…どうしたらいいのか俺にはわからないが、こういったことは女子が得意そうだ。

『俺に出来ることがあまりないから、いるものがあったら言ってくれ』

そう言ってそこを離れた。


取り敢えずカラーペンとかだろうか。

物置のようだし幾つかあるかもしれない。

そう思い、物が密集しているところへ向かった。

…そうすぐには見つからなかったが、しっかりと一式揃っているものを発掘した。

勿体ないな。


『こんなものでどうだろう』

傍から見ればブツを渡しているとも捉えれそうな光景だが、別にいいだろう…。

『こんなにしっかりとしたものがあったんですか!』

『お手絡ですね!』

喜んでくれれば探した甲斐もあっただろう。


数十分が経ちどうやら完成したようだ。

出来栄えといえば流石は女子、女特有のカラフルでイラスト満載、可愛らしいものが出来たじゃないか。

人数が多くても良くないと思ったのか、部員募集は少ししか書かれていない。


部活の勧誘ポスターは掲示板があり、他の部活はもう貼り出しているので俺達はその枠に入れさせてもらった。ごほん、俺の名前は清水歩だ。

好きなことは読書と言っておこう。

特に目立ったこともないためこの程度で説明が終ってしまう人物だ。


高校生デビューということで心を弾ませて…はいないが、電車に身を委ね学校へと向かっている。


朝、少し眠気が残っているまま静かに電車と揺れて寝るも良し、何か考えるも良しとまぁこの時間が好きなのである。


先程の挨拶は何だったのかと言われれば、見ての通り自己紹介だ。

メタいことではなく学校最初の難関だと思っている自己紹介イベントに向けてである。

ぼんやりと生きてきた俺は特に目立ったこともなく悲しい現実を見せられていたのである。


そんなことを考えていたら目的地についてしまった。

まぁいつもどおり何とかなるだろう。



キーンコーンカーンコーン


先生が何やら話しているが席が一番後なので本が読める。

もちろん本を読む。


学校のことなど忘れて読みふけっていたがクラスが少しざわついていることに気づいた、どうやら自己紹介が始まるようだ。

さて、流石にクラスの自己紹介くらいは真面目に聞こうじゃないか。


うちの学校は男女が縦に交互という配置らしくまずは前の席にいる元気の良さそうな男子がサッカーをしているなどと言っている。


何とも眩しいな…別に陽の者が嫌いではないが関わることは無さそうだ。

サッカーと言っていたが、俺は何の部活に入ろうか…。

運動は出来ないわけでも、嫌いなわけでもないが特に入りたいものもないのである。


おっとのんびり考えていたらそろそろ順番が近づいて来たな。

あと何番目か数えようと考えたとき、ふと目に入ったのは隣の女子だ。


次の順番だからなのか、少し緊張している様子だ。

ぶつぶつと何やら言葉が聞こえる。

どうやら次に言うことを練習しているようだ。

このような何かと頑張っている姿を見ると応援してあげたくなってしまう。

これは、自分と正反対だからだろうか。


そしてぎこちない動きではあったがその女子は腰をあげ、口を開いた。


『私は藤本春奈と言います。好きなことと特技は裁縫です!部活動は相談部をつくろうと思っています!興味のある方は是非、声を掛けてください!』


小さくとも、しっかりと発せられた声を聞き俺は少し、興味を抱いた。



それから数日、新しい生活ということで最初は皆少し躊躇いのようの空気であったが、所々でグループができ始めている。


ちなみに俺はまだぼっちだ。

…一つ、言い訳じみたことを言えば、進路までも適当に決めたためこの学校には中学の友達、ましてや同じ学校の人までいないのである。

まぁ友達に飢えている訳でもないので、今の所は保留だ。


では俺は学校で何をしているのかと言えば、読書である。

普通に本が好き、というところもあるが何もしていないのに一人でいるのは少し恥ずかしい。

わかる人もいる…と思っている。

変に絡まれるのも困るしな。


だが教室のなかとは騒がしいもので、四方から色んな声が耳に入ってきて集中をかき乱す。

そんなこんなで読む気が失せてしまった。


何となく周囲を見渡していると隣の女子が目に入った。

何やら考え込んでいる様子だ。

暇だし話しかけてみるか。


『凄い形相だけど何か考え事か?』

その人は肩をビクりと震わせた。

『えっ!?そんなふうにみえましたか?』

『あぁ、まるで吽形だったね』

『そ、そんな顔でしたか…』

変な冗談をかましてしまったが特に気にしていない様子だ。


『実は、部活の人が全然集まらないんですよ』

部活?少し引っかかったが思い出せない。

引っかかる言葉ではないと思うが…。

『ほう、部活?何かつくろうとしてるのか?』

『い、一応自己紹介の時に言ったんですけど…』

その時のことを思い出したのか少し顔が赤くなっていた。

『あぁ、思い出した、確か相談部だったかな?』

『はい!そうです!』

『結構頑張って言ったんですけど、そんなに印象に残ってないんですか!?』

この人も元気タイプのようだ。

『いやぁすまない、俺の性格みたいなものでね』

俺は忘れっぽいのである。


『皆さん興味がないんでしょうか?』

そう聞かれてもなぁ。

普通に何するかわからないし、近寄り難いのでは?

『さぁねぇ…』

『…あの』

申し訳なさそうな顔で訪ねてきた。

『ん?』

この流は…。

俺の頭は何かを察した。

『良ければ歩さん入りませんか?』

『やっぱりか』

『?、何がですか?』

きょとんとした顔で言ってきた。

『い、いや何でもない』

思わず口に出してしまった…。

よりによってなんで俺なのだろうか。


『確かに入りたい部活もないが、相談部とやらは一体何をするつもりなんだ?』

名前の通りなんだろうが謎が多い。

部活とは貴重な青春の一部であり、そうやすやすと入れるものでない。

『そうですね…。皆の悩みを聞いて解決出来たらなと思っています』

ほう、そのままだな。

シンプル過ぎて逆に驚いてしまった。

しかしわざわざ部活をつくってまでするのことなのだろうか。


『取り敢えず、授業始まるぞ』

彼女ははっとした表情を見せ、

『そ、そうでした、すみません』

『別にいいが…授業中にでも考えておくよ』

彼女は丁寧にお辞儀をしながら礼を言った。



ふむ、色々疑問もあるが実際どうだろう。

相談といってもたくさん来るわけでも無いだろうし、学校でゲームでも睡眠でも、のんびり過ごせるのではないだろうか。

それに人の悩みを聞けるというのは、なかなかに面白そうだ。

これは案外いいかもしれない。



ふぅ…授業が終わった。

授業というのはどうも最後まで聞く気にならないんだよなぁ。

こんなこと言っているから頭もそこそこなのだろうが…。

しかし子守唄を歌われては子供心が反応してしまうのは仕方がない、なんて思ってしまう。


…。

というかさっきから視線がうるさい。

終わりを告げるチャイムが鳴って解放の気分を味わっていたのだが、どうやら彼女は俺の回答をご所望らしい。

…仕方ない。


『部活動の件だが、仮入部でいいならやってみよう』

彼女はぱぁっと無邪気に笑った。

『ほ、本当ですか!?』

『無理に入らなくてもいいですよ?』

む、この純粋さは思春期の男にはくるものがあるだろう。

口にも顔にも出さないが。

『いや、俺も少し興味が湧いてきてね』

このままでは俺のようなやつに人の相談など聞く機会などないだろうしな。


『でもどうして人の悩みなんてわざわざ聞こうと思うんだ?』

『それは…今はまだ言えません…』

なるほど、まぁそのようなことの一つ二つは皆あるものだろう。


『そうか、というか部活をつくる条件は何なんだ?』

彼女は要らない情報を消すため、上を見上げながら答えた。

『えぇっと、部員は二人以上で後は活動場所と顧問の先生がいたら大丈夫です』

『実は昨日、活動が出来そうな空いてる部屋があったと鈴木先生が教えてくれました』

『顧問の先生は人が集まったらなってもらえると言っていたので無事、つくれそうです』

鈴木先生?誰だかわからないが多分担任だろう。

『それは良かった』

『じゃあ、また何かあったら言ってくれ』

『はい!これからよろしくお願いします!』


部活には入っていいが、作るとなると面倒だと思っていたがそういうことなら問題もないだろう。


思いの外簡単に部活をつくれてしまったがいいのだろうか。

まぁ楽なことに越したことはないのだが。


高校生活そうそう大変なことに巻き込まれている気がするが何か新しい生活でも始まるのだろうか。

高校生活に最近ジョブチェンジしてそろそろなれ始めていたころなので、このまま平穏に生きていたいものだ。



よぉーし、なにはともあれ昼飯だ。

この学校は食堂なんてものはないので基本弁当、あまり居ないが購買の人達もいる。


俺はといえば自作弁当…が作れたら良かったのだが、登校の都合上早起きをしなければならなく弁当をつくってる余裕なんてない、まぁ親も仕事をしているが弁当を作っているのだからただの言い訳である。

母とこの食べ物達に感謝を込めていただきます。



さて、それでは一旦勉強のことなんて忘れてのんびりしよう。


春、そして食後も合わさり体の内側から外側まで心地のいいあたたかさが包みこんでくれる。

今日は良い天気だ、このまま外で寝たら気持ちが良いのだろう。

…まぁ動きたくないのでこのまま寝るのだが。



どれくらいたっただろうか、外部からの衝撃により休んでいた脳が動き出しだんだん意識が覚醒していった。

聞き覚えのある声だと認識し、すぐに話しかけている彼女の方へと頭を動かした。


『すまない、何かようか?』

『寝ているところすみません、鈴木先生が相談部について話があるということで…』


ふむ、部活をつくるというのだから色々話すこともあるのだろう。

寝起きではあるが最大限頭を回して考えた。

『分かった、今行こう』

そう返事をし、席から立ち上がり先生を見つけ、そちらの方へと足を動かせた。


…若干寝ているのを見られるのは恥ずかしいな。

教室で堂々と寝たのは俺であるが。

他に寝るとこは無いだろうか。


鈴木先生は(一応担任の様だ)まだ若い…に入るのかわからなないが女性の先生のようで30前後くらいだろうか。

話を聞く限り相談部にも積極的に力になってくれているし、良い先生なのだろう。


『歩君、君が相談部の部員か』

『はい、話とはなんですか?』

『聞いていると思うが私が一応顧問の先生になる』

『なので相談部のことについてだが、取り敢えず最低人数は揃ったということであなた達の部室を早速案内しようと思っているのだけどどうだろう』

これは早くも寝床を確保できる?

『俺は暇なのでいいですけど』

『私も是非見てみたいです!』

『よし、それでは着いてきなさい』


案内されたところは物置部屋のような扱いになっている部屋であった。

全く掃除がされていないのかホコリも凄い。

寝るにも活動するにも、一度掃除が必要のようだ。


『これは、掃除をしないといけませんね』

『あぁ、少し汚いが空いてる部屋というのもあまりなくてな』

『相談をするくらいなら十分使えるだろう?』

ぶっちゃけ相談なんて部室が無くても出来そうだしな…。

『鈴木先生、わざわざありがとうございます!』

彼女が少し興奮気味に言った。


『それじゃ、また何かあれば声を掛けてくれ』

そう言って先生は来た道を戻って行った。


『そろそろ時間のようだし俺達も戻ろう』

『はい!そうですね!』

まだ、顔が少し赤く興奮が抜けてないようだ。


掃除の時間になり俺達は呼び出された。

察しの良い方はお気づきだろうが、部室の掃除である。

若干サボれるのかと期待していたがだめのようだ。

掃除道具の場所を教えてもらい諦めて掃除にとりかかった。


中に入ってみると構造は自分達の教室と変わらないが全体的にボロく、何かの行事で使ったのかカラフルなお花紙が詰まった箱や、カラーコーンなどが置いてあった。


この時間だけで終わることは無さそうなので、ほどほどに掃除をしてふらふらと部屋を観察していると彼女が目に入った。

どうやら彼女は真面目にやっているらしい。


せっせせっせと掃除をしているが、床についてしまったのか制服が汚れている。

そこまでするのには、やはり何かあるのだろう。


終わりのチャイムがなり、取り敢えず終了だ。



さようならの挨拶をしたら、もう部活の体験が始まっているとのことで教室には数人を残し何処かへ行ってしまった。


今日からでも部室を使っていいと言われたが、行くべきだろうか。

流石に相談に来る人はいないと思うが、掃除の続きをしてもいい。


俺はこうみえても掃除が好きなのだ。

だからといって言われなければ何もしないので自分の部屋や机は酷いありさまである。

そんな話は置いておこう。


取り敢えず彼女に聞いてみるか。

あの様子だと部室に寄っていくのは確実だろうが。


あ…


『あ、すまない、名前は何だったか?』

『え、えぇっ!?全く私に興味がないんですね!?』


少し可哀想ではあるが、名前を聞いたのは一度だけである。

つまりしょうがない。

いや、反省します。


一息ついて彼女は言った。

『私の名前は藤本春奈です!良ければ覚えてくれると嬉しいかもです!』


善処します…。


『えーそれで春奈、今日は部室に行くのか?』

『はい!行こうと思っていますが歩さんも行くんですか?』

うーん…。

この人、一人でも掃除をしそうなんだよな。

名前を覚えてなかった罰はここで免除してもらおう。

『そうだな、暇だし寄ってみるか』 


『あ、すまない、部室の行き方わかるか?』

一瞬きょとんとした顔を見せたが、すぐに焦った顔になり

『え、あ、ごめんなさい!私も忘れてしまいました…』

まさかこいつも忘れているとは。

移動中、妄想を膨らませていたりしていたのだろう。

俺も忘れているのだから責めることは出来ないが。

先が思いやられるというやつだ。


このあと鈴木先生を見つけだし、もう一度お世話になった。

先生は呆れた顔であった。


移動中、横にいる人からもの凄いオーラを感じながら歩いていた。

表すなら絶対記憶するマン、だろうか。

健気な姿をみると、自然と頬が緩んでしまうからいけない。

着いたとき、先生もオーラを感じ取ったのか得に何も言わず去っていった。


ちなみに俺はまだ覚えてない可能性が高い。

入口を見てみると生徒会室にバッテンが書かれているので一応目印としておこう。


よし、掃除でもするか。

今からやれば、少し時間があまるくらいには終わるだろう。

学校が終わっているという解放感もあり、今はやる気が十分にある。


春奈も掃除を始めた。

掃除の時間にも思っていたが、教えてあげたほうがいいのだろうか。

『おい春奈、制服が汚れているが大丈夫か?』

『あ、ほんとですね』

立ち上がってホコリを叩きながら口を開いた。

『私が部活をつくったんだと思ったり、これからのことを考えていたら少し張り切ってしまいました…。』

なるほどな。

『結構なことだが、具代的にどうするかは決めているのか?』

ここまでのやる気となると色々考えているのだろう。

『春休みの間に色々考えてきました!』

自慢げに言ってきた。

『ほう、どんなことだ?』

『まず、相談部の活動内容を記載して宣伝ポスターを貼ってみよかなと』

『そして人が来たら精一杯解決してあげたいと思ってます!』

解決の仕方が根性論な気配がするな…。

俺も相談なんてされたことがないのだから力になれるのかわからないが。


『一通りはわかったが俺は何をしたらいいんだ?』

『何もないならそれに越したことはないんだが』

相談をBGMにして寝るなんてどうだろう。

流石に怒られるか?

『したくないならいいですけど、一緒に相談にのってくれればと考えています』

少し不安な顔を見せながら言っていた。

人の相談にのる、それは重大な場合も多いかもれない。

自信を持て、とも言えないし不安なことは当たり前だろう。

『そうだな、相談には色々な視点があったほうがいいと思うし、やってみるか』

どうせ暇な時間の方が多いだろうし。


『実は少し自分だけでは出来るか不安だったので、そう言ってもらえると嬉しいです』


ほう…。


『今日はまだ時間があるが、ポスターとやらでも考えるか?』

やる気はまだ残っていた。

『そうですね!早速つくってみましょう!』


意気揚々と作りだすのを見ながら考える。

ポスターか…どうしたらいいのか俺にはわからないが、こういったことは女子が得意そうだ。

『俺に出来ることがあまりないから、いるものがあったら言ってくれ』

そう言ってそこを離れた。


取り敢えずカラーペンとかだろうか。

物置のようだし幾つかあるかもしれない。

そう思い、物が密集しているところへ向かった。

…そうすぐには見つからなかったが、しっかりと一式揃っているものを発掘した。

勿体ないな。


『こんなものでどうだろう』

傍から見ればブツを渡しているとも捉えれそうな光景だが、別にいいだろう…。

『こんなにしっかりとしたものがあったんですか!』

『お手絡ですね!』

喜んでくれれば探した甲斐もあっただろう。


数十分が経ちどうやら完成したようだ。

出来栄えといえば流石は女子、女特有のカラフルでイラスト満載、可愛らしいものが出来たじゃないか。

人数が多くても良くないと思ったのか、部員募集は少ししか書かれていない。


部活の勧誘ポスターは掲示板があり、他の部活はもう貼り出しているので俺達はその枠に入れさせてもらった。



次回は相談を解決していこうかと。

読み直したり作ってる時に変更したくなるんだろうなぁと思うのでこっそりしているかも…。

でもこんなものを読んでるなら今すぐ散歩してきたほうが価値がありますよ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

目を合わす、目をそらす、 かずは @kazuhadayo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ