第4話 幕間~リムの手紙~

 パパとママへ。

 お元気ですか? ボクは勿論元気だよ。

 なんてお決まりの挨拶はさておき、つい先日、ボクのしもべができました。


 しかも誘惑魔法チャームをかけるまでもなく、ボクの魅力にメロメロです。  

 凄いでしょ?


 まぁボク的にはあんまりタイプの人間じゃないんだけど、どうしてもって泣きながら懇願されたのと、人間界での活動に利用できそうだったから、仕方なく契約してあげたって感じかな。


 だから暫くの間は、その人間に身の回りの世話をさせようと思ってます。

 いつかパパとママが言っていたように、『勝手に人を魅了してしまう辛さ』というものがわかった気がします。


 良い女は、それだけで罪なんだなって……♪

 とりあえず、近況報告はそんなところかな。

 今のところ拍子抜けするくらい全てが順調なので、ボクの事は心配しないで――


「おいリムっ!」

「ひゃあああああっ!」


 背後からいきなり声を掛けられて、ボクは驚きの声を上げた。


「な……なに……っ!?」


 振り向くと、そこには眉間に皺を寄せているウィリックがいた。


「何してるんだよ。もうすぐ開店時間なんだぞ」

「ば……バカぁっ! ノックくらいしなさいよ!」

「ノックはした。お前が気付かなかっただけだ」

「ほ……本当?」

「当たり前だろ。一体何やってたんだよ?」

「そ……そんな事……アンタに言う必要なんかないでしょ」

「はぁもう……とにかく店を開けるから、直ぐに用意して降りてきてくれよ」


 溜息を吐いて、ウィリックは部屋を出ていった。

 ああ、ビックリした。

 手紙を書くのに夢中になっていたボクも悪いけど、ウィリックのあの態度は頂けない。

 覚えておきなさいよね。

 いつかアンタに誘惑魔法チャームをかけて、本当にボクのしもべにしてやるんだから。


「さてと……」


 ペンを置いて、席を立つ。


「とりあえず今は、ここから始めなきゃね」


 自分に言い聞かせるようにそう呟く。

 それからウィリックに貰った給仕用のエプロンに袖を通して、ボクも部屋を出た。

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ポンコツサキュバスと冴えない店主【全年齢版】 ドラ八 @dr8

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