エピローグ「黄金の国」

 その後、ナノカジマには自由が訪れました。


 豊の歌が受け継がれていくうちに、多くのギアがこの島の真相にたどり着いたのです。

 自分たちは狭い世界に住んでいて、何者かが決めたルールにただ従っていただけ——その事実が知れ渡りました。


 いつの間にか、キョウシは透哉たち3人を「エイユウ」として扱うようになりました。

 その影響があってか、自由を覚えたギアたちは、ナノカジマの外にも出るようになりました。

 外はギアたちにとって、何が起きるか分からない危険な世界です。それでも「一生この島にいて死ぬまで自由もなく、ただ使い古されて死んでいくのは嫌だ」と考えるギアも増えました。

 外の世界に出て行ったがどうなったのかは、誰も知りません。ただ、自分の一生に満足して死んでいったのは間違いないでしょう。


 そうしてナノカジマは、ギアたちを失い、めでたく滅びました。


                   ・


 それから長い年月が流れたある日。


 何者かが、滅びたナノカジマを発見しました。


「ここは素晴らしい島だ。周りは全て海に囲まれていて侵入する敵は少ないし、ここに国民を閉じ込めて、洗脳してしまうこともできる。よし、ここに王国を作ろう」

 何者かはそう言って、ニヤリと笑いました。


 この島を国にすると決めた何者かは、ナノカジマを隅から隅まで探索し、この島の地中に大量の金の石が埋まっていることを発見しました。

 ギアたちが埋め立て、掘り起こせないまま使われなくなった、あの金の石です。


 そして何者かは、この島を「黄金の国」と名付けたのです。



 その後、「黄金の国」はどうなったのでしょうか。

 再びナノカジマと同じ道をたどったのか、それとも——



 黄金の国の結末は、まだ誰にも分かりません。



 了

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ナノカジマ 石花うめ @umimei_over

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