一話一話に人生が籠もっている

 主人公は目に見える特殊能力は持ちません。
派手な魔法も(今のところ)持っていません。
持っているのは類稀な観察眼ーーー作中は「想像力」と評されます。

 ただ、彼の能力はそれだけではないと思います。それはどんな相手でも、相手を「自分とは違う素晴らしい能力を持った人」として接する力です。現実にはとても難しいですよね。彼は自分を卑下はしないけども、ちっぽけだと冷静に分析していて、だからこそ、自分の持っていない能力、知識に貪欲です。
 心から相手を賢者と感じているから、相手の懐に入って、その人の仕事の勘所を聞き出せます。それはもう、その人の人生そのもの。
 お話はまだ序盤。今から動き出そうというところ。お仕事小説の趣もあり、これから楽しみです。