愛の形

#365日ショートショート 122

　愛の形は自由だって、イマドキ、誰だってそう言う。そう思っていなくても、そう言わなくちゃいけない時代。そうでしょ、香住。私、あなたへのこの想い、もう我慢するのはやめたの。あなたの長い髪、綺麗なネイル、細い腰つき。それを目にする度に、胸がうずいてどうにかなりそう。いいじゃない、自由なのよ。誰に後ろ指を差されようと、絶対に諦めないから。

　でもね、分かってる。香住の気持ちがあっちにあることは。剛くん。あなたと付き合って、もう2年になるっけ。いつも仲良しで、大学でも評判のラブラブなカップル。少しだけ羨ましい。……嘘。とっても羨ましい。手を繋いで歩いているところなんて、見かけると気が狂いそうになる。あなただち、夜はどうやって抱き合っているの。どうしてそこにいるのは私じゃないの、って。

　ああ、もう嫌だ。遠慮はやめ。きっと振り向かせてみせるから。溜まりに溜まったこの想い、あなたに伝えたら、どう思われるかしら。でもね、後悔なんかしない。言ったでしょ？ 愛の形は自由だって。この嫉妬、受け止めてね。そう、剛くんは私のもの。