第4話 初デート①
一通り思い出すと、思ってしまう。
ほんと変な関係だなと。
それに、地味子相手で果たして気持ちはわかるのかと。
そんなことを考えていると地味子がやってくる。
「お待たせしてすみません。」
「ん。別に早く着いただけだからいいよ。それで?今日はなにするんだっけ?」
基本的にやることは地味子任せの為、私はそう質問した。
「はい。デートです。」
「デートって…具体的なにすんの?」
「ウィンドウショッピングです。」
まぁ、薄々はそうなんじゃないかと思っていたけど。
だって、待ち合わせ場所が隣町のショッピングモール前だったし。
やることがわかり、私が歩き出そうとすると地味子が止める。
「あの…お願いがあるのですが。」
「ん?お願い?」
「はい。その…手を繋いでもいいでしょうか。」
「えっ。」
私は少し戸惑ってしまう。
「だめですかね。」
きっと恋人関係の体験の為、なんだろうけど。
うーん。
私は少し考えると、まぁ手くらい繋いでもいいかと思い地味子に右手を差し出す。
周りの人に見られても、少し仲の良い友達くらいにしか思われないでしょ。
友達じゃないけどさ。
地味子はお礼をすると私の手に触れる。
だけど、私が考えていた手の繋ぎ方と違っていたようで。
地味子はお互いの指を絡めると、いわゆる恋人繋ぎをする。
私は予想外のことで動揺してしまい、手を離そうと思ったのだが地味子の方を見ると無表情で恥ずかしがってるそぶりもなかった為、そのままにした。
だって、私だけ動揺してるとかなんか悔しかったから。
それも不覚にも地味子相手に動揺するとか。
まぁ、しばらくどきどきしてたのは内緒だけど。
それから、二人で手を繋ぎながら色々見て回る。
まずは、洋服屋から。
私はかわいい服を何点か見つけると、試着する。
その間、地味子は私が着替えるのを試着室の前で待っている。
私は暇だろうから店内を見てて、と伝えたのだけど、わたしは大丈夫です。と言うので。
試着室の姿見で確認すると、自分で言うのもなんだけどすごく似合っていて、かわいいと思った。
「見て見てー!これめっちゃかわいくない!?」
テンションが上がった私は地味子に見せる。
「はい。かわいいです。」
無表情でそう言う地味子。
次の服も試着すると、地味子に見せる。
やっぱり、かわいいと無表情で言う地味子。
私はそんな地味子になんだか少しムッとしてしまう。
それから、ムキになった私は何度か繰り返す。
だけど変わらず、かわいいと無表情で言う地味子。
そんな地味子に、私は思わず言ってしまう。
「もー!ほんとにそう思ってるの!?」と。
そんな私に地味子は少し考えると口を開く。
「すみません。」
私はその言葉を聞き、考えてしまう。
ほんとはかわいいと思ってなかったんだと。
まぁ、別に地味子にどう思われようとどうでもいいんだけど。
それでも、少し落ち込みそうになる。
だけど、どうやらそれは私の勘違いで。
「わたし感情を顔に出すのが苦手で。」
顔を伏せ、そう言う地味子だったが、私の顔をジッと見つめると。
「でも、春川さんがかわいいと思っているのはほんとです。」
地味子がそう言ったのだった。
不覚にもドキッとしてしまい、私は試着室のカーテンを勢いよく閉める。
い、いや違うし。
ドキッとしたのは急に見つめられて言われたせいで。
べ、別に地味子に言われても、なにも感じないし。
私は気持ちを落ち着けると、試着した服を戻し、お店を後にする。
手を繋がず、私の少し後ろを歩く地味子。
私を怒らせたと勘違いし、遠慮してそうしているんだろう。
まぁ、私はこのままでもいいのだけど。
でも、なんだかそれはひどすぎるような気がして。
「ほら、続き。するんでしょ?」
そう言い、地味子に右手を差し出す。
そんな私に安心したのか、近づくとまた手と手を繋ぎ、歩き出すのだった。
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