第11話 1人目の魔法少女

「我、かの者を契約者と認めその力を解放する!!」


 その言葉を言うと同時に僕たちを包んでいた光がさらに強くなる。そして夏美を包み込むように光が集まる。


「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 触手がこちらに向かってくるのが視界に入り思わず体に力が入る。

 しかし来るであろうと思っていた衝撃は来なく、ゆっくりと目を開けるとそこには先ほどまでとは違う姿をした夏美が立っていた。


 誰もが想像するような魔法少女の服が主となっているが胸元や腕、足の部分に鎧のようなものがある。まるで魔法少女と騎士だ一体になったような姿だ。

 可愛さと格好の良さが合わさった姿をしている。そして手には美しい刀身の剣を持っている。


「……夏美?」


 分かっていても思わず疑問の言葉が出てしまう。僕の言葉を聞いた夏美が振り返る。


「怪我はない?」


「う、うん」


 今の状況を頭で処理しきれていないのか気の抜けた返事になってしまう。


「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 化け物の触手はまるで刃物に切られたように先の方がなくなっている。近くに切られた触手が落ちており、少しするとそのまま霧状になり消えた。


「これが魔法少女なんだね」


 夏美は自分の姿を見ながら不思議そうにつぶやく。


「やった! 成功した!」


「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 喜んでいると化け物が怒りに狂ったように叫び声をあげる。そしていつの間にか再生した触手で攻撃を仕掛けてくる。


「夏美!」


 危険を知らせるために叫ぶと驚くほど冷静な答えが返ってくる。


「大丈夫!」


 夏美は流れるような動きで触手を噛んで切り裂く。


「す、凄い……」


 先ほどまで死にそうになる程追い詰められていたが、今は完全に夏美の方が圧倒している。負けるなんて考えられないと思えるほどだ。


「ちょっと待ってて。一撃で終わらせるから」


 その宣言と同時に夏美の持つ剣が強い光を放つ。負のエネルギーとは真逆の正のエネルギーを感じ取れる。

 どんどんその力が膨れ上がっていく。


「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 化け物も異変を感じたのか先ほどよりも多くの触手を出し僕たちを一気に潰そうと攻撃を仕掛けてきた。


「お前のせいでみんなが辛い思いをした! 絶対に許さない!」


 大きく振りかぶった剣を振り下ろす。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 勝負は一瞬だった。剣から放たれた光が触手もろとも化け物を包み込んだ。


「%△#?%◎&@□!!!!!!!」


 断末魔のような叫び声を上げ、そして跡形もなく消え去った。


「はぁ、はぁ……」


 夏美はその場に座り込んでしまう。僕は慌てて夏美に駆け寄ると肩を支える。


「はぁ、はぁ、優斗……私、やったよ」


 そう言って笑う夏美に僕も笑いかける。


「うん! 夏美がみんなのことを守ったんだよ!」


 夏美は僕の言葉を聞いてハッとする。


「そうだっ、みんな! 早くみんなのところに行かないと!」


 僕は夏美を安心させるためにみんなが無事であることを伝える。


「大丈夫。みんな無事だよ。今頃手当ても済んでいるからだろうと思うから安心して休んでいいよ」


「そっか……よかった」


 それだけ言うと夏美は意識を失ってしまった。それと同時に魔法少女の姿から変身前の状態に戻る。


 僕は腕の中で眠る夏美にもう感謝と労いの言葉をかける。


「ありがとう。そしてお疲れ様」

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僕と契約して魔法少女になってよ、と言って誘ってみた カムシロ @kamusiro

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