第105話 セモアでガードマン、ガードウーマンを作成
魔族の国ヨーゼフ王国の王エルネスティーネも魔族を上手く束ねて徐々に民の信頼も得るようになり、落ち着いて来た。
ジンとヒューイ達は魔族の国ヨーゼフ王国に3ヶ月程来て、エルネスティーネの住む城で過ごしている。
何故ならエルネスと宰相ゲルハルトに乞われて、ヨーゼフ王国のインフラの交通網の整備は終了したのだが下水道と水道設備、各家庭のトイレの水洗化等を頼まれ、
イリーナ達3魔女は道路の街灯設置を、ヒューイとドールは魔族の騎士団の育成を、そしてジンはゴーレム数体を駆使して下水道の設置を各街々にして行って時を過ごしていたのだ。
その甲斐もあってヨーゼフ王国は人族達が作り上げている王国や帝国よりも隅々まで下水道が完備して、トイレの水洗化も100%近くに達していた。
また、各主要都市と王都を結ぶ『魔動鉄道列車』をジンが考案して設置も完了し、馬車を持ち合わせていない一般の魔族は『魔動鉄道列車』を利用して数時間で王都や主要都市迄の行き来が可能になった。
その結果、物の流通も盛んになり、以前に比べて数ヶ月で魔族の国ヨーゼフ王国は
見違えるような近代国家になっていった。
魔人達もエルネスティーネの強さと人柄に賛辞を惜しみなく、騎士団に参加したいと行ってくる人も随分と増えてジン達が帰国する頃には騎士団の数は10000人にも増えていた。
未だ未だ国家としては兵士は足りないだろうが、人族や獣人族と比べて魔法やスキルが高い魔族の騎士団は他の国から見たら5倍近くの勢力と同じだった。
冒険者ギルドも各街に設置され、人族、獣人族、魔族を入れたスタッフ構成で2ヶ月前から軌道に乗り運営を始めている。
それに伴って、冒険者を泊める宿も急ピッチで作られて王都では宿が20軒程建ってすでに開業していた。
王都近辺にはダンジョンが5箇所もある為、冒険者が人族の大陸から大挙して渡って来て、プロレジア帝国カルセイの街は冒険者で賑わっていた。
「ジンパパ、もう少し妾のそばにいて欲しいのじゃ!」
「そう言ってもう、かれこれ半年近くここにいるぞ、我々もそろそろセモアに帰ってレンブラント王国の仕事もしないとならない」
「エルネス、パパに会いたければ城の『転移柱』で一瞬にして私たちの家にこれるから宰相殿に政治を任せて遊びに来ればいい」とヒューイが言う。
「ジン様、イリーナ様がた本当に長い間お世話になりありがとうございます、私ゲルハルト、このご恩は一生忘れません」
「今生の別れでは無いのですからエルネスの事、くれぐれも宜しくお願いいたします」と言ってジン達ファミリーは『転移柱』で一瞬のセモアの自宅に戻った。
半年ぶりに帰宅したジン達はリビングでのんびり過ごし、フジを久しぶりに放し飼いにしてあげケーキタイムを楽しんでいた。
「魔族の問題が解決したけど、随分我が家を留守にしていたから暫くはここセモアでのんびり過ごさない?」とイリーナがジンに何気なく言うと「実は俺もこの半年間、余りに色々な国に潜んでいた魔族を倒して動き回っていたからこの辺で少し落ち着いて我が家で古代書を読んだり、海で釣りでもしてのんびり過ごしたいと思っていたんですよ」
「それじゃ暫くは冒険の旅はお預けにしてセモアの生活を楽しみましょう!」
「俺は今から海釣りに行ってくるよ、ヒューイ一緒に行かないか?」
「たまにはのんびり私も磯つりを楽しもうかしら」
「私達はセモアの市場に行って買い物でもしてくるわ」とイリーナ。
「ドール、夕食を適当に準備しておいてくれる?俺達が魚をいっぱい釣って来たら晩飯のおかずはそれにしてもいいからね」
「わかりました!期待せずに待っています。準備はしておきますので」
「ヒューイ、研究棟の潜水艇出口付近の岩場あたりで釣ろうや」
ジンとヒューイはリビング後ろのキッチンカウンターの次元扉を通って一瞬で研究棟に移り、岩場の釣りポイントに行ってのんびりと釣り糸を垂らし始めた。
イリーナ、イザベラ、イリアの3魔女達はセモアの市場に行って食材、特に野菜や果物を買い、商店街に出て洋服を見て回ることにした。
それぞれが3時間ほど夕方まで楽しんで、ジンとヒューイは海の魚を40匹ほど釣
りあげて、自宅に戻って来た。
「ドール、大漁だぞ!4匹も釣り上げたから2匹ずつ天ぷらにしようぜ」
「そんなに釣れたのですか?それでは1匹を天ぷらにし、もう1匹をバターであえてソテーにしてマヨネーズをベースにしたソースで食べましょう」
「ジンくん達の方が早かったわね」とイリーナ達も戻って来た。
「ドール野菜と果物それとファングボアとマナバイソンを市場で買って来たから次元ストレージに入れておくわね」
「はい、お願いします。今日はジン様が大漁だったので魚の天ぷらとソテーで野菜スープにクロワッサンと野菜サラダで夕食にします。あと30分ほどですのでリビングのソファで皆さんお茶を飲みながらお待ちください」
「ドール、私がコーヒーを淹れるからいいわ」とヒューイ。
「すみません、ヒューイさん、お願いします」
お茶を飲みながら、ジンが「イリーナさん達は洋服も買って来たの?」
「ええ、全員それぞれ3着ほど新しい洋服を買ったわ!魔族との戦いでいつも戦闘服ばかり着ていたから・・・」
「食事の後に着てみせるわね」とイザベラが笑いながらジンに言う。
「明日は俺はドールの助手の人型ゴーレム2体を作って、我々がここを留守にするときに家と研究所の留守番と『フジ』の世話をしてもらつもりで作り込むつもりです」
「私は1日寝て食べて過ごすわ」とヒューイ。
「私達は『転移石』を使って久しぶりに”魔女の道楽”に行ってくるわ」とイリーナ。
「みなさん、夕食ができましたので」とドールが声を掛けてきた。
「ジンくんとヒューイちゃんが釣った魚を食べるとしましょうかね」とイリアおばさんがおどけた声で言ってキッチンのテーブルに着いた。
「なんて言う魚を釣ったの?」とイザベラ。
「名前なんてわからないよ、でも同じ種類が20匹ほどあとはイエローテイルが10匹ほどとあとはマグロににた大きな魚だね、全て食べれると【鑑定】しておいたから大丈夫だぞ」
「あら、天ぷらすごく美味しいわ」とイリーナ。
「そうでしょ!やはり釣り人がいいからね」
「あら、これは私が釣った魚かもしれないわ」
「まあまあどちらが釣ったにしても新鮮で美味しいわ、ソテーもとても美味しい」とイリアおばさんが言う。
久しぶりの我が家での夕食をのんびりと楽しんでその日はゆっくりと時が過ぎていった。
翌朝いつもの通り『誅戮剣』を担いで地下の訓練所にヒューイ、ドール、イリーナ
達と朝練を終えて、シャワーを浴び、全員で朝食をとった。
「イリーナさん達は”魔女の道楽”に行くんだね?」
「ええ、ドール昼はいらないから、夕食までには3人とも戻るわ」そう言って
3人は『転移石』で一瞬にして消えた。
ヒューイは厩舎から『フジ』を出して乗り込んでセモアの研究所の裏手の草原を走っていった。
ドールは皆の朝食を片付けてリビングでのんびりとソファーに座っている。
ジンは研究棟に行き、【次元ストレージ】にしまい込んでいた古代遺跡で倒した人型ゴーレムを出して、2体のガードマンを作り始めた。
『魔石製造機』に魔力を流し込みレベル10の魔石2個を作り出し、【魔石師】のスキルでもってジン達6名の命令のみを聞いて動くように魔石の魔法陣で指示を埋め込み、ゴーレムの頭に埋め込んだ。
更にその部分をアダマンタイトの合金でプロテクションを掛けて保護し、なおかつ強力な【シールド】を掛けた。
次に二つの目の部分の右目には2体ともレーザービームを発する事ができる様に改良し、左目には映った映像を録画、再生機能を持たせた。
身体全体の合金は硬度が非常に高いアダマンタイト合金に再生機能を持たせ、そのレベルを8にしてほぼ瞬時に再生する様に付加した。
ドールと同様に手がそのまま剣に変化する自由変形の機能を持たせ、魔法を放つ事が可能な『魔導銃』を2体とも体内に携行させた。
このあたりで昼になったのでリビングに戻り、ドールが作ってくれた、ピザでヒュ
ーイと二人で昼食をとった。
「パパ、ドールの助手さんはできた?」
「ああ、あと細かいところの調整をすればできあがるよ」
「ドールと全く同じでは困るから顔は少し変えてね」
「そうだな、洋服もメイド服にして髪はドールが長めだからショートにして髪の毛は金髪にするかな」
「研究棟のガードマンはどうするの?」
「あそこの配置には男性の形態をしたゴーレムにしたよ、全員が女性ばかりだと俺の立場が弱いから」
「男性の方は”ジョン”女性は”マリア”にしましょ!呼びやすいから」
「それじゃ、俺は彼、彼女にその名前で行動できる様にAI人工知能のセッティングをして諸々スキルと動きを調整してくる」そういって、研究棟に行った。
「ドール下の訓練場で少し訓練しない」
「はい、お相手します」
ヒューイとドールは地下の訓練場に行き、魔族との戦いで色々ジンから付与された能力を再度確認しながら、激しくも高度な模擬戦を繰り広げた。
3時間ほど模擬戦をしてもお互い決着を見る事ができず引き分けで切り上げ、ヒューイは1階のお風呂に入って着替えてリビングのソファーに座ってサバランとコーヒーを飲んでいると、キッチンのカウンター下の次元扉からジンと2体の人型ゴーレムが現れた。
「マリア、我々の家族を紹介しよう!こちらがヒューイ、神龍だよ。そして君の先輩にあたるドール、ドールから色々教わってこの家を守ってね」
「それからジョン、君は先ほどまでいた『研究棟』の警備だよ。何かあれば、俺とヒューイに直ぐに連絡できる様にしてあるからね」
「ぱぱ、二人とも時と場合によってはドールの様に私達と念話できる様にした?」
「勿論、普段は”マリア”は女性言葉が出るし、念話もできる。”ジョン”は男の声で言葉も男性言葉で念話できる様にしたから」
「「ヒューイ様、ドールさん今後ともよろしくです」」と二人は同時に腰を折って挨拶した。
「よろしくね、マリアとジョン。私があなた達の名付け親よ」とヒューイが自慢げに言った。
「そうですね、ジン様のネーミングセンスは甚だ悲劇的ですから」とドール。
「ドール、マリアにコーヒーの入れ方を教えて、僕にもサバランをくれるかな」
「わかりました、マリア一緒に来て覚えて」
「はい、ドール先輩」
マリアが入れてくれたコーヒーを飲みながらケーキを食べていたら3魔女が帰って来て、2体の人型ゴーレムを見て驚いている。
「3人に紹介するよ、こちらがマリアでドールの手伝いとこの家のガードウーマン、こちらがジョンで研究棟のガードマン。二人ともドールと同レベルのことは全
て同じ様にできるし、魔法も『魔導銃』を体内に携帯しているので殆ど全ての魔法を放つ事ができます。俺たち6名の命令しか動かない様になっているから安心してね」
「それじゃ、今後はマリアが食事やお茶を入れてくれるのね?」
「一応ドールと一緒に動きますけど、基本はそうですね」
「今後3魔女さんがたが買い物等どこかに行く際はドールが護衛役で必ずついて行く様にしますから、俺にはヒューイがついてくれるので・・・」
「私たちもそうだけど、ジン君に護衛など要らないわよ」
「勿論3人にも今じゃ必要ではないですが、ドールが入れば念話で俺とも連絡が取れますから」
「そうね、魅力的な女性が3人だと襲われる危険が多そうだから」
「襲った人を殺さない様にしてください」とジンがおどける。
ジョンを研究棟に帰して、夕食の準備をドールとマリアが始めた。
「イリーナさん、”魔女の道楽”はどうでした?」
「ええ、順調に売り上げも推移して補給魔道具も置いて来たし全く問題はないは」
「それは良かった!」
「ハリス公爵がちょうど市内巡回でお会いして、たまにはキースに皆で公爵邸に泊まりに来てくれと懇願されたわよ、何でもお嬢様がジャン君とお話がしたいらしいわよ、イザベラがふくれっ面でそれを聞いていたけどね」
「おかあさん、余計な事言わないでよね!」
「あら、本当のことじゃない」
「そろそろ湯ご飯だから俺は先に風呂に入ってさっぱりしてくるよ」
「あらあら、ジン君は女性の話になると直ぐ逃げるわね」そう言いながらイリーナ達もお風呂に入るべくそれぞれの部屋に向かった。
異世界仕様のタブレットが俺を最強へと導く @homma3104
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