少女は約束の地で新たな力を手に入れ、運命の絆で結ばれる

 西暦2350年のアクアリアこと地球にある「陸上宇宙港・ALICE」にインターンとしてやってきた中学生、松木渚珠(まつきなみ)。控えめで悩みを1人で抱え込みがちだが、内に秘めた意志と能力は人一倍の彼女が、同年代の仲間たちと共に一人前のスペシャリストとして成長していく物語です。
 本作の世界は地球に住むこと自体が夢のような出来事であり、コロニー等で厳しい暮らしをしていることが端々で語られています。だからこそ、渚珠がアクアリアの自然に触れる喜びが実感を持って伝わってきます。
 そして、渚珠や同僚たちがALICEに赴任することが許された意味が明かされることで、人類再生にかけた先人たちの思いが彼女たちにまで繋がっていることが分かり、さらに絆が深まることになります。
 陸上宇宙港での仕事についても専門的な描写まで踏み込んで書かれており、臨場感を持って伝わってきます。
 今後の渚珠たちの成長と人類の行く末をじっくりと見守っていきたいです。