第22話 別れそして再会
唖然とララを見ていると僕に声をかけてきた者がいる・・・
「よう!」
あ。窓の方を振り向いたらヴァイスがいた。
「もう、僕を置いて何をしていたんだ?」
つい文句が出てしまう。それだって言うのに、
「おやあ??そこにいるのはララかぁ?俺という者がありながら、他の奴を寝台に連れ込んでいるとは!!」
だって!!
ええ?僕は慌てて手を振った。
「人聞きが悪いから、やめてくれない?」
ヴァイスは腹を抱えて笑っている。
「ほう、ララがねえ?」
おわっ、魔王が僕の後ろに立っていた。
「もう、うるさいわねえ。」
ララがベッドから起き上がってこっちを見た。ふわあっと大きなあくびをして、
「あら。ヴァイス、魔王様まで?」
のんきに目をこすりながらそんなことを言う。
「さて、冗談はさておき、オーリ、さっさと行くぞ。」
「どこに?」
「・・・船に戻るもよし。先に渡っちまうのもよしってとこかな。」
僕は数ヶ月前のことを思い出した。
「きっと心配してるよね。」
「ああ。」
「じゃあ、船に戻るってとこが無難かな。」
「時間をゆがめるか・・」
魔王が聞く。
「そういうことになるな。」
「最初にそう言っていたから、ちゃんと用意はしているぞ。」
あれ?
「時間をゆがめるって?」
「空間魔法の進化形だな。」
「そうなの?」
「あら。多分あんたも・・もう・・やればできるんじゃない?」
ララも起き出して話に入ってきた。
「空間をゆがめる・・・時間もゆがめられる?」
僕が考え込んでしまった脇で3人は、ああでもない、こうでもないと話し合っていたようだ。
「オーリ様、」
アルファさんの声ではっと我に返った。
「お帰りになるのだそうで。」
「はい。ヴァイスが迎えに来てくれましたから。」
アルファさんは僕に小さいバッグをくれた。
「ん?」
「何でも入りますよ。時空魔法で作りましたから。」
「お。いいもんもらったな。これで俺とはぐれても大丈夫だ。」
「はい。食事も一ヶ月分くらいは入っていますから。服は・・・今のところいらないとは思いますが、何着か入れておきました。」
「あ・・・ありがとうございます。」
「服を選んだのはあたしだからね。感謝しなさいよ。」
ララがあくびをしながら言う。
僕たちは魔王とアルファさん、ララにいとまを告げた。アルファさんが杖を振った途端・・
うわあああああ。たこの脚!!!かけらと共に船の上だった。
「なんだ?今の声は?」
ガヤガヤと近づいてくる足音。
「白い鎧!!」」
「まさか、オーリ様?おい。だれか、ジェン様を呼んでこい。」
ぼ~っとしていたら、ジェンさんがやってきた。
「オーリ様、無事で!!!」
どすんと抱きつかれて後ろに倒れる。
「いたたたた・・・・」
「す、すみません。もうお会いできないかと泣いていたところでしたので・・うれしくてつい・・・。」
ジェンさんが慌てて離れる。
「今はいつ?」
「はい?」
「えっと・・・たこ・・魔物が襲撃してからどのくらい経ちました?」
「一刻ほどでしょうか。でも、今までどこにいらっしていたんですか?」
「あ・・いや・ちょっと格闘を・・・」
「していたのは報告で分かっております。」
・・・
『気を失っていたって言え。』
「あ。ちょっと気を失っていたので、気がついたらここに・・・」
『さっさと部屋に戻らねえとぼろが出るぞ』
「すみません。少し疲れたので。休みたいのですが。」
「ああ。失礼いたしました。」
ようやく解放されて部屋に戻った。
と、ノック・・
「はい?」
「お風呂にお湯をと思いまして。」
「かまわないでください。」
ジェンさんだ。
「でも・・・」
「疲れていますので休みたいのです。」
真夜中だったんだから、眠いんだよ。
『おい、今寝ると夜眠れないぞ。』
『今何時なの?』
『知らん。』
「すみません、今何時ですか?」
「かれこれ夕食時です。せめて夕食を召し上がってからお休みください。」
いや。夕飯はたくさん食べたんだが・・・・
なかなかに粘るジェンさんを撃退しようやく布団にダイブした。
「ああああもう、この鎧、脱ぎたい!!」
脱げない鎧とドラゴンと僕 猫山 @moimoi2017
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