第21話 ララと僕

結局当たったのはもう薄暗くなる頃だった。お昼を食べ損ねた。お茶も途中だったし・・・お腹がきゅうっと音を立てた。

「おや。もうこんな時アルファさんはアルファさんは優雅に懐中時計を見ているけど・・振り向いたらもうララはいなかった。

「我々も食事に向かいましょうか。」

移動は一瞬だ。 僕ももう連れて行ってもらわなくても自分で移動できる。


食堂に着くともうララは優雅に食事を始めていた。楽しそうに魔王と話をしている。

「あら。ようやく当たったのね、おめでとう。」

「見ていたの?」

僕はどさっと椅子に座り込みながら聞いた。

「そうね。」

「アルファ、全然戻ってこなかったではないか。」

「はい。大事なところでしたから。で。魔王様。お渡しした書類は終わらせていただけたのでしょうね?」

「・・・う・・・ごほんごほん・・・」

・・・・・

・・・・・

哀れ魔王は食卓に並んだごちそうを前に書類の決裁をすることになってしまった。

「これが終われば食べられますよ。」

食事する僕たちを尻目に書類に目を通し、サインをしていく魔王。

アルファさんはすました顔でおいしい食事を続ける・・・・

「なあ、」

「だめです。」

「ちょっとだけ・・・」

「あと何枚ですか?」

・・・・・



食事の後、部屋に戻ろうとする僕を魔王が恨めしそうに見てきた。

「お先に」

「・・・・お休み・・」

「あ。そろそろ僕、」

「ああ。明日あたり・・な。」




その夜、寝る前に窓から星空を眺めていると、不意に目の前に人影がよぎった。

思わず目をこすって見直したら、

「ちょっと。」

「ララ、ここ3階だぞ。」

窓の外にララが浮いていた。

「入れてくれない?」

「こんな夜に?」

「気にしない気にしない。」

いや、気にするよ。

ララは部屋に入ってくると、僕のベッドにどさっと座り込んだ。


「きっとあんた、明日あたりお迎えと一緒に行っちゃうと思って。」

「なんで分かるの?お迎えって?」

「あら。気がつかなかったの?毎夜ヴァイスがちゃんとあんたのとこに来てたわよ。」

え???

初耳だ。おまけに気がつかなかった!!!

「本当?ヴァイスが?なんで僕に声をかけないんだ?」

「そこはヴァイスに聞いてよね。」

「ララは何で知ってるの?」

「この前、魔王様と一緒にいるとこに出くわしちゃったのよ。で、内緒だぞって。」

「夜?」

「真夜中ね。」

何でそんな時間に?


ララは笑った。

「気にするとこ、そこ?」

僕のベッドにごろりと横になり、ふわあとあくびをする。

「ちょっと、そこ僕のベッド。」

「けちくさいこといいなさんな。どうせそろそろヴァイスがやってくるわ。」

僕は椅子から立ち上がり、窓のところに行った。ララが入ってきたまま開け放されている窓。爽やかな風が部屋に入ってくる。

カーテンだけを閉めララの方を向くと、もう彼女は寝息を立てていた・・・・・

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