第20話 いや・・・なきたいよ・・
炎は相変わらずちょぼちょぼだけど、思ったところへぶつけられるようになっていた。
「ちょぼちょぼの炎はどうにもならないのかな・・・」
つぶやいた途端にララが現れた。
「うわっ。」
思わず声が出た。
「ちょっと、何よその声。」
「いや・・・突然前に出られたら心臓に悪いよ。」
僕はため息をついた。
「で、何の用?」
「あら。用事がなくちゃ来ちゃいけないの?」
「・・・」
しばしの休息。ララが入れてくれたお茶を飲み、お菓子をつまむ・・
「あんた魔力だけは人一倍あるんだから、回数こなせばいいのよ。」
「ん?練習しろってこと?」
「馬鹿ね。続けてたくさん出せってことよ。」
ララは楽しそうに扇で自分を扇いでいる。散りばめられている宝石がキラキラとまぶしい。見るともなしにキラキラの行方を目で追ってしまう。きらめきが尾を引いているように見える・・・ん?
僕は炎が尾を引くような動き方を頭の中で考えてみた。
「そうか。」
僕はお菓子を器の戻し、再び池に向かった。
まず、2つの炎を出し、一つはいつもの的へもう一つは尾を引かせてきらめかせながら的に向かわせた。
どん、と言う音と煙の後に尾を引いてきらめくもう一つが当たる・・・ シュドッ・・
「あら。」
「うん。」
尾を引く奴がもっと速ければ・・・そして次々に発射できれば・・・交互がいいのかな・・・
僕があれこれ試している中、ララは一人優雅にお菓子とお茶を楽しんでいるのだった・・僕の分のお菓子、まだ少しあるよね?
続けて20発くらい撃てるようになった頃、またもやアルファさんが現れた。
「おお。なかなかいいですな。そろそろ広いところで的に向かいましょう。」
と言った途端、目の前の池が広々とした湖に変わっていた。湖の向こうに揺れる的・・・
「あの・・」
「はい。あそこを狙ってみてくださいね。」
小さい・・・おまけに揺れている・・
後ろを振り向いたらララが扇を優雅に振っていた。
「頑張ってねえ。」
・・いや。無理だろ・・
結局当たるまで何回もダメ出しされながらやる羽目になった。
「ほら、甘いですよ。」
「いや、あの的逃げているよね?」
「おや、よくおわかりで。」
よく見れば、あの船上で見たにょろにょろしたモノが的を支えているようだ。
「たこ?」
「あれくらい打ち落とさねば、爆煙のオーリ様が泣きますぞ。」
いや。それを言われたらすでに泣きたいよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます