神様……!

これは聖女と呼ばれた後魔女と呼ばれた少女のお話


ドーンと響く大砲の音に人々の悲鳴。私は耳を塞いでいた。その音は隣国が私が住む国へ攻め込む音だった。もう何年も続く戦争。それはまるで地獄のように……私は神様に祈った。どうかこの地獄が終わりますようにと。するとある声が聞こえてきた。「優しき乙女よ……貴女がこの戦を終えるのです。さぁ王太子のところへ」


私はまだ16歳の子供で王太子に会える訳もなくただ立ち尽くしていた。それでもあの声は……あの言葉は神様のもので違いないと考えていた。兵士になんとか会わせて貰えるよう頼み込みようやく王太子に会わせて貰えることになった。


「初めまして王太子様。さぁ軍の再編を。まず救うは首都です。これは神の思し召し……貴方様のために必ず勝ちましょう。だって貴方様は祖国の希望ですから」

「君は一体……何者なんだ」

「……ソフィアと申します王太子様。」

「ソフィア……君なら勝てるのか?君なら……」

「必ず勝ちましょう。」そう言って私は再編された軍の先頭に立った。祈りで戦は終わらない。私は神様に導かれるまま自分の意思でこの手を……この手を血に染めた。



私は王国軍を率いて敵を蹴散らして行った。陥落寸前の都市も解き放ち目指す先は聖都バルジリンナ。大聖堂での戴冠式を!


溢れる光。そして天使の祝福 それを知らせるように教会の鐘が甲高く鳴り響いた。でも影がさした。予感はあった……裏切り者が……【ユダ】が潜んでる退路は閉ざされた


鎖や牢屋それらでは私は縛れないきっと「奇跡が私を救ってくれる……!」いつの頃からか私は神の声が聞こえなくなっていた。「この声は……一体誰……誰なの!?」


幻想にしがみついた挙句全て失ってしまった……私は刑台に乗せられ火を付けられた。


熱い……苦しい……お母さん……お父さん……神様っ……どうして……私は貴方の言う通りにしたのにっ……!

「神様っ……助けて……!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少し不思議な物語たちの声 華柏(こはく) @kohaku_1105

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ