転生したら乙女ゲーのモブでした!なのにイケメン王子に求愛され困っています
秋月美咲子
プロローグ
「……ラ様……」
どこか遠くで誰かが呼ぶ声が聞こえる……
◇◇◇◇◇
私は大手商社の総務部に勤めている。
春の人事異動で数百人異動するため、その手続きに毎日追われていた。
ほぼ3月から休みなしで働いていた。
この人事異動で私の直属の上司も異動となってしまい、目が回る忙しさで3月が過ぎ4月になった。新しい上司が着任するはずだった……するはずだったのに、心を病んで一日も出勤せず、上司の仕事まで請け負う羽目になった。
そんな私は睡眠不足と過重労働で通勤途中に倒れてしまい、運悪く車に引かれてしまった……
ん?
まって?車に引かれたはず……
◇◇◇◇◇
呼ばれる声に起こされるように目を開けると、心配そうにこちらをのぞき込む両親の顔があった。
「お……おとうさま……」
ん?お父様って?
私は古典的な日本人だからうちの両親も古典的な日本人のはず……
「おおおお!マリアネラ!」
「マリアネラが目を覚ましたわぁ…」
「お嬢様、痛いところはございませんか?」
周りが口々に色々な事を言っているが、明らかに日本人ではなかった。
え?一体どうなってるの?
でも、目の前にいるのは私の両親だとなぜか理解できる。
マリアネラ・ヘンゼリッツ侯爵令嬢で齢10歳
翡翠色の瞳に少しピンクがかった金色の髪は私のお気に入り。
ん?あれ?私って漆黒の髪じゃなかったっけ?
ここってどこ?
「……ここってどこ?」
うっかり思っていたことを口に出してしまったらしい、母が目を見開き泣きそうな顔をしている。
「誰か!誰か早く主治医を連れてくるのだ!!」
ヘンゼリッツ侯爵は、執事長に主治医の手配をしているようだ。
私は混乱のまま、また意識を失っていった……
転生したら乙女ゲーのモブでした!なのにイケメン王子に求愛され困っています 秋月美咲子 @marea_nela
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