第7話

 勇気を出して、温森さんに一緒に帰ろうと誘い、オッケーしてもらった。


 帰り道、周りに誰もいないことを確認し、意を決して告白した。


「温森さん!俺、温森さんのこと好きなんだ!」


 温森さんは、突然でかなりびっくりした様子だ。


「あの…それは本気ではないよね?何かのゲーム?」


「は?ゲームとか、何で?俺、真剣に言ってるけど、伝わってない?本気だよ。」


「だって、夏河くんみたいなモテる人が、私を好きだなんて絶対ないから。」


「え?何で?」


「だって私、太ってるし可愛くないし暗いし、好きになってもらう要素全然持ってないよ。」


「いやいや、温森さんは可愛い!太ってていい!俺は温森さんがタイプなんだ。」


「そんなの信じられない。」


「信じられないって言われても…。それは…困った。俺、そんな変なゲームとかで温森さん騙して喜ぶタイプに見える?」


「見えない…。」


「じゃあ何で?信じてくれないの?」


「夏河くんを信じられないんじゃなくて、私に自信がない…。」


「そんなの俺だって無い!」


「ごめなさい…。」


え?ごめんなさいって、まさか…。


「あ、ごめんなさいって、そういうんじゃなくて、私も本当は夏河くんが好きなの。でも、イケメン過ぎてちょっと無理って思ってて。

 好きになったのは、性格というか…。

 夏河くんは太ってる人が好きなの?で、私?」


「じゃなくて…確かに最初は見た目から入ったけど、温森さんの優しいところとか、きちんとしてたり、絵が上手だったり、後輩に優しくて全然偉ぶってないところとか、もう全部が好きだよ。もし温森さんが痩せても、気持ちは変わらないよ。」


「嬉しい…!私も夏河くんの、人の文句を絶対言わないところとか、何でも全力でやるところとか、さりげなく優しいところとか、先輩・後輩関係なく仲良くしてるところとか、そういう所がいいって思って…やっぱり私も全部好き。」


へへへ。

ふふふ。


と二人で笑い合った。


 その後、俺と温森さんが付き合うことになって、皆がそれを知った時びっくりはされたけど、5年生の時のような意地悪をする人はいなかった。


 好きになる基準、見てるところは人それぞれ…ですよね?


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恋愛基準 ニ光 美徳 @minori_tmaf

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