今年一番ハマってる作品!毎日の楽しみです。

 カクヨム初レビューです。
 作品の面白さ、クオリティに対して評価が追い付いていないと感じてレビューすることにしました。

 『畑に羊がなる』『突撃すると人が飛ぶ』『他人をロープで縛って自動車より速く走る』

 展開は真面目で、きちんと国家の育成をし、戦争をしています。
 しかし、読んでいて噴き出してしまうギャグマンガみたいな展開と、それを当人達が真面目に行うアンバランスさ、それでも破綻しない展開が待ってます。


 結論からいえば、非常に面白く、忙しい毎日の楽しみ、癒しとなっています。
タイトルやサブタイトル、最初の書き出し数話で受ける印象を覆す良作です。

 ぜひある程度読んでみてください。
 第一印象など吹き飛び、キャラクターや世界観を知ったあとなら、すべて楽しむことができます。



 以下、非常に長いレビューとなっております。

 基本的に読まれる必要はなく、レビューを読むくらいなら本編を読んでください。個人的に感じた本作の面白さ・すごいと思うところを記載してみました。
 ただし、これがあるから面白いのではなく、本作をどうして毎日楽しみにしているのか、その自己分析を綴ってみたくなりました。



 チェックしている作品の更新に追いつき、新規開拓をしていたところで本作を見つけました。
 読みはじめは簡易な1人称の文体です。
 題材としては、書籍版『オーバーロード』と相当似てます。やりこんだゲーム世界への転生で、ゲームはRPG・戦略ストラテジー・シミュレーション。
 よくありそうな設定だと思い、たいして期待せずに読み始めましたが、読むほどに作者の文章力・表現方法の豊かさを感じ、次第に先を読むことへの楽しみが増えていきました。

 文章が読みやすい。
 主人公視点は、キャラクター故に崩した口語でト書きも含めて書かれていますが、キャラクターごとに特色を持たせて文体を使い分け、語彙力・表現力と使い分けがしっかりしています。

 キャラクターが良い。
 各キャラクターに個性があり、味方のみならず敵方にも愛すべきキャラクターが多数います。数百キャラクターはくだらない数が登場しており、いかにもなやられ役も当然いますが、それはそれで人気投票をすれば確実に得票がある、そんな魅力的なキャラクターばかりです。

 文章が面白い。
 キャラクターとともに、とても大事な要素です。展開としては、意識してか、設定が似ているが故かわかりませんが、『オーバーロード』に相当酷似しており、攻略・調略までもが似ています。
 しかし、その中で、この作品のオリジナリティがしっかりと発揮され、各キャラクターが生きており、何より読んでいて面白い。これは素晴らしいことだと思います。カクヨム、なろう、その他Web小説は、時期によって流行りがあり、似たような題材・展開にあふれています。それは、お題を出されて、それにそって作品を書いて、その中で差別化がなされるものです。設定や展開を既存のヒット作に近いものにすると、ほとんどは劣化版となってしまう中、本作品は作者の文章力やユーモアがあり、まったく違う味付けとなっています。
 これは本当にすごいと感心するもので、既存の投稿作は読ませていただきましたが、これも面白く、作品を経るごとに、話数が進むごとに、文章は面白くなっていっています。仮に本作のほかに別作品を連載されたら、是非読ませていただきたいと思います。

 説得力がある。
 本作を読んでいて感じるのは、世界観や設定がしっかり作りこまれており、破綻していないことです。それ故に、元になったゲームについてもっと知りたい、もしこんなゲームがあるならプレイしてみたい、といったワクワク感があります。最強主人公系のものは、ご都合主義的展開を余儀なくされますが、その設定の範囲や出し方をうまくやらないと、ただの他人の妄想になってしまいます。そんな作品でも、キャラがよかったりすれば面白く読めるのですが、本作はその塩梅が非常にうまいと思います。
 いったいどんなゲームなんだろう、ゲームだからこういうことかな、それなら今後はこうなるだろう、そんな想像を掻き立て、議論をするのが楽しめる。実際に作品世界が存在しているわけではなく、作中のゲームも存在しません。きっと作者様の頭の中でも、そこまで細かな設定が最初からあったわけではないでしょう。それでも、破綻せずに、作中世界とゲーム世界が実在しているのではないかと思わせてくれてワクワクします。
 また、戦争ものなのにほとんどキャラクターが退場しない。私は普段、これをマイナス評価にしています。戦っているのにキャラが死なないことの不自然さが気になり、ご都合主義感が強くなってしまいます。しかし本作は、主人公達の目的、手段、力量などから、きちんとキャラクターが退場していかない(一部退場者はいますが)、その理由が明示されています。

 バランス感覚。
 本作は、戦争による領土拡大を主軸においていますが、コミカルなシーンも多く、思わず吹き出してしまうギャグも多分に含まれています。
 重くなりすぎず、適度に脱力させてくれる。そして文章が読みやすい。
 このバランスが良いため、休日も、仕事で忙しく疲れている日も、日々楽しく読むことができます。

 他、細かく書き出せばきりがない魅力がありますが、総じて、先を読むのが楽しく、読み返しても面白い、個人的に今年一番楽しみにしている作品です。



 以下、読者による感想やレビューの範囲を超えた、作者様の作品に対する横やりという自覚があり、記載するか悩んだことを書かせていただきます。理由は、本作品は、少し読めば気づく面白さが伝わらないままになってしまうのではないかという不安と勿体なさを感じているためです。
 あくまで、たかが1人の読者の意見ですし、自分自身の作品、それも商業的成功を目指したものではなく趣味でやっていることに口出しされる不快感も十分想像できますので、先に余計なことを言ってしまう非礼をお詫びさせていただきます。
 また、この場を借りて、皆が読み飛ばしている誤字脱字の指摘を多数していること、作品の完成度の一助になればという思いもあり行っていることではありますが、余計なことをしており粗さがしをするようなことになっている点、お詫びさせていただきます。


 本作について、作品タイトルと1話サブタイトル、ト書きで「俺」が出てくるという書き出しは、作品を知った後なら納得のもので、面白さもありますが、作品の評価に大きなマイナスをもたらしていて非常に損をしていると思っています


 情報過多で、見出しだけでニュースを消費していく社会。
 無料で無数の作品が泡沫のごとく消費されているカクヨムにおいて、思春期のノートに書き綴ったような作品にあたった時の疲労感は誰もが経験していると思います。
 なので、数多ある作品の中からたまたま目にとまってページを開いてもらい、気が向いて1話目を開いても、書き出し数行を秒で読んでページを戻っておしまい。面白い作品を見つけるために1作品についやす時間は、分や秒の世界になったと思います。

 買った書籍や一定以上の評価がある作品であれば、そのうち面白くなるだろうと、忍耐力は増します。
 それでも、作品を多くの人に読んでもらうためには、ニュース記事のごとく、見出しと、書き出し数行がいかにキャッチーであり、また、不本意なレッテルを貼られないかが大事だと考えています。
 その点で、本作品は非常に損をしていると思います。
 しかし、既存読者としては、現在の1話は、これで完成されたものだと思います。
 そこで、0話として、世界観の説明とかキャラ設定、時系列にそった記載ではなく、作品の魅力や、中盤あたりの展開など、作品の魅力・特徴を凝縮し、その展開にはどうやって至るのだろうという好奇心をくすぐるような話を挿入する。たとえば大国との合戦スタートシーンの描写など、少し未来のお話を瞬間的に先取りするなどがあると良いのではないかと思います。
 重ね重ね、余計な口出しかと思いますし、本作は十分すぎるほど面白い作品ですので、真に受けて執筆に影響がでないことを願いますが、本作の魅力をより多くの人に知って頂き、それが創作の原動力につながればと思い、差し出がましいことを記載いたしました。