舞台は徳川綱吉時代の江戸。刀を打たない刀鍛冶と、最後の白拍子の少女の出会いから物語は始まります。刀鍛冶には語らぬ過去があり、少女も刀が必要な理由があるようです。花魁や、髪結いの女性など、他の登場人物もしっかりと自我を持っていて魅力的でした。怪しげな人斬りも登場し、続きが気になります。正直、江戸時代に白拍子と聞いた時にはどうなのかと思いましたが(平安時代のイメージが強いため)、読んでみると違和感なく、戦闘に舞いを取り入れた描写も華があって良かったです。
謎の武術の使い手、白拍子のまつり。刀を打ちたくない刀鍛冶。そして絵に描いたような悪いヤクザに、殺人狂の用心棒……。これぞ時代物の王道・オブ・ザ・王道!スカパーの時代物専門チャンネルで放送しててもおかしくない。文体は時代物らしい雰囲気をかもしつつ、初心者でも読みやすい平易なもの。いままで「時代物ってなんか古臭いし、読みにくい」と敬遠していた読者にぜひ触れてほしい一作。