第4話
7月5日 - 内閣府特命担当大臣(防災・東日本大震災復興担当)・松本龍が、7月3日に被災地視察を行った際に地元首長などに行った言動が不適切であったとして引責辞任。後任には平野達男(内閣府副大臣)が起用された。
小田林カヨが亡くなった。あんなにはしゃいでいた人が亡くなってしまうなんて。私は少し悲しい気持ちになった。
看取りが終わった後に、介護士仲間と看取り介護の感想を話しあった。辛かったことや嬉しかったこと、生前のカヨの様子などをスタッフ同士で話すのは、お互いにとって癒やしになった。
2歳年上の
「公香ちゃんのおばあちゃんはご存命なの?」
「両方とも亡くなりました」
母方の祖母の介護が起因となってヘルパーを志した。だんだん衰えていく祖母を見てるのはつらいものがあった。
この日の夜はひどい雷雨で徒歩通勤の私は、敦史に送ってもらうことになった。
彼の車はピクシスっていう軽自動車だ。
エンジンが丸いボタンを押すと起動する。
最初は蒸し暑かったがだんだんクーラーが効いてきた。
赤信号で停まったとき、敦史はさりげなくキスをしてきた。
雷雨、敦史車で送っていく途中にキスして恋に落ちる。圭佑との汚れた絆を思い出し後ろめたくなった。
7月16日
舞鶴若狭自動車道 小浜西IC-小浜IC間開通。
阿南安芸自動車道日和佐道路 小野IC-由岐IC間開通。
私は夜、敦史のアパートに出かけた。
家で念入りに脇の下のムダ毛処理をして、つい最近買ったプラダの靴を履いて家を出た。
私はピルを飲んでいたので中出ししてもらった。
7月18日
2011 FIFA女子ワールドカップドイツ大会決勝戦で、サッカー日本女子代表がサッカーアメリカ合衆国女子代表に勝利し、初優勝。
夜、アパートでニュースを見ながら、私はなでしこってスゴいなと思った。ビールが飲みたくなり、サンダルを履いて近くのコンビニに向かった。
マンガを立ち読みしてる男をマジマジと見た。
「もしかして、菅田君?」
「薄井さんじゃん。まだ、三宮にいたんだ」
「いたら悪いの?」
彼の左手薬指に目をやった。真新しいマリッジリングが光ってる。
「あれ、結婚したんだ?」
羨ましい限りだ。
「うん。薄井さんは?」
「まだ」
私は圭佑とのセックスを思い出していた。この間のじゃなく、大学時代のだ。場所は神戸の外れにあるラブホだ。悪くないセックスだ。
私は菅田の携帯番号を聞き出した。
7月19日
大相撲名古屋場所10日目大関 魁皇博之が現役引退、通算勝利記録1047勝で歴代1位だった、年寄浅香山を襲名。引退相撲は2012年5月27日に両国国技館で開催された。
仕事帰り、居留地のレストランで敦史とディナーをした。セロリを残そうとしたら、「お百姓さんに失礼だろ?」と叱られた。
敦史の実家は農家をしてるらしい。
「昔からダメなんだ」
苦笑してワイングラスに口を運んだ。
敦史が頼んだパスタが来た。彼はボーイに取り分け用の皿、フォークやナイフを用意させ、パスタを取り分けた。まるで父親みたいだ。
店内では尾崎豊の『シェリー』が静かに流れていた。
尿意を覚え、トイレに立った。
スマホを見ると菅田から着信があったようで、留守録が残されていた。留守録を再生した。
『やぁ、公香ちゃん。何か急に会いたくなっちゃった。電話待ってるよ』
7月20日 - 台風6号、徳島県に上陸。四国(高知県・魚梁瀬)で過去最多の1100ミリ超を観測するなどした。
私は敦史に見つかるのを恐れ、午後8時に菅田を南京町のカラオケボックスに呼び出した。
私は去年流行った西野カナの『会いたくて会いたくて』を歌った。精密採点の結果は69。低い、いやらしい。
菅田は私に5000円札を渡した。
私は菅田のものをしゃぶってやった。
2時間コースで外に出るとオレンジ色の満月がこっちを見ていた。
オレンジ色の月 鷹山トシキ @1982
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