五月雨の朝露

ぽつ、ぽつ、ぽつ、ぽつ

小さな雨音が少しづつ窓の張り付いてくる。

小さな粒が跳ねるようにピチョ、ピチョと窓に落ちては鳴り、窓に落ちては鳴る。

段々と音が大きくなり雨粒が数えられなくなる。

サーサーサーサーピチョポチョ、ザーザーザーザー

それは心地よく、家の中から眺めるその様子は心のモヤモヤをすべて洗い流してくれるみたい。

金物に当たって、幻想的な曲を奏でだす。

サササーコツンサササーコツンピチョン

全て流してしまおう。

ほら耳を澄ませて。ただ、音に身をゆだねる。

あなたのところは安全地帯。

外はザーザー中は音もないただの空間。

貴方の心もきっとそう。

外は泣いても、心の奥の奥を見てみるとじとじとなんかしていない。

あなたはきっと守られる。

何がしなだれてきていてもあなたの奥はずっと静かな音のない世界。

ササッピチョンビシャビシャビチャビチャ

そよとの風を受ける雨、そぼ濡れる窓

音の違いだけを私は聞こう。

そうすればいつか雫は慈雨になる。

カチョンピチョントトツピチョン

ほら、外も中も静寂

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

文章asmr 珊瑚水瀬 @sheme

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ