終末世界を旅する子供

※二章『叫んで五月雨、金の雨。』まで読んだ時点での感想です。

 母を亡くした兄妹が、どこかにいるはずの父の足跡を追って、終末世界を旅するお話。

 崩壊した後の世界を描いた、いわゆるポストアポカリプスものSFです。

 ただこの「終末世界」に関しては、(少なくとも序盤に関しては)どちらかと言えば舞台装置としての色味が強い印象。
 つまり少年少女が何かを求めて広大な世界を旅する、いわゆるジュブナイルファンタジーの味わいがあって、そこが大変に好きなお話です。

 崩壊したはずの世界は、しかし荒廃しきっているのかと思いきやそうでもないようにも見えて、その謎めいたところに非常に惹きつけられます。
 主人公たちにはまだ見えない、この世界の全容や崩壊の真相。
 それらSFとしての魅力がまだ先に待ち受けているであろうところも素敵な作品でした。