第24話
エルの影響を受けた冒険者たちは軒並み強くなった。
今まで苦戦していたモンスター相手にダメージをあまり受けずに討伐できたり、盗賊相手に苦戦することなく捕縛ができたりと、活躍していた。
これを受けてギルドマスターであるカイリは強くなった冒険者たちのランクを一つずつ上げようか悩んでいた。
なぜ悩むのか。それは、一つのギルドで一斉に冒険者ランクが上がることなど、通常ではありえないのだ。
あるとしたらスタンピードを攻略したり、イレギュラーモンスターを討伐したりと、その町の冒険者たちが協力して何かを成し遂げた際にのみ発生するのだ。
今回のケースはほとんど発生しないので、冒険者ギルドの本部から不正をしていないかの取り調べなど、面倒くさいことになる予感がしていたのだった。
そのためにカイリは悩んでいた。
エルが成し遂げたことは大きかったため、エルの冒険者ランクは上がることが確定していた。そのため、大事にしたくないのである。
エルにとっては初めてのランクアップだ。そのため、しっかりとランクアップした実感をかみしめてほしかったのだ。
当の本人はランクアップするなんて思っておらず、また、エルの影響を受けた冒険者たちは、エルのランクアップと共に自分もランクアップするという可能性があることに気が付いていないのであった。
受付嬢たちは、ワクワクしていた。それは、自分の担当が決まっている受付嬢は担当冒険者がランクアップすれば、自身の給料がアップするからだ。また、担当冒険者がいない受付嬢は、初めて担当冒険者を受け持つことになるかもしれないからだ。
冒険者に専属受付嬢が付く条件は、特定の冒険者ランクになるか、冒険者ギルドがみて不安が残る冒険者につく。
これは手続きをする際に問題がなかったや近況の報告をしてもらい、ギルドや冒険者たちの問題がないのかを確認するためである。
ギルドマスターの前ではこのワクワク感を持っていることを出さず、受付嬢だけがいるタイミングで出していた。そのため。ギルドマスターであるソウキョウは気が付いていなかった。
そして、ランクアップさせたらどの冒険者をどの受付嬢に着けるか悩ませることにも気が付いていなかった。
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