第2話
あの
その2日で3000人近くの人間が死に至った。
その驚異は大阪全体に広がり始め、多くの人々が大阪から他の地域へと移住した。
だが、俺の両親はそんなのただの迷信だと信じようとはしなかった。
俺の両親は2人とも頑固で夢なんてものを見ようとはしない人だ。
現実離れしたこの状況ですら、この2人からしたら夢であり、断固として信じない非現実に過ぎないのだろう。
だが、今俺たちの置かれている状況は、夢でも非現実でもない。どうしようもない現実なのである。
俺は2日前に見た全てを両親に伝えたが、そんな物は幻覚だと、相手にして貰えなかった。
俺は両親が嫌いだ。
両親は平凡な人生を過ごしその一生を終えることを人生の目標として掲げている。
その目標に誤算があってはならないとでも考えているのだろう。
両親と違って、俺は非現実を追い求める性格であり、平凡を嫌っている。
この両親から何故俺が生まれたのか、それこそが俺からしたら非現実的な話だ。
神なんて信じるな。迷信は迷信だと釘をさされて生きてきた俺の反抗期は、非現実を求め続けるというなんとも稀有なものである。
俺はこの反抗期を逃してしまうと両親と和解し、現実を見ることしか出来ない道を歩むだけになってしまうのは嫌なのだ。
それに、俺はあの人に.....
「はーい皆さん毎度おおきに、真大阪拡大班の美流野と申します」
突然テレビに美流野が写り、俺の思考が変わる。
「やっぱり2日やと、たいした侵略は出来へんもんやなー。まだ大阪の6割くらいしか真大阪になっとらん。あんまりにも遅いから一気に日本の半分くらいは真大阪にしよう思て事前放送したりました。こっちやと電波ジャックって言うんやっけ?まぁ、簡単に言えば日本のテレビ全部乗っ取りました」
美流野の発言に俺は困惑し、少し興奮気味にその一言をこぼす。
「来ちゃったよ.....侵略者.....」
その言葉に反応し、母が発する。
「全く、今のテレビはこんな現実味のない番組をしているのね。くだらない」
母はその長い髪をとかしながら、死んだ目でテレビを見つめる。
「お前の言う通りだ。こんなもので喜ぶのは子供とオカルトマニアくらいだな」
眼鏡のレンズを拭きながら父が母の意見に賛成する。
「相変わらず2人は現実主義者だね」
「なんだ?皮肉くらいもっと面白く言えないのか?日頃夢や非現実を説く少年にしてはユーモラスが欠けているな、我が子よ」
「それに、言葉で親に勝とうなんて非現実的だ。
これが我が家での当たり前だ。
俺が意見すると、父と母の2人からの倍返しが帰ってくる。
痛いところを常に突いてくる母とそこに追い打ちをかけ、いつもの「非現実的だ」という決まり文句を言う父。
いつも通りの親子喧嘩をしている俺達はこの時想像もしていなかった。
この数分後、日本が真大阪により壊滅するだなんて
大阪ブレイブ 白悟那美 破捨多 @tukimiko
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