第4話:誤解と未来

■めぐり サイド

次の日からも、私の悪あがきは続いた。いつかは彼女さんに返す時が来る。でも、その瞬間までは……

私の数少ない特技の料理で少しでも私を印象に残してもらおうと思ってます。


誠也せいやくんは本当にいい人。色々なことを丁寧に教えてくれる。彼に抱かれてみてこんな世界があったのかと初めて知った。


気持ち良すぎて何度も気を失いそうになったけど、そのたびに誠也せいやくんが気遣ってくれた。誠也せいやくんの手解きが無ければ何一つ知らなかっただろう。


例えば、膝の裏を舐められるとこんなに感じるという事は、一人では絶対に知ることはできなかったと思う。そんなところが気持ちいいなんて考えたこともなかった。


日々、誠也せいやくんの教えについて行くのがやっとだった。1回だけじゃなくて何度も何度も色んな事を教えてくれるけれど、キスだけは絶対にしてくれなかった。


やっぱり、本命の彼女さんがいて大事にしているみたい……


1か月間ほぼ毎日誠也せいやくんの家に行っているのに、彼女さんとは鉢合わせしなかった。誠也せいやくんが調整してくれているのか、昼間に会っているのか、遠距離恋愛なのか……誠也せいやくんが彼女さんと会っていると思うだけで心が壊れそうに感じていた。


そんなこともあって、つい居酒屋では美晴みはるちゃんに愚痴ってしまった。誠也せいやくんには本命がいて、義理立てしているからキスはしてくれないことを……


こんなことは二人の秘密だから、言ってはいけなかったかもしれない。お酒を飲んで口が軽くなっていたのかもしれない。


それを聞いたら美晴みはるちゃんの表情は真っ赤になって、個室に走っていってしまった。



■現在 居酒屋 誠也せいやサイド


「二股ってどういうこと!?めぐりちゃんはこんなにいい子なのにそれでも不満!?」



居酒屋で美晴みはるがトイレから勢いよく戻ってきたかと思ったら、俺の胸倉を掴みながら人聞きの悪いことを言った。


陽翔はるとも止めに入ってくれた。



「めぐりに不満なんて何もない」


「じゃあ、なんで!?誠也せいやくん二股でしょ!?」


「そ、そうなのか!?誠也せいや!」



何故、俺が二股していることになっている!?確かに2歳年上のヤツとは明確に別れ話はしていないけど、もう会っていない!



「証明できる!?」



美晴みはるも結構な勢いだ。それだけめぐりとの友情も厚いという事だろう。俺は急いでスマホを立ち上げて、元カノ(社会人2歳年上)にメッセージを打ち込んだ。



『すまん、俺と別れてくれ!』


『なにまだ付き合ってるつもりなの!?とっくにこっちが振ってるわ!』



すげえすぐ返事きた。これを美晴みはるに見せた。まあ、これはこれでダメージを受けたけど、背に腹は代えられない。



「……なんかごめん」



美晴みはるが謝った。ちょっと涙出そうなんだけど……未練とかじゃなくて……



誠也せいやくん、本当にめぐりちゃんだけよね!?」


「本当だ」



居酒屋の個室で4人とも立っている。何故か、美晴みはると対峙することに。



「めぐりちゃんのこと本当に好きなの!?」


「あぁ、好きだ!ずっと好きだ!」


「キスしないのも、変な性癖も二人のことだから何も言えないけど、二股だけは許せない!」


「二股なんてしない。さっき証明した通りだ」



居酒屋でちょっとした騒ぎを起こして恥ずかしくなって解散になった。


めぐりを家に連れて帰った。その最中たくさん話をした。俺はずっとめぐりが好きだったことを。めぐりもずっと俺を好きだったことを。ここで初めてお互いに誤解があることに気が付いた。


初めてのお互いの正しい気持ちが伝わった瞬間かもしれなかった。


今回の「お願い」にも誤解があることが分かった。俺は見知らぬ「好きな人」に嫉妬し続けていた。それが自分のことだとも知らずに。



「俺は高校卒業の時にめぐりに振られたのがショックだったんだ」


「ええ!?私、誠也せいやくんを振ったことなんてありません!」


「でも……」


「私が誠也せいやくんを振るなんて有り得ません!」



そうなのか?



「高校の卒業式の日に会いに行ったのを覚えているか?」


「はい、誠也せいやくんが教室まで迎えに来てくれくれました」


「あの時、告白に行ったんだ……」


「そうだったんですか!?」


「そしたら、めぐりが『これからは別々の道を進みますね』って……」


「あ、それは理系と文系ってことです。第一、大学だって同じですし」


「そういえば、そうだったな」



よく考えれば、俺はめぐりになにも告白していない。振られたと考えたのは、俺のネガティブな思考のせいか?


そう考えれば、俺とめぐりのこれまでは誤解の連続だったのかもしれない。俺もめぐりもそんなに多弁な方じゃない。これからはできるだけ多く意思の疎通を図るようにしよう。



***



家に帰ると、めぐりにシャワーを浴びさせた。その後、俺もシャワーを浴び、改めて万全の態勢でめぐりを抱くことにした。もちろん、最初にキスをした。


唇を重ねるだけの中学生でもするようなキスだったのに、めぐりは涙を浮かべて喜んでいた。


優しく抱きしめて、ベッドに誘導して、優しく抱いた。これまでみたいにライバルなどいない。「好きな人」に当て付けるようなセックスじゃない。


めぐりだけを見てめぐりを抱いた。もちろん、ゴムコンドームも付けた。彼女にばかりリスクを負わせるわけにはいかないのだ。


ちゃんとできたと思う。優しくできた。ちゃんとめぐりを大事にしたセックスだった。俺の横で裸で横たわるめぐりの頭をなでながらピロートークもした。全てに抜かりない。



「今までごめんな。ちゃんと意思の疎通がはかれてなかったのかもしれない」


「ううん、私も恥ずかしくて言葉を濁していたところがあったかも」



めぐりは本当にいい子だ。もう誰にも取られない。幸せだ。



誠也せいやくん、私……コンドームはあんまり好きじゃないかも。生の方が誠也せいやくんの体温が分かって好きかな」


「お?おう……」


「今日はあと2回くらいしてくれる?1回目はソフトだったね。あ、お口でした方がいいですか?」


「う、うん……よろしく」


誠也せいやくん、今日は疲れちゃった?次は私が上になりましょうか?」


「う、うん……頼んじゃおうかな」


「はい」



嬉しそうに満面な笑顔のめぐり。見知らぬ「好きな人」とめぐりが身体を重ねる時に、めぐりが慣れ過ぎていて、「好きな人」ががっかりするようにめぐりを調教してきた。まさかその「好きな人」が自分自身だとも知らずに……


確かに、処女喪失の日のようなめぐりを見ることはもうないだろう。まさか「好きな人」の気持ちが分かる日が来るとは……


ただまあ、めぐりは俺好みに仕上げてきた。めぐりにたいして幻滅など一切していない。俺にとっての最高に状態にしあげてきたのだから。



「今日は朝まで寝かせないぞ?」


「はい」



朝まで……いや、これからずっとめぐりと一緒だ。

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【日間3位!】幼馴染が抱いてほしいと頭を下げてきた 猫カレーฅ^•ω•^ฅ @nekocurry

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