人の壊し方
高黄森哉
人を壊す方法
人を壊す方法の内、準備無しで出来るもっとも簡易的なものを紹介しようと思う。なお、この方法をつかって起きるいかなる不利益も責任を負わないので、試す際は自己責任でお願いしたい。
なおこの方法はある程度親しい人間にしか通用しないと思われる。それも相当相手が馬鹿な場合に限られる。
まず、初めに人には癖がある。
癖がない人間はいない。ないならば作ればいい。日常から些細な変化。人と違う行動を一つでもすればそれを抜き出して指摘する。最初の内は逐一、指摘しなければならない。完全に定着し、本人が気にしだすまでは指摘を継続するのである。そして、その指摘は飽くまで善意という態度をとり続けなければならない。
そして、癖が定着する。
その癖がおかしなことであることを言い聞かせ続ける。これは大袈裟であっていいが、人に聞かれると計画が遮られるかもしれないので、人気のない場所、例えば登校中に試すと良い。癖は増幅されていく。
癖を気にし始める。
親身になって癖を直す手助けをする。勿論本当に治療をするわけではない。悪化する方法に誘導するのである。それは簡単で、専門書を読ませることである。この世の中には、特定の行動を止められなくなる、精神病が存在する。その本を買い与えるのだ。素人がそういった本で自分の病気を知ることは危険なことだ。もし危険でなければ医者はいらないだろう。素人判断で自分の病気を決めつけ、さらに病状に沿った症状を無意識に模倣しだす。ここでも飽くまで善意であることを強調しなければならない。恩でがんじがらめにする方法が有効である。
癖に追い詰められる。
癖が悪化し、周囲からの理解が得られなくなると、いよいよ孤立することになる。孤立というのは洗脳にうってつけの状態であるらしい。ここまで善意で、親身に解決を考えてきた人間以外頼る者はいなくなるのだ。さらに追い打ちをかけるように、あなたは友達を突き放さなければならない。癖がひどくて不快であることを申し訳なさそうに打ち明けるのだ。
後は提案を聞く機械に成り下がる。小さな要求から初めて、過激なことをする路線に走らせる。過激なことをさせれば深く孤立する。すると依存はより深まり、要求は断れなくなる。
人の壊し方 高黄森哉 @kamikawa2001
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