第三幕「自分をあまやかす」
舞台を見おえてアパートへと戻る、現実へのご帰還だ。
「ママ牛乳いっぱいのんだ、ばーちゃんとの秘密だけど!!!!」
私の可愛い娘は私に玄関で抱きつき、お腹の辺りに顔をうずめながらそうはしゃいだ。
私の娘は正直な娘だ。
「あら真那、秘密なのに言ってはダメじゃない?」
私はあの舞台を見たあとの弾む心を押さえきれないドキドキが残る笑顔で、小さな娘に顔を下ろす。
「しまった!!!!」
娘は私の機嫌が良いのを察してか、嬉しそうに頭を抱えるだけで謝りもしない。
「お義母さん、今日はありがとうございます」
「良いのよ刹那さん、たまには自分を甘やかす事だって大切なんだから♪」
私はお義母さんに心から感謝した。
「で、どうだった? 舞台は」
「お義母さん流石です! 長沢さんイケメンでした!!」
私は完全に夫のお義母さんに言ってはいけない事を言った。
娘も娘だか私も私だ、根が正直すぎる。
「でしょう! あの人は地が良いと思ってたのよ! 今度アタシも行こうかしら♪」
「ええ、ぜひ行って下さい、私パンフレットとポスター、あとなんかCD売ってたんで買って来ちゃいました!!」
「どれどれ、あらこの子可愛いじゃない? やんちゃっぽい子、こっちの細目は実は努力家って感じかしらね」
「そうなんですか?」
「アタシの目に狂いは無いね!」
私はパンフレットを見ながらお義母さんと盛り上がった。
「この人目悪い?」
娘が京刃くんに興味を持つ。
「目付きが悪いって事?」
「真那この人好き!! 可愛い!!」
幼稚園児にして京刃くんが、ツンデレと気づいたか!!
「じゃアタシは細目の努力家を推そうかね、拓海(長沢さん)は刹那さんにとっといてあげるよ♪」
「お義母さん!!!!」
どうしよう、私顔が真っ赤だ。
明日からまともに長沢さんを見れないかも?!
舞台の上で輝く人と。 山岡咲美 @sakumi
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