余ることなく、不足することなく、絶妙な匙加減で紡がれるスペースオペラのワンシーンを見ているみたいな掌編です。
淡々とした会話、
一人称視点でありながら、どこか冷静に突き放した感じのする文章、
大袈裟な表現など何もしていないのに、節々から溢れてくる主人公たちのやるせ無い気持ち。
文字そのものは黒一色なのですが(当たり前)、
読んでいて文章全体から作者様の意図したであろう色彩が滲み出してくる不思議な感覚がしました。
語りすぎずに、余すことなく世界観を凝縮する文章力が圧巻です。
読み終わって、一五〇〇字に満たない掌編だったことに、二度驚きました。