“人でなし”たちに光は差すか? 種付けおじさんの日常を犯す狂気と正義

「種付けおじさん」という、NTR作品などで都合のいい舞台装置として登場させられがちな存在に、『遺伝子操作によって種付けおじさんになり、能力を得た上で人権を奪われ、社会から”人ならざるもの”として扱われる生活を送る』という設定を加え、主人公に据えたのがまず興味深かったです。

そんな劣悪な環境下で「種付け」を生業に生活する男たちの、悲しくてどこか愛おしい日常だけでも読んでいてとても楽しいです。

しかし、それはある出会いをきっかけに少しずつ変化していきます。
そこからのハラハラせずにはいられない、スピード感のある展開。
真に刺さる人間描写。

こんな小説が書いてみたい、と嫉妬してしまう作品でした。