和菓子屋を経営していた祖父が亡くなり、一人残った美月には相続権がなく、おじ夫婦に店を乗っ取られそうになり……。
そこへ祖父の弟子だったと話す青年が店を訪ねてくる。美月は考えた。そうだ、彼と契約結婚して店を継いでもらおう、そうしたら祖父の店を守れる!!
しかしこの青年、何やら訳ありのようでして。
ほんとに大丈夫かしら?
と、いったかんじで展開する冒頭。
魅力的なキャラクターたちに、誰推しになるか悩むという贅沢さ 笑
美月の凛としたキャラクターがカッコよく、女性の権利や親子の関係などにも切り込んでいきますが、シリアス一辺倒かというとコミカルなシーンもたくさんあり、笑ったり、「なんやっ、こいつっ!!」と憤ったり。あ、もちろん胸きゅんシーンもあります!!
完結作品ですが、まだまだこの登場人物たちのその後が気になっちゃいます。
とても魅力的な作品、おすすめです。
個人的に好きな言葉なんですよね、『弥栄(いやさか)』って。いきなり謎の書き出しで申し訳ないんですけど。これですね、おめでたい時とかに使うやつで、万歳とかに近いやつなんですけど。
もうね、とにかくめでたい。
ハッピーエンドですよ、もう。
ストーリーですとか、見どころ等々はですね、あらすじやら他の方のレビューにお任せするとしてですよ。私が言いたいのはもう、とにかくあれ。
甘い!
もう何なの君達。
早く!早く夫婦になっちゃいなYO!ですよ。
ただですね、これが始終甘々なお話かっていうと違うんですよ。
だって考えてもみてくださいよ。このお話ね、15万字あるんですよ。あるんですよ、って書いといて何なんですけど、えっ、そんなにあったの?っていまちょっとびっくりしてます。
それは置いといて。15万字もあってね、最初から最後まで甘々だったら胸やけしますって。歯も溶けるし。
だけどね、ここが上手いところなんですよ。ちゃーんとハラハラドキドキもあるし、私なんかは当て馬呼ばわりしてますけど、それに該当するやつらもね、出て来るんですよ。「ザマァ!」って叫ぶシーンもありますから。「ザマァ」好きでしょ、皆さん。嫌いとは言わせませんて。
ですからね、何度書いてもびっくりするんですけど、15万字もある本作はですね、甘っ!と思ったらしょっぱ?!いや、でもこのしょっぱさが甘さを引き立てて……?みたいなね、そういう感じなんですよ。伝わってます?私もういま読了直後なんで、いつにも増して正気じゃないんですよ。もうね、私みたいな人に作品が見つかってしまうことの恐ろしさをね、青嵐さんはちょっと思い知った方が良いですね。私毎回こんなレビュー書いてる気がするから。ただほら、枯れ木も山の賑わいって言いますしね?こんな勢いレビューでももしかしたら「何かもう逆に気になる」みたいな感じで読みに来る方もいるかもしれませんしね?
というわけで、読み終えた後はきっと誰もがこんなテンションになる(なるかな……?)最高のお話です!
完結してますんで、一気にどうぞ!
女性には相続権がない時代。菓子職人だった祖父を亡くした美月は、大切な店・睡蓮を守る方策に悩んでいた。
そんな美月の前に現れたのは、祖父の弟子であり、行く先がないと語る素性不明の美青年・旭。
強欲な叔父夫婦から睡蓮を守るため、美月は旭に契約結婚を持ちかける――。
そんな気になる状況から始まる恋物語ですが、同時に、菓子職人が変わってしまって、ピンチに陥ったお店を美月と旭のふたりでどう立て直すのか、という物語でもあります。
お店を守るために奮闘する美月ちゃんが気が強いと同時にとっても可愛いのです!(≧▽≦)
個人的には、美月を助けるために、書生姿で登場する神狐がとってもいいキャラで好きです~(*´▽`*)
そして出てくる和菓子が、どれもこれもおいしそうです!( *´艸`)
恋も和菓子もとってもおいしい物語、ぜひお召し上がりください!(*´▽`*)
舞台は昔の日本に似た、妖が存在する異世界。
主人公の美月は和菓子屋を営んでいた祖父が亡くなり、途方に暮れていました。
祖父が大事にしていた和菓子屋を守りたい。だけど女性である彼女には相続権がなく、店を継ぐことができませんでした。
しかしそんな彼女が出会ったのは、祖父の弟子だった青年、旭。
美月は祖父の味を受け継いでいる旭と結婚して、共に店を守っていけば良いとアドバイスを受けるのですが、会ったばかりの相手と結婚とは、ビックリする奇策です。
そしてどうやら旭も、人に言えない何かを抱えているようです。
こんなので上手くいくのかと、心配になる作戦ですが。話が進むにつれて、だんだんと美月にベタ惚れになっていく旭。店を守るための結婚のはずが、旭に惹かれていく美月に、何度もキュンキュンさせられました。
甘い! 旭が作る、和菓子と同じくらい甘いです!
現実は甘いことばかりでなく、二人の行く手にはたくさんの困難が待ち受けていますが、乗り越えていく度に絆を深めていく美月と旭。
はたして二人は、店を繁盛させることができるのか。そして結婚の行方は?
上質な和風恋愛ファンタジーを、お楽しみください。
舞台は和風の異世界。
祖父を亡くした和菓子屋の娘、美月は、女性には相続権がないことから、店をなくし嫁に出されるという事態に。
店を守りたい美月としては、もちろんそんなこと望んではいませんが、嫌だと言って法が変わるものでもありません。このままみすみす店も自由も手放してしまうのか。そんな彼女の前に現れたのは、店で祭っている稲荷社狐でした。
人間の姿になってアドバイスする狐。彼が本作のヒーローかと思いきや、真のヒーローは別にいます。
店を訪ねてきた、祖父の弟子を名乗る青年、旭。彼なら、美月と結婚さえすれば店を継ぐことができ、和菓子だって作れます。
とはいえ、出会ったばかりでお互いのことを何も知らない二人。特に旭は戸惑いますが、この店と祖父の菓子を守りたいという思いは同じ。形だけの夫婦となって、店を存続させるため、二人の奮闘が始まります。
しかしですね、この旭が真のヒーローなのかと聞かれると、こう答えましょう。真のヒーローは美月です! あっ、もしかしたらヒロインかも。
冒頭にも書いた通り本作の舞台は異世界なのですが、実は美月、前世である現代日本で生きた記憶が早々に甦ります。
先に挙げた女性への相続権なしのように、現代の感覚からすれば、この世界には理不尽なこと、納得しかねることがたくさんあります。法はもちろん、そこに生きる人間だって、中には憤りを感じずにはいられない人がたくさん。
それでも美月は、そんな中自分にできることを探し、例え困難があっても挫けず乗り越える術を模索し続けます。
特に終盤、旭の秘密が明かされてからの彼女の奮闘は手に汗握ります。
理不尽や身勝手にまみれた世の中で、それでも強く生きる彼女の頑張りをご覧ください。