夜光、夜行
白川津 中々
■
男がフラフラと立ち寄ったのはBARでもなく居酒屋でもなくスナックでもなく角内でもなくいい気分なコンビニエンスストアであった。
「いらっしゃいませ」
入店して聞こえる気怠げな出迎えにも苛立ちを見せず、いや、返って居心地の良ささえ感じている風に肩の力を抜いた男はカゴを持ち上げ怠慢に歩を進める。行き先は酒売り場。手に取るはヱビス。贅沢な一杯。それを三本と、角ハイ二本にジンソーダを二本。カゴは既に満杯。その隅に、たこわさ、ポテサラ、鮭のあらにカップうどんを詰め込んでレジスターへ。
「袋ご利用になられますか?」
「はい」
一言交わし清算。二千円弱。酒が高いが、独り身の男は他に金の使い道を知らない。躊躇する事なくデビットカードを端末に差し込み会計完了。レシートを備え付けの箱に捨てると、酒と肴で膨らんだ袋を受け取る。
「ありがとうございました」
やはり気怠げな見送りに男は帰路を行く。星が輝き影は濃く、闇夜よりも、更に黒く……
夜光、夜行 白川津 中々 @taka1212384
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