真夜中のキミヘ

ホース寧

第1話

 みんなには日頃の疲れを癒してくれるものはあるだろうか?

 僕こと神崎 弥生にはある。それは……


「ふーさん!あっち敵そっちの方にいます‼︎」

「了解。殲滅するよ」


 某大人気オンラインゲームである。


 今日はそのオフ会でいつもペアを組んでいる『ふーさん』と会うのだ。


「だ、大丈夫だよな。変な格好とか……してないよな?」


 ふーさんにガッカリされないか、落胆されないだろうか、そわそわしてしまう。


「確かふーさんは白いスマホに青い鳥のキーホルダーをつけてるんだよな?」


 待ち合わせ場所の駅前でそれに該当する男はいない。


『ただいま駅前に着きました』


 ふーさんに送るとすぐに既読がつき、返信が来た。



『了解、俺もついた』


 ん?ふーさんもう来てるの?


 もう一度周りを確認するが、白いスマホを持っている男の姿は無い。


『あ、もしかして弥生、噴水の前でキョロキョロしてる?』


 自分のことを言い当てられ『YES』のスタンプを送る。


『ありがとな。今行くぞw』


 あれ?なんかいつもよりテンション高いな?LINEの文面を読んで、いつもの落ち着いている口調と違うことに気づく。


「wを使うなんて……オフ会よっぽど楽しみだったのかな?」


 そんな事を考えていると後ろから叩かれた。振り向くとそこには金髪の美少女がいた。

 勿論知り合いではない。


「あのぉ……僕に何か用でしょうか?」

「…‥…だよね」

「えっ?」

「君が弥生君だよね」


 彼女はそう言って白いスマホを見せてくる。


「な、何で……⁉︎」


 思考から固まる。

 目の前に見えるこのスマホ、それにはキーホルダーが付いている。

 そのキーホルダー、僕には青い鳥に見えた。

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真夜中のキミヘ ホース寧 @zabi02

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