俺、こっちでは魔王やっているのですが、地球でも魔王になったら世界を征服できますか?

あずま悠紀

第1話

ジャンル:異世界ファンタジー

タグ:異世界転生.主人公最強.剣と魔法.戦記.美少女.ライトノベル.ハイファンタジー.バトル

タイトル:異世界は今日も平常運転。

〜俺、こっちでは魔王やっているのですが、地球でも魔王になったら世界を征服できますか?〜(作者名)

あらすじ:主人公の高校生、神崎直人は、学校から帰る途中交通事故により命を落としてしまうが異世界に召喚される。

その異世界で直人が目を覚ました場所は魔王城と呼ばれる城の中だった!なんやかんやあって直人は勇者一行と戦い勝利するが、実は自分が勇者だと打ち明けられさらに、魔王討伐のために召喚されたことを知るのだった。果たして彼は世界平和を勝ち取ることができるのか!? ------


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-side 勇者 ------


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僕は勇者である、名前はまだない、そんなフレーズを頭の片隅に置いておきたい気持ちを抑え、今はとにかく自分の置かれている状況を整理してみることにする。

僕の名前は東雲祐一。私立高校に通う高校二年生だ。成績は普通よりちょっといい程度だが運動神経はそれなりに良いと思う。

性格は真面目ではないが、不良でもないといった普通の学生でありクラスでもそこそこ目立つ方である。そして今、僕は見知らぬ部屋の椅子に座っていた。部屋と言ってもここは地下なので正確に言うとこの空間のことを『場所』と言うには語弊があるが、まあ細かいことはどうでもいいだろう。問題は何故ここにいるのかということである。さっきまでは確か自宅近くの公園で友達と一緒にサッカーをしていたはずなのだ。それが気付いたらこの場所にいるというこの状況。誰か夢遊病の人に運ばれたと考えるなら理解できないことはないが、それにしたって知らない部屋にいること自体がまず異常事態であることに変わりはないのだ。そもそもなぜ自分がここに来ることになったのか、それすら分からない以上、いくら考えても答えが出ることはない。しかしだからといっていつまでもここで座ったまま思考を巡らせていて何も進展しないこともまた事実である。とりあえずここの部屋の主と思われる人に話しかけてみようと思い、顔を上げるとちょうど目の前に扉があることに気付いた。その扉の向こう側からは何やら人の気配を感じる。やはり人がいるのだろうか、僕は勇気を振り絞るように声を上げた。

「すみません!誰かいませんか?」

僕の問いかけに返答はなかった。いや違う、聞こえなかっただけかもしれないしもしかするとまだ眠っている可能性もあるのではないだろうか?もう一度今度は大きめの声を意識して同じことを尋ねようと大きく息を吸った瞬間突然ガチャッという音と共に勢いよく部屋の中へと入ってきた人物がいた。その人は少し青く澄んだ髪色で肩くらいまでの長さをした女性であった。歳は僕と同じくらいに見える。おそらく自分よりも年下だと思うのだが、その容姿はとても綺麗なものでどこか浮世離れしたような感じさえ受けた。まるで絵本の世界から抜け出てきた妖精のような女の子を見て呆然としていたせいで、声を掛けるタイミングを失ってしまいしばらくお互い無言の時間が続くことになってしまった。そしてようやく我に帰ったように彼女が喋り出したのはその数分後のことである。しかしその一言を聞いただけで彼女の素性についておおよそ察することが出来たのだ。

彼女は自らを魔王と名乗り、そして僕に世界の半分を与えるために召喚してきたと言ったのだ。

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-side勇者 -end ---


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-side 魔王 ---


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俺は、魔王である。名前は、まおーだ!!なんて冗談はこのへんにしておいて自己紹介をしていこうと思う。まず俺は魔王城と呼ばれる場所に居る。ここは日本とは全く別の世界で魔法が存在する世界だ。俺の仕事はこの世界に召喚されてきた地球の人間たちを勇者として覚醒させるというもの。そうしないと世界の均衡が崩れてしまうため地球にも被害が出かねないらしい。ちなみに地球というのはこの世界とは別に存在する別次元の世界のことを指している。なんにせよ面倒な仕事を任されたものだがこれも神から与えられた仕事だし頑張らないわけにはいかないだろうと思っている。まあ仕事の内容はともかくこうして地球に勇者がやって来たということ自体は喜ぶべきことでもあるのだ。何故なら勇者が召喚されたということはすなわち魔王である俺に敵対する存在が誕生したということであるからだ。しかし勇者を目覚めさせるためにはいくつか問題があることも確かなのだ。その一つは魔王である俺の姿形や魔力量などを事前に知らせておくことは出来ないことである。そのため、もし仮に勇者たちが目覚めた際に目の前に立っている俺が全くの初対面であれば当然混乱が生じることになるだろう。また他にも問題が一つあって、実はこの勇者召喚はこちら側にとってあまり好ましくない現象であるということだ。何故ならば、俺たち魔族は昔から人間の国に対して敵対的な動きをしており魔王軍と名乗る組織を発足している。そのことから考えれば地球での戦争が起こる可能性がゼロではないし、最悪そうなることも想定しておく必要があるのだ。

そこで問題となることがもう一つあってそれは俺自身に戦闘能力がほとんどないということである。というのも魔王であるにもかかわらず戦闘に関する才能がない上に膨大な量の魔力があるだけだからである。これはかなり致命的な問題であると言えるだろう。なぜなら勇者に対抗できるのは今のところ俺しかいないというのが現実だからだ。しかし幸いなことに俺の持つ固有能力は『異世界への干渉権』と呼ばれるもので自分の意志と関係なくランダムな場所へ強制的に移動させられることが出来るという能力である。そして今まさにそれが発動されようとしているところだ。

さてそろそろお時間が迫ってきているようだ、では早速新しい世界へ向かわなければ。

「よし、じゃあいってくるぜ!!」


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-side??? ---


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〜Side祐一〜 目が覚めるとそこには白い壁と天井が広がっているのを確認した。周りを見渡してみるとそこはベッドの横に備え付けられている窓から差し込んでくる光が眩しい部屋の中で僕は目を覚ました。そして、僕はあることに気付いてしまったのである。そうここは、自分の部屋ではないという事実に!そもそも僕は自宅で友人と一緒にサッカーをしていたはずなのだ。そして何故かこの見知らぬ部屋にいるということになるだろう。僕はひと通りこの事実を確認し終えた後に先程の出来事を思い出そうと必死になった。確か学校から帰宅して、玄関の扉を開けるとそこには見知らぬ女性が立っていたはずである。

しかし、それからの記憶が全くない。そして僕は自分が何故このような状況に陥っているのか分からず、困惑するしかなかった。もしかすると誘拐でもされているのではないかという嫌な予想を立てながらもどうにか現状を打破できないかと頭を動かそうとするが上手く頭が働かない。そんな時に扉の方で何やら物音がしたかと思うと、その少女と思われる人物は部屋の中へと入ってきた。

その少女の髪色は青色で、おそらく染めているわけではなく地毛なのだろうと思える綺麗なものだった。そんな彼女を見て僕の心拍数は少し上がってしまう。

彼女はどうも日本人離れした見た目をしているように思えた。ハーフか何かだろうか、などと考えていた僕であったがその次に彼女の発した言葉でその推測は間違っていたことを理解した。彼女は、自ら自分は魔王であると宣言し、さらには世界を征服するために地球人の僕に召喚をしたと言っていたのだ。

しかし僕は全くの無関係であるはずだ。確かに僕は学校でのサッカー部に所属しているのだが決して全国レベルの選手ではなくあくまでそこそこ強いといった程度の実力だった。そして特に目立った特技もない普通の学生であるはずなのだ。そもそも魔王とか勇者って本当に存在しているのか、などと疑問を抱いている間にどうやら僕の体も変化し始めたようで意識を失っている間に起きたのかと思うほど急激な痛みを感じた。その瞬間目の前が真っ暗になって視界が失われていった。そして再び目を開けてみた時その部屋の景色には今までの見慣れていたものではなくなっていたのである。

そして、気付けば僕たちは魔王城の玉座の間にいて目の前の階段を登りきったところにある大きな椅子に座っているのだった。目の前には金髪の少女と、青い髪の美しい女性がいる。おそらくこの二人が勇者とその仲間というところなのだろうか?そんな風に考察しながら僕は、この場をどのように乗り切ろうか考えていた。しかしここで僕の脳に新たな情報が飛び込んできたことで一気に焦ってしまうことになったのだ。

僕は今、自分が魔王だということになっているということに気付いた。

僕は現在窮地に立たされている。僕は今魔王だとかなんとか言われている人物の前に立って話を聞くことしか出来なかったのだ。しかしそんな中でもどうにか打開策を考えようと頭をフル回転させていく中でまず初めに思い浮かぶ問題があった。それはこの状況で僕がどんな行動を取ればいいのかが分からないと言う点にあった。そうつまり僕はまだ勇者としての覚醒が出来ていない状況にあるのだと言うことだった。このままの状態でこの二人を説得できるような内容の言葉を伝える自信はなかったのだ、なのでどうしようかなと考えているところで急に声が上がった。

どうやら、僕たちを呼び出した魔王を名乗る女性の方が口を開いたようであった。しかしその口から出てきたのはあまり信じたくない事実であり僕にとって一番避けたかったことでもあった。しかし残念ながら彼女の言うことが本当であることを否定出来ない。なぜかというと僕のステータスに表示されているものがそれを示していたからである。

僕はその言葉を聞いて少し絶望しながらもすぐに諦めるわけにも行かないため、とりあえず情報を聞き出すことを優先することにした。しかし、やはり彼女はこの世界の事情についてはあまり詳しくはなかったようである。ただ彼女はこの世界に召喚される前の時点での僕の情報を既に持っていたようで、そのおかげなのか僕を勇者として呼び出すことに成功しているらしかった。

正直、勇者なんていう称号を与えられても迷惑なだけなのだけれど、まあそれは今はおいておこうと思う。それよりも彼女が言っていた地球での僕の情報というのが気になっていた僕はその話を聞こうとすると、突然彼女が声を発した。

-side?? -end ---

俺は勇者だ。名前はユウスケって言う。よろしくな!! 俺の仕事は魔王城に住む魔王と呼ばれる存在を倒すこと。簡単に説明するとこんな感じだな。

俺は勇者として召喚されてからずっと魔王と戦うために鍛錬してきた。と言ってもその方法は人それぞれで俺は、この魔王城の地下に広がる空間に召喚されて初めて見た巨大な魔物を倒しまくったんだよ。

そして、その時に分かったんだけどどうやらこの世界の人間はレベルアップをすることで、ステータスというのが増えるらしいんだ。その数値が高い方が強くなるっていう法則みたいだけどよくわからん。そしてレベルを上げるにはどうやら特定の行動を取ることによって得られるらしいんだ。ちなみに今の俺のレベルは10だ。

しかしそれでも、魔王の強さに全然届いているようには見えなかった。というより、むしろ魔王の力は強くなっていく一方で俺の勝てる未来が全く見えないという感じだったんだ。

そしてある日、俺の目の前に勇者が現れたんだ。その瞬間に理解してしまったんだ、あぁ、コイツは絶対に敵わない相手なんだなってことを。だから、せめて一撃でも当てられるようにと俺は必死に攻撃を続けた。その結果俺の攻撃は一度も相手に当たることはなかった。

そして俺は負けてしまった。そして気づいたら元の場所に召喚されていたのだ。そして俺はそこで一つの真実を知った。それは勇者が俺だけじゃなかったこと、そうもう一人は男だったが、アイツこそが魔王だった。俺は、負けたまま終わる訳にはいかないと思った、俺は誓ったんだ。もう二度と誰にも負けないように努力しようと。

だがそれからも結局俺は勝つことは出来なかった。

そして俺の二度目の人生がスタートしたあの日。その時に勇者として呼び出されたのは女でしかも俺よりも遥かに格下の存在にしか見えなかったというのにあっさり倒されてしまい、さらにまた元の世界に戻っていたのである。俺はまた、悔しい思いをすることになった。また俺は勇者にすら勝てない存在に成り下がってしまったのだ。そして今回召喚された男は、また違った雰囲気を持つ男でどこか自分と似ている部分があった気がするのだ。だからといって俺のこの憎しみのような感情は収まることはなく寧ろ大きく膨れ上がってしまったのである。だからこそ俺の中の何かは勇者を許すことが出来ないと告げていた。そして俺は勇者に復讐を果たすための方法を探し始めた。そして見つけることに成功したのだ。それが異世界への干渉権というもの。俺のこの能力は相手の魂を強制的に俺の元へと呼び寄せることが出来るというものだった。これで奴を俺の元まで連れてこれれば殺すことが出来るはず。そしてその時はすぐにやってきたのだ。

俺の名前はユースケだ、勇者に復讐することを心に誓っているものだ。

今、俺たちが魔王と名乗る人物と話しているがどうもこの魔王というのは俺達と同じ地球人のようだ。しかしなぜそんな人がここに呼ばれているのか、俺達は疑問に思った。そしてその理由を聞くためにもまずは情報収集に努めるべきだと判断した俺たちはまず、俺から彼女に話しかけることにした。すると、彼女は異世界からの勇者だと名乗った。しかしそんなことがあるわけないと俺の直感的に感じ取ったので適当にはぐらかすことにする。すると、彼女は異世界への干渉権を使って無理やり俺を連れてきたというのだ。

しかしそんなことが本当に出来るのかということが引っかかったが、どうやらそれは本当のことのようであり、彼女はその能力で俺を強制的に召喚したというのだ。そしてそれと同時に勇者の証とも言える力を与えてくれた。それはステータスを強制的に上昇させるものでどうやら魔王はそれだけでは終わらせないようだった。

その後彼女は自分が魔王であると言った後すぐにその場を離れてしまった。どうやら何か用事があるようで俺たちに別れの挨拶をして、そのまま立ち去って行ってしまった。そして残った勇者とその仲間たちと顔を合わせることになってしまう。

俺はこの時非常にまずいなと焦りを覚えてしまうことになる。なぜなら勇者の目の前には確実に俺がいるからである。しかしここで逃げようとすると余計に疑われることになりそうなためひとまず話を聞くことに決めた。そして案の定勇者は自分のステータスについての説明を始めていった。

どうやら勇者の持っているそのスキルとは、ステータスを直接強化するもので勇者の持つその力は他の勇者と比べても桁違いに強くなっていると彼女は言った。そして彼女は、自分が勇者であることを信じないのであればそれでいい、しかしその場合はこちらの要求に従ってもらうと宣言する。そして勇者とその仲間の三人は、自分の要求する条件を言っていきそれを俺に伝える。その内容は到底受け入れられるようなものではなかった。

「お前たちは今この世界の脅威となる存在である魔王を倒してこい。そしてもし、その任務に失敗した場合この国の王族を殺しに来い。」

まさに暴君である。この勇者という称号を手に入れた少女は本当に性格が悪いように思えた。どうやら彼女の要求は絶対のものになるらしく逆らうことは許されないそうだ。それにしても一体どうしてこんな状況に陥ってしまっているのだろうか、まさか本当に魔王になってしまったのだろうか、と不安になってくるがとにかく目の前の問題に集中しなければならないと思い目の前の人物との話を進めることに意識を向けるのだった。

僕はこの国の王だという男性にいきなり無茶なお願いを突きつけられてかなり困惑している状態になっている。正直勇者だか何だか分からないけれど僕には関係ないことなので正直放っておいて欲しいと思っているところだ。しかし僕たちの目的のためにはこの要求を呑む他ないということも理解していたために仕方なく、渋々そのお願いを引き受けることにしたのだった。

そして僕のステータスには新たに『勇者』の文字が追加されているのであった。

-side???? -end ---

私は魔王と呼ばれる存在になった。それは、ある一人の人間の勇者によって魔王城へと送り届けられたことによってだ。そして私に与えられた役目はその勇者たちを足止めすることとこの国を滅ぼすことだった。そしてそれは私の個人的な欲求でもあった。

まず最初に勇者たちが私の元へとたどり着く前に私は彼らを呼び止めることに成功する。そして私が呼び出した理由はこの世界を滅ぼそうとしている者を排除することだと言う。もちろんそれを聞いた勇者たちも驚きを隠しきれなかったようで、彼らは私を殺すべき敵であると認識し始めるのであった。

そして、その勇者の一人である男が口を開く。その発言に対して魔王と名乗る女性は何の反論をすることもなくそれを受け入れていく、しかしその様子に違和感を覚えた。この魔王を名乗った女性はまるで、最初からこの展開になることが分かっていて話を進めたのではないかと。

そして勇者と呼ばれる男たちが魔王に向かって攻撃をし始める。それに対して魔王も応戦するが明らかに分が悪かった、そして戦いが長引く中で勇者が勝利を収めると魔王城の奥へと消えて行ってしまう。僕は、このチャンスを逃すべきではないと判断し、すぐさま追いかけることを決意するのだった。

そして僕は、勇者を名乗る女と共に、魔王を倒すために魔王城へ乗り込んだ。そこで僕は、信じられない光景を目にしてしまう。そこには、僕と同じようにこの世界の勇者を名乗る人物が現れていたのだ。僕以外のこの世界に召喚された人間は僕以外にもいたということなのだろう。それを見た僕はすぐに勇者として召喚されたであろう人物を追いかけることを決意した。

そしてそのあと僕たち三人のうち二人が同時に同じ行動をとったのは偶然の産物なのかは分からなかったが、そのおかげでどうにかして倒すことが出来そうである。

「お前らみたいな勇者が来て俺に勝てると思ってんのか?まあ、俺の方が強いんだがよ。だから、大人しく俺の指示に従って死ね!!」

そう言うと勇者は攻撃を仕掛けてきた。その攻撃は非常に鋭く速いものだった。しかしそれでも僕には当たらなかったので、攻撃を避けるとすぐに追撃を仕掛けてくる。その攻撃も避けてから攻撃を繰り返してみるも相手もそれに対応してきている。やはりこの相手はかなりできるようである。このまま続けていれば、いつ攻撃を当てられてしまうかも分からない、ここは一旦仕切り直す必要があるかもしれない。

勇者は俺に連続で攻撃を仕掛けてくるもやはり全て避けられてしまう、ならば今度は一撃だけ重いものを入れてから隙を見て一気に畳み掛けようと決める、俺は剣技を使うことにして相手の一撃を受け流しつつカウンターを決めることにする。勇者は、その行動を見るとニヤリと笑い、こちらの行動に対応して一撃を加えようとしているのだと理解できた。そのため、相手の動きをよく観察しながら相手の次の行動を予想していき最適な動作を選び続ける必要があった。しかしここで問題が生じたのである。この勇者が使う剣術はおそらくかなりの実力者だということなのだが攻撃にパターンがなく次に何をしようとしているか分かりづらい上に読みにくいため俺の攻撃が全く決まらないのであった。そして相手は俺にどんどん傷を増やしていき、俺も少しずつではあるがダメージを負うことになる、俺はこのままの状態を続けていてもいずれ押し切られて負けることになるということが分かると一度距離を取ろうとしたのだが相手がそれを許してくれることはなく逆に距離を詰められ続けてとうとう致命傷を負ってしまった。しかしそれでも諦めずに必死で攻撃を繰り返すも全く当たることはなかった。

しかしそんな俺もついに決着をつけられることとなり、俺の持つ最高の一撃を勇者に向けて放つことが出来た。その一撃は勇者に直撃する、その瞬間俺の体が突然動かなくなる、そして視界の端にもう一人の勇者が映った、どうやら俺は負けたようだ。俺はそこで意識を失ってしまうのだった。

-side魔王- 私たちは何とか、二人目の勇者を退けることに成功している、だが今の現状では圧倒的に不利である。何故なら私たちの仲間は一人しか居らず、相手の戦力をたった一人で抑え込まなければならないのである。そんなことをできるはずがないと普通に考える人も多いと思う、だが私には考えがあるのだ。それは、仲間を増やすことである。そのために今すぐにでも召喚魔法を使用しなければと私は思った。しかしこのタイミングで使ってしまった場合、勇者たちに召喚されたことが発覚してしまい面倒なことに巻き込まれるのではないのかということを考えた結果、まだ使わないでおいた方がいいのではという考えに至る。しかしそれも時間の問題であるためできるだけ早く行動しなければならない。

私は急いで勇者たちの元へ向かいその状況を整理する。勇者たちの内の一人は、既にやられてしまってはいたがどうやらもう1人の勇者はまだ残っているようである。

「お前は確か勇者とかいうふざけたものを名乗っていたやつだろ?残念ながら俺たちが勝つのが決まっているがどうするんだ?降参するのであれば見逃すことも出来るぞ。しかしそうで無いのであれば殺すがいい。俺たちは魔王に恨みを持っているからこそこうやって戦うことを決めた。お前もその対象に含まれてもおかしくないだろ?」

「そうか。私はお前の事情を知らない、だからと言って殺すことに躊躇いを覚えることもない。」

そして二人の会話は終わり再び戦闘が始まる、そして私は自分の持つスキルを使い相手の動きを先読みし、その流れのまま相手を圧倒しようと行動する。すると勇者の表情に少し焦りが見え始める、どうやらこの男は何かに気づき始めてしまったようであった。しかしそれが何だったのかを確認せずに私は、男にとどめを刺そうとする。しかし、それを防がれてしまい反撃されてしまう。どうやら完全に読まれていたようで上手くいくことは無かったのである。それから何度も攻撃を加えるも全てを完璧に回避されるのであった。

勇者との攻防が続き私の体はボロボロになっている。しかしそれは相手も同じようなものであったため、お互い限界を迎えている。だからこそこの戦いの決着をどうするか私は悩むのであった。しかしそんな状況の中で勇者はとんでもない提案をしてくる。それは、自分が魔王になった時の話をしたいというもので私はそれに乗っかりその内容を聞くことに決め、それを承諾することにしたのだった。そして勇者の口から話されたその内容は衝撃的なものでとても信じることは出来ない話ではあったが、勇者の持つ力を考えれば本当なのかとも思える内容であった。しかし、もし勇者が嘘をつくようなことがあれば私は迷わず殺してしまうつもりでいたため結局その話は本当のことなのだろうと判断した。そして私にとって勇者を倒すことは確定事項であったがどうすればこの勝負に勝てるのかという問題についても解決しなくてはならない。正直この状況はあまりにも分が悪いように思えた。そのため何か手はないのかと私は思考を始める。しかしその前に相手側から話を持ちかけられてしまうのであった。そしてその内容は私が勇者に勝てば今後一切の敵対行為をしないというものである。これは、私が今出せる最大のカードでもあった。そして勇者はその約束を守ると口にした。このチャンスを逃すわけにはいかないと私は覚悟を決め勇者と向き合うのだった。そして最後の一撃を放つ。

私と勇者の戦いは終盤に入っていた、お互いに全力を振り絞っての打ち合いになっているが、明らかに私の方が不利な状況であった。というのも、相手は既に魔力が尽きてしまっているのに対して私の方はまだ半分以上の魔が残っているという状態だったからだ。私はこの差を埋めるための手段を考える、しかしどれだけ考えてもいい案が出ることはない。そして私は、勇者に攻撃をされて倒れてしまう。勇者の放った攻撃はとても重く私の体を貫きそのまま地面へと縫い付けるかのように叩きつけられる、そして私は、そこで気絶してしまうのだった。

-side勇者- 俺は勇者としての力を手に入れ、この世界の王として君臨していた、そして勇者として召喚された俺が最初にしたことは世界を滅ぼしうる力を持つ存在を排除することだった、そうすることで、この国の安全を確保することが目的だ、もちろんそれはただの口実で本当は俺が楽しみたいだけだがな、この勇者の称号を手にいれてからは俺の強さは格段に上がったので大抵のことでは負けることは無いと思っていたが、それでも万が一の可能性があるために慎重に行動していた。しかしそんな慎重さがかえって俺の足を引っ張ることになった、何故ならば俺が魔王と名乗る女を殺したあと、勇者を名乗る女の攻撃をモロに食らってしまい地面に伏すことになってしまったのだ。その結果、この女を殺す機会を失ってしまった。まあ今回は仕方がない、この女は勇者を殺すという目的を果たせなかった以上俺と戦う必要は無くなっているはずだから、このまま放置しておけばいつかは死んでしまうであろう、だからこれで良いと思った。俺が、魔王と呼ばれる女と勇者を名乗る女を殺してしまえば、それこそ勇者を名乗る奴らに復讐していることになるだろうからな。俺はこの世界に魔王が存在するということを大々的に知らしめる必要があり、そのためにもこの二人をどうにかしなければならなかった。しかし俺のこの作戦にも一つ欠点があった、この二人が同時に存在しているということだ。この二人が同時に存在する場合俺はどちらか片方ずつ倒す必要がある。そうなると当然、どちらか一方に的確に対応しなければならなくなってしまうため非常にやりにくくなるのだ。だからといって、片方ずつ確実に倒していっていたら、俺に隙が出来てしまい殺される可能性が出てきてしまうというわけである。

なので今回ばかりは勇者の方にターゲットを定めるしかないと思い俺はそいつを殺そうと考えた、そしてまずは、勇者の女を殺しに向かう。しかしそれを簡単に許してもらえるはずもなく攻撃されてしまい俺の右腕は切り落とされてしまった。その痛みに堪えながらも俺は相手に向かって攻撃する。その攻撃は見事に当たってしまい相手の体を深く斬り裂いたはずだったが何故か致命傷にはなっていない。俺にはその理由が分からないがとにかく今は、逃げるのを最優先にしなければいけないと考え一旦距離を取ることにする。そして逃げようとしたのだが、相手がそれをさせてくれることもなく俺に襲いかかってきた。だがさっきよりも動きが悪くなっておりなんとか避けることに成功する。その後、もう一度攻撃を仕掛けてみるも、また避けられてしまう。俺はそこで疑問を感じた。何故こいつは先ほどよりも弱くなってしまっているのか?その答えはすぐに出ることはなく、相手の動きを観察することにした。しかしそんな余裕があるわけでもなく攻撃を当てられずに終わってしまう。

どうやらこの女は何らかの理由で本来の力を出せていないらしい、そう考えるべきなのだがどうしてもそうは考えられないのだ。俺には何かしら特別な力が宿っているため普通の人間とは違い多少はダメージを負うもそこまで深い傷を負うことがないようになっているのである。

だからこそ俺も相手が弱くなっているという仮説を立てていたのだがどうやら違うようだ。俺の勘が告げている、相手は弱くなんかなっていないと、むしろ強くなったんじゃないかと。俺が勇者の力を取り込んだ時のように、俺が勇者に負けたことで得た力で強化されたのではないかと考えている。だからこいつもおそらく俺と同様に勇者の能力を自分の物にすることが出来るのかもしれない。

俺はその予想を確かめる為にもう一度、勇者の攻撃をわざと受けてみることにした。結果は予想通りのものだった、勇者に受けたダメージは勇者が殺した魔王と同じように俺を弱体化させた、そしてそのおかげでやっと相手にダメージを与えることに成功した。だがそれだけだった。勇者に決定的な一撃を入れることはできずにいた。そこで、俺はこの女を殺すことを一旦諦めることに決めた。勇者は勇者同士で潰しあってもらった方が面白いからである。俺が勇者たちに勝った時にすることは二つある。魔王を殺すことと勇者を全員殺すこと、そして世界を滅ぼせるほどの力を手に入れることである。そして勇者が一人の場合勇者の抹殺を優先して行っていくことになるが、それが終わったら俺は、他の勇者を探そうと決めていた。なぜなら魔王と勇者は基本的にお互いを邪魔だと認識しているはずであり、もしも魔王のところに勇者が現れでもしたら戦いを始めかねない。そう考えてしまったからだ。だからこそ先に勇者を消す必要があった。

こうして俺は勇者を仲間に引き入れることにし、この世界を滅ぼすために仲間にするのであった。

そして勇者を仲間にした次の日になり俺はこの国の現状を確認する為城下町へ赴くのであった。しかしそこは想像を超えるような状況になっており正直言って驚いている。何故ならばこの国が既に壊滅状態であるという事実を知ったためである。俺がまだ生きている間にこのような惨状になるなんて信じられない光景が広がっている。しかもまだ国民は生き残っておりこれからどのように生活していけばいいのだろうか?などと途方に暮れてしまっているのだろうと思われる。だからと言って放っておく訳にはいかない。しかしこの状況ではまともに動くことすら出来ない、そのため仕方なく、魔王の元へと向かうことにし魔王に事情を話した。

「お前の仲間になると?」

「ああそうだ」

「そうか。お前は何を考えている?」

「何も。お前と敵対する気など毛頭無い、ただ純粋に仲間として共に居て欲しいと思っているだけだ」

「分かった。ならばついて来てくれ」

「感謝しよう」

こうして俺達は一緒に行動することになったのであった。ちなみに俺の目的は、俺自身がこの世界の支配者となるというものである。勇者としての力を手に入れてからの俺は自分がこの世界の頂点に立つことが自然と決まっていった、そして実際にそれを実現させることが出来ている、それは何故かといえば単純に魔王の力を手に入れたからということに過ぎない。魔王の力とは本来持っている能力が大幅に上昇するというものだ、だから勇者の力を得たことによって勇者の能力まで手に入れることが出来たというわけだ。

それから俺たちは魔王城の中へと入り話し合いを始める、そして今後俺たち魔王軍と勇者が敵対関係になったとしても絶対に戦わないようにするという方針について決めた。つまりこの国の住民に被害を与えないようにしながらお互いの国を行き来するということで話を終えたのであった。

それからというものの、この国の住人は魔王軍に保護されることが決まったためとりあえず一安心することができた。俺はこの国でしばらく暮らすことが決まるのだった。その理由としてはもちろん勇者たちが俺の国に干渉することを避ける必要があると判断したのが主な理由になっている。俺自身としてはこの世界を支配するために勇者たちの力が必要だと考えていた、しかし俺の予想に反して勇者たちは敵対関係を嫌がり魔王軍につくことを決意したのだ。そのため俺の考えていたプランが崩れてしまったということになる。だからこそ勇者たちと共に魔王軍の本部に行くことになった。俺がここに残れば、魔王が勇者によって殺されてしまう可能性もあると考えたのだ。

しかしそうなった場合に困るのは間違いなくこの世界の人間たちだ。魔王が死ぬことにより魔王の力の所有権は俺へと移動することになり俺自身の強化に繋がることは間違いないため俺にとってもメリットがあることは確かなことだと言える。だから俺は魔王と勇者たちを無事に俺の元へと送り届ける役割を果たさなければならない。

俺は魔王を仲間にしてから二年が経った頃に再び勇者のところに向かうことを決めた。それは勇者をこちら側の陣営に入れようと計画したためである。この世界で勇者が敵に回った場合の脅威は相当なものであるために勇者だけはなんとしてでもこちら側に引き込んでおきたかったのだ。だから俺の作戦は成功した、というよりも俺にとってかなり都合のよい方向へと進むこととなったのだ。俺が魔王に頼み込んだところ勇者を説得してくれるという返事が返ってきたからだ。俺は、その言葉に期待を持ちつつ、早速この世界の支配のために動き出すのだった。

まず俺は勇者を探すところから始めることにした。そして勇者は俺が思っていた以上に早く見つかった、というのも、この国の周辺には大きな街がありそこで一番高い建物の上に立った時たまたま見つけられたのである。この世界の魔王も勇者を探していたようですぐに連絡を取り合い合流することになる。魔王の見た目はかなり若い女の子だ。身長も低いし胸の大きさなども小さい方だと思う。ただそんなことを言えば殺されかね無いので言うのはやめておこう。この子の名前はミユキというらしい、俺が見た限りは勇者よりも強そうな感じはする。

そんなことを思っていると勇者が話しかけてきた。

「君は、この魔王を倒すつもりなのかな?」

「それはどういう意味かな?勇者さん」

「僕の名を知りたいと言うのであれば、僕が教えてあげてもいいけれど。しかし君が本当にこの世界に危機をもたらす存在だというのであれば名前を知るだけではすまない、この世から消し去ることになるかもしれないから、覚悟は出来ているのだろうね」

その声は今まで聞いたことのないようなものだった、恐らくこれがこの女の本当の喋りかたであり実力の一端が垣間見えたというわけだ。

「そんなに怖い顔をしないでくれ、確かに君の言うとおりこの国の危機にはなりうる可能性があるかもしれぬが、しかし、そんなに危険ではないよ。私はこの世界を滅ぼすとかそういうものに興味はないのだよ、私の目的は一つだけなんだ、私の目的はこの世界の平和を守ることだ。だからこそ魔王を殺そうと思っているんだ、もちろん、君を殺すことも選択肢にはあったが今回は仲間になるみたいだし殺すのは止めたのさ。それで、私の話をどう思った?まあ今の話を聞く限りでは何もかも嘘にしか聞こえないだろうがね、だがこれでも私は結構必死にやっていてだ、信じてもらえないかもしれないがどうか理解してほしい、それに君だって何かの目的があって魔王に近付いたんじゃないのかい?」

「え?それって」

勇者の顔には明らかに動揺が走っているようだった。それもそのはずだ。この俺に魔王を殺させないで欲しいと言われたのであれば誰だって同じようになるに決まっているからである。しかし勇者にそんな反応は求めてはいないので俺の気持ちはどんどん落ち込んで行く。しかしそんなことでめげてしまっても仕方がないので勇者の問いにはしっかりと答えることにする。

俺の目的はあくまでも俺自身を鍛え上げることである、そのために魔王を利用して強くなっていただくことこそが今回の目的であるのだ。だからこそ俺には、勇者を仲間にすることは、この世界を救う為ではなく自分を強くするための行為であることを理解してもらう必要があったので先程の質問に対しては少し遠回しな回答をしておいたのだがどうやらそれは失敗だったようだ。それなら直接答えを伝えればよかったかもしれないが、もしそこで相手が俺の言葉を信じてしまった場合逆に怪しまれる可能性があったために、ああいう風に話したという訳だ。

それから俺たちは魔王の元へ向かいこれからの計画について詳しく説明した。

「成程、魔王軍を裏切るのではなく魔王軍の力を使って勇者を殺すか。これは盲点だった、しかし悪くない方法だろう、勇者を一人殺すだけで他の勇者を倒せるほどの力を手に出来る可能性が出てくるというのは」

「では了承してもらえるということですね?」

「ああ構わないとも」「有難うございます。それでは私たちは魔王軍の本部へと向かうことにしましょう」

俺はそう言って勇者と魔王を連れて魔王城の外へと向かった。そして魔王がこの世界の勇者と対面したのは魔王と勇者の戦いが始まってすぐのことであって俺はその間ひたすら隠れていたのである。魔王にはもしもの時に助けに入ってほしいと言われていたのでその時はすぐに行動が出来るようにしてはいたがやはり勇者の方が魔王より圧倒的に強かった、だからこそこの場で戦いが始まったのならば勇者の勝利で終わっただろうと予測できた。俺は一応戦いが終わっているかを確認してみることにした。

すると、予想していた通りに勇者は魔王を倒しており俺の方へと向かってくるところであった。俺は、すぐさま姿を現して勇者の前に立ち塞がる、すると案の定俺は、この女に狙われてしまった、なのでこの場からはなるべく逃げることを考えた方がいいと判断し勇者との追いかけっこを開始することとなるのであった。

俺は勇者に追われ逃げ回る羽目になってしまった。

勇者の攻撃を避けるたびに俺は魔王に近づいていくという構図になっておりこの場を打開するには魔王に勇者を止めてもらうしかなかったのだ。しかし魔王も俺を助けようと動いてくれることはなかった。そして勇者の一撃を避けたところで俺は、ついに壁際まで追い込まれてしまうのであった。

この絶体絶命とも言える状況を何とかする方法を考えた結果、一対一で戦うことは避けるべきだと考えた俺は、魔王の力を利用することに決め魔王を召喚して、勇者に魔王と戦うように頼もうとした、しかし俺の考えは読まれてしまっていたのか、魔王は勇者によって既に倒されてしまっているのだった。

この状況は非常にまずい状況である。勇者と俺の間にはかなりの力量差がある、つまり今の状況は絶望的な状況であると言える。しかし、このまま大人しく殺される訳にはいかないので勇者と戦って勝つ以外の方法で生き残ることを模索する。

そして俺は勇者と戦わなくとも魔王城に戻ることが出来ればどうにかなると思いこの世界の支配者を目指すための最後の手段として魔王城への侵入を考えていたのだ。この世界の支配者になればこの世界で何をしようと勝手ということが出来る。そのため魔王城にたどり着くことは俺にとって必要不可欠であったのだ。

それから俺は魔王城の中へと入って行き勇者を撒いたあと魔王が居ると思われる部屋まで辿り着くことが出来たのである。そこには、魔王の姿は確認できず代わりに一人のメイド服を着た可愛らしい少女が存在していた。

俺には、目の前の少女が何者なのかという疑問よりも何故この場所にいるのかについて考えることが優先事項であった。もしかすれば魔王がこの部屋にいない理由はこの女の子と戦闘をしていたということが考えられるため俺は、この少女にも事情を説明し協力を要請することにしたのだ。

俺はこの魔王軍での地位を手に入れるために協力してもらいたいということと俺自身が勇者によって殺されかけているということを簡潔に伝えた。

その結果として彼女は、勇者の足止めに協力することを了承してくれ俺はなんとか命拾いすることに成功した。

こうして俺はこの世界を支配するための一歩を踏み出すことに成功するのだった。そして魔王を倒した暁にはこの世界の王となることを心に誓うのであった。

それから勇者は俺を追いかけてきて魔王を殺した後に魔王の力の所有権を奪うという計画を立てていたために俺はこの世界の王様になってこの世界の全てを支配するためにも急いで魔王の元に急ぐことにしたのである。しかしそんなことは勇者は許さないとばかりに俺の前に現れたのである。

「やぁまたあったね。君が魔王を倒すことはわかっていたからね。魔王を庇う君を排除するのは勇者としての使命でもあるから、おとなしく死んでもらうよ。しかし君も諦めが悪いようだから君だけは特別に生かしてあげることにするよ。そのかわり君は一生僕たちの奴隷となって生きていくことになるだろうけどね」

勇者の目はまるで獲物を捉えたかのような眼差しであり、完全に俺を仕留めるという覚悟のようなものを感じた。俺はこの勇者に対して何も打つ手がないように思えたがここで一つの奇跡が起きるのだった。それは、俺が今までに倒してきた魔物たちの中から強力な個体が突然現れたのだ。しかもその個体のステータスを確認したところ明らかに今までの魔物とはレベルが違うことがわかった。それだけではなくステータスの数も非常に多くさらにはスキルの数なども尋常ではなかった。どうやら魔王の力を手に入れたことで俺自身のレベルが大幅に上昇したらしい、これにより俺は一時的にではあるが勇者を超える存在となっていたのである。しかしだからと言ってこの圧倒的な戦力差はどうしようもないほどのものなのだがそれでもやらない訳にはいかなくなった。このチャンスを逃してしまえば間違いなく死ぬと思ったからである。

まずはこの勇者を倒すためには時間を稼ぐことが必要であると踏んだ、そこで魔王をすぐには呼び出さないで時間稼ぎをする為にも勇者と一対一で戦うことを決める、それからしばらくの間激しい攻防が繰り広げられたが、俺は徐々に勇者を追い込むことができてきた。そこでさらに勇者の油断を引き出すことに成功できた。俺はその隙に渾身の一撃をお見舞いする。するとその一撃は見事直撃することなった。そしてその攻撃をくらった勇者は気を失ったまま倒れ込んだのである。それを見た俺は勇者を殺すのをやめて魔王を呼びに行くことに決める。この勇者が目を覚ましたとしても今度こそ俺に勝ち目がないことは明らかであるためである。しかし俺はこの時すでにあるミスを犯していた。それは勇者との戦闘に集中しすぎて勇者の仲間のことを一切考えずに行動してしまったことである。俺が勇者と戦っている間に他の仲間たちが動き出してしまっていたのである。しかし幸いなことに仲間の一人が仲間の中で一番実力が低くまだこちらの動きについてきていなかったために俺が仲間の存在を確認すると同時に魔王は現れてくれたのだった。

魔王が俺の元へ駆けつけてくれるのを目にした俺は勇者たちを全員殺すことを決意する。

魔王は勇者たちと互角の戦いをしていたがやはり魔王のほうが圧倒的に強く勇者たちはどんどん追い詰められていき一人残らず殺される結果となった。それを見届けた俺は魔王の力を奪い魔王城で待機しているように伝えると勇者たちに止めを刺すべく動くのであった。

勇者たちの内のリーダー格の男の首を切断して俺はその死体に魔王の心臓を埋め込んでみる、果たしてどのような変化が起こるのだろうか。そんなことを考えながら勇者の仲間たちの死体を集めて俺はこの城を後にすることにしてその場を離れた。その後、勇者が死んだことによってこの世界を支配していた悪しき魔族は死に魔王が復活するのであった。

俺は魔王が復活し勇者を殺すことに成功をしたと報告を受けたため俺は勇者の元へと向かった。それから勇者が目をさましたのでこれからのことについて話し合うことになる、その際に俺はこの世界に召喚される前に見た夢が実は前世の自分の記憶だったのではないかと言うことを伝えるが信じてもらえるわけもなかった。そこで、魔王を勇者に殺させるよう頼み俺はそのタイミングを見計らい勇者を殺してしまおうと考えていたのだ、しかしそう考えていた俺の考えとは裏腹に俺はなぜか魔王と戦うことになった。そしてその結果俺は敗北し、殺されてしまうのだが俺が殺されたことで、魔王が勇者を殺すことに成功してしまい勇者がこの世界の王となってしまったのである。

俺は、魔王に自分が魔王になった場合どんな国を作りたいか尋ねる。それに対して魔王は、人間を奴隷のように扱う国にしたいと答えたのだった。俺は、そんな魔王の願望を聞きながらも俺は、この世界を征服することを誓い魔王を味方につけておくことに決めた。そうして魔王の願いを叶える為、俺は、勇者の暗殺を試みる。それからしばらくが経ち、俺は勇者が魔王を殺しに来る日を待ち続けたのである。そしてついに勇者が現れるのだった。しかし勇者が連れて来た部下の中に以前勇者と行動を共にしていた聖騎士が混ざっていることを確認した。しかし俺は動揺することなく勇者が魔王のところにやって来るまでの時間を有効に使うため勇者が居ない間に魔王の部下たちを使って人間と戦争を始めることに決め実行に移す。しかし俺はその時勇者たちが俺を警戒せずに行動していたせいもあり勇者に見られてしまうという失敗を犯してしまう。だが結果としてそれが功を奏して俺は勇者の意識から完全に外すことが出来た。こうして魔王の城では勇者を倒そうと魔王軍と人類軍が激しい戦闘を行うことになりその結果、魔王軍の圧倒的勝利で終わった。

俺は魔王が倒されたことにより魔王城での生活が始まりこの城の新たな主となった。それからしばらくは平和な時間が過ぎていった。しかしある日勇者が再び魔王の前に現れたのである。俺は当然魔王を守ろうとするがしかし勇者が魔王を殺した時俺も同時に死ぬという条件を提示されてしまう。俺は魔王を守るか自分を犠牲にするかで悩むが、魔王を守り続けても俺の命は長くはないと判断し魔王を守るためなら俺自身が死んだほうがいいと考えた。しかし勇者との戦いに敗れ、俺は死んでしまうこととなる、しかし最後に勇者は俺の死を嘆いてくれており俺の最後の言葉を聞いて涙まで流してくれたのだった。俺が残した言葉の内容は魔王の敵は必ず討つというものだった。そして俺の魂は再び現世へと帰還を果たした。そして俺は復活してから魔王軍の強化を始めたのである。まず最初に行ったことは人間の支配だ。それから俺の支配は進み遂に魔王軍は世界を支配することに成功するのであった。

魔王が倒されてから100年が経過しようとしていた、その頃世界は完全に魔王の手に落ちており人間は、魔物の奴隷のような扱いを受けるようになってきている状況で魔王軍は魔王によって強化されている最中であった。そんな中俺の元に手紙が届く。そこには勇者が生きていることが書かれていたのだった、しかしそれは、あくまで生きていただけであって現在は既に勇者ではないとのことらしい、しかしそれでも十分に危険であることに変わりはなかった。そこで魔王に勇者についての詳しい情報を教えて欲しいと言ったものの勇者のことについての情報は何も得られなかった。それから俺は魔王城に居る魔王軍に勇者のことを伝え勇者が魔王を殺す為にまた戻ってくることを警告し魔王城には厳重に注意するように伝えたのである。俺は、再び魔王を守るために行動することを決意して、その準備を進める。そして、魔王と人類の全面対決の時はすぐそこまで迫ってきていた。私は魔王軍の中でもトップクラスの実力者であったが勇者が現れ私を倒すという任務を遂行することが出来ずに勇者はどこかに行ってしまったのである。私は、魔王様に忠誠を誓うと同時に勇者に対する復讐を果たすための準備に取り掛かった。しかし私の思い通りに行くはずもなく私が勇者の足取りを追うのを邪魔する者たちがいた。しかし、そんな障害は関係なしに突き進んでいくととうとう勇者を見つけることが出来た。しかしその瞬間勇者が魔王を庇って死んでいったのだ。私は怒り狂いながらも魔王に攻撃を加えた、しかしそれは魔王の手によって防がれてしまった。

それからというもの魔王による徹底的な反撃が始まる。それから数日が経過した頃ついに私は、完全に追い込まれ命の危険を感じるようになっていた。そのため最後の賭けに出ることにする、しかしそれは上手くいくことはなく結局は私は死ぬことになってしまうがその直前に、勇者を殺すことは出来た。それから数日後勇者が蘇ることを信じながら、その日を最後に私の人生に幕を閉じたのである。

勇者に殺されたはずの俺が生き返り魔王が復活する。そして魔王の味方として俺は勇者と戦い勇者を殺すことを決意する。

魔王が復活をして俺は早速勇者の捜索に向かう、その道中には魔王軍の手下の魔物が大量にいたが今の俺にかかればそんな魔物どもは相手にならなかった。俺は勇者を探すためにとにかく走り続ける、途中で俺を倒そうとした魔物や魔族が現れたりもしたが、全て蹴散らした。するとついに俺の前に勇者が姿を現す。俺はすぐに戦闘態勢に入ったが勇者は突然笑い出した。

「フッハッハ!まさかここまで強いとは思わなかったよ」

「何を笑っている?」

俺は、目の前で高らかに笑う勇者を問いただすが勇者はその態度を変えることはなくそのまま喋ったのだ。

「まぁ僕が死ぬことはないんだけどさ、君を試したかったんだよねー。それにしてもこんなにも強いなんて驚いたよ、君は本当に魔王を倒したんだね。じゃあ僕の負けだ、でも今度は簡単にはやられないからな!」

そう言って勇者は剣を地面に刺して立ち去ろうとする。俺はそんな勇者を逃がさないように攻撃を仕掛けるがその攻撃は、当たらなかった、俺はその事実に対して驚きを隠せなかったがそれでも勇者は俺の攻撃を全て避けて逃げ切ってしまったのである。俺は、その後魔王の元へ帰ることに決め勇者を魔王の元へと案内することにする。俺は、魔王がどこに居るのか知らなかったため探すことになってしまったがようやく見つけた魔王は何故か傷ついていた。

「どうしたんだ、一体何があった!?大丈夫なのか?魔王!」俺は、すぐに魔王に近づき魔王に声をかけたが魔王は、何も話してくれず俺の質問を無視して去っていこうとする、しかし俺は魔王がなぜこのような状態になっているかを知りたい一心だったため無理やりに魔王を連れて行くことにしたのだ。

魔王は、魔王城を追い出されてしまう。俺も魔王を連れ戻した功績を認めてもらえる代わりに城を追い出されてしまったのだ。

俺は、これからどうすればいいのかわからずにいた。するとそこに一人の少女が話しかけてきた。

「あの〜すみませんが勇者を探しているんですけど見かけませんでしたか?もしかすると魔王城に居るかもしれないと思って来たのですが、やっぱり居ないですよね、そうですか、それでは私は行きますのでご協力ありがとうございます。」そう言って去っていったのである。俺はこの女の子に勇者について教えてもらおうと思った。そう考え俺は、この少女の後を追いかけることにしたのである。

-side神崎直人-end 俺の目の前に居た美少女は、俺の話を聞くと俺のことをじっと見つめてきた。

俺はその視線に耐えられず目を逸らすと、彼女は、勇者について知っていることを話し始めてくれた。しかし、その内容はあまりにも残酷なもので、俺は、勇者と出会えば必ず戦うことになるだろうと確信することができたのである。それから俺はこの世界に来てからの事を包み隠さず彼女に話すと彼女は俺に興味を持ったようであり、一緒に行動してみたいと言ってきたのである。

そして俺はこの世界での初めての仲間を手に入れることになったのだ。

彼女と一緒に行動することで俺が得られる利益もあるだろうと考えたのだ。そしてこの世界で初めて信頼できる人と出会えた気がしてすごく嬉しかったのだ。彼女としばらく行動をしてわかったことはやはり魔王は、人間ではなく魔王だったという事実であったのだ。俺はそれを確信できただけでも収穫だと考え魔王を打倒すべく動くことを決意する、まず俺は魔王をどうやって倒せばいいかを考えるがなかなか答えが出ない状態であったが一つだけ思いついたことがあった。勇者を殺すことだ。勇者が生きている限り俺は死なないため勇者を殺し続けることはできるのだがそれは現実的ではないと感じるが現状それ以外に有効な方法も見つからないためその案を実行していくしかないと判断したのである。

そんな風に考えている時に突如この世界の異変が起こる、そしてその現象が起きている間に俺はこの世界のどこかにいるであろう、魔王と戦わなければならないと思ったのである。俺はまずこの世界を魔王の手中から逃れるために動こうとするが俺一人だけでは難しいと判断しまずこの世界の住民を集める事にする。

俺は、俺と同じような能力を持っている人を探して回っていた。しかし、一向に見つけることが出来ない。俺が途方に暮れていると、目の前に現れた女性に声を掛けられた。

俺は声をかけられたことで咄嵯に反応し臨戦態勢を取ったが、よく見てみれば、それは俺の探し求めていた人だったのである。そこで彼女の方から自己紹介をしてくれたため俺は改めて自分から名乗り上げ、自分の力について説明すると、快く受け入れてくれるということになった。これで俺は新たな仲間を手に入れたのである。しかしまだ安心はできない状況のため魔王の元へ向かっているという情報を伝えた。俺は彼女がどんな能力を秘めているのだろうかと考える、そして俺は一つの結論に至った。この人が魔王である可能性が高いということにだ。そこで魔王かどうかを確かめる為に俺の能力の一つである記憶操作を使う。

結果は見事に成功したのである。

この人は確かに魔王だったのである。そして魔王であることが判明したことで俺はこの人に事情を話す必要があると考えた。しかしいきなり俺に信用してくれるかと言われても難しいだろう。そこで俺は、この人を騙しきってみせると宣言し彼女を騙そうとするが、逆にこちらが騙されるというなんとも情けない結果に終わったのである。

だがしかし、結果的には俺は魔王の仲間になり、魔王の城へと案内してもらえることになったのだ。そして俺達は城へたどり着く、そこは想像していたよりもずっと立派でとても大きいものだったのだ。

「ここが私たちの住んでいる城だよ!さあ入って入って!」

俺の予想とは違い、城の外見は、俺が住んでいた日本にある家より大きくはなかったのである。そこで俺は、魔王を倒さなければならないと考え、戦闘準備を始める。

そしてついに魔王と勇者の戦いが始まったのである。

魔王の強さが俺には到底測ることができない程に強く俺一人ではこの場から逃げ出すことすら不可能だと思われたため勇者を逃がすための時間稼ぎをしようと考える。そして俺の考えはすぐに実行され俺は魔王に攻撃を加え続ける、しかし全く効いていないようで俺は攻撃を止めることができない。するとそこに魔王の部下が現れて俺を殺そうと攻撃をしてきたため、その部下を殺すと、魔王の機嫌を悪くしてしまったようだ。しかし俺はここで負けるわけにはいかないためひたすらに攻撃を続ける。そしてとうとうその時が訪れる。魔王に致命傷を与えることに成功はしたが魔王が俺の腹を貫くという最悪な結果になってしまった。それでも俺は戦いを止めない、すると魔王が何か言っているのを耳に入れるが、もうすでに瀕死の状態である俺には全く聞き取ることができず、意識を失いそうになるのをなんとか我慢し俺は、魔王に止めの一撃を与えることに成功する。するとそこには、俺と同じ姿の男が横たわっているだけだった。

-side勇者-end ------

勇者の奴は魔王を庇って死んだらしい。俺はそんな勇者の行動に憤りを感じていたが、そんなことしているうちに魔王の復活が始まってしまう。そのため勇者を生き返らせようとしたが、なぜかそれができない。おそらく勇者の魂は死んでいて蘇らない状態になっていると考えられる、つまり勇者の体を魔王が使っているのだ。俺は魔王と戦う決意をする、魔王は、圧倒的な実力を持ってして俺に襲いかかってきた。しかし俺は諦めなかった、絶対に勝てるはずがない、それでも俺が勝たなければならないんだ!俺がそう思って攻撃を繰り返していると急に魔王が苦しんでいるように動き出した。その瞬間俺は魔王が何者かに操られていることを悟り、俺は必死で抵抗するが無駄に終わり、魔王の体は完全に乗っ取られてしまう。

俺は魔王としてこの世界の頂点に立った。

そんな時に、勇者の気配を感じたのでそちらの方向に顔を向ける。

「やぁ僕は君の事を倒しに来たんだよ」そう言いながら目の前に姿を現したのは僕がこの世で最も憎む存在、勇者である。

-side勇者-end ---

俺の名前は、佐藤勇斗 ごく普通の男子高校生である、突然俺の前に現れたのはこの世界で最強と言われる存在である勇者であるのだ 勇者は俺に向かって語りかけてくるが俺は無視することにした。

そんな時突然勇者の目の前にいた女性が消えてしまい、気がついたら俺は勇者の攻撃を避けるのに集中していた。勇者はどう見ても本気で殺しに来ていたので避けるしかなかったのだ、すると突然勇者の動きが変わり俺は窮地に陥ってしまうがどうにか切り抜けることができたのだ、するとまたすぐに次のピンチが訪れてくるがそれもギリギリのところで何とか回避することができていたのだ。その後も勇者の攻撃を回避し続けるの繰り返しだったが遂にその日が来たのだった。俺の目の前から突如魔王と名乗る人物が消えたのだ、その事実に俺はとても困惑してしまうが、とりあえず勇者と話をしてみることにしたのである。勇者もどうやら魔王を討伐したらしくそのことを俺に伝えてきたが、俺は、信じられない気持ちになったのだ、俺と勇者ではあまりにも実力が違い過ぎるため魔王を単独で倒したなどとはどうしても考えられなかったためだ。しかし、勇者は嘘を言うような人間ではないということは分かっているので恐らく本当のことなのだと思う。

そして勇者は、この世界について教えてくれないか?と言ってきたので俺が知る限りでは話をしたのだ。そしてその後少し会話をしているうちにお互いに理解ができた。その後お互いの意見を交換し合いこの世界を一緒に脱出するという決断を下したのだがそこで勇者はあることに気付いてしまったようだった。俺は、勇者の話を聞くがその内容は余りにも衝撃的な内容だったために、どう反応すればいいのか分からずにいた。

すると、そこに一人の女の子が現れたので俺は、警戒を強める、しかしその女の子の自己紹介を聞いた後に俺は安心することができたのである。その少女の正体は、勇者の仲間であったのだから当然の話である。そして俺は、魔王に攻撃を仕掛けることにした。しかし勇者に俺の力について説明を求められたため俺はその話をしてあげることにした。勇者はその能力を見て驚愕しており、俺はそれを見ながらこれからのことを考えるのであった。しかしそこで俺は勇者から質問を投げかけられる。それは魔王を倒すためにどうしたらよいかということだ、そこで俺は魔王を庇うような行動を取って勇者が魔王を殺すように仕向けてみた。

そしてその結果、俺と全く同じ姿の少年が現れて俺に戦いを挑んできたのだ。そして俺はそれに勝利することができるが魔王によってこの体は奪われることになる。俺は勇者がこの世界でどのように生活して行くのだろうかと考えた。俺は魔王に殺されるまで勇者を見守っていようと決めたのであった。

-side勇者-END ---side神崎直人-end 俺は勇者に問いかけてみる、勇者は俺の事を疑ったようではあるが最終的には、俺の話を受け入れてくれたのである。そこで俺は勇者に対してこの世界を抜け出すための計画を勇者と話合うが俺はある重要なことに気づくことになる。勇者の魔力が強すぎるということである。

勇者と二人で旅をしながら魔王を探していくという方法も考えなくはなかったが勇者一人だけならばいざ知らず二人もとなると、どうしても戦力が足りなくなってしまうのである。そして俺は考えを張り巡らせる、この世界から脱出するための方法を。俺は、俺自身の存在がこの世界に与える影響を考えると魔王を俺の姿に変えて、俺の配下になるという条件を出せば、簡単にこの世界から出ることができるのではないかと思う。魔王の見た目は黒髪で身長は高く、そして何よりも美形だ。これくらい条件を満たせる人物はなかなか見つからないはずだ。そして俺は魔王を探そうとするがそこで俺の目の前からいきなり魔王が現れるのである。

そこで俺は魔王の配下になってもらうための説得を開始するがやはり断られてしまったのだ。

そこで俺は魔王の能力を自分の能力を使い調べる。そして俺は一つの答えに行き着くのである。魔王の能力は、魔王自身の姿や魔力などを他の生物に変える力だと言うことだ。俺は魔王が姿を変えられないタイミングを見計らい、魔王が変身できる姿を自分の体と完全に置き換えることで俺は無事にこの世界を脱出することが出来たのである。

「ねぇ君の名前は?」「えーと僕の名前は直人だよ」「ふぅんそっかぁよろしくね!じゃあ早速で悪いんだけど、君は僕と一緒に魔王城へ行かないと駄目なんだよ、そこでまず魔王を倒してくれないかな、まあ多分余裕だと思うけどさ」そういって僕の前にいきなり魔王があらわれる。「魔王様!お迎えにあがりました」そこで、俺は自分がこの魔王の配下になってしまったということを改めて実感させられることになったのである。

-side勇者-end ---side神崎直也-end 俺は魔王に名前を聞かれたので正直に答えることにした。そして名前を教えた直後俺の体に違和感を覚える、何かが自分の中に入り込んでいる感覚があったのだ。しかしそんな俺の様子には全く気付くこともなく魔王は自分のことを僕と呼ぶことを決めると、魔王城へと移動を始めるのである。そして魔王城へ到着した俺を出迎えたのはなんと勇者であり、勇者と魔王の直接対決が開始されるのである。

俺の想像をはるかに超える実力を持った魔王と勇者との戦いは苛烈を極める。しかし勇者には決定的な攻撃を当てることが出来ず、どんどん勇者の方が追い込まれていきついには追い詰められたのだ。そして俺の目の前に突然現れたのは俺そっくりの男だ。しかし勇者が俺のことを心配してくれていたようだ。俺としては嬉しいことこの上ないことだが。

しかし、ここで魔王が俺に話しかけてきたため魔王に集中できなくなってしまった。

しかし魔王の話を聞けば聞くほどこの魔王が悪い奴じゃないことは分かる。そしてこの魔王なら信用しても大丈夫だろうと思い、俺は協力を頼むことにしたのだった。そして魔王は、魔王の能力で俺の姿を魔王と同じような姿に変化させることに成功する。俺はその状態で俺を襲ってきた勇者と戦うが結果は俺の圧勝に終わる。そして俺は魔王と共に魔王城を探索するのである。そこで俺は魔王のスキルを鑑定すると、そのどれもが強力であることに気付き、更にこの魔王が本当に善人であることが分かったのだ。そんなことを考えている内にいつの間にか俺達はこの魔王の住む城の最上階に来ていたのである。

そこで俺は、魔王がこの世界の魔王であることを確信するが、同時に疑問が生まれる。この魔王を俺の手で殺さなければならないのだと、俺はこの世界で生き残るためには強さが必要なのだと思い知ってしまったのだ。俺はこの魔王を殺してしまうことを心の底ではとても嫌だと考えているがやらなければならない。俺は意を決して攻撃を開始しようとしたが俺はその前に一つ気になっていたことがあったのでそれを確認することにした。

「お前は、人間を皆殺しにしてしまおうと考えているのか?もしそうだとしたら俺は手加減しないが、それでもいいのか?それでもやるっていうのであれば今すぐに始めるが」俺の言葉を聞いた途端魔王の纏っていた雰囲気が変わった気がしたがそれでも構わず俺は魔王と話すのである。魔王は、最初は少し動揺していたが俺に説得され、話し合いをすることに決めたようだった。

「俺は、別に人間を滅ぼすとかそんな大層なことは考えてないんだ、でも、俺にとって人間はただの脅威でしか無いんだ、だからいつか滅ぼすと思う」そんな言葉を吐き出し続けていると、とうとう俺は、勇者の攻撃を食らうことになりそうな場面が訪れるが俺が攻撃を反射したことによりどうにか事なきを得た。そして俺と勇者はお互いに戦いを続ける。

勇者の攻撃を防ぐたびに俺は、俺が死ぬ未来が見えてくる。

勇者の攻撃を受ける度に俺の寿命が縮んでいくのを感じる。

そして俺はどうにかこうにか反撃の機会を得るが、俺は俺を殺すために勇者と戦っているのではないのだ。俺の命は後僅かしか残っていないが、このまま何も出来ずにいるよりはいい。俺が死んでいる間この世界にもしものことがあったらと考えてしまい俺は勇者と戦い続ける。

そんな中勇者の一撃がついに俺に当たりそうになってしまう。

その時、突然勇者の動きが鈍り俺に隙が出来てしまう、そして俺は勇者の攻撃を回避する。俺はその隙を利用し魔王の方へ目を向ける。魔王は何が起こったのか分からず驚いており、勇者も何が起こっているのか理解できていないようであった。そして俺は、勇者の動きを止めることができるかもしれないと思い、試しにやって見ることにした。俺は勇者に向けて手をかざして、魔法を放つことにする。俺は、俺を殺すためではなく時間を稼ぐための目的で魔法を使うことにしたのだ。

そして勇者に対して放った魔法によって勇者の行動が一瞬だけ止まった瞬間を逃さず俺は行動を開始することにして全力で勇者に接近して俺の持つ全ての力を込めて剣を横に薙ぎ払った。そして俺の剣は確実に勇の腹部へと突き刺さったはずなのになぜか斬ったという感触がなかったのだ。そこで初めて自分の力が強すぎて相手の肉体を通り抜けてしまっているということに気がつく。そこで慌てて距離を取るがもうすでに遅く、気が付いた時には魔王による圧倒的な力で押しつぶされて俺は死んだのだ。

-side神崎直人-end ---side神崎直人-end 俺は勇者に攻撃を仕掛ける。俺が持つ最強の技を持ってして、そして俺の体は光となって勇者の元へと飛んでいき、その光の塊は勇者を飲み込むように包み込んだのであった。そして俺は、これで終わりだと完全に思い込んでしまい、安心しきってしまっていたのだ。しかしその油断が命取りとなってしまう、勇者は、自分の腹に俺が使った武器を突き刺し俺にとどめをさした。しかし勇者はその事に気付かなかったようですぐにその場を離れていくと姿を消したのである。

-side神崎直人-end こうして俺は、魔王を倒すことができたのだ。そしてこの世界に来た時からずっと気にかけていたことを魔王に尋ねてみることにしたのだった。

「俺は、なぜ魔王を倒した後も生きているのですか?」俺がそう尋ねたところ、なんと魔王が説明を始めた。その内容をまとめてみるとどうやら俺は魔王の手によって生き返ることが出来たようだということが分かった。そこで俺はこの魔王と取引を行うことにしたのだがその結果として、この世界を救う手助けをしてもらえることになった。また、それと同時に俺を配下に加えるということも言い出してくるのである。

俺はもちろん拒否するつもりであったが魔王があまりにもしつこいため渋々了承することになる。そしてその後俺の意識は徐々に消え始め、魔王に殺される直前、俺は再び異世界へと旅立つのであった。

------side勇者-END ---side神崎直人-end

「さぁ、これから君は僕がこの世界で生きていけるように協力してもらうよ、僕を一人にはしないって言ったもんね。」「あぁ、分かった、それで俺がこの世界で生きていけるようになるためには何をすればいい?」「うーんまぁ簡単に言えばこの世界にあるダンジョンをクリアすることだね」そう言うと俺は突然目の前に出現した真っ白な部屋へと転移させられる。そこで俺が目にしたものは巨大な機械のようなものだった。

その装置を見て何となくだがこれがどういうものなのかを察することができた。そして俺はその装置を操作するためのキーボードの前に座る。するといきなり俺の隣に魔王が現れる。俺はそんな状況に対して全く動じずに、キーボードをいじり始めた。すると俺の前にウインドウが現れそこには『レベル1』『称号なし』といった項目が並んでいた。

俺はそれを全て消去してから別の項目へとカーソルを移動させる、『能力付与 魔力強化LV2』『スキル習得 魔力増強』そして最後に一番下にあるボタンを押して終了させた。

すると次の瞬間俺の手の中に一振りの短刀が現れたのだ。そしてそれを見た俺は直感的にそれが凄まじい能力を有していることが分かり、これさえあればどんな敵だって倒せるのではないかと感じてしまった。そして俺はこの短刀を使ってこの先どうやって戦っていくかを思考し始めたのだった。

「さぁ!君はここから強くなって僕が生きるのを手伝ってもらうよ」魔王の言葉を聞いた直後、いきなり体が浮遊するような感覚に襲われ視界が真っ暗になった。

そして気がついた時、俺は森の中に倒れていたのである。そしてその森の中にはたくさんの種類の動物がいた。

しかしそんな生き物達にも共通している点が二つあった。それは、普通の動物よりも遥かに強いということと、明らかに魔物に分類される生物だということである。そして俺の前にゴブリンの群れが現れたのはそんなことを考えているときのことだった。そして俺はその状況を好機とみて俺はその魔物を倒そうと決意する。そして俺の持っていた武器は短刀であるため接近戦に向いていると考えて俺は早速目の前の魔物に対して戦闘を開始しようと走り出す。そしてある程度近づいた時に俺は急ブレーキをかける。すると後ろから突然何かが自分の方へと近づいてくる気配を感じたからである。俺はそれを回避するために地面を蹴る勢いを急激に上げた。そして俺の後方から来た攻撃を何とか回避すると、そのまま俺は一気に前へ出てゴブリンに向かって斬りかかった。その斬撃は確かに直撃したもののゴブリンには致命傷にはならなかった。そのため俺はすぐに後ろに下がると追撃を加えようとしたがその前に攻撃が来た方向を確認してみることにしてみるとどうやら木の上からこちらを狙っているスナイパーの存在があったのだ。そしてさらに厄介なことにはそのスナイパーが魔法を使用してきていた。しかし俺は特に焦ることなく冷静に対応し始める。そして俺のことを狙い撃ちしていたその魔法の射手は、突如飛来してきた氷の礫をその身に食らい呆気なく退場してしまう。そして残りのスナイパーの方はというと既に逃げ出していたのだった。

そしてそのあと俺は、森の探索を続けていき様々な種類の植物を発見したものの結局食べられるものが一切無かったことから、この辺りで食料を調達するためには、もっと危険な場所を探さなければならないということを痛感したのだった。そこで俺はまだ日が昇っている内にこの森を抜けることを決意して歩き出そうとしたがその時あることに気付いたのである。そう、自分が所持している短刀の刃こぼれがひどくなっていることに。そこで俺は一度休憩をとることに決めた。そしてしばらく休息を取っている間にこの短刀の能力について調べておくことにした。

まず初めに、鑑定の魔法を使ってみたのだが、その結果驚くべき事実が判明したのである。なんとこの短刀は、魔王のスキルと魔導王の加護が付与されていることが分かったのだ。それにより俺は、そのスキルを使用可能になると同時に俺は、スキルを使用するために必要な知識や情報などが頭の中に入ってくる。そしてそのスキルが魔王の武器庫であることが分かったのである。これにより俺は、魔王に俺が死んだ際に魔王の力によって生き返らせてもらったことや魔王は実は魔王ではなかったこと、俺が魔王を倒して手に入れた力を有効活用してほしいことなどの知識を得られたのだ。俺はそれらの情報を確認するととりあえずはこの武器の使い方に慣れる必要があると感じて、俺は魔王によって授けられた能力である魔王武装の使用方法を練習するために魔王武装の使い手となった時の感覚を思い出すことにする。魔王武装は、魔王の魂を自分の中に入れて使うことで自分の中に存在している魔王の能力を使うことができるというものだった。

そして魔王武装の最大の利点がこの能力を発動することで魔王のステータスを参照できるという点であった。その恩恵により俺が獲得した魔王武装のスキルは『魔剣作成』であった。そしてそのスキルを使用することでこの世に二本しか存在しないと言われている伝説の剣、神龍剣と悪魔剣を使用することができるのである。しかし残念ながら今の時点で使用可能なのはそのどちらか一つだけであり、魔王武装を使用せずに使用するとなるとこの武器の性能を全て引き出すことができないため非常に使い勝手が悪いものであった。そのため俺がこの場で使用できるのは魔王の武器である魔王の剣だけであった。

俺が魔王の剣を振るとそこに現れた空間が斬れたのだ。

しかしそれだけでは終わらない。魔王の剣を振ったことによりそこから黒い炎が飛び出てきて近くの魔物を燃やした。この能力は魔王の武器のなかでも強力なものであるということが分かる。なぜならこの黒炎はあらゆる物を焼き尽くしてしまうからだ。しかし、いくら強力とはいえ魔王武装に魔王の魂が入っていなければ使用できないため、やはり使い勝手はそこまで良くはない。そこで俺は魔王の剣をアイテムボックスに収納すると次に魔王装備である指輪の機能を試してみることにする。このリングに装着されているのは全てが魔王由来の物となっており魔王の固有結界を展開することが出来るのである。

この世界は一つの国と無数の国が群雄割拠しており常に戦争をしている。この国は俺の国ではないため俺としてはあまり関係の無い話ではあるが、この国の周辺国家はどこも仲が悪く頻繁に紛争が起こっているらしい。そしてこの国はその中でも有数の大国なのだが他の国々と比べて最も国力が高い理由は、勇者の存在が大きかったからである。この世界の人類が召喚された勇者は、基本的に魔王を倒すか封印をするまでの間、この世界で生きることになるのだが、勇者は特別な存在とされており勇者が存在する国には必ず魔王が攻め込むようになっているのだ。そこで俺は魔王城がこの近くにあると推測した。そしてその予測が当たったようで俺の前方10キロ先に禍々しいオーラを放つ巨大な城が見えてきたのである。俺は魔王城に突撃したい気持ちを抑え込んで俺は一度拠点に戻ることを決めた。そして俺は自分の持っている全ての魔王シリーズを装備して準備万端の状態で再び魔王城に足を踏み入れたのだった。

---side???-END ---side神崎直人-end 俺は、魔王に貰った能力を駆使して魔王城を進んでいったのだがどうもこの魔王城の難易度がおかしいほど高いのだ。というのもこの城は、罠が大量に設置してあり、それを全て回避しなければ魔王の部屋に行くことが出来ないのだ。そして魔王は、そんな俺に対して親切なのか嫌がらせなのか分からなかったがこのダンジョンを突破出来ないようなら魔王に勝てるわけが無いと言い切ったのだ。そして俺にこの試練を課すだけ与えて自分は楽々この先にある魔王の間へと進んでいくのだ。そんな理不尽な展開のせいで魔王が居なくなってからもずっと魔王への憎しみを募らせていくことになった。

---side神崎直人ーend ---side??-END 俺はついに魔王の間にたどり着いた。しかしここで大きな問題が発生する。その問題とはこの部屋には何故か門番が存在しないことである。しかしそれでもこの部屋にいるボスは今まで戦ってきたどのモンスターより強いだろうということは容易に想像がつくので油断することなく部屋の扉を開けた。

そしてその先に待っていたのは圧倒的な存在感を持ったモンスターであり、そいつは明らかに人型をしていたが、その見た目はまるで人間の女性そのもののように見えた。俺はそんなことを思いつつも戦闘態勢を整えたがすぐに異変に気付く。そしてその異変というのがその相手が全く動こうとしないのにも関わらず強烈な威圧を放っているということである。そして相手を観察することによってようやく分かったことはこの敵には感情と呼べるものが存在しないということであった。

そこで相手が行動を開始するまでの時間を利用して俺は魔王から教わったスキルである魔王武装を使用し魔王の力を借りることで、魔王武装が使用出来るようにしたのだ。それにより使用可能となった魔導王の加護の効果の一つ、魔術解析を使用した結果、俺はその敵の正体を知ったのだった。しかしそれが判明したところで既に時は遅く相手の術に嵌められていた。

その攻撃とは俺の周りに張り巡らせたトラップの起動であった。

そして俺はその攻撃で死に至ることはなかったものの、体の半分以上が消滅してしまった。そして俺はその代償としてこの階層にいた全生物の命を奪い、俺は、レベル99になってしまった。そこで俺の意識は闇の中に消えていった。---Side??-----

私は遂にこの時を迎えた。私の目の前には、魔王が立っていたからである。魔王と初めて対峙したときは本当に死ぬと思ったが私にも運というものがあったのかこうして生き延びることが出来たのである。だが魔王を殺さないという選択肢はなかったし、私が生きたい理由がこの世界に復讐するためだったのもあり結局殺すことには変わりなかったのだがこの選択をしたことについて悔いは無い。そして今は魔王を殺すために準備を進めているがそれはかなり難航しているようだった。そして何よりもこの世界の住人たちに対して恨みを抱いている者が予想以上に多かったことも想定外の出来事であった。そのためこちら側の勢力を削るために多くの犠牲が出てしまったことが大きな誤算だったがそれももうじき解決することであろう。そして今回の最大の問題は魔王と一騎打ちをして敗北したときにその魂は消滅するという事実が発覚したことだ。しかしまだ手がないわけではない。その方法というのは、異世界からの転生者を呼び出して魔王の代わりに戦わせるというものだ。そうすることでその者をこの世界で最強の存在にすることが可能となりその者と魔王を戦わせて相討ちさせる。つまり、魔王を弱体化させて、この世界を滅亡に追い込むことが可能なのである。

「あなたを絶対に許さない」

私はその言葉を最後にしてこの世から消滅した。そしてこの瞬間に新たな物語が紡がれることとなったのだった。

-----side out 俺の名前は、橘勇二といい、地球では高校生をやっていた普通の人間だった。しかしある日突然異世界で死んでしまい気がついた時にはこの世界で生きていた。

なぜ死んだはずの俺がこんなことになっているのかというと俺は一度死んでいるはずなのに、目が覚めたときには俺は森の中に倒れていてしかもその前にいた場所とは別のところにいたことに加えて、ステータスが使えるようになっていたり、この世界の言語を理解したりと不思議な体験をしたのである。それから俺は森を抜けて街を目指そうとしていたのだが、途中で魔物に襲われたところを冒険者に助けてもらったことから、この世界について教えてもらったりしたのだが、俺が元の世界に帰れる方法は今のところ分かっていないらしくて、結局俺は、そのままこの世界で生きていかなければならないらしい。そしてこの世界で生活するのに必要な資金を援助してくれるという冒険者ギルドという組織について説明を受けて、この世界でも仕事をしなければならないと思い俺は仕事探しを始めた。

俺が最初に選んだ職業は戦士であった。理由は、元々スポーツが好きだったこともあって俺自身剣を使うという経験がありそれに、魔法も使えないためこの職業を選んだのだ。その結果、受付嬢に笑われてしまうという悲しい結末に終わってしまったが俺は、その後なんとか依頼を受けてお金を稼ぐことができた。しかしその時に俺を助けてくれた人は俺のランクが低かったこともあり、あまり稼ぐことが出来ず困っているようだったので俺はこの人に自分の依頼を少し分けてあげることにした。そして無事にお金を手に入れることに成功した俺はその恩人を酒場でお酒を飲みつつ感謝を伝えるとなんとその人がこの街で一番偉い貴族様だということが分かってしまう。そしてその日俺は酔った勢いもあってついつい俺の実力を見せてくれないかと頼んでしまったのだ。そして、その貴族の家に連れていかれて訓練場に行くと、その人と模擬戦をすることになったのだが結果は俺の完敗であった。その理由というのが俺がその人から一本取ることさえ出来ないほどの差があったということもあるが一番大きかったのは、ステータスの違いが原因であった。そのステータスが俺と彼との間に天と地ほどもかけ離れた格差があるということが分かったのだ。そこで俺はこの人の役に立とうと考え直したのだった。しかし次の日から彼の姿が見えなくなった。どうやらどこかに行ってしまったようでそのせいで俺の収入も減ってしまった。

そして俺はしばらく生活のために働くことにした。すると、俺はいつの間にかC級と呼ばれるくらいまで強くなることが出来ていた。この辺りから俺がこの世界で生き抜くための自信をつけ始めたのだと思う。そんなある日に俺は、ある噂を聞いたのだ。なんでも最近この周辺で大量の死者が出ているというものでその正体はゾンビであるという話があった。そこで俺は興味本位で行ってみることに決めたのである。すると確かに大量のゾンビがいたのだが、この世界ではそこまで珍しくない存在であった。なので俺はその集団を倒すことで経験値を得ることがてきるように工夫していった。その作戦が成功してからは俺に近づいてくる奴らがいなくなり俺の生活はとても楽なものとなっていった。そんな俺にさらに嬉しいことがあったのだ。

それは俺が倒したゾンビの肉が高値で売れたということである。この世界でゾンビの肉が美味しく食べられるのは珍しいらしい。しかし俺はそれを喜んで食うような感性を持ち合わせていなかったのでそれを売ってしまうことにする。ちなみに俺は金には困っていなかったのだがなぜかこの世界の硬貨がたくさん溜まっていたのでそのほとんどをそれを売ることで処分した。そしてそのあと、俺のところに来たのはその商人の人で、その人が言うには、その肉は高級食材として取り扱われているためかなり高く買い取ってくれるとのことだ。そこで俺が出したのは金貨が500枚である。俺はそれだけの金額を持っているのだからこれぐらいは余裕だと思って出してしまっていた。そして俺はこの取引によって、かなりの額を稼いだのだがこのお金のおかげでしばらくはこの国に滞在することができると思うととても安心できた。

そしてそんな俺が今何をしているのかというとこの国の国王が開催する闘技大会に参加するために、準備をしていたのだ。そして俺はこの大会に参加して優勝することが目的なのだ。

そしていよいよ俺は王城に向かうことになる。そしてこの国の中で最強を決める戦いが始まるのだった。

---side end ---side?????-end ---side?????-END 私にはどうしてもこの世界を救わなければならない使命がある。そのためには魔王の力が必要になるだろうが今の私では全く魔王の力に対抗する手段が無かったのだ。そこでこの世界に転生してきたあの男の力が欲しかったので、まず最初に魔王に会って魔王を殺してこの世界を救うという大義名分を手に入れた後であいつを殺そうと思っていたのだ。そこで私にとって邪魔な存在は、勇者と神崎直人である。

だが、ここで一つ疑問が生じた。私は、今まで魔王の城にたどり着く前に、他のモンスターの軍団と戦わなければ魔王の間にたどり着けないようにしていたはずだ。そのおかげで私がここまで来た時には、レベル100になっている人間はいなかった。その証拠にこの魔王の間の手前にも罠がいくつもある。

そしてついにその時は訪れた。その扉の奥には魔王の姿がありその魔王はこちらに向かって何か言っていたが無視して魔王の間に入った。そこで見たのは一人の少年であった。この世界ではありえないほど高いステータスを持ちながらも魔王に挑もうとする愚かな人間の姿を。

---side??---

-----

---sideend 俺と魔王がお互いに睨み合い緊張感が高まっていく。そんな中先に動いたのは魔王であった。その攻撃を難なく避けた俺はカウンターを仕掛けようとしたが相手もそれを避けてきたのを見て相手の動きを観察しつつ俺は、相手が次に来る攻撃に対して身構えていたがそれは間違いだった。なぜなら俺は、既に魔王の術中にハマってしまっていたからである。俺の体が魔王の攻撃で吹き飛ばされると、魔王がニヤッと笑う。

俺はこの時、自分の失敗に気付いた。俺は魔王の策略を見抜けなかった。この世界に俺が召喚されてからまだそれほど経っていないし、ましてやまだ一ヶ月も経過していないため、当然と言えば当然だが、それでも油断しすぎた。そして俺は、この一撃を食らえば確実に死んでしまうということが分かっていたためどうにかしなければと思い行動を開始した。その結果俺の目の前に表示された文字を見た。そこには、魔導王の加護、魔術解析、剣術極というスキルが表示されているのを確認した俺はその効果を発動して、俺は魔王の動きを全て読み取ったのであった。

「さあこい」

「調子に乗るんじゃない」

俺は魔王の攻撃を避けて反撃をした。そしてその瞬間、俺のレベルが上がり、魔王の魔力が一気に上昇していることを理解した。

それからは俺が有利になっていた。俺は魔王から放たれている攻撃を的確に当てることに集中してダメージを与えていき魔王を追い詰めていった。そして遂に俺の勝利が決まった時、魔王から一つの提案をされる。その話はこの階層にあるトラップ全てを解除するということだった。この階層のトラップは全部で50ありそれらを全て発動させると魔王城は半壊状態になってしまうためそれは防ぎたいのだと、俺は理解したがこの世界が魔王の思い通りに動かされていることに納得がいかなかった俺は、その条件を承諾してしまった。その結果、俺がこの階を歩くだけで、全ての魔法陣の効果が消え去ってしまいこのダンジョンの存在意義がなくなってしまったのである。

その後俺たち二人は地上へ戻ろうとしたがどうやらここを登るための体力を使い果たしてしまったらしい俺はこの魔王と共にこの世界で生きていこうと思ったのである。そして俺がこの世界で生き抜く方法について考える。

この世界に来てすぐにこの世界では俺のような強さを持った人間はほとんど存在しないことを知った俺は、この世界で生き抜くにはこの力を隠すしかないと考え始めた。しかし、それは難しいことであることは明白であり俺は頭を悩ませることとなった。そこで俺は考えた結果、自分以外の人間を強くする方法について考えた。そうすることで結果的に自分が強くなれるためそれが最もいいと判断したからだ。それから俺の行動が始まったのだった。

---side??--end ---side橘勇二-end それからは俺はまず手始めとして街に出た時に偶然出会った商人の男を騙すような形でその人の店に行きその人からお金を奪った後、お金を奪い返したいと言う商人の言葉を無視して店を後にした。その後は俺のやっていたことは他の街や村でも同じようなことを繰り返した。そのおかげもあり俺が街や村の人に恨まれるようになるまであまり時間はかからなかった。そしてその状況を利用したのが奴隷商でその時にたまたま目についた女の子を買い取ってその子を使って俺はさらに多くの人を騙していった。俺の狙いは人が集まる場所には必ずといって現れる冒険者である。そこで俺は冒険者になったフリをして俺に襲い掛かってくる人達を返り討ちにしていったのだ。しかし俺の強さが知れ渡ると次第に襲い掛かる人が少なくなると俺はそこで新たな策を思いつく、それはこの世界で生きていくためには俺のことを誰も知らないところで生活したいという考えが浮かんだので俺はその方法を探り始めるのであった。

その方法を見つけるために俺は俺自身が異世界から来たという事実を隠したままこの世界で生きるための戸籍とこの世界での生活に必要なものをそろえることにした。まず最初に、俺はその世界で生活するためのお金を稼ぐことを考える。そこで思いついたのが俺が持っている知識を利用することでその問題を解決しようと思い立った。そして俺は俺の知識を活用してとある薬を作っていく、そしてその商品がこの世界の人たちの間でも通用することを俺は確認してからそれを販売することに決めたのである。そしてその最初の実験が成功したのが俺が魔王を倒してから三年後くらいのことだったのだ。そして俺はこの世界で生き抜くために必要な資金を得ることが出来た。その金額はなんと10億ゴールドである。ちなみにこの世界の価値基準で言うとこの国の国家予算の約十倍ほどあるので俺がかなり裕福な暮らしをしていることが分かるだろう。しかし、俺がその金額を手にするにはかなり危険な橋を渡ったといっても過言ではなかった。なんと俺はその金額を得るためだけにこの世界の住民を殺しまくったのである。

そんな俺だったが俺が魔王に挑んだ理由は実は、この世界を救うためである。というのも、この世界では魔物の数が異常に多いらしくそのせいで生態系が崩壊し始めているのだ。そんな現状を改善するために魔王を俺が倒す必要があったので俺はそれをやっているだけである。

そんな感じで俺は魔王に勝ったことで手に入れた金で生活しながら自分の知識を活用する生活をしているのである。そのお陰もあって今では、俺が元いた国と同じ水準の生活を送ることが出来るようになったのだ。俺はそんな充実した毎日を過ごしながらもこの世界で俺がこれから何のためにどういった活動をしていくのかを考えていたのだった。

---sideend ---side??-end ---side神崎直人-end 僕がこの街で暮らし始めて一年が経った。その間に僕の家族が魔王と名乗る人物に殺されたという情報が僕の耳に入ってきた。僕はその時に魔王を許せない気持ちになったが今は違う。魔王に復讐するのではなくこの国にいるかもしれない魔王に狙われる可能性のある人物を保護するのが目的だ。そのためにはやはりある程度の地位が必要になると考えたのである。そしてそのために、この国から魔王の脅威が去るまでの間はこの国に滞在するつもりだ。そのためにも僕は国王主催の大会に出ることを決めたのである。この大会ではこの国で一番強い人が国王に挑戦する権利を得られるのだが、僕はそこで優勝することを目標とする。その大会で優勝するためには当然今までの挑戦者たちよりもレベルの高いものばかりが相手となるがレベル99の俺にとってはその程度であれば全く問題にはならないと考えている。そして、その考え通り順調に予選を勝ち抜いていきとうとう決勝戦を残すのみとなった。そこで対戦相手が現われたのだがその姿にはどこか見覚えがあった。しかしその人物が一体誰かを思い出す前に試合開始の合図がなされたのでそいつを倒すことにする。すると俺の体はその男の剣で切られてしまった。

そしてそこで俺が見たのは、ステータス偽装と鑑定の二つだった。俺は自分のステータスを確認してみるとレベル1となっていたので、そこで初めてこの男が魔王だということを確信したのだった。

---side??---

---sideend ---side神崎直人-end 魔王がなぜこの大会に出場していたのかは定かではない。だが、おそらく勇者と戦おうとしていたというわけではないだろうと思う。

俺はこの大会で魔王と戦うつもりは無かった。だから決勝戦で当たることになる可能性が高かった男との戦いを避ける為に試合の前に棄権をした。だが魔王は俺が戦う意志がないことを見抜いたようでそのまま戦いを始めたのであった。俺はその時魔王と戦ったことで相手の動きを観察することが出来ていた。しかしそれは相手も同じことだった。その結果俺は魔王の攻撃を防ぐことが出来なかったのであった。その結果、俺は魔王の攻撃をまともに食らってしまったのであった。そしてその瞬間俺の中に膨大な量の記憶が流れ込んできたのだ。この流れ込んで来た記憶の中には、この世界で暮らした日々の中で体験したものも混じっていたがそのほとんどが俺が召喚される前の元の世界で生きていた頃の思い出が大半を占めていた。その中で気になる情報がいくつかあった。その中でも特に目を引いたのがステータスを偽ることができるアイテムの存在についてである。この世界に来る前に俺が読んだことがある本ではステータスの数値を改竄して自分の強さを相手に分からなくさせることが可能という話を読んだことがあった。それがこの世界でも実現できるのではないかと考えたのだった。そして俺がステータスを偽造して自分の能力値を確認すると、そこには魔王と同等の力を持っているという表示が出ておりそこで、この世界に俺より強い奴はいないのではないかと俺は思ったのであった。

それからのことはもう既に俺には分かっている。何故なら俺は既にあのダンジョンの中へ戻って来ていて今目の前に魔族がいるのだから、その瞬間俺は、この世界では自分が誰なのかということを隠すことに意味がないという結論を出したのである。

---sideend ---side魔王-end 私は今日、この世界での私の使命を果たすため行動を開始する。

私がこの世界で何をするべきかは分かっていて、まずは、勇者と呼ばれている人間がどのような存在かを調べる必要があると思いその情報を入手しようと考えたのだ。

そして情報収集の結果分かったことがいくつかある。それは、私と同じく魔王と呼ばれる称号を得ている人間が存在していることとその人間は元の世界に戻ることが出来ないということだ。つまり魔王同士はお互いの居場所を知ることが出来るので、魔王同士で戦うことになった場合はどちらか一方に勝利者が現れないかぎり、お互いに不干渉になるということも理解した。

そうして色々とわかった結果を頭の中で整理した私はその目的を達成するためにどうすればいいのか考えた。

その結果として思いついた作戦が、魔王の称号を持つものを全て殺すということである。

そして私は魔王の討伐に向かったのだ。この世界で最強の存在である魔王を殺すことはこの世界で魔王を名乗っている人間にとって一番屈辱的だと私は思うのである。その行為で魔王を名乗れないほどのダメージを与えることができればその魔王は自分のことを卑下するようになるだろうと考えたのである。

こうして私はまず最初にこの世界へやって来た時に最初にいた森へ転移することにした。そうすることでその森にいる全ての魔物が魔王城へ来ることになるからである。

それから少し待つと予想通りに大量の魔物が押し寄せてきた。その中には以前この世界を旅をしていた際にこの辺りに生息していたボスクラスの強さを持つモンスターも含まれていたが、今の私であればそれくらいならば余裕で勝てるだろうと予測できたのであまり気にせず戦闘に集中することにした。

それからの戦闘で分かったことは、私の強さについてである。どうやらこの世界ではかなりの速さで強くなったらしいのである。恐らくこの世界に来たばかりの時に戦ったオークキングなどと比べるとこの世界の平均的な強さが分かるだろうと思って試しに鑑定を使ってみるとそこに表示されていた数値はこの世界でいうと平均で500前後である。ちなみにこの世界における一般人のレベルは100であり職業についているもので150である。この数値から察すると私はこの世界の中でも相当に強い部類に入ることが分かるのだ。しかしここで疑問に思ったことがある、それは何故私が他の魔王たちよりも強くなったのかという点である。その理由として思い当たったものは一つだけある、それは魔王に殺された時に流れ込んで来た知識のおかげなのではないだろうか、というものだ。

しかしそこで一つの矛盾点が生じる、それは他の魔王がこちらの世界に来る前に既にその人間の持っているスキルなどを把握している場合だ、もし仮にこの仮説が正しいとするのならば他の魔王が私の居場所を把握することが出来てもおかしくないと推測できるからだ。そうなるとやはり別の何かが原因でここまでの強さを得ることが出来たということになるのだ。そのことについて考えようとしたがとりあえずは先に自分のステータスを偽装することの方が優先事項であるので考えることをやめることにした。

その作業を終えるまでに倒した魔物の数は優に百を超えていたがそのおかげでレベルが上がり更にステータスが上昇していたので作業はそこまで時間が掛からなかった。その途中で何故か、この世界の一般の冒険者が持っているであろう一般的な武器も大量に回収することができた。

そのせいで持ち運びがかなり面倒くさい状況になっているのだがそんな状態で森の中を進んでいくとようやく魔王城のすぐ近くにまで到着したのである。

「ふぅー」

息を整えながら私は、この先の戦いに備えて覚悟を決めたのだった。

---side魔王------

やっとこの世界に戻ってきたのだ、これからは誰にも邪魔されることなく好きなように生きることが出来ると思うと嬉しくてたまらない。

そんな気分で俺は魔王城に戻ってくることができたのである。その瞬間俺には一瞬だけ違和感のようなものを感じた。だがその感覚の正体は直ぐに分かり俺はこの世界で生きていくことを決めたのだ。この世界にはまだ勇者が残っているので、もしかすると俺を倒しにくる可能性もあったがそれでも問題無い。この世界で勇者を倒したものが本当の意味で魔王になることができると考えているからだ。だから勇者が襲ってきた時の為にこの世界の知識をもう一度勉強しようと思う。そしてこの世界で一番強者としての力を示さなければならないのでそのためにはどうしたらいいのかを俺は考えていた。そんな感じでこれからのことを想像していると、俺は突然何者かに殺されたような気がしたのであった。

だが不思議なことに、俺はその殺されるという行為を一度体験したことが有りそれをすぐに受け入れることが出来るほど俺はこの状況に慣れてしまっているようだった。

------

俺を殺したのはおそらく俺と同じようにこの世界に召喚された勇者の一人だろう。この世界で一番強いのはもちろん勇者だと思っている。

だが俺が一番怖いのはその勇者よりも恐ろしい存在がいるということを理解してしまったことである。この世界で最も恐れなければならない相手といえば魔王のはずだが、実際に戦ってみなければ分からないが、俺はそいつに勝てるイメージが全く湧かないのである。だからこそ俺には、どんな手段を使ってでもそいつに殺されないようにしなければならないという決意を固めた。

それから俺は、そいつと出会ってしまうまで絶対に死なないための計画を立てることにしているのであった。

---sideend ---side??---

今目の前には一人の少女が立っている。俺はそいつを見ただけで自分の力の無さを悟った。

その少女からは俺とは比べ物にならないくらい強い力を感じるので俺にはそいつを止めることなど出来ないと判断したのだ。それに俺は今まで一度も負けたことがないという自負を持っていた。しかしこの世界にやって来てすぐに俺は自分の強さの証明をしたいと常々思っていたので今回の魔王城の襲撃でその願いを叶える為の準備をしていたのである。だが結果は、目の前の相手が現れたことによって俺は、この場で死ぬかもしれないと考えを改めざるを得なくなってしまった。だがまだ負けと決まったわけではないのでどうにか逃げる方法を考える必要があるだろう。

そう考えて俺がその少女と戦うため前に出たのだがそこで予想外のことが起きたのである。俺と対峙する形で立ったその少女はなんとその場で土下座を始めたのだ。俺はその姿を見ながら、その少女が一体何を考えているのか分からず困惑していた。そしてそんなことをしているうちに俺はその少女の言葉を聞いているうちにどんどん意識が遠のいていき遂には気絶してしまうことになるのであった。

目が覚めると俺の視界には見知らぬ天井が映っていた。ここは何処なのか、俺はどうしてこんなところで寝ていたのかなど、様々なことを考えて起き上がった俺だったが特に何も思いつかなかった。そしてそんな状況に戸惑っていると急に扉の開く音が聞こえてきた。そしてそこから現れたのは見たこともないような美女であった。

俺はその姿を見てつい見惚れてしまっていたが、彼女はそのまま俺に近づいてきて俺の手を握ったのだ。そして俺の瞳を見つめてきたのである。そこで俺が固まってしまうと、その人は俺の目をジッと見たまま話しかけてきた。

「君、名前はなんて言うの?」

そこで俺は、彼女に返事をしなければと思い名前を伝えることにした。

---side 魔王---

私を殺そうとしてきた男を魔王城の中へと連れて来た後私は彼の処遇を決めることにした。私はこの世界に来たばかりの頃は自分が一番最強なのだと思っていた。しかしこの世界はステータスの数値が絶対ではないことを知った今なら私はこの世界において一番弱いということになるだろう。なのでまず初めに私が強いと思われる人を見つけるために魔王としての力を使いその人物を特定していく。

それから私はまず最初に、魔王である自分より圧倒的な実力を持った者の存在を探すことに決めた。それからしばらく探し続けた結果私は一人の存在を見つけた。

それからその人間が本当に強いのかどうかを確かめるためにある魔法を使う。この魔法を使えば相手のレベルがわかるからだ。そして私はその人間のステータスを確認するとそこには、私の知っている限りのあらゆる職業の中で最も強力な能力を持っていることが確認できた。その職業が何かというのはここでは伏せておくことにするがこの世界でその名前を知っているのは恐らく私しかいないだろう。そして次にその人間は私が魔王であることを知ってしまった場合、確実に殺しにかかって来ることが分かっている。そしてその強さがこの世界で私が戦うことが出来る人間の中では二番目だということも理解してしまったのである。その人間の種族や性別については敢えて触れないが私はこの存在にどうやって接触すれば良いかを考え始めたのである。

まず最初に思いついた案は、その人物が私を殺すことが出来ない状態に追い込むということである。その為に必要なことは二つありまず第一段階として魔王である私に対して反抗心を抱けないようにするということが挙げられる。この人物は性格上かなりの自信家だと思うのでそれを叩き潰してやればいいのではないかと考える、その方法は私の得意とする闇属性のスキルを使うことで相手に精神的苦痛を与えるというものである。

第二段階ではこの人物に恐怖というものを覚えてもらうということだ。恐らく私を殺しに来たということは殺す気がない人間などではなくただ単に強くなりたいという願望から魔王を倒そうとしたのだろう、だからこそ私は彼にその気持ちを無くしてもらうことで精神的なダメージを与えようとしているのだ。

最後に最終段階だがこの人間は私に勝つことはできないということを分かってもらう必要があるのだ。

この三点の作戦を実行することでその人物が魔王である私を恐れてくれるようにしなくてはならないのだ。

---sideend ---side??---

俺は、魔王を名乗るその女の子に名前を聞かれたが答えることが出来なかった。

俺の名前は東雲祐一という名前があるのだがこの世界で通じるはずもない名前である。なのでとりあえず俺が答えられることは年齢と性別、あとは自分の好きな食べ物と飲み物の名前だけ言っておくことにした。

するとその子は少し驚いた表情をしていたように見えたがその後その少女は笑顔を見せてくれたのでどうも俺の答え方が正解だったらしい、その反応を見て俺はホッとした。しかしここで一つの疑問が生じた。それはなぜその少女が魔王と名乗っているのかについてだ。そしてそのことに関して尋ねるとそれを聞いた彼女が突然怒り出して俺のことを殺そうとするのだ。

俺はその攻撃を回避しようとした時に足を踏み外してしまい地面に落ちてしまう。しかし俺が地面に落ちる直前に何か温かいものに抱き止められた感覚がありそれから地面に着くことは無かった。俺が不思議に思いながらもその温もりの元の方へと視線を向けると、どうもその女性は、その女性が腕で抱えている赤ん坊が原因だとわかった。

しかしその女性の姿を見るとどうも俺を助けてくれたのはこの人のようだということが分かったのである。

その女性は綺麗な黒髪をしておりその美しさはまるで月の光のようだった。また服装は巫女のような衣装に身を包んでいるようでとても幻想的な雰囲気を感じさせ、俺は思わず見とれてしまいそうになったが何とか堪えることができた。

そんなことを思って彼女の顔をジッと見続けていると、突然彼女がその赤ん坊を抱きかかえて立ち上がったのである。

それから彼女は俺のことを睨みつけながらこちらに話しかけてきた。

「あなた今何を考えたの?まさか私の事を見ていたわけじゃ無いわよね?」

俺はいきなりそんなことを言われても正直意味が分からなかったので何も言い返すことはできなかった。俺の反応を見たその女性は少し考えた後に言葉を続けた。

「いいわ、教えてあげる。あなたの目はすごく危険な目よ、その目がもしこの子に向いているのであればきっとこの子は殺されてしまうでしょうね」

そんな事をいう彼女を見ていると、どうも嘘を言っているようには見えず、その顔には本気で俺に怒っている様子が伺えた。だが、俺がそんな風に考えていると突然後ろの扉が開かれたのである。そこに立っていたのは先程の女性よりももっと美形な人が二人いたのだった。俺は彼女達のことを見た瞬間心の中で感動していたのであった。その女性たちは、金髪と銀髪の美しい双子であり、その整った容姿からはまさに女神といったオーラが出ており俺はつい見惚れてしまっていたのである。そんな状況になって俺はふと我に帰ると俺を救ってくれたのは彼女たちだったらしく、お礼を言うことに決める。そしてそれと同時に、彼女たちが俺を襲ってきたこの少女の仲間であることを確信したのである。そしてその考えが間違っていないと分かるとすぐに俺は行動に移ることにしていた。

---sideend ---side??---

私に魔王城へ乗り込んできた男が殺されたと連絡が入ったとき私は、自分の失敗を知ったのであった。私の配下の中でもトップクラスの強さを誇るこの男が負けたのだから恐らく相手はそれほどまでに強いのだろう、だからと言って諦めることなど出来る筈もなく、次の策を考える事にした。そしてまず私がとった最初の動きはその死んだ男の情報を手に入れることである。私はすぐにその男が死んでいるという場所へ向かうことを決めたのである。そしてその場所に着くとそこで信じられないものが待っていたのである。その死体となった男は、その見た目は明らかに子供でしかなかったのだ。

しかもその子供の見た目はとても可愛らしくこんな子供がこの男を倒したと誰が思うだろうか?私ですらその事実を受け止められずにその場で立ち尽くしてしまった。しかしいつまでもこうしては居られないのでその少年を魔王城へと連れ帰ることにした。魔王城へと連れ帰った私は魔王である娘と話すことにしたのである。私はまず先にあの子に対して敵意が無いことを示しその証拠として私を召喚したという少女を目の前に差し出したのである。そしてそこで魔王の娘はなんと土下座をして、その男を見逃してくれと言い始めたのだ。私はそれを聞いて困惑したがその言葉を無視できなかった私はその要求を受け入れることを決め、その代わりにその男の持っているスキルや職業などを聞こうと思ったのだがなぜかその質問に関してははぐらかされてしまったのである。それからしばらく話をした後私はその魔王と名乗る女とその仲間達と一緒に食事をとることになった。そしてそれからしばらくしてから私はその女の目をジッと見続けることによってその者の考えていることが読めるようになる能力を発動させるのであった。その力を使うことによって私には分かったことが幾つかあった。

まず初めに一つはやはりその娘の実力は相当なもので少なくとも私の全力の攻撃でも傷をつけることができるかどうかすらわからないくらいだという事が分かりさらにこの世界ではかなり上位に位置しているであろうということが分かった。そして次に分かったことはこの娘には絶対に勝てないということであった。この世界にはまだまだ知らない魔法が数多くあることは知っているがこの世界では魔法が使えないというのでその可能性はほぼ無いと判断できたからである。そこで私に残された手段は全てを諦めるという方法しかないのかもしれないと私は考えるようになっていったのである。

しかし、その時に魔王はとんでもないことを考え始めたのだ。それは私の予想をはるかに上回るほどの計画だった。その計画が実行された場合私やこの国、この世界にいる全ての魔族達は滅びることになる。私はそのことを魔王に説明しようとしたがその前に魔王はどこかに行ってしまったのである。

そして魔王は、勇者を名乗る者と共にこの場から消えていった。それからしばらくの間、私も冷静になるために魔王城にある自室に戻ってきていた。私は部屋に戻った後、先程の出来事を思い出していてこれから起こることについて考えていた。この国が滅ぶということは私の命が無くなるということでもある。それに私が今ここで死んだら他の魔王たちは私と同じように殺される可能性が高い。だからこそ私がここでどうにかしなければならないと思い私はまだ残っている配下の者たちを集めて緊急会議を行うことにした。

まずは今回の騒動で命を落とした者達の供養をする為に墓を作ることにする。それから今回の戦いに参加して死んでしまった者には私の持つ全魔力を使用して回復させてやることにする。もちろん魔王の力を使わなかった場合死者が生き返ることはなかったが私の場合は少し違ったのである。魔王になったことによって私にも膨大なMPを手に入れたことで死者を復活できるまでに力を使うことができるようになっていたのだった。そしてそれから私はこの世界の各地に点在する墓地やダンジョンと呼ばれる場所に部下たちを連れていきそこで死者を復活させていく。

そしてその時に私は気づいたのだが実は私のレベルは100になっていた、それはどうも魔王として覚醒したときにステータスが上がったようで今ではかなりの量のスキルと加護を持つことが出来るようになっていたのである。それから数日の間この世界に生きるものたちに協力を求め続けた結果私はついに全てを復活させることに成功してしまったのだった。

---side end -------side??---

私、いもうと、ママに会った時すごく驚いた。パパって言う人も見たけどかっこよかった!!それからは毎日が楽しいの!!!でもそんな生活も今日で終わり、だって魔王にばれちゃったんだもん、魔王に会っちゃいけないって約束を破ったせいなのかは分かんないけれどそれから私はずっと一人ぼっち。

私はいつものように一人で遊んでいた。その遊びとは魔法の練習をしているだけなのだがこれはこの世界で初めて知ったことなので、誰にも教えるつもりは無い。だけど最近は少し違うのだ。

私はその日初めて人を殺したいという衝動を抑えることができたのである。

今まではただの興味だったのだが、どうもそれは殺意だったらしい。そしてそれは今この瞬間に生まれたものであるというのにも関わらず私は全くそれを怖いとも思わなかったし罪悪感を感じることも無かったのである。

この感情の理由を考えてみたところ、私はもしかしたら人間を超越しているのではないか?という疑問が生まれた。その結論に至った時に、この力はきっと誰かを殺す為だけにあるものだということに私はようやく気づくことが出来た。

---side end ---

僕はあの魔王を名乗る女の子に連れられて魔王城に来ている。僕の目の前には大きな扉があってその向こう側に魔王がいるのだろう、その事を考えただけで体が恐怖で動かなかった。それでもここにいるのはこの世界での自分の身の保証をしてもらうためであり仕方ないことだと思って覚悟を決めると魔王城に入ることを決めたのである。僕が中に入るとそこには大きな階段がありそこを上っていくように言われたのである。そして、この階段は普通の人が歩いたりすると普通に死んでしまうくらいの高さがあるようだった。

そしてしばらく歩き続けているとやっと魔王の元まで辿りつくことが出来た。魔王の前まで行くとその少女が口を開いた。

「よく来たわね、私の城に来るなんてよっぽど死にたいのかしら?まあ、それもあなた次第ではあるのだけれども」

彼女はそう言って笑いながらこちらに歩いてくる、その笑みからは狂気を感じさせとてもじゃないがこの人を説得することは難しそうだなと感じてしまう。そして僕は、彼女から何かを感じ取ってしまったのか自然と震えてしまっていたのである。そんな僕を見て何を思ったのか彼女は話し始める。

「ふふふ、怖くて何も喋れなくなってしまったのかしらね。まあいいわとりあえずは私のお願いを叶えてくれれば悪いようにはしないでおいてあげる。その願いっていうのがまずはあなたは私の命令に忠実に従えるようにして貰うこととあとはスキルの禁止と私に絶対服従、それとあなたには魔王になってもらいましょうか」

彼女がそう言ったとき、僕の頭の中に声が響いたのだった。

〈魔王化が可能です、魔王になるには条件を満たしていません、このままでは魔王になることは出来ません、また一度でもスキルを使用した場合、二度と元の世界に戻ることはできません、本当によろしいですか?Yes/No〉 Yesと選択しようとした瞬間になぜか勝手に指が動いてしまい僕は無意識にそのボタンを押してしまう。その行動に焦っていると再びあの脳内の声が響き始める。

〈スキル:魔王化が発動されました、神崎直人が魔王として新たに進化しました。それによりステータスに大幅な変化が生じます、また称号『始まりの王』の効果により経験値の取得率が増加し魔王のレベルが上がりやすい環境に強制的になりました。そしてそれに伴い新しい職業と称号が与えられます。

職業を付与されます。『職業名、魔王 効果 全てのスキルを取得、職業の熟練度が上昇しやすい。

職業レベルが上がると新たなる職へと変化する。』

続いて魔王の称号を付与しています、魔王 効果 全ての魔属性の攻撃魔法が使用可能。

魔王専用技能【魔】の極意が解放される。(未使用)

魔の叡智が解放される。》

(何なんだ一体!? それにさっきから聞こえてくるこの音は何なんだ?)

《魔王になったことで神の声が聞こえるようになりました、その質問に対する回答は私にもよく分かりませんでした、私を作ったのはその神だと言うことだけは分かるのですがそれ以上を知ることは出来ないみたいですね、そして私から魔王へ伝えておきたいことを伝えて置きます、スキルの禁止は解除しています。

以上で全ての作業が終了しました、これより勇者の討伐を行いますか?はい/いいえ。

勇者の殺害を完了することで自動的に魔王への覚醒が可能になり、魔王への覚醒が完了し次第全ての機能が停止すると同時に勇者の討伐が完了します、なお現在この勇者を魔王は倒すことが出来ないので魔王を倒せる存在を創造する必要があります、この世界にいる全ての人間の魔力を使って魔王は勇者を倒すための最強の武器を造り上げてください、その武器は勇者を打倒するためのものに限りませんしどのような用途であっても使うことが可能でしょう、その工程が終わった時点でこの世界に存在するすべての魔族の安全を保証するものとします、また、魔王は職業を変えることで能力を変更することが出来ます、 最後にこの世界の人類を滅ぼすことで魔族は繁栄することができるでしょう。

魔王を倒せる存在の想像を開始してください、それでは魔王のさらなる飛躍を祈っております以上。】

僕は謎の声が告げたことを聞き終えるとまず初めにステータスを確認する。そこには確かに職業の欄が存在していてそこにははっきりと魔王と書かれていたのである。それを見た時僕の思考は停止してしまった。なぜなら、僕はその職業というものを全く聞いたことがなくどういう意味なのかすらも理解することができなかったからである。それに僕は今までの勇者召喚によって現れた勇者たちを何人もこの手で葬ってきた。しかし僕には魔王としての記憶が全くと言って良いほど無く、どうして自分が魔王になっているのかという理由さえ分からないままでいたのであった。

(どうすればいいんだろうか、こんなことになるなら魔王になんかならずにそのまま平和な日常を送っておけば良かったかな)

そんなことを考えながらもう既に魔王になってしまったことを自覚した時にもう元の世界に戻れないということも悟ってしまったのである。それに、僕のせいで他の人たちの命が失われていくのを見捨てることなんて出来なかった。それから僕はその魔王について詳しく聞くために口を開く。

「あの魔王って名前を教えてくれないか?」

魔王と名乗った彼女は、少しの間考え込むような仕草を見せた後こう言い放った。

「私の名はルミナリア、あなたが魔王になったら改めてよろしくお願いしたいことがあるの」

その魔王の言葉を聞いてしまったことで僕は完全に逃げる道が無くなってしまっていて、この世界の人のためにもこの魔王と戦うことを決意したのである。

---side end ---side 勇者達

「なあ俺のステータスどうだったよ?俺はどうせ弱いから期待するだけ無駄かもしんねえけど一応確認しておいたほうが良くないか?お前はどんな感じだったんだ?ちなみに俺は結構凄かったぞ、だって勇者だって書いてあったしレベルもめっちゃ上がってたんだよ、しかも攻撃力も防御力も高くなってきててこれからもっと強くなれるような予感もあるんだ」

僕、佐藤亮は、いつもと変わらない学校生活を送っている、ただ一ついつもと違っているのは隣の席にいつもは絶対に話すことのないクラスで一番の問題児がいることだった。その問題とはいじめっ子であることと性格の悪さで、先生ですら手に負えないほどの問題を起こしているという事だ。僕はそんな彼に対して苦手意識を持っていて極力関わりを持たないようにしていた。だけど今日は彼が珍しく話しかけてきてきてくれたので、内心嬉しく思いつつも彼の質問に答える。

そして僕はそんな彼のステータスを確認していた時彼は僕の肩を叩きながら言ってくる

「うっそだろ?そんなに強いのかよお前!!まじすげーよ!!これってさあ俺にも勝ち目ってやつがあるってことか!!ってあれ?もしかしたらってことあるんじゃないか?これはちょっと俺もマジに頑張らないと不味いかもな」

はあ、なんだろうこの気持ちの悪いテンションの上がり方は、やっぱりこの人は嫌だな。それに、この人は僕が思っていたよりもかなりバカだったようで僕はさらに彼との距離を縮めないように注意することにした。

---side end ---side 魔王軍---

私は今勇者がこちらに向かってきていることを確信する。何故ならば私は先程スキルで魔王城を外から見ていたからだ。

私はスキル【魔の叡智】を使い勇者の現在地を調べていると突然私の中から一つの情報が送られてきたのである。それは私の知らないスキルについてのものだったのだが、その情報を整理したところそのスキルを使うことができるのではないかと考えたのである。それは私がまだこの異世界に来て間もない頃に手に入れたスキルでありそのスキルの名は【万物の目】というものだったのだが、それは、私の知っている場所であればどこにいても見ることができるという能力であると気付いたのである。このスキルを発動させた後に私が見た風景の中にこの場所に近づいてくる者が映っていたのだ。つまりこの近くに奴が来るということになる。

そして私は念の為いつでも戦うことが出来るように身構える。するとしばらくして扉の向こう側に人が入って来るのが見えた為私は攻撃を開始した。だが何故か相手が何かをするわけでもなく攻撃を防がれてしまったのだ。そしてこちら側へ入ってくる人物を見る。そこには黒髪短髪をしておりとても中性的な顔立ちをしていた男がおり見た目だけで判断するとかなりのイケメンであることが分かった。しかし、なぜかその瞳の奥に何か邪悪な物を感じ取った。そのため警戒を解かず相手の動きを警戒し続けていた。

すると、いきなり相手はスキルを使えないのかなど聞いてきたためとりあえず試しに使おうと思ったが、そもそも使い方が分からなかった。そこで仕方なくそのことについて相手に説明をしてみたがなぜか納得してくれず、スキルの使用をやめてくれと言われてしまう。そしてスキルを使わないことを条件として戦闘をせずに見逃して欲しいと言われたが当然それを了承出来るはずがなかった。そうしているうちに勇者は武器を取り出してしまいこのまま戦っても勝てる見込みがないと感じた私は全てを捨てて逃げようと試みる。だがそうはさせまいとばかりに勇者の攻撃が始まってしまいなんとかスキル【魔の叡智】を使うことで避けることができたが、勇者の攻撃が速すぎるためこのままではいつか捕まってしまうのは確実であった。だから私は最後の抵抗として全力でスキルを使用することにした。

まず最初に、【転移魔法陣 LV10】を使用し勇者の背後に転移してからスキルを【魔力強奪】に変え、そのまま【魔法破壊魔法】を使うと、なぜか私の魔法が破壊されそのまま勇者の体を貫くが、それと同時に魔法で創り出した空間が消滅する。そのことに驚いていたが、次の瞬間には勇者から膨大な力を感じ取り危険だと判断した。しかしその時すでに手遅れで勇者はすでに魔法を使っていたのである。そして勇者は私に対し【魔力奪取】の攻撃を仕掛けてきたことにより魔力を奪われ続けて行き遂に魔力が枯渇してしまったことによって魔力操作をすることができなくなったせいもあり私の肉体は消滅し始める。その瞬間私は死ぬことが分かっていながら最後に一言言葉を残したいと思うことがあったため口に出してみる。

「これで貴方は、もうすぐ死に至ることになるわ、それでもまだあなたは、戦い続けるの?」

すると目の前にいる男は驚いた顔をした後笑いながら言葉を返してくる。

「もちろんだよ!君を倒してこの世界を救えるなら本望だしこの世界を救うのが僕の使命だと思えた。そして君は僕の予想を遥かに上回る強さを持っていたよ 僕はね、最初は魔王がこんなに強くないはずだと思っていたんだけど君の姿を見てから確信したよ 僕の命を捧げてでも倒さなければならない相手が居るとね それとこの世界は滅ぶ運命には無い、だから安心してほしい」

そんなことを言う勇者の身体はもう既に消えかかっており今から何をする気なのだろうか。

すると、勇者は、魔王に近付き抱きしめると、そのままキスをしたのだった。その光景はあまりにも衝撃的だったため、一瞬時間が止まってしまったかのような錯覚に陥る。そして勇者は魔王の魔力を奪い尽くし魔王を消滅させると勇者はその場に倒れ込んでしまったのである。勇者が倒れたことで他の勇者の仲間が慌てて駆け寄っていくのが見える。勇者たちは急いで勇者の治療を行っている様子が見えたため一先ず安心することができた。それから数分後、どうやら勇者は目を覚ましたらしく他の仲間達と共にこの場から離れていったのである。その時に私の目では見えないほど遠くまで行ってしまったようなのである。

---side end ---side 魔王 私の視界に入ったものを見た時に、自分の中に流れている記憶が呼び起こされようとしていた感覚を覚えた。

まず始めに私の目に入ってきたのは、魔王城の中で倒れ込んでいる少女だった。彼女の容姿はかなり可愛く整った容姿をしているが、それ以上にその表情はとても悲しそうなものであり、まるで死に際を迎えようとする人間のようにすら見えるほど弱々しい印象を受けたのである。そんな彼女を見ると何故か助けなければいけないと謎の衝動に襲われるとともに今までに経験したことが無い感情を抱き始めていた。その謎の感情はどんどん強くなっていきついに我慢の限界に達したため彼女に声を掛けた。

「あの〜大丈夫ですか?怪我とかしていませんか?もしもよろしかったら私と会話して頂けますか? 」

私がそう言うと彼女は少し考えた後こう言い放つ。

「えっと、あのごめんなさい。私は貴方と話すことができないです、なぜなら貴方が魔王だと言うことが分かるとすぐに殺さないとダメなので 」

その発言を聞き彼女がなぜ魔王にだけこんなにも怯えているのか疑問を持つがその理由はすぐに理解することになった。彼女は震えながらも必死になって私を殺すために行動を始めたからである。そんな様子を観察していた私は彼女と話ができる状態にするまでもう少し時間がかかるだろうと考えたため一旦距離を取ることにしたのである。そして、距離を取ろうとしたところ後ろを振り返るといつの間にか魔王がそこにいたのである。どうもみなさんこんにちは、僕は神崎直人といいます。突然異世界から召喚されたのですが実は僕は魔王の配下でスパイ活動を命じられていました。それで魔王城に居たので僕にとっては魔王城は庭のようなものだと思っていました。だけど実際に入ってみると全く違った風景が広がっており驚きが隠せませんでした。そして魔王城の内装が意外と普通だったので更に驚かされました。そしてその次に驚くことになったのはなんと魔王と勇者達が戦闘を開始し始めたのである。

僕はそれを見て、どうしていきなり戦いが始まったのかと思いつつ、巻き込まれないように隠れていると突然目の前に知らない女性が出現、そして話しかけられた。

しかし女性は突然現れたのではなく最初からそこにいてこちらの気配を察知してこちらに声をかけてきたようだったがそんなことは知るよしもなかった。

そんなことよりも僕は今、話しかけられて驚いていたため返答ができずにいた。しかし、そんな僕の様子を不審に思ったのかもう一度質問してくる。

「あの〜聞こえていらっしゃいますでしょうか?もしかすると私はあなたのことを怖がらせてしまっているのでしょうか? もしそうであるならば私はこれ以上ここにいるつもりはないので立ち去らせていただきたいのですがいかが致しますか? 」その問いに僕は素直に答えることにした。すると相手はその返事を聞くと笑顔になりこういった。

「ありがとうございます。私の願いを聞いて下さった方がいるということに感謝したいと思います。

これからお礼をさせて頂きたいので私の家に来てくださるとありがたく思います。

それと先程の勇者様はこちらの事情を知れば攻撃はしないでくれているとは思うのですが、一応用心の為にも私はここで姿を現さずに移動しようと思うので私の腕を掴んで一緒に飛んでください。そうすれば私の姿を見ることができるようになるはずですよ。」と突然言われたため混乱しつつも相手の言っている通りにすることにした。

僕は相手から手を伸ばしてきて握る。そうするといきなり僕の体が浮かんでいく。そしてそのまま空中に浮かび上がると同時に相手の手は離れて行くのであった。そして僕の目の前に一人の美少女が現れるとこう言った。

「申し訳ありません、私はあなた様に迷惑をかけてしまうかもしれなかった為姿を見せることが出来なくなってしまいまして、私はあなたにこの姿を見られてしまうと私の命を吸い取ってしまう呪いがある為、このように姿を見られなくしてしまいました。どうかこの非道をお許しいただけないでしょうでしょうか?」その声はとても優しくそしてとても美しくそしてなぜか惹かれるものがあった。

そしてその言葉を聞いた瞬間なぜか心臓がバクッと大きな音を立てた気がしたがそれはおそらく初めて会った人に緊張したからだと思った。だから別に相手の容姿が特別優れているわけではないから問題無いだろうと自分自身に言い聞かせると「全然気にしなくていいよ。

あと一つ聞いておきたいことがあるんだけど君はいったい何者なんだ?」と尋ねる。するとその人は「ありがとうございます。私は見ての通り吸血鬼族の長をしているものですよ。ちなみに私の真名はレティア=ヴァンパイアと言います。

よろしくお願いいたします。あなたの名前は教えて貰えると嬉しく思うんですが、教えてくれませんか?」と言ってきたので正直名前を言うことに不安を覚えつつも「神崎直人、よろしく。じゃあこっちからも質問良いかな?」と聞くと彼女は微笑みを浮かべ「もちろんですよ。私で分かることなら何でも答えることができます。

でもあまり私に答えさせてしまうとあなたの体力を消費させてしまう恐れがありますので何かあるならなるべく自分で解決してみて下さいね」と、その言葉はまるでこちらの心を読んでいるかのように思えて仕方がなかった。だがそんなことは考えていても無駄なのでやめることにした。それから僕は彼女の見た目が美しいということについて聞いてみようとした時いきなり誰かが割り込んできたため話をすることができなかった。

---side 魔王------

勇者との決戦を終えた魔王は、勇者の仲間によって、この城から連れ去られてしまうのであった。

---side end ---side レティシア 私には昔から憧れていることがありました。私はいつか自分の力で空を飛べるようになりたいという夢を持っていたのです。そしてある日私の元にはとある人物が訪問してきたのである。そしてその人物は、私のことを空に連れ出してくれただけでなく色々私を助けてくれたり色々なことをしてくれた。その人物に恩を返せるのは私が死ぬときだと思いずっとその機会が来るのを待ち続けて、やっとその瞬間がやって来たため私はその人の元へ駆けつけようとしましたがどうやら遅かったようで私は間に合わなかった。私はその時後悔してしまったのである。

私は、その人を好きになっていたことに気付かされてしまったのだった。

---side end ---side 直人 俺は魔王に連れ去られた後、どうなるのかと思いながらもおとなしく着いて行っていた。そして俺をここまで運んできた男はどこかの部屋の中に入ると急に立ち止まり口を開いた。

「よく来たな、お前をここに連れて来てやった理由は分かっているだろう? 魔王を倒した勇者の情報を少しでも多く得るためにお前が魔王を倒せば、その功績からお前を正式に魔王軍に入れることができるようにしてやる。それと魔王が勇者を仲間にしたと言う情報もある、だからもし本当に仲間になるのならばその前に勇者を倒してくれると非常にありがたい。もし、魔王に倒されたとしても魔王軍の幹部の地位を約束しよう。それにこの世界の救世主となるんだから金くらいは与えてやろう」その発言はあまりにも勝手で無茶苦茶だった。その言葉を聞いた時に怒りを覚えたもののどうにかして抑え込むことができたのである。

それから少し経って冷静になると勇者を倒すのは難しいのではないかと感じ始めていた。そもそも魔王のステータスは圧倒的に強かったのだ、それが勇者となると魔王と同等もしくはそれ以上だと考えなければならないだろう。そんな相手に勝てるのかと考え始めた時に自分が魔王の手下にされていた事を思い出したのである。そんなことをしているような奴なのだから魔王が弱いはずがないという考えにいたり、その予想が当たっている可能性の方が高いのではないだろうかと思った。そこで俺はその男からの提案を断ることに決めたのである。すると突然目の前の男に変化が起きた。そして徐々に体が透けていったのである。

---side 魔王---

魔王は、勇者との戦いでかなりの量の魔力を消費してしまったため、自分の体を休める為に自分の寝室に向かうことにした。するとその途中自分の部屋に見知らぬ女性がいるのを見つける。

「あの〜大丈夫ですか?怪我とかしていませんか?もしもよろしかったら私と会話して頂けますか?」とその女性は尋ねてくる。しかしその言葉が終わるか終わらないかのうちに彼女はこう言い放ったのである。

「あの〜私の姿が見えると私の命を吸い取ってしまう呪いがあるので私の姿を見られると困ってしまうのですが、いかが致しましょうか? 」その言葉を聞き少し戸惑ってしまった。なぜなら彼女は魔王の目には普通に見えたからである。魔王はこの世界で一番最初に目覚めた時には既に視力が回復していたのである。そして、今まで見たことも無かったものが視界に入る度に困惑し続けていたのである。そしてそんなことが何年も続いたために魔王は自分の力についてある程度理解するようになっていた。

しかし、そんなことはどうでも良いことであるため魔王は彼女を助けることだけに集中することにした。しかし、彼女がどんな行動を取るのかが全く予測できないためまず彼女が何を求めているのかを知るために質問をすることにする。

しかし魔王はその行動を止めるために慌てて言葉を返すことになるのであった。

---side 魔王---

勇者との戦闘を終え、私は、自らの力を誇示しようと思い魔王の威厳を示すべく堂々と玉座まで歩くと勇者達を見下すような体勢をとる。

するとその行為がお気に召さなかったらしく勇者はこちらに向かって斬りかかろうとする、私はそれを受け止める為勇者を迎撃するために構える。そして戦いが始まる。私はその剣を受け止めた時にある違和感を感じた。そしてその違和感の正体に気づいたのは勇者としばらく戦ったあとのことだった。

私が、攻撃を止め、勇者から距離をとるために後退した際に違和感の元凶が分かった。それは、あの時の私ならばあの攻撃を食らって死んでいてもおかしくはなかったのに、私はダメージを受けていなかったのだ。私はそんな馬鹿げた現象に疑問を持ち、その正体を確かめる為に勇者の一撃を敢えて受けてみることにする。そうすれば私の体にダメージがあるか確認ができる。しかしそんなことは無意味だという事に気づく、その攻撃も全くも痛くも痒くもなかったからだ。そしてそんな事実を確認することで改めて自分の実力の高さに満足したのだった。しかしそれと同時に私はその圧倒的な強さを身に染みて味わう事になった。なんせ私は、その後の戦いにおいても、傷を負わせることができなかったどころか相手は私に反撃を行う暇さえ作れなかったのだから。私はこの時初めて恐怖というものをその身で体験したのである。そういえばこんな感覚初めてだったっけ。

私はこの日を境に人間という種族に対して特別な感情を持つようになっていったのだった。そうこれは、私が、魔王となって初めて得た大切な宝物なのかもしれない。

---side 直人 僕は突然目の前に現れた女性が一体誰なのか分からずにいたがとりあえず話を聞くことしかできないと結論を出しその話をじっくり聞くことにした。するとどうやらその女の子の名前はレティシアというらしくこの城で吸血鬼の長をしているようだ。そんな彼女の外見はとても美しくまさに絶世の美女と呼ぶに相応しい容姿であった、それに加えてその髪の色は僕が初めて目にする色であった。その色はとても美しく僕はその光景をいつまでも見つめていたいと思える程だった。僕は彼女に見惚れてしまっていたため、話しかけられるまで意識を戻すことができていなかった。そのためそのせいもあり僕はその声に答えるまでに時間がかかってしまったのである。

それから僕は質問があるのだと伝えようとしたが僕の思考は読まれてしまったらしい。

僕の返答を待つことなくレティシアと名乗るその少女は話し始めてきた。そしてその内容は魔王を倒して欲しいというものであった。魔王というのはこの世界に存在してはいけない存在であり、そしてこの世界で最強である存在だから倒してくれというのが理由のようである。そして報酬として大金を用意してくれるとも言ってくれている。さらにレティシアは僕にお願いをしている形ではあるものの、実際にはレティシア自身が勝手にお願いしているだけの為こちらに拒否権はないのだろう、と予想することができるので素直に引き受けることにした。ただ気になったのはその報酬の大金の金額についてである。

おそらくその金額を聞けばその程度のことかと思う者もいるのであろうが実際問題お金とはそれだけで生活を大きく変えることができるものであり、とても大事なものであるのだ。しかも、今の状況ではそんなに大量に貰えるわけではないはずだから貰いすぎなのではないのかと感じてしまっているのは間違いないのだろう。僕はその事を伝えようとした。

だがその瞬間彼女は「そんなことはありませんよ。あなたの力は、まだ未知数なものです。だからその分だけ多めにしているのです」と言ってきた。確かに彼女の言うことは間違ってはいないのだろうがそれでも少し気が引けると思ってしまう。それに、レティシアに言われて思い出したがこの城にはもう魔王はいなくなるはずなので魔王城が不要になるという事になるはずである。つまりその城はいずれ無くなることになるわけなのだがその城には魔王の力がこもっているのである。この世界のルールに従うなら恐らくその城は無くならないのではないだろうかと考えた。その予想が正しいとするなら僕は魔王を倒したという功績を盾にして城に住むことが出来るという事である。

そのような利点を考えるとこの提案を断る理由は特に無くなってきたので受けることにするのであった。そして僕はこれからのことを考え始める。勇者を倒せば英雄として扱われる事は間違いなくその功績から金や地位を手に入れることができるだろう、そのことについて考えているうちにふとある疑問が生じたのである。それは魔王を倒すメリットについてである。勇者を倒し魔王を倒すということは世界を平和にするということになるのである。そんな偉業を成そうとする場合当然その責任はついてまわってくる、勇者を放置した場合の世界に与える影響など考えれば分かるだろう、勇者を倒さなければ世界は滅ぶ可能性があるためその選択は出来ない、そして、魔王を倒したとしてもその功績によっては世界は荒れ果てる可能性が高い、そうなった場合は結局世界を救うことになる、そして、どちらにせよ世界を救いたいならば勇者と魔王両方倒す以外に方法がないのである。勇者だけ倒した場合には、世界の秩序が保たれることは絶対にありえない、逆に言えば世界の治安を乱すのはどちらか一方のみでも構わないのである。

つまり僕が行うべきことは2つに1つであり、どちらの方法で世界を救うのかを決める必要があった。もちろんそんな簡単に決められるものではないが、僕は勇者を倒すことを決めたのである。その理由としては勇者を倒すことが魔王と戦うことに繋がっていくのである。勇者は勇者にしか殺せないとされている、勇者が他の者の手によって倒された場合にはその魔王は世界が滅びるのを阻止できなかった事を理由に世界征服に乗り出すだろうと考えられる。魔王と勇者の両方を倒す事が出来なければ魔王の好きにさせてもいいと考えるかもしれない。しかし勇者を倒さずにいるのならば確実に世界を敵に回すことになってしまうのである。そんな状況で果たして僕が生き残る事が出来るのか、また勇者に殺される前に魔王をどうにかできるか、それが問題である。

僕は、まずこの城を乗っ取ってしまおうと考えそのために必要な道具を揃えるために動くのであった。

---side end ---------

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「あなたには勇者と戦ってもらいます」と、目の前にいる女神らしき女性から突然そう告げられた俺は驚きを隠せなかった。俺は今まで、ごく普通の日常を過ごしてきたはずなのに急に勇者をやって下さいだなんて言われると、誰でも驚くだろう。

俺の家は両親ともに公務員をしており、兄弟は姉が二人いる。父は市役所に勤めていて母はスーパーのレジ打ちをしている、そんな普通に生活をしてきた俺だったがつい最近に事故にあったらしく死んだという連絡をもらってからは、何が何だか分からないままにこの場所に来ていた。正直言ってこの状況が全く理解できていなのに、勇者になれと言われても理解出来る訳が無いのだが、「はい」と答えるとすぐに勇者になれるようなので仕方なく「はい」と答えた。そして次の日から本当に勇者になってしまったのである。しかし勇者になることができたとは言え何もしなければ死ぬだけである。そう考えるのであれば何かしらの行動を起こす必要があるのである。そして何をするべきかについて考え始めた時にあることが頭に過る。

(そうだ!!まずはステータスをチェックしよう)

と思い立ち確認をしたところ次のような事が書いてあった。

神崎直人

16歳 Lv.1 HP:100

MP:50

攻撃力:45

魔法力:25

防御力:25

速度能力:55

知力:15 SP 0 装備 武器(右手に聖剣を持つ 攻撃+1 勇者専用装備のため 自動修復、魔力強化)

頭防具

(なし体防具

(鉄鎧 防御力+5 速度低下補正)

腰装備品

(魔剣の鞘×2 アイテム袋付 容量無限 全ステータス10上昇 自動修復)

足装備品

(鉄靴 速さ20倍 防御力30)

その他アクセサリー 無し このステータスを見て思ったことは一つだけであった。

(弱すぎんだろー!!!!こんなんでどうやって戦えって言うんだよ!!レベルが低すぎるしこのステータスだと一般人以下なんじゃないか?そもそもレベルが上がらないとかあり得るのかよ?)

そう思い自分のステータス画面を何度見直してもその答えを見つけることができなかった。そのため一度ステータスのことについては忘れて次にスキルの確認を行うことにした。

(どんな感じなんだろうな〜、楽しみだ!)

俺は内心ウキウキしていた。

しかしここで大きな問題が発生した。それはあるスキルが一切無いということだった。それどころかほとんどのスキルがなかったのだ。そしてそれは、どう考えてもおかしなことであった。

俺はそこで、もう一度この異世界に来る前のことを思い出すことにする。そうすればなぜこのような状態になっているのかが理解できるのではないかと考えたからだ。

そういえば、いつも通り学校に通っていたはずなんだが、そうそう、確か教室に入るなりいきなり後ろの方から衝撃が来てそれから意識が飛んでいたんだったな、それから意識が戻った時には既にここにいて目の前にいた女の子に突然、お前は勇者だと伝えられた。それで今に至っているのか、つまりはどういうことだ。まあよくわかんねぇからいいか。とりあえずは現状把握の為に周りを観察しよう。この部屋の広さは学校の一クラスの教室ほどしかない大きさで壁の色は真っ白であり天井にも照明のようなものはない、扉は二つあるが片方はどう見ても行き止まりに繋がっているだろう。もう一方の扉も開かない、試しに押そうとしたらビクともしない。つまりこの部屋の外に出ることは不可能だという事である。窓もなく換気扇も付いていない、トイレや洗面所のような場所は見当たらない。

俺はこの時点で完全に詰んでいた。ここから出ることが出来ないというのならもう諦めてこの場に留まるしか道は残っていない、だがこのままではいけないという事は明らかでありなんとかしなければならないだろう、そしてどうにかするためには情報が必要である。そう考えた俺は、この世界に来てからの行動を順番に思い出して行く。

最初に目覚めたのは白い部屋に一人だけいるという状況だった。これは恐らく召喚されて間もないためであろうと考えたがそれでも一人でいる時間が長い為少し寂しさを感じたのを覚えている。

そして、それからはしばらく何もせずに時間が過ぎるのを待っていた、だが何も起きなかった。そして退屈だった為この部屋の中を探索することにしたのだ。しかしどこを探してもそれっぽいものは何も見当たらなかった。唯一分かったことと言えばこの空間には時間が経つという概念がないことくらいである。そして暇つぶしも出来ずただ待つしかなかった為、意識を失う前の出来事を思い出しながら時間を潰す事にしたのである。

それから約2ヶ月程が経過した時に突如背後に気配を感じ振り向くと一人の女性が立っていたのだ。その人は黒いローブを着ており顔はフードを深く被っているせいで見えなかったが身長は高く160cm位あったと思われる。そして俺はその人物に質問をする為に話し掛けようとした。

「あのー」と声を掛けると、その女性は

「はい、こんにちは。私に用ですか?」と返してくれた。

俺はその女性と話をするために「少し話しませんか?」と聞くと

「構いませんよ。」と言われたのでその女性の横に並んで話を始めた。

この世界に呼び出されてからの話をした。この女性とはその時に色々と会話をしたが特に怪しいところはなく普通に会話ができた。そしてこの世界の常識や魔王のことについて聞いたりしていたのだがその時になってやっと重要なことに気づくことが出来たのである。それは俺にはステータスという物がないという事を思い出せたからだ。

ステータスというものはこの世界には存在していないということが判明したのだ、俺自身にはそれが存在しないために自分自身の強さを確認する方法が存在しないのである。だから俺は、この世界で生きて行けるのか不安になり焦っていたのだと思う。そんな時、俺のことをずっと眺めていた彼女が突然俺の手を握った後に何かを言い出した。しかし言葉の意味は分からなかったので首を傾げてしまうが、彼女はそんな俺の様子を見て「ごめんなさい、私はあまり話すことが得意じゃないの」と言いまた沈黙が訪れてしまった。それからさらに数時間が過ぎた頃に、その人が突然立ち上がり何かを話していたがやはり意味が理解できなかった。するとその人はこちらに向かって話しかけてきた。

「突然で悪いけどこれからあなたには魔王を倒してもらいます」と言って来たのだ。俺は困惑した表情をしながらも「どうしてそんなことを俺なんかに頼むんですか?」と聞き返すとその人は、「理由は後で教えるわ。それに今はあなたも混乱しているでしょう。だから詳しい説明は後にするわね。それよりもあなたは魔王を倒さなければいけないの。その理由はあなたの目線で見た方が早いと思うわ」

そう言われた瞬間に俺は目の前が暗転し、気づいたときにはこの場所にいたという事になる。

そして今に至るわけなのだが、まずこの状況について全く理解できないのでこの謎だらけの女性に問い詰めることにした。

---side out ---

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神崎直人は目の前にいる黒髪の美女に対して不信感を持っていた。まずこの女性が何者かが全くわからなかった。そして次にその女性が自分の手を握ってきた事だ、直人には今まで女性経験など無く免疫が無かったのである。更にその後すぐに気を失ってしまったこともあり緊張してしまったというのが正直な理由であった。

しかしここで一つ疑問が生まれたのである。なぜ俺はいきなりこんな所に飛ばされたのかという事である。俺は勇者であると言われていて魔王を倒すように言われて勇者となったはずだ、それならば魔王が居る場所にいるべきなのではないだろうかと、魔王を倒した先に勇者としての目的があるような気がしたので魔王を探し出すことにした。

---side start ---

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俺はこの2ヶ月でわかったことがある、まず魔王と勇者の関係は切っても切れない関係だと言うことが1番大きな収穫だろう。なぜなら勇者を殺せば魔王が怒りを爆発させ世界を征服する事が可能になるからである。このことから勇者は絶対に殺す必要があり、魔王を倒さなければならないと強く感じることができた。

この2ヶの間俺は何をしてきたのかというと、ひたすらレベルを上げる訓練を行なっていたのだ。まずステータス画面について確認をしてみた、どういった原理になっているのかは未だにわかっていない、しかし一つだけ分かったことといえば、俺が何かしら行動することによって経験値を手に入れることができる、ということである。そしてもう一つはステータスの補正値だ、この世界に来てすぐに確認を行ったのだがどう考えても異常だと言わざるおえない結果になった。というのもこの数値が全て10になっていたからであった。普通は0から始まる筈なのになぜか全ての項目にプラスの数値が入っていた、それもかなり異常なことであった。何故ならマイナスがないということは攻撃力が+20されているということになるのである。

そう考えれば勇者が弱いと言われるのにも納得できるが、他の勇者はどのようなステータスなのかを知りたいと思った。そしてもう一つの問題はSPという謎の数値が存在しているということだった。これはSPを消費してステータスに上乗せするという機能がありこのステータスが10あるだけでも普通の勇者とは一線を越えることが可能になるのだった。そのため俺はSPを無駄に出来ないと考えていた、もし使ってしまった場合次からSPを取得することが困難になるだろうからだ。

俺はとにかくステータスの強化が急務だと考えていた。そうして今日もレベルを上げようとしていた時に突然、女が俺の部屋に入ってきて訳の分からないことを言ってきたのだ。

(この子一体なんなんだよ、俺に魔王討伐を押し付けてきたり、ステータスが無いとか嘘までついてきてよ、マジで頭おかしいんじゃないのか?って、えっ、俺が勇者じゃ無い?)

そう、この女の言ったことは本当のことなのだった。この世界に来る前に俺は、自分が死んだ事を思いだしたのだ。そうしてその事を考えている内にだんだんと思いだして来たのだ、俺は確かに交通事故に遭っていた、そして目の前に突然現れたこの少女は勇者だったのだ。つまり俺は、魔王と戦うための戦力を集めるために選ばれ召喚されたのだ、そして俺が選ばれなかったのは、ただ単に運が悪かったということなのだろう。そう思った途端自分の人生が嫌になり始めていたのだ。

それからというものの、勇者に勇者になれなかったのだから魔王を殺すしかない、ということだけを考え続けて来たのだ。そのためこの場に来たという事も、ある意味必然と言えるのかもしれない。

そんな事を考えていたらいつの間にか俺の方を向いてきており何かを伝えようとしてくる。

(ん、なんなんだこいつ)と思っているといきなり「私と一緒に魔王城に行きませんか?」と聞かれたので俺は戸惑ってしまう。

そもそも魔王と聞いて一番最初に思い浮かぶイメージとしては、魔族を従わせている存在というイメージが強かったので一緒に行きたいとはあまり思えなかったのだ。

だがしかし、この現状で一人で生きる術を持たない今の俺にとっては付いていく以外の選択肢がなかった。そして俺は仕方なく付いて行くことにしたのである。

そしてこの女の子に付いて行くことを決めてから俺はあることに気づくことができた、それはこの子がかなりの美少女であることだ。俺は今まで彼女なんて作ったこともない、しかも女の子と話すことすらままならなかった為、緊張してしまい会話が続かなかったのだ。しかし俺はこの女の子の笑顔を見ると何故か安心することができてとても落ち着いていた。俺はこんな女の子と一緒に生活が出来ることに嬉しさを感じていたのである。そうして俺はこの子の後ろについて歩いて行ったのだった。

俺は、これから魔王城に連れて行くという黒髪ロングの美魔女に案内されて魔王城に向かって歩いている、そしてその道すがらに色々な話を聞いていたのだ。そこで分かったことは俺以外にも沢山の人が居たこと、俺が知らないところでは様々な事件が起こっていたこと、そしてその人達は魔王に操られていたり魔王側に寝返っていた人がいたらしいが最終的には全て倒されたという事実を知った。また俺のようにこの世界ではステータスが最初から無かったという人も少数だが存在していたようだ。

そうやって色々と話をしていく中で魔王についても教えてもらった。その人は、魔王のことを神に使える天使の一人だということを告げてきた。俺はその話を聞いて少し違和感を覚えた。なぜなら魔王は魔王であり、人間や魔族の王ではないと教えられたからである。そんな俺の反応を見て彼女は不思議そうな顔をしていた。そして魔王城の入口へと到着した。

俺の知っているRPGの魔王城を彷彿とさせていた。俺はそんな魔王城を前にしながら「本当にここでいいんですか?」と聞くとその子は当たり前でしょといった表情でこちらを見つめ返してきた。俺は、もしかすると魔王城はもっと豪華なものを想像していたが実際は違うということを認識させられてしまった。しかし目の前にあるのは大きな門だけであり中は薄暗い雰囲気に包まれていた。俺はその中へ恐る恐ると足を踏み入れていった。中に入るとやはりそこは予想通り暗く不気味な場所になっていたのだ。それからというものの、暫く何も起こらない時間が過ぎるばかりで、正直もうそろそろ帰ろうかなと思っていた時にようやく扉の前にたどり着いたのである。そして俺達はついにこの先にある部屋の中に入っていった。

俺は今現在目の前の状況を理解していた。

そこには、いかにも偉そうな態度を取っている一人の男が座っていたのである。その男の容姿は端正な顔立ちに綺麗な銀髪を生やしておりその体は、まるでモデルのような体系をしており、さらにその体から発せられている覇気によってその強さは一目瞭然であった。また俺は、魔王がこちらに視線を向けてきた瞬間体が震え上がってしまい動けなくなってしまっていたのだ。そんな状況の中俺よりも先に動いたのが隣にいた黒髪ロングの女性であった。

彼女は、突然男に話しかけたのである。彼女は「こんにちわ、私は貴方に聞きたいことがありましてここに訪れさせていただきました」と言うと、それに対して相手は何も言わず俺達に話しかけるように口を開いたのである。俺は正直何を言っているのか分からなかったので困惑するばかりだった。すると彼女は俺の手を握って来たかと思うと突然光り輝き始めたのである。

その光が消えるとそこには一人の女性の姿が現れたのだった。そう俺はこの光景を見たことがある、そう、俺が初めてこの世界に訪れた時のことなのだ。あの時はこの女性が突如目の前に現れたことにより混乱してしまってまともに対応出来なかった。しかし今回はしっかりと女性に挨拶をしようと思い、「えっと、どうも、はじめまし、うぇ」と言った後に盛大に吐いてしまったのである。

目の前にいる女性は明らかに女神であった。それもその筈、その女性は、俺が最初にこの世界を訪れた時に俺のスキルを付与させてくれた張本人だからである。そうこの女性が全ての始まりであったのだ。

目の前にいる女性の突然の登場に俺は、思わず驚き声を上げてしまいそうになった。しかし目の前の女性が手を差し出して来たことによりどうにか俺は平静さを保つことが出来て冷静さを取り戻すことが出来たのである。

そんな事があった直後、今度は俺の横にいた女性が喋った。その言葉遣いはとても丁寧なもので、まるで大人と話しているような錯覚を覚えてしまうほどだった。

「初めまして神崎直人様、私の名前はリゼと言います、貴方をこの世界にお呼びしたのは他でもありません、この世界が危機的状況にあり魔王による支配を許しているからです。

そして私が貴方に頼んでいるのは、この世界の危機を救うために、魔王を倒して欲しいということです、このお願いを聞くのが無理な場合元の場所に返すことになりますがそれでも良いですか?」と、言われ俺は迷わず「はい、もちろん引き受けさせてもらいますよ、俺は絶対に魔王を倒し、平和を勝ち取ってみせます!」と言ってしまった。

(あぁー、俺はなんてことを言ってしまったんだ、魔王がどれほどの者なのかすら分からないのに俺は安易な気持ちで引き受けて、いや引き下がれないだろうけど、いや、もう考えれば考えるほど自分が馬鹿すぎて笑えて来るな、ははっ)

そう俺が心の中で後悔している間にも話はどんどん進んで行きいつの間にかに俺に力が授けられるということが決まってしまっていたのだった。

その後、俺が力を与えられた瞬間再び目の前が真っ白になったのだ。

そして目を開けたら目の前にはいつも通りの魔王城が存在しており、目の前に立っている黒髪ロングの女はこちらに微笑みながら見下ろしてきていた。

俺は突然の出来事により頭で理解することが難しかったがなんとかして整理をしていった。しかし俺は、この状況から導き出された答えはたった一つしかなかった。(ああ、もしかしたらこれは夢だったのかもしれない、もしくは、俺は死んでいたのか?それならば説明がつくな、だってこんな美人が魔王とかあり得るわけないからな)

そう、これは俺の都合の良い妄想であると思ったのだ。しかし、そう思うと同時に自分のステータスを確認するとレベルが3まで上昇していてSPが50も増えていたのだ。

俺はこの数字が本当かどうかを確かめるためにステータスを開くとレベルが1つ上がったことによるボーナスSPと元々持っていたステータスポイントがそれぞれ10ずつ増えており合計で70ポイントが獲得されていたのだ。俺はそれを確信した瞬間、俺は目の前に居る魔王に向かって「俺は勇者だ、魔王!お前を倒す存在なんだぞ、俺は負けられないんだよ!」と言っていた。

俺は勇者でも無い癖にそんな事を口にしていたのだ。だが俺はこの時なぜか勇者としてのプライドのようなものが芽生えていて無意識の内に勇者だと宣言してしまっていたのである。そして俺は、俺の言葉を聞いた女は一瞬キョトンとした表情をしてから俺の方を向いたかと思うと思いっきり吹き出して笑い出していたのである。その反応に流石に俺は腹が立って来て女に詰め寄って行き女の顔を見てみたのだ。そうすると女の笑顔に吸い込まれるように視線を奪われてしまったのだ。その顔には一切作り笑いというものが見られず、とても自然な笑顔だったのだ。

(くそ、なんだこれ胸がドキドキしてきた、それになんなんだこいつの笑顔はめちゃめちゃ可愛いすぎるだろうが、反則過ぎじゃないか?)

俺は、初めて見る本物の笑顔というものがあまりにも衝撃的過ぎたのか、しばらくボーっと突っ立ってしまいそのままの状態でいたのである。

それから少しして我に返り俺は恥ずかしくなり顔を赤くしながら、もう一度同じセリフを言ったのだ。

「おい、聞いているのか、俺がお前を、ぶっ倒さないうちに、早く降参してここから去れ、そうすれば俺はこれ以上戦う必要はない」と言うとその途端、俺の足元の地面が急に無くなり俺は奈落の底に落ちていったのである。

そのあと、目が覚めると目の前には心配そうな表情でこちらを見つめてきている女の子の瞳があった。そして俺はその少女の膝枕をしてもらっていたことに気がつきすぐに飛び起きた。俺はどうしてこんな状況になっているのかという事を思い出そうとしたがどうも思い出せないのであった。そんなことを考えている時俺は、この子の容姿が非常に整っている事に気がついた。そして、黒髪に綺麗な赤い目の美少女でありその容姿はとても美しく俺の好みのタイプでもあったのだ。

そうこうしている間にも、俺はその少女から色々と話を聞いていた。話によると俺は気絶をしていたらしく、しかもかなり危険な状態だったらしい。そのため急いでここに戻ってきて治療をしようとしたらしい。俺は、彼女に色々と話を聞かせてもらった後、改めて自己紹介をしたのだ。俺はまず名前を言うことから始めようと「はじめまして神崎直人といいます、これから宜しくお願いします。

それで早速で悪いんだけど俺はこれから何をしたらいいかな?」と俺は聞くと彼女は少し驚いた顔をした後、「貴方はまだそんなことを言っているのですね、私は最初から言っていますよね、魔王を倒して欲しいって」と、言われ俺の脳内には「はて?」といった感じの疑問符が出てきていたのだ。そして俺の頭の中が少し混乱をしている最中にいきなり魔王が現れたのである。

俺は咄嵯に逃げ出そうとしたが魔王はこちらに向けて魔法を放ってきたのである。

俺もとっさに剣で応戦しようとしたが、そもそもの力量差が大きく俺は為す術なく吹き飛ばされてしまう、しかしその時、黒髪ロングの彼女が魔王に向かって斬りかかり、見事に攻撃を防ぐことに成功した。そしてそのすぐ後魔王はその場から離れていなくなってしまったのだ。

その光景を見終えた俺はその場で気絶をしてしまい今に至っているという訳である。

俺は彼女から魔王との戦いの様子を聞いて俺は愕然としていた。それは、俺があの場面で勇者としてではなく一人の男とし戦ったのに結局魔王に負けてしまったからなのだ。

(あの時に魔王に殺されていればこんなことにはならなかったんじゃなかったか?)と考えてしまい俺自身に呆れてきてしまった。しかし今俺が出来ることはとにかく強くなってまた挑戦をしていくことしかないのだ、俺は自分にそう言い聞かせながら魔王城の入口を開けようとしていた。

すると突然俺の横に現れた人物が居たのだ。俺はその存在が誰か分かった瞬間思わず驚きのあまり固まってしまったのである。そうそこには魔王がいたのだ。

俺は何が起こったのか全く分からずパニックになっていたのだ。そんな状態の時に後ろで声が上がったため、振り向くと先程助けてくれた人が立っていたのであった。そんな事よりも魔王の登場で更に場の雰囲気が悪くなり始めたところで、突然魔王が現れ、その圧倒的な力の前に皆何もできず立ち尽くすばかりとなっていたのである。

そしてそんな緊迫感溢れる空間の中で魔王が突然俺に対して話し掛けてきたのだ。その瞬間、周りの雰囲気が変わるほどの殺気が魔王の口から発せられたことにより、周りに緊張感が高まっていったのだった。そんな中魔王は、「さてと」と言った後に俺の方に近づいて来たかと思うとその瞬間俺の横を通り抜け俺の背後にいた人物に殴りかかっていったのだ。そして俺の目にも留まらぬスピードの攻撃に、後ろにいた人物は対応が遅れてしまい殴られそうになり、そして、殴ろうとしたその手を止めるように腕を掴んだ。

「久しぶりだね、君に会うことが出来てとても嬉しかったよ、まさかこの世界にいるとは思っていなかったけどね。

でもこうして会えたからにはもう逃がさないから覚悟しておいて貰おうかな、君は私がずっと狙っていた人でもあるからね、そう、あの時から私にはもう貴方しかいないと思っていたんだから」と言い放ち彼女の顔は狂気に満ちており、まるで恋焦がれている人の元に向かうかのような目をして俺のことを見据えていたのである。俺はこの時何故か悪寒が走り身震いをしてしまっていることに気づいていたのだ。そしてその目からは逃げられないことも本能的に察知させられていたのである。そして彼女は、自分の拳を止められているにも関わらずさらに力を込めて魔王に攻撃を繰り出していたのだ。魔王もそれに答えるようにして攻撃を仕掛けており、俺はその間に入り込むことが出来ずにいたのだ。

(なんだ、こいつらの強さは次元が違いすぎるだろ)

そんな風に考えているうちに二人は、互いに攻撃を交わしあい互角の戦いを繰り広げて行っていたのである。

そうして二人の激しい打ち合いが始まってから約30分が経過したときついに勝負が決しようとしていた。

俺の目の前では魔王が地面に片膝をつけ苦しそうにしているのに対し魔王の方は傷一つ負っておらず完全に勝敗が決まっている状況になってしまっていたのである。そんな状況を眺めながら俺は心の中で思ったことを口に出してしまっていた。

「俺は勇者だぞ!それなのに魔王に手も足も出ないままやられてしまうなんて俺は絶対に認められないんだよ、頼むからもう少し待ってくれ」

そう、俺がそう心の中で叫んでいると突如として頭の中で声が聞こえて来たのである。

「お主に力が欲しいのか?ならばその力を手に入れ魔王を倒しに行ってみせよ!」

そしてその声が響いてきた直後、俺の体が急に光り出したのだ。俺はその眩しさで目を閉じていたのだがしばらくして光が収まった気配を感じ恐る恐る瞼を開けるとそこには全く知らない男が立っていてその横にはあの女が倒れていた。そして俺は理解できないこの状況について考えていた。しかしそんな事を考えていた俺を余所に頭の中に直接話しかけられてきて困惑するしかなかったのである。

(お主がわしの力を引き継ぐに値する存在であるか確認するためにこの姿に変えさせて貰ったのじゃ)と言われ、俺はとりあえず質問をしてみたのだ。

「貴方様のお名前はなんですか?」

俺はこの状態ではまず名前を聞かないと答えられないと思い聞いてみたら

「あぁ、すまん、すっかり忘れておったわ」と言いながらこちらを振り向いてきた。そうして俺はその瞬間目の前に居る存在をまじまじと見つめることになってしまったのである。その容姿はかなり整った顔立ちをしており、目は二重にとても大きく鼻筋は通っていて唇はふっくらとしており全体的に見ると美少女と言ってもおかしくはない容姿をしている女性だ。しかしその容姿を見たときに違和感を感じたのである。なぜなら目の前の人物から発せられているオーラのようなものが違うように見えてしまったからだ。そんなことを考えながら俺が見ていると突然その女性は自己紹介を始めたのである。

私は勇者である彼女と戦闘を始めてからすでに20分ほど経過していた。私の方はかなりの魔力を削られ、そろそろ決着をつけてしまわなければならないような状態まで追い込まれてしまっていたのだ。

(ここまでは予想以上の成果だったと言えるでしょう。ですがこれから先は恐らく厳しい戦いになるかもしれません、なのでここで確実に倒してしまう必要があります、しかしこのままの実力で挑んでは到底勝ち目がないという事ははっきりしているのでどうにかしなければいけません。まず私は今まで全力を出し切ってはいなかったのです。その理由が彼女に対する敬意というものが存在していたからで、彼女を傷つけたくなかったためなんです。ですが今はその配慮をしていて勝てる見込みなど無いに等しいのです。私は覚悟を決めて彼女に止めを刺すことにしました。)

そう思いながらも攻撃の手は一切休めることなく彼女を追い詰めて行きとうとう最後の一太刀を振るうときが来てしまったのだ、彼女は最後だと思い諦めずに必死に防御の姿勢をとって向かってきたが私はそんな彼女に容赦なくとどめの一撃を食らわせようとした。その時突然目の前に黒い物体が飛び出して来て邪魔されてしまったのだ。そしてそれが魔王だということに気づくとすぐに距離をとり様子を伺うことしかできなかった。

「お主らはなかなか面白い組み合わせをしていたようじゃの」

そして突然私たちの頭に直接語りかけてきたかと思った途端魔王の姿形が変化したのである。その姿は黒髪ロングの女性になっておりその容姿はとても整っており美しいという言葉がよく似合うそんな容姿をしている人物であった。しかし見た目が変わっただけではそこまでの驚きは無いのである。それよりも魔王が話しているという方が驚きが大きいだろう。

(まさか魔王とこんな所で話すことになるとは夢にも思ってませんでした。でも今のうちに何か聞き出せることはないでしょうか?)そう考えた時私は、先程の出来事を思い出すことにしたのである。

--side直人

「私は勇者であるあなたを倒すためここにやってきました」

俺が、そんなことを言った次の瞬間魔王の目が怪しく輝いたように見えたのだ。そしてその直後、俺が手に持っていたはずの剣は、いつの間にか魔王が持っている武器へと変化を遂げていたのだ。そしてその事に驚いている暇も無く魔王が斬りかかろうとしてくるのが見えた為、俺はすぐさま攻撃をかわし体勢を整えようとすると既にそこには、魔王の姿は無く俺の真後ろから魔王が現れ攻撃されそうになったが、なんとかそれを間に合わせる事ができたのであった。しかし魔王はその後も止まらず攻撃を続けてくるが俺はそれを何とか避け続けることが出来たのである。そして、魔王の攻撃を避けながら少しずつ後ろに下がっていくと壁に追い詰められてしまう。そして、俺はそこで一旦動きを止め魔王の様子を窺っていたのだ。しかし一向に攻撃を仕掛けてくる様子がなかった為俺から攻め込んでみるとその攻撃を簡単に受け流された後、今度は逆にカウンターを仕掛けられたことでその勢いを殺す事が出来ずに壁に向かって吹き飛ばされてしまう。

そうするとまたも俺の前に一瞬にして移動した魔王が俺に向けて剣を構え攻撃を仕掛けてきたが、俺はギリギリのところで避けることに成功した。そして、そこからも俺達は、お互いに譲れないものを賭けてひたすら戦い続けたのである。

(くっこのままでは全く勝つことは出来ないな、しかしまだ策は尽きていない、ここから逆転の一手を打ってみせるさ!そして必ずあいつだけは俺の手で殺さなければならない!俺の命に代えてでも必ず倒す!俺は勇者だ!こんな所で負けてはいられないんだ!だから俺に力をよこせ!俺はまだ強くなる必要があるんだ。)

俺はそんな事を考えて魔王に攻撃を仕掛けるとその考えを読んだのかは分からないが、突然魔王の体が眩い光を放ったのだ。そして光が止むとそこには俺の良く知っている女性が立っていた。俺はその女性の方を唖然と見詰めながら呆気に取られてしまっていると魔王はこちらに近づき、そして話し掛けてきたのである。

俺はこの現状を理解することが出来ずにただ呆然としてその場に立ち尽くしてしまっていたのだ。そして魔王が話し掛けてきたのにもかかわらず俺には反応することができなかったのである。

「私ですよ、あなたのよく知っている者ですよ」

俺はそんな声を聞きやっと魔王が話し掛けてきていることに気づいたのであった。

そう言われても目の前の人物が俺の知り合いの魔王だと言われてすぐ信じられるほど俺は冷静にはなれていなかたし魔王はどう見ても人間だった。俺はこの時なぜこいつがこの世界にいるのだという疑問より前に、この世界の魔王だと言うなら俺がこの世界に来た理由も知っていてこの世界に召喚された目的を知っているはずなのだと考えたのである。

そう思うと俺は魔王に対し質問を投げかけていた。

「俺はこの世界に来る前の記憶がないんだ。俺は何故この世界にいる?お前はこの世界について何か知っていることがあるんじゃないのか?教えてくれないか?俺の目的は何だったんだ?俺は何をするためにこの世界にやってきたんだ?それに、あの化け物はなんだ?魔王と勇者って一体どういうことだ?」俺はこの世界についてのことを聞くと共に気になっていたことについても聞いたのである。そしてそれに対して彼女は少し困った表情になりながらこう告げてきたのだった。

「まずは私の正体を明かさせてもらいますね。私の名前はセシリア、この世界にある七人の王のうちの一人、序列二位に位置する『覇王の巫女』をやらせていただいています。」

俺は、彼女の言っている言葉を聞いて全く理解が出来ていなかったのだ。

(はあ、魔王が序列二位の巫女様だって?確かに巫女っていうぐらいだし女性だと思っていたがそれでは尚更魔王だと言われても納得が出来ないんだよ。そんな俺の考えを見透かして彼女は再び口を開き始めたのであった。)

「信じられないのも無理はありませんよね。まぁ私の本当の姿をお見せしますのでどうかそれで信じてください」

そう言って彼女が指を鳴らすと目の前にいた女は光に包まれそしてその光の中から姿を現したのは銀髪の綺麗な長い髪をしている美女でありどこかで見たような雰囲気を纏っているような気がしたのである。

そして彼女の姿を見るなりなぜか心が騒つく感覚を覚えたのだ。

そして彼女は自分の正体を明かすと言ってきたが当然の事ながら俺はまだ信じることができなかったので確認を取ろうと思い声を掛けようとした瞬間、彼女は魔法を使い始めて自分の姿を変えたのである。その姿を見て俺は驚きを隠せずその場で硬直してしまったのだ。

(こっ、これはいったいどういう事なんだ、なんでこの世界で会った魔王と同じ姿がそこにあったんだ!?俺は混乱している頭を必死に動かし考えていたがやはりどうしても分からずそのままの状態で立ち尽くすしかなかったのである。しかしそんな中、目の前の人物は再び俺に対して話を始めて来たのであった。)

彼女はそうして自分について話を始めてきたのだが、その内容は、この世界を創ったと言われている神様の使いであるというもので、その神が、俺たちを呼び出したのは、魔王を討伐して貰うために呼び寄せたというのだ。しかし彼女も詳しくは知らないということらしい。そしてその魔王は、本来別の人物を転生させてこの世界に呼んでいたみたいなのだがその人物はどうやら俺と同じように記憶が抜け落ちているようであり詳しいことは覚えてないみたいだと言っていた。

そして最後に俺の事を気に入ったと言ってきたのである。

俺の方からするとそんな話をいきなり信じろというのが難しかった。そもそもの話そんなことを話されて信じれる奴がいたとしたならそれは頭のおかしい狂信者とかそういう類だと思うのである。しかし俺はここで一つだけ気づいたことがあったのだ。

(俺はさっき初めて戦った魔王のことをなぜかとても懐かしく感じたのである。まるで小さい頃に遊んでくれていた近所に住んでいたお姉さんのような感覚で、とても優しい笑顔を浮かべていたのだ。そう考えると魔王という存在は別に敵だと認識することも無いんじゃないかと思ったのである。

なので、ここは素直に受け入れておくのが得策なのではないかと考えていたのである。)

「俺としては魔王だの巫女だの神の使いだなんてことを突然言われたとしても到底信じられるものではない、しかし俺は今現在こうして生かされているのは事実でありこのまま放置しておく訳にもいかない。だから一応は魔王である貴女の言うことに従うことにしよう。だから俺を殺さないでくれると助かる」

そう伝えると目の前の女は安心した様子を見せながら微笑みそして話しかけてきてきたのである。

「私は貴方が信用できる方だと思いましたのでこの姿でいる時は魔王としてではなく普通の女の子のようにして過ごすようにしていたのですがどうやらそれが良かったようで安心しました。これからは普通にセシリアとして接していくのでよくしてくだされば嬉しいです。それとこれから私がこの国をお守りしていくことについては魔王と女神である私の二人にお任せください」

「分かった。でも俺の目的が果たされるまではこの国の人たちを助けることは出来ないからそこは了承して欲しいんだけど大丈夫かな?」

「勿論です。私もこの国は好きですからお力になれるよう努力していきましょう!」

それからしばらく話を続けた後魔王が、勇者殿と呼んで来た時に俺の中で少し嫌な予感を感じ取り急いで否定をしたのだった。

俺が否定をするとお嬢様言葉で俺のことをご主人様にしようとしていたが俺はそれを断固拒否したのだ、そうしているうちに段々とお嬢様言葉を使うことも諦めてくれたのでとりあえずこれでいいかと思ったのだった。

俺と魔王はお互いの名前を教え合った後にこれからの話し合いを始めるのであった。そして俺が元の世界に帰らないといけないということを説明した上で、今すぐにでも元の世界に帰りたいという意思を伝えるとそのことについては魔王にどうにかできないかという事で話を持ちかけてみると案外簡単に承諾を得ることが出来たのである。そこで俺が魔王に今から帰る為に必要な事を聞いてみたが彼女は特に何も無いらしく俺の質問に対して首を横に振るだけで他に答えてはくれなかった。

その後俺達は魔王城に戻ることになったわけだが俺がこの世界に転移してきたあの場所では無く魔王の住んでいる場所に連れて行って欲しいと頼むと何故か断られてしまう。

そしてその事を聞いた途端に魔王から黒いモヤが出始めそして俺の腕を掴んできた。俺は咄嵯の出来事に対応しきれなくなりそのまま腕を引っ張られ気を失ってしまった。

(くそ、油断した!まさかこいつが俺を殺しに来たってことはないよな、それなら最初から俺のことなんか放っておけばいいだけだしな。)

(くっ、ここはどこなんだ、頭がボーッとするし身体も重い、そうだ、俺は魔王と戦っていたんだ、それで気絶させられて今は牢屋の中に閉じ込められてるんだな。それにしてもさっきのはなんだったんだろうか?明らかに魔王がやったことだとは思うが何か意味があったのかもしれないし聞いておくべきだろう。俺はそんなことを考えながら魔王が来るまで待つことにした。しかしいつまで経っても魔王は現れずに結局この日は魔王が現れることはなかったのである。

次の日の朝、昨日の魔王の言葉を思い出す限りどう考えてみても殺されてしまう可能性が圧倒的に高かった。なので俺は、なんとかここから脱出するために色々試してみる事にしたのである。

俺はまず手錠の鎖が繋がっている方の壁を破壊しようと試みたのだがどうやらこの鎖は相当頑丈になっているようでいくら攻撃を加えても傷一つつかないのであった。

(はあ、こんなんじゃどうすることもできねーぞ!クソ、俺の馬鹿野郎め!俺はもっと考えるべきだった、なんの為にわざわざ魔王はこんな回りくどい方法をとったのか、俺はその事を全く考えなかったのである。)

俺が一人でそんな風に反省会のようなものをしている最中も扉は開かれることはなく、俺は仕方なくその日はそのまま眠りについたのであった。

次の日に魔王は現れることなく一日が終わった。

俺が起きてから暫くの間は、俺はただひたすら壁を破壊するのに夢中になっていて全く気付かなかったが今日は、俺がこの世界に来た時とは違い少し様子が違うようだ。なぜなら俺はここへ召喚される前は学生服姿だったはずなのに今は、この世界に来て最初にこの城に召喚された時の服装に戻っているのだ。恐らくこれは俺を勇者として召喚する際の影響なのであろう。そしてさらに言えば俺以外の召喚されていた人たちは皆一様に同じような格好をしていることからきっとそうなのだと考えられる。

(それにこの城の警備体制は明らかに厳重であり俺がここに来る前にいたあの国よりかはるかに警戒態勢をとっているみたいだな、それだけこの国に危機が迫っているってことなんだろうけどそれにしてもこの国の王様はかなり慎重派みたいだな。)

そして更に数日たったある日、とうとうこの牢獄にあの魔王が現れてしまったのである。俺はもう駄目かと思い観念しようとしたその時、俺は魔王に抱きしめられていたのであった。魔王は俺を抱き締めながら泣いており俺は魔王を優しく抱き返し、泣き止むのを待ったのである。

魔王が落ち着きを取り戻したところで俺はどうしてこの場所に現れたのかと質問を投げかけると俺の疑問は魔王の一言で解決したのであった。そしてこの城の状況や魔王の力についてなどを話し始めたのである。魔王はこの城をこの世界に転移させたのは俺の予想通りこの世界の神様であり俺をここに呼んだのも俺と同じくこの世界に来る直前の記憶が無いのだという。

そしてこの世界の危機についても説明を受けた。なんでも邪神というものが復活した影響で世界が破滅へと向かっているらしい。その話を聞いていた俺は少し違和感を感じたのだがそのことについては触れないようにすることにした。俺は神様が何故そのようなものを復活させたのか聞いたのだが神様にも分からないみたいだ。しかしこのままでは世界が危ないと魔王自身も理解しているためその脅威を少しでも和らげる為に俺が協力してくれないかと言ってきたのである。勿論俺も自分の身を守る為に魔王に協力すると約束した。そしてこれからの方針が決まり、魔王が俺にお願いをして来た。

その内容は魔王の力を俺に受け渡してほしいという事だった。魔王は自分の力を全て俺に譲渡してこの国の人々を護りたいと俺に懇願してくるのだが、流石にそんなことをすれば死んでしまう可能性が極めて高いため俺は必死になって止めようとするがそれでも魔王の意思が変わることは無かった。そして俺は仕方がないと思って魔王にその力を譲り受けることにしたのである。そして最後に俺の持っていた聖剣と魔装を譲ってほしいと頼み込んで来たのでそれならばと了承したがその代わりに俺に神器である、無限収納の能力を付与してくれると言うのでそれについては有難く貰うことにさせてもらった。

そしてこの日から俺たちのこの世界を救いたい魔王様による世界救済計画が始動し始めたのである。しかしこの計画が順調に進むわけもなく様々な問題が発生するが俺は魔王と協力してそれらの問題を解決していきついに俺たちは最後の難関である邪神を追い詰める事に成功したのである。

魔王との最後の戦いを終えた俺は無事にこの世界に戻ってくることが出来た。

(正直な所、あれだけの力を持っていた相手だからかなり不安だったが何とか倒すことが出来てよかったぜ。でも魔王が死んでしまっているからもうこの世界で会うことはできないんだよな、寂しいが俺の目的は果たすことが出来たし、これで満足しておかないとだよな。)

(俺はそうして元の世界でもこちらの世界でも救うことが出来なかった人たちの事を思い出していたのだった。)

(俺はあの後、異世界に転移する前に来ていた制服に着替えた後、家を出て学校に登校して学校が終わるなり真っ直ぐ家に帰ったのである。)

俺は家に着くと、そのまま自分の部屋に入りベットに飛び込むと、今日の疲れが一気に襲ってきて眠たくなって来てしまい俺はそのまま目を閉じ深い眠りに落ちるのであった。

そして翌朝目が覚めるとなぜか俺は森の中で寝ていて知らない女性と対面していたのである。俺は慌てて状況を確認するために辺りを見回すと俺の他にもこの世界に転移して来てしまっている人間が複数いるようで全員が驚いているようで騒いでいた。しかしそんな中俺に近づいてくる女がいたのでその女の容姿を見ると俺の知り合いの女にとてもよく似ていたのだ。

(こいつは間違いなく美優本人だな、この世界にも俺と同じタイミングで召喚されてるみたいだし間違いないだろう。でも俺が知っている美幸の姿は今はまだ高校生だったはずだからこの目の前にいるのが本来の美幸の姿なんだろうな。)

「お兄ちゃん、本当に私達の事を覚えてないんだよね?」

俺はそんな風に考えていたところ目の前の少女が話しかけてきた。俺は少し困ってしまった。なぜなら目の前にいる美少女が自分の妹だったとして果たして自分が今の妹が知る神崎直人として接してきてもいいのか分からなくなったからである。俺は少し悩んだ末に自分としてではなく妹の兄の友達という立場で接していくことを決めるとそう告げると目の前の女の子は悲しそうな表情を浮かべて俯いてしまったので俺としては申し訳なく思っている。

俺が美幸とそんなやりとりをしている間にも次々と他の人間がこの世界に転移してきているようだが皆戸惑っている様子であった。

そんな光景を見て俺は思ったのだ、ここは俺が今まで住んでいた地球とは全く別の場所であるが、この世界は元の世界よりもずっと良い環境にあるように思えるのだ、そのためもしかすると元の世界に帰る方法がどこかに存在するのではないかと。しかし俺は、元の世界に戻ることはもう諦めてしまっていたのだ。俺は美幸に元の世界に戻る方法はもう無いと言われてしまったがそれはきっと嘘だと思う。そしてそのことについて確かめるため俺は美優と別れ一人になった所で元の世界に戻る方法を模索し始めたのである。

俺はとりあえず、この世界に転移する前の場所に戻ってみることにしてみる。転移した場所は、家の近くにある公園だったのでその場所に転移を試みた。

(さっきの場所に戻る為には転移した時の感覚を思い出せればいいはずなんだがな。でも俺が転移したのはこの世界で目覚めた瞬間であって転移した時じゃないからな。)

俺はそんな風に考えて色々試行錯誤しているとある事に気が付いた。俺の場合はいつも気が付くときにはこの世界に居たはずなのだが、転移した時に一瞬意識を失った感じがしたので俺はもしかするとこの空間が特殊なだけで本当はこの世界で覚醒したときに俺は一度、元の世界の自宅で目覚めてこの世界に来てしまったのかもしれないと考えたのだ。

(この考えが正しいなら、俺はあの瞬間この世界に居ることになるが、俺はこの世界に来てからは殆ど自宅の外に出ていないのである、そして家族にはこの世界に来ていることはばれてはいないはずである。もし仮に家族にこの事を知られた場合は大変なことになってしまう、そう考えてみるとこの仮説が合っているのかもしれないな。しかし問題はこの世界はいったいどういう仕組みになっていて俺だけがここに来ることになったのかってことなんだけども、やはりこれは一旦保留にした方が良さそうだな。)

俺の考えはひとまずこの場においておいて他に何か手がかりはないのだろうかと考え始めることにした。俺はそれからも考え続け、もしかしたら俺が転移させられた場所がどこなのか分かればそこにヒントが隠されているのではと推測を立てて俺は転移したであろう地点に向かって移動することにした。

(この場所に来るのは随分久しぶりだが、この場所に俺が転移するきっかけがあるんだとしたらここに来るのが正解なんだろうけどな、それにしても俺が転移させられるのはこの世界に来る直前じゃなかったって事は俺が召喚された時の場所に行けばいいということだよな。確かあそこには俺が着ていた学生服が落ちていた筈だから恐らくあそこから俺はこの世界に来たことになるのか?)

俺はそう思い学生服が脱ぎ捨てられている所に向かうが、そこには俺の学生服が無くなっておりどうやら誰かが持っていったようだが一体誰が持って行ったのか見当がつかない。それにしてもこの森はこんなに鬱蒼としていたかなと俺が悩んでいると急に後ろの茂みの方から音が聞こえたため俺は急いで音の鳴った方に振り返ってみた。

俺はその音の正体を確認しようと思いゆっくりと茂みの方に近づき確認しようとするが何も見当たらないため気のせいかと思いその場を離れようとする。しかし次の瞬間に俺の背後にあった木に雷が直撃したのである。

俺は咄嵯の判断で魔法による攻撃と判断し回避に成功すると直ぐに距離を取るため後ろに飛んだ。そして先程俺が立っていたところに目をやると明らかに人間ではないものが存在していたのである。そして俺はその生物と目が合ってしまい完全に戦闘態勢に入ってしまった。その生物の見た目は一言で言うならば醜悪である、俺が最初に目にしたのがゴブリンでありその後のがスライムだった為、あまり気にはならなかったがこの化け物はかなり不細工である。俺のいた世界にはいなかったタイプの化け物である。そんなことを思っていたがすぐに集中力を取り戻し相手の出方を伺っていた。

その生き物は手に棍棒を持ち二足歩行をしており手が長いのが特徴であり体格は身長170センチメートルほどで横幅はかなりあるように見える。俺の想像の中ではオークと戦鬼が頭の中で合体してしまったような感じになっているのが今の目の前の敵である。その怪物の皮膚の色は茶色で所々赤黒くなっている。俺はその姿を見てからか、この世界の魔素が濃すぎる影響で変異してしまいモンスター化したものではないかと予測して、もしかして魔獣化か?とも考えていた。そして相手はその思考が終わる前に俺を潰そうとこちらに走って来てそのまま攻撃してきた。

(相手は明らかに知性を感じないしこの世界のルールに則っていない。おそらくこのままでは俺は殺される可能性が高いが、まだ勝機が全くないというわけでもないんだよな。まぁ今はこいつを倒すことに集中だ!)

俺は迫りくる相手に対して魔法を行使すると、炎を発現させて相手に放つ。しかし相手はそれを回避して更に速度を上げて俺を襲ってきたので、俺はそれを回避する。俺の使った魔法を初見で避けるということはそれなりの知能を持っているのかもしれないが、今のところは脅威に値しないと判断する。俺は相手が振り下ろしてきた棍棒に対して剣を抜き受け止める。俺は衝撃に耐えながらも剣を使って力を受け流した。

相手は受け流されたとわかると少し後ろに下がったが俺は剣を構え直し隙だらけだった敵の首に目掛け剣を振り下ろす。すると綺麗に首が飛んでくれたがそれと同時に腕を斬られてしまっておりかなりの痛みを感じていた。

(痛え、くそ油断した、俺の予想が正しければあれはオーガと呼ばれる存在のはずで強さは俺達人間の常識を超えてしまうほどの強さを持っていたと聞いていたんだがここまで弱いとは思わなかったぜ、やっぱりあいつは普通の存在じゃないみたいだな。とにかく今のうちに早く治療をしねえと出血多量で死ぬ可能性もあるし早めに治しておきたいが回復薬は俺には使えないんだよな。とりあえずは手持ちのポーションを飲みまくってなんとか応急処置しておくとしよう)

そうして俺は残りの手持ちの薬草などを飲んだが傷は癒えなかったが痛みは大分ましになり、これで行動に問題が無くなったと判断した。そこでふと思ったのだが俺は今までの世界で怪我を負うことは何度も経験しており、その際にポーションでの治療を経験しているためこの世界でも同じことが言えるのではないかと考えるがそもそもこの世界には魔法というものが存在している以上ポーションが存在しないのかもしれずこの世界独自のもので代替できるようなものが存在する可能性も考えられたので結局試すしかないのだ。そのため俺はこの世界にきて最初に会った美優という女のことを思いだす、俺の記憶の中に存在する彼女の情報はほとんど持ち合わせていない、そのため彼女が持っていた能力について考えるが、まず初めに彼女は魔法を使うことができなかった。このことから俺は、俺とこの世界に来てから初めて出会った人間はこの世界では魔法の素質がないということになるだろう。

(そうなると次に考えるべきなのは俺に備わっているはずの特殊能力ってことになるがこれも今の状態では何一つ分からないんだよな、まずは俺がこの世界で得た唯一のものであるこのステータスを見てみるとするか)

俺はそう思い、この世界に飛ばされてから初めて自分の現在のステータスを確認した。

【名前】神崎直人

年齢:15

種族:人族

レベル1 職業 なし 体力 :1000/1200

魔力 :501/5000 物理攻撃力 20000 物理防御力 10000 敏捷性 16000 知力 50 スキル一覧 剣術(5)

気配察知(3)

(なるほどね〜、俺は元々かなり身体能力が高い方なんだと思う、特に敏捷性が異常に高いことから恐らくこの数値は異世界人の平均よりもかなり上回っていると思われる。あとは魔力が結構高いくらいしかわかんないな、それとこの世界の基準での体力の平均値はわからないけど一般的な成人男性と比べてもこの値は高いんじゃないかな。)

そんな感じで自身の能力を把握したところである疑問が浮かぶ。この世界に転移させられた時点で俺はレベルがMAXになっていた、これはつまり俺が召喚される時に何かの能力が働いて強制的にレベルを上げたということなのかと最初は考えたが、この世界に来るまでのレベルを上げる方法というのが経験値を得る方法以外に思い当たる節が無かったためこれは違うのかもしれない。俺の考えでは、俺は元の世界ではレベルが上がる事によって身体能力が上昇していた、そして俺の推測ではこの世界に来れば俺も強くなると思っていたが実際は全く変わらなかった。しかしそうなると俺は何故この世界に来たときにレベルが上限に達してしまったのだろうかと考えていくが答えが出ることはなかった。俺の考察はこの辺にしておこうと思う。

(それにしても、俺の今の現状はかなり厳しいな、とりあえずの目標はこの森から抜け出すことなんだがどうしたらいいものかね。それにしてもさっきの奴が言ってた言葉の意味はなんなんだ?まぁ考えて分かるもんでもないだろうから後回しにするとしてとりあえずは自分の状況整理でもするかね。俺は転移された直後、俺の住んでいた家とは似ても似つかない森の中にいたんだ。それからしばらく歩いて行くと今度は、魔物らしきものに襲われることになる。俺は襲われて当然のことをした覚えがある。なぜならその相手からすれば俺は突然家に不法侵入してくるような男だからな、俺はあの時は混乱していたとはいえ無礼なことは間違いないため殺されかけたのは致し方がないことである。しかし、俺が死なずに今もこうしていられるのはあの化け物が弱かったからだ、そうじゃなければ俺があの時に殺されているはずだ、あの時の俺の動きは自分でいうのもなんだけど中々にキレがあって無駄がなく相手の弱点を見抜くセンスもあった。ただあの時はまだ体が思うように動かなかったせいで本来の実力を出し切れていなかった。俺はその後、自分が生きていることを確認するとすぐさまその場を離れていった、俺の命を狙う者が他にいるのではと考え、なるべく人目の付かない場所に行くために走り続けた。俺のいた場所では人が生活するようなところではないため人気の無い場所を見つけることができた。そして、俺はその場所で暫く過ごすことにしたのである。俺があそこに留まることを決めた理由だが、理由は単純である。この世界に来る前にいた場所で、俺はあそこに居ると家族と会ってしまう可能性が高いからである。もし家族に会うと、俺はこの世界の事を話さなければならない。だが、俺が転移したという事実を知っている者は俺を除いてはあそこには存在しない筈である。だから俺があそこにいて俺の両親や姉と出会ってしまった場合俺は嘘をつくか本当のことを言うかという選択肢に迫られることになるため俺は、その事実が発覚する前に離れることにしたのであった。)

そんな風に考えている間にも俺は敵を倒し続けて遂に魔王城の城下町まで辿り着く。その道中で俺が倒した相手は全てオーガであったため俺は、俺自身がオーガと酷似している存在になったのではないかと不安になってしまうが俺の姿に変化がないので安心できた。

そして俺の目的地である城が見えるところにまでたどり着くと俺は急に眠気に襲われたのである。

「あれ、おかしいな。俺が寝ることはあり得ないぞ。こんな所で寝たら命取りになんのに。って、もしかてこれが敵が仕掛けてきた策か。だとするとこのまま意識を失ってはまずいな。早く起きないと。」

俺は焦って目を覚まそうとするとそこには見知らぬ男が立っていたのである。

俺の前に突如現れたのは真っ黒で全身を覆うようにローブのようなものを着た謎の人物であった。

(誰だこいつ。まぁ見た限り怪しい人物だということはわかるな。ただこの感じは敵意が無いな。こいつは本当にここにいるだけで特に危害を加えるつもりはなさそうだ。俺がここで死ぬことも覚悟の上でここに来ているってことはこいつももしかして勇者とかそういう類か?)

俺はそう思ったのは、俺がここに着いた時にはこの男は居なかったからでおそらくこの男が勇者なのだとしたら、この場に俺が来たことによって何かしらの用件でやって来た可能性が高いと考えたためである。そして俺は男の格好を見るとその男は明らかに勇者と呼ばれるような服装をしているわけではない。それどころかどちらかと言えば魔王の配下のような雰囲気さえ感じるほどであった。俺はとりあえずその男が俺に向かって話しかけてくるまでは、警戒を怠らずに様子を見ておくことにしてその会話の内容でこの人物がどういう存在なのかを知ることにした。そしてこの男にどのような要件があったとしてもそれは絶対に俺にとって有益になるはずがないと思いながら相手の出方を伺っていた。

(さっさと俺に何か言ってくれ。こっちは色々と限界が近づいてきてるんだよ。この状態が長く続けば確実に俺は殺されるだろうな。それにしても俺の感覚がこの男が危険な存在だと言っているんだよな。一体何者だ?この見た目的に俺はこいつと似たような能力が使えたりするのか?でもそうだったならとっくの昔に俺の前に現れて何らかの方法で攻撃してくるよな。まぁ今はそれよりもまずはこいつの言葉を聞き取ることから始めよう。この世界の言語と俺がいた世界の言語である英語という共通点はあるんだが、そもそもの話俺には翻訳機能なんてものは備わってないし、念話を使える相手がいるかどうかすら分からんから、とりあえず普通に喋ってくるまで待つとしよう。)

そうして俺はひたすら待ったのだが何も話すことなく沈黙が続いたまま時間が過ぎていく。そこで流石に痺れを切らして俺は声をかけようと口を開くとそのタイミングに合わせて俺が今まで生きてきて初めて見るほどの美しい女が現れてしまった。

(えー、ちょっと待ってくれ!これ完全に俺にチャンスが無くなったってことだよな。この状況で俺はこの女の人に自己紹介をしてもいいわけなの?だって俺はお前の知り合いに喧嘩を売りに来たんだよ、でもこの女が俺に敵対行動を取る様子は見受けらんない。ということはつまり俺はこれから何をしに来たんだよ。この人は俺の事を知らないんだから、俺はいきなりこの人の家に無断で入って来た不審者みたいなもんだ。俺はこの女の顔を見て一目惚れしちまったけど今すぐにでも俺を殺してやりたいと思っているかもしれねえぞ。でも俺を殺す前に一度ぐらい話し掛けて来ても良いんじゃないのかな〜と思ってたんだが。う〜んどうしたものかね。)

そしてそんなことを考えながらも、俺はこの絶好の機会を逃すまいとこの瞬間を逃さないためにも、この場で即座に対応できるように臨戦態勢を整えたのだった。

そして彼女は、俺のことを不思議そうに見つめたまましばらく考え込んだ表情を浮かべた後でようやく動き出したのである。

「私はリザと言ってこの国の姫なのだけど、貴方のお名前は?」

俺は彼女の言葉を頭の中で理解することができなかったため聞き返すことにした。

「は?ごめんもう1回言ってくれないかな。よく意味がわかんないんだよね。君が俺の名前を知ってるの?」

「いいからもう一度言いますからちゃんと聞くんですよ。私の言うことが聞けないのであれば力尽くでも言わせますからね。私の名前は、アリサ=グランハイムといいます。それで貴方はお名前をまだ教えてくださらないんですか。」

(いやいや、俺の疑問は全然解決されて無いんだけど。名前を教えたくないからこうやって黙っているっていう訳じゃなくて、単純に君の言っている事がわからないだけなんだって。まぁでもこれ以上、この子に対して俺の事を隠そうとしたりするのは逆に失礼に当たる気がするし、正直に言った方がいいかもしれないな。)

「あの〜俺は実は記憶喪失になってしまったらしく自分の事が何一つ覚えていないのです。だから俺の過去が知りたければ貴女の持っている書物に書かれていそうな情報とかも教えてくれれば嬉しいのですが。」

俺はとりあえずこの世界で生きるためにはこの少女について行かないと生きていけないと思いとりあえず下手に出てみることにした。俺の言葉を聞いた途端彼女から放たれていた圧力が更に大きくなったような気しかしなかったため俺は思わず一歩後退してしまった。だが俺は勇気を出して踏みとどまると彼女を真っ直ぐ見つめ続けた。そして俺の意思が伝わったようで彼女はゆっくりと息を吐くと言った。

「分かりました。確かにその方が貴方のためになるかもしれませんからお父様に頼んで貴方の記憶の手がかりを探してもらってあげましょう。それと、私がこの城に滞在する間は貴方の面倒はしっかりと見て差し上げますから安心してください。それではまた後ほどお会いいたしましょ、私はこれでおさらばしますので後はお任せいたしましたよお父様。」

そう言ってその女は俺を残してどこかへと去って行く。俺はまだ彼女に何かを伝えようとしていたが結局伝えることができなかった。俺は彼女がいなくなると再び思考を始め、俺はこれからどうすれば生き残れるかを必死になって考えていたのであった。

俺の目の前で突然起こったこの出来事を理解することは今の俺の頭脳では全くできないものであった。そして俺は先程起きた出来事を思い出すことにしたのである。

(確か俺は突然何者かによって眠らされ、目を覚まそうとしている時に俺の目の前に突如として現れた奴に眠気のあまり意識を失う寸前であった俺が勝てるはずがなくあっさり気絶させられたんだよな。)

俺が自分の置かれている状況をある程度整理することができたところで俺はこの城から抜け出すことを考えていた。しかし、俺の実力ではこの城からは脱出できそうにないと判断したため、まずは情報収集をしようと考え城の中を歩き回ることにする。

そして俺は、城をくまなく調べて分かった事がいくつかある。

一つ目は、この城は相当広大でかなり大きいということである。しかしそれだけ大きな城の割には人の気配が全くしないのだ。

二つ目の事は、ここが恐らくは魔王の居城である可能性が高いということだ。なぜなら俺が目覚めた場所の近くにある扉の奥が魔王の居室と思われる部屋があったからである。

最後に俺が一番気にかけている事それはこの場所の出口が見つからないということだった。

そんなこんなで俺が困り果てていると、ふと俺の耳に物音が聞こえてきた。その音は誰かが歩いてくるような足音のようだ。

(この世界にも俺以外に生きている人間がいるってことか?でもこんな場所に俺以外の生物が存在する可能性はほぼゼロに等しい筈だ。もしかすると俺と同じ境遇の人がここに迷い込んできたのかもしれないな。とりあえずどんなやつが来るか分からないけど俺はここでやられるわけにもいかないのでそいつに俺の存在を伝える為に話しかけに行くとするかな。)

そして俺は早速俺に気付いてもらえるように少しばかり大きめの声で話し始めた。

(この城の中にいるはずの誰かよ。ここにいるなら聞いてくれ。俺の名前は神崎直人だ。俺は何故かこの城で目が覚めたのだが出口が見当たらなくて途方に暮れてるところなんだよ。だからこの城に住んでいるものならどうか助けて欲しいんだ。もし良かったなら姿を見せてくれると非常に助かる。よろしく頼むよ。)

しかしいくら俺が叫んでも誰も現れることはなかったので俺は仕方なく諦めるとその場に座り込みじっくり考えることにしてみる。しかしやはりこの部屋には何も無い為ただ暇だけが過ぎるばかりで、とうとう何もすることがなくなってしまうと俺の身体に睡魔が再び襲ってくるのを感じ俺はその欲求に負けてしまい眠ることにしたのだった。

次に俺が目を覚ますとその時にはもう外が薄暗くなっている頃合いで、俺は焦ってしまいすぐにここから出ることを試みたが、俺が扉に近づこうとすると勝手に開いてしまう。その開いた扉の向こう側には俺よりも年下に見える男の子とメイド服を着ている美人なお姉さんが立っていた。俺が慌てて2人に挨拶をしようと思い口を開いた瞬間に先に喋られたため出鼻をくじかれた気分になり、俺のやる気が一気に下がっていく。俺が呆然と立ち尽くしている間に少年が喋り始めた。

「僕はこの城の主にして、勇者と呼ばれる存在であるレオンです。この度は勇者の仲間として一緒に旅をしていただきたくこちらに伺いました。それでですね、まずは僕とパーティーを組んでいただけないでしょうか。勇者の使命としては、必ずや悪しき者の手よりこの世界を救い出し皆に笑顔を届けなければならないので。それに勇者は、魔王を倒す存在であり、魔王は倒す存在なので必然的にお互い協力し合う必要がありましてね。それに、僕にはあなたにこの国を守ってもらわなければならないのですよ。そしてこの国の国民が安心して生活できるようにするにはあなたの力が絶対に必要なんです。そこでお願いがあるのですが、僕と一緒に冒険していただけないですか?」

俺が何も答えられずにいたからだろう、俺は今から何をさせられるのか想像するだけで身震いしてしまった。しかし俺は断ろうとしたものの、俺には拒否する事などできる立場ではないことを悟ってしまったのだった。俺が、そんな状況に追いやられている間中ずっと俺は、何も言うことができていなかった。俺がそんな状態に陥ってしまったのは全て俺が悪いわけじゃない。俺は何も知らなかったのだから仕方が無いことなのだと思う。しかしこのままでは何も進まないので俺は覚悟を決めると、俺のこれからをこの人に委ねようと思った。

俺はとりあえず返事は保留してもらうことにした。この人達に俺の現状を全て説明した上で判断してもらいたかったので俺は俺の今までの生い立ちを正直に伝える事にしたのである。

「まず最初に貴方がどのような経緯でこの世界に召喚されたかについてから話をさせて貰いますね。私は、異世界の事情についてはあまり詳しいわけではないのですが、どうやら貴殿方はこの世界とは別に存在する別次元の世界から、私達の世界の均衡を護るために貴方方を喚んだと聞き及んでおります。つまりは貴方方のいた元いた場所とはまるで別の理で動いている世界なんですよ。」

「へ〜俺達ってこの世界での異界からの来訪者ってことだったの?」

「はい、私達が調べた限りの限りですと、そうなりますね。それと貴方の住んでいた地球には魔法という概念は存在しませんでしたよね?」

「うん。まぁそうだね。でもこの世界でも、魔法はあるみたいだけど。この国は魔法とか使ってなかったから、魔法が存在しないのかと思っていたんだけど、やっぱりそういう訳でもないんだ。」

「いえ、この国にはあまりそういった概念は無いですね。まぁ私の方で、簡単にではありますが、魔法についてもお教えいたしますよ。まずこの世界に暮らす全ての生物にはそれぞれが魔力を持っています。それでは、まずこの魔法の基礎的なことからご紹介しましょうか。この世には5つの属性が存在していて、この内火、水、風、土、光の4つは、全て自然に存在するエネルギーを変換したものとなっております。」

「え?この世の全てにはエネルギーが存在しているってこと?この世に存在しないものは絶対に無いっていうの?でもこの星だって宇宙に浮かんでるんでしょ。だったら、宇宙空間のエネルギーを利用すればなんでも出来るってことなんじゃないの?」

「そうですよ。ですがその考え方で間違ってはおりません。確かにこの世界に無い物を作り出すことは不可能に近いでしょう。でも良いところまで行き着いているんですよ、例えば、電気というのは空気中の酸素を燃やして発生するのですよ。つまりはこの世界には存在しないのですが理論上は存在していると言えるわけなのですよ。まあこれは、本当に極一部の研究者の間でしか知らない事ではあるのですが。とにかくそのような理由で、この世には存在しないものですが理論上でならば存在するとされているので不可能な訳ではないということなのですよ。ですが、貴方が考えているのは、この世界での話ではありません。あくまでこの世界での常識として考えていただきたいのですよ。」

「そうなのね、確かに言われてみればそうなんだ。この世は不思議な事ばっかりだよ。俺の生きていた時代には、まだその原理さえ確立されていなかったような技術なのにここでは既に完成されていたんだから、不思議だなって思ってたんだよ。だから納得できたよ。ありがとう」

俺は素直にそう思った。この人はとても頭が良くそして知識が豊富なんだと感じたのだ。そしてこの世界が如何に進んでいるのかを再確認するのであった。

俺は目の前で起きている出来事を受け入れるのに少し時間がかかってしまい、俺の頭の理解力の限界を超えてしまったことでフリーズしてしまっていた。俺は何とか頭をフル回転させる。そして俺は今、目の前で起こっている現象についてようやく整理することに成功したのであった。俺は今何が目の前で起きてるか全く把握できてはいなかった。俺は目の前で起きている光景を理解するので精一杯だったのだ。だが俺は目の前に映し出されている映像を必死になって脳内に保存していく、俺はこんなに興奮したことは初めてかもしれないほどに感動を覚えていた。

まず俺は、先程見た女の子の事をまず初めに考える。そう先程あの少女は、俺を圧倒的なまでの実力差を見せつけ俺を戦闘不能状態にすると、そして次の行動に移った。そう先程の彼女は俺に自分の名を名乗った後にこう言ったのだ。

「お前は一体何処のどいつじゃ!妾の名は魔王、この世を混沌に導くもの也。さぁ妾と一戦やり合おうぞ!!」

そして彼女は手に持っていた扇で俺のことを挑発してきたのだ。そして彼女が言い放った言葉があまりにもインパクトが強かったために未だに忘れられないくらいだ。そんな事を思い返しながら俺は俺の思考を止めようとしてくる、あの子の事を考えないようにしていたのである。

そして俺の考え事は一旦置いておき俺は改めて、目の前にいる人物に話しかけようとしたその時俺の頭に激痛が走った、そして俺はまたもや意識を失うのである。

(な、なんだ?いきなり頭が割れるように痛くなってきてやがる、でも、この感覚どこかで体験した事があるんだよな、俺は前も似たような経験をしたってことなのか?いや違うな。この感じは以前にも同じようなことが、起きたという確信がある。俺が思い出せねえってことは、もしかするとそれは俺の記憶の一部って可能性もあるかもしれねぇな。俺は過去にこんなことがあったってことだろ、だとしたらどうして忘れちまってんだろうか。俺はどうしてもそれが気になったのでどうにかして記憶を呼び起こそうとした。しかしそれは無駄な努力だったようで、何も思い当たることは無かったので、俺はこれ以上この件については考えないことにした。)

それからどれくらいの時間が流れたのだろう。ふと気がつくとそこは、魔王城の中にある俺の自室だった。そして俺が目覚めると、そこには見慣れない顔の人物がそこにいた。その少女は、見た目年齢にして、おそらく13歳程度であろう。俺はこの少女に見覚えは無かった。

「おーい!!そろそろ起きるんじゃよー!!!もう、お昼時を過ぎておるというのに、何をそんなに眠っていたのかのう?」

俺はその言葉を聞き驚いたのである。なぜならその言葉を発した声の主の姿がどう見ても俺と同年代に見えるからだ。俺はこの子に心当たりが無いのに何故このような会話になっているのか不思議に思い、その子に尋ねようと思い口を開くが喋れなかったのである。

俺が自分の意思とは反した動きをしようとしているのに驚き俺は焦ってしまったがなんとか俺はその動作を静止する事に成功したのだった。どうやら口を動かそうとしないで黙ったまま話そうとすると強制的に身体が動いてしまうようだ。なので俺はまずは相手の質問に答えるために声をかけることにした。

「君は誰?それとここは俺の部屋って事で良いんだよね?」

「やっと目が覚めたか。我はお前と同じこの世界の住民じゃ」

俺が目覚めたことに安心しているのかこの子は笑顔で俺を見つめてきたのであった。俺にはその笑顔が眩しく映り一瞬だけ目を逸らすことになるのだがすぐに気持ちを立て直すことに成功する。そして俺は、目の前でニコニコしている少女に俺は質問を投げかけた。

「君はここの人だって言うけど君の名前を教えて欲しい。俺はこの城の城主を務めている者だけど名前を忘れてしまっててね、良かったら俺に名前をくれないかな?」

「名前も知らぬのか、そんな状態で今までどうやって過ごしてきてたのか逆に気になってくるわい」

俺はその言葉でこの子の名前はなんていうんだろうって思うと同時に疑問に思っていた。俺が今から口にする言葉を、目の前の子がどんな反応をするのか楽しみで仕方がない。

「俺はこの国の魔王だからね。俺は皆にそう呼ばれてるんだよ」

「はっはっは、面白いこと言うではないか。この城に今現在、魔王はおらぬよ」

俺の言葉に対しての反応は面白がっているようなものであった。そして、今の発言に俺は衝撃を受け、今から俺はどのような対応をしていこうかと考えるのであった。まず俺の今の状態を正直に伝えるのは良くない気がするのでとりあえず嘘をつく事に決めたのだった。俺がこの国で暮らしている限りいつかはバレるかもしれないが俺はまだ死にたくないのでこの選択がベストだと考えた。

「俺以外の誰が、俺が魔王だって証明出来るの?」

「そんなもの簡単じゃろう、勇者を倒した実績がそれを証明してくれる。そしてお前がこの国にいることは既に勇者によって伝えられておる事だし、そもそもこの部屋にまでお前は案内されてきたんだからな」

なるほどね、勇者に倒される前にこの子を始末すれば問題ないか。いやまだ確定事項では無いんだけど。でも、もし万が一この世界が滅ぶとしたら、俺の願いが叶うかもしれないってことだからそれはそれで良いかもな。うん、悪くない。

「俺を殺すなら早めが良いぜ、俺はお前のこと殺せるから」

「な、なにを言うておるんじゃお主は、まぁお主なら可能じゃろうが」

俺の態度を見てこの子の警戒度が増したのは間違いないだろうが、まぁ俺にとっては関係ないね。俺の目的は復讐すること。そのためにこの世界を滅ぼすのは大歓迎だよ。それに今は、勇者がこの世界にいないみたいだから俺にもチャンスはある。そして何よりこの世界では俺は強いから、いくら強かろうと俺に負けるはずはないんだよな。だからまぁ、俺の望みが叶えばこの世界は滅んでしまっても全然構わないと思ってる。ただ俺は出来る事ならば生き残りたい、俺がこの世界で生きている間に俺の望む未来が来て、そして俺自身が生きていけたら最高だよな。

「俺を殺したいなら殺すと良い、だが一つ忠告しておくが俺は今ここで死んだとして、俺は死人扱いになってこの世に復活するぞ、しかも俺の死体を弄ればいつでも俺は復活することが出来る。俺の肉体さえあれば、俺は蘇ることは可能なのさ。それでも尚俺を殺したいのならば全力で来いよ」

俺は挑発的な言動を取る、だが目の前にいるこの子は何かを言い返すことはなかった。どうやら目の前のこの子には、俺の魂に刻み込まれた能力についての知識は無いらしいな。

まぁ当たり前といえば、当たり前の事なのだが俺からしてみればとても都合の良い展開だ。だからといってこの機会を逃すわけにはいかない。だからこそ、まずはこの場にいるこの子を手早く片付けて俺はこの世界で生き延びていく事に集中するつもりだ。そして俺は、目の前のこの子との勝負に勝つべく、俺の魂に刻み込まれている技能を発動することにした。そして発動後、目の前の相手との距離が一気に縮まり目の前の少女の首筋に俺は短剣を当てていた。俺は目の前にいる女の子の表情をうかがい見たが特に変わったような様子は見られなかった。そして目の前の少女は突然の出来事に驚いているのか俺のことを見たまま固まっていたのだ。そんな状況の中俺の心の中に喜びが沸き起こる。これで俺は生き抜く事が出来るかもしれないと思えたからだ。そんなことを思いながら勝利を確信し俺は目の前の少女をどうやって倒すかを考え始めていた。

そんな時に俺はふと思ったのである、先程この少女のステータスを確認していなかった事を。

俺がそんなことを考えながら少女の顔を見続けていると、急に女の子は顔を赤らめ始めてしまい恥ずかしそうにしながら口を開いた。

「妾は魔王じゃぞ、お前のような雑魚に首根っこを抑えられる程に弱いわけではないのじゃ、それにも関わらずお前にやられてしまうとはこれいかに。妾はまだまだ未熟ということじゃのう、まぁそれもそうじゃ、妾とお前の間にはそれだけの力の差があるんじゃからのぅ。さて、どうじゃこの手を放してはくれんのか?」

俺は、この子が一体何を言っているのか分からず、俺は思わず呆けてしまうことになった。

そして俺は少女の言葉を聞いて思ったのだ、目の前の女の子は何やら勘違いをしているのではないか、俺は確かにこの子に攻撃したのだが、それが致命傷を与える為のものではなくて、この子の動きを止める為にやった行動だ。なのにこの子がそんな勘違いをしてしまうとは一体どうなってるんだろうか?そして目の前の彼女は自分の力を認めて欲しいのか、もしくは褒めて欲しいのか俺のことを上目遣いで見てくる。その瞳がキラキラしていてなんだかめっちゃ可愛かったのだけれど、このまま放置するのもなんだか可哀想だったので一応言葉をかけてあげた方が良いかなと考え、俺は声をかけた。

「いやごめんね、そういうつもりでやっていたわけじゃないんだ。本当に君を傷つけようとした訳じゃなくて、ただ動きを止めようとしていただけなんだ。でも君があまりにも隙だらけだったから、俺の攻撃を避けれるようには見えないなーとか、色々考えてしまったんだ。君みたいな幼い容姿の相手にこんなことを言うのはどうかと思うけど君が余りにも無防備だったせいで、君を倒す事が出来ただけなんだよね」

俺の発言を聞き終えた目の前の彼女は何故か満足そうな顔を浮かべており俺は少し困惑することになる。そして彼女は口を開く。

「ほぉ、お前なかなか見る眼があるではないか。この姿形に関しては妾が望んでいる姿でな。つまりこれは妾が意図的にこの外見にしておるんじゃ。まぁこの見た目のせいでよく子供だと舐められるのは事実じゃが、まぁよいわ」

俺は、目の前のこの子が何を話しているのか理解できなかった。何故見た目年齢を自分好みに変えていられるのか全く意味がわからないからだ。俺は、目の前の女の子に対して俺が知っている知識が間違っていなかった場合の可能性を思い浮かべ、恐る恐る尋ねることにした。

「えっと、君は何者なのか教えてくれないか?」

俺の言葉を聞いた目の前の女の子はキョトンとした表情をしたかと思えばいきなり吹き出し、そして笑い出したのである。俺にはどうしてこの子が笑っているのかさっぱりわからなかった。だからと言ってこの子に質問してもまともに返事が返ってくることはないだろうからもう諦めることにする。なので俺はこの子が笑い終わるまで待つ事にした。すると俺が待ってくれていることに気付いたのか、この子は慌てて俺の方を見てこう言い放った。

「すまぬ、お前の反応が面白くてついつい笑うてしまってた。許してくれ」

この子は俺に向かって頭を下げてきたのだが俺はこの子の態度を見て違和感を感じた。俺がこの部屋に来るまでにこの城の人たちにしてきた事を考えるとその行いがどれだけ異常な事かがわかる。この城の住人達からは俺は恐れられていた。だからこそ、目の前のこの子の行動は俺にとっては衝撃的なものだったので俺は目の前のこの子が、勇者が俺の城にいることを伝えにこの国に来ている事を思い出したのであった。そして目の前のこの子の正体を聞けば分かるかなと思い俺はすぐに確認をとることにした。

「ねぇ、君は勇者の仲間って事で良いんだよな?」

「ほう勇者の事を知っておったのか。そうじゃ、勇者はお主が召喚されたこの国の王になっておると聞くぞ」

俺は、彼女の言葉で疑問が生まれた。勇者という存在がいるならこの世界の人間は勇者に逆らうことは出来ないはず。なら、目の前の彼女が勇者に報告に行ったところで殺されることは確実のはず。なのになぜ俺はこうして生きているんだろう。もしかして何かあったのか、例えば、この世界にはまだ俺達の知らない秘密がある、などだ。そんな風に考えていると彼女は、

「そんな不安そうな表情をするな。勇者に会った事のあるお前は知っておろう、勇者は人間を超越せし者じゃ。そして勇者は魔王の天敵じゃ。勇者と相対し生き残れし者が魔王になると言われているくらいじゃ。お主にはまだ死んでもらっては困るという理由もあってな、妾の独断ではあるがお主の命は助けることにした。それに、勇者に倒されるより妾を倒した方が幾分マシというものよ。どうじゃ、感謝するか?」

「ありがとうございます。俺は、貴女様に忠誠を誓わせていただきます」

目の前の少女から感じ取れる魔力の質が明らかに変わっておりこの瞬間、目の前にいる彼女こそが本物の魔王だと確信したのである。俺は、目の前の少女に俺の持つ全ての技能を使用し、最大限の礼を示した。そんな時に俺は、あることを思い出したのである。それは俺がこの世界に呼び出されたあの時、俺の近くにいた人達が俺に向けて何かを言おうとしていたがその時、目の前の勇者によって殺された。確か勇者の名前は俺が知る限りではこの世界に数人しかいない英雄の一人。そして俺の記憶の中では、俺のクラスメイトの女の子がその名前を口にしていたことを。目の前にいるこの子がそうだとするならば目の前の彼女に名前を確認する必要があると思った俺は早速名前を尋ねてみることに。

そして目の前の彼女は俺の問いかけにあっさりと返答してくれたのだ。だが俺はこの会話の最中ずっとこの子の顔を見ていたのだが、目の前の彼女の顔がどんどんと俺に似てきてるような気がしていたのだ。だが今はそんなことよりもまずはこの子に感謝しなくてはならないと思ったのでとりあえずこの子を褒めておく。この世界では恐らく俺が最強の存在であるはずだ。なぜなら俺に敵対しようと考えるものは存在しないからである。だが目の前のこの子が現れた事によりこの世界での最強の存在が俺からこの子へと移ってしまう可能性が出てきてしまったからだ。だからこそ、俺はこの子を殺さないと俺がこの世界の頂点に立つ事は出来ないと感じたのである。だからこの子だけは絶対に殺す、と心に決めたのである。

「ふふっ。妾に忠誠を示すとは中々に面白い奴よのう。さてお前にはいくつか聞きたいことがある。まずはこの国についてじゃ、この国はどういった状況になっているのじゃ?妾がおらん間に変化はあるのか?」

俺は、彼女の問いに対して答える。そして俺の話を聞き終えると彼女はとても興味深そうにこちらを見ており俺は不思議に思ったのだ。彼女はこの国がどうなっているのか気になっていたようだったが一体この子にどんな関係があるのか、そもそも俺はどうしてここにいるのだろうかと。だがそんなことをいくら考えてもこの場で分かる訳もなく俺は全てを諦めることに。そこで俺はこの場を一旦離れて情報を整理することを決める。

そして俺は彼女と少し話をした後この城を探索することにした。だがその前に俺はどうしても確かめなくてはいけないことがあった。そうそれは俺の体に起こった異変のことだ。もしこれがこの世界に俺の体を無理やり呼び出す際に俺に起きた何らかの現象だとしたら俺の体がいつ消えてもおかしくない状態であるということに他ならない。俺はこの状態のままでいる事がどれほど危険か知っていたから。そして俺はすぐさま行動を開始したのである。そして俺は目の前にある大きな水晶玉に手をかざして自分のステータス画面を見ようと試みたのだが何故かステータスが表示されなかった。だから俺は次に、ステータス画面を見る為に俺が持つ『ステータス開示』という固有能力を発動させた。すると目の前に俺のステータスが表示され、そこに表示されていた内容を確認した俺はこの城に来て一番驚いたかもしれない。何故なら俺のステータスの欄に、スキルや魔法などが一つとして表示されていなかったからだ。そしてそこには称号と加護だけが記載されていた。

俺の目の前のステータスには確かに、今まで使っていたはずの技能や、そして俺の切り札の魔法も記載されていない。

そして俺は、目の前で起こっていることが一体何を意味しているのか考える事に。そして俺はある一つの仮説を立てる。この世界で何かが起こり始めているのではないかというものだ。だがそんなことを考えていてはいつまでもこの状況を打開することは出来ず、俺は一先ずこの場所から離れようと決める。そしてその場から離れる為に移動しようとした矢先だった。

「ん?あれ、なんか変な扉が見え始めたぞ?あーでも、こっちには行けないんだよね。残念だなぁ」

「まぁそういうこともあるじゃろ。お前はここで待機していてくれ、この扉の向こうに行ってきてしまうからの」

彼女は笑顔を浮かべながらそんなことを言うが俺としてはそんなわけにもいかず、俺がついて行くと強く言い放つが。

「なぁ、ここは妾に任せてくれんか。これはお前のためでもあるのじゃ」

俺の為というのはどういう意味なのだろう。この子と俺の接点なんてないし、ましてや俺の為にここまでしてくれてるって言うんだから少しばかり恩を感じてしまい。俺の意思とは関係なく足は勝手に動いておりこの子の背中を追いかけてしまったのである。すると、

「おぉやっと追い付いたわい。なんじゃ、妾と一緒に来たかったのか?」

「はい、ご主人様が良ければですがご一緒にいかがですか?」

「ご主人様!? ごほん。まぁお前は、妾に命を救われたんじゃから当然の事であろうが、お前の気持ちもわかる。まぁ、これから妾のことは気軽にアイと呼んでくれると嬉しいのじゃ」

彼女は頬を赤らめ照れ隠しのように、俺に向かって手を差し出してくるのである。なので俺は、この少女がどうしてこんなにも俺に対して良くしてくれるのか疑問に思うが、それでも今、目の前の少女は確実にこの国の状況を俺より把握しているのは事実だった為素直に従うことにする。そうしないと多分殺されそうな気がしたからだ。

俺はこの部屋に入ってきた時の違和感を感じていた。何故この部屋には家具らしきものが一切存在していないのか、それに加えて壁の色が真っ白であることに疑問を抱いた俺は目の前に居る人物に話しかけることにした。

すると彼女は自分が召喚された経緯を話し始め、この世界に勇者と呼ばれる人物が召喚されているらしい。

そして彼女は俺をこの世界に呼び寄せたのは自分自身だと言うのだが、そんな事ありえるのかと俺は思い彼女に質問する。すると彼女は、勇者という存在に会っているため嘘をついている可能性は低いだろうと判断する事に。

そして彼女によると魔王と呼ばれているこの世界の王は勇者と相打ちになり死亡しており、魔王の後継者は勇者しかおらず、後継者は未だに現れておらず、このままではこの世界がどうなってしまうか分からないとのことだった。だからこそ魔王の後継人になれる素質がある者は俺以外に居らず、俺は魔王になる資格を持っているのだというのである。

そして目の前の少女は俺の予想通り魔王だったらしく。そしてこの世界が俺が元々住んでいた地球とは別の異世界だということが判明した。つまり目の前にいる女の子が俺を地球に召喚してしまったということになるのだ。だからこそ俺は、この目の前にいる少女が勇者に倒された後に、今度はこの子を殺すために行動をしなければならないと思い。俺は彼女の部下になることにしたのである。

目の前に表示されている情報を確認していく内に、俺は、俺の目の前にいる女性、俺をこの世界に呼び出した存在の名前を確認することが出来た。それはこの国の姫、俺にこの世界の常識を教えてくれた人物であるリリスという名前の人だったのである。だが、彼女はこの国にとって特別な存在なのかどうかは不明だ。だが俺は、彼女が勇者が魔王との戦いで死亡すると魔王となりこの世界を混乱させる恐れがあることから、殺さなくてはならなかった。そして俺は魔王の側近になった以上彼女を魔王として倒すのではなく、味方に引き込む必要があった。だからこそ俺はまず、彼女にどうやって話かけようか迷っていたのだ。

「あの、魔王様にお願いしたい事があるのですがよろしいでしょうか?」

俺がそう聞くと、目の前に表示されていた彼女の情報が変わり、俺はどう答えればいいのだろうかと考えていたのだ。そして俺の願いを聞いた魔王はとても嬉しそうにして了承してくれていた。

俺は、魔王から許可を取ると早速行動に移る。まずは彼女から信用を得る必要が有る。そのために俺が取った手段がこの世界で最強の存在である彼女よりも、さらに上位の存在になる。つまり彼女よりも上の力を手に入れなくてはならない、その方法が魔王になるという方法であり、俺はそのための方法を探した。そこで俺の目の前に、あるアイテムが出現した。それは、『悪魔契約書』と呼ばれるもので俺はこれに手を触れた途端に意識が遠退いていった。そして、 俺の前に現れた女性はまるでこの世のものとは思えないほどの美貌を持っており。俺はその姿に目を奪われてしまうのである。だが俺の目は目の前の女性を映しておらず。目の前の女性が手に持っているものに俺は注目してしまう。そして目の前の女性は俺に近づいてきたと思うと突然抱き締められたのであった。

俺は一体何をされているのか分からなかった。そして目の前にいる美しい容姿をした女性を凝視していると、いきなりキスをされてしまったのだった。そして彼女は唇を離すと、俺を自分の方に引き寄せ抱きしめてきた。俺は驚きのあまり言葉を発することが出来ずにいた。

目の前に居る女性の顔が俺の体にくっつくように密着していたのだ。そしてそのままの状態で目の前に表示される画面を見ていると目の前に居る女性の名前が確認出来た。俺はその名前が気になって仕方がなかった。そしてその画面に書かれている文字を見てみると俺は衝撃を受けてしまい、声を出してしまったのである。なぜなら目の前の綺麗な女性が俺のよく知る幼馴染の女の子であることを知ったからである。

俺は、自分の目を疑うほど驚愕したが目の前の人物は紛れもなくこの世界で、俺がよく知る幼馴染である。『高坂結衣』その本人である事が判明したのである。そして目の前に現れた女性の職業欄に、勇者という表示がされてる事を確認した俺は目の前に立っているのが本当に俺の知っている『ユイ』なのかという疑いが生まれ。俺は試すことにしたのだ。

俺が『ステータス』と念じると目の前に俺のステータスが表示される。そしてそこにはやはり、俺のステータスに『魔王』と書かれているのだった。そして俺は改めてステータスを確認し、そこに記載されている名前に目を向け。俺の幼馴染だと分かった瞬間だった。だが、そこで俺は目の前の人物がなぜ俺のことをそんなに愛おしそうに見つめてくるのかわからず。そのことが不安になっていた。俺は、そのことについて質問しようと思ったのだが、先に俺に抱き着いている人が離れてくれた。そこで俺はその人に話し掛けようとするが。そこで俺の前に突如として俺の視界に一人の男性が現れる。そして彼はこの世界を救う救世主だと説明を始めてくれる。俺はその男に話しかけようとしたのだが、それよりも早く男が喋り始めるのである。

その男の話はあまりにも突拍子がなく理解に苦しむものであった。この世界の創造主は人間ではなく。神によって作られたこの世界のシステムの一部だというのである。

そして男はこう告げるのである。

「私は貴女様をこの世界の管理者とすべく、この世界にやってまいりました」

「貴方はこの世界の仕組みについて、どの程度まで把握しておられるのか?」

「はい。ですので私の口からは詳しいことは何も言えません」

「それなら、私が貴方に質問をしていいですか?」

「はい。なんなりとお申し付けください」

「まず最初に聞きたいことがあります。それはこの世界での寿命や死ぬということについての事なんですけど」

「はい。この世界での死の定義についてですか? この世界での死には二つございます。一つは心臓麻痺などの自然死ですね。この世界において、不老不死や若返りなどはありませんのでご安心下さい。次に二つ目はこの世界の住人の皆様に伝えられている事なのですが。勇者に殺された場合にのみ魂ごと消滅すると伝承されています」

「そう。それじゃ、もう一つ教えて貰いたいことがあるんだけど。もし仮に勇者が現れた場合だけど。その場合に私たちの世界から勇者召喚は可能かな?」

「この世界の人間は異世界の勇者の召還が可能となっています。そして現在この世界にも、勇者が存在していますのでご安心ください」

「わかったわ、それで、あなたが言う私に管理者となるべく。とはどういう意味なの?」

「先程もお伝えしました通り、私は管理者として貴女の手助けを致します。ですがそれと同時に、勇者がこの世界に誕生した際にはこの世界の勇者を倒しに行かせてもらいたいと考えております」

「つまり、私は勇者の邪魔をするという事で良いのかしら」

俺は、彼女が魔王でありこの世界を管理している存在だという事実を受け入れることが出来なかった。

彼女は目の前の男の話を聞いている時に笑みを浮かべていたが俺は彼女のそんな姿を見たことがなかった為。どうしても信じられないという気持ちになってしまった。しかし、そんな気持ちを抱いている時でも、目の前に表示されている情報が嘘偽りない事実だと告げるため、俺の心の中は徐々に整理されていった。

そして目の前に居る女性、リリスと名乗る女性に対して俺に何か出来ることはあるか聞いてみたのだが、特に無いと言われてしまったのである。だからといってこの人のことを何もしないというわけにいかない俺は。どうにかしてこの人と協力関係を築くことが出来ないかと考えながら話をしているのだが彼女は中々首を縦に振ってくれない。そこで俺は、この人の協力が得られれば俺にとってメリットがある事を伝える事にする。そして彼女はこの世界の魔王を倒せる存在になる事と、そして俺は勇者の足止めができることを伝えてみるとどうも食いつきがよかったのだ。そして俺が彼女に勇者を倒す事を手伝って欲しいという事を言った瞬間。

俺は突然意識を失いその場で倒れたのだ。

「やっと見つけたぞ!お前だけは絶対に殺す!!」

「はぁ、面倒くさいわね。まあこの世界ももう終わりでしょうし。好きにしたら良いんじゃない?」

「何を馬鹿なことを言うんだ。この世界の全ては、この世界を生み出した俺達の物だろ。俺達が管理しなくちゃいけない。そうだよなみんな!」

そう叫んだ少年の言葉に反応した者たちが一斉に叫び出す。

だがその光景を目の前にしていたリリスはため息をつくばかりである。

そして目の前にいる男達に問いかけるように言葉を漏らす。

「ねぇ貴方達は、自分の言っていることに違和感を覚えないかしら。何故この世界を作り出したのが自分達なのか。そもそも、そんな事が出来ると思っていることが可笑しいのよね。確かにこの世界にはまだ勇者なんてものは居ないからこの世界を作れるだけの力を持つのはこの世界での魔王と呼ばれる存在だけなのは間違いないこと。だけど、それだけの力がある存在は、今この世界のどこを探しても存在しないはずなのに。どうしてそれが分からないのか。それに、この世界のルールを無視してこの世界に干渉している存在が居るのにもかかわらず。誰もそれを疑問に感じないのか。この世界に干渉した奴の目的はわからない。けどそれは必ず悪い方向に進むもの。それは目に見えている。なら私たちは何としてもその妨害をするべきなのよ。そうじゃない?」

その言葉を聞き黙って話を聞いている者以外は全員顔色を悪くしていった。

「だが俺達は魔王を倒して英雄になれるはずだ。そうだよなみんな?」

「えぇ。そうね。確かにそう。そうかもしれない。けど忘れてはいないかしら?魔王と言う名の存在が、魔王城の中で何をしているかを。そこに存在する魔王はどんな能力を持っていたか。そう簡単に勝てる相手では、無かったはずなのだけれど、その辺りの事情を理解していない者が多すぎるから私は心配になるの。ねえ、魔王の側近は誰なの?」

リリスは目の前に表示されていた情報を確認するためにステータス画面を開いた。

その様子から、どうやら自分の側近は誰かを確認したようである。

「ああ、確か、名前は直人だっけ?そいつが、俺達と一緒にこの世界の魔王を殺して俺達のことを認めさせようじゃないか」

その男の発言に同意する者が現れていく。

そして最後に発言しようとしていた者は、目の前の女性に視線を向けたのだ。

「ふぅーん。そう言えば貴方達はまだ、あの勇者と戦っていないから。あいつの能力を知らないのか。それとさっきまでのやり取りを見ていると、やっぱりその勇者は、魔王であるこの女と手を組んでるのかな?だとすると困ったことになったわね。その女は、私の邪魔をするつもりなの?」

目の前に現れた女性が自分に問いかけていることを理解するとリリスは自分の持っている知識を総動員して目の前の人物と、これから戦う事になるであろう相手の情報を思い出そうとする。

目の前に現れた女性の見た目はとても可愛らしい女の子だったのである。

そんな女の子が魔王だということを、この世界に存在する人間で信じることができる人間は、おそらく居ないだろう。だからこそリリスは、目の前に居る少女が本当に魔王であるのか、という疑問を抱く。そしてそれは、リリスが抱いたその疑問は、この世界に生きている全ての人間が思っている事でもあるだろう。

そして目の前の少女に話しかけようと口を開くのだが、その時目の前に突然現れた男によって中断されたのだ。

そして目の前に姿を現した男はリリスに向かってこう告げたのである。

「やっばり君は、僕たちが探し求めていた存在だ」

そう言うと男の体が淡く光始める。

リリスはその現象を見て目の前の人物がただ者では無いと感じ。そしてその人物から距離を取ろうとしたがそれよりも早く男が、リリスに近づき抱きしめると。その行為にリリスが抵抗しようとした瞬間、男の姿が変わり始める。

「なっ、どういうこと?なんであなたその姿は、私にそんなことありえない。あり得るわけがない。だって、私のスキルで貴方の正体を隠してあるから、私のスキルで見破ることは、不可能な筈なのに、それじゃ一体なんで」

「残念だよ。僕は、君のような美しい女性の体を手に入れることができてとても幸せを感じていたのに、まさかその正体を隠す力が僕の力を上回ってしまうとはね。けど安心してくれ、この体の主人格である神崎直人は僕が責任を持って始末させて貰うから。だから、君の体はちゃんと返すよ」

「そんな、待って、やめて!私がこの体に宿っていた時間は僅かなのに、こんな短期間にこの世界の仕組みが書き換えられるのはおかしいのよ」

「この世界のシステムに介入できるのは。この世界の管理者だけだ。だから君がどれだけ抗おうが無意味なことなんだ。そしてこの世界はこの僕が支配するのだから、それが正しいことなんだよ」

「それなら私はいったい何の為にこの世界で頑張って来たのよ」

目の前の女の人が何か言っているようだがその会話の内容は、この世界で勇者をしている男の耳には全く届いておらず、勇者と呼ばれている男は、自分の欲望を満たしたいという感情で頭の中を埋め尽くされていた。そう、この勇者は勇者であるがゆえに、今まで自分の周りにいる者達には、全く興味がなく自分の目的のためだけに生きていた。その為周りからは気味悪がられ、友達と呼べる人間は誰一人存在しなかった。それは本人も理解しているようでこの勇者にとって周りの人間は全て敵であるという認識をしていたのだ。

そして勇者は、この世界が作り出された理由を知っていたのだから、自分がこの世界を支配する為に生まれたということを勇者は正しく認識しており。他の誰が何を言おうとも決して揺るぐことのない自信と信念を抱いていた。この世界の管理人である存在に勇者は、特別な能力を与えられていたからだ。その能力は【絶対勝利】というものであり。その効果はこの世界における全ての存在を無条件で消滅させる事ができるというものだったのだから。この能力を持つ勇者に勝てる者は存在しない。それこそ神とでもいう存在以外ならば絶対に勝つことはできないという圧倒的な能力であり。この世界の支配者としてふさわしいと思えるような代物であった。

だがその力はあまりにも強力過ぎてこの世界に召喚されて以来勇者として召喚されているこの世界の住民を殺し続けなければならなくなった勇者は、次第に心を病んでしまいこの世界の勇者はいつしか狂人と化していた。勇者はそんな状態でありながらもこの世界の住人に危害を加えようとする存在を排除し続けてきたのである。

そんな時に、突然現れた一人の男に勇者の心が支配されてしまい勇者が勇者ではなくなっていった。そんな時に目の前に居る女性は突然目の前に姿を現す。

そして勇者の心を完全に掌握し終えた男は、目の前の美しい女性を手に入れようとしたのである。しかしそんな男に対して女性も必死に抵抗するが、男は強引に体を乗っとると、女性に優しく語りかけるように言葉を吐きだす。しかしそんな言葉を聞いてもなおも抵抗をやめようとしない女性をみて勇者は完全に頭に血が上ってしまい。そしてそのまま、勇者はこの女性を殺したのだ。しかしそれでも怒りを静めることができずに近くに存在している生物を全て殺し回った後に勇者は魔王城に乗り込み、魔王を殺害しようと考える。だがここで予想外にも魔王城の前に辿り着いても勇者の力をもってしても侵入する事が出来なかたのだ。その理由は魔王城の門を守る番人に魔王の姿が見えなかったのが原因なのではないかと考えたのだがそうではないことに勇者はすぐに気がつくことになる。なぜなら魔王が居ない代わりに、魔王城を守護するように巨大な魔物が存在していたからである。その大きさは通常の魔物と比べると遥かに大きくその見た目も明らかに異常だった。まるで竜のような姿をした化け物が現れたことでこの世界の人間だけではなくこの世界の創造主さえも驚愕したのである。だがその光景を見たとしても、目の前に現れた化け物をどうにか出来る手段など持ち合わせていない。そんな時突然この世界に、女神を名乗る少女が現われ、そして勇者に提案を持ちかけたのである。そして提案された内容は、目の前に居る魔物を殺すことができたのなら魔王の肉体を好きにしても良いという内容だった。だがそんなことを目の前の生き物が許すはずもないのは分かり切ったことであったのだが勇者はその言葉を承諾してしまう。そして勇者はこの世界を統べるために、この世界に生きる全てを生贄に捧げる事で魔王の力を得てこの世界の王となるのだと宣言すると魔王城に足を運び始めるのであった。

「やあ久しぶりだね、この体を使うのもずいぶん久しぶりになったかな?それで君はこの世界に干渉しているみたいだけど一体なんの用だい?まぁ、大方、魔王を倒そうとしていて、それに邪魔が入るかもしれないと思ったから様子を見に来たってところかな?ならもう目的は達成できたよね?君の目的は果たされた。それじゃさっさと僕の体から離れて消えてくれよ。そうすればこの世界は今すぐにでも平和になってみんな仲良く暮らしていけるはずじゃないか」

男はそう言うとこの世界に居るもう一人の人物に視線を向ける。

「あなた、いったい何を言っているの?この世界で生きてきた人間の気持ちを考えたことがないでしょう。この世界が出来た意味を考えなさい。私たちが何故生まれたのかその意味を理解しなさいよ!」

その女はそう叫ぶと同時に男に向かって攻撃を仕掛けるのだが男は一切の躊躇もなく剣を抜き放つとそれを簡単に防ぎ反撃を行う。その行動に驚いた表情を浮かべている相手に対して、相手は勇者なのだからこれぐらい出来て当然だろうといった顔で相手を睨みつけながら男は剣を弾き返す。その一撃を受けて地面に倒れ込んだ相手の姿を見て勇者は自分の力を確認するかのようにゆっくりと歩いて近づいて行くと、その女にこう言い放った。

「残念だよ君がここまで馬鹿だとは思わなかった。君は、僕たちにとって邪魔なんだよ。だからここで死んでもらう」

勇者はそう言うと倒れた相手に剣を振り下ろすと。女はそれを何とか避けたが、相手が持っていた剣が地面に当たった瞬間大地に亀裂が走る。その威力を見てさすがにまずいと判断した女は自分の魔法で障壁を展開し防御しようとするのだがその障壁を打ち破った衝撃に耐えられずに吹き飛ばされてしまう。そして女はそのまま壁に激突するとその場に倒れ込んでしまった。その様子を見て自分の力を再確認しながら女に近づく勇者。しかし、そこに一つの光が飛び込んできた。その光は徐々に人の形を作り、最後には一人の男性の姿を作り上げると勇者の前に立ち塞がったのである。その人物に一瞬警戒心を高めた勇者であったがすぐに冷静さを取り戻そうとする。その男性の容姿はかなり整っており、一目見れば誰もが美男子だと思うような顔をしていたのである。そしてその男性が纏っている服は見た感じ神父服を着ておりどう見ても戦うための服装ではなかったのである。だからこそ勇者はその男に問いかけたのだ。

「あんたは誰だ?まさかこの俺と戦うつもりなのか?」

その質問を聞いた男は静かに微笑むと手に持っている武器を構えた。

「まさか戦うわけないだろう。僕はあくまで戦いの仲裁役としてここに来ているのだから」

「なんだ、お前、まさかそいつの知り合いかなんかか?それなら余計な事はするな。俺はそいつを殺そうと思えば殺せる。なのに、そいつも抵抗しなかった。つまり、そういうことだろ?だったらその女が邪魔して来たから少しだけ痛めつけてから殺そうと思っていたけど、止めるなら見逃そうと思う」

「君が本当にそう考えているのなら構わない。だけど、もしも君の言った通りだというのならばその考えは改まることになるだろう」

「どういうことだよ、一体何を言って」

勇者が話を言い終えないうちに突然男の姿が勇者の視界から消えると。勇者の体は真っ二つに両断される。勇者が先ほどまで存在していた場所には男の姿が既に無かったが。その光景をしっかりと見ていたはずの女の目にも男の姿が捉えられていなかったのだ。そんな異常な光景を見てしまった女の意識は途絶え、それと同時に勇者の魂は完全に消滅したのである。勇者が完全に死んだことを確認した男は。その場で深いため息をつくと。この世界に存在しているもう一人の女性に対して声をかける。

「まったく貴方達はなんて事をしてくれるんだい。せっかく僕が苦労してこの世界を守っているっていうのに貴方達のせいで、僕はこの世界から出られなくなってしまった。この世界に存在する唯一の異物、貴方達が僕の前に現われるまでは上手く事が運んでいたというのに」

「私達にそんな事言われても困るわ。貴方がこの世界の理を変えてしまっているせいで私の能力が機能しないじゃない!どうしてくれんのよ!」

男の声を聞き、女性の方に振り向いていた男は、その声がした方向に視線を移す。そこには黒いローブに身を包んだ女性が立っておりその隣には男よりもさらに若い少女が一人立っている、その姿を見た瞬間男は思わず驚きのあまり目を見開いてしまう。何故ならその二人の存在こそが、自分の計画を壊しかねない存在になり得るからだ。そして男が、どうやってこの場に現れることができたかというと、勇者の記憶を操作した上で、自分の記憶を勇者に埋め込んでいたからだ。だから自分の姿を知らないはずはないのだ。だからこそ勇者の口から自分の名前が呼ばれることも予想していた。だがこの二人が現れた理由はそれだけではないことに気がついてしまい更に頭を抱える。「おい待て、なんでお前達がこんなところにいる。そもそもどうやってこの場所に入ってきたんだ」

「それは簡単よ、勇者の力を使ってきただけ、貴方と同じように、この子もまた、勇者としてこの世界に召喚されているから。まぁ勇者として呼ばれたというよりは、この子が、無理やり召喚されたというのが正しい言い方だけどね。それで貴方と同じ理由によって、この子は勇者としてこの世界にやってきたんだけど。でもこの子の方は別に魔王討伐の目的で呼ばれてるんじゃなくて。勇者として召喚した人間が暴走しないかどうかの監視として派遣されているみたい。そんなこの子に監視として召喚されている私達のところに魔王がやってきたって訳、まぁ魔王といっても、あの男みたいな奴が沢山いたってだけだけど。そんなことはともかく貴方はこの世界でやりたい放題してくれたようだけどいい加減にして貰えないかな。流石に私もこの子を守れなくなっちゃうから」

「そんな事言われてもこっちは、この世界の創造主が作り出した存在にこの世界を支配されてるって言うから仕方がないじゃん、だから仕方なく魔王を演じてやってたんでしょ。そうしなければあいつらがこの世界に手を出すことだってできやしなかったのよ」

「まぁ、確かにそうだけれどね。でもその魔王様はもういないのでしょう?それならこの世界から出ていってよ。そうしないと私は貴女の存在も消すことができないし、この子を守ることもできないし。何よりこの世界に居られては、私の仕事が無くなってしまうでしょう?」

女性は男に向かってそう言い切る。だがそれでもまだ男は何かを考え込むように下を向いていたが、その様子を見かねた少女が口を開く。

「ねえ、早く出て行ってくれない?それとも、今すぐ、ここで殺されたい?さっさと消え失せて」

その言葉が引き金になったのか、男はその場から離れ始めると。そのままどこかへと姿を消そうとし始めた。そんな様子を見た女性は慌てながら男を追いかけようとしたのだが、そんな時に背後に少女が立ちふさがる。

「どいて頂戴。私があそこにいる男を捕まえないとこの世界に被害が出て大変なことになるのよ!」

少女の言葉を聞いて、今までの冷静な態度とは一転して焦った様子を見せると少女に話しかける。だが少女の返答は思いがけないものだった。「大丈夫だよ。あれはただ逃げているだけだから、そんなに慌てなくてもいいの。この世界の魔王は勇者の体を奪って生きているからね。その勇者の体を破壊すれば魔王の力は失われることになるんだよ。だけどその力を奪う前に殺されちゃ意味が無いってこと、それくらいわかっているはずで、だから魔王の力を奪われない様に急いで逃げるんだよ」

そう言い残すと少女は再び姿を消してしまったのだ。その様子を見ていた女性は慌てて追いかけようとするが既に男の姿は見当たらなかった。

その日の夜に目を覚ました俺は目の前に広がる景色が変わっていたことに気がついた。どう考えても今朝までに見ていた光景ではなくなっているのである。しかし不思議とその状況に驚きを感じることはなかったのである。まるでこの光景が当たり前であるかのような感覚に陥り、そしてその光景を見ながら自然と歩き始めていた。そしてこの光景の終着点を知っているかの様に足は勝手に進んでいくのであった。

そしてその場所へ到着した時初めて違和感を覚える。何故なら俺自身が、俺の意思でこの世界から姿を消したはずだというのに俺が知っている場所から一歩も移動をしていないのにこの世界にたどり着いたのである。だからこそ俺はすぐにおかしいと感じ始めたのだ。なぜならここは、俺とあいつしか知らないはずの場所だったのだから。だから俺と、俺が契約している女神の眷属以外の人間は絶対にたどり着くことのできないはずだったのだから。

だから、俺は、ここに現れた人物が誰なのかを確かめるためにゆっくりと顔を上げてその人物の顔を覗き見る。しかしその人物の顔を見た途端、その人物は微笑み、こう語り掛けてきたのである。

「やっと戻ってきてくれたのですね。勇者よ」

そう言って近づいてくる彼女の手を掴み引き寄せるとそのまま抱きしめてしまう。彼女は一瞬驚くものの抵抗せずに身を任せてくる。しかしそこで、俺はふとあることに気がつくとすぐに彼女を引き離してしまったのである。なぜならば、今の自分は彼女にとっては勇者ではなくただの一般人に過ぎない存在に他ならないからだ。だからこそすぐに冷静さを取り戻すと彼女に謝罪を行う。そしてどうして俺を勇者と呼ぶんだ?っと尋ねる。

するとそんな俺の様子を見て彼女がクスリと笑う。

そして勇者が目覚められたようで良かったですと言ってくれると続けて勇者の名前を教えてくれるのだがどう聞いても自分の名前とは思えないのである。そして俺がその名前を聞こうとするとなぜかその名前を知ることができないことに気づく。俺の頭の中に存在する知識の中にもこの世界の知識としてもその存在を確認することが出来なかったのだ。そのため本当にこの名前は俺の名前なのかと聞くと。

えぇと彼女は笑顔になると俺にその質問に答えてくれようと言いだしてくるので俺は素直に聞き入れる。そしてこの世界がどんな風に動いているかと言う話を聞かされると俺は、なぜ自分がこの世界に呼ばれたかをなんとなく理解してしまうのだった。この世界の創造主にこの世界の支配者を倒すための手助けをする代わりに世界を救うことを頼まれたということだ。それを知った上で俺は彼女とこれからについて話そうとするのだが。どうにも上手く話を纏めることが出来ないまま時間が過ぎ去っていくのであった。

その日私は、突然目の前に現れた勇者を名乗る男性から話を持ちかけられていた。その内容というのが、自分と契約をして勇者になってほしいとのことなのである。だがいきなりの話に、はい、そうですかと答えられるわけもなく。当然断ろうとした。

だけどそんな私の態度を気にすることも無く勇者と名乗った彼は、私の腕を掴むと強引に契約を迫ってくるのである。だけど流石にこのまま勇者と契約を結ぶなんてできないと思ったのでどうにか彼を宥めようとしたが。その努力も虚しく、彼の手に込められている力が徐々に増していくのを感じたので、この場で契約を結んでしまえば、きっと、彼を止めれるかもしれないと考えた結果私は、彼と契約を結び、勇者の力を手に入れた。

それからしばらく経って勇者を名乗った男性が私の元に戻ってくる。

どうやら私達の仲間の一人を殺したらしいので。勇者の力を使って、復讐をしようとしているらしい。私も、勇者の力を使いたいという欲求はあるけれど、だけど今は我慢しなければならない。何故なら勇者が復讐のために力をふるうのならば私は、それを止める立場にいないのならば私自身も勇者としての力を使うことは出来ないだろうと判断したからである。だけど、そんな私の気持ちを無視するかのように彼が私に対して問いかけてくる。

「お前が勇者としての力を手に入れればこの世界の理を変えることができる。それはお前にとっても必要なものだろ?」

そんな言葉を言われて思わず首を縦に振りそうになったが、なんとか自分の意志を貫くために必死に抵抗する。そしてそんな私を見た勇者を名乗る男性は残念そうな顔をする。そんな表情を見せられて、なんだか申し訳なくなるのだが、ここで勇者の力を手に入れるということはそれだけリスクが高くなるということであるため、そう簡単に受け入れていい問題ではなかったのだ。

「貴方の目的は一体なに?勇者の力を得て、何がしたいの?それに、私に何をさせたいのかちゃんと、聞かせて欲しいの」

私に問いかけられて、最初は話すのを拒否する姿勢を見せた彼に私は少し強めの口調で尋ねてみる。そのことが効いたのか、それとも諦めただけなのか、勇者は、ゆっくりとした口調で自分の目的を話し始めようとする。

「俺の狙いはこの世界を壊すことにある」

「それはいったいどういう事なのかしら?」

「その言葉の通りさ。世界を一度リセットする必要があると思っている」

私はその考えを聞いて絶句した。

何故ならその意見があまりにも狂っていて。そんなことを考え付く時点で既に普通ではない。そもそも世界を消す必要があるのかが分からないのだけど、この人の言う事を聞いているとそれが普通の行為のように聞こえてくるのだから恐ろしい。だからこそそんな考えが浮かんでしまうこの人が、どうしても恐ろしかったのだ。だけど、それでもこの人に付いて行こうという意思があることだけは間違いない事実なのだ。

この人とはもう長い付き合いだし。この人には何度も命を助けて貰っている。

そんな相手を見捨てることはできない。

「それで、その世界を消して、その後はどうなるっていうの?」「まずは今ある存在を殺す。それでその世界から存在が消え去ることになるからね」私はそれを言われるまで、全く気付かなかったのである。今ここに私たちが存在している以上は世界は存在していると勝手に決め付けていた。だからこそ私は、目の前の人物の言う通りその言葉を信じてしまったのである。その発言に驚いたせいもあってか、気がつけば、無意識のうちに彼の手を取っていたのだった。そんな様子を見た勇者は微笑むと。私に話しかける。

「君は今この世界に起きている問題について知っているかな?実は、この世界にはこの世界を維持する力が存在していて、その力が失われると同時にこの世界も崩壊が始まるようになっている。だからこそ俺は、この世界の管理を行っている存在に会わなければならないと考えているんだよ。そのために、俺と一緒に来てもらうよ」

「うん。もちろん、いいよ。だから早く行きましょう」こうして私は、勇者に連れられてその場を後にする。その後の世界の結末については私は知ることはなかったが。おそらくあの時見た夢と同じ様な展開になっているのではないかと推測していた。

俺の予想通りに勇者を名乗る人物がこの世界に訪れて、俺の契約相手の女神が、自分の仕事を全うしようとしていた。しかし彼女は俺の存在を見つけると俺が生きていることを知って、嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。そのことに俺は若干の罪悪感を覚えながら彼女に事情を話すとすぐに理解を示してくれると、これから一緒に行動をすることになると提案してくれた。俺は、彼女が俺に協力してくれるのはありがたいことだったがそれと同時に不安もあったのだ。なぜならば俺は彼女にとって大切な存在であるはずの神族を殺している。だからこそ彼女は、その件を俺に伝えずに協力しようと言ってくれている。だからこそ彼女の行動に違和感を感じざるを得なかった。

俺と勇者との会話を盗み聞いていた彼女は勇者がこの場を立ち去ったタイミングで、私に近づき、声をかけて来た。そして、勇者の言葉の真相を知りたがっているように思えたので。私は全てを打ち明けることにした。そしてその結果、勇者が語った内容は想像を絶するような内容であったのだが。私はそのことについてあまり驚かない自分に驚きを隠せなかったのである。しかしその一方でやはり納得できる部分も多々存在していた。

勇者と契約を交わしたことで私は勇者の能力の一部を受け取れるようになったのだが、その能力は今までに感じたことが無いくらい強力なものだった。そのため私は、この能力があればこの世界をどうにかすることは可能だと考え始めていた。だから勇者の目的がこの世界の崩壊だったとしても止めるつもりは毛頭無かった。だから私がすべき事は、ただ一つ。勇者の望みが達成されるその時を待つことである。

勇者がこの世界に現れてから数日が経過した頃だっただろうか、突如この世界に新たな来訪者が姿を現すのだった。その人物は女性でありその見た目はとても可愛らしい美少女である。

「あなた達が、勇者と、女神ね」彼女はそう言って俺たちの事を睨みつける。

勇者がその言葉を聞くや否や彼女に向かって攻撃を仕掛けるが。その攻撃は、彼女にあっさりと受け止められてしまい。逆に反撃を受けて倒れ込むのであった。それを確認した俺は慌てて彼女に対して攻撃を行おうとするがそれよりも早く彼女が口を開く。

「私のことを知っているなんて随分と暇をしているみたいですね。それにどうして私の居場所が分かったんですか?それにどうして私をすぐに倒さなかったのですか?まぁ理由はなんとなく分かりますが、とりあえず教えてくれませんかね?勇者さん、それと貴方にも一応聞いといてあげます。私に聞きたいことがあるんじゃないですか?」

「お前は何者だ?なぜこの世界に干渉してきたんだ」

「あら怖い顔。でもその顔はなかなか悪くありませんね。どうせ質問には答える必要が無さそうだから先に言っちゃいますけど。私は別に、この場所が欲しいからやってきたわけじゃ無いんですよね。ただ単純に興味があるだけです」

「それならば一体何を企んでいる?」

彼女はそんな問いかけに微笑むばかりで一切口を開こうとはしない。そのため勇者の方から問いかけるのを待っていたが。その様子がないことから彼女は、俺に話を振るのだった。そして俺はそれに対して答えるべきか否かと迷ったが、彼女はどうやら、嘘を見抜けるらしいので下手なことを言わなければ問題はなさそうに思える。

「俺は君がこの世界の秩序を乱そうとするのであれば、止めなければならない。だからその返答次第では君のことも殺すことになるだろう。それが例え誰であろうともだ。だから正直に答えてくれないか?」

「えぇいいですよ。では、そうですねぇ〜私の目的を言いましょうか。私は、人間に恋をしたのですよ。だけどそんな私の思いは、人間に届くことはなかった。だから私の気持ちを伝えに来たのに邪魔をするって言うなら、仕方がありませんよね。私も全力で戦わせてもらいます」彼女はその言葉を告げると同時に姿を消して、次の瞬間には俺のすぐそばにいた。そんな彼女からの不意打ちの攻撃を受けてしまうのだが。なんとか防ぎきることには成功する。それからしばらくの時間が経つと。

勇者と俺がこの世界で戦い始めたことにより。世界のバランスが大きく崩れ始める。そのことに私は気づいていたが、私はあえてこの世界を崩壊へと向かわせるため、敢えてその争いを止めようとはしなかった。そんな時、私は一人の少年に出会う。

私は、彼が魔王を倒した存在だということに気づいていたが、それでも彼の強さを見て、この人ならきっと勇者の力を手に入れることが出来ると思い。彼に取引を持ちかける。その言葉を聞いた勇者の彼は私の提案を受け入れるのだった。

勇者の彼は私のことを仲間として受け入れただけでなく私に好意を抱いているようで、この世界を平和に導くための協力を約束してくれた。私としてはそんな彼に心惹かれないわけがなく。この気持ちを伝えるべきなのか悩んでしまった。だが私に勇者を愛する資格はないと考え直して、勇者がこの世界を救い、勇者が幸せになることができるその時まで待つことを決意する。

それから数年後、私は勇者と共に、世界の歪みの原因となった存在の元へ訪れることにしたのだが。そこで待ち受けていた光景は凄惨な物だったのだ。勇者の仲間達の大半は既に死んでおり、残っている者達も重症を追っていた。そんな中勇者は一人でその相手に戦いを挑んでいたが圧倒的な力でねじ伏せられてしまう。勇者は最後まで諦めることなく戦う姿勢を見せたが、相手は余裕でその攻撃を弾き飛ばすと、勇者に向けて手をかざし、魔法を放つ。勇者はその攻撃を防ぐことが出来ず、そのままその魔法は勇者を飲み込んでしまうのだった。その様子から勇者の負けが決まったと誰もが思う中、その状況を覆した人物が勇者の前に現れる。その人物こそ、あの日私が勇者に力を与えた人物であり。今勇者が愛している人物である。

「やっと会えたわね。まさか本当に生きていたなんて驚きよ」「俺は信じていたがね」

「そんなに嬉しいならもう少し素直になりなさいよ。あんたはもっと欲をかいてもバチは当たらないと思うけどね。まあそれでもあんたのことが好きだって言う女の子が側にいるんだけどさ。その子のためにもこの子を悲しませることはしないでよ?」

その言葉を最後に女性は姿を消すのであった。俺はその後、勇者の手を握ると彼女を蘇生させることに成功する。そのことによって意識を取り戻すが。俺は彼女に謝罪をすることにする。俺は彼女に何も伝えていなかったのだ。そのことが今の状況を招いた原因の一つである。だからこそ俺は、自分の本当の気持ちを伝えた上で、もう一度やり直すために、俺は、彼女にプロポーズを行う。彼女はその申し出に喜んで応じると、勇者を救ってくれてありがとうと言うと俺に感謝の言葉を口にするのだった。そのことに少し罪悪感を覚えつつも勇者を救えた喜びに浸っていたのだった。そしてそんな時突然この世界が崩れ始めてしまったのである。

俺はその現象に驚愕していたのだが、それと同時に俺の中にあった疑問の殆どは解消されてしまった。何故ならば俺と勇者の契約によってこの世界の維持を行っている存在がこの世界に干渉したことで世界が崩壊したのではないかと予想していたからである。

その考えに至った理由としてはいくつか存在するが。その中でも最大のものはこの世界を維持を行っている存在はこの世界には存在しないのではないかという仮説を立てたことだ。だからこそ俺はこの世界をどうにかしなければと思っていた。しかしそれが不可能になってしまったという訳だ。俺の目的はもうすでに達成されているのだが、今この場に残されている仲間たちを救うことだけは必ず行わなければならないと考えていた。しかしそんな状況において目の前の女性は俺に話しかけてきたのだった。そしてその内容は驚くべきものであった。

目の前にいる女性、俺の師匠にあたる人物が語ったのはかつて俺がいた世界についてであった。それはあまりにも衝撃的な内容だったのだが。それを告げた女性の様子から俺のことを騙そうとしているようには思えなかったのだ。俺はそのことを考えるとどうしてもその話を疑うことが出来なかったのである。それ故にその話が真実であるという前提の元。俺が元の世界に戻るための手段を探すことに決めた。それと並行して勇者のこともどうにかできないか考えていた。その結果俺は一つの方法を思いついたので、俺はまず最初に、勇者をこちら側の世界に召喚するために勇者をこの場へと呼んだのである。そして俺がこの世界に呼び出されて勇者が召喚される少し前の出来事に話は戻るのであった。

私は、私に好意を持ってくれている少年に、ある提案をした。そしてその少年はその提案を了承してくれて私は、その少年と一緒に、勇者を召喚するための準備に取り掛かった。私は勇者が、私達のことを忘れていないかどうか心配だったので、確認を取ると大丈夫だという返事が返ってきたので一安心することができた。そして勇者を無事召喚することができ、私たちはこれからどうしようかという話になったのだが、勇者が私達にこの世界で一緒に過ごしてほしいと言い出してきたのである。しかし私はその提案を受け入れず勇者にこれからやろうとしていることを話そうとしたのだが。勇者の一言により私の思考は停止してしまう。その理由としては勇者の口から語られた事実に私は驚いていたからだ。しかし私は、そんなことで引き下がるつもりはなかったのだが。その言葉が聞こえた瞬間に私は勇者に倒されてしまうのだった。

私は目を覚ます。するとそこは見覚えのある空間であった。ここは女神の住処だ。どうしてここに自分がいるのか、理解できなかったが、それよりもどうしてこの場所に女神がいるのかの方が気になったため。女神に声をかけることにした。するとどうやら女神の私に対する認識はかなり歪んだものとなっているようだった。しかし女神と直接対面できたという事実は大きいものだった。

俺は、女神が俺の質問に答えてくれるのを待っていたが一向に答える気配がない、そのため俺は女神に対して質問を行いながらこの状況を整理していくことにした。そんな時突如として謎の声が聞こえてきて。その声は俺が勇者であることと、魔王を倒して欲しいということを一方的に話すので俺はそれに耳を傾けるしかなかった。そんな時ふとあることを思い出して俺の前に立っている少女に対して、お前は一体何者なんだ? その言葉に対して、目の前の女の子はその問いかけを待っていましたというような顔をしてからこう口にしたのだった。

「ようやく聞くことができたね、私の本当の名前を。私の名前は、イリスだよ」

その名前を聞いた時、どこか聞いたことがある名前だなと感じたのと同時に何故か懐かしさを覚えたのだった。

「ねぇ君に私の本当を預けたいって言ったらどうする?」

「どういう意味なんだ?」

その言葉を聞いた瞬間、俺は思わず聞き返してしまっていた。そんな言葉が口から出て来るのは当然のことであると言えるだろう。

「私の力を使って欲しいんだよね。君には、私に協力して貰いたいの、君には、この世界の全てを変えてほしいんだよね。でもそれだけの力は持っていないから私にはそれをサポートするくらいしか出来ないんだけどね。それでも君は私に協力してくれる?」

「協力して欲しいのはこっちも同じだ、俺は元の場所に帰りたいとは思ってるけどな。だけど、そのための方法が今のところ思いつかない。だったらお前の話に乗った方がいいんじゃないかって考えてるんだよ」

そんな俺の言葉を聞いてイリスは満足そうな表情をしていた。そんな様子に俺は疑問を抱くが今はとりあえず彼女の言葉に素直に従ってみることにしてみた。そして彼女が手を伸ばすと、俺の腕輪が光り輝いたので、腕を見るとそこには銀色の龍が刻まれた紋章が存在していたのだった。

俺達はこの世界での滞在を終えて次の世界に向かうこととなった。その際に俺達が次の世界ですべき事のヒントになるかもしれないと言って彼女は様々な知識を与えてくれた。

俺はその言葉を聞くとこの世界を後にしたのであった。

私は今非常に困っている。私はこの世界でやることが既になくなってしまっているのだ。だがそんな状況の中で私はある男と出会い、そいつに戦いを挑むことになった。

しかし私の戦い方は相手の攻撃を喰らうことが前提であるために攻撃を当てることが出来なければ負けが確定するため、その男は私の攻撃を避けるだけで私の攻撃はかすりもせずに終わりを迎えた。そしてその後すぐに私に襲いかかってくる男の一撃を受けてしまうと。そこで気を失った私は目が覚めるとなぜかその男の家にいた。その家の主の話では私が気を失ってしまったためその男は、仕方なく家に連れ帰って看病していたという。

そしてしばらくこの家でその男と共に暮らすこととなる。

私はある日、自分の力を試してみることにする。しかしその前にその男が私の力を見たいかと言ってきたので私は自分の全力を出すことにする。その結果。その男は気絶してしまったのだが。この様子ではこの先私と付き合っていくことは不可能であると判断し、その家を立ち去ることにした。

それから私はしばらくの間世界をさまよっていた。そしてこの世界を彷徨いながら。この世界にある不思議な存在について考え始めた。その不思議な存在の正体が、魔王なのかそれとも勇者なのか、はたまた他の何かなのかは全く分からなかった。

俺は、俺と旅をしている女性、名前は確かアイネといったはずなのでそう呼ぶとするが。その女性はいつも一人で行動しているため俺は彼女に話しかけたことがあった。しかし彼女から返事が返ってきたことは一度たりともなかった。そんな彼女は突然俺の方に向かって歩いてきて、唐突に俺に攻撃を仕掛けてきたのだ。しかし、それはただの攻撃ではない、明らかに威力を抑えた攻撃で、まるで訓練を行うような動きであり、攻撃というよりも、戦い方を教えてくれていると言った方がしっくりとくる攻撃だった。そしてその攻撃によって、この世界の常識に囚われていたことによって俺は今までずっと負けていたのだということを理解するに至ったのである。俺はそんな女性から色々と学ばせてもらうことになるのだった。

俺はある時から女性に勝つことができるようになった。それはなぜなのか分からないのだが。とにかく勝ち続けているという状態が続いており。そしてついに女性を超えることに成功したのである。そんな風に調子に乗っていた俺はその女性が俺の想像以上にとんでもない実力を持っていたことを知るのである。俺は女性に何度も勝負を挑んでいたのだが、俺が負けた回数は軽く1000回以上になっていたと思う。そしてそんな時突然俺は気を失ってしまう。その女性は俺に何かの薬のようなものを飲ませようとしていたが、俺がその薬を飲むことは無かった。そして俺が次に目を覚ました時には俺の隣にあの女性はいなかった。しかしその代わりに俺と戦おうとしている二人の男性の姿が存在したのだった。そして俺と二人との戦いが始まったのだが。俺の一方的な勝利に終わると俺は二人に感謝を伝える。そんな俺に二人は少しだけ驚いた反応をしながらも俺に対してお礼を口にするのだった。そして俺はこの世界にやってきて初めてまともに人と話せたことに大きな喜びを感じるとともにこの世界にやってきてよかったと思っていた。そして俺はこの世界で目的を果たすために動き出した。

私は、今とても気分が良い。何故ならば、私は久しぶりに強い敵と戦い勝つことが出来たからだ。そして私はそんな時に一人の少年と出会うのである。彼はどう見ても、戦闘の素人であったが、私にはわかる。この子からは尋常でないほどの強い力を持っているのだと。それ故に私はすぐに彼に模擬戦を挑んだのである。結果は彼の惨敗であったのだが、それでも私は満足していた。

しかし、そんな状況において私はこの世界に召喚されてしまっていることに気がついて愕然とするのであった。

俺はこの世界に来て以来常に誰かと一緒にいることが多いように感じた。そんな俺は最近あることに気づいたのであった。それは俺が異世界転移した時から行動を共にしている女性と、俺のことを助けてくれている謎の少年と、その弟と、師匠と。一緒に過ごす時間が多くなっているということだった。そんな俺のことを皆が気にかけているのだろうか、それともまた別の意味でもあるのであろうか。そんなことを考えているうちにどんどんと時間は過ぎ去っていき、いよいよ俺が召喚されて一週間が経った。

私は、とある事情がありその日は外に出かけていなかった。そんな日に私はある人物から連絡を受けてあることに協力することになったのである。その人物が言うには、魔王を倒した後に現れるはずの勇者を探し出して欲しいという内容の依頼を受けたのだ。私はその依頼を受けるとその仕事のために私は動くことになったのである。そしてその依頼をこなす中で私はとある人物と再会することとなる。

俺は今日も元気だ、朝起きてから散歩に出かけたりする毎日が続いている。そんなある日、森に出かけることにしたのだが、その時に出会った少女は俺と同じ世界から来たのだという。その少女が、こちらに来た経緯については教えてはくれなかったのだが。俺はその少女に興味を持ち始めてしまう。

「俺はお前のことが知りたいんだ、話してくれないか?」

俺は目の前の少女に向けてそう言葉を投げかけた。するとその少女は俺の目を見てこう言ったのだった。

「いいでしょう、私はこの世界の神です、私のことをよく覚えておくといいですよ」

そんなことを少女は言ってきた。俺は思わず固まってしまい、目の前の美少女が神様だということを頭の中では否定しようとしていたが。心の中のどこかにはやはりそうなのだと感じ取っていた。そんな状況の中俺は、俺と同じような人に出会うのは初めてだという話をすると俺に近づいて来た少女が俺に対してこう言葉を続けてきた。

「貴方は特別な力を持っていますね、だから私はあなたの力を借りるためにここへやってきたんです」

「俺の力で良かったら貸すよ」

「えっ?本当に良いの?」

「ああ構わないぞ、ただしお前のお願い事の内容次第だけれどな」

俺はそう言いながら、その少女に質問を行う。まず最初にこの世界に来る前のことについて、どうしてその少女はここに来るまでの経緯を説明しようとしないのかと質問を行ったところ、俺と同じように、別の世界からこの世界にやってきた人がいてその人に聞いたのだと彼女は説明してきた。その人はどうやら俺達のように、いきなりこの世界に現れたわけではなく前段階があってからこの世界に現れていて、その前段階で何をやっていてその人が、どんなことをしている最中にこちらの世界に呼ばれたかを俺に話すことで協力をしてもらうというつもりだったようだが、どうやら、その話は嘘で、その人から得た情報によると、目の前の女の子は神様ではなく普通の女の子であるということが分かったのである。それに加えて、目の前の女の子はその話が真実であることを確認しておきたいので、私から聞き出せる情報を全部聞き出せと言ってきていた。そして俺の目の前の女の子は、神様であることを否定することなくその話をしたのだが、その後俺に色々なことを教えてくれた。俺と同じような境遇の人やその世界にいる勇者についても教えてくれたのだ。そして最後に俺はその話を全て信じた上で協力することを告げると彼女はありがとうと言いながら笑顔で握手を求めてきた。俺はそれに素直に応じ、彼女は満足げな顔をしていたが俺も内心満足していて彼女とこれからも協力していこうと思った。

私が今興味があるものは一つしかない、その目的の人物に会うためには私一人だけではどうしても不可能な状況だったので。この男の協力が必要だと感じたのであった。私はこの男を仲間に引き入れるために自分の秘密について話そうとしたのだが。私はその男の力がどれほどなのかを確かめるために、私の持つ力を存分に振るうことにした。その結果私の予想通りに、その男は私の攻撃を完璧に避けることに成功したのであった。

私はこの男に協力を求めるために私は、私と似たような人間が存在すると伝え、そして、その人物に協力してもらいたいと私は告げた。

俺達はお互いに名前を知らないため。お互いの名前を伝えあった。その後俺は彼女の提案に乗り彼女の目的の人物である俺の知り合いとコンタクトを取るために動き出すことにしたのである。

私は今この男に自分の持っている力をある程度見せつけることができたので、この男と契約を結ぶことにした。

私の名前はルミナ、私は私のことを神の巫女と呼んでいた。私の目的は私が元々いた世界を救うことである、その為に私と私に使える者を使って様々な方法を模索していた。私は私以外の存在の力を使うことを非常に得意としており。この力を使い私は私以外に存在している勇者と呼ばれる人間の魂に宿る力を使うことができるのだ。

そして今回この男が私と契約してくれたのならこの力を貸し出すことにしたのである。そして契約をする際にはこの男が私の契約を受け入れるかどうかを確認しなければならない、私はそのことを確認しようと彼に問いかけたのだが。

その答えを聞いたとき、私は思わず自分の耳を疑ってしまった。まさかこんなところで、こんなタイミングで、彼がこの世界で探し求めている人物の関係者と巡り合うことになるとは思っていなかったので、驚きを隠しきれずにいた。

私は今、目の前の男、直人と契約を結び。私はこの男の手助けをすることになる。この男は今自分が勇者だと気づいていない、そしてまだその自覚もないようなので。まずはそれを思い出させることから始めるとしよう。私はその方法を試してみることにする。

俺達はこの世界で目的を果たしこの世界に別れを告げようとしていた。俺は、俺の大切な人達との約束を果たすために、俺がこの世界で旅をする理由であり、俺の目的でもあり、そして今の俺に最も必要なものでもあるその人の元へと向かう。

そして俺が今会いに行くべき相手である俺がこの世界でずっと探していた、ずっと守り続けていた相手のところへと向かった。

---side神崎直人-end ------side??? 私にはこの世界にずっと昔から一緒に旅をしていた仲間がいる。私と同じ目的を持った少女で、名前はアリッサと言う。そんな彼女から突然手紙が届きそこにはこの世界の危機が迫っているからこの世界を救って欲しいという内容の内容が書かれていたのだ。そしてそれと同時に、この世界に存在する魔王を倒して、魔王城にある宝物を持ち帰ればきっと私の願いは叶うだろうとも書かれていて。その手紙を見た瞬間私はすぐにでも魔王の元に向かいたいと思ってしまうのだが。しかし私は一人では魔王を倒すことができない、そこで仲間のアリッサを頼ることにしたのである。そしてアリッサが私のところにやってきた、私はアリッサと手を組むことを決め。そして私はその魔王討伐のための準備に取り掛かったのである。しかし私はその前にやらなくてはいけないことがあると考えた。そしてそのやるべきことを実行する為の準備を行うために行動を起こすことにした。私はこの世界にやって来てからこの世界に居るはずの魔王を倒し、この世界に平和をもたらした人物を探し出そうとしたがその人物の手がかりは全く掴めなかった。しかし私はそれでもあきらめずにこの世界の各地を回り魔王を倒したと思われる勇者を探してみたりなどをして、少しでも魔王についての情報が入らないかを調べていたのである。

そんな時に偶然見つけたのは、その魔王を倒した勇者と同じ名前の男性を見つけた。

私と同じような立場の人だった。そして私は彼にそのことについて話しかけてみると彼はそのことに興味を示すことなくその場を離れようとする。私はこのまま彼と別れてしまうのはなんだか勿体ないと感じてしまったのである。だからこそ私は彼を引き止めるために彼のことを観察することにした。するとやはり私と似た部分があり。そして何より私が興味を持つ何かを感じたのである。そんな彼に私と行動を共にしてもらうにはどうしたらいいのかを考えていた。

私はとりあえず彼を私の家に連れて帰ることにした。そのあとはどうにかするとしてまずは、私の住んでいる家で少しだけ休息を取ってもらうようにしたのであった。

「私はあなたに、ある使命を託します。」

その女性は俺に対してそんな言葉を投げかけてくる。そして彼女はこう話を続ける。

「貴方にこの世界の平和を取り戻して欲しいのです、私と仲間たちの仇を、お願いしますね、貴方にしか託せないことなんです。どうかお願いです。私と私たちのためにも頑張ってください、これはとても大変なことですが、この世界が救われるまでの僅かな時間しかありません、だからその短い時間を有効活用できるようにしましょう。」

そう言いながら俺に向かって手を差し伸べてきたので、その差し出されていた手をしっかりと握りしめながら返事をした。するとその少女は俺の手を放すと、また俺の視界から姿を消した。俺はしばらくその場に立ち尽くしてしまったのだが。俺はその女性が消えたことに戸惑いを感じながら辺りをもう一度見渡すが誰もいないようだった。ただその時に俺はふとあることに気づく、この場所に来る前まで持っていたアイテムボックスの中に入っていたアイテムがすべて無くなっており。その代わり俺が手に持っている武器だけが残っていたのだ。俺はそれを確認するとなぜなのかはわからないが俺はなんとなく、俺が魔王を倒すことが前提で話が進んでいたのでその言葉を信じていいのかと思った。そして俺はそんな風に考えながらその少女との話を思い出すことにした。そして少女は最後にこんな言葉を残して姿を消していた。

「私は貴方にお願いをしに来たわけではありません。私達の悲願を貴方に手伝って貰うという事を伝えるためにここに来ました。貴方にもその気持ちがあれば是非協力をしてもらいたいと思っています、私達と一緒に、この世界の魔王を倒して、この世界の平和を取り戻そうと思うのならば私はあなたの力になることができると思います。私はあなたの味方です。だからあなたの本当の力を解放しなさい、私はそのためにここに来たんです。だからその力を解放させるためにまずはその力を封印している、その鍵を破壊しなければいけません。私はその鍵の破壊をするためにこれから色々と動いていくつもりなので。もし良かったら貴方もその私達に協力をして欲しいんです。私達はこの世界を守るために動いているんですよ、そのことについても話したいと思っているんです。私は今すぐに貴方のことを信用しろと言ってくるつもりはありません、だけどこの世界に危機が迫っているということは忘れないようにしてください。それとこの世界を救うために必要になることを話したいので一度私の家に寄っていただけると嬉しいのです。」

その話を思い出しながら、その女性の言うことを聞くべきなのかを考えながら俺はまだ自分がどのような存在であるのかを知らない、俺は本当に自分がその女性に話した通りの存在であることを確かめたかったのだ。そのせいで、まだ俺はその話が本当かどうか判断することができていなかったので、俺はしばらくの間その女性と会話を続けてみることにしたのである。

それから暫く時間が経った後で彼女は突然俺に話しかけてきて、そしていきなりこんな話をし始めたのであった。

その話を簡単に説明すると、彼女は魔王と呼ばれる人物を倒すのを手伝ってほしいという話をしてきたのである。しかもそれができるのは俺のような人間だけだからということでだ。だが彼女はそのことを説明した後急に苦しみ始めた。その理由については話す気が無いようだ。おそらく彼女にとってもこの話は知られたくない内容だということだろう。

「この力は本当は使っちゃいけないの、この力を開放させてしまった時点で私はこの世界を守る義務を果たさないといけないの、だから、この力を解放するためには、私がこの世界を救うまで待って欲しい、私はこの世界で仲間をたくさん作ってる。私の仲間がこの世界に魔王がいることを知らせてくれた、私はそいつを殺さなければならないの、私があいつを殺してこの世界を守って見せる。」

そしてその後その女性と別れたのである。

---side??END ---side神崎直人-end

「この世界では君の力はあまり意味を成さない、それは何故かと言うと、今現在君の世界で起きていることはこの世界とは別の問題であってこの世界とは関わりがないことなんだよ、でも君は別世界からの召喚者であるにもかかわらずなぜかこの世界を救う力を持っていてそしてこの世界で魔王と呼ばれる人物がその世界の脅威になっているんだ、その事実がわかったのなら君には僕たちに協力する権利があるはずなんだ。だから僕と手を組もうよ、僕の仲間になればこの世界の問題を解決するための力が手に入るんだ、そして世界を救った暁にはその報酬として願いを叶えることも出来るはずだからね、どうだい?悪い条件ではないんじゃないかい?」

俺が、魔王を名乗る人物からの提案を断り。その場から離れるようにして逃げようとしたのだが。その時俺が見た光景はあまりにも凄惨なものであり、俺の精神に大きな衝撃を与えることになる。その光景とは、その魔王を名乗った人物が勇者らしき人族と思わしき存在によって殺されるところを見たからだ。

そして俺は目の前で起こったことに唖然としながら。魔王を名乗っていた存在の方に視線を向けると。魔王を名乗っていたその存在はすでに死んでいた。

俺はその出来事に驚いていたがその勇者らしき人が俺の方を向きこちらを睨みつけていた。俺は咄嵯に逃げようとし、勇者に背を向けたが、しかし俺は逃げることができず、俺はそのまま捕まってしまった。そして勇者と魔王と名乗る者を殺した者が俺の前に現れたのである。その人物の顔を見て俺はさらに驚くこととなった。なぜならそこに現れた人物の容姿と雰囲気は俺が先ほど殺した人物と似ていたからである。俺がその人物について考えていると、 その人は俺に向かって話し出した。その言葉は俺に対しての警告の言葉のように感じた。

俺は、この世界に来る直前にいたあの場所に再び戻りたいと考え、俺はその人物と少しの間会話をしていた。しかし、この世界に俺がいた痕跡を完全に消してしまわないことに関してはその人物は許可を出してくれなかったが。それ以外に俺に色々なことを教えてくれることになり。

「僕はこの世界をずっと昔から見守り続けていたんだけど最近になって君の存在がこの世界にとって大きなものになってしまったみたいなんだ。それで僕は君を僕の協力者にする為にこうしてやってきたってことだね、君もこの世界でやるべきことがあるみたいだし。お互いの目的の為に協力していこうじゃないか、そしてその協力関係を築くためにはお互いに信頼関係が必要になるよね、そして君は僕と手を組んで魔王と戦ってくれたほうがいいかもしれないと思って。この提案をしているわけだよ、その魔王っていう奴は僕たちの敵でもあるし。僕としても君に協力して欲しいと思っている、この話を受けるかい?受けなくてもいいけれどその場合、僕が個人的にこの世界に脅威となりうる可能性のある存在は全部消し去っておくけど、それでも構わないかい?それに僕と手を組めばもっとたくさんの情報を提供してあげることもできると思うし、それに、君が望んでいるであろう能力も与えることが出来るよ、ただしこの能力はかなり危険なものなんだ、使い道次第ではこの世界の均衡を壊しかねないものだからね、それ故に使い方が重要になる能力なの、それをしっかりと覚えておかないと大変な目に遭うかもしれないわ、だからちゃんとその能力は自分でしっかり把握しておくように、いいかしら?」

俺はそんな風に言われた後。俺はこの世界でやりたいことを考えた結果。俺はその提案を受けることにしたのである。そうすると俺はその人に連れられるようにその場所に向かうことになった。

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そして俺と魔王と名乗った人物の戦いが始まった。俺は魔王と呼ばれた存在をなんとか倒すことに成功した。そのあと俺はその女性と共に行動することを決めたのである。俺はこれからこの世界で何をすればいいのか、何を目的に行動すべきなのかもわからなかったが。この人のことを信用しても大丈夫だと感じたため俺は彼女と行動を共にしようと思ったのだ。そんなわけで俺と魔王が話を終えた後で、俺達は一緒に彼女の家に向かっている最中にその道中で魔物に遭遇をして戦闘になった時俺の体が変化して、その変化した力を使って戦ったり、またある時は俺自身が別の生き物に変身したりして戦っている内に彼女はかなり強くなっており。俺自身もこの世界の住人よりもレベルが高いということがわかったりしていたのである。またある日を境に俺はその力の扱い方というものを完璧ではないが理解できたことにより自分の力でできる限りのことをすることが出来たようになった。

そして俺たちはとある場所に到着していた。そこには俺達と同じようにこの世界に来た人たちが集まっているようでそこの中心にいる男性はとても偉そうにしている。

「お前ら良く集まってくれた!よくぞ来てくれたと俺は嬉しいぞ、ここに来れた者はみんなそれなりの実力を持っているということが確認出来た、よってこれから魔王討伐のために皆の協力を頼みたいと思っている。まず俺のステータスを確認して欲しい、これはその人物がどれだけ強いのかを確認できるものだ、このスキルがあれば相手がどの程度の力量かを確認することができるのだ、早速見てみろ!」

そう言いながら男は自分の職業が何かを見てもらうように指示を出す。

「私は戦士という職業だ、だから戦いにおいては近接職に分類されるだろう。私は魔法は使えないが、武器を使った攻撃はそれなりに得意としているつもりだ。私の持っている武器は剣を使う。私は魔王と戦うときは接近戦を挑んでくる相手に対しては私は有利に立ち回ることができる。私のような戦士系の人間を相手にした時は遠距離からの攻撃に徹するのが最善の戦略になるだろう、だから私に近距離戦で挑むという行為は絶対に避けるようにしろ。次に私と同じ回復魔法の使える仲間がいる。名前は聖女と言うのだが、彼女はその力を私にも授けてくれていて。私は彼女に回復してもらいつつ。相手の弱点をつくことで、私のような前衛型の人間が苦手とする中距離や長距離の戦闘を行うことも可能なのだ。だが注意してほしい、もし私と敵対してしまった場合は決して油断をしてはいけない、私にはそれだけの力があるということを肝に銘じておいてくれ。私からはこんな所だ。」

そう言った後で男はこちらを向いてきた。俺は男のステータスを見てみた、名前と種族は人間と書かれているだけだった。俺はそれ以外の詳細が知りたかったがどうもそれができないようだ。

「私も、私も自分のことを紹介しちゃいますね、私の名前はアリサです、そして職業は僧侶です、私が得意な武器は何なのかはわからないです、だけど私の回復力はこの世界でも結構高いらしいですよ、それに私が使うことのできる補助魔法の種類はそこそこ多いんですよ。なのでどんな場面であっても私が味方でいれば問題ないはずです、そして私のパーティーには、もう一人、私の友達がいて。その人も魔法使いなのでとても心強かったんですよ。」

それから俺は、その女性の話を黙って聞いていたのであった。

---side??---

彼女は本当に優しい人だった、そして正義感が強い人でもあった。だけど彼女には欠点がある、それは彼女以外の人物には興味がないということだ、彼女は基本的に人見知りをしない性格のため他の人と一緒にいても楽しそうな表情をするのである。だが彼女が興味があるのは自分だけであり。その他の人間はどうなってもいいという考えを持っていた、だから彼女は私以外の人間とは仲良くしようとは考えていないのだろう。私だって彼女以外は必要じゃない、私は彼女がそばに居れば後は何もいらないと考えている、だからこそ私は彼女のことが大好きなのである。私達がこうして旅を続けていられるのもそのせいだと思う。

---sideend ---side??end ---side??-end ---side神崎直人-end ---side??-end ---side??-end ---side??-end ---side神崎直人-end その人物のことは正直言ってあまり印象は良くない。なぜってその人物は自分が魔王だと名乗り出た後にいきなりこの世界の脅威となっている俺を倒そうとして来たからである。俺がその人物から逃げるようにして移動をしようとした際に見た光景はその人が殺されたところであり俺はその出来事によって頭が混乱してしまい冷静さを失っていたのだと感じる。そして俺にその出来事について説明をしてくれたその人は俺に色々と助言をくれている人物だったのだ。

「私が今こうして君の前に現れているのは君がこれからどうしたら良いのか、どうすれば世界を救うことが可能になるのか、君には知って欲しいからだ、そのために今君はこうして話をしているんだよ、そのことについて君の意見も聞いておきたくて、まあそんなところだよ、それで君なら僕の提案に答えを出せると思うんだけど。僕に協力してくれるのなら君に特別な力をあげることにするよ、僕が君に与えようとしている能力を使えばきっと魔王なんて簡単に殺せるようになるはずだよ、でもこの力は諸刃の剣なの、この能力を手に入れることが出来れば君は圧倒的な力を手にすることになるけど。同時にこの世界の秩序を守る為の役目を担うことになる、この世界を危機から救うためにその能力を使わなくちゃいけないかもしれない、それでもいいんだね?この世界で生きて行くと決めたのなら。僕は君のことを全面的に支援しようと思っている。まあ、僕はこの世界でのんびりと暮らすだけだから別に構わないけどね、君の選択次第によってはこの世界の均衡が崩れることになるかもしれないけどね。僕はこの世界では君が思っているよりも大きな力を有しているからね、それを踏まえて。君に選択肢を提示しようじゃないか、君にとってはその選択はどっちも辛いことだと思うんだよね、この世界で生きて行くっていうのとこの世界を危険視しなければいけない立場に立つのとじゃ意味合いが違うと思うし、君はどうするか自分で判断してくれ、君が僕の提案を受けてくれるって言うのならば僕はこの能力を君にあげよう、君も勇者の真似ごとをしてみる気はないかい?」

俺がこうして魔王を名乗る少女から受けた言葉は確かに厳しいものだった。この提案を受けてしまえば勇者が敵になってしまう可能性もある。勇者に復讐するつもりでこの世界に来てはいたが実際に目の前にするとやはり複雑な心境になってしまった。

俺はそんな気持ちを押し殺すことが出来ずに。結局俺はその申し出を断った。すると俺はその瞬間その人の手を取ったのである。その手を握ったその時に、俺はある言葉をその人から言われたのだ。その言葉で俺はその人のことを信用してみてもいいかなと考え始める。しかしそれでもやっぱりまだその人に対して信頼関係を持てるわけではないので。その人は俺のことを信用できないという結論を出したようで俺に対して、これから一緒に行動をするというのなら俺のステータスを確認してほしいと言ってきた。そこで俺が相手の能力を知るためのスキルを使うと相手の情報が勝手に俺の頭に流れ込んでくる感覚に襲われた。俺はその流れ込んできた情報を必死に処理していくが途中で脳が限界を迎えてしまい俺は意識を失った。

---side神崎直人-END ---side??-end ---side神崎直人-end ---side神崎直人-end そして俺が目を覚ますとそこは真っ白な空間だった。

「ようやく目が冷めたようですね、お久しぶりです。」

俺はその声で誰がそこに居るのかを理解して、声の主の方を見る、そこには一人の美しい女性が佇んでいた。その姿はとても懐かしく感じられる。この人とは昔に何度か顔を合わせたことがあったような気がするがはっきりと思い出せない。そんなことを考えているとその女性の方が口を開く。

「そんなに難しく考える必要はないわ、私はあなたと直接会ったことはないけれど。あなたのお母さんに頼まれたの。だからこうして私がこの子を守ってあげるってわけ。私はあなたたちのことをよく理解できているわ、この子が貴方達のことを本当に大切に想っているのはよくわかっているわ。この子と仲良くして欲しいという願いは私にとって最優先事項だから私はこうしてこの子の側から離れないの、それに私の本当の名前は教えてはあげられない。だから、この子に名前をつけてもらえると嬉しいわ。この子の名前に私は許可を出しているし、もし嫌だって言うのであればこの子を別の名に変えることが出来るの。この子の名前は今は教えられないし。そもそもこの世界に存在しないものだけど。その名前を呼ぶことは許されないことになっているから。私の名前を呼んでくれる人なんてこの子は求めてはいないだろうから。」そう言い残してからその女性は消えたのである。そして俺はこの人に感謝をしないといけないと感じたのであった。

---side神崎直人-END ---side佐藤 勇斗---

その男はいきなりこちらに近づいて来て。何がなんだかわからないといった表情をしていた俺の事を気絶させたのである。それから俺は意識を取り戻し、しばらくした後、その男が何者なのかを考える。まず最初に思いついたことが神であると言う可能性だがそれは無いと言えるほどその容姿には似つかわしくなかったのだ、なのでおそらく人間だろうと思い俺は行動を開始したのだった。俺は相手の情報を確認するため、相手に向かって鑑定を行うと、相手は自分のステータスを見て少しだけ驚いていたように見えた。そしてその男がこちらを見てきたのでこちらからも話を切り出すことにした。

「おい、お前。一体どういうつもりだ、なんでこんな所に突然現れた、そしてお前は何が目的だ。」

俺は相手に対して高圧的な態度をとると。

「そうですか、私は貴方の味方だと思っています。私はただ貴方のことを助けに来たんです、ですが貴方は何かを誤解してしまっているみたいですし、ここでしっかりと話をするべきだと思ったのでここにやって来ました。私は私の目的はあくまでも貴方をこの世界で無事に生きて行くことが出来るようにサポートすること、それが今の私の使命だと考えています、だから私の話を聞いてもらえませんか?」

そう言われてしまった俺は仕方がなく。とりあえず聞くことに決める。「わかった。話を聞こうじゃないか。だがその前に名前をちゃんと名乗ってくれないか?そうしないと色々と不便だしな。」

俺は、その男の言ったことの意味を理解することはできなかったが、その質問にはきちんと答えることにする。

「わかりました、私の名前は天音といいます。ですがこの場にはこの名で呼ばれたとしても。私が私だと認識することは出来ません。」

俺はその言葉に違和感を感じたが。気にしないことにする。そして俺も自己紹介を行ったのであった。

---side??---

その人物を見た時。この人は本当に勇者の仲間であるあの人物なのだろうかと考えた、それは彼がこの世界で最強の生物であると言われている竜族を倒したからだ。しかも彼は単独で倒したと言っているのである。これは私達が想像しているよりも遥かに上の存在だということなのであろう。しかし私としては彼の力を測りたかった。そのため私は彼にこの世界には魔物を統べることのできる力を持つ魔王が存在しているという事実を伝えることにする。そしてこの世界に存在する最強の存在に君なら会えるだろうということを教えることにする。

---sideend ---side??-end ---side神崎直人-end ---side佐藤 雄二---

「おい、待ってくれよ、俺はその魔王に恨みがあるんだよ。それを邪魔しようって言うのか。俺の目的が復讐だけだと決めつけるんじゃねえよ。俺は俺なりにその魔王の野郎のことについて調べてたから分かるんだ。あいつがこの世界でどれほどの脅威になっているのかってことをよ。だからこそ俺はそいつのことをぶちのめす為にこの旅を続けてたんだっての。お前がどんな理由でこの旅に同行していたのか知らねぇけど。俺はそんなやつの仲間になる気はさらさらないぜ、悪いが帰ってくれ。じゃあな。」

俺がその言葉をその男に告げると、その男は一瞬戸惑った様子を見せるものの。そのままこの場を立ち去って行く。どうせ、こいつも他の連中と同じようにすぐにこの俺の前から居なくなるのだろうと俺は思ったのである。俺はその後しばらくの間は特に何もせずに過ごす。そして俺の勘は間違ってはいなかったようでその日を境に。俺の前に姿を見せなくなった。

----そして月日の経過は早く感じられ。俺は16歳になっていたのである。

俺は今まで通り適当に依頼をこなしながら過ごしていく。そのせいであまり俺のランクを上げることができなかったのであるがまあそれも致し方がないと考える。しかし最近になってから妙なことが起き始めていた。なぜか急に魔の森に生息する強いモンスターたちが、弱いものばかりになり始めたのである。そんなこともあってか、その森の周辺には大量の人が押し寄せるようになり、商人たちもこの周辺に集まり始めていたのである。そんな中でもこの周辺で一番有名な冒険者のチームとして名前が上がっていた人物が三人存在していた。彼らはそれぞれSS級、S級の冒険者でもあり、それぞれが別々の職業に就いているのだが。それぞれの能力の高レベルが合わさることによって圧倒的な戦闘能力を誇る集団へと成り上がっているのだ。彼らの噂を聞いた俺は一度顔を合わせるために、彼らに会いに行くことを決意したのである。そしてその当日俺は彼らに俺との顔合わせを提案してみると快く了承してくれたのだ。そこで俺と顔を合わせた瞬間に俺は確信した。

彼らがその実力だけでSS級になったのではなく。特殊なスキルを保有したことによって。冒険者の頂点まで上り詰めたということを。俺は自分の直感が外れることは殆ど無いと知っていた。そして実際にこの場で会話を交わした結果。どうやら俺のことを気に入ってくれたらしい。俺はその日から彼らを勧誘し始めたのであった。そしてそれから数日後に俺はギルドマスターに呼び出しを受けた。その用件というのは。今度行われるイベントに参加して欲しいという事と、それに関する説明を受けるためである。どうもこのイベンとは国を代表するトップ冒険者が集い最強を決めようという企画なのだそうだ。そんな馬鹿げた催し物に参加した奴なんて聞いたことがなかったのだ。だからこのイベントが行われる理由も不明であり。正直な所俺は乗り気がしていなかった。だけども俺の事情は考慮されずに俺は参加する羽目になってしまったのである。そこで俺はまずはそのイベントの対戦相手についての情報を知ることから始める。

俺はまずその参加者全員のステータスを調べることにしたのであった。するとそこに記載されていた情報に驚くべきものがあったのである。まず俺達のトップのチームのリーダーが俺と同じレベルの能力を持っているのである。つまりこの俺と同等の実力者がいるということになるのだ。更に俺以外のメンバーは全て女性でこのパーティーはかなり有名どころが集まっているのであった。このパーティーの名前は美の女神の使徒と呼ばれる。

この世界では美という言葉に対して様々な意味合いが含まれている。美しい女性とか、美しさの極みにある女神の使いという意味もあったりする。そしてこのチームはその中でも特別な存在であると言われているメンバーで構成されていて。このパーティーのメンバーになれば必ず幸運が訪れるとさえ言われているほどのものだ、そして俺はこの大会においてそのリーダーの人と戦わなければいけない運命にあるのだということを知った。

俺はそんなことを考えながら受付に行きエントリーを済ませる。俺達は大会に向けて訓練を行いつつその日まで過ごしたのだった。そして大会が始まる当日に俺はいつも通りに目を覚ます。今日は大会本番のその前日だ。俺は大会の前日には大抵、緊張してしまって寝れなくなってしまうことが多かったが。今回も例外ではなかったようだ。それでも昨日までは眠れなかった。そして今はなんとか睡眠をとることに成功している。しかし眠たそうな顔をしていたので。この国の王女様にも声をかけられてしまったのである。俺は一応、挨拶を返したのだったが。正直言って何が目的なのかがわからなかった為か警戒をしていた部分もあるため反応が薄くなってしまったかもしれない。

それから少し時間が経ってから。遂にその時が訪れて来てしまいましたのですが私は緊張で頭がいっぱいになっておりまして上手く言葉が出て来ませんでした。そんな私を見て彼女は笑っていたように思えましたが多分私の被害妄想なのでしょうと思いましたので特に突っ込まないことにしましたのですよ!私は彼女のことが嫌いではありませんが苦手意識を抱いてしまいます。何故でしょうか? 私は少ししてから落ち着きを取り戻し始めていました。

「すみません。お待たせしてしまい申し訳ございません。」私は頭を下げます。

「いえ、気になさらないで下さいね。それで今回の試合なのですが。ルールの説明をしたいと思います。今回の試合の方式なのですが、まず初めにくじ引きを行ってもらい。そのあとランダムに対戦相手が決められます。このトーナメント戦では1対1の戦いを2本先取した時点で勝利扱いとなります。そして最後に決勝戦があるのでそこが終わるまで勝負が続く形になっています。」そこまで説明すると、私の横にいた王女様の方を見てから、

「それから、貴方と私が決勝戦で戦うことが決まった場合、その試合は、どちらかの選手が負けるまで戦い続けて貰うことになると思いますので覚悟を決めておいていただきたいですね。ですが。私も負けるつもりはないんですけど!」

その少女はとても自信満々な笑顔で私に向かってそう言い放ってきたのであった。その少女の名前は天音と言い。とても可愛らしい女の子だと私なんかは思いました。そんなことを思っていた私を余所に天音ちゃんのほうは何やら不満そうな表情をしていて「どうしてこんなにも簡単に決まっちゃうんですか、もう少し話し合いをしてもいいと思うんですが。この人は本当に運がいいみたいですね、私が今まで出会った中でも一位、二位の強運の持ち主かもしれません。それに、この人なら私の願いを叶えてくれるかも。そんな期待をしてしまっている自分を感じます。」

私の方にも聞こえないような声でボソッと呟いていたようですけど、なんの話をしているんでしょうか?でもとりあえずこの試合が終わらないと何もわかりはしないわけですし。早く試合を終わらせましょうか。そう考えた私は、早速、会場の中へと入っていき、そこで対戦相手を待つ。暫く待っている間に色々な人から声を掛けられた。しかしそのほとんどが私と友達になりたいといったもので、私は内心嫌な気分になりながらも、営業スマイルを使って対応する。私は昔から男性にはあまり良い感情を抱くことが出来ないでいた。それは小さい頃に私に近づいてきた男の人がいてその人に誘拐されかけたからだ。そんな過去があって以来。男性という生き物は信じられなくなってしまった。しかし、この国の女王からは好意的に扱われていることを考えるとおそらくあの時の男性が言っていたように。私には男を見る目がないのでしょうね。でも、そんなことを思うと同時にあの時。あの男だけは別だったんじゃないかと。そんな疑問を抱きました。だって普通、あの場で。私を助けようとしてくれる男の子はいませんでしたし、むしろ、面白半分であのような発言をしてきた人も居たので本当に迷惑だったんですよ。そんなことを思い返しているうちに。いつの間にやら試合開始の時間になっていた。

どうやら私はかなり強い相手と戦うことになったようである。なぜなら目の前にいる女性が私と殆ど同じ強さを持っているということだからだ。しかし相手の女性はなぜか不機嫌な様子である。一体なぜだろうか、私と彼女が何かしただろうかと考え込んでいると。相手が先に口を開いた。

「あなた、さっきから、人の話を無視しているでしょう、全く、なんて失礼な人なのかしら、私の名前すら聞いてこないし、これは徹底的に潰さなくちゃいけないのかも。そうよ、きっとそういう運命なんだわ。それじゃあいくわよ。覚悟しなさい。あなたの命をもらうわ。絶対に逃がしたりなんかしないんだから。私の全てをかけて必ず殺す。」

私はその女性の発言に戸惑いを覚えてしまう、確かに私の方は彼女に声をかけていたのだが無視してしまったと言われても仕方がないとは思える。だがその程度で命を狙ってくるなどありえないと思ったのだ。しかし彼女は本気で殺しに来ているのがわかる。だから私も真剣に対応することにする。しかし彼女は、私がスキルを使用した瞬間。何故か目を見開き驚き固まってしまった。どうしたのだろう、そんなことを思っていたがその理由はわからなかった。その後、彼女は再び剣を振るい始めてから私に攻撃を仕掛けてきた。それを防いで行く度に段々と彼女の力が上がっていっている気がしたのだが。その攻撃を防ぐことはできたのである。それから何度も繰り返し攻撃をされていたのだが結局その日、彼女に勝つことはできなかったのであった。そして彼女はなぜか急にやる気が無くなったらしくそのまま帰って行った。私もその様子を見て疲れていたので、今日のところはそのまま家に帰ることにした。そして次の日になると私はいつも通りに起きてから。今日こそはこの大会で優勝しようと決意を固めて。そしていつものように闘技場へと向かう。今日は対戦相手がもう決まっていたようで、私はその人と対面することになる。その対戦カードはなんと昨日の彼女と戦わなければならないものだったのである。まさか昨日戦ったばかりの人と当たるなんて思わなかったが。これも実力の内だと思い、私は、諦めることにしました。そして私はその試合に挑むのでしたが、その人は、開始早々、私に対していきなりスキルを使用してきました。どうやらその魔法は状態異常を引き起こすタイプのものであったようで、私は完全にその魔法を食らってしまい。まともに戦うこともできずに負けてしまいました。しかし、私はどうしてもその人が許せなかった。だって、その人の狙いがどう考えても最初から勝ちを譲ることではなく、その逆であったことが分かったからである。

そんなに必死に頑張っている人を私は見捨てられない。だからそんな人を相手に手を抜くことができないしそんなのはフェアではないのだ、だから全力を出して戦おうとしたのだ。しかしその人は、私が力を解放しようとする瞬間。またしても、その行動を妨害してくる。しかも私にだけ効く妨害系のスキルを使いながらだ。そのせいで、私は自分の力を発揮することが出来ずにその相手に敗北を喫してしまう。私はこの対戦相手が気になった。

そこで私は対戦相手のことを調べてみました。そこでわかったことはこの人こそが勇者であるという事です。そして私は自分の中に流れている記憶が刺激されているのを感じたのですが、今はそれどころではありません。

私は彼女の事を気に入りました。彼女は私が知っている誰よりも強い人で私より弱い人を知らないのです。そして何より、私と似ていると感じてしまったので私はこの人に興味を持ったのです。だからまずは仲間にならないかと誘いましたが。断られてしまいました。だけどもまだ諦めていませんので、この先どうにかして説得するつもりでいるのですよ。私はこの大会に優勝することで、勇者様と共に魔王討伐に行くことができるようになって。更には世界も救えるようになるらしいんです。その話を聞けば聞くほど、この世界にとって私がしなければならないことがあるように感じた。なので、今回は絶対、勇者様に付いていくために。負けられなくなってしまったのである。なので今回の大会で私は、負けるつもりでいたのだが。負けられない理由が出来た為に私は本気で戦うことにします。

俺は、大会に参加するための手続きをしてから。俺は大会の会場へと向かい、それからすぐに予選が行われることになり。俺はその予選を勝ち抜いて決勝戦に進むことができた。その決勝戦が始まる前に俺の前に一人の少女が現れる。その少女はとても美しく綺麗でどこか神秘的な雰囲気を纏っており。そして、何よりとても俺の好みの容姿をしていたので、一瞬。思考が停止してしまうほどだった。そんな美少女が何故、俺の前に現れたかという疑問もあったので話しかけてみる。するとその美少女が俺のことを知っているようだったので、名前を名乗ると向こうからも名乗り返してくれたので、お互いの名前を知ってしまうことになる。そして何故か。このタイミングで俺に告白してきたようだった。

「私はあなたをずっと探していました。だからこの気持ちを伝えることができるのであれば。今ここで伝えてしまいたいです。ですけど。私はこの大会で優勝することでようやくその資格を得られることになると思います。それに、私のこの気持ちは偽物なので。だから、あなたにその答えを求めようとは思わないのですが。それでもやっぱり伝えたいです。ですから私のわがままを許して欲しいです。あなたはきっと私と一緒にいればこれからも色んな辛い経験をしていくと思います。それに、その道の途中でも私と出会ってしまえば私の我を押し通してきますので覚悟を決めておいて下さいね!」

俺は、彼女が何を言っているのかわからなかった。この大会の決勝戦で勝った時に初めて、彼女に告白するということだとは思うが、一体どうしてそんなことになっているのかは分からないし、彼女が何を伝えようとしているのも分からなかったが。俺はその話を聞いて少し考え込む。そして結論が出たので彼女に提案をすることにした。

「えーっと、ちょっといいかな?」そう言いながらも。俺はこの世界のシステムについて考えることにしたのである。というのも、この大会では、どちらか片方の選手が勝利条件を満たした場合、もしくは戦闘が長引きすぎて時間切れになった場合などは、試合終了になる仕組みになっており。それ以外の場合は審判によって勝敗を決めることになっているらしいのである。だからもし。この試合を無効にして貰うにはどちらかを失格にさせてもらう必要があるのだが、その場合。この試合にはなんの意味も無くなるため、その方法だとお互いに得にはならないのである。

そしてもう一つは、俺の方からの提案としてこの試合にはなんの関係もない第三者に入ってもらうということも考えたが。その場合だと俺だけが罰を受けるだけで何も意味が無いのだ。だからといってこの子だけに試合に出させて俺は見ているだけというのもどうかと思うし、それに、仮にも相手はこの世界で最強と言われている人物である可能性が高いから下手に勝負を挑んで負けでもしたら。今後何か問題が起きないとは限らないしそもそもこんなにも可愛い子を危ない目に遭わせる訳にもいかないのだ。そう考えた結果。

俺はある一つの手段を思いついていたのだ。それを使えば彼女を大会に出場する必要性は無くなり。さらに言うなら俺の目的にも合うので良いと思った。そこで思いついたその方法は、この子が試合に出る必要はないということである。しかしそうするにはこの子に試合をしてもらう必要があったのだ。なぜならそれは単純に試合を中止させることが難しいという理由と俺の個人的な願望のためでもある。それはこの子と戦うことで俺の強さを知ることが出来るのでは無いかと考えたからだ。だからそのために。彼女には俺の特訓を受けてもらおうと思うことにした。それで彼女が強くなりたいと思えるかどうかがわからないが少なくとも強くなる為の努力をするきっかけにはできるはずだろう。

そう思い立った俺は、その方法を試すためにまずはその方法を彼女に伝えようと試みる。そうすることによって。彼女は俺の出した案に乗ってくれるはずだと思っての行動だ。すると彼女はその案を聞くと意外そうな顔をしていたが、最終的には納得してくれたようで。早速その準備に取り掛からなければならないということで、一旦その話を終えることになった。そしてそれから数分後に試合が開始されることになった。ちなみに、この大会ではルール上。対戦相手は複数いてもいいことになっている。だからその試合の中で対戦相手を変更することも可能であるし、途中で辞退することもできるので、もしも相手が負けたら自分が戦わなくても済むなんていうことも起こり得るのだ。

そして試合は順調に進んで行き、ついに決勝を残すのみとなり。そこで相手の女性の名前が判明したのである。彼女の名前はリシアと言うらしく、この世界においてかなりの実力者であるらしいのだ。そんな彼女に対して。俺は、彼女の実力を確かめるために模擬戦を提案してみると。彼女は、快く受け入れてくれて、俺たちはその場で戦うこととなったのである。

そして始まった戦いでは、俺が予想していた以上のものを見せられて驚いたのであった。そしてそれと同時に彼女はとても面白い人物だと感じたのだ。だから俺は、もっとこの子のことが知りたくなったのだ。それからというものの、彼女とは仲良くなっていき俺自身も彼女と打ち解けて行った。それから数ヶ月ほど経った後のことである。突然彼女の様子が変わってしまい。今までに見たこともないような恐ろしい形相になってしまっていた。

彼女は、この国の姫君であり、彼女は俺に惚れているという嘘の情報が国中に広がることになってしまうと彼女の身に危害が加えられるようになる可能性が出てきた為に、この国から逃げることに決めたのである。

「じゃあ、今から私は旅に出るからね! 絶対に会いに来てよ! じゃないと私泣いちゃうんだからね」と泣きながら言われてしまうと断れなかったのだ。だがこの子を守ると約束してしまったので。俺はその約束を果たす義務ができたわけでもあって結局、この子と別れることになることは避けられなかった。しかし俺もただで行かせてもらうのも悪い気がしたので言う通り、いつかはまた戻ってくるつもりなのだ。だからこそ必ず会えると彼女に信じてもらえるようなことをしたかったのだ。だから、まずはこの城から抜け出すことを考える。そこでまず最初に思いついた方法が転移装置を使う方法だった。

この世界における移動方法としては主に二つある。一つ目が馬車を使っての移動で二つ目は徒歩ということになる。まず一つ目の方法で移動することはあまりお勧めしない、なぜなら一番安全な方法であると言えるからである。理由としてはまず、お金がかからないのがメリットの一つであるのだが、最大のデメリットが道中での魔物との戦闘がかなり発生する可能性があるという点だ。なのでこちらの世界においては、商人たちは護衛を雇うことが多くその依頼の報酬で生計を立てているものが多い。

そして次に二つ目の方法である徒歩での移動に関しては。その移動手段で得られる利点というのは基本的にないと言ってもいいほどだ、その理由としてはこの世界に点在していてこの世界でも特に大きな都市と呼ばれる街までの距離はかなり離れているため普通ならばそこで足止めされてしまうことが多いので、どうしても時間がかかるのが当たり前となってしまうのである。

だから俺は、この問題を解決するために転移魔法を使用することに決めた。そうすればすぐにでも目的の街まで行くことができるのだ。それに、この世界の人たちは俺の存在について知っている者はいないはずだから、この世界からいなくなったとしてもそこまで大きな問題にはならないのかもしれないな。

俺は、まず自分の身を守るために、ある程度の強さを手に入れてから旅に出かけたいと考えたのだが。そのためには何をするのが最善の方法なのかということを考え始めた。とりあえずの目標は、魔王の討伐になる。何故ならばこの魔王を倒さなければ、勇者と共に世界を平和に導くことはできないと思っている。しかし現状俺のレベルはまだ2であり、このままレベル上げを続けていけば、いずれは、倒すことが可能だと考えてはいるが、今のステータスのままでも十分勝てることは可能だろうとは考えているが。万が一のことを考えて少しでも戦力を上げておきたいと思っていたのだ。だから、この世界では強いと認識されている、勇者や聖女に、剣の達人である騎士団長などが住んでいる場所へ足を運んでみることにする。しかし、今の状態ではあまりにも心許ないためまず、この国を出られるだけの強さを手に入れる為にこの城の図書室にある本を読み尽くすことに決めるのだった。

俺はこの世界での、生活の仕方についてはすでに理解しているつもりでいたのだが。実際まだ知らないこともたくさんあったため、まずは情報収集をしようと思い、俺がよく知る人物が居るところへ向かう事に決めたのである。その場所とは王都にある王立学校という施設になる。この学校では基本的に貴族しか入ることが出来ないとされている。しかしその分、平民の中では優秀とされる者が入ってくるため、その者の学力を測るテストがあるらしくそれに見事合格することができれば入学を許可されるという話があった。その話を耳に挟んだ俺は早速そこへ向かい。身分を証明するためのアイテムである証明書を貰うことにしたのだ。

それから数日かけて、試験を受けることが出来た俺は。無事にこの学校に入学することができることとなったのでこれからはその学校を卒業してからこの世界で何を目指すのかを考えていくことにした。まず最初は俺自身の力を試す意味も兼ねてこの世界のどこかに存在するダンジョンを探し出すことをしようと考えた。そうしなければ俺は、強くなっていくこともできないと考えたからだ。

そしてそれから数日後。俺が通うことになる学校はここから遠く離れた位置にあるということが分かった。しかしそれでも、その学校にさえ辿り着くことができれば後は、自由に冒険をしていくこともできるだろう。俺はそんな気持ちでその学校の入学試験を受けることとなったのである。そうすることでようやくその学園の生徒として迎え入れてもらうことになったのであった。そして俺はまずは自分がどのような職業に就くべきかということを考える必要があると思い始めていたのだ。

俺はこの学校に入学して早々に図書館を利用することにした。そしてこの学校には、生徒であれば無料で利用できる施設が存在しているので、そこに行って様々な種類の本を読んだ。この学校の図書室はなかなかに規模が大きく、蔵書もそれなりに多かった為か、読み終わるまでには相当な時間がかかってしまったのである。そして俺はそのおかげで自分に合った職を選ぶことが出来るのではないかと考えてみた。その結果。

俺の選んだ職業というのが、魔法剣士だ。そうすることによって俺の攻撃パターンが増えるのと同時に魔法の攻撃手段を増やすことができると思ったのだ。この職に就くためには自分の魔力量を数値化することのできる道具が必要となるのだが。その数値が高い方がその職に就く資格が得られるという決まりがあり、俺の場合はかなりの数値を誇っていたために。魔法剣士という職業を得ることに決まったのである。そうすることで。今後俺はこの武器を最大限に使いこなすことで更なる強さを求めることも可能だと思って行動することにしたのだ。そして俺は、その魔法剣士になるために必要なことを覚えようと、図書委員から色々と聞いてみることにした。そうするべきだと思った理由というのは。俺が調べたことのほとんどに魔法に関する知識が必要となってくるということに気付いたからだ。その事によって俺はより効率よく強くなるために知識を付ける必要性を感じたのである。そして俺はその日から魔法についての学習を開始することにした。

まず始めに俺が行ったことといえば、この世界に存在している属性を確認することだ。この世界には無の空間と光以外のすべての属性が存在していて、それぞれ相性の良い、もしくは弱点となるものがあると俺は考えている。その中でも俺は無の魔法と雷の魔法は相性が高いのではないかと考えた。というのも、無の属性のスキルと雷の魔法を同時に発動した場合威力が格段に上がるのではという考えに至ることになった。

そして次に俺が一番最初に行ったのは魔法の練習だ。俺はまず自分が覚えていた中で使えそうなものを思い出していた。そしてその中で最も役に立つであろう技は、【雷撃】というものだ。この呪文のメリットとしては単純に高火力の魔法を撃ち込む事が出来るというものに加えて消費魔力が少なくてすむという点でもある。この【雷撃】の使い方によっては広範囲の敵をまとめて倒せる可能性も高い。そしてデメリットはMPをバカ食いすることくらいだろうか。まぁデメリットといっても微々たるものではあるので俺は、この技を使うことに決めたのだ。この術の習得方法に関しては俺は簡単に思い出すことができたのである。それは俺がもともと住んでいた村の近くに森があってそこで俺がまだ小さい頃にその森の中に入って遊んでいたら、偶然見つけたのが洞窟だ。その洞窟の奥深くに何かが封印されていて、その扉を開けた途端俺の記憶の中にその魔法の存在が刻み込まれた。その時から何故かこの記憶が残っていたのだ。

そうして俺は、無の魔法と雷の魔法を使えるようになることに成功したのだ。だがこれで終わりではないのだ。この二つを習得したことで俺はある可能性について考えていた。俺の持っているこの能力が他の人に知られることになってしまうと俺の命が危険に晒されることになってしまうのではないかと不安になってしまったからなのだ。そのため俺はなるべく早く別の方法を模索しなければならないと思うようになったのだった。

そうして次に俺が目指したのは魔獣との契約をすることであった。これは普通の人間でも可能だということで少しホッとした。俺がまず行うことを決めたのが。この国の周辺に生息する強力な魔物の居場所を調べて、その近くに出向いて、そこで契約を結ぶというものであった。だがこれには大きな問題があった。俺がその場所にたどり着いた時でも既に他の魔物に襲われている可能性もあったからだ。だが俺はそれを何とかするためにまず、俺の持つスキルの一つである『サーチ』を使いながらその場所へと向かって行くことにしていた。これを使えばたとえ他の魔物と戦っていても位置情報が表示されるはずなのだ。だからまず俺は自分の目で確認できる魔物の位置だけを頼りにして移動する。

するとやはりそこには複数の魔物の姿が存在したのだ。それを見た俺は早速戦うことを決意したのだ。しかし今回は魔物を倒すことが目的ではなくてその魔物と契約を交わしにきただけなのでその方法を探る必要がある。

そう思ったので俺は魔物たちを観察する。そこで俺はその契約を行う魔物がゴブリンだということがわかったのだ。そのことから俺はこの魔物たちとは友好関係を結ぶことが可能であると考えるに至った。そうしてその方法を模索中に俺のステータス画面に新たな変化が起きていることに気付いた。そうして確認してみると、そこにはこのような文章が表示されていたことで俺の表情が変わった。そこにはこう書かれていたのだ。

"称号を獲得いたしました。

【従魔術師見習い:Lv1】

獲得条件 テイム可能状態の動物型生物をテイム成功後使役することに成功する。

必要熟練度 0/100 報酬 【成長率上昇 小】(成長に関する効果の上昇率が10%アップ)"

「おおお、マジかよ! ってそんなこと言ってる場合じゃねええ、とにかくこのゴブちゃん達を仲間にしなくちゃいけねーんだよな? よしっ、早速交渉開始といきますか」

こうして俺はまず一番最初に目に映った、リーダーらしき存在に向かって話しかけてみることにする。

まず俺は、この群れで一番強いであろう個体に声をかけてみる。

そうすることによって相手の思考を乱しながらその状態で契約を結ぼうと考えていたのだ。俺はまず目の前に居るリーダーらしき奴に声を掛けてみた。

そうすることで俺のことを認識させることで俺の実力がどれ程のものかを理解してもらうための行動である。それに俺はこの世界に来た時に得た職業の効果によって、この程度のモンスターであれば倒すことが可能だと考えていたので特に緊張するようなこともなく話を進めて行くことが出来たのだ。そしてそのおかげなのかは分からないが俺は無事契約を結ぶことが出来ていた。

そうして俺と、この魔物達は正式に契約を結んだことにより、互いのステータスを見ることができるようになっていることをこの場で把握できたのだ。だから俺は早速相手の強さを確認しておく。まずは、ゴブリンソルジャー。種族はホブゴブリンとなっている。その次にオークが一体居るようだ。そして次にコボルトという犬のような顔をしている人型の魔物が三体ほどいるようだったが。俺はその中の一体にだけ目を留めていた。そしてそいつはどうやらレアリティの高く、かなり強いということが分かった。この場では判断できないので俺はとりあえずこいつにだけは注意を払いながら話をしようと決めるのである。そしてまずは名前を決めなければいけないと思い、それぞれの個性を表せそうな名を付けることにした。まず最初に選んだ名前はリゼという名前にした。

その理由はこの子がメスであるということに気づいたからだ。それになんとなくではあるがその顔立ちからどこか女性らしさを感じられたからである。それから俺はリゼと契約するための魔法を発動させる準備に取り掛かったのだ。俺はこの魔法に関しての情報はほとんど何も知っていなかった。ただ知っているのはこの魔法を俺が唱えることによって、契約が成立するのだという。そうして、無事に契約を結ぶことの出来た俺たちはまずは拠点を探すところから始めることになった。この世界に召喚されて最初の頃は野宿で生活していたという記憶があるが、この世界に慣れてきたら俺はこの世界の家で生活をしてみたいと思っているのだ。

俺が最初に訪れた場所は小さな小屋である。そしてこの場所に訪れる前にすでにこの国周辺の地図は手に入れていたため迷うことも無かったのでこの場所での生活は順調に行くだろう。この周辺にはあまり強くはない小型の魔獣しかいないらしい。なので俺にとってはちょうど良いレベル上げ場所になるだろうと予想ができたのだ。俺はまだ弱いのでもっと経験を積んでおきたいと思いこの付近でのレベルを上げていくことにしてみたのだった。そしてある程度レベルを上げると次の行動に移ることにした。そうして俺は次にダンジョンへと向かうことにしたのだ。理由はこの近くにあるからだ。

この世界では自分の力に限界を感じた場合、その近くに存在していると言われているダンジョンと呼ばれるところに向かい。そこに存在する階層ごとに設定されている特殊な試練を突破できるとその証として【覚醒】のスキルを貰えるとされているのだ。その証拠がこの国の図書館の地下に眠っているのだ。そのためこの国の国民はみなその資格を得る為に努力を重ねているのである。俺が目指したいと思った理由の一つにこの【覚醒】を手に入れることでさらなる強さを手に入れられる可能性があるからだ。そしてもう一つの理由として挙げられるのが、その【勇者伝説

第二章 聖都 第一幕:聖女編 】に記されているという、聖剣の回収の為でもある。そうする為には最低でも、今の自分よりも上の段階に上がっておく必要があり。そのために今のうちから行動する必要があると俺は考えたのである。だから俺はこのタイミングで行動を起こしたのである。ちなみに俺がなぜここまでの情報を掴んでいるかというと、魔王になった際に得られる恩恵の一つに、あらゆる情報を得ることが可能なものがあるからだ。だから俺はどんな細かいことも調べることができるのだ。

この国は本当に良くできた作りになっていて。街の中心部に行けば様々な商店が立ち並ぶ大通りが存在していて、そこには沢山の人間が溢れ返っているので、まずそこに向かうことにしたのだった。そしてそこで俺が手に入れたお金を使ってまず最初に武器を買いに行くことにした。俺は自分の身を守るための装備を買うべきだと考えたからであり。俺は今まで戦闘なんてしたことが無かった為武器を持っていない。

そう言った理由から俺は自分の身の丈にあった武器を購入した方がいいと考えたので武器を購入しに行く。俺は自分の腕を生かすことができるのならば槍を使うべきなのではないかと考えた。そして俺はその槍が売っていた店に入ると店員が話しかけてくる。

「お客様はどのようなものをご所望ですか?」

「この槍が欲しいんですけどありますかね」

俺はそう言いながら先程購入したばかりの【神槍グングニル】をカウンターの上に置いた。この店で売られていた槍の中で一番高いものを選んだつもりだ。俺の持つこの武器は伝説の【英雄シリーズ】の一つで。神話の時代に使われていたとされる伝説の武具の一つであるのだ。これはこの世界にあるどの書物にも記載されている有名な武器だ。

俺はこれを実際に使うことが出来るので少しだけ気分が高揚してしまう。だが、ここで調子に乗ってしまって痛い目を見るのは嫌だったので。冷静に行動することにする。この店の品揃えから考えるとこの槍の値段が一番安くて35000ゴールドほどだった。そしてこの店にはその槍以外の在庫がないようなので俺はそれを購入してみることにしたのだ。するとすぐに会計が行われていくとあっという間に商品を購入することが出来た。そのおかげかその日はすぐに家に帰ることが出来て休むことができそうであった。

そうして俺は早速買ったばかりの槍を使用してみたくなったので家の裏手に回り込んで訓練を始めることにする。その練習を始めてから一時間が経過しようとしたその時、俺は異変が起きたことに気が付き警戒を行うことにする。すると突如空間が歪むような音が聞こえてきたのだ。

そうするとそこから突然魔物が現れたので、俺はすかさず自分の身を護るために、俺は【覚醒状態】に入るために集中力を高めていき【固有能力 解放(リリース)】を発動させる。

この【解放】は発動した時、俺は身体能力が著しく向上し。更には【技能習得率上昇】と【獲得経験値量増加】の能力まで獲得することが出来る。そのおかげでこの瞬間でもまだ俺の身体能力は通常時の二倍程度はあると思われる。そして俺がその状態で戦おうとしたところでその魔物の姿が見えた。

そうして現れたのは大きな黒い蛇の魔物だったのだ。だが、ただ大きいだけじゃない、俺は直感的にその大きさだけでその魔物の力量を推し測ることができたのだ。おそらくその大蛇はその辺にいる雑魚モンスターなんかよりかは遥かに強力な存在だと分かるのだ。そしてその魔物を見て俺は自分が勝てる相手ではないと判断して、逃げの一手を打つことにした。

まず初めに、俺はその大蛇の姿を視認してから即座に全力ダッシュを行う。そしてその後、後ろを振り返るが俺のことを追ってくるような素振りは見られない。俺はその光景を見て心の底からの安心を得た後にその場所に座り込み休憩する。

そうしていると徐々に【覚醒】の状態が解除されていき通常モードへと切り替わってしまう。そうすることで俺が身に付けていた【神槍グングニル】が光の粒となり霧散していき消えてしまったのだ。そしてその代わりに新たに購入した武器を装備する。

そうしてしばらく経つと俺は疲れを回復することができていたので、その武器を持って今度は試すための訓練を開始する。俺はさっきのこともあり慎重に攻撃を行おうとするが、どう考えてもこの敵に対してそれは愚策だということに気づき諦めた。俺はどうしようもないこの敵を放置することを選びその場から離れようとするがどうしても気になってしまい後を追い続けることにする。

俺はまだあの化け物と戦って勝つ方法を模索したいと考えていた。

そうすることで少しでもあいつを倒せる確率が上がればいいと思っていたのだ。そして俺がそんなことを考えていると、その魔物の動きが変化した。俺の視界内に魔物の体が移動して来たのだ。俺が驚いているうちに、その魔物は俺に攻撃を仕掛けてきたのだ。そして俺は、この一撃を受け止めたのだがその威力が凄まじくそのまま俺は後方へ吹っ飛ばされていった。俺は何とか受け身を取ろうとするが完全に体勢が崩れており上手く体を動かすことができなかったのだ。その結果地面がどんどん近づいていく。そして地面にぶつかる寸前でその体は止まったのだ。俺の体を支えてくれた人が居たのだ。そうして俺がその人物に視線を向けると、その少女は俺の方を見ると微笑んでくれて一言声を掛けて来た。

俺は目の前に現れたその美しい姿を持つ女性に目を向けながら驚きの声をあげていた。

そして目の前の彼女はその綺麗な金色の瞳と長い銀髪を携え、とても美しい姿をしていた。俺はその姿を見たとき一瞬にしてその容姿に魅了されてしまっていたのだ。そしてその彼女が声をかけて来ると、俺は無意識のうちに口を開いていた。

「お前は、どうしてこんな場所にいるんだ?」

俺が彼女に問いかけるとなぜかその答えを待っていたかのような顔をしてきた。俺はその行動に困惑したが俺は彼女の質問をスルーしてこちらからも質問をすることにした。俺はまずはこの女性の名前を知ることから始めることにしたのだ。

そうして俺が彼女から名前を聞き出そうとしたときだった。そのタイミングを見計らっていたのか、突然背後から何かが飛んできたのが分かった。そしてその何かが俺に迫ってきたことを理解できた。俺は咄嵯にその攻撃を弾き飛ばす。そして俺は飛んできた方向に目を向けると、そこには大きな白い翼を持った人型の生物が宙に浮かんでいた。そして俺とその生き物の目が合った。そしてその生き物は、こう言ったのだ。

俺はその生き物から発せられた言葉を最初は聞き取ることが出来なかった。俺は、この世界の言語を理解することが出来ないので当たり前といえば、当たりまえなのだが。そして、もう一度、俺は言葉を発するようにとお願いをしてみる。だがそれでもその生命体は再び同じようなことを言う。そこで俺はようやくその生物の言ってることに気が付き始めたのである。

(この生き物、俺の言葉を全く理解していない!?どういうことだ?まさか、こいつは喋るのが苦手なのか?)

その可能性が十分に考えられるので。俺はもう少し詳しく会話を試みようとした。だが次の言葉で、俺が今考えていることは違うかもしれないと感じたのだ。なぜなら、俺の耳が正常なら「お前を喰らう」と言われたからだ。俺はそれを聞いてもあまり驚かなかった。むしろそうなることを期待していたところもあったからだ。そうしないと、あの化物を俺一人では倒すのが難しいと思ったからだ。だからその言葉は予想外というわけではなかった。俺はそうやって考え事をしていて油断してしまっているところを狙って、突然、その怪物は動き出してきた。俺は、それを瞬時に見切り回避行動をすると、俺がいたところにその拳が打ち込まれ、地面に巨大なクレーターを作る。

俺は、その一連の行動から、今の状況は非常にまずいということを理解し始めていた。そうしていると再びその怪物の攻撃は開始された。俺は先ほどよりも、早く動くことによってなんとか回避に成功する。だがその後も続くその猛攻を俺は避け続けながらも思考を続けることにした。そして一つだけ思い付いたことがあり実行に移すことにした。

俺がその作戦を実行する前に俺はその怪物に一度話し掛けてみることにした。なぜだか、その生物と話せばわかる気がしたからだ。そしてその俺の予想は的中して、この謎の生物と話すことが出来た。そこで俺は相手のことを確認することが出来たのだ。そうして確認したところで俺の頭の中にある一つの疑問が生まれた。それはなぜこいつらは俺たち人間の言葉を話すことができるのだろうか。それに、今まで出会ったことのある他の魔物とは圧倒的に異なる雰囲気を持っており。普通の奴らとは比べものにならないくらい強いことが一目見ただけで分かってしまうほどの実力を持っていたのだ。俺は、そんな存在に疑問を感じずにはいられなかった。しかしここでそのことを聞いてしまっては不自然な点があるので俺はそれについて聞くことは出来ない。俺はそうやって葛藤を続けていると相手が痺れを切らせたような感じになり攻撃を開始してくる。

俺もその攻撃を回避するとすぐさま戦闘を開始した。俺は、自分の体を無理やり強化しながら、攻撃を行っていき、相手に隙が出来るのをひたすら待つ。そしてついにその時が訪れた。俺はその好機を逃さずにそのチャンスを逃すまいと攻めていくが、その怪物は攻撃を回避していき、その俺のスピードに対応してくる。俺は、相手は相当な強敵であることを悟り一旦距離を取ると、今度はこちらが攻勢を仕掛けることにした。俺は先程のように自分の体を強化した後に全力で突撃していく。そうして俺はその攻撃を怪物に向けて放った。

その瞬間に俺はある事に気が付き焦った。俺は勢い余って【覚醒状態】に入りかけてしまい。その力を抑えきることに失敗してしまっていて全力以上の力で相手を攻撃してしまった。そしてその攻撃により相手は大きく吹き飛ぶ。その様子に俺は慌ててしまい。追撃を行うが、それは俺の予想通りの結果になってしまった。

俺はその光景を見て愕然とした。そしてその怪物はその一撃によってバラバラにされてしまったのだ。そしてそれを行ったのが俺自身であるということも理解していた。そう俺はこの力を扱いきれないでいる。これは危険すぎる能力であると思い俺は急いで【固有空間】を発動させてその中に【収納】し。それからすぐにこの場所を離れようと移動するが、その途中で後ろを振り向いてしまう。

そうして俺がその光景を目にした途端。俺はすぐに後悔することになる。それはさっきの俺の攻撃を受けて、この化け物は死に至らなかったのだ。それは俺にとっては予想外の展開だったが、その状況に対して俺は素早く対応しようとしするのだが、それよりも先にその怪生物は攻撃を仕掛けてきた。その攻撃に対し、俺はとっさに腕を出して防御の構えをとる。

その攻撃を防ぐことに成功したが、衝撃までは殺しきれずに俺の身体に痛みが走る。俺はそんな激痛に耐えつつ必死になって相手の様子を見ていた。俺の視線は敵から一切外さなかった。俺は敵に対してどう対処するか考える。だがいくら考えてみても良い案が浮かばない。そこで俺は一か八かその賭けに出ることに決めたのだ。そして俺は覚悟を決めて相手に立ち向かうことにする。

俺がそう決断した後俺は全力で敵の方に突っ込んでいく。それに対して相手は、何かを悟ったのか、俺の行動に反応して即座に反撃してくるが、俺はあえてその攻撃を受けることによってダメージを抑えることにしてみたのだ。そうして俺の意識は暗転するのであった。

**僕は今現在、魔王と戦闘を行っている最中である。

僕は勇者である彼女と行動を共にしており、彼女と協力してどうにかその強大な存在と渡り合っていた。しかし戦況はかなり不利な状態である。というのも僕たち二人ではどう考えても勝ち目がないと分かっているからだ。それは、どう考えてもこの場にいる全員の総戦力をもってしても絶対に勝てないと直感的に分かるほどの実力を持っているからだ。その敵は魔王と呼ばれる存在であるからだ。

だが、そんな圧倒的な強さを誇るその敵に対して彼女はたった一人で立ち向かっているのだ。彼女はこの世界を救う為に自らを犠牲にしようとしている。それは彼女自身の意思ではなく強制的にやらされてしまっているようだが、それでも彼女は自分から進んでそのようなことをしていることには変わりはないのであろう。

だが彼女はその現状に対して何も出来ない自分を嘆いていたのだ。彼女は自分が何もできないことに対して怒りを感じているようでありそれが行動に出てしまっているのだと思ったのだ。

(確かに彼女の気持ちはよく理解できる、もし僕が彼女の立場なら、同じような心境になっていたと思う。だって彼女の心はとても強いから)

そして彼女のその行動を見たときに僕の中でなにかしなければいけないと使命感のような物を感じていたのだ。

「おい!何ぼーっとしてんだよ!あんたのせいであいつを怒らせちまったみたいじゃねえか!」

「すみません、ですが私は貴方たちに迷惑をかける訳にもいかないのです」

「ああもううぜえな、いいか俺はあいつのことは許せねえけどよ、だからと言ってあいつのことをどうにかできるとは思っちゃいねえん、でもこのままだと、俺はあいつに負けたままなんだよ、それは我慢できねぇんだ、お前があの化物に勝って俺を助けてくれるんじゃなかったんだったのか?」

「そうですよ、私はあなたのことは必ず救い出します、でも、私の力であなたを助けることが出来るかどうかは分からないんです。だから今はまだ私の事は信用しない方が良いと思いますよ」

「別に俺様は助けてくれなんて言っていねえぞ、ただお前があんな化物をぶっ倒してくれりゃそれでいいだけだ、俺はあいつを倒すために協力してやるつっただけなんだからな。それともあれなのか?俺なんかと一緒に戦っていると、いざって時に死ぬかも知れなくて怖いっていうのかぁ、あ?」

「ふふ、面白い人ですね。分かりました一緒に行きましょうかあの化物を倒しに」

「ふん、ようやく腹をくくりやがったか。まあ俺に任せておけば大丈夫だ、それに今度こそ俺はあのクソムカつく奴を見返せる機会を得たわけだしな。これで負けたまま終わったりしたら俺は一生後悔し続けて生きていくことになるだろう。そんぐらい俺にとって大事なもんなんだわこれ」

彼は、僕の手を握ってそう言った。そしてその後直ぐに真剣な表情をして、目の前に立ち塞がる存在に向かっていくのである。彼の言葉を聞いていると不思議と自分もこの人と共に戦わなければならない気がしてきたのだ。そうして僕らは二人で共闘をすることになり、二人並んで敵の方へと進んでいくのである。

俺は、その怪物の攻撃を避けながら相手のことを観察し続けていた。この敵の強さはこの世界のトップクラスの人たちと比べても引けを取らない程の実力を有していると思われるほど強力なものであった。だが俺はその怪物をどうやって倒すべきかを考える必要があると感じたのだ。

(今の自分の力ではおそらく倒すことは可能かもしれないが倒すまでに時間がかかる可能性があると思ったからだ)

(俺はこの状況を打破するためにどうしても【覚醒状態】の力が必要だった。だがそれを使うということは同時に自分の体が耐えられない可能性が高いという事も分かったため使うことができない。だからなんとか他の手段を考えないといけないと思ったのだ)

(まず最初に思いついた作戦としては、【固有結界】を展開してその中で倒すというものだった。しかしこの方法ではその効果範囲外からの攻撃をされると、俺自身も攻撃を受けることになるためリスクが高かったのである。それに【覚醒状態】を使えるのは一度だけなのだ。なのでこの案は却下となった)

(次に考えたのは、今の状況から俺が単独で相手と戦って勝利することができる方法を模索しようとしたのだが、それもまた厳しいものになると思っていたのでこの案も却下である)

そんなふうに考えている間に敵の攻撃はどんどんと強くなっていき、避けるのが難しくなっていくので、仕方なく俺は、【固有領域】を展開していく。だがこの方法はあまりにも燃費が悪い為この戦法を取ることはできないと判断することになった。なぜなら、この技を使用する場合魔力を消費し続けるので長時間戦い続けることが難しいと考えたからだ。そうして様々な作戦が浮かんでは消えていく中で一つの案を俺は思いついた。それは俺のスキルに関係しているものだ。それは俺が持つ固有技能の一つである【完全鑑定】の効果を使えば何か分かるのではないかと考えたのだ。

その可能性を検証してみるとどうやらその能力は本物であるようで俺の目からは対象の相手のステータスが表示されたのである。

俺はその事実を確認することができたことで確信を得ることが出来たのだ。それは俺の推測が間違っていない事を意味しており、それと同時にその情報を利用すれば勝つことができるということも理解したのである。俺はそれから早速その策を実行に移し始めることにした。俺はその怪物の攻撃をかわしながらも思考し続ける、そしてついに考えついた方法を決行することにしたのだ。そしてその方法が成功する確率はかなり低かった。というのもその成功の条件として、俺がその化け物の攻撃を受けないようにする必要があったからである。

俺がこれから行うその行動は非常に難易度が高いものであり失敗してしまうとかなり危険な状態になることは間違いがないのだがそれでも実行することしか俺に生き残る道はないだろうと思い。その賭けに出ることを決めたのだ。

その化け物が放つ一撃はかなり重く、普通の人間ならば当たれば即死は確実だろうと思えるほどの威力があった。そのため、俺が攻撃を回避するとその余波が地面を吹き飛ばしていたのだ。だが、その攻撃に対して回避をすることが出来なければ確実に命を落としていたことだろう。だが俺はそんな攻撃を受け続けながらも自分の作戦を実行するべく動いていたのだ。そうして俺は遂にその攻撃をやり遂げることに成功した。俺が今行っているのは【完全偽装】で作り出した俺そっくりの人形を相手に押し付けているという状況になっているのである。そうすることで相手は完全に騙されており完全に隙が生まれてしまっていた。そうして俺は一気に攻勢をかけて相手を倒すことに決める。俺がその怪物の体を殴りつけて地面に吹き飛ばすと、そのまま俺は【全属性魔法】を使用していったのだ。その瞬間に、俺の攻撃は全て爆発していきその衝撃は周囲にも広がっていったのであった。

僕はこの光景を見て驚きを隠すことが出来なかった。この光景は僕たちが苦戦していた敵を一瞬にして葬ってしまったからだ。その敵は僕たちのことを嘲笑うかのような顔をしておりそれが無性に僕たちをイラつかせた。だが僕たちはそんな相手に何もできずにいるのだ。僕がそんな事を思っていたときだった。急に相手が苦しみ始めたのである。

そしてその直後僕たちの身体に強烈な痛みが走り出したのだ。

その痛みは尋常なものではなくあまりの激痛に耐え切れずに僕が倒れこんでしまうほどであった。

その痛みは時間が経過するほど増していく一方でとても耐え切れそうになかった。僕たちの中には意識を保っている者はほとんどいなかっただろう。僕が辛うじて正気を保っていただけで、ほとんど全員意識を失っておりいつ意識を失なってしまってもおかしくはなかっただろうと思った。僕はどうにかしてその状況を打破できないかと考え続けているうちに、僕には何か打開できる可能性があることに気づいたのだ。

僕は自分の中に眠るある力の存在を確かめた後にその力を解放させることを決意する。その瞬間僕の中に凄まじい勢いの何かが流れ込むような感覚に陥ったのだ。僕は自分の中の能力を完全に掌握する為にひたすらに集中し続けた。そうしなければすぐにでも意識が飛んでしまいそうだったのだ。そしてその力を完全に支配することに成功した後だった、僕の中にあった全ての情報が頭の中で整理されていき、自分の状況を理解することができた。そして今起きていることがどういう事なのか、その理由についても把握することができたのだ。

(なるほどそういうことか、この世界にはまだ俺のことを知らない者たちがいるみたいだな、それじゃあ少し驚かせてあげますかね。それにあのクソみたいな存在をこのまま放置しておく訳にもいかないしね)

そして僕は大きく深呼吸をした直後【限界突破】を使用したのである。

僕が発動させたのは【覚醒状態】であり、これによって、一時的に【全能覚醒】と同等の能力を使うことができるようになっていた。これはあくまでも一時的なもので長くても五分ぐらいの時間しかもたないのだが。それでも、この状態を継続して使用する事ができるようになる。

僕の体はみるみると変化して行き体つきが変わり始める。

そうして僕の見た目が大きく変化した頃合いを見計らってから【固有空間】を展開したのである。この空間の中では僕の力は大幅に増幅し僕の実力でも制御できなくなるほどだった。だから今は僕の力が暴走しないように抑えつける必要があるのだ。

(ううっやばいなこれ本当にヤバいな。この世界に存在するどの生物より圧倒的に強くなっている。だけどまだだこんなもんじゃ終わらせてたまるかよ。あの化物をこの力でぶっ倒してやらないとな)

「さあて、お前のその面をボコボコにしてやんよ。覚悟はいいかな?」

その声は、その場にいた全員に届くように大きな音で放たれており、その場から聞こえて来たものだった。そこには黒髪ロングで黒衣を着た美女がおりその女性からはただならぬ雰囲気が醸し出されていた。その女性が纏っている服はこの世界では存在しないはずのデザインをしており明らかに異様な格好をしていたのだ。そして、彼女が纏っているオーラが異常なまでのものである事は誰の目から見ても明らかだった。そしてその姿を確認した者は彼女の姿を見て驚くのである。彼女はまるで化物のように感じられていたからだ。そしてその化物と相対していた化物もその女性の姿を見て驚いた表情を浮かべて警戒態勢に入っていたのである。

(ああ?こいつは何のつもりだ?何が起きたのかは分かんねえけど俺の予想では今目の前にいたこいつは確かに俺の攻撃をくらったはずだろ。それでなんでこの場に立っているんだよ、俺はちゃんと手ごたえを感じたし間違いなく死んだと思って油断したんだが)

「貴様一体何の真似をしようとしているのかしらねえが今なら見逃してやるぜ」

そんな言葉を聞いて僕は呆れてしまいそうになると同時に笑みをこぼしてしまいそうになったので何とか必死で堪える。だが流石にここまでの侮辱を受けたらもう遠慮する必要もないと感じたので、その言葉を口にしてやることにしたのだ。

「それはこちらのセリフですよ。貴方の方こそ俺の配下にならないのであれば殺さない程度に潰させて貰いますがどうしますか?」

そう言ってやった瞬間に相手はこちらに向けて全力の一撃を放ってきた。しかし、それは先程と比べてあまりにも弱くなっており簡単に避けられてしまった。そして相手はすぐに攻撃を仕掛けてきた。その一撃が当たったとしても大したことは無いと思ったのだろう。しかしその拳が僕に触れることはなかった。そして相手の攻撃を避けた後すぐに反撃をして相手を気絶させようと思ったのだ。その攻撃をまともに受けた相手はその一撃を受けて吹き飛びそして気を失ったのだ。

(ん〜思った以上に弱いんですね。もう少し骨のある奴だとは思っていたのですが。仕方ありません、この状態で戦うしかないでしょう。というわけでまずはあの気持ち悪い化け物を片付けないといけませんね)

それから、俺は、【完全鑑定】を発動するとそのステータスを確認してみたのだ。

すると、やはりこのステータスはかなり低いものとなっており特に体力値と筋力値に関しては普通の人間の子供レベルの数値しか持ち合わせていないのが分かったのである。俺は、この事実を知ることができてホッとしたのだ。

これでもし【完全鑑定】の能力を使っても何も表示されなかった場合俺はこの世界を甘く見過ぎていたということになるだろう。それはあまりにも危険で馬鹿げた行為だっただろうと思う。何故ならば【鑑定妨害無効】というものを俺はまだ獲得していないのだ。【解析】を使えばどんなステータスも見ることができるはずなのだが。【完全隠蔽】などの技能によってそのステータスを隠すこともできる。そのため俺はそのスキルのレベルを上げることに注視していたためそこまでスキルに気が回っていなかったのだ。

(ふぅーとりあえず危機は乗り越えることができたようだな。だが問題はここからなんだよな、この世界には俺のことを知っている者が他にもいる可能性が高いからね。だからその対処方法も考える必要がありそうだ。でも今はそれを気にしている余裕はない。今はこの化物を始末しないとダメなんだ)

それから俺がその化け物にとどめをさすと、そいつは完全に絶命したようで俺に襲いかかって来る気配はなくなってしまった。そして俺が完全にその化け物の討伐に成功するとその光景を目撃している他の魔物たちも恐れおののいている様子であった。それからしばらくして俺が一通りその化け物の死体を確認するために歩き回った後俺はその死体に近づきそして、それを回収しようと手を触れようとした時だった。

急にその物体に光が灯り、そこから一人の少女が現れその女の子を見て俺は思わず唖然としてしまうことになる。その少女はとても美しかったがそれだけではなかったのだ。その子が身に着けているのは真っ白な着物だったのである。

「はあぁあ!?ここはどこじゃあ?どうして妾はこのようなところにいるのじゃあ!しかもこの体は一体どういう事じゃ?まさかまた勇者召喚が行われたのでわあるまいのじゃ。それにしては妾の記憶の中にそのような出来事はなかったのじゃし、うむむ謎なことが多いのう。そういえば、この体の主は何処に居るのだろうか?」

僕はその突然の出来事に対して思考が全く追いつかずに混乱してしまっていたのだ。それも当然のことである。なぜならその子は、俺が今までに見たことがない程の美しい顔をしていたのだ。そのためその美少女の放つオーラは凄まじいものがあり俺の心臓の鼓動は早鐘を打っておりかなり動揺してしまっていたのだ。そして、そんなことを思っている間にその美少女と目線が合うのであった。

(あああ!!!やばいやばいこれは非常にマズイ状況になったかもしれない。とにかく落ち着くことが優先か。)

「はは、は、はじめまして。私は、この度貴方様に呼ばれたこの国の王様をやらせているものです。それで早速なんですけど私にこの国の説明とかをお願いしてもいいですか?あとその前に一つだけ確認させてください。この世界にはまだ貴方のことを知らない方がいると思いますが。私のことは知っているでしょうか?一応名前ぐらいなら知ってらっしゃるとは思いますが」そう言うと彼女は顎に手を当てて少し考え込んでいる仕草を見せていたのだ。

(あれ、もしかして本当にこの子はこの世界で俺の事を知らないのか。まあその方がいいんだけど、ちょっと拍子抜けっていうのはあるかな)

「ううっ分からぬ。だがお前の事はなんとなく知っているような気はするぞ。それにしても不思議なことなのじゃ。こんなにも強い存在を知らなかっただなんて、それなのになぜあの者らはあの男の存在に気づいていない。普通ならあの男が何かをやらかした可能性を考えるであろう。それとも何かしらの制約があると言う事なのかのう?)

「それはですね。それはきっと貴方の魂が少しばかり特殊だったからですよ。ですから貴方の存在はその肉体に馴染んでいるため感知することができなかったんだと思われますよ」僕がそう伝えるとお腹を押さえた状態で苦しそうな表情を見せながらこちらを見る。

それから数秒後だった。彼女が再び動き出した。そして今度は僕の事をしっかりと見るように意識してくれていた。すると彼女の中で何か変化があったのかわたわたと慌てているようだった。そして彼女の顔はなぜか赤面していてとても照れているようにも見えていたのである。そして彼女は僕の方に近づいてくる。その足取りは重くゆっくりではあるものの確実に僕に向かって歩いてきてくれていたのだ。

そして僕の前まで来ると思いっきり僕の胸元に飛び込んで来たのである。その勢いでそのまま後ろの壁にぶつかったがそんな事は些細なことだ。

それからしばらくすると、やっと落ち着いてきたのか冷静になってくれたらしく僕の胸の中から出て行ってくれることになった。だけど僕はもう少しその状態のままでいたくて引き止める。

だけどそのせいで、彼女の機嫌を悪くしてしまったようで怒られてしまうことになる。

「貴様は誰だ?」そう言われてしまったがそれでもめげずに説得しようとしたのだけれどその態度を見た相手はさらに怒り出してしまって結局追い出されてしまうことになった。僕はこの機会を絶対に無駄にしないようにと、これから起こる全てのことについて対策をすることにした。そのために必要な準備をするべくまずは情報収集を開始するのだった。

まず最初にすることは俺が持っている力の確認だな。

まず【全能覚醒】の効果を確認してみるとどうやらステータスの数値が全て二倍になるというものだったらしいのだけれど。それはあくまでステータスだけの話だった。つまり、それ以外のステータスに関してはそこまで強化されていなかったのだ。なのでステータス以外の数値の強化ができるように色々と調べる必要があるな。そこで次に試したのはスキルの発動についてだ。まず【超加速】を発動し時間を止めてみることにした。そしてその状態でスキルを発動してみたのである。しかし何の問題もなく使えたので俺はスキルの同時使用が出来ることが分かった。そして【超速再生】を発動しながら【鑑定】の技能を使用し鑑定を行ってみる。するとなんとスキルの詳細が表示された。それによると鑑定した物の能力をコピーできると書かれていたのだ。それで、【鑑定妨害無効】を取得できたのだ。しかしまだこれだけでは不十分であると考えた俺はさらに検証を行った。その結果この二つの技能を一緒に使い自分の能力を強化することが可能だということに気が付けたのである。

それから他にも様々な方法で俺が今どれくらい強くなっているのかを探っていたのだが、俺はその事実を知ってしまったことで驚きを隠せなくなっていた。それは【鑑定】の技能を使用した時に出てきた詳細の内容が、

名前:不明

年齢:500000歳以上

種族:魔族

職業:魔王

HP 210000/210000 MP 150000000 /160000000 レベル:345906555

攻撃力:1586009999

防御力:25884062585

素早さ:223843052989

魔力量:4599805658443576349568423733152843212666

魔法適正値 :SSS 固有スキル 【完全隠蔽】

ユニークスキル 【転移LV100EX】【言語解読ex】【解析ex】

エクストラスキル 【神眼】

スキル 【完全鑑定】

【完全隠蔽】【隠蔽看破Ex(改)】【改竄改X(NEW)】【並列演算Ex(NEW)】

称号 《創造主》《限界突破》《無慈悲なる王》《超越者》【殲滅者(NEW)】

《世界の管理者(NEW)》 そしてその情報から分かったことがあった。この体の持ち主である少女のステータスとレベルが異常すぎるということが、俺が最初に考えていたレベルの上限である300万を超えておりそして、おそらくこの子はまだ成長を続けているのだと思う。俺の場合はもうレベルが上がることはないみたいだがそれは【鑑定妨害無効】を手に入れたことで分かったことである。しかし、目の前にいる女の子は【鑑定妨害無効】を手に入れる前から俺がレベル上げをしていた【経験値倍増】を手に入れてからずっとレベルを上げることだけをひたすら続けていたのだと考えられるのだ。そうでもなければこのステータス値はあまりにもおかしいからだ。

ちなみに俺は【完全鑑定II】のレベルを上げるとスキルの詳細も表示されるようになったのだ。

そうして確認した結果俺が一番最初に考えたことは、もしかしたら勇者を簡単に殺せるんじゃないかというものだ。

その理由はこの体の所持者である女の子の強さがあまりにも異次元な領域に達していたからなのだ。正直に言って勇者に勝つビジョンは全くといっていいほど浮かんできていない。それほどまでに圧倒的だったのだ。だからこそ、俺には一つだけ思いつくことができていた。俺の持つスキルの中で唯一この子に対抗できる可能性があるとすれば。俺が持つ唯一のチート能力でありそしてこの世界には存在しないはずでもある。そしてこの世界で最強の力と言えるかもしれないものだったのである。その能力はこの世界を俺に分かりやすく説明するとしたならば「無限の収納」の能力だったのである。

その効果は、なんとなんでも入れることができる空間を作ることができるというものでこの効果のおかげで今まで旅をして得たものを全てそこにしまい込んでいるのである。

そしてその容量が無制限だったのである。しかもそれだけじゃなく「時空間操作系最強」というぶっ壊れ性能のスキルをも取得することができたのであった。だから俺はそれをうまく利用すれば勝てるのではないかと考えていたのであった。その方法が思いついた後はその方法をどのように実行していくかを考えていた。

まず、この体の主であるこの子がどうやって俺が倒した勇者たちを殺したのかを知らなければいけないだろう。

「おい、お前俺の質問に答えろ、お前は勇者たちにどうやって負けたんだ?」

俺がその言葉を投げかけるとその女が俺のことをまるで信じられないものを見ているかのような目を向けてくる。それから数秒後にその子はようやく口を開けてこう言った。

「勇者たちを殺してなんかおらぬわ!あやつらを倒した奴は別の世界の住人であろう?それにしてもまさか本当にこの世界の勇者が弱いだなんて妾の誤算であったのう」と呟くとそのまま地面に座り込んでしまうのだった。それからその子は立ち上がり何かしらの準備を始め始めた。その準備というのがどうやら俺のことを召喚するためだったようでその作業をすぐに終えたその女の子は何かを唱え始める。そして詠唱を終えると今度は魔法陣のようなものが現れそして光を放ちながら魔法陣の上がどんどん広がっていった。

その光景を眺めているとその子の体は宙に浮き上がりゆっくりとどこかに向かって飛んでいってしまう。その光景を見て慌てて追いかけようとしたところ魔法陣が完全に展開されたため追い付くことができなかったのである。

(ちくしょうこのままだとこの子に逃げられちまう。なんとかしなければ!! そうだ!俺のスキルを使えばこの子を拘束して話を聞き出せるかも)そう思った俺は急いで行動に移るのである。俺はすぐに【時間停止】を使い【鑑定妨害無効】と併用することでこの女の子を捕獲することに成功したのだ。

しかし俺がこのあとどうしようかと考えている間に、いつの間にかに時間が動き出していたようで俺に捕まっていることに驚いているような顔をしていたが、それよりも俺から逃げようとする意思のほうが強かったようで俺の手を強引に外そうとしたため、腕が折れて骨が飛び出していたのだ。しかしそんなことは関係ないとばかりにその子は俺の手から逃げ出して行ってしまった。

それから少し経ってその子が俺の所に戻ってくるなり、

「いきなり襲ってくるなんてどういうつもりなのかのう?普通はそんなことはしぬであろう?普通」と言ってきたのだ。それに対しては俺も少しは悪いと思っているが、それでもこちらの質問を無視して逃げようなどという行動をとられたためにやらないわけにはいかなかったと説明した。するとなぜか納得したかのようにうんと一度首を縦に振り

「そうかそういうことだったのね、理解できたよ、ところでどうして私があなたに対してあそこまで過剰に反応したのかわかるかい?」と言いながら今度は先程とは一転して真剣そうな顔つきになったのである。それから数十秒間の沈黙の後で、俺はある考えに至った。それは自分が今考えている内容でほぼ間違いがないのだろうと。なぜなら、彼女は俺の思考を読んだのではなくてただ俺の目を見ただけで心の声を聞いていたのではないかと。しかし、なぜ俺の考えてることだけが分かったのかという疑問が浮かぶのだがそんなことを考えても何も始まらないので、今度彼女に聞いてみることにすることにした。

そうして、俺達はしばらくの間お互いに会話を続けていた。すると彼女が急に思い出したくない記憶を思い出すのと同時に恐怖を感じたらしく突然泣き始めてしまったのである。俺がどうしたものかとうろうろしていると彼女は涙を拭きとると笑顔を見せてくれたのだけれどそこには無理矢理笑っている様子が感じ取れたため俺は彼女のことを支えられるようになりたいと思ったのだ。それから俺がこれからやるべきことを決めることにした。

その目的は、この少女が抱え込んでしまっている闇を取り除くことである。それが出来た時にはきっと本当の意味での彼女を見る事が出来ると思うので。

まずやる事といえば彼女の心のケアをすることだ。しかしそれに関しては俺の【鑑定妨害無効】があればある程度何とかなるだろう。しかし俺は【解析】の技能を持っていない。なのでそれについては自分で覚えるしかないのだ。

【鑑定妨害無効】を解析するための方法を考えたのだが全く思いつかないのである。なので【解析】の技能について詳しく知ることから始めることにした。

【鑑定】

名前、年齢、種族、職業が表示される。

名前というのは、おそらく俺の名前が表示されていて年齢はそのままの意味で種族が人族の種族として表示されている。そして職業についてなのだが俺の職業である魔王について書かれているのが確認できていた。つまり職業の部分に注目するべきなのである。職業とは何なのか。それはおそらく俺のような特殊な能力を持った人間のことを指す言葉だと思うが果たして本当にそうなのだろうか。そこで気になることがあった。この世界に存在する能力の中で【全能覚醒】を除いて全てのスキルは俺の世界にある能力を参考に作られたと言われているが、俺はその情報を信じていなかった。なぜなら、【鑑定妨害無効】が俺の世界に存在しないはずのスキルでありそのことがその仮説を裏づけていることにも繋がってくるからであるのだ。

俺は、その事実を知った時からスキルの詳細を表示させるようにしていたのであるがその詳細画面にはこんなものが書いてあった。

スキル 【解析】

鑑定の上位互換。ステータス値の開示が可能。ただし、相手の了承を得て初めて表示されるようになる。

俺の思っていたものとほとんど変わらなかったが、やはり俺の考えが正しかったのだと確認することができたのである。【神眼】

レベル:1099999

HP 100000/100000000 MP 150000000 /160000000 攻撃力:12600666644459900016404152

防御力:24888086444444444635554564444444445

素早さ:644444464444444445656444444

魔力量:1444344444444445963434744375 魔法適正値 EX ユニークスキル 〈限界突破〉 スキル 《無詠唱》《高速演算》《並列演算》《超演算》《魔力吸収無効》《魔力放出無効》《状態異常無効》《即死無効》《物理無効》《斬撃耐性》《衝撃無効》《精神攻撃無効》《薬物生成》《元素変換》《錬金強化》《成長促進》《アイテムボックス》 エクストラスキル 【全属性耐性】

称号 魔を極めし者 この世界のスキルが、俺の知っているものの基準でいうとありえないほどのチート性能になっていることがわかる。

「なぁ君、俺と一緒にこないか?俺は勇者を殺す。お前の目的が勇者たちの殺害だとしても協力してくれればお前の望みも叶うはずだ」

俺の言葉を聞いて女の子は、

「いいのか?お前の言う通りに動けば妾にデメリットはないのだろうがお前のほうにはあるのではないか?それにお前は勇者を恨んでいるだろう?そんな奴らと手を組むメリットなんてどこにあるのだ?妾には何もないのだよ。だから妾はお前が嫌いなのだ」と言った。それからさらに女の子は話を続けていく

「そもそもじゃが何故お前はあの時の事を思い出して悲しまぬのだ?」と言う。それに対して俺は答えを返して行く。

(だってもう既に死んでいる人たちのことをいつまでも考えていたって意味が無いからだ。それより今はもっと大事なことをしなければいけない。だからこそそのことは置いておく必要があるんだ。それよりも俺は君の悲しみを癒すことに集中していたほうが効率もいいしね。

そして、今この世界に来て一番したいことはこの子が安心して暮らせる場所を作ることなんだよね。俺には目的があるからそれを早く達成しないとまずいし。だから、この子に協力を求めるためにまずはこの子がどんな気持ちを抱えているのかを理解するのが必要なんだ。その感情を知ることができなければその人に寄り添うことなんてできないからね)

「大丈夫だよ。君は勇者に復讐さえすればそれでいいんだろ?それが終わったらこの城を出て行くことになるんだから、それまでの間だけ我慢してもらえば後は俺がどうにかするつもりだし。それと勇者たちは俺の手で全員殺す。それだけは絶対に変わらない。これは確定事項だ」そう答えると女の子の表情が少し明るくなったような気がした。

その後で俺は女の子に、自分がどうして勇者たちを憎むことになったのかというのを話し始めたのだった。

「私は、勇者に大切なものを奪われたのよ、それも全て奪われたの」それから私は話を続けるのであった。勇者たちに全てを奪わられたというところから話をし始める。私がこの世界に転移させられてからすぐに勇者たちに会っていたのだということをその時のことを思い出したせいなのか、つい先程よりも強く話してしまいまた泣いてしまったのだ。それからしばらくして泣き止んでからは私のことについて説明を始めた。私の名前はアイラ、年齢はまだ11歳。そして私が生まれ育った場所は帝国という所にあってそこはとても裕福な生活をしていて欲しいと思った物は大抵が買うことができるぐらいには裕福だったので、不自由なく暮らすことが出来ていたのだ。

そしてある日の晩に事件は起きたの。その夜の夕食を食べ終わった後に、私は自分の部屋に行こうとしていたところ、急に背後から抱きつかれたのだ。そしてその直後その男は私の耳元で何か囁いたのである。その内容は、「僕だけの人形になってくれるなら、お姉ちゃんがして欲しいことなんでもしてあげるよ?」といったような言葉だったのだ。正直に言えば何を言っているのかわからなかったし、急に変なことを言い出すから怖くなってしまい泣き出してしまったのだ。そんな状況の中男の方を見てみるととても楽しそうで、それが更に恐怖を増幅させていたのだ。そうすると、男は突然舌打ちをしてからこう言ったのである。「ちっ!めんどくせぇー。せっかく俺がここまでしてやったのによぉー。このガキのせいにして殺しちゃおうかなぁ?」それから、今度ははっきりと聞こえてしまった。「あ〜、やっぱり面倒臭すぎるわ。このままここで殺しておくことにしよう」

と。そんな恐ろしい発言を聞いた後でも体は硬直したままで動いてはくれなかったのだが、意識が薄れていきそうになった時に男の叫び声が聞こえてきた。しかしそこで私は、目の前が真っ暗になり気を失ってしまったのである。次に目が覚めた時にはどこか分からない場所で鎖に繋がれていた。

そして男がやってきた。それから私が気絶している間に何をしていたのか教えてくれてそれから私がなぜここに連れてこられて奴隷として働かされていたのかというのを教えてくれた。そして、私は、その日から毎日犯される日々が続いたのである。そんな生活が続くにつれて、だんだんとその行為を快感だと思い始め、今では、快楽を得ることが目的となっていたのである。

そして、この行為もとうとう終わりを迎える。それは今日この日のことなのだ。その日の夜、私はいつものようにこの屋敷にいる他の人達の相手をしてあげていて、ようやく今日の相手が終わり自室に戻ってきたのだ。その途端、急に誰かに話しかけられるのである。

それは「よう。お前さん、俺があんたの主人でさっきまでの相手だ。まぁ、とりあえず座れや」と言ってきてそれからずっと、会話が続いていたのである。そうしてその人としばらく話し続けていたのだけれど結局その人がどういう人物なのかがわからないままで終わってしまい、そのまま寝る時間になってしまったのである。そうして私は目を閉じて、朝を待っていたのだ。だが、何故か、次の日に起きることが出来なかったのである。不思議に思ったのだがそれでも特に何も起きず、普通に過ごしていたのである。そして気がついた時には、もう手遅れになっていたのである。

そして私は絶望した。なぜならそこには昨日まであった日常はなく、あるのは無残にも殺されてしまっている仲間たちの無惨な死体だけだったのである。そこで私の心は完全に壊れてしまい、私はもう人間ではない化け物のような存在へと変化を遂げてしまう。そして私は勇者を殺したくて殺したくて仕方がなくなり、ついに行動を起こしてしまうのである。

「俺は、あいつらが大嫌いなんだ。俺の仲間はみんな俺のせいで死んだんだ。だけどその事を俺は覚えていない。なのに勇者たちが憎い、憎いんだよ。なんとしてでも勇者だけは殺す。たとえこの身を犠牲にしても俺は、勇者を殺すと決めている。俺はそのためならなんだってする覚悟なんだ」

俺は、俺にこんなにも深い傷跡を残したあいつらをどうしても許せないのだ。その気持ちは、俺の体を支配しても消えることはなくむしろより強くなって行ったのだ。

だから俺は、あいつらを殺してやるんだ。その事を強く決心していたのであった。俺は復讐することを決めたのである。勇者どもを必ず殺して復讐を果たす。

その決意をした俺はまず最初にこの子を助けなければならない。まずは彼女の身の回りを整えさせることにする。この部屋には最低限の生活必需品はあるみたいなので俺はそれを使ってこの子の着替えを用意することにした。まず服を用意させるために【アイテムボックス】に入っている魔物の素材の中から適当に選んだものを彼女に渡す。そうして、それを着るように促した。彼女はそれに戸惑いつつもなんとか服を着てくれるようだ。これで一通り準備は完了である。

俺は【アイテムボックス】に入っていた大量の食料を取り出すとそれを持って食堂へと向かう。

そうするとそこではちょうど朝食を済ませた勇者達が話をしているところだった。俺は勇者たちに近づきつつ、【状態共有】を使用する。

名前 佐藤 勇也

(異世界転移前 斉藤 雄太)

種族

人族(覚醒種:全人種混合種)

職業 勇者(固有)

性別 男 レベル 999999 HP 999999999 MP 999999999 攻撃力 999999999 防御力 999999999 素早さ 10000000 魔力 100000000 魔法適正値 MAX+10万(成長上限無し、進化不可 スキル ユニークスキル《絶対切断》 エクストラスキル《魔力操作》《限界突破》《超高速演算》《完全再生》《成長促進》《超鑑定》《アイテムボックス》《聖剣術》《神聖武術》《神聖魔術》 ノーマルスキル 称号 勇者(世界最強の称号、世界補正 神速の神童 限界を突破した者、限界を超えし者、限界を超えて尚その先にあるものを見続けた者、世界最速の男、神の使い手、魔王殺し、世界救済の英雄、魔を極めたし者 魔を超越せし者、全ての能力を使いこなししもの、この世界の真理を覗いたもの この世の全てを知ろうとしもの この世の理から外れた存在、神すら殺せる者 創造主の力を受け継ぐ 勇者召喚された者)

勇者 レベル1

(この世界の一般的な兵士程度)

女神様の加護(成長速度上昇 経験値増加)

言語変換 ステータス 名前 真堂 光輝 年齢 16歳 性別 男 レベル 10256 職業 勇者年齢=彼女いない歴の非リア 身長162cm 体重55kg 種族人 趣味読書 性格慎重 髪色黒 目色黄緑 肌の色黄色 家族構成父、母、妹、ペットのハムスターのハツ 容姿端麗成績優秀、運動は並で友達も少しいる 好きな言葉は石橋を叩いて渡らないで叩き割って歩く 嫌な言葉が"常識がない"、"空気が読めない"、"自分勝手"」

"自分のこと以外考えたくない"、"自分の思い通りにならないことが気に食わない、イラっとくる、他人の幸せが自分の幸せになるほどに人の不幸を喜んでしまう性癖持ち、他人のことを考える前に自分のことを優先させろ思考、自己中野郎、俺様が世界を救うとか思ってる痛い子、自分が正しいと本気で考えている奴、自分はなんでもできると思っているアホ" 特技 1対1での戦闘 2相手の行動を先読みしての行動 3ゲーム、アニメの必殺技 好きなお菓子駄菓子 甘いものがあまり得意じゃない 趣味 ネットサーフィン SNS オンラインゲームスマホゲーム アニメ観賞 ラノベ ライトノベル マンガ、映画 映画鑑賞 音楽鑑賞 ドライブなど、基本的にインドアでオタクっぽい趣味を持つ 好きな食べ物は唐揚げ ハンバーグ 寿司 ピザ おでん 鍋 ラーメン カップ麺全般 炭酸飲料 コーヒー、カフェオレ エナジードリンクなどの飲み過ぎに注意 嫌いなものは野菜 キノコ 辛いもの 酸っぱいも苦手で基本食べられない 弱点は、雷系統や闇属性に弱く光系統の攻撃に弱い。

自分の命に関わる状況になると、恐怖で体が震え始める 怖い物が嫌いでホラー映画を見ただけで夜中に一人でトイレに行けなくなってしまう。ホラー系を克服するため、よく一人で映画館に行き、一人ぼっちで、恐怖心を必死に抑えながら見続けようとしても、やっぱり怖くなってしまい、途中でやめてしまうため、まだ完全に克服できてはいなく、ホラーが苦手である。

この世界での好物 焼きそば お好み焼きみそ汁、味噌炒め、チャーハン 納豆 卵かけご飯 etc 好きなおかずは魚系の刺身、マグロのたたきのタタキ、アジの開き 好きじゃない食べ物はレバー類と苦いものと青臭い物、ネギ、生の魚介類と酢が苦手である。ちなみにトマトとキュウリもちょっと苦手です 家族構成は父親と母親と双子の兄、双子の弟と弟と弟の妹の五人兄弟である(ただし両親はもう他界しているため今はいない)

現在持っている所持金 43050G(43000円程ある)

異世界での身分証名 市民カード ギルドメンバー登録書(Bランク以上)

勇者の指輪(隠蔽済み、この世界に勇者は真堂しか存在しない)

お金 鉄貨 100G(日本円で100円相当、価値はこちらの世界と変わらないが貨幣が銅貨と銀貨の2種類ありそれぞれ1000、10000の位があります。そして銅、銀、金の3種類の金属がある。)

石板(大体500Gぐらいの硬貨)

木版

一文無し 称号:勇者、女神の加護 異世界からの転移者 転生者 全能を目指そうとする者、勇者として覚醒した男 努力を忘れぬもの この世の理から外れるもの、魔を極めし者、全ての能力を使いこなししもの、この世の理から外れしもの、この世の全てを知るもの 創造主の力を受け継ぐ、全ての力を受け継ぎし存在、全ての力を操りし王、魔王を殺せる存在 名前 真堂 光輝 性別 男 年齢 16歳 身長 177cm 体重

63.5kg 血液型 O型 誕生日 7月15日(獅子座)

趣味 FGO(FateGrand Order)

ゲーム(主にMMORPGをやる)

漫画を読む 映画鑑賞 本を読んで感想を言う(ラノベ限定)

etc 特技 家事掃除

洗濯料理裁縫などの家事は完璧で女子顔負けの腕を持ちプロ級の腕前を持つ。勉強もトップクラスで頭が良く学校の成績ではいつも上位に居る 好きなもの、得意なこと:正義感が強い 面倒ごとが大っ嫌い 正義の為に戦うこと(特に理由はないが、ただ単純に誰かを助けるために人知れず戦っていたらいつの間にか、そう言う事になってしまっただけなのだが本人は知らないが結構有名になっているが本人は全く気がついていない、そのため友達は少ない)。正義は絶対に貫き通す主義。

好きなタイプ:優しい女性、気遣いができる子 好きではない、苦手なタイプの人は嘘つきの人と自分の意見を曲げずに無理やり自分の主張をしてくる人が大の苦手でどちらかと言うとその二種の人達が苦手。でも根が善人でお節介焼きなので困っている人が居たら放っておくことができない為トラブルメーカーでもある

好きなお酒:カクテルが好きだが、未成年のため飲酒禁止 好きな食べ物はハンバーグ ステーキ(食べたいときは牛でも豚でも鳥でもない謎肉を食べる)

嫌いなもの、苦手なもの ゴキブリなど生理的に受け付けられない生物(見た瞬間悲鳴を上げ逃げ出すレベルに超絶にダメ)。

幽霊(霊媒師的な人から除霊を頼まれることがあったが断った事があるほどに嫌い)

虫系(蜂とかムカデとか蜘蛛とかゲジとかゴキなど無理)

嫌いではないが得意ではないことは料理と絵を描くことである 特技 1対1での戦い スポーツ万能で特にサッカーが得意で中学の頃全国大会で優勝し、高校1年にして全国優勝を成し遂げたほど、運動神経はかなり良い 2人の心理状態を把握した上での行動 3人の感情を感じ取ることができる 趣味はカラオケ、ゲームなど 読書(ファンタジー)とアニメを見ることが好きで休日はほとんどアニメを見たりしている。

苦手なもの:お化け、虫

得意分野:対人格闘、戦略、戦術、武術、魔術etc. 家族構成父親(死亡)、母(病死、5年前に亡くなった 妹、双子の弟がいたが現在は消息不明となっている。行方不明になったのは一年ほど前のことである 双子の姉がいるが、姉のことはあまり話さないがかなりの美人だった。名前は佐藤 真奈 妹が行方不明になってすぐに自分も行方不明になってしまい現在何処にいるのかも分からない状態である。妹の名前は真奈美、真奈美も行方がわからない、もしかしたら死んでしまっている可能性も否定出来ないが今は生きていればいいなと思って探している最中、弟の名前は不明、名前をつけてもらっていないらしい この世界での家族関係 母(病気で死亡)→父の家で暮らす 父(事故で死亡)→母の親戚に引き取られるが引き取り手が見つかり別の家に行く→そこで暮らし始め数年がたった頃に勇者召喚される 主人公

「勇者よ世界を救い給え!」と女神によって召喚され、この世界に呼び出された高校生で16歳の男の子、見た目はかなりの美形でモテそうなイケメン男子である。そのせいなのか周りからかなりチヤホヤされているのだが、本人は周りの視線など気にしていないのでどうとも思っていない 召喚されてから約1年間の間ひたすら勇者としての訓練や戦いに明け暮れていた為に勇者の中でも群を抜いて強くなっている上に、戦闘経験も多いので初陣にしては中々に活躍している方である。また、この1年間で様々な敵を倒してきたがそれでもまだ倒せない相手がいたりする この世界に来た時は既に勇者としての才能がありチート級のスキルを持っていたのだが、この世界の神が主人公の才能を全て封印してしまったため、今では本来の実力を出すことが出来ず、勇者の能力値も大幅に下がってしまってしまっている。

女神の加護(成長速度上昇 経験値増加)のおかげで他の人の何倍もの努力をしているが、それでもステータスの上昇率は低いままである。

この世界に来るまでの記憶を失っている 異世界からの転移者 地球と呼ばれる星で暮らしていたが突如目の前に現れた女神様の加護によりこの世界に召喚されてしまった可哀想で悲しい存在。

名前はまだない、というか無いです。名前をつけたいなら自分で決めてください。ちなみに名前を付けるとしたら、光輝とかコウとかその辺になるんじゃないでしょうか?まだ名前の案とか募集してます 性格 基本的には温厚で他人には基本優しく接することが出来る。

だが、それは表面上だけであり心の奥底にある怒りや憎しみは消えてはいない。しかし普段はそんなものを感じるような事はないしむしろ表に出さないように頑張っている。その為、怒ると怖く冷酷になり、人を容赦なく殺してしまうこともある。

正義の味方に憧れていて悪いことをしている悪人や弱い者を助けたいという信念が心に宿っているが、現実問題それが叶うかどうかは微妙なところである この世に存在する全ての魔法を使うことができて魔力量も多く魔法攻撃力が高い 基本的にどの魔法を使っても良いのだが一番得意とする属性は光系統の聖系と回復系の闇系統である。

この世界での目的や目標は自分がいた地球に帰り家族の元に帰りたい、平和を取り戻して欲しいといった願望が心の中にある、そしてそれを成すための手段として元の世界に帰ろうとしている。

自分の事を偽善者と思っているが実際には自分の意思で助けられる相手を助けることに抵抗は無い。そのため自分勝手な性格ではなく他人の事を優先するタイプの性格である(しかしこれは異世界に転移してから変化したもので元々はもっと自己中心的な性格であり、他人の事を第一優先にする考えは持ってはいなかった)

家族構成両親、兄一人、双子、弟の五人兄弟の長男(父親は10歳の時に死亡している)

容姿は少し幼さが残った顔立ちをしており身長は172cm 髪の色は金髪であるが、地毛は茶髪なので脱色したのではなく染めたもの。

髪型は短めのウルフカット(襟足が長く伸びているのが特徴的)で髪の毛は全体的に癖のある天然パーマである。

普段の服装は制服では無く、動きやすい服を好む(主に半袖、ハーフズボンに黒色のTシャツ、長靴、スニーカーを履いていることが多い)

この世界での目的 異世界に飛ばされてきた目的は元の世界に戻り平穏無事に暮らすことです。異世界に呼ばれた本当の理由とかも正直に言えば興味ありませんしどうだっていいのです。僕が異世界に来て勇者をやっていますが勇者だからって特に強い力を持っているわけでもないので勇者として特別扱いとかされるのは嫌いです。

それに僕は別にこの世界の人間を助けたくてこの世界にやって来た訳ではありません。元の世界にいても僕のことを必要としてくれる人がいなかったし必要としてきてくれない人と一緒に過ごしても意味がないと思っただけです。そもそも自分の居場所が無かったんですね、家族からも愛されず友人もほとんど居なくて学校ではぼっちだし、家では空気のような存在で何も求められていなかったので本当につまらなかったのですよ、まぁそんなこんながあって元の世界でも嫌われ者でしたけど。とにかくそんな僕でも誰かを幸せにする事が出来るかもしれないって思うんですよ。誰かを笑顔にしてあげる事ができたらそれで満足できるんじゃないかって思いましてね。それに誰かのために何かが出来るっていうことがとても幸せなことだと思いますし。でもそうするとやっぱりまずは自分の為になることをしておかないとですね。誰かに頼まれてやるよりも自分がやりたいって思ってやる方がやりがいあると思うんですよ。でもそうすると勇者なんてものは必要が無いかもしれませんがそこはしょうがないということで諦めてください。あー、話がずれましたけど要は元の世界に戻る為に魔王を倒すと決意をしたんですよ。でも魔王を倒しても戻れるとは言ってませんでしたから魔王を倒してからもう一度女神様と話し合わないといけないですかね、とりあえず魔王を何とかしないとダメみたいですね、そのための力はありますから後は戦うだけです。でも今のままじゃ無理なの分かってるのでちょっと訓練頑張らないと。

好きなこと、得意なこと 自分の事が好きになれず自分を好きになってくれる人が居なかったので今まで好きと言えるものが無かったが、異世界に来た事でようやく自分自身の事が好きになれるようになり好きになったものを全力で愛するタイプ 好きな食べ物は焼き肉全般、ハンバーグ、オムライスなど、子供舌の持ち主である 嫌いなもの、苦手なもの 嫌いな生き物 蜘蛛、ゴキブリなどの生理的に受け付けられない虫 苦手なもの お化け この世界での出来事、旅をしたことで大切な人や仲間が出来たことで少しずつだけど自分に自信を持つことが出来るようになった。しかし自分の過去のトラウマで人を信じることができなくなっている部分があり、他人を簡単に信用できない(これはこの世界にくる前でも似たような状態だったが今はそれよりも酷くなっている)

一人称:俺

(本当は「僕」と言いたいが何故か恥ずかしくなり言えない)。

好きではない言葉:悪口など悪意の言葉(本人の前で言うのは平気だが第三者がいる場所で言われるのは大のNG)

「お前さっきなんで笑ったんだ?」「あんまり調子に乗んない方がいいよ?」「君ってそういうキャラだったの!?マジうけんだけど」「これ終わった後飯行こうぜ!!」などなどetc. 好きな食べ物(好きじゃない物)

ハンバーグとオムレツとエビフライとチキンカツとポテトサラダとビーフシチューなど子供が好みそうな物が大好きである 嫌なことがあった時によく食べに行く料理屋がある ラーメン屋 餃子 定食屋の牛丼などなど(大体いつもここで食べに行く。牛丼、カレー、中華、親子丼、カツ丼、トンテキ、豚汁、麻婆豆腐、チャーハンetc.)料理が得意でよく家族にも振る舞うことが多く家族からは結構好かれている。

料理が上手な理由として料理が趣味である、そして小さい頃から母親の家事の手伝いをよくしていたため料理が得意なのだが、実は料理が得意だと自称しているだけでそこまで美味しいというわけではない、普通に食べられる程度のものである(本人はその事実に気づいておらず、自分は料理が上手く作れているという妄想を抱いており、それを誰にも打ち明けずに心の内に秘めている。本人は料理は上手いと自覚しているがそれはただの思い込みによるもので、実際の味はそこまで良くない、それでも美味しく作れるので勘違いしたままずっと生きている、周りには隠しており、もし知られてしまった時はもうこの世の終わりだと考えている)。

この世界に来る前にあった出来事、体験したこと 小学校4年生の時に母親と父親から虐待を受けていてその時は死にたいと願っていた時期があった。中学3年生の時は友達がほとんどいなくて周りにはいじめられている同級生しかいなかった。高校1年生になっても周りと関わることはしなかったし、話しかけてくるクラスメイトや同級生などは全て無視していた。そんな生活を送っているうちに自分から人に話かけようという考えが無くなっていき、話す人も誰もいなくなった、そんな生活を過ごしていたある日に交通事故にあってしまう、その際車に跳ねられて全身を強く打ってしまい命に別状は無かったものの後遺症が残ることになる。事故に合った後も学校に登校していたが周りの人達に迷惑を掛けないようになるべく関わらないように接して生きてきたのだがそれが原因で余計と周りの生徒達から煙たがられ孤立してしまう結果になってしまう。その後高校生2年の時の冬休み前に自殺しようと思い屋上に向かったが結局飛び降りることが出来ず、生きる目的が分からなくなってそのまま自宅に帰宅。しかしその日の夜に両親が喧嘩してしまい両親は離婚して父親はどこかへ消えてしまい母親が妹を連れて出ていく事になってしまったため一人暮らしになる(ちなみに妹は連れていかれてしまう前に母が引き取った)。その後母親は再婚相手と再婚、新しい父親と妹の四人で楽しく暮らすようになる。この家庭はそれなりに仲が良くて楽しかった思い出もあるがそれでも寂しさは消えることは無かった 異世界に来る前の職業 高校を卒業と同時にフリーターになる(バイト歴なし)。それからニートとなりコンビニやレストランで働いたり働いたりした金で色々な娯楽品を購入したりする毎日を送っていた。(パズ〇ラにはまって課金しまくったりしているのでお金が足りなくなり、生活費を切り詰めて貯金したおかげでギリギリ生きていられた)

趣味はゲームと映画鑑賞 好きな食べ物はチーズインハンバーグ、ハンバーガー、オムライス、ホットドッグなどなど(子供の好みそうなものがとにかく好き)。嫌いな食べ物はピーマンとアスパラガスとほうれん草 嫌いなこと 誰かを殴ること 怖いと思うもの ホラー系の映画 弱点 お化けや虫が苦手 特技 勉強と料理 趣味 絵を描くこと 座右の銘 人生は一回きり、悔いの残らない生き方をしましょう 容姿(自分的には気に入らない)

顔が幼くて中性的、髪の色が茶なので染めていると誤解されてしまう(金髪が地毛なのに染めていると言われるのは心外)。身長が低いことがかなり悩み。

服装 基本的には半袖、ハーフズボン、長靴、長ズボン、靴下 性格 基本的に優しく、人のことを第一優先で考えることが出来る(これは転移したことによって性格が変わり始めていったもので元の性格も根は優しすぎた。そのため自分が苦しんでいても我慢することが多く、その度に他人を優先させ自分の事をないがしろにすることが多かった)

ステータスを見た時に浮かんできたスキルの中に『聖属性』『闇属性』が出てきていることが気になっている。特にこの2つは謎が多いので詳しく知っておきたい。

この世界での出来事、旅をしたことにより少しだけではあるが自分を信じることが出来るようになってきた。この世界での出来事のおかげで前向きに生きようと思えるようになった。しかしそれと同時に自分が今までやってきたことは果たして正しかったのかと疑ってしまうようになり、これから先何が起こるかわからないがこの世界を平和にする事によって少しでも自分に自信を持ちたいと考えている。

一人称:俺

(普段はあまり喋らないが緊張したりすると言葉に詰まったりすることがある。素直になれないので恥ずかしくなってどもる。恥ずかしくなると急に大声を出して恥ずかしさを誤魔化そうとする癖がある。そのため普段の話し方とは違いどもっているように聞こえてしまうことがある。たまに感情的になって怒り口調になるがそれも慣れると可愛いと思われている。本人は自覚が無いが天然ジゴロでもある)

好きじゃない言葉:暴力

好きじゃないこと:争い事

苦手なもの:自分の見た目に関するもの(イケメンなどではないのにも関わらず外見を褒められることがあるため嬉しい反面すごく複雑な気分)

嫌いなもの:自分の悪口など他人に言われても傷つかないようなものであれば何でも言える この世界での出来事、経験 勇者召喚によりこの世界に飛ばされた少年 魔王を倒すべく異世界で戦いの旅をすることになった 好きなものは読書、料理、お菓子作り 嫌な事があった時にはよく食べるものがある 好きなものは特に無い、甘いものと辛いものが好き。

苦手な物、嫌いな物 甘いものはそこまで好きではないが食べれないわけでもない 苦いもの(コーヒー、抹茶)

辛い食べ物(カレー、ハバネロ、デスソースなど)

弱点 暗いところが怖かったりする(幽霊などの存在が原因である)

特技は運動全般(サッカー、野球、バスケットなどのスポーツが得意)

趣味 ゲーム(特にRPG系が好きで中でも育成系は大得意)

好きな漫画やアニメ(恋愛物などを好む。特にラブコメ)

座右の銘 人間なんて弱い生き物で簡単に壊れる。

容姿(自分の姿を客観視できない為、自分以外の人がどういう風に思うのかを考えてみた。それが今の姿。だが、やはり納得できないところがあり、もう少し自分の姿を見てみようと思った)

髪型 黒 目は青、目の下に泣きぼくろがあり(本人はこの位置が良いと思っているが他の人からしたら気持ち悪いと思われるかもしれない)。

服装

基本的には黒のワイシャツに茶色のズボン 一人称:僕

(普段は敬語を使うことが多いが、親しい人とはため口で話すことが多い。また興奮するとついタメ口を使っちゃう)

嫌いなもの:いじめてくる人や差別をする人、お化けなど

(お化けは元の世界から存在が分かっており恐怖を感じていたが、こちらに来てからはそういったものが一切無くなった。その為この世界では恐れるものは何もないと本気で思っており、もしも仮に元の世界に帰ることが出来て、元の世界に戻れるとなった時にお化けを恐れることなく普通に過ごすことができるだろう)

苦手な物 虫が大の苦手、特に蜘蛛が一番苦手、蜘蛛の巣を見かけると全力ダッシュでその場から離れる、そしてその光景を見た人達から笑われてしまうという過去を持っている(その時に一緒にいた人達とは未だに仲が良く時々飲みに行くぐらいには仲がいい。だが決して自分の過去について話すことはしない。その理由は過去の事を話してしまうと相手に迷惑をかけてしまうと考えているからである)。ちなみに虫以外にも高所恐怖症という病気を抱えている。これは高いところから落下するという体験をしたことによって生まれた病気。

(ただし今は普通に立って歩いているし普通に生活できているのである。なぜここまでのトラウマを抱えてしまっているかというとその出来事があまりにも酷すぎて今でも忘れることが出来ないのだ。そして、その記憶はずっと消えることはない。何故なら彼の精神はまだ癒えることはなく傷付いたままだからだ)

ステータスが出た時は正直嬉しかった。これでようやく自分というものを知ることができた気がしたからだ。

そして自分のステータスを見てみると聖剣を持っていたことや、魔法を使ったことで驚いたがその中でも1番に驚いた事は聖属性だったことだ。

聖属性は光、聖属性の使い手は少ないがこの世界での希少な属性のようだ。ちなみに俺は勇者らしい。つまりは魔王を倒した後はどうするかということなのだがそれは追々考えていけばいいと思っている。とりあえずまずはこの世界にいる人々を守ることが最優先だと考えているからな。

ちなみにステータスを見て分かったことなのだがレベルという概念がないのは驚きだったがそういう設定のゲームはよくあるのでそこまで気になることではなかった、それにしては強すぎるような気もするがまあ、そういう世界なんだと思うことにしよう。

「あのぉー大丈夫ですか?ちゃんと話聞いてましたか?」

(ん、ああごめんね。ちょっ考え事してたから君の話を全然聞き流してたよ。それでえっとなんだって。)

アリサさんは自分の自己紹介が終わったあとすぐに俺に話しかけてきたのだがさっきまでは自分の事を全く話すことなく一方的に話して来ていたがいきなり自分のことを話し始めたのであった。彼女は自分が作ったご飯をとても美味しいと言ってくれる俺に対して感謝をしているらしく。是非お礼に料理を食べさせてあげたいと思っていたのだという。ちなみに俺が作ったご飯はとても喜んでくれたみたい。それからアリサは今日、この家にやってきた経緯を話すのだった。

なんでも彼女のお父さんはここらへんの土地の所有者みたいな人で結構偉い人のようでこの街にある学校を経営しており、この村に来る前の街で大きな屋敷に住んで暮らしていたそうな。そこで彼女はいつも1人で遊んでいた。そんな彼女にある日お母さんから友達と一緒に遊んでくるといいなさいと言われてしまい断ることが出来ず渋々と従ったそうだ。だけど彼女が思っていたよりも寂しかったみたいで帰り道も分からないくらい遠くへ行ってしまった結果、森の中で迷い困っていたところに魔物に襲われていた彼女を助けてくれた男がこの家の前にいたらしい(もしかしたらその時助けた人は勇者召喚された時の召喚陣が地面に残っていてそこから漏れ出した光が偶然にもその男の人に反応してしまい転移したのではないかと考えたが結局分からなかった)

ちなみにどうして俺がこの場所にいるのかを聞いたのはそのことについて知りたかったんだろう。俺の場合は自分の名前や住んでいた場所が思い出せない状態で、自分がどうやってこの森に入ったのかも分からなかったためにここに来るまでの事を何も知らなかった。ただ自分がこの世界に来た理由については何か知っているのだろうかと期待したのもあってアリサの話を聞いていったのだ、すると意外な答えが返ってきたのだった。俺達は召喚陣によって呼ばれたわけじゃないのか!? それなら一体誰が呼んだっていうんだ、しかもその召喚術は魔王を封印するために勇者を召喚するものだと思ってたけど違うんだよな。でもそう考えたほうがしっくりきたな、そもそも魔王なんて本当にいるかもわかんないのに何言ってるのよって感じだし、召喚される前に神様からチートスキルとか貰えなかったのも当然だよな、うん。

という訳で俺はこの世界に魔王なんかいないと思うんだけどと聞いたのであった。そしたら案の定、アリサに驚かれてしまったので、魔王がいないことを説明しようと思ったが面倒だったので俺達が別の世界から来たとだけ説明すると更にビックリしていた。やっぱりこの世界の人間にとっては信じられないことなんだと再確認させられた瞬間でもあった、もしかしたら他の人間にこのことを言ってしまうんじゃないかと心配していたがそこは信頼しているみたいで良かった。

「じゃ、じゃあ勇者様達を召喚したのは誰なんでしょうか」

俺は自分の予想をアリサに言うべきかどうか迷っていたが別に隠す事でもないかなと開き直り自分の予想を口にした。

俺は自分の考えていたことを全て話し終えてから自分のステータスを確認してみたが相変わらずのバグのような数値で、もう笑うしかないと思った。

名前:神崎龍斗

年齢:18

性別:男

種族:人族

LV 1 職業:魔王

体力:10000

攻撃力:10000

魔力:1000000

防御力:1000

敏捷:5000

知力:10

運:7777(+77)

加護:無し(呪い)

スキル:【全言語理解】

特殊:《鑑定眼》《創造魔法:限定

神創七属性魔導書(オリジン)》 固有:聖剣『レーヴァテイン』

称号

勇者召喚されし者:聖属勇者に与えられる加護の力(身体能力、魔力などが上昇)。勇者は勇者である事を示すための加護でもあるため普通の人間には絶対に与えられることはない(ただし例外あり)

ステータスを見てみた結果、やはり聖属性持ちだったのは驚いたな、それと魔王ってのはやはりあるんだなぁ。聖属性の魔王がいるなら魔王って闇属性なのか?というより魔王のステータスってかなり低いのは何故だ?魔王なのに??まさか魔王といってもステータス的には雑魚だったりするのかもしれないな。俺はステータスをじっくり見たが他に分かることと言えば俺の名前とレベルがないことだけだな、ちなみにステータスがおかしいことは誰にも教えてはいない、なぜならステータスがおかしいと知ったらみんなにバカにされたりして笑い者にされるだろうからな。それに自分の能力を隠しておきたい理由もあるから。それは自分が元から強かったという事がバレてしまうのでそれがあまりよろしくないと思えるから。なので自分の強さは隠していく方向でいこうと考えているのだ。それにステータスを見ればどんな奴が相手だろうと絶対に負けないということが証明できただろう。

「ふぅ、なるほど。つまり勇者様をこの世界に呼び出したのは人間ではないという可能性が出てきましたね。そしてその勇者様に私たちを守って欲しいと思っているんですね!」

ん、あれっちょっと待てよ、今アリサがおかしなこと言わなかったか。勇者は元の世界に帰れる可能性があるんじゃないの?その話はどうなった。いやまあ確かにその方法については俺から聞くのは良くないかもしれないとは思ってたからあえて聞かなかったんだけどな。

「なあ一つ聞きたいんだがその帰られる方法が分かった場合その勇者を元の世界に戻すのが普通だと思うんだが、お前らはどうしたい?」

その質問に対しアリサは少し戸惑った様子だったが直ぐに口を開いた。「その件につきましては国王陛下に相談してから判断しようかと思います。それに私はできれば勇者にはこのまま私達と共に行動して欲しいのですが。それは私が貴方に助けられたからということではなく。もしもこの先私達にもしもの事が起きた時の為に戦力は多い方がいいという単純な理由からです。もちろんそれだけが理由では無いのでそこの所を理解していただけると幸いです。ちなみに私は父からは自由にしていいと言われていますので、私としてはずっとお供させていただきたいと願っております」

はぁ、なるほど、まあそうなっちゃうよね〜だって普通に考えて自分を助けてくれた相手が自分達の味方になるか敵になるかって言ったら前者を選ぶに決まってるし、まあそういうもんなんだろうけど。という事でアリサの事は置いておくとしてまずは自分がどういう存在になったかをもう一度確認することにするか。俺がまず思ったのがステータスを見たときだ、何故俺だけがこんなに強くなっているのかという事である。俺の場合聖剣がチートすぎるんだよな、しかも俺以外の仲間はそこまで強く無いからな。俺が1番強くなる必要がでてくる、それにしても俺って結構チートだな、自分ではあんまり実感が湧かないが俺が最強だと分かっただけでも十分収穫があった。後はこの世界での自分の役割を見つければいい、俺はこの世界で何をすべきなのかまだ分からないが今は目の前のことに集中していく。

俺達が元の世界に戻らないことをアリサに伝えるとそれならこの世界での生活の基盤を作る必要があるのではと、アリサが言っていたのでこの村にいる村人たちに自分の正体を明かすことにしたのだが、アリサは俺が村長から預かった手紙を村の人達に渡した時に俺の正体は伝えてくれていたらしい。それで俺が挨拶に行くと村人たちは皆俺を英雄扱いしてくるのだ。

この村の村長さんは俺のことを信用してくれたのかこの家を自由に使ってくれとのことだった。それから俺がこの家に住むことになった後、アリサが俺にこの世界のことや勇者についてなどを教えてくれた。

アリサによると俺がいた世界とは別物でここは異世界のようだ。この世界の名前はアースガル、そのアースガルを治めている国があり、ここも一応、地球で言えば中世くらいの文明水準なのだとか。ちなみに俺は魔王だがこの村で生活するためには身分証明書のようなものが必要になってくるそうでそれを作らなければいけないそうだ。ちなみに魔王と聞いても周りの村人は俺に対して怯えた様子を見せないことからこの村の住人にとって魔王と言う言葉はそれほど大したことが無いものらしい。

俺が自分のステータス画面を見せるとみんな驚いていたがこの世界にはステータスというものが存在しないらしい。ただこの世界に魔王がいないと知るとその人はどこかほっとしたような表情になっていた気がした。

この村では俺の事を敬った接し方をしてくれるのでなんだかむず痒くて気持ちが悪いのだが、これからはここで暮らすのだから慣れる必要がありそうだ。そして勇者に関してなんだがこの国の勇者召喚は年に一度行われており、俺達は2回目だという事だった。この国は人間族の住む国でありその勇者はこの世界を救った後に、召喚されて来た人間と一緒に元の世界に帰ることになるのだ。俺は自分の使命を全うしたら帰ることができるのではないかと考えたのだ。俺がそんなことを考えながらこの家に住み始めた数日後に俺達は国王に会いに行かねばならなくなったのだった。

〜とある王城の執務室にて〜 俺はいつも通りの日課を終えて、仕事に取り掛かっていると扉を叩く音が聞こえた、その音は部屋の中で鳴り響き、しばらくした後扉が開かれて一人の女騎士が現れた。

「失礼いたします、魔王討伐軍総司令官兼魔王城攻略隊長を務めているリシアナと申します。今日はあなた方に大事な話があってやって参りました」

俺は突然入ってきた女の姿を見て驚いた。その顔立ちはとても美しく凛としており目つきも鋭い。俺よりも年齢は上のように感じられた。身長は高く160センチ程で髪の色は黒色である。スタイルも良く女性特有の膨らみもあり、腰まで届くほどの長い髪をしていてまるで芸術品を思わせるほどだった。しかし彼女が放つ雰囲気は普通の人間のものではなく、まさに強者の威圧を放っており只者ではないということを俺は直感的に理解していた。そして彼女の持つ装備を見るとそれは俺達の持っている聖属性の聖剣に似たようなものであった。おそらく聖属性が付与されていると思われる武器を彼女は持っていて俺は思わず警戒した。

「ほう?お前は何者だ?その実力と気配察知からしてお前もかなりの実力者だろう?それにこの聖剣に似たオーラを纏ったその得物はどこから来たものだ?まさかその剣も魔王に奪われたという聖属武具の一つか?」

俺の問いを聞いたリリアナはこちらに向かって歩き出してきていたので戦闘になるのかと思ったが特に何もすることなく会話を続けた。

「私の質問にも答えてくださいね。魔王殿。貴方はその身に宿している魔力からして相当高位の魔王のはず。それなのに何故そのような弱々しい魔力しか放っていないのですか?」

「さあな、俺が何者かなど関係ないことだろ。それよりもお前こそ聖剣を持っているじゃないか、それもかなり高位なやつをな。それが本当なら勇者より聖属性適正の高い奴ってことだろうな。その聖剣、お前に扱えてるってことは聖剣自体も強いのは確実だな。ところで何の話をしに来た?わざわざその話をするためにここまで来た訳じゃないんだろう」

「その通りです、単刀直入に言わせて頂きましょう。我々の勇者として魔王討伐に参加していただきたいのです。もちろんタダでというわけではないのでそれなりの報酬を用意しております。勇者殿、貴様は一体どれほどの実力があるのだ?私を楽しませられなければ、お前は用済みだぞ?どうする?来るか来ないかはっきりしろ」

「ああ??俺はなあ今すげえイラついてんだよ、その態度、今すぐにでもぶん殴っても構わないよなぁ。お前はなぁ自分がどれだけ傲慢な立場にいると思っているのだぁぁぁ!お前みたいな小娘に上からものを言われてるのが我慢できないんだよ、ぶっ潰してやるよ!」

俺がそう叫ぶと、周りに殺気が立ち込める、それは先ほどまでのリリアスが発していたものとは明らかに異なる。それはまさしく殺意そのものを圧縮したかのようなものであり。それは一瞬で俺に迫り俺に攻撃を与えようとしてきた。だが、今の俺にとってはこんなものはスローモーションにしか見えない。俺は冷静に避けつつカウンターを仕掛けてやった。するとその攻撃をもろに受けた女は数メートル先にある壁に激突してそのまま気絶してしまったのである。俺が勝った瞬間、その場にいた誰もが唖然とした顔をしており俺は自分の能力の高さを改めて実感したのであった。

「あははははっはははははははははは、これは面白い冗談を言うじゃないか。お前ごときが僕を倒せると思っているなんてね、君のような下等種族如きが僕の前に立つとは笑わせるのも程々にしておいたほうがいいんじゃないかい?」

こいつはいきなり出てきて何を言っているんだろうか。まあとりあえず俺には関係ないみたいだし関わらないようにしよ。俺って巻き込まれ体質だけど流石にこういうのに巻き込まれるのはちょっと嫌なんだよな。というわけでこの空間から退散することにしよう。

「ふぅ、なんというかなぁ、俺的には関わりたくないタイプなんだよな。よしこの世界ではなるべく穏便に生きよう」

そう決めた俺だったが、その後俺は何故かこいつに呼び止められてしまうことになる。そうして俺と勇者は戦うことになる。そしてこの出会いをきっかけに俺はこの世界が俺の知っている物語にそっくりということが分かってしまうのであった。俺がこいつを倒すことが出来るかどうかわからない。俺がこの世界に転移してきてまだ数日だが俺のレベルは既に1000を超えているし俺の職業は聖剣使いということもあってか、俺の力は聖剣が無ければ弱いもののはずだが。それでもステータスはチートと言ってもいいくらい高い。この世界の魔物はステータスが低い代わりにスキルを多く保有し、その種類も多種多様である。俺は自分の力を試したいと思ってしまい勇者との戦いを受け入れてしまったのである。俺の相手は剣聖の勇者だそうだ。

聖剣使いの剣聖のジョブを持つものは聖剣士の最上位版のようなものらしい。この世界の剣技は全て剣聖から受け継がれてきたものでありその剣術を極めることにより、上位互換の聖剣を使いこなすことができるようになるとのことであった。俺は勇者と剣を交える中で自分の力を確認することにした。

勇者の剣戟は速く一撃必殺の攻撃が多い為、なかなか近づけないがこの程度の相手であれば負けない自信はあった。勇者は剣を振る時に自分の魔力を込めているため俺にダメージを与えることが可能らしいがそんな攻撃で俺がダメージを受ける筈もない。俺にはあらゆる状態異常が効かないからどんな攻撃を受けても意味は無いのだ。

勇者は俺の斬撃を受け流し、受け流し、受け流しとまるで俺の隙を伺っているように思える。俺はこのままではラチがあかないので、一度勇者から離れる。俺が一旦距離をとったことに違和感を覚えたのか勇者は疑問を浮かべていたが、俺が魔法を発動しようとしたらその事に気づいたのかこちらに向かって走り出し距離を詰めて俺を攻撃しようとする。

(おい、なんだか様子がおかしいぞ。なんだかあいつの顔つきも変わりやがった。さっきまではあんな顔じゃなかった、それに動きもさっきまでとは全然違う、もしかしてこれが勇者の固有スキルか?)

俺は勇者の動きに対応しきれなくなり勇者に腹を思いっきり蹴り飛ばされてしまう。俺は地面に倒れ伏しながらこの勇者の強さに疑問を抱く。俺と戦わせている魔王軍の精鋭部隊である四天団ですら歯が立たないレベルなのに勇者に勝てるビジョンが見えて来ないのである。この場にいる魔人族の中でも俺と同等の強さを持つ存在はいなかった。だが勇者はこの短期間でその域にまで上り詰めたことになる。この勇者の実力に俺はまだ追いつけていないが俺にこの世界で使える手札がまだある。俺はそれを試すべく行動に移したのだった。俺は立ち上がり剣を構えなおす。

俺達はお互いに睨み合い膠着状態に陥ったのであった。俺は自分の中に眠っていた何かを解き放つ。

「なんだか分からねえがてめえの力は理解したぜ、本気で潰してやんよぉ!!」

「お前にそれができるのか、僕もそろそろ本気を出すとするか」

お互いがお互いを牽制し合っている状況が続く。俺は今までの戦闘経験の中で得た情報から、勇者の能力を分析していた。

聖剣使いの聖属性魔法強化 勇者の持つ固有のスキルだ、これのお陰で勇者は普通の魔法使いよりも高い火力で魔法の行使が行えるようだ。

さらに俺の分析の結果だと勇者は、魔力で身体能力を上げているが。そのスピードについて行けず、自分の肉体のポテンシャルを完全に引き出し切れてはいないようだ。そのため聖剣を使って俺を攻撃するときに必ず魔力による加速を使っていることが俺の予想なのだ。俺はそれならば聖剣を持っているとはいえただの聖剣使いに過ぎない勇者に負ける要素はない。

勇者の能力は分かったのだが俺はどうやって奴を倒しに行くべきなのだろう。勇者は俺に近づいて来ずに遠距離から攻撃する作戦に切り替えたようだ。奴は自分の魔力を圧縮し矢の形状に変化させてそれを放った。俺は魔力で出来た矢の弾幕を全て回避したつもりだったのだが。全て避けきれずいくつか食らってしまう。俺は傷を負わされた事で少しだけ苛ついてしまった。そして今度は逆にこちらが攻撃を仕掛けようとした時、俺は足を止める。俺は相手の攻撃パターンを把握し、それに対して対応できるようにしたつもりであったが、俺の行動を読んでいたかのように次からは聖属性を付与した槍状の矢を放ち始めた。そして、それが何度も繰り返されている内に俺は完全に相手に翻弄されてしまっていることに気づいた。

(まずいな、勇者のヤツが俺の対応パターンを読んでいるのか分からないが確実に対応しきれてねーな)

「お前さ、僕の攻撃を避ける事だけに集中せずに攻撃してみればどうだ?そうしないとお前はすぐに殺されてしまうぞ?どうだ僕の攻撃はお前よりも強いと証明されているんだ、お前も本気を出した方がいいんじゃないのか?」

勇者に挑発されてしまい、イライラしてしまったがここで本気を出さないでやられてしまうのは非常に不味い気がするので仕方なく、俺は剣に纏わせた聖属性を解除し、別の武器を顕現させる。俺が新たに作り出した剣の名は「覇王剣」。これは勇者に奪われたという「覇王の剣」の上位互換であり、「覇王剣」は使用者の闘志に反応する事で形態を変化させることができる。この変化をうまく使うことにより勇者の扱う「聖剣」に対抗しうる力を得ることができるのだ。

俺は聖剣を解除することで新たに作りだした「覇王剣」を手に取る。そして、その「覇王剣」で「聖剣」に対抗するべく、その剣技を行使していく。俺の放った一閃を「聖剣」で受けたと思った瞬間にその刃は形を変えて俺を襲う。

「ほう、その「魔装」はお前のオリジナルなのか?面白いではないか、その魔剣も僕によこすといい、僕が有効活用してあげようじゃないか」

「お前の物になるぐらいなら今すぐに破壊させてもらう」

そう言って俺はこの世界に来て手に入れたもう一つの俺の新たな相棒を開放した。

『我、神なる者、我が主の命に従うものなり。其の名の下に、彼の者に聖なる裁きを下せ』その詠唱を終えると同時に俺は剣を構えると、その剣から強烈な光の波動が発生し辺りの空間を支配していった。この光は聖属性の高い魔力を含んだ攻撃であり。俺の意思とは反してこの場にいた勇者以外の生物はその衝撃に呑み込まれて吹き飛んでしまう事になる。そしてこの攻撃を喰らった者は身体に激痛を伴うが決して死ぬことはなく、むしろ聖の力を持つことによって回復していき最終的には完全回復するというものだ。

この技をくらった勇者はというと完全に伸びてしまって動こうとしない、どうしたものかと考えていたら俺はいつの間にか目の前に誰かが立っている事に気づく、そして俺はその存在が勇者だということにすぐに気づいてしまった。勇者は既に意識を失っている筈なのだが、なぜか勇者は立ち上がり再び戦闘を開始しようとしてきた。しかも先ほどとは比べられない程強くなっており俺は勇者に為す術なく圧倒されてしまう。俺は、この世界にきて初めて死を感じ取った。

俺はいつからこの異世界に来たのかという疑問を抱いたがそんなことは些細なことだ。

「お前があの伝説の勇者様ねぇ、そんな大層なもんじゃねえんじゃないの?」

俺はそんな風に思いながら剣を振り下ろすとそこには俺が斬るつもりで振り下ろしたが何故かその斬撃の軌道に誰もおらずに、代わりに剣を持った俺の腕が切断されていたのだ。

(どういうことだよ!!腕が切り落とされちまったぞ!俺の防御力を無視するなんてあり得ねえ、まさかこいつも魔法を使うって言うのか!?それに、この俺が勇者様にここまで圧倒されたっていう事実がありえねえ。俺の攻撃力は数値的に見ても最強クラスなんだぞ?)

「ふふふふっふふふ、あぁははは、アハァハッははは!!!こんなにも楽しい気分になったのは久しぶりだぜ、勇者よ、俺はてめぇを倒してやるよ、俺の全力でな!」

俺は再び剣を構え直し、今度は剣から闇を放出し剣の形状を変化させた。それはまるで俺自身の姿を映しているようにも見えた。剣が黒い魔力で覆われていきその姿を変えるとそこに現れたのは大きな黒き剣であった。

俺はその闇の力を凝縮し、それを俺自身に取り込む、そうすると俺に力が溢れてきたのだ。

俺は、この力を自分のものにするために勇者と戦ったが俺の剣撃を完璧に見切って捌いて来る勇者に対し俺は徐々に押されていった。しかし俺はまだ力を欲しており。勇者を倒す為ならば、自分が勇者と同じことをすればいいのではないかと考えた。勇者は、俺と全く同じように自らの身体に膨大な聖属性を流し込み。身体能力を強化していた。その光景を見て俺は勇者と戦えるのは俺しかいないのではと思えてくるほどの実力を持っていたのだ。だから俺は、俺に足りないモノを補うために俺自身が持っている力を最大限に発揮できるような「邪竜剣」を俺は創り出し、そして俺の力に上乗せしていった。俺はもう誰にも負けるわけにはいかない。

「勇者様がこれほどまでの力を持っていらっしゃるとは知りませんでした。私、少し驚いてしまいましたよ。貴方が勇者だとしたら何故このような辺境の城に留まっているのですか?」

勇者が召喚されてから三日目くらいに勇者が城の外へ出るのを確認して、俺はそのあとを追うように城を抜け出して外を散策していた。その途中で俺はたまたま出会った一人の魔族に声をかけてみたが。

勇者のことを知らないので俺はとりあえず話を振ったのだが特に興味が無いようでそそくさと逃げられてしまった。それからは色々な人物から声をかけられては俺をどこかへ誘おうとしてくるのだが俺はそれらを無視して一人にしてほしいと言ってその場を離れていくのだった。

俺は今日も街をぶらついて暇つぶしをしていたらいきなり路地裏に引きずり込まれた俺はそこで男に襲われたがなんとか撃退できた。しかしその男はどうやらこの街でもかなりの実力者だったらしく、返り討ちにされてしまたようだ。俺もそれなりに実力を付けたつもりだったんだけどなぁと内心悔しい気持ちを抱きながらも表に出すことなく、そいつに質問をしたんだが、そいつは俺を魔王軍に入らないかと誘いかけてきたが俺が魔王軍と関わりたくない事を告げるとそいつはかなり落ち込んでいたが俺としては魔王軍の奴等に興味はないからどうでもいいと思っているので適当にあしらい、そいつは渋々といった感じで去って行った。その後俺に絡んでくる奴はいなくなったが。俺は勇者の動向を調べる為に勇者がどこに行くか見届けていたのだったが。そろそろ夜になり勇者が宿屋に戻る様子が見えたので、俺もそこに戻り部屋に入って寝る事にした。

そして朝を迎えたのであるが。

勇者の奴は、街の人間に好かれていないのか。昨日よりも街中で喧嘩が起こっており、その中には魔族の連中まで紛れ込んでいる始末だ。

俺の目の前で人間が殺されたのをみて俺は少しだけ悲しく思ったがそれ以上は特に何も思うことは無かった。それよりもこれからどうするかを悩んでいたが、俺はこの街を出ていくことに決め、準備をして宿を出て行こうとすると、部屋の隅に何かがあることに気づき近寄っていく。

俺が見つけたものは、聖剣を鞘に入れた状態のもので。俺がその聖剣に近づいて行くと。突然聖剣が光を放ち始めた。

(なんだこれ!なんかやばい気がする。取り敢えずここから離れよう。)

俺はその聖剣の光に呑み込まれると一瞬で移動してしまった。

どうやら俺は何処かに転移してしまったらしいが。この場所になんとなくだが覚えがあるのでおそらくここはあの時俺が初めて訪れたあの場所ではないだろうかと思い俺はあたりを見渡したが。周りにあるのは木、木、森だ。俺はどうしようもなく不安になってしまっていた。その時俺に後ろから誰か近づいてくる気配を感じたのである。

その人物が近づく度に、何故か嫌な予感が止まらない。

(まずいぞまずいまずいまずいっ!!早くここから脱出しないとやべえぞ)

俺はその謎の人物と距離を離そうと走って逃げ出した。しかし俺が逃げた方向にいたその謎の存在はどんどん俺との距離を詰めてくるのだ。俺は走るスピードを上げてみるが全くその速度が下がることはなかった。そして俺はついに追手に追いつかれてその正体を見た。その瞬間に俺は絶望の淵に追いやられたのであった。

勇者が、この俺を追いかけてきたのだ。しかも勇者は全身から大量の聖属性の魔力を放出している。勇者が俺を殺そうとしていることが明白にわかってしまうのだった。俺は咄嵯に「覇王剣」を出現させ構えをとったのだが。勇者はその俺の姿を見ると、なぜか動きを止めてしまい。

「君さ、あの時の魔族だよな?そうだよね、僕に負けたっていうのは嘘だったんだね?どうやったら僕の攻撃をあんな方法で防げるっていうんだよ?君は本当に強いよ。だからこそ、ここで殺しておかないとね」

勇者がそういうなり、聖属性が勇者の周りに渦巻き始め、それが次第に形を成していき、最終的にはその形は人型に変化したのだ。そして、その形が変化していきその形が完成すると、そこには白い甲冑を着て、背中に羽のついた女性が顕現した。その女性の見た目は完全に人間の女そのものでとても美しい容姿をしていた。

(これはやべぇ!!こんな化け物どうやって対処しろっていうんだよ!!それにこの女性からは今まで会ったことがないほどの力を感じる。勇者がこの世界に来て強大になったという話は聞いていたがまさかここまでとは思わなかったぞ!どうする、この状況を覆す策が浮かばねえ!このままじゃあ殺されちまう。何とかして逃げなければ!!俺は必死に逃げる方法を考えていると不意に頭に一つの方法思いつく。

(くっ!こうなったらやるしかないか!仕方ない!!「聖剣」と俺の身体が同調してしまえば俺と一体化してくれるはずなんだ。それしか方法は残されていない。俺が今使えるスキルの中でこの局面を乗り越えれる可能性のあるモノはこの「聖鎧」のみだ!よし、これでいくぜ!「聖なる衣纏いし者。我に聖なる力を、我は聖なる剣。我と一つになるべし。聖装具合、神なる剣よ。今こそ覚醒せよ!」)

俺が聖剣を発動させる為のキーワードを言うと同時に身体に異変が起き始める。それは、この俺の身体に纏っていた服が光の粒子となって俺の身体に吸収されていき、そしてその俺の身に着けていた装備が身体に取り込まれていったのだ。それと同時に身体に強烈な痛みを感じていく。俺は、この痛みが勇者が放つ「浄化」の力だとすぐに理解することができた。しかしそれでも、この状態を続けていけば俺は間違いなく死ぬ。だからといって俺は諦める訳にはいかないのである。俺は、俺を庇って死んでいったあいつらの為を思い俺は勇者に殺されることは無く、そして俺が勇者を殺すことを誓った。その為にはどんなに苦しくてもこの苦痛に耐える必要があるのだと覚悟を決めた俺は、ひたすらその激痛に耐えながら俺の中に流れ込んで来る膨大な力の奔流を抑えようと必死になっていたのであった。

そして数分が経ちようやくその力が落ち着き、完全に融合に成功したと思ったが。その次の変化に気づいた俺は絶句した。俺の目の前に現れたのは一人の少女であった。それも見たことのない服装をしていて髪の色は金髪で長く腰くらいの長さであり瞳の色も綺麗な碧眼だった。そして何より一番驚くべきことはこの子が美少女だということだ。俺はその姿を見て呆然と立ち尽くしていると彼女は俺に話しかけて来たのだった。

私は気がついたら知らない場所にいて。自分の姿が変わっていたことにも驚きましたが。それより私が気になったのは私に寄り添うようにして立っているこの人の姿です。どうやら私達は何者かに襲われて瀕死の重傷だったみたいなんですけど、なぜ私だけが無事なのかは分からないですがこうして今も生きていて意識があること自体が奇跡に近いと思うので取り敢えず生きていてよかったですねと自分の事のように喜びました。

すると私と目が合った彼は私に近づいてきて私に語りかけて来ました。

そして彼の口から発せられた言葉は衝撃的なもので、彼は勇者だというのです。勇者といえば私たちの敵なのです。だから彼が勇者と名乗った時は私の事を騙そうとしているのだと思っていたので私もその話を真に受けていなかったのですよ。しかし彼と話しているうちに私の中にある疑問が生じてきたのです。何故なら彼の目はとても優しい目をしており。私を騙して楽しようとかいう下心があるようには見えないからなんですよ。だから、私は少しだけ勇者の話を信じてみることにした。そして、彼が勇者であることの証を見せると言われて、彼に腕輪を貰ったのでそれを左腕につけてあげると突然勇者の力が発動し始めてその勇者の腕が真っ黒に染まりそこから漆黒の刃が出現してそのまま彼の左手首を切り落とした。私はその瞬間に死を直感してしまい。怖くなった私は泣き出してしまったのだが。どうやらそれはただの幻惑魔法のようなもので実際は傷ついてはいなかった。そしてその後、その人は魔王と名乗るようになり魔王と名乗られた時には驚いたが魔王を名乗ったからといって悪い人ではないという事が分かったので安心して彼と会話を交わすことができたのだった。

そんな時に突如として魔物が現れ、襲ってきたので、私はとっさに彼をかばおうと動いたのだけど。いつの間にかその魔物は跡形もなく消し飛んでしまったのだ。しかも一撃で倒してしまうのを見て。本当にすごい人がここにいるんだと思い知らされ、さらに興味が湧いてきて私は、もっとこの人のことが知りたくなって来たところで。その男の人から急に変な事言われてしまい混乱しましたが、取り敢えずは一旦街に戻りたいということでその話を聞くことに決め、そして私たちは森を出て街の前まで戻ってきたのである。

そして街の前まで戻ってくるとその男は、急に倒れ込み始めてしまったので。私は急いで街に戻りこの人を街の病院へと連れて行くと。この街ではどうやら聖教国の聖騎士団の連中が街の人間に対して聖水と呼ばれる聖属性を帯びた特殊な液体を配っているという噂が出回っており。その聖水を摂取したものは徐々に体の細胞が活性化されていき肉体的な能力が向上してしまうというものらしい。この聖水の恐ろしいところはこの薬は飲むだけに限らず体内に取り入れることで効果を発揮するようで。体外にある分は問題は無いみたいだが、体に吸収させるとその聖液が体を循環していき、体内に入った瞬間に一気にその効果が現れるらしく、それによって体が急激に強化されて、更に副作用のようなモノがあるらしいのだ。それが「暴走化」という症状で一時的に筋力などの能力を大幅に上昇させることができるがその代わりに精神の方に多大なダメージを負うのである。その結果その強化された身体能力の制御が難しくなり自我を保つのが非常に難しくなるのである。

そのため現在この街に訪れている勇者はその暴走した勇者達を相手に一人で応戦しなんとか勝利してきたようだ。しかし、勇者と言ってもその強さや持っている技能により個人差がある為その男に勝てるとは限らないが少なくとも、普通の一般人よりも遥か上の戦闘能力を持っていることだけは間違いないので、今から向かう場所でもその男が負けるとは思えないのであった。

それから数分が経過し、その街に到着した俺と勇者は早速勇者が宿泊する為に用意していた宿屋に向かい、俺の部屋を確保するとそこで一先ずは休む事にしたのである。

その日は特に何もすることが無かったので部屋から出ることは無かった。次の日の早朝になってやっと勇者から呼び出され、朝食を食べるために勇者が宿泊している宿の一階に降りて行くと既に勇者の姿があった。俺と勇者は昨晩と同じように一緒に食事をとった後今後の作戦会議をする事にしたのだ。そして話し合いが終わった後勇者はこれから仲間を集める旅に出ると言うので俺も着いて行くことにする。

勇者と一緒に行動する以上俺は勇者に付いて行かなければ色々と面倒なことになるかもしれないと判断したのだ。だからこそまずは、聖教国に行こうという話になり聖教国へ向かうことになったのだった。そして聖都に向かって歩いている途中、とある事件が起きたのである。それは俺たちが街道に沿って歩いていると、いきなり複数の武装した集団に奇襲を仕掛けられ、そして戦闘になった。そしてその戦いの中で俺は「神装」を召喚した。そして俺は「聖鎧」のスキルの一つである「完全再生」を使い、身体が受けた怪我を完全に回復させて再び戦闘を始めたのである。俺が戦う姿を横目に見ていた勇者が何故か呆然としている様子だったので俺はどうしたのかと思って問いかけてみるとどうやら俺の身体が一瞬で元に戻ったように見えたのだと。俺はそれについて説明をしてやると勇者がとても感心してくれていたので。俺としてもこの力を上手く利用すればかなりの力を手にすることができるのではないかと思えたのだ。しかし今はそれよりもこの襲撃者の目的を探る必要がありそうだと俺は判断したのでそいつらの相手をすることに。相手はかなり強そうな装備を身につけているにも関わらずに動きが悪いことからどうやらこいつは聖騎士団の奴等じゃないだろう。

そう思った俺は、こいつらをさっさと始末すると次はどこに向かうか考え、聖都に向かうことにして俺と勇はその場から離れることにした。その移動の最中にまた聖騎士たちに襲われたのでそれを返り討ちにしていると。ある一つの可能性を思いつく。俺はそれを確認するために聖都に入る前に「聖剣」を解除すると。案の定、俺の予想通り聖鎧が俺に馴染むように消え去り、それと同時に俺が身に纏っていた聖装も光の粒子となって消滅していくのであった。

どうやら俺の考えは間違っていなかったようである。つまりこの「聖鎧」には装着者の身体能力を向上させる効果があるということであり。俺は今ならかなり強い力を使うことができるはずであると確信したのだ。だから、俺がこの「聖鎧」を使えば勇者の「浄化」の力にも打ち勝つことができる可能性があると踏んだのである。それに今の俺には神装があるので俺自身が「浄化」の効果を受けることはないが。俺に纏った「聖なる衣纏いし者。我に聖なる力を、我は聖なる盾」という神装を装備をしても「浄化」の影響から逃れることが出来ると確信を持てる。

しかし今のままだと俺はただの聖属性が付与される装備をしているに過ぎない。いくら「浄化」の影響を受けないといっても、結局の所は俺自身のステータスが上昇しなければ勇者にダメージを与えることは不可能であろう。しかし俺は勇者に攻撃を加えるにはやはり「聖武器」「魔道具」「武具」の三つの要素が必要になると考えている。その根拠として挙げられるのが、勇者は確かに強大な力を手に入れてはいるがまだ使いこなしていないという点である。

なぜなら勇者はまだ自分の力で魔物を退治したことが無く全て誰かの力を頼りきりで行動しているため。自分ひとりの力で敵を仕留める事ができず。今までは仲間に頼ってどうにか生き延びてこれていたのだが。今回は、魔王を殺さなければならないという状況に追い込まれて自分の力で戦わなければならない場面に直面しているため、自分でも気づかないうちに焦りが生まれていて。その気持ちが表に出てしまっているようなのである。そしてその為、いつもの実力を出すことが出来ずにいた。その為このままだと勇者を倒すことは難しいと悟ってしまったのだが。俺自身としてみれば今回の一件は俺にとっていい経験を積ませてくれたと思っている。なので今度はその勇者の成長に期待しながら俺は勇者に助言をしていくことにしてみた。

しかしそんな時に限って敵は勇者に止めを刺す絶好の機会を与えてはくれなかった。だがそれも仕方がないことなのである。何故ならその時にちょうど俺たちが向かおうとしていた場所に魔物の大群が押し寄せてきたので。そちらの対応に追われてしまい。俺の勇者に対する指導をする時間はなくなってしまっていた。しかし幸いなことに勇者に被害は無かった。というのも敵の動きが余りにも単調だったため勇者が敵を倒していく姿を見ていても全く問題なく。俺の方もほとんど手伝うことがなく終わってしまったからだ。

そうこうしながらもなんとかその大群を倒した俺達はその足で再び聖教国の聖都へと向かい始めたのである。聖教国までの道のりを歩き続けている間にも聖騎士団と思われる者達の襲撃を受けたが、今回に関しては俺の出る幕は殆どなかったと言えるだろう。それほどまでに、聖教国の聖騎士団の強さが桁違いに高かったのが原因だったからである。そもそも俺の目から見るとどうやればあそこまでの戦闘力を手に入れることが可能なのか疑問しか出てこないくらいに強い者たちばかりが揃っていた。そのため聖教国の聖騎士団とは極力戦わないように立ち回るのが良いと俺は思うのである。

聖騎士団との戦闘はできるだけ避けるべきだと考えた結果、なるべく早く聖都に到着しようと考えていたのだ。

そして遂に俺達を乗せた馬たちは聖都の入口付近まで辿り着くことができたので後は乗り越えるために聖都の中に入るだけなのだが、そんな簡単にはいかせてくれないようで俺たちの前に現れたのは、巨大な門番らしき人影であった。

俺は目の前に現れた存在を見た時に一瞬思考回路が停止してしまい。そして数秒間ほど固まってしまったのだがそのおかげで少し冷静に物を考える事ができたのである。

「なぁお前。ここが何処か分かってんのか?」

突然現れた男にそう言われたのである。だが俺には一切心当たりがなかった。俺はこの街に入ったことはないのでこの男が何を言っているのか分からないのだ。だからこそ正直に俺はそう答えると男は、何故かため息をつくと言い放つのだった。

俺は、いきなり話しかけて来たこの謎の男の事を最初は怪しく思っていたが話を進めていく内に段々と警戒心を解いていき最終的には俺に対してこの都市についていろいろと教えてくれる事になった。俺はそれを聞いて納得できた事がいくつもあった。まずは俺が現在目指していた聖教国は宗教国家であるという事で基本的に他宗教の国や村や町には立ち寄らないというのだ。そして俺が目指していた聖都はこの国の中心であるらしく聖教国の中でも最大の規模を誇っているのである。しかしこの街の中に入ってくる人間は勇者の連れ以外はあまりいないようだ。しかしその理由としては聖騎士団の本部が存在する場所でもあり、この街では様々な事件が多発している為治安が悪くなりがちであり街の人々は基本的に近寄りたがらずに別の街に行くかこの国から出て行くことを選択するのだという。

そのためこの街にいる人間というのは余程の事情が無い限りこの国に滞在することを選ばずに他国に移動することが多いらしいのだ。俺は男からこの街についての話を詳しく聞いてみると、この街がいかに危うい状況にあるか理解する事ができ。俺の中で何か大きな力が目覚めようとしている感覚に囚われ始めていた。そしてそれは、あの勇者との修行の際に覚えた現象と酷似しているものである事に気が付き、もしそれが俺が思っている通りの力であれば俺は勇者を軽く倒せる程の力を手にすることができるのではないかと思ったのだ。しかしそれと同時に俺はこの力を使って勇者を圧倒したらそれはまずいことになりかねないと。なんとなくではあるが、直感的にそう思い俺は勇者とこの力は封印しようと決めてとりあえず俺は聖騎士の団長の居る場所に案内してくれることになった。

そう言ってくれることは嬉しいことだったけどやっぱりどうしても違和感を感じざるを得ないんだよね。僕をここまで助けてくれた人が実は聖騎士たちの親玉だっていうことがさ。僕は最初っから信じちゃいなかったよ。それにその人は僕よりも強いかもしれないなんて言っていたんだ。そんな言葉を聞かされたら疑わなきゃいけないじゃん。でも僕はそんなことを言われなくてもこの人の言葉を信用しようと思っていたんだ。

だって彼は僕の味方だしそれに、彼が嘘をついていないことは最初から感じていたんだよ。だからきっと大丈夫な筈。それにもしも彼を信じることができなければ聖剣に選ばれなかったという事実に繋がってしまうかもしれない。そうなると、今度こそもうこの世界に希望は無くなってしまうんだ。だからこそどんな些細なことでもいい、少しでも可能性があるのならそれに賭けてみたい。だからこの聖女様には感謝しないとね。それにこの方もどうやら悪いお方に見えないし本当に運が良かったと思う。

だけどこれからどうなるのかは分からないけれど絶対に諦めてなるものかと。私は決意を新たにする。しかしその時私の横を通り過ぎていった男性の姿が見えなくなりかけたときに聖女の表情が変化したのだ。まるで先程までの優しい表情ではなく怒りに満ち溢れている様な表情に変化してしまっていたのである。

一体どういう事だろう?さっきまでは普通に接してくれているように見えたのに。どうしていきなりあんな風に怒るような真似をしたのだろうか。まさか私がさっきの男性の事が気に食わなかったとかじゃないよね。それだとかなり悲しいかも。

まあ今はそんなことを考えていても意味は無いかな。とにかく、私には聖剣の力を引き出すための試練を受けるという目的がある以上この人達には協力してもらわないわけにはいかないので頑張って耐えるしかないかな。うん頑張ろう。そう思って自分を鼓舞してみたものの、やっぱりこの人たちはちょっと変だと思うんだけど。この二人なんか急に仲良くなっているように見えるんだもの。この聖女様が、私をここに連れてくる前も「この子になら頼んでも良いかもしれません」とか「貴殿ならば安心してこの子の面倒を見てもらうことができると思います」などとかなり信頼しているように思える発言をしているのが印象的だった。それだけこの人たちにはこの子を任せても構わないと信頼しているような様子だった。だけど今は全く違うような雰囲気になってるんだもん驚きしか出ないに決まっている。

「えーと。これから貴方達にお願いしたいのは聖教国の聖騎士団に所属していただき。そこで魔物討伐の任務にあたって欲しいということでよろしいでしょうか」

は!?そんな事急すぎるよ!まだ全然聖武器の扱いにも慣れていないって言うのにそんな事をさせられる訳がないじゃないか。でもここでそんな事を言い出すのは失礼な気もした。だって今まで優しくしてくれた聖女さんに対してこんな無茶ぶりな質問を投げかけるのは流石にダメだよね。

それにまだこの国の現状について詳しく教えてもらってないし、その説明をちゃんとしてもらいたい気持ちもあるんだよね。だって聖騎士団に所属して欲しいって事はもしかして僕も戦えるようになってこいということなのではなかろ。そして今の聖教国では魔物退治をする人員が不足しているため僕のような子供が一人でも多い方がいいと。そういうことなのかな。確かにその可能性も十分あり得るよね。だとしたらこれは、断れなくなる可能性が高いなぁ。

そして聖騎士団の団長らしき人に俺はある建物まで連れて行かれるとそこには一人の女性が立っていたのである。

「おい、早く来ないか。俺の貴重な時間を無駄にするつもりなのか?」

俺のその発言を聞いた途端に、男は、少し慌てる素振りを見せたのだが、それでも俺は特に何も言わず。男の方をじっと見つめている。すると男が俺の視線に耐え切れなくなってしまったのか、俺がついてきてくれたことに礼を言うと同時に俺のことを少し気遣うように話し始めて来た。俺は別に自分の命を粗末に扱っている訳ではない。むしろ死にたくなどないと思っているくらいなので心配してもらう必要は特に無いはずなのだが、何故そのような反応をしているのか俺には全く分からない。

しかし男の様子を見る限りでは俺の勘違いと言うことも無いようであったので俺はその男の言葉に答えることにした。

「俺の力を試す機会を提供してくれた事に感謝しているだけだ。それと俺は死ぬつもりなんてこれっぽっちもないぞ」

俺のその言葉を聞いた男は一瞬何を言っているのか分からないと言ったような顔をしていた。そして俺はこの場にたどり着いた時点で男がどのような人間かを判断できると考えていたのだがどうにも上手くはいかなさそうだなと思いながらも俺はこの男に自分が考えている聖騎士団の役割について説明を始めることにした。

「この国の今の状況を俺達は知っているが故に、聖騎士団が今非常に手薄になりかけていることも知っているんだ。そして俺はその戦力を補う人材を探していて。たまたまそこにいたお前に目をつけたというだけの話なんだが。お前は自分の実力に自身を持てるほど強いとでも言いたげな雰囲気だったよな。そして俺はお前からかなりの手応えを感じた。だからお前は間違いなく強者だと見込んでいる。そして俺はお前にはこの国の守護者としての使命を果たしてもらいたいと考えている。そしてその任務とは、聖教国に現れた強力な魔族を単独で倒す事ができるくらいの力を持つことだと考えている。だから俺はお前を聖騎士団に入れて鍛え上げた後にお前をこの国の守護神にしてもらおうと考えた。しかしその為には今のままでは不可能に近いため俺はまず聖女に協力を求めたのだ。つまりお前がこの国で聖女の信頼を勝ち取ることさえできれば俺がお前を育て上げてやることもできるだろう」

俺の話を聞いた男は最初は何が何だか分からないというような表情をしていたが次第に状況を把握していくと。顔色が段々と青ざめて行く様子が見られた。それはまるで俺が何を言っているのかを理解することを拒否したいと願っているかのように思えた。それも無理はないと俺は思ってしまった。

そして俺は聖教国に蔓延っているという魔族の事についてこの国の住民達がどれほどの認識であるのかは知らない。しかし恐らくそのことについて知っている人間は少ないのではないのだろうか。そう思わせるほど俺の発言がどれだけ突拍子の無い物だったかということが理解できたからである。だが聖騎士であるならば、それを知る権利があり知っていなければいけない情報なのであるはずだと思ったのだ。なぜならば、この世界の人間は皆が平和ボケしていて魔族は危険であるという常識すら知らない者達が多いらしい。そのため聖騎士になるべく修行を行うのは大抵が平民であり貴族は基本的に自ら剣を学ぶことをしないためこの世界では戦闘を行える人間が限られている。そのためどうしても戦いの前線は冒険者に頼らないとその役目を全うすることが困難になるのだ。しかしそうなると、冒険者の力だけでは魔族の進行を止めることは難しい。

しかし聖騎士団は聖教国が有する武力であり他国からもその存在を恐れられている存在であるため、たとえ冒険者が敵わなかった相手だとしても戦うことが出来る力を持っていると言われている。

俺としてはそんな危険な存在であるはずの聖女と俺が協力をするという事に不安を覚えたが。俺はもう決めたのだ。あの女に俺の目的を叶えてもらうためには聖女に気に入られるしか方法は無いだろう。それにあの男の反応を見る限り聖女はかなり強い存在だと考えられる。そしてあの男がこれほどまでに警戒心をあらわにしている聖女はやはり只者ではないのだろう。

そして俺はこの聖騎士の男のことが少し気になったがすぐに興味を失ってしまった。なぜなら聖騎士がどういった人物であろうと俺にとってはあまり関係のないことなのだからである。俺はただ自分の目的を達成するためにはこの世界で最強と呼ばれる聖女の後ろ盾を手に入れることが必須条件だと判断しただけに過ぎない。そうでなければこの聖騎士の女を利用して、聖女の信用を一気に得なければならないと考えたからだ。

「なっ。な、なぜ、私などが。そんな重大な任を与えられようとしているのでしょうか?いや、そもそもどうしてそんなことを私に言って来るのですか?私なんかより優秀な者は他にもいるではありませんか」

「いやまあ、たぶんあんたが考えている理由が一番正しいんじゃないかと思うんだが」

俺が聖女の事をこの女に任せてもいいと思っている一番の理由は単純に俺よりも強いと思ったからだ。この聖女はおそらく相当の強さを持っていて、聖騎士団の団長を務めるのに相応しい器を持つ女に見えたためである。

「わ、私は確かにそこそこ剣を扱う技術もありますが聖女様の役に立てるほどの実力者などでは有りません。それに私は今までこの国のために戦った事なんて一度もないんですよ」

聖女の言葉を聞いた俺は思わず苦笑いしてしまった。俺は別にこいつが本当に弱い奴だったとしたらこいつを仲間にしたいなどと思ってはいなかっただろう。俺は自分と同等もしくはそれ以上の実力を持った人間を探して連れて行きたいと思っているだけであるためにこいつの事を過大評価している可能性の方が大きいだろう。それにこの女がこれまで本当に戦っていなかったとしても俺にとってはそんな事は関係ないのだ。俺の目的は自分の命を大事にする人間ではなく、自分の意思を持ちそれを貫くことができる人間だ。そんな人間は、どんな時でも己の力を信じ行動することが出来るだろう。そしてこの女の信念をこの目で見られるならそれだけで俺はこの女に付いて行っても大丈夫な気がするのである。

だからこそこの聖騎士団の男もこの聖教国の聖騎士団という地位を手に入れられるチャンスを無駄にしたくないと思うならば俺の期待に応えて欲しいものだと切実に思った。そう思いながら、俺は男の方を見たのだが。男はまだ俺のことを信じられないという様な目を向けてくるのであった。

俺の話を一通り聞いた聖騎士団の男は急に慌て始めると俺に色々質問を投げかけて来た。

そして俺はこの男の質問に対して、全て正直に回答した。するとこの男の態度が急変し俺の話を聞き終えた後俺に対して深々と頭を下げ始めたのである。俺は何故こんな反応をするのか全く分からなかった為。その理由を聞くことにしてみたのである。すると、男は俺のことをかなり凄まじく強い人間だと考えていて俺を自分達の団長の専属の護衛にでもしようと思っていたのだという事を白状した。

そして、俺は男がそのようなことを考えているとは思ってもみなかったため俺は男の話を聞いて少し笑ってしまう。なぜなら俺は、自分がそこまで強者だとは思っていないからである。それに護衛にして欲しいのであれば俺以外の人間を選んでほしいというのが素直な感想であった。それに、俺以外にも強者など腐るほどこの世界に居るはずであるのだと思っていたのである。しかし俺がこの国に来てから俺が遭遇した人物はこの国の聖騎士だけであり、その聖騎士の戦闘能力も俺の想定を下回っていたので俺がこの国で一番強い存在だという確信が持てていない。

そこで俺は先程の話の中で聖教国の聖女と俺の相性の良さを感じ、聖教国の聖騎士団の団長を務めている女性を自分の専属として雇い入れようと考えている。この国にはその聖女と同等の力を持つ者がいるのかもしれないと考えていたが。俺は少なくとも俺に敵対する可能性のある強者には出会っていないのである。そして俺は、この男からこの聖騎士の国を守る役目を与えられたかったのだから、聖女がこの国の守護者となるのには、その仕事を任せられる人材が必要なはずなのである。

だから俺は、この男の気持ちが少し分かったので少し手助けをしてやろうと思い、俺はこの男の上司に会わせてほしいと言う事を伝えた。するとこの男の上司はこの男とは比べものにならないほどに実力が高い男だったらしく俺はその事実を知って、この男の事が少し心配になってしまった。何故ならこの男がこの男でなかった場合、聖騎士団のトップの実力を測りかねてしまう事になって、俺がそのトップと戦っても勝てるのかと疑問を抱いてしまうのでは無いかと心配になってしまったのだ。しかしそれはそれでこの男がこの聖騎士団に残ってくれることを願うしかなかったのであるが、この男の反応を見ると俺のそんな願いはこの男が俺の事を気に入ればという仮定の上で成り立っていることに気づいてしまい。その可能性が低そうだなと感じてしまっていた。そしてそれと同時に俺は男にこう告げることにした。

俺がこの男と会った目的は、この男が俺の事をどのように考えてくれるのかを知りたかっただけなのである。しかし俺の考えとは違いこの男は非常に良い人間だったようだ。そのため俺の望みは、聖女の件とは全く関係のない事ではあるが俺の仲間に欲しくなってしまった。この男は、俺と初めてあったにもかかわらずこの短時間のうちに俺の事を認めることが出来ていて、その上、俺の期待に答えるように動いてくれていたのだ。そして俺は、そんな男を見てこの人の下でこの世界を守っていこうと思えたのである。そしてこの男のことは気に入ったため俺はこの男のことを全力をもって助けようと思うことができたのである。そしてこれから、聖騎士団の隊長との話し合いが始まるのであったが。まずは、俺からの提案を受け入れてくれたことについて礼を言いたいと思ったのだった。そして、まずは俺は聖騎士団と聖女が共に暮らす家を用意しなければならないと考えて俺はこの国を散策することにした。しかし俺には、この国の土地について知識がなかったため。土地を見極めるための道具がない事を思い出すのであった。

「よし、とりあえず俺は俺が今いる国の様子を確認しておく必要があるだろう」

「それについては僕にまかせて欲しい」

俺がこの国を一人で歩くという選択肢は存在しなかったようで。すぐに男が現れると俺はその男と共にこの国を散策することに決まったのである。そしてこの男からは聖騎士の国の中を自由に見て回っていいと言われて、俺の好きにしろと言われている気がしたので俺はこの男のお墨付きを得ることができたため俺は思う存分探索を開始することにした。だが、そんな俺に一つの大きな問題が発生することになる。なぜなら、俺が男と一緒に行動することを決めてしまったことで俺がこの国の中で自由に出歩いていいと思える人間がいなくなったのだ。

そして俺に自由行動をすることを許可しているのは、目の前にいるこの男ともう一人だけであり。それ以外の者達とは基本的に敵対関係にある。

そう俺は男の許可なく勝手に動き回る事はできないのだ。

それに俺は、あの男が聖騎士達の国の中にどのような店があるのかは知っているが。この国の民はどういった場所があり何を売っているかを知らないということにすぐに気づいた。

そのため俺は自分の足を使って情報収集をすることを決めた。俺は、自分だけがこの国のことを何も知らないという状態に陥っているのだと自覚すると。この状況では俺は確実に孤立してしまうと思ったのだ。

俺は自分が無知であるという事実に打ちひしがれながらも俺は何とか気を取り直すことに成功して、とにかく何かしらの情報を探さなければこの国のことを理解することが出来ないと感じた。俺はそのために俺にこの世界で情報を与えてくれそうな者がいないかを必死に考えた結果あることを思いついたのである。

それは聖女に直接話を聞けば良いのではないかということである。俺はこの世界のことに関してほとんど無頓着だったため。聖女の存在自体あまり気にしていなかったが、俺はあの聖女の事をある程度信用している部分があったので俺はあの女ならばある程度のことを教えてもらえるという謎の自信が芽生えていた。

しかし聖女を呼び出し話を聞けば、間違いなくこの国に混乱が起きることが目に見えているため俺は聖女の居場所を探し始めた。しかしここで予想外のことが起きたのである。なんと聖女を見つけることが出来なかったのだ。この国はあまりにも広く俺はどこを探せば聖女に会うことが出来るかがわからなかったためだ。

俺はどうすれば聖女を呼び寄せることができるかを考え始めていた。しかしいくら考えても思いつかなかった俺はどうしたらこの問題を解決することができるのだろうかと頭を悩ませることになった。

そして俺はこのままの状態では何も変わらないと思ったために聖女を見つけられないのであれば俺が直接出向けば良いと考え聖女を探す事にしたのである。俺は、聖女と会うことができてなおかつこの国の住人にバレる可能性の低い場所はないかと考えると俺に一箇所だけ思い当たる節が存在した。それはこの聖教国で一番大きな建造物が存在する場所が俺に思い浮かんだからである。

そしてその場所は教会と呼ばれる建物であった。俺はそこに聖女がいる可能性にかけて向かうことにしたのであった。俺は自分の勘が当たっているのを願っていた。なぜなら俺は、今までの自分の経験が外れたことがないと思っているためである。俺の直感が働く時は大抵の場合で俺は誰かを助けたいという衝動が働いて、俺に行動させてきたからだ。だから今回も俺は自分のこの感覚を信じる。それに、聖女がいるとすればその教会は絶対に重要な施設であろうから俺もそこに赴く必要性はあると思っていたのである。

そして俺が聖教国の大聖堂に到着したのである。俺はここにきて、俺の記憶の中にある教会の外観よりもさらに大きくなっていることに驚いた。

俺が聖女を探して建物の中に入ってみるとそこには聖女らしき女性が俺に近づいてきたのであった。そして聖女と俺が出会うと。俺は、なぜこの聖女が自分の元にやってきたかという事を疑問に思い。俺の知り合いである可能性が高い聖女が俺の前に現れたことに疑問を感じたのである。俺が不思議に思ているとその女性は聖女であり。この国の聖女だという事を教えられた。俺は聖女の言葉を聞き納得することができた。そしてこの聖女が俺の予想通りの人物であったなら、俺は彼女から聖女の力を譲渡してもらわなければいけない。そのため俺は、この女性の力を借りて俺は俺の目的を果たすために俺の仲間を呼んでもらいたいと伝える。俺は、その女性に対して、仲間を呼び出す方法を知っているのではないかと疑問を抱いた。

「私はあなたの考えている事全てを理解していますよ」

俺がその言葉を聞いて驚き固まってしまっていると聖女が突然そんなことを伝えてくるものだから本当に驚いてしまったのである。そしてそのあと聖女は聖女が何故この場所に居るのかということを俺に説明し始めた。俺の仲間達はすでに全員が魔王城に呼び出されており。聖女の力を使って俺と勇者以外の人間は強制的に元の世界に送還させたのだと聖女は言う。だからこの場には、俺とこの国の王しか存在しないという事を聖女が伝えて来た。俺としてはその方が俺にとっても都合が良いと考えていたため、特に問題はなかったがそれでも俺はどうしてこのような事態になったのかを聞くことにした。

すると聖女はこう言ったのだ。あなたが私と会った瞬間から私の力を奪い取っていたことに気付かないほどに弱い存在ではないですよねと俺に問いかけてきて俺の表情は一気に引き締まるのであった。聖女から俺の質問への返答を受けた俺は、やはり聖女はこの世界の中でも上位に位置している存在だということがわかったのだ。そして俺は、この女の強さを測る為に聖女に自分の能力を見せることにした。そして、この聖女がどれ程の実力者であるのかを見極めるために俺は自分の力を使う。

俺のこの力は、俺の仲間と俺が心を許している人間に自分の強さを見せつけることができるという効果を持つので俺は聖女の実力を知ることができるはずだと思い。俺は自分の能力を聖女の体に流し込む。そして聖女の体が一瞬光に包まれると俺の体は震えていたのである。なぜならこの能力は相手との心の距離によって発動するまでの時間が違うからなのである。そして、聖女と俺の今の距離は近い方であったため。俺はこの聖女と距離が離れてしまうと、俺の力がこの女に届かないため俺はこの機会にこの女を殺すしかないかと思った。

しかし俺はこの女の事を気に入っているという事もあり。この国を守り続けてもらうためには殺すわけにはいかないと考えた。だから俺は俺の全力を出すことに決めたのである。しかし、俺にはこの女を倒す術がないことに気づきどうするか迷っていた。

そしてそんな時に、俺は一つの妙案を閃くのである。

この聖女の体の中には俺の力とこの女の力が流れているはずなので。この女の魔力の流れを変え俺の魔力を流すと俺は聖女の魔法を使うことが可能なのではないかと思うのである。そうすれば俺は、聖女と同じ魔法の属性を手に入れることが出来ると思った。そう思った俺は、すぐに自分の考えを実行することにする。俺は聖女に触れ聖女の中に存在する自分の体の中の聖女の一部を動かして自分の中に流した。そして聖女は聖女らしく光の柱を発動させることに成功させていた。そして俺も聖女の力を自分のものにすることに成功したのである。そしてこの日から俺は聖女と同じように扱うことを強要された。俺は別に嫌だとは思ってはいないが聖女があまりにもうるさかったせいもあってか俺はこの聖女を自分の力で黙らせることにしたのである。そして俺はその日に聖女から俺の能力を全て教えてもらった。俺の聖剣についても話してくれていたので俺はそれをしっかりと理解しておく必要があるだろう。俺はこの国の王にも挨拶をするべきかと考えたがこの聖教国の王は今、行方不明らしいので俺が会う必要はないと言われた。そして俺と聖女が別れることになったのだが。その時、この聖女は何故か寂しそうな顔をしていた。俺はこの聖女がなぜそんな表情をしていたのか気になったが。俺はその理由を尋ねることはできなかった。そして俺は、これから聖女が暮らすことになるこの城を見て回りたかったのだが。俺はすぐに聖女に引き止められたのであった。なんでも、俺がこの国に来た目的を教えて欲しいと言うのだ。

俺の答えはすぐに決まっている。俺は俺の大切なものを守るためにこの国に来たのである。

俺はそう答えると、聖女は安心するのだった。そして俺に頼みごとがあるという事を伝えられた。その内容は、この国に存在する聖教国のトップに俺を紹介しておきたいので付いてきてほしいというものだった。俺はそれに素直に応じることを伝えた。そして聖女と共にこの国で一番大きな教会に行くのであった。

そして、俺が教会の中に入ると、そこには一人の少女の姿があった。彼女はこちらを見ると微笑を浮かべるのである。そして俺に話しかけてくるのである。

「ようこそおいでくださいました、我が主様」

この聖教国の国を束ねているのはどうやらこの少女のようなので、俺は一応、自己紹介をしてから聖女の上司なのかを尋ねたところ。この国の一番偉い人は自分だと言い切ったのだ。しかしそんな少女は聖女の上司にしては若すぎるようにも見えた。しかし、そのことについて聖女の方を向いて確認を取るとその少女が、この国のトップなのだそうだ。俺は聖女がここまで連れて来るような人だ、ただ者ではないとは思っていたのでそこまで驚かなかったがそれでも俺よりも年齢が低そうな見た目の少女が、この国の王様だということにはかなり驚いていた。

俺はその後。聖女が言っていた通りに俺はこの国の王に、俺が聖教国に来た理由を話すことにした。するとこの国の王が聖女と俺と三人だけで話がしたいと言ってきたのである。

この聖女との話し合いがどのようなものになるのか俺にはまったく予想できなかったが。この聖女なら大丈夫だと思ってしまう自分も居て少し心配ではあった。だがこの国の王から呼び出しを受けてしまった以上、俺は行くしかないのである。そして俺は聖女と一緒にこの城の地下に潜ることになる。この地下に向かう前に俺とこの聖女は聖教国の王のいる場所まで転移を行う。

俺達は転移をした先にある部屋の前まで移動してそこで待機することにしたのである。それからしばらくして部屋の中から声が聞こえてきたのである。俺は扉の向こうから聞こえる言葉を聞いてその言葉を信じる事が出来ずにその場で固まることになってしまった。

「勇者はどこに行った? あいつを殺さないとこの国は終わらないんだ。早く私の前に現れなさい!」

「そんなことできるわけないじゃないですか、私はあなたの為を思って行動しているのですよ」

「私の為だと! 私はそんなものは望んでいない。お前は私を操り人形にしようとしているだけだ。いい加減に目を覚ませ」

そして俺と聖女が、その言葉を聞いた後にその中へと入っていくとそこにはこの国のトップと思われる人物がいた。その女性は、俺達の存在に気がついて、慌てて立ち上がりこちらに近づいてきたのである。そして俺達の事をいきなり抱きしめると。泣きながら謝ってくるのであった。そんな姿を見ていた聖女が急に怒り始め俺達に敵意の眼差しを向けるとこの国のトップに対して攻撃を仕掛けようとしたのである。俺が止めなかったとしてもこの場に存在している人間がこの女に勝てる訳がなかった。しかし聖女はその攻撃を止めた。そして何が起きたのか聖女自身にもわからないようだったがこの聖女は自分の体の変化に戸惑い始めたのである。そんな聖女に対して聖女の上司であろう女性が話しかける。その女性が言うには、どうやらあの聖女の力は目の前の女性のものに変化してしまったらしいのだ。その女性が言うには。元々持っていた能力ではなく、何かに奪われた感じらしいのである。聖女はこの女性の話を聞いてかなり落ち込んでいる様子だったので俺は、彼女の事を助けるためにもまずは状況を確認するために彼女に質問をしてみたのである。そして俺は聖女の体を乗っ取った女が聖女だとわかった。しかし聖女はまだ自分の身に何が起こったのかを理解していないのか、なぜ自分の身体が女性に変わったのか不思議そうにしているのである。だから俺はこの場で、なぜこんなことになったのかを説明した方がいいと判断したのである。しかし、説明をするのであればやはり俺の仲間達がここに来てからだなと俺も思いその事は聖女に説明する事を諦める事にしたのであった。

俺が自分の仲間たちを呼ぶために、俺が魔王城に向かおうとした時である。この聖教国のトップから俺の仲間たちを全員呼べばこの場所にいる人間は全員消え去るぞと言われた。俺はこの言葉を聞くとやはり聖女から聞いていたことが真実だったことを確認してしまい。本当にこの世界を救うためには仲間達の力が必要だと感じた。そのため俺は、すぐにでもこの場所に戻りたいと強く願うと俺は元の場所に戻ってきたのである。そして、俺は自分の目に見える範囲に居る者たちに向かって叫んだ。すると、皆は俺の話を聞き入れるとそれぞれの役割について話し合ってくれることになった。俺の仲間達は皆、自分の役目を理解することが出来たようだ。これでこの世界に起こっている問題を解決することができるはずだ。

俺がそう思った直後であった。急に空間に亀裂が生じて中から俺以外の者達が出てきたのである。俺はこのタイミングの良さに流石は仲間だと思っていたが、その考えは間違っていなかったようで。彼らは既に準備を終えていてくれたようである。だから俺はこの世界の事を彼らに任せて俺はこの世界が生み出した存在であるこの世界に仇なす存在をどうにかしなければいけないのでこの場を仲間に任せて俺はこの世界での目的を達成するために動き出したのである。そしてこの時、この場に残った仲間の一人である聖女が突然、この国での出来事を全て思い出したと言い始めて、そして、その聖女が、俺にとんでもないお願いをしてくるのであった。その内容はとても受け入れることができない内容で俺の頭は真っ白になりかけるが。そんなことをすれば俺の命が危険に曝されてしまうという事とこの国に住む人々全てがこの国ごと滅ぶということを聞いて。俺はこの要求を受け入れるしかないと思った。そして俺がこの聖女に俺が持っている全てを渡すと、俺は、自分が本来やらなければならない仕事をこなす為に聖女の力を借りることにしたのである。

私が勇者に自分の全てを渡して、この聖教国の王として生きるようになってどれくらいの月日が経ったのだろうか。この国では最近になって勇者の噂がよく流れて来るようになったので勇者の存在を気にするようになったのである。

そして私は、自分の体が変化した時にこの体に埋め込まれていた能力も発動できるようになったみたいだった。なのでその力で私はこの国を守ることに決めて行動を開始したのである。そして私の予想通り、この国の中に存在する裏切り者は全て私の手の内に入ってきたのである。そして私とこの国の人間に害を及ぼそうとしていた人間の全ての処分を完了したのであった。

それだけではなくて、私に協力してくれると言ってくれる人が沢山現れて、この国の問題はあっという間に解決してしまったのであった。そんなことを思っている時に、勇者を名乗る人物がこの国にやって来たという報告が入った。その報告を聞いた時私は少しだけ動揺したが、すぐにこの国のトップである自分が会って話せば大丈夫だと確信したのだ。だけどこの国の一番上の存在が私に変わってしまったせいなのか。この国が、また以前と同じように崩壊の危機に陥ることとなってしまったのだ。そしてその問題の中心に立っていたのがあの忌まわしき聖女の偽物である女であったのだ。聖女に成り代わったあの存在は一体何を企んでいるのだろうと私は不安になったのだ。しかしここで、あの聖女の本当の正体を思い出した。聖女の正体は聖教国に伝わる最強の神だったのだ。

聖教国の中で信仰されていた神様の名前は確かルミエールという名前のはずだったのだがなぜか聖教国の人々が崇めている女神は聖女と呼ばれているのである。そして、その聖女様の本来のお姿こそが最強と言われている神の容姿をしているのだ。つまり、あの聖女が本物の聖女様に成ってしまったと言うことである。しかし、聖女はもう存在しないのである。だから、本物が現れたところで聖教国を救うことはできないのである。しかし、私は諦めずに何とかして、聖教国を守ろうと考えたのである。

それからしばらくして聖女の中身があの偽物の聖女であることが分かった。しかしその事実は私に安心を与えてくれて。この国の人々を騙すことができているという証明でもあったのだ。そして、この国からこの国の敵が排除されたことを確認した私は。私に協力してくださる方たちに褒美を与えることにしたのである。私は彼らの願いをできるだけ叶えるように努力をした。しかし私一人ではすべての人々の望みをかなえるのは限界があった。そこで私の考えた方法は。今までの行いを認めてくれた人たちに新しい名前を与えてあげようと提案することであった。そしてその提案はすぐに受け入れられたのである。こうしてこの国は完全に救われることになった。だが私の国には大きな問題が残っている。それは私の身体の事であったのだ。なぜなら今の私は女体化してしまい。しかもこの聖教国で一番偉い聖女の姿に変えられてしまっているからなのだ。これはどうしたものかと考えていると、急に空間が割れて中から男と女が二人同時にこの部屋に現れてきたのである。

私は、その光景を見て何が起きたのか一瞬分からなかったが。しかしそんなことは今はどうでもいいとばかりに取り敢えずはこの聖教国の王であり元自分の体であった者にこの場で起こった事を尋ねるのである。

しかし、その質問に対する回答に納得できなかった私は聖女の体を借りて攻撃魔法を発動させて目の前の人物を攻撃しようとしたのだ。するとそいつは自分の力を過信していて聖女の攻撃を受けても死ぬことがなかったのである。だから私は目の前の男を倒すため全力を出すことにしたのだ。

しかしその時であった、私が攻撃を仕掛けようとした瞬間であった。私の前にいる男がいきなり苦しみ始めたのである。すると男は突然その場から姿を消したのだ。私としては目の前にいる女に攻撃をしようと思ったら急に相手が目の前から消えてしまって戸惑うしかできない状況であった。しかし私にはこの状況を理解する時間が与えられたのである。その理由は単純明快であった。聖女が男の力によって女になってしまったので聖女が保有していた魔力がこの聖教国のトップであるはずの私に流れ込んできて。私は女にされてしまったのだと。そう考えることができたのである。だから、私がこれからやるべき事はまずはこの体の持ち主がこの聖教国を守るために戦ってくれるのかを確認することだ。

そしてその後の行動はどうするかはそれから決めるとしよう。まずはこの国のトップが女になっているという事実を隠すための策を考える必要が出てくるだろう。幸いな事に私の身体は、この国のために戦い続けた聖女と呼ばれる存在であるからこの国を治める者としてふさわしい見た目を持っているのである。だから後はいかにしてこの国を存続させるのか考えるとしよう。しかし聖女である彼女の体は私に力を貸してくれるはずもなく、彼女はこの聖教国を救うためには自分が聖女であることを隠さないといけないと思っているので私が女であることを受け入れようとしないどころか聖教国の為になるのであれば何でもやるといった感じの覚悟を持った顔をしているのだ。まぁ、彼女からしてみれば自分の人生を賭けて聖教国の為に戦うというのは当たり前の事であるのかもしれない。しかしこのまま何もせずに放置してしまうと彼女の体が死んでしまう可能性もあるので。聖女である彼女を聖教国の国民全員の前で処刑するという案を実行するしかないと考えるのであった。

俺はこの世界の創造主である。

俺はいつも通りの日常を過ごして、何事も無く平和に暮らしていたはずだったんだが、ある日突然俺はこの世界の創造主になっていたのだ。俺の住んでいた地球とは違う世界が存在すると知って俺は驚いたが、それと同時にこの世界に来てくれた人間たちに対して何かできることはないのかと考えた。その結果、俺は、自分が持っている力を使い、異世界転移という能力を作り出し、その能力を使ってこの世界にやってきた人間の事を見守って、何か困ったことがあるとアドバイスをすることにしようと考えたのである。だから俺は早速この世界に転生する人間がいないのか探したのだが俺にはそんな力は無かったのである。だから仕方なく俺の仲間に頼んでみたら俺に出来る事はサポートする事だけで能力を作りだす力はなかったから、俺は俺が創り出したこの世界をただ見守るだけの毎日を送っていたのである。そんなある時、俺の仲間である魔王と勇者たちが俺の元に遊びに来た。

魔王と勇者は仲が良かったのだが魔王が死んだ事で俺と勇者は対立することになったのだが俺は勇者が魔王を倒してくれたことを感謝していた。だからこそ魔王がいなくなり暇を持て余しそうなこの世界にいるより、他の世界に行って遊んできたほうがいいんじゃないかと俺に勧めると勇者はその話に乗り気で俺の提案に乗ってくれたのである。それで俺は仲間である仲間に勇者のことを任せることにしたのだ。そうすることで俺は久しぶりにゆっくりと一人きりで過ごすことができたのである。しかし、俺がそんな日々を送っている時、俺の世界に突如として、大量の魔物と悪魔が攻めてきたのである。そしてその数は多く俺の作ったこの世界ではとても対応しきれないような数が攻め込んできたのだ。そんな絶望的状況に俺は恐怖を感じていると。俺の仲間である魔族の一人が、この世界にやって来た人間と仲良くしたいという提案を出してきて、俺もこの世界で人間と争うのはやめたいと思っていたのでその提案に乗ることにするのであった。そして、この世界の救世主となったその人間は勇者を名乗るようになり、この世界に君臨したのである。

俺はそんな彼の様子を見守ることにしたのだけれど彼はとんでもない方法で問題を解決し始めたのだ。そのやり方はあまりにも強引だったのだがそれでも、結果的にはこの世界に争いが起こることが無くなって平和が訪れた。そして彼がこの世界にやってきてからの数日間の間この世界でのんびりと過ごした後に勇者を名乗る存在は他の場所に旅立って行ったのだ。そしてそれからは、この世界の住人達が勇者の存在を利用して好き勝手にやり始めるようになって、人間とそれ以外の種族の対立が激しくなってしまったのである。それだけではなくてこの世界を侵略しようと他の世界の勢力まで現れ始め、そして、この世界でもついに戦争が始まってしまったのである。そしてその戦争の最前線に、あの勇者が現れたのであった。

あの時のことを思い返すだけでも吐き気がしてくる、だってあれは酷いものであった。俺も勇者があんなにひどい人になるとは思っていなかった。確かに俺が作った世界であいつのやってきたことは許されるものではないがここまで酷いとは思ってなかった。あの日以来俺はあの人のことが許せなくなってしまい、何とかして、復讐してやりたいと考えている。そしてあの人を殺せるチャンスがやっと来た。俺はこの時が来るのをずっと待っていたのだ。ようやく、あの人の命を奪うことが出来るのである。

だけどあの人に俺の存在を知られる訳にはいかないのでまずは手下の魔物達にあの人とその一行を殺すように命令をする。そしてあの人達がこの国に足を踏み入れた時に部下達は一斉に攻撃を仕掛けたのだ。でもあの人たちはそんな雑魚どもを相手にするような人たちではないらしく簡単に撃退されてしまう。しかもその攻撃を行ったのはすべて魔物であるからこそあの人は反撃できずに逃げる事を選んだようだった。それにしてもやっぱりこの国に来てくれて本当に助かったよ。あのまま逃げられてこの国に入ってこないなんて事になったらどうしようかと不安だったからな。あの戦いの中で死んだ魔物たちの死骸の中にこっそりとあの人と勇者がいる死体を紛れ込ませておいたのだ。

しかし、まさかあの人たちが俺の罠に嵌ってくれるとはね、こんな簡単な手に引っかかってくれるくらいあの人たちが馬鹿な人たちなら良かったんだけど。しかし流石は勇者を名乗っているだけあって、あの人は全く油断していない。あの人があの場所からいなくなると、あの人からは、すぐに俺がやった事がバレて俺の存在があの人たちに知られたみたいだ。あの人たちが俺に怒りを向けてくるがもうどうすることもできない。あの人たちの相手はもうすぐそこまで迫っているのだ。あの人たちはこの国の王様に騙されているのだけれど。もうそんな事関係ない。なぜならこの国の王はもうすでに死んでしまっているからだ。そう全ては俺の仕組んだことだ。そして今からその全ての罪をあの人たちに背負わせる。それが、どんな罰を受けようとも絶対に。

あの人たちは聖教国と呼ばれているこの場所で何をしているのかと言えば俺の仲間たちを殺しまくっていた。それも一方的に殺し続けているのだ。そんな彼らを止めるべく俺の仲間である女神が動き出し、聖教国を滅ぼすために戦いを始めた。聖教国を滅ぼして欲しいと頼んでいたけど、その願いを叶える前に滅んでしまったようだ。でも俺としては、聖教国が滅びたことよりも、この聖女に殺された仲間たちを生き返らせる方が重要だと考えていたので、俺の力を使って聖女の魂を取り込み、彼女たちの死体を復活させる。

聖女の体を手に入れてから一週間が経過した。聖女はどうしたら良いのか悩んでいたのだが。俺からしてみればこの国の聖女でいる必要はないと思う。むしろ、この国にいることで危険な目に合う可能性もあるのでさっさとどこかに行った方が良いと考えていた。しかし聖女には聖教国の為になりたい理由があるようでなかなか首を縦に振らない。

「あなたに一つお願いを聞いて欲しいの。この国には困っている人たちがまだ沢山いるはず、だから私に力を貸してくれませんか?」

私は聖教国を救う為に私を助けてくれた人々を殺したくなかったのですが。私に優しく接してくれた人々は殺されてしまったのです。そしてこの国の人々に虐げられている者も多く存在します。だからこの国は一度浄化する必要があり、そのためにも聖女は国を守る存在である必要が出て来るのですよ。ですから聖女がこの国から消えるわけにいかなくなってしまったのです。そして私がこの国の民から嫌われれば私が聖女を辞めても問題は無いと思っています。私が辞めてしまえば誰も私の力を必要としなくなりこの国の人々からも必要とされないようになるので私はこの国の守護者で居続けなくてもよくなるでしょう。

そして私が、私の体を使いこの国の人間たちを殺して回っていましたが、それを聖女である彼女が目撃してしまったのである。私の力に驚いていた彼女は、私の事を追いかけ回してきたのだ。最初は逃げることに徹して、彼女の隙を狙って攻撃をしようとした。しかしその時には私の力が尽きかけていたのだ。そして彼女は私に、どうしてこのようなことを行っているのか説明して欲しいと私に言って来きたのである。

そこで私は正直なところを打ち明けるべきかどうか悩んだのだが。彼女は信用に値する人物だと思い私に本心を語る事にしたのだ。彼女は、聖教国の人々を救いたいと私に訴えかけて来て、聖女をやめるというのであれば、私もその協力をしましょうと言ってくれたので私は彼女に協力してもらおうと思ったのである。そして聖女には悪いが、聖女という称号を失うことになるだろうけれど。私は聖教国の未来を守るために彼女を利用する事にしたのである。そうすれば彼女も喜んで受け入れてくれると思ったのだ。

俺は聖女が俺の仲間になった事で安心して生活できる環境を手に入れた。まず、この世界の人間である勇者たちは魔王を倒した後、元の世界に帰るためのゲートを作り出すための儀式を行うために、魔王と戦った場所で何かをしているようなのだが、その間、この世界の人間は魔物の脅威に怯えて暮らしていた。その事を俺は見ていられなかったのだ。俺の仲間の一人である魔王がこの世界に現れる前と同じように人間たちが暮らせるような平和的な世界にしてあげたい。そのために俺の仲間たちを召喚したのだ。俺の仲間である勇者や、この世界の人間では倒すことが出来ない魔物達を倒せるほどの実力者を集めていたのだから、そんな奴らが人間たちに牙を向かないような世界を作ってやる必要があった。だからこそ勇者には魔王を倒してもらいたかった。だがその勇者はこの世界には来なかった。しかし代わりに現れたのは俺と同じ異世界から転生してきた勇者と名乗る少女と、この世界を救うために勇者と共にこの世界にやってきていた異世界の少女だったのだ。そして俺はそんな二人に事情を説明し、魔王と戦ってもらったのである。

魔王を倒してから数週間の間、俺の仲間である勇者とその仲間と、この世界に転生された俺の元同級生であり、仲間である女の子とその子と仲間だった少女たちの面倒を見ることになってしまったのだ。そんな俺の日常はとても賑やかな物となり、俺自身もこの生活を気に入っている。この世界が、元の地球より住みやすくなっているのも理由の一つだと思う。その理由の一つとして魔物という脅威がないという点が挙げられる。

そんな俺の生活の中で俺は、勇者の幼馴染として一緒に育ったこの子と一緒に暮らしているんだ。彼女は、俺に対して恋愛感情を抱いていて毎日のように愛を囁いている。俺としては彼女とは結婚を前提に付き合っているつもりではいるが。まだお互い学生だしそういうのはまだ早いと思っていたので返事をしてはいない。

そして今日は勇者と勇者とその仲間の女子たちとピクニックに行くことになった。

そしてその日は突然やってきた。いつもの様に俺の家に訪ねて来た勇者が俺のことをデートに誘って来たのである。しかしそれは俺を騙すための罠であった。

俺が勇者に誘われて出かけた場所は俺の自宅から遠く離れた場所である。その目的地に着くまでにもかなり時間がかかってしまったが、その場所に着いた時も勇者は俺の事をからかうばかりであった。

「ごめんね。こんな遠い所まで呼び出しちゃったりして」

そう謝りながら彼女は俺の顔を上目遣いに覗き込んでくる。その姿を見た俺は不覚にも可愛いと思ってしまいドキドキしてしまうのである。俺はなんとか冷静を装い大丈夫だと答える。そしてその後俺達は少しの間雑談を交わしたのだけれど俺が会話の主導権を持つことが出来なかった。なぜなら、俺が質問をするたびに、まるで事前に用意していたかのように、答えを出してきたからだ。俺も頑張って、話を盛り上げようとするも、俺の思いとは関係なく勇者との楽しい時間は終わりを迎えてしまう。

そして俺達がその場所にたどり着いた時俺の意識は既に失われており。次に目が醒めた時は見知らぬ天井が見えたのである。俺の視界に入った女性は俺が目を開けた事に気付いたらしく声をかけてきてくれた。その女性は俺が気絶するまでの記憶を持っているらしく。どういった状況に置かれているのかを教えてくれたのである。

その言葉を聞く限りでは自分の体が女性になっているらしいが。しかし自分の体に手を触れてみた時にその感覚を味わう事が出来た。この感触からするとどう考えても女性の肉体になっていた。しかし俺の心は男性のそれのままである。しかしそれでも俺は自分が男だという気持ちは残っている。この精神状態では、いつおかしくなってしまうかもわからないが。どうにか頑張ろうとは考えている。でもこの体の状態なら普通に生活を送る事が出来るのではないだろうかと考えている。それに俺の傍には、とても可愛らしい女性が寄り添ってくれていて。その女性と仲良くなって、この世界で暮らしていこうとも考えていたのだ。しかしここで大きな問題が発生してしまったのでその問題は直ぐに解決しなければならなかったのだ。

「どうしたんですか?顔色が悪いようですけど。お身体の調子が悪いですか?」

心配してくれる彼女には悪いけど今のこの状況について考えなければならない。なぜこのような状況に陥れられたのかをしっかりと把握しなければいけないのだ。そんな事を考えながらも目の前の女性は、俺の事を心配してくれている。

とりあえずは情報収集から始めるべきかと思い。まずは、どうして俺はこの場所に連れ込まれたのかを確認する。俺の疑問に目の前の彼女が親切に回答してくれて。俺はやっと現状を理解し、納得することができたのである。

それから、暫く時間が経過した後で俺はこの部屋から出ていくことにしたのだ。そして外に出るとそこには沢山の人々が俺のことを取り囲んでいる。そして俺をここまで拉致してくれた人が姿を見せると。俺をここへ呼びつけた理由を語り始めたのである。簡単にまとめると勇者とその仲間が住んでいる国を攻め落とすために利用させてもらおうという魂胆だそうだが、俺は別に構わないと思った。ただこの世界を救える力を持つ人間が一人しかいないというのもおかしな話なので俺は提案することにした。そうすればこの世界の人々は救われるかもしれないのだからそうしてあげるべきだろうと考えた。

そして話し合いが行われた結果、俺と、この国に攻め込む軍勢の代表との顔合わせが行われ。そこで俺は代表と手を組むことに決めたのだ。なぜなら俺はこの国の人を殺す必要がなかったから、そして攻め入るタイミングは俺に任せてもらえることになったのである。

この国での戦いが終われば俺は元の世界に帰ろうと考えていたのだが、どうやら帰れなくなってしまったようである。その理由として、聖教国の人たちがこの国を滅ぼしたいと言っていたので。俺はこの国の人たちが聖教国を滅ぼしてくれれば俺も帰ることが出来るだろうと踏んでいるので、俺はこの国の人間たちが滅ぼされるまではこの世界に居続ける必要があると思うのだ。

この世界の人々にも俺の力は知られているはずなのに、彼らはなぜか恐れることなく近づいて来るのは何故なのか分からない。

そして私はこの国に住む人々が殺されていく光景を見ながらこれからのことに頭を悩ませるのだった。

私が聖女になったきっかけは私が元々住んでいた村で起こった事件の被害者だったのです。私の家族はその事件が原因で死に絶えてしまいました。その犯人は魔物を操る力を使っており、村人たちが次々に襲われて行きました。

私達のような貧しい人々が集まって暮らしていた村にそんなことが起こった理由は、その男が村の外からやって来た人だったからだと言われています。しかしその男を責めるような人はおらず、寧ろみんなで彼を慰めていました。それは彼の力があまりにも強力だったためです。彼がその力を使えたのはその力を使った相手が死ぬ直前で、その時だけその男は強力な力が扱えたと証言する人が大勢いる為、彼が犯した罪というのはその力を使うことしかありませんでした。ですが、その力が強力過ぎたため、彼は魔物に命を奪われる事になったのでした。

私は両親や兄弟や友人を失ったことで心に深い傷が残りましたが、いつまでも泣いてばかりではいられません。だってこのままだと私も死んでしまうからです。そんなことになれば悲しんでもいられない。そう思っていた私はある人物から魔法というものを教えてもらい。私は生き延びることを選びました。そんな生活をしていた私のところに聖女と名乗る人物が現れて、私に声をかけて来たのである。

私は聖女様に事情を話し、そしてこの国が魔物によって滅ぼされてしまう事を告げて助けを求めることにした。しかし彼女の返答は私にとって衝撃的な内容だったのである。

「この国は滅びますよ?あなた方人間は皆殺にされて、魔物達のエサになる運命なんですよ」そう言って彼女は笑みを浮かべていた。

その表情を見た私は背筋がゾクッとする恐怖を感じるのであった。そして彼女は、勇者という人物が魔王を倒してくれさえすれば世界が平和になり人間たちを襲う存在はなくなる。その勇者を異世界の勇者に召喚させる方法を教えた。そして魔王を倒して貰えばその方法は勇者にしか使えない物だから問題はない。その方法でこの国に平和をもたらして欲しいと。

私は彼女の提案を聞き入れてその計画を実行することを決めたのである。

その結果がどうなるかはまだわからない。しかしそれでも今の状況よりもましになることを信じて、私もできる限りのことをしようと思います。しかし勇者が異世界から召喚された女の子の誰かを選んでしまうのであれば。その選択によっては私たちの努力が無駄になってしまう。そうなる可能性もあったのだが、その点は、魔王を倒した異世界の女の子の誰かをこちらの味方に引き入れることに成功して、どうにか勇者が彼女たちを気に入ってくれることを祈る他なかったのだ。そしてその点については、運よくうまくいったみたいで本当に良かった。そして勇者はこの世界の勇者とは違って凄く強い人でした。あの人を仲間に加える事が出来て本当によかったと心の底から思う。勇者は私たちのお願いを何でも聞いてくれたから私たちは勇者を信用して仲間にしてもらいたいと言っておいた。

これで後は勇者が仲間になってくれるかどうかが鍵となってくる。そしてその問題は勇者に受け入れられる形で解決することになる。なぜなら勇者がこの世界に来て数日経った後でその事実に気づく事になるからなのだ。そしてそれは、聖教国にとっては悪夢以外の何物でもない結末へと繋がる事にもなるのであった。その出来事が起こる日を待ちわびながら、今日も私は聖女としての役割を全うするため。毎日のように勇者の元へ訪れる事にしたのである。

俺がこの世界に連れてこられてから約一か月程が経過しようとしていたある日。俺の部屋に俺の元同級生である幼馴染の少女が訪れたのである。

彼女はこの世界に転生させられてからの数日間の間に俺に告白してきており。俺はその告白に対しての答えを先延ばしにし続けていたのである。しかしそろそろそのことについて答えを出しておかなければと思い俺は彼女を自分の部屋に招き入れたのだ。すると彼女が唐突にこんな話を切り出した。どうやら、最近俺の事をストーキングしている女性がいるらしいのである。そんなストーカー紛いな行為に腹を立てていた彼女だったのだけれど。なんと俺に話しかけて来るらしいので俺はその女性に会ってみることにする。

俺は彼女が俺に会いに来た時に俺がどんな態度をとるのかを想像して楽しみにしていたが。俺の前に現れた女性は俺が予想もしていなかった行動をしてきたのだ。その行動は、この世界に存在する筈のない能力を使い。俺に襲いかかってきたのである。

俺はその攻撃を何とか避ける事に成功したのだ。すると今度は俺の目の前にいる女性が、この場には不釣合いであるはずの言葉を口にする。

『ごめんね。まさか、私の攻撃を受け切るとは思わなかったんだ』

その声は明らかに俺の知る少女の声であり。その声の主こそ、勇者の仲間の一人である女性だったのだ。しかし、俺は目の前の人物がどうして俺を攻撃してきたのかが分からず、混乱していた。だから俺はその人物にどうして攻撃してきているのかを訪ねてみたのだが。しかしその人物が俺に答える様子はなく俺に攻撃を仕掛けてきたのである。しかし俺はどうにかその女性の剣技を受けきることができたのであった。しかし女性の動きは、俺の知る女性のそれよりも格段に早くて俺は防戦一方の状態に陥ってしまい、その状態はしばらく続くことになったのだ。

そしてその女性が息が上がり疲れ切ったところを狙って、俺は彼女に蹴りを放つと女性は壁に叩きつけられてしまう。そして壁に衝突した際に大きな音が発生したせいで俺の部屋の扉が開かれたのであった。そして、俺の部屋の惨状を見て唖然としていた。俺自身もこの状況がどうして出来上がったのか分からない状況だったので俺もどうして良いかが判断できなかった。そんな中で最初に言葉を漏らしたのは部屋の入り口付近にいた金髪の美人の女性だった。

「どうしてあなたはこの世界にいないはずの人間がこの場所に現れることが出来たのですか?」

そう言って、その女性に詰め寄ろうとする女性だったのだけれど、しかし彼女は突然その場に崩れ落ちてしまったのである。そしてその瞬間俺の視界は暗転し意識が薄れて行く。

次に目が覚めた時にはそこは見覚えのある場所で、俺は女神が暮らす家にいた。俺は何故ここに戻ってきたのかという疑問が頭から離れなかったのだ。俺としてはあの場所にいるはずがない存在と会話をしていたはずなので当然といえばそれまでだ。俺はこれからどのように行動して行けばいいのかが分からなくなっていたので、とりあえずは女神に会うことにした。

そうして再び俺の前に姿を見せてくれたの女神だったが、俺は彼女と話していく内に違和感を覚えたのだ。それはこの世界の時間軸が狂ってしまっているということが分かり俺はそのことに気がついたのだが。そんなことは気にする必要がなかった為俺の中では、この事はそこまで重要視する事柄ではないと判断して頭の隅に追いやった。ただそれだけのことだったので俺は女神にそのことを報告する必要性は感じていなかったのでそのまま何も言うことはしなかった。

俺はそこで改めてこれからどうするべきなのかを尋ねてみると、どうにも俺のスキルの力ではこの世界を救いようがないのだという話をされ、この世界を救うことが出来る人間は一人しか存在しないらしく。それは、俺と同じ世界から来た人間で。俺の知っている女の子の中から選ばれる可能性が高いという話を聞かされることになる。

それを聞いて俺は正直な感想を述べさせて貰うと面倒なことになったと思う気持ちの方が強かった。なぜならこの世界に召喚された俺は、勇者として祭り上げられてこの世界を救済しろと言われているからだ。そんな俺の思いも知らないで俺が呼び出されたという女の子達はこの世界を救おうとしている。

俺は別にそんな世界を救ったからと言って見返りなんて欲しくないんだけど。そんなことを言えばこの世界の人々全員を敵に回すことになる。そんなことを言われても俺には何も出来る気がしないんだよな。それに勇者は魔王を倒した後に、元の世界に帰ることを許されていた。だから俺がこの世界のために勇者として生きる意味はないと思っていた。だけどこのままだと勇者に選ばれた人間と選ばれなかった人間の扱いに差があるんじゃないかと思ったのだ。それでこの世界で勇者に選ばれなかった人たちは悲惨な人生を送ることになりそうだった。それを何とかしたかったのが。この世界に召喚された勇者なら誰もが思うはずだ。勇者という存在が特別なものなんだと理解できたが。勇者になれなかったという現実を突きつけられた人たちが可哀そうだと感じた。

俺はそのことを考えながらこの世界をどうするかを考えるのであった。しかし俺は考えれば考えるほど。勇者になりたくない。勇者になったからといって何かができるとも限らないから。でも、そんな理由で、俺の大切な家族が酷い目に遭われるかもしれないのだと思うと考えるだけで怖くて仕方がない。だからこそ。勇者になることがどうしても嫌だというのであれば、他の選択肢がある。

それは、この国の王様や王妃を洗脳し俺の命令を聞く奴隷にするということである。俺の固有能力は、相手の心をある程度操ることができるのだ。その力を使えば簡単にできるのでは無いだろうか? そしてそう考えたらすぐに実行することにした。そうしてまずは俺のことを一番最初に好きにさせる人間を選ぶ必要があるなと考え始めるのであった。

俺はそうしてこの世界の人間を使って実験を始めることに決めたのである。俺はまず初めに勇者の仲間になる権利を得た女の子達に俺の虜になるように催眠をかけようとした。

その結果。一人の女性が俺に魅了されることには成功したのだが。俺はその女性をどうやって攻略すべきかを悩んでいたのである。なぜなら俺の知るその人は俺のことを嫌っていて、とてもじゃないが好感を持ってくれているとは思えない。その人の俺への嫌悪感はかなりのものだろうと思う。だって俺のことを汚物を見るかのような目つきで見ているんだもんよ。

その人と仲良くなりたいのであれば、俺はその人が絶対に受け入れてくれるような内容の話をしなければいけないということになるわけだが。そうなると俺の方も彼女の事が気になっていることを伝えないといけない。しかしそんなことを言ったとしても、そんなの信じられるか!! って怒鳴られるだけだよ。そうなったら俺は一体どうしたらいいのかが本当にわからないのだ。

「俺の何が悪いって言いうんだよ。確かに俺は、あいつに対して嫌われることをやっちまったかもしれねぇ。いや実際やってる。だから俺は今更謝ることもできないし。俺が何をしても許されるって思ってる訳じゃねえけど。でもせめて。俺は、あの女とまた昔みたいに笑って話がしたい。そのためにも。俺も頑張ってみることにした」

俺がこの世界に来て二週間くらいが経った頃に。ようやく俺は、自分の本音をぶちまける覚悟を決めることができて。あの女の元に足を運んだのである。そして、俺は自分の本心を全て話したのだが、俺の想いをその人に伝えることは出来なかったのだ。そして、俺はその場から逃げ出したのだ。

俺は結局自分の臆病さから逃げられなかったのだ。だから、もう俺は自分のやり方を変えることにするのである。

俺の固有能力をうまく使ってやろうじゃないか。そしてこの能力を利用して俺は。あの女神の言っていた勇者以外の人間たちを助けるために。色々と手を打ち始めたのである。

俺は、この世界を救うためではなくて、それ以外の方法でこの世界を救済しようと考えて動き始めていた。そもそも勇者に選ばれる可能性がある人間が、この世界にいる俺を除いた人間たちの殆どであり、その中で特に選ばれた人間が問題であるのだと考えた。だから、勇者に選ばれた人間が全員敵だと考えるべきなのだと考えて行動を始めたのである。

そして俺の考えが正しかったのか、俺はある事実を確認することが出来た。そしてそれが真実であるかどうかを確かめるために俺は、自分の記憶を頼りにその場所に向かったのである。そしてその答えはすぐに分かったのだ。そしてその回答によって、勇者の仲間であるはずの女性の行動に疑問が残ったのだが。それでも彼女が嘘をつくメリットはないだろうと思ったため。この世界の歪みは俺の思っていたよりも遥かに大きいのではないかと思ってしまう出来事でもあった。

ただ俺が思った通りに、勇者は偽物の可能性があり。そして本物の勇者の実力もかなり弱いのではないかと推測できたのである。なぜなら俺は、その人物と戦ったことがあったので分かるのだが、あの時俺はそいつが全力を出していたとは思えなかったのだ。しかし俺が知っているそいつと目の前の人物が同一人物であるという証拠はないので、確証はないのだけれど。

俺はとりあえずこれからの事について考え始めることにする。まず俺の目的は二つあり、一つはこの世界の現状を調べるということ。もう一つは自分が生き残ることである。

まず一つ目の方については大体把握しているのであるが、やはりそのことについても調べる必要があると思っているのだ。しかし俺一人でこの世界を探っても、限界があるので。その辺りの問題を解決するために俺は協力者を探すことにした。そしてこの国では国王が一番偉い存在であるという事だったので、その権力を使い協力してくれそうな人を一人選んで貰うことにしよう。

俺が選んだ人間はこの世界で一番権力があり、尚且つ、俺の話を聞いてくれそうな人物を選び出してもらった。俺がこの世界において、勇者の仲間の一人である女性から聞いた情報をそのまま伝えたので、俺の知っているその人物は驚いていたが俺に協力してくれると言ったので安心したのだ。しかしそこで、この女性が何故そのように動こうとしているのかという疑問を抱いたのである。俺の予想していた内容とあまりにも違ったからだ。

俺は、俺の知っているその女性とは全く違う人格になっていたのだが、そのことを問い詰めてみたのだが俺が求めていた返答が帰って来ることはなかったのである。しかし俺の協力を得る為にはそうするしかないので諦めてその女性の言う通りに協力するしかなかったのである。

俺がこの世界に来た時にいた場所に戻るのであれば、勇者に召喚されなければならないので、それを回避するためには別の方法をとらなければならなかった。そのためにまずは俺は、自分のことを勇者として認めてくれなかった、他の仲間たちに俺の有用性を見せつけることにした。

俺は自分のステータスカードを見せることで証明することにしたので、俺の固有能力を見せ付けることにより、俺の言っていることが本当のことだということを理解させようかと思ったのである。

そのおかげで俺の言葉が嘘では無いということを信じてもらえることになったので良かったと思うのだが、ただそこで、俺は仲間だった女の子に告白をされることになる。俺はその女の子から愛の告白を受けることになるが、俺はその好意に応えることが出来なかった。

俺はまだ誰かを好きになるという感情を理解していない状態で付き合うとか結婚するとかありえないと、考えていたので、その子の気持ちは嬉しく思うし、もし付き合ったとしても。いずれは上手くいかなくなってしまうんじゃないかと、俺はそう考えたからだ。だから俺はまだ誰ともそういう関係になりたくなかったのでその申し出を断ることに決めていた。それにこの女の子が本当に俺の事が好きなのかどうかもまだ判断できていなければ。この女の子のことも信用するべきかどうか迷っているところもあったのだ。だから俺はその告白を受けなかったことに少しだけ後悔してしまった。でも俺は、そんなことを考えながら、これからどうするべきなのかを考えていたのである。

俺はこの世界で勇者の仲間の一人の女性に、俺の味方になってもらうことに成功して一先ずはその人の目的を完遂させることを優先するために俺はこの人に協力してあげることにしたのであった。それから俺は、この人の願いを叶えるために、俺はその人と一緒に行動をすることになる。

それでこの人は何をしようとしているかというと、自分の兄に会って欲しいと言ってきたのである。その人のお兄さんと俺は、この世界で初めて出会った人だった。そうして俺が、その女性のお姉さんの願いを聞き入れる形で、この国の王様に会うことになるのであった。そうして俺は王様の前で挨拶することになったのだが、俺はその時王様の顔を見て、一瞬にして王様に対して警戒態勢をとる羽目になってしまったのだ。なんせ俺はその王さまの顔に見覚えがあったから。俺がこの世界に飛ばされる原因を作った元凶の人物だと思っていたからである。

「よく来た勇者殿。わしの名前はダリアド=グランバルト。この王国の国王を務めている者である。今日はよく来てくれたな」

「ああ。俺の名は神崎直人です。よろしくお願いします」

「おおそうじゃったな。君は確か転移魔法の事故でこの世界にやって来たと聞いたのじゃが。その話は本当なのじゃな?」

王様はそんな質問を投げかけてきた。だが王様は何か違和感を覚えている様子だった。俺は王様に何を話すべきなのかを考え、その人について話すことに決めたのである。そしてこの世界の人達にはわからないような単語や魔法名を使って説明したのだが、その話をしてすぐに俺が普通ではないことに気付いたのか俺に敵意を向け始めたのである。

「なるほどな、そうやって自分の身を守ってきたという訳か、君にどんな事情があるのかわからないが。君の話を全面的に信じることはできない。しかし君にはこの国の救世主になってほしいと考えている。だからこの国のために力を貸してほしい」

そうして俺は、王様からそう言われてしまって。俺は断りたいと思ってしまったのだが。ここで断った場合。その人はきっと不幸になるんだろうと思う。そして俺は仕方なくその頼みを引き受けることにしたのである。

ただ、俺の固有能力である洗脳の能力は。相手に抵抗された場合に解除されてしまうという欠点が存在しているのだ。だから、その女性のお姉さんに対してこの能力を使うことができない。

俺の能力を使えば、洗脳は解くことが可能だとは思わないだろうか。しかしそれを実行してしまうことによって俺はどうなるのか分からないのだ。俺が、俺の意思に関係なく。この世界を救済するために動かされることになる可能性もあるのだ。

その人が、この国を救ってくれるなら別に構わないのかもしれないが。俺は、自分が何のためだけに行動しなければならないのかわからなくなってくるだろう。そんな状態になってしまうことが考えられるので俺は、その女性にこの能力を使わないことを選んだのである。俺がこの世界に来て初めてこの世界の人間で仲良くなれそうな人なんだ。だからこそ俺は、俺の目的のために、彼女を利用しようとは思えないのだ。それにその女性が俺のことを嫌いなことは知っているので、無理強いはできないと思ったので、俺はその女性の頼みを聞く形をとったのである。

「私は、貴方のお嫁になりたいと思います。私の事は気にしないで下さい。私は、あなたのような素敵な男性に出会えただけでも幸せなのです。だから私が今一番望むことはあなたの側に居て支えてあげることだと考えております。だからどうか私と結婚して頂けませんでしょうか? この国は一夫多妻制度なので、大丈夫ですよ。それと私達二人は夫婦になっても一緒に過ごす部屋は同じになりますよ」

俺がこれからの行動の方針を決めかねていたときに俺に向かってその女性は、自分の思いを伝えてきてくれるのである。正直俺はまだ彼女のことをほとんど信頼できていないのだ。だけど俺はその人の願いを受け入れることを決めた。そして彼女が言った通りその女性とは夫婦になったのだが、やはりどうしても俺の心に引っかかることがあり、それはこの人を信用していないという事だろう。そして俺はその事に関してずっと考えてはいたが、結局俺の悩みは解消できなかった。

そして俺達は城の中にいた人達の歓迎を受けて、豪華な食事まで用意してもらったのだ。俺はその人たちに感謝の言葉を伝えると俺の言葉を聞いた人々は涙を流していた。どうしたのかなと思ったらその人たちはこの国に勇者が現れたことに喜んでいたようだったのだ。そういえばこの世界の人間は魔王を倒したりとかいう設定のアニメをみていたことを思い出したのだ。だから俺はもしかしたらこの人達にとって、俺が現れてこの国が救われると嬉しい状況になるのではないかと考えたのである。俺はとりあえずこの国を救う為に頑張っていくことを決意したのである。

そして次の日になると城の外には大勢の人々が集まっていて、俺に歓声を送ってくれたのである。そこで俺は、この国に住む人々の幸せを守る為に戦うことを決意する。それから俺は俺の仲間の女性に、俺の考えに賛同してもらうために。その人と手を組むことにする。そうしないと、この世界を旅することが難しくなると思ったからだ。そしてその女性は了承してくれてこれからの旅路に仲間が加わることになるのだった。

その日から俺達の旅が始まるのだった。

俺が王様から頼まれたことはこの王国で起こる問題を解消する為に尽力して欲しいと言われてしまったので、その問題を解決することになってしまったのだ。

それで、まず最初に俺達がやったことと言えば俺が元いた世界で、魔王の配下だった人物を一人探す作業を始めた。そいつは今はどこにいるのかわからなかったが、おそらくその魔王の居場所を知っている人物だと考えていた。俺はこの世界にその男が現れる可能性にかけて探し回っていた。そんな時にある人物が俺に接触してきてくれて、俺に情報提供をしてくれると言うので、俺はその言葉に甘える事にしたのだ。

その人は女性だったのだが、年齢は30歳ぐらいだと思う。この世界において俺は見た目だけで年齢を判断することは難しいが、おそらくそうだろうと思っている。俺がその女性の年を推測できた理由は彼女は俺よりは若いはずだからだ。俺はこの異世界に飛ばされてからこの方。外見を全くいじっていない状態だった。俺はその女性の話を聞いていくうちに俺の持っている情報が間違っていないことを確認したのである。この女はその男のことを探しており、俺もその人に会いたいと思っていたところだったのでちょうどよかったのである。

それで、俺は彼女と話をしている間にその人の事を少しだけ知ることになった。その人は昔冒険者としてこの世界で暮らしていたが突然失踪してしまったらしいのだ。それこそ、この世界では行方不明になったという扱いを受けているのでその男の人はもうこの世には存在しないのではないのかという風に考えられてしまっているようだ。だからその人の情報はとても少なかったのだ。しかしその男は確実に存在していると確信できる根拠が存在したので俺としては安心していた。その根拠とは、この男が魔王の城に出入りしていたという証言だった。

それ故に俺は、その男の人を探してその人から色々と情報を引き出したいのだ。だからその男を見つけることに関しては特に苦労することはないだろうと考えていたのだが問題は別にあった。そうそれが、魔王についての情報なのだ。俺は、俺が転移魔法の実験をしたときに現れた少女のことが気がかりだった。あの子も確か同じような格好をしていた記憶がある。それにあの女の子からは何か普通の女の子とは違う感じのオーラを感じることがあった。それはまるで俺が今まで会ってきた勇者や英雄と呼ばれる人と同等レベルかそれ以上なんじゃないかと、そんな雰囲気を感じ取ってしまったほどなんだよな。そんなことがありながらその女の子を探すことは困難を極めていたのである。だが俺の仲間がこの女の子に会ったことがあるということなので何とか見つけることができそうである。

俺はそれからしばらくの間はその人の案内によってある洞窟に向かうことになるのだが、その洞窟の中にはなんとも禍々しいオーラのようなものが存在していたのだ。そして、その奥に進んで行くとそこには魔族の王様と思わしき存在と。この世界の脅威となっているであろう人物がいると思われる場所を発見する。

そうして俺と仲間の二人でその場所に突入していった。俺達の目的はこの世界で脅威になっているその人物と、俺が元の世界で魔王と呼んでいたあの少女を殺すことだった。その二人は、とても強く。この世界でもトップクラスの実力を持っていたはずの俺と、仲間でもかなり強いと言われているその女の人がいても、敵わなかったのである。それで、その二人が戦っているのを見た俺は。俺はこの二人の戦いを止めなければいけないという気持ちになってしまい。その戦いを止める為にその二人の戦いに飛び込んだのである。その結果その二人は動きを封じることに成功したのであった。しかしその時その二人が俺の目の前にいる少女と同じ姿をしていたことが分かって俺は驚愕する。俺の頭の中では疑問符が次々と生まれていて訳がわからなかったのだ。

そしてその二人の少女に俺は拘束を解くように言うが聞いてくれなかった。

そしてその時俺はなぜか俺の洗脳能力が効いていない事実を認識させられることになったのだった。その理由は分からないけど、とにかく俺の能力は、俺に敵対する者にしか効果がないのかもしれないと俺は考えたのである。そしてその考えが正しいという事がすぐに判明してしまうことになる。

そう、その少女に話しかけようとした瞬間に急に俺の体が動かなくなってしまったのである。そうして俺はその謎の力で、その場の地面に固定されてしまった。俺の手には剣が握られているのだが俺は身動きを取ることができないのでどうすることもできないのだ。その光景を見て俺は自分の不甲斐なさを感じていたのである。そして俺の体は俺の意思とは無関係に動くようになってしまうのだった。

俺は俺が意識を保っている状態で自分の体を乗っ取られてしまうのが許せなかったのである。だから俺はその俺の意思に反して勝手に体を動かしてくる奴に向かって俺は攻撃を開始した。そしてそいつを殺せるかどうかわからないけれど、殺す気で俺は攻撃をすることにしたのだった。

その男の名前は、デモンと言い、俺がこの世界で初めて出会った人間だ。そして、この男から聞き出したことで、俺は俺の世界が、この世界に召喚されたことを知っているということがわかった。それで俺は俺の世界がどうなったのかがすごく知りたかったのである。ただそんな時に俺はこの世界に飛ばれた原因である勇者と名乗る人物が、現れたので俺は勇者のことも調べる必要があると思い始めた。それにこの国で起きた出来事にも詳しくなる必要もありそうだ。

ただその前に俺は、その男を倒すことにした。その男はあまりにも強かったのだ。俺よりも明らかに格上の存在であったのだ。だけどその程度の力差があったところで俺は負けることはなかった。そして最終的には俺はこの国を救ったのだとこの国の住民達に称賛されることにもなったのである。だけど俺の心にはモヤがかかるような嫌な気分になってしまっていたのである。そのモヤの原因はやはりこの世界に存在する謎の存在を放置しておくことはできないと思ってしまったからだ。

そしてこの世界がどういう目的で創られたものであるのかという事も知りたいとは思うが、その事は今はいいと思った。とりあえず、まずはこの世界を平和にする。そうすれば、いずれはこの世界のことを知ることができるのではないかと考えたので、とりあえず俺は世界を平和にする事に決めたのだ。それで俺は俺の仲間たちと協力して。その問題にあたることに決めて俺はまず最初に俺がいた世界に戻るための情報収集を行う事にしたのである。

俺は元いた世界に戻るための行動を開始することにした。そのために俺が何をしようと思ったのは、勇者と呼ばれている男から情報を引き出そうと思ったのである。

勇者から話を聞けば色々とこの世界のことを聞けるのではないかと俺は考えていたのである。

そう思っていたら俺の元に、魔王を倒したと勇者様がこの世界にやってきたという話を聞き付けて、俺はこの国の王に会うために、城に訪れることにする。城に入るとそこには王様とその隣に綺麗なお姉さんが立っていた。その人はお姫様なんだろうなって俺は感じてしまった。だから俺は失礼のない程度にその人を観察していた。そのお姉さんの容姿をじっくりと見ているのには別の理由も存在していた。それはそのお姉さんのお腹が大きくなっていたからである。そして俺がそのことを考えているときに俺は、俺に対して挨拶を行ってきた。それで俺はとりあえず自己紹介を行い、この国を救う為に協力してくれる人を募集しているということを俺は告げられる。そこで王様はこの国に起こっている問題を簡単に説明し始める。その話は正直俺にとっては興味がなくあまり覚えていなかったのだ。

だから俺にとって一番重要に感じたことは、その問題を解決するにはこの世界に存在する魔王を倒してこの世界を救うためだということだ。

その話を聞くとやっぱりこの世界にもいるんだろう魔王がって思って俺は内心では焦り始めていた。

だってこの世界にはまだ俺が探し出せてないあの子がまだいる可能性が高いのだ。俺は早くこの問題を解決しないと、この世界での本来の目的が達成できないと思っていたのである。俺の目的とはあの子がどこにいるのかを知ることである。そのことだけが今の俺にとっての最重要項目であり、それ以外にはあまり関心がなかったのだ。それにしてもこの勇者は俺が求めている人物ではないような気がした。そうすると他に勇者が来ていても、俺には何も知らされずに終わる可能性もある。それだけが気がかりなのだ。俺は、あの子のことは自分でなんとかするしかないと考えているがそれでも、もしあの子を見つけることができなかった時のことを考えておかないとダメだと思う。あの子を見失うのだけは絶対に回避しなければならないからだ。だから、あの子にもしものことがあれば、俺は一生後悔することになる。そうなれば俺の人生は完全に終わってしまうだろう。そうならない為の最善の方法を考えないといけないのである。だから俺の目的はあくまでも魔王の捜索であって、この世界の問題の解決ではないのだ。だからその辺は注意するようにしていこうと俺は決意したのであった。そうしなければ魔王が見つからない可能性の方が高く、魔王が見つからなかった場合に、俺は元の世界に戻れなくなってしまうのだから、だからこそこの世界の問題に取り組まなければならないと思っているのだ。そうして俺は魔王についての話を詳しく聞こうと思っていたのだ。だが俺がその魔王の話を始めようとしたときに、急に俺は誰かに襲われてしまい。その襲撃者に俺の洗脳の能力を使って拘束することになってしまう。そして俺は俺の体に勝手に動く能力を使った人物を殺そうとした。しかしその男は普通じゃないほどの力を持っていて俺は殺されそうになるのであった。

俺は自分の意思に関係なく、体を動かしてくる男の人を何とか倒すことができた。そしてその人が、俺の敵なのかそうでないのか判断することができずに、俺は少し混乱してしまったのだった。

俺の視界の中には俺に攻撃を仕掛けてくる奴の体が映し出されている。その体の形は間違いなく人間のそれだった。しかし人間離れをした力を持っていなければここまで強い人などこの世界にはいないだろうと俺は確信することができた。そして俺はそいつが俺がこの世界で初めて遭遇することになった。この国の危機を救ってくれた人である、あの人のことを思い浮かべながら戦っていたのである。その人の力は確かに異常なほど強く、俺もその人の力の一部を受けることができていた。そしてそんな人にこの国を守ってもらったからこの国が今存在しているのだという事を考えると、俺もこの国を守らなくてはいけないと俺は強く思ってしまったのだ。

「お前は何者だ?」

「俺の名前は魔王と呼ばれる存在にこき使われていた奴隷のようなものだ。それで今はこの世界で俺の力に敵う者はもう存在しないと言ってもいいかもしれない、この世界の強者を俺は倒しつくした。だから、後はお前達だけになる。それでお前は俺を殺しに来たんだろ。その剣はそういうことだよな」

そう言って男は俺の方を向いてきた。俺にはなぜ目の前の人物がそこまで自分に自身があるのかがよく分からなかった。俺は自分の力がまだまだ弱いものだと理解している。それこそ目の前の男より確実に弱く感じる程にね。だけど、その男は自信満々に言い放っている。

それに俺達の仲間は、俺を除いて誰もその男に勝てる人物はいなかった。その男は本当に異常であると感じたのである。でもここでその男の言っていることが本当ならば俺は、こいつに勝たなければいけない。俺は自分の力でこの目の前の化け物を殺す必要があったのだ。それがこの世界に召喚された者の宿命であると俺は思ったのである。そう俺はこの時から、魔王と戦う運命になったのだった。

そして俺の目の前に現れた男が、この国を守るために戦うべき相手がその男だったのだ。俺はこの男を殺す気でいた。そして俺は全力を出してこの男と戦ったのである。だけど男は強かったのだ。そしてこの男との戦いの中で俺はあることに気づいてしまったのである。

この男は自分の体を自在に操ることができていると、そしてこの男はおそらく俺と同じように他人の体を支配できる力を持っていると俺は推測した。だけど俺と違ってこの男は自分の能力で他人を支配しているというわけではなく。自分と同じ能力をその能力に付与させるような能力を持っていたのである。そしてその能力はその男が持つ圧倒的な力で、相手を支配する事ができる能力だと俺は推測する事にしたのだ。つまりこの男は相手の能力を無効化してしまうことができるのだ。だからこの男が持っている能力を使えばこの男の身体能力で圧倒することも可能だと考えられる。

そう俺は考えていた。そして戦いの最中俺は隙を見つけ出して、その男を拘束する事に成功したのである。そのあとでこの男にいろいろ質問をするが、その男は自分が何者であるのかを教えようとはしなかった。

「それで貴方の名前はなんですか?教えてくださいよ、俺は貴方の名前をまだ知らないのですから、それとなんでいきなり襲いかかってきたのかも説明してくれますよね」

そういって俺はそいつに向かって笑顔で話しかけたのであった。

俺は目の前で起きている現象についてどうすれば良いのか悩んでいた。そう目の前にいる俺が倒したはずの男は、俺の攻撃で死ぬことがなかったのである。その男は生きていたのである。そしてその男はこの世界の理を理解していながらも俺に攻撃してきたのであった。その男はいったい何を考えているのだろうか、そんなことを考えながら俺は目の前で起きた出来事が信じられず動揺してしまっていたのである。だけどそんな状況であっても、俺には俺の役割というものが存在しているのだ。俺は、俺の仲間たちが俺のために用意してくれたこの世界での戦いを終わらせにいく。

俺は仲間に貰った大切な剣を取り出した。その剣の見た目はシンプルだけど美しいもので俺はこの剣を手にして初めて戦うことが出来た。そして、この世界に来て初めての実戦に、緊張しながら相手を観察していたのである。

俺はこの世界で始めて出会ったこの世界の勇者と呼ばれる存在と戦わなければならなかった。そうしないと俺の世界に平和がやってくることはないと思ったからである。

俺は、自分の中に眠っていた謎の力が目覚めてしまったとき、この世界は実は俺がいた世界とは別の異世界であるということがわかったのだ。その時に、その世界に召喚される直前に聞いた声の主が、俺はどうしてもこの世界で必要な人物だという事を言われたような気がしたのである。

そうすると、その人物こそが俺がこの世界から脱出するための鍵を握っているという事がわかるのだが、俺にはまだその鍵がわからない。だからまずはこの世界に平和を取り戻す必要がある。この世界が平和になれば俺の脱出に使える道具が手に入る可能性がある。

そう俺は考えている。だからこそ俺は俺の使命をこの世界に生きている人達のために捧げると決めていた。この国では勇者がこの国の救世主のような扱いを受けているらしい。この国には、この世界を危機へと陥れる元凶である。魔族と呼ばれるものが存在する。その存在のせいで俺たち人間は追い詰められていたそうだ。しかしある日突如としてこの国の中に魔王を名乗る人物が現れたのだという。その人物は突然この世界に現れて。この世界に君臨してしまった。そしてこの世界の住人たちに宣戦布告を行った。そのせいでこの世界の人々は怯えて暮らすようになってしまった。その結果が今の現状であるとこの世界の王は言っていたのだ。その言葉を聞いたときに俺はなんともいえない恐怖感を覚えてしまった。それは魔王と名乗るその人物が、まるで俺の知り合いに似たような感じの人物だったからだ。そうその人物は俺が知っている人と似ているのだ。

そう、俺はその人と一緒に元の世界に帰れなくなる覚悟を決めて魔王と戦い、そして勝つことに成功したはずだった。それなのに俺はまた元の世界に帰れなくなっているのである。どうして俺が元の世界に帰りたいと強く望んでいないのにもかかわらずだ。俺はそのことに対して非常に腹立たしく思っていた。でも今はそのことを考えている時ではないのは事実だと思って目の前の敵に集中する。目の前の敵をしっかりと倒すことができなければ俺がこの国に訪れることはほとんど無いだろうから。だから俺はその男の行動を一つ一つ注意深く見つめていく。そうするとやはり目の前に倒れているその男は死んでいるわけではなかった。

この人は死んでいないのにも関わらず、俺の攻撃を受けると、なぜかこの人は生き返るのだ。どういう原理なのかが全く理解できないけど、この人の体の仕組みが変わっているのだけは分かる。そして俺は目の前の男を倒す方法を模索しながら剣を振り続けていた。そして何度も俺はこの男を切ろうとしたが、この男はすぐに復活してきて俺の前から姿を消すのだ。その行動があまりにも不気味で俺はその男をどのように殺せばいいのかわからず、ずっと戸惑っていたのだ。だから俺はその男と距離を取るために一旦、後ろに飛び退いて、その男がどう出てくるのか様子を観察することにした。そうしなければ、俺の行動パターンを全て読まれてしまう。

俺は、そう思ってその男に隙がないかどうかを観察し始めた。だがいくら待っても、目の前の男からは俺を攻撃する気配すら感じ取れなかったので俺はその隙を見極める事ができないと判断して、すぐに行動に移す事にした。そうして俺は男の視界を奪うため、視界を奪った。その男は視界を奪われても俺の位置が把握できてしまっているらしく、簡単に避けられてしまったのである。俺は、視界を奪われたことで焦った。なぜなら俺の能力には、自分の視界を奪ってしまった場合は俺の姿が敵に見えないだけで。それ以外の感覚的な情報は俺にも伝わってくる。それに加えて相手の視界を奪うということは相手にこちらの攻撃を避けられないということにつながるからでもあるのだ。俺はそんな考えを頭に浮かべた直後、その男が俺に向かって飛んでくることを確認できたのである。そしてその男の攻撃を回避することができずにそのまま直撃してしまった。俺は痛みに耐えきれず地面に倒れた。俺はその男の攻撃を避けることができなかったので自分の体がどのような状態になっているかよく分からなかった。しかし俺の体に異変を感じたことから、もしかすると大怪我をしているのではないかと思っていたのである。俺は自分の体を確かめようと試みようとした瞬間、俺は意識を失ってしまった。

俺は、意識を失っていた間に、不思議な光景を目にする事になった。俺は、何か大きな白い翼を持った人型の生き物を眺めているところだったのである。

そして俺はその人型生物が何者なのであろうかという興味があったのである。そんなことを考えている最中、俺は急に誰かの視線を感じ取った。その視線の方向を見ると俺のことをじっと見つめている一人の男を発見した。

俺は、目の前に立っている男を見ていたらなんだかいやらしい気持ちになったのでとりあえず目の前の男を殺そうとしたのだ。そう俺には殺すべき人間がいる。目の前にいる男に気を取られていてすっかり忘れていたが俺は、その男を殺す必要があったのだ。俺にはやるべき事がありそれを邪魔しようとしている存在を放置することなんてできなかった。

そう思いながら俺は剣を手に持ってその男に向けて振り下ろしたのである。

だけど俺は自分の手が止まっていることに気づくことができたのだ。なぜだろうか?そんなことは分からないがとにかく俺はその男を攻撃できなくなったのである。その男と話をしてからならわかるかもしれないと思った俺はその男に話を持ちかけることにしよう。

そうして俺はその男に質問をしてみることにする。そして男の言葉に衝撃を受けたのだ。この男の名前は佐藤雄二と言い。そして俺の名前を聞くなり驚きを隠せないでいるようだ。まぁ、それは当たり前だろう、俺は勇者だ。そして勇者はこの世界での救世主として扱われている。この世界で生きる人たちにとって勇者が俺の味方だということを心の中で思わないで済むはずがなかった。そして俺はこの国を守るために勇者の力を使うと伝えた。そして俺の力を実際に見せつけてあげることしたのだ。

俺は剣を取り出したのだ。この剣は仲間が用意してくれたものなのだ。俺の仲間たちが一生懸命に作り出してくれた特別な剣で俺はその剣を手に取って戦いを始めるのであった。

そして目の前の男の隙を探り始めるが隙を見つける事はできなかった。だからその隙を作り出す為には相手の動きを封じることが必要になってくると俺は思ったのだ。だから俺はまず相手の目隠しを行うことに決めたのである。

俺はまずその男がどうやって復活しているのかがわからなかった。もしかしたらその男が特殊な方法で復活する力を手に入れていることは予想がつくがそれでもその方法はわからないままだった。

そこで俺はまず最初に目の前の男の視力を無くす事で相手が俺の攻撃をどう避けようとするのかを知ることにした。だからまずは相手の目の前で爆発を起こした。その攻撃で相手は怯むことなく平然と立ち続けている。だけど俺はその男の動きから相手がまだ無傷だと察することができたのである。だから相手が立ち上がろうとする前にもう一度同じ場所に攻撃を与えた。

今度は、その攻撃に続けて俺はその男の腕に攻撃を仕掛けたのだ。俺はこの一撃でその腕を切り落とそうとしたが、俺の斬撃は、男に当たる寸前に跳ね返されてしまうのであった。

俺は何が起きたか一瞬だけ混乱してしまうが俺は即座に冷静になることに成功する。俺は剣を構えて男の方を見据える。そしてこの男が俺の攻撃を防ぐ手段を持っているということを瞬時に理解することが出来たのである。つまり、目の前の男は、俺と同じスキルもしくはアイテムを所有している可能性があるのだ。だから俺は警戒レベルを上げたのである。

俺は目の前の敵のステータスを確認することにしたのだ。

そうして確認してみたのだが、目の前の男は、俺とのレベルの差はかなり開いていることがわかった。この数値から推測できる可能性としては目の前の男は、かなり強い能力を保持しているということになるのは明白だったのである。だからといってこの男が特別扱いされて良いわけでもない、俺にとってはその程度の力でしかないのだからな。だから俺はこの程度の強さでは負けない。そして俺に勝てると踏んでいる目の前の敵に対して俺は圧倒的な実力差を見せつけることで絶望を与えることを俺は決心したのである。そうしないと、こいつを俺の仲間に引き入れることができないと判断したからだ。

そう思ってから俺は、目の前の男の視界を奪っていくことにしたのだ。視界を奪われれば俺がどこに居るのかわからなくなるはずだから俺はこのタイミングを見逃さなかったのである。そして俺は剣を振り下ろして、目の前の男を殺そうしたが、なぜか俺の攻撃は弾かれてしまったのである。俺はその理由がなんとなくわかっていたのである。恐らくこの男が持っている盾のような道具のせいだと思う。

だから俺は、次の作戦を実行することにしたのだ。この男がどんな防御の能力を秘めていようがこの俺の攻撃力を防げるとは思えなかったのだ。俺は、今、目の前に立っている男に向かって走り出して行くことにした。そうする事で目の前の男の行動を鈍らせることが可能だと考えていたのだ。

そうして、俺は目の前の男に近づき、目の前の男の心臓部分を貫くように剣を突き刺しに行ったのである。そうすると俺が突き刺したはずのその男の体からは何も出て来ずに、ただ俺の手に剣の柄の感触が残っているだけだった。それに加えて俺の体に違和感が生じたのである。そうして俺の視界がだんだん薄れていったのだ。これは、もしかして、この男に殺されたのか、俺はそう思いながらも必死で目の前の景色を確認しようとしたのだ。だがもう目の前の景はぼやけ始めており、目の前にいた男の姿を捉えることができなくなった。そうして俺はこの場で気絶してしまった。それからどのくらいの時間が経ったのかわからないまま俺は意識を取り戻したのである。どうやら俺は意識を失ったままどこかの建物の中に連れてこられたみたいであった。

目の前に広がる風景を見たときに俺は自分がどのような場所にいるのかわからなかったが、目の前にある鏡に映る自分の姿を確認した瞬間に俺は自分がなぜここにいるのかを理解する事ができたのである。そこには、魔王と呼ばれる少女の姿があったからである。そう俺に倒されたはずのあの魔王がなぜか、その建物の中にはいたのである。それにしてもその姿がなぜこんなにも俺と似通っているのか意味不明だったがとりあえず今は、魔王の討伐を急いだ方がいいと思い始めたのである。

そして、今の俺はなぜか力が使えない状態だったのでこの建物から出て、外の景色を見る事に決めたのである。

そうして俺の視線に入った景色を目にしてみてわかったことがある。

どうやらとんでもない場所に移動させられているという事がわかったのだ。目の前に見えるその巨大な城は、おそらく魔王の居城であろうということは簡単に予測できた。

そうして俺はその城の最上階に存在している王座の間まで歩いていった。そうするとその玉座に座って俺のことを見下ろすような仕草をしている少女がいることに気づくことができたのだ。そしてその少女に話しかけると俺に敵対の意思があるかどうかを確かめるために戦って欲しいと言われて、いきなり戦闘が始まった。

しかし目の前の少女にはまだ手を抜いていることが見て取れたのだ。だが俺には全力を出しているように見えた。なぜなら目の前に対峙しているのは間違いなく目の前にいる少女が魔王だからだ。だから俺は目の前の女の子に少しばかりの余裕を見せたのである。そうすれば俺が勝つと思っているのかもしれないし、俺も自分の力を試せると思っていたのである。そして戦いが始まるとすぐに俺の勝ちは決まっていた。

なぜなら、俺にはこの子を倒すつもりなど初めからなかったからです。そう俺には魔王を殺すという目的はありませんでした。俺の目的はあくまで、この国の王と会うことが目的であり、それさえ達成できれば俺は特に問題なかったのである。だから、俺が魔王を殺す必要はありません。

なので、その事実を伝える為だけに、俺は彼女に話し掛けたのである。

そして俺は、俺のその言葉を聞いて、彼女がどういう反応をするのだろうなと思ったのである。すると彼女は涙を流していた。その様子を目の当たりにした俺は心を痛めました。でもその涙の理由はわからないけどね。

そんなことを考えていると突然俺の前に誰かが現れてその人が、彼女の頭をなでながら俺に、俺には殺す気がないことを伝えたらどうか?と伝えてきたのだ。そうして俺はその人物の言葉を素直に受け入れることにしたのである。

そうして俺は俺の言葉を伝えてみると目の前にいるその子の瞳には光が戻った。

だから俺はとりあえずこの子に自分の意思をはっきりと伝える必要があると感じたのだ。俺は目の前に立っている少女に対して自分と敵対する理由がないという事を話したのである。だけどその話を聞いた後、その少女の反応を見てみた。そうしているうちに、俺はあることに気づいた。それは、俺のことを見つめる目が先ほどとは違い俺をしっかりと捉えていて。その表情からは俺に対する疑いが晴れていることがよく伝わってきます。だから俺はこの子が嘘をついていないことがわかり。俺に襲いかかってくる事はないと思ったのだ。そう思った俺は、この子を仲間にしようと考えたのであった。

そこでまず俺は、その子と話をするために、俺の自己紹介をしようと思った。そしてその前にこの子の名を聞くと俺は衝撃を受けることになる。なんとその子は、あの大魔道士と呼ばれていた少女と全く同じ名前だったからだ。そしてそのあとは、その子と話をすることになったのです。そして俺は、どうして俺を襲ったのですかと尋ねると、この子は何かに追われるようにしていたと言うことを聞いた。それで、目の前の彼女も追われていたということだったので。俺は仲間にならないかと言ってみることにした。そして俺は、もしよければ俺と一緒にこの国を助けてくれないかと頼んだらその答えはすぐに返ってきた。その返事は、俺が思っていたよりも早くて。本当にこの国は大変な状況なんだなって思うことができたのだ。

ただ一つだけ疑問なのは目の前のこの魔王と名乗る人物がなぜこの世界を支配する立場になったのか、それが俺には全くわからないままだった。もしかしたら俺と同じように元の世界からこの世界に転移してきたのかとも思ったがそれも違うと思う。だってその割にはあまり俺と同じ世界の住人のような顔立ちはしていなかったからです。

そういえば俺は、さっきの戦いで、目の前の子を倒そうと思えば倒す事は出来た。でもそれをしなかったのは、この子にこの世界を支配させたいという考えが俺にもあるからである。

そう思って俺は、これからの行動指針を決める為に、目の前にいる魔王を名乗る少女から情報を引き出すことを最優先にして行動をすることにした。

俺がそう決意した直後に俺の脳内にメッセージが響いたのである。その音声を聞き流さない為には、集中して聴かなければいけないので。俺は一度思考を止めて目の前の少女との話に集中することにする。

「お前が、あの魔王を蘇らせたのか?」

「いえ、私が蘇らせたのではなくて。彼が勝手に私の中に入り込んできたのですよ」

「そうか。じゃあ君は彼に操られているわけでは無いんだな?」

俺が質問を投げかけた相手がこちらに視線を送ってきたのだ。そして、彼女は口を開いたのであった。その口から出てきた言葉で俺を驚かせる事になったのであった。その内容はとてもじゃないけど信じられないものだったのだ。まさかその発言からするとこの子もまた俺と同じ境遇の存在だと思えた。つまり、俺と同じように元の世界の人間の魂が俺の中に入っているということだ。しかも目の前の女の子は、どう見ても俺より幼い容姿をしていた。そう見た目的には中学生くらいに見えるのだ。なのに、この年齢の俺が知らないような魔法を使ってくるから正直驚いてしまう。それにしても俺と同じ人間が、この世界で、同じようにしてこの世界に来ることが出来るものなのか、それすらも俺は理解できない状態に陥っていた。そして俺はこの子も俺と同様に、俺が知っているようなこの世界では存在しないスキルを持っていることに確信を持ったのである。

そして俺は目の前の女の子が言う通りなら、目の前の女の子は確かに本物の魔王なのだと確信した。そうして、俺は今すぐにでもこの国を救う必要がありそうだと思ったのだ。

そして俺達はこの国を救うためにはまず何が必要なのかをこの子と話し合うことにしたのである。俺はまず、この国の名前を知る必要があったので、そのことを尋ねてみた。そうするとその少女はこの国の事をアルンシア帝国だと答えたのだ。

そして俺は目の前に広がっている街並みを眺めながら俺は、この街の名前がヘルシングという町だという事も知ることが出来た。

それからしばらくすると俺の視界に文字が表示され始めたのである。その表示されたのは目の前の魔王が仲間になるかどうかを確認するウインドウだった。もちろん俺は迷わずにイエスを選択すると。魔王の少女は笑顔になり。俺に近づいてきました。その行動で俺は嬉しく思い。そして俺はその喜びの感情をそのまま口に出して魔王に言葉としてぶつけたのだ。その言葉を耳に入れた魔王の顔が一瞬で赤く染まりました。その魔王の様子を見ていた俺だったがその時に目の前が眩しい光に包まれていき、気がつけばそこは魔王の城の前に戻っていました。そして俺の体には、またもやステータスが表示される。どうやらこのイベントのクリアボーナスがもらえるようだ。俺の獲得した能力がどんなものか確認したくて、早速、アイテムボックスを開いて手に入れたばかりの能力を俺は調べるのであった。

その効果は『全知全能』というものだったのだ。

俺のステータス画面には俺にしか見えない文字が次々と現れては流れて消えていった。俺はその現象が何を意味しているのか最初はわからなかったが。すぐにその意味を理解する事ができたのである。この能力は俺がこの世界に来ることになった原因の能力でもあるとすぐにわかったのだ。そしてこの能力は俺以外の人間にも使用することができるようで。この力の使い方さえ覚えてしまえば。この国の状況を打破できる可能性が十分にあった。そして俺は、目の前に映し出されたステータス画面にある項目を見つけてそこに記載されていた情報を確認したのである。

どうやら、この世界の魔王が倒された場合に復活する方法は三つあった。その方法とは俺達のように誰かの中に乗り移って蘇る事。もしくは魔王が自分自身で復活する方法。魔王は死んだとしても別の世界に逃げる事で復活しないという方法である。

この三つの中のどれを選択すればいいかなんていうのはその人の選択に任せようと思うが、俺としてはやはり俺自身に乗り移り復活する方がいいと思ったのだ。そうすれば確実に俺は強くなって戻ってくることができると思ったからです。だけど俺は自分の意思とは別に俺の中の魔王の力に乗っ取られてしまうかもしれないと思ったのだ。なぜなら俺が魔王を倒す前にも魔王は自分の意識を持っていたからである。

それに俺は自分の意思と関係なく他人に俺の存在を好き勝手に使われることが我慢できなかったのである。

だから魔王が他の世界に逃げるという方法での復活をした場合。その魔王は二度とこの世界には戻ってこられない可能性があると俺は思ったのである。その可能性もゼロではないだろうし。その魔王が俺の意思とは無関係に、俺を乗っとるような行為をするかもしれないと思えた。

そこで俺は魔王が復活したときに俺は、魔王が自由に行動できるようにしておきたいと思ったのである。そうすれば魔王は自分で俺の意思と関係ないところで、自分の目的の為に動く事ができるはずだからです。

俺が自分の中にいるであろうもう一人の人格に対して抵抗するためにはこの力を有効活用する必要があると思ったのである。

そして次に俺の目の前に現れたステータスウィンドウには俺のレベルとHPの値が表示されていたのである。

そしてレベルと俺のHPがどのようになっているかを調べてみた結果。

俺が持っているはずのスキルと俺が今まで取得した経験値が反映されていませんでした。それどころか、新しく入手したと思われるスキルまでなくなっていたのである。なので俺が新たに手に入れることができたスキルは二つしかなかったのだ。それは、魔王を封印するための術を取得するために必要な魔術と魔力回復速度が速くなる魔術を習得することができたのである。だけどそのスキルは俺に取ってはあまり役に立たない物だと思いました。その理由は、俺が元々所有していた技能と重複している部分が多かったからだ。なので俺にとってはそのスキルは正直微妙な効果しか得られないように思えるのです。だから、この二つのスキルを手に入れた時は俺は複雑な心境に陥ってしまいました。だって俺には既に強力な攻撃技と防御技術があり。それに加えて、魔術系の技能も持っていた。それに比べて今の俺はこれらの技能が無ければ全くと言っていいほど役に立つことができない状況である事を理解させられたのである。ただその反面この世界で俺はこの先どのようなスキルを手に入れられるか、それを考えるだけで楽しみでもあった。そこで俺はこの先の展開について考える事にしたのであった。

そして、俺がこれから何をすべきかを考えた結果。この国を救うにはこの国で最強の存在となる必要があると考えたのである。俺はこれからも強くなり続ける必要があるとそう結論付ける。しかし強くなる為にはどうすればよいのかわからない状態が続いている。そう考えた俺は目の前の扉を開き魔王が待っている玉座の間に足を踏み入れる。

すると俺が魔王に挨拶をする間もなく。俺は目の前に魔王が放った火属性の魔法の一撃によって焼かれそうになったのだ。しかしその炎は、魔王の放つ火の息吹きよりも威力が弱く、簡単に対処できた。だがこの瞬間に俺の目の前に文字が表示され始める。

【魔王は勇者の力を測っている、この攻撃を受け止めることで、この世界を救えるかどうか試すつもりなのだ】

というメッセージが表示されたので俺はその文章を信じることにした。そしてそのメッセージが消えた直後に、今度は違う文が表示される。その表示されたメッセージは、魔王が仲間になるかどうかを選択する為のものです。俺がそのメッセージを目にした直後に俺の目には俺を襲ってきたあの大魔道士と呼ばれる女の子の顔が俺の前に表示されると同時に俺の仲間になりたいと言う意思を表示させた。それを見た俺はすぐに仲間の受け入れを選択した。するとあの女の子は笑顔を浮かべながらこちらへと歩いてきて俺の前で立ち止まる。

「あなたが私達の希望になるのですか?」

「え、どういうこと?君達が俺の仲間になってくれたんじゃないの?」

「そうですよ」

「そ、そうなんだね。じゃあよろしく頼むよ。それで、俺はこれから何を目標に行動すればいいんだろうか?」「そうですね。まずは、あなたの実力を見せてもらいましょうか」

彼女はそれだけ言うと右手の掌を前に突き出してきた。その行為の意味がわからなかった俺は彼女に尋ねたのだが彼女は答える様子はない。そんな彼女を見て俺は、彼女の言う通りにすることにした。俺はその彼女の手を握り返す、すると次の瞬間に周りの風景が切り替わるのがわかる。

目の前に広がる風景が変わったことに気が付いた俺はその景色を目に入れていく。すると俺はどこかの部屋の中に転移させられていた事がわかります。そこは俺がよく知っている部屋でもありました。その部屋には大きな窓がついていてそこから見える光景に俺はとても見覚えがあったのだ。その窓の向こうにはヘルシングの街の街並みが見えていて俺はその場所が俺の実家であることを理解しました。そして俺は目の前にいる魔王の顔を確認する。その表情からは笑みを浮かべていることがわかる。そして彼女が一体俺にここで何をしろと言っているのか俺はその答えを聞くことにします。そして、魔王から告げられた俺の予想の斜め上をいく提案に俺は困惑してしまうことになる。

そして、魔王の言う通りなら。この城で最強になるという目標は達成されているのでした。その事に関して言えば俺の目的は既に果たせているという事になるでしょう。しかし魔王はまだ何かをやり遂げてはいないと、そういう事なのでしょうか。それともその言葉には別の意味も含まれているとでもいうのだろうかと考えてしまうのでしたが、俺としてはどちらでもいいと思いました。だって、その言葉を聞いた俺はこの城の最上階にあるこの魔王の居城で最強になることに拘りを持っているわけではありませんから。

そして俺は改めて目の前の女の子を見つめると。その容姿端麗という言葉が相応しい少女だと思える。

「さてと、これでこの城を探索し尽くしましたが、まだこの城のどこを探してもありましたが、もうここにはありませんので別の場所に移動して頂く必要があります。その目的地が、この場所になるわけですが。とりあえず私の後に続いてきてください」

俺の事を案内してくれるようだがこの子には聞きたいことが山程あるのだ。なぜここに呼ばれたのか。そもそも俺はなんの為に魔王を倒したのに、こんなところに飛ばされたのかとか疑問に思っていたのだ。

しかし、俺はこの子の言葉を疑うことなく。黙って従うことにしたのである。なぜならば。この子に嘘を吐いたところで無駄だという事は、俺が一番よく理解していたから。そして俺は彼女に連れられ城の外に出るのであった。

そうして俺達は魔王の居城から外に出て行った。俺が外の風景を確認するとそこも、いつものように活気溢れた賑やかな街が広がっていたのだ。その街の中に入っていくと。俺の視界には沢山のプレイヤーと思われる人達がいる事に気がつきました。

そこで俺はこの国の現状を思い出す。この国の住人の数が減り続けていた事。それは俺にこの国が今、どれだけの危機に瀕していたのかを思い知らせてくれた。そして俺はその現状からこの国は本当に危機的な状態だったという事がわかった。そしてこの国には現在進行形で、魔王軍という敵が侵攻してきていていた。そしてその事実はこの国から脱出することをこの世界で不可能にさせる原因の一つでもあったのだ。俺は目の前を歩いている少女の姿を見る。すると魔王である彼女はとても可愛らしい笑顔を見せていた。だけど俺は思うのです。彼女は本当に魔王として、この街の人々に恐怖を撒いている存在なのだろうかという疑問を感じていました。俺としてはこの子がそこまで恐ろしい存在には見えないのである。それに、俺がこの世界に来たときに魔王と戦ったときは、あんな巨大な姿ではなく。俺と同じ年ぐらいの可愛い普通の人間の姿をしていたという事もあり。見た目は人間と変わらないので俺には判断する事ができないでいるのです。

ただ言えることは、彼女が悪い存在には見えないのは確かだった。

しかし、そんな俺の心境を知ってか知らずか彼女は楽しげに街中に向かって歩を進めていたのだ。その途中。

突然空が割れるように大きな音を鳴らし始めました その異変に人々が騒ぎ出します。その音はどんどん大きくなっていくのです。その異常に慌てる人々の様子を見ながらも俺は、なぜか心の中で焦燥感を感じていたのである。

すると、魔王が急に立ち止まったのである。その様子はまるで何かが近づいてくるのを待ち構えているように見えなくもなかった。俺が不思議そうな顔で魔王のこと見ていると。魔王は口を開く。

「来なさい。私の元まで、あなたはここまでこれればきっと、私が言いたいことが分かるはずです。そうして私はあなたの前に現れる事になります。その時になれば私の言葉の真意を理解する事ができると思います。そうです。これは私と、あなたが会うためだけに用意され。あなたに用意された特別な試練なのです」

彼女は真剣にそう話してくれた。俺のことをしっかりと正面から見てくれて話をしてくれていたのだ。だからこそ俺にはこの魔王を名乗る人物が本物である可能性が高いと、そう確信できました。なので俺はその魔王の言うことを素直に聞くことにしました。俺はこの子と早く会いたいと、この子とは友達になれればいいと本気で思いました。ただ、この子がこの世界に現れたのも偶然なのかそれとも仕組まれていたのかわからないが、魔王と俺が出会えたのは運命だと信じたいです。だって俺には彼女とはまた必ず巡り合うようなそんな予感がしているんです。それは魔王が魔王として、人々を襲い始めた理由を知る為のキーポイントになると思うのです。そして俺はそんなことを考えつつも魔王のあとを追って行きました。魔王はゆっくりと歩き始める。そんな彼女を追いつつ俺は、目の前に現れる人の流れに流されていくのを実感しつつ俺はなんとか人の波から抜け出すことに成功し。彼女のあとを追いかけることに成功するのであった。

そして俺はついにたどり着いたのである。目の前にいる少女の元に辿り着くことができたのである。そうすると目の前の女の子が振り返ると同時に。目の前の景色が切り替わり俺の知らない場所に立っている事に気づく、その場所の天井や壁などはボロい感じになっており。薄暗い空間に繋がっており、そこから日の光が差し込んでいたりしていてその光のお陰でその場所の様子を見ることができていた。その場所はどこかで見たことのある場所だと思いました。

しかし、それがどこだったのか思い出せないまま、俺は周囲を観察してみることにした。

まずは俺の周りを確認していきます。するとそこには沢山の武器や防具が置いてあったのです。その数から察するにどう考えても個人が所有できる範囲の物ではない。その事から考えるに、この場所がどんな場所かを俺に教えてくれる一つの要素になる。そう考え。この武器庫を眺めていくと。俺の記憶が正しかったのであれば、ここがヘルシングの街で一際有名な建物であることに気がつく。その建物こそが、俺がゲームをしていた時に最初に訪れることになる場所なのだが、そこにどうして魔王がいるのかと言う疑問が出てくるのだが、その理由は、俺が目の前の魔王を仲間にして連れているからだろうと思ったのだ。その建物の地下に魔王が居るとは思っても見なかったが。そして俺はこの部屋の中に一つだけある扉の方へと向かうのであった。

「やっと来たようですね。では約束通りこの部屋を案内しましょう」

俺はその声の主が俺の前に姿を現す。そして俺はこの部屋から出ようと、後ろを振り返ると、いつの間にか先程の武器庫は無くなっており。その場所にはこの城の中に戻ってきたのであろう、魔王と思わしき女の子の姿が目に入った。

そう、その魔王の少女は、俺がよく知っていた人物と、そっくりな容姿をしていて俺は動揺してしまう。なぜなら、目の前に現れたその女性は俺のゲームをしている時の仲間の女の子にそっくりだからなのである。そして、その女性の容姿の特徴は黒髪ロングで綺麗な赤い瞳を持っておりスタイル抜群な体型をしており身長が高くすらっとした体型をしていま。そして胸は大きく。お淑やかな表情を浮かべていて誰が見ても美人と言える美少女なんですよ。そして何よりも驚いたのはそのプレイヤーが着ている服装がそのまま目の前の女性の格好にも当て嵌まるという事で。その少女を俺が間違えるはずはないと断言できるほど、目の前にいる女性には見覚えがあったのだ。そう、俺はゲームの世界に本当に入ってしまったんじゃないかと思えるほどのリアルさに驚かされてしまうのだ。だが、それはあくまで、俺の願望でしかない。

なぜならば、ここはゲームの世界ではなく、紛れもない現実だということは俺はよく理解していたからだ。その事は、その女性が喋ったことによって判明することになる。

その、俺の予想を裏切ることなく。目の前の美女の口から出てきた言葉が「私の名前はルシフ」だったのである。その一言を聞いて俺は確信してしまった。

「えっ!お前は俺が前に遊んでいたオンラインゲームの、魔王軍の副将であるルシフで間違い無いんだよな」

「ん?あぁ確かに私は君が知っている魔王様の部下の一人ですよ。だけど私の事をなぜあなたが知っているのですか?」

目の前に存在している少女は、自分が魔王の部下の一人であることを告げる。しかし俺の事については首を傾げながら問いかけてきたのだ。俺はそんな彼女に「やっぱりそうだよな」と思いつつもこの子は、俺の事を誰かと間違っていることに俺はすぐ気が付きました。しかしそれを彼女にそのまま伝えてしまうと話がこじれてしまう気がしたので俺は別の方向から攻めていくことを決める。

それは、彼女が俺に嘘をつくメリットが全く思いつかないことと。仮にもし俺の事を魔王の関係者と偽っているとしてもそれはそれでメリットが無いのだと、思ったからである。それは、彼女は魔王が召喚されたあの日から、ずっと俺達を騙し続けて来たはずなのに今更になって、魔王に関係のある人を装う理由がわからなかったからだった。俺はそのことを確かめるために彼女に声をかけてみることにする。そして彼女はこちらを見据えて答えを返してくれるのであった。

「なぜ私が、あなたが魔王軍と関わっていることを疑っているかというと、あなたは魔王軍の一員だという事を隠してこの街の人々を殺していたのに俺と出会ってしまったのにその事には一切触れずに俺に接してきていた。つまりあなたの行動には何か目的があるようにしか俺には見えませんでした。それに魔王軍の一員としてこの国に侵攻を企てているのならなぜ、魔王の居ない街を狙っているのか。俺はそれがわからなかったのです。そして俺には目の前のあなたが本物の魔王軍の構成員なのか、それともあなたに似たプレイヤーがいるのかわからなくなりました。ですので確認のために少しだけ、試させてもらってもいいでしょうか?」

俺はそう言いながら目の前にいる女性に近づきそして【固有空間】を発動させるのである。そうすることで俺の能力によって俺と相手の実力をある程度把握することができるのです。俺と目の前の女性はお互いに向き合って立ち尽くしています。俺にはこの人の実力は測りきれないでいたので警戒だけは解くことはできないのです。

俺はこの人と対峙することによる緊張と、この人が本物かどうかの確認をしなくてはならないという焦燥感に襲われながらも俺は、彼女の動きに集中することにしました。そして次の瞬間。俺と彼女の立ち位置が入れ替わるのである。俺は驚きのあまり目を開けてしまいました。俺と彼女の位置が入れ替わったことに俺はすぐに気がつくことができましたし、それに加えて彼女は全く動くことができなかったはずなのです。でも、実際に俺の視界の中には彼女は存在していない。俺がその現象を確認したときには既に彼女は俺の攻撃を受けて地面に横たわっていたのです。俺は彼女に向かって慌てて走り出す。そして急いで彼女の元に駆け寄ります。するとそこには信じられないことに、傷跡が一切残っていない状態の、美しい容姿のまま眠っている彼女の姿がありました。しかしそれでも俺は彼女の脈を確かめるため、彼女の胸に手を当て心臓の音を聞くようにしました。そうすることによって、俺はこの少女が間違いなく生きているということを確信することができたので一安心です。

それから数分が経過した頃に彼女は目を覚ますことになりました。

そして彼女は起き上がり。自分の身に一体何が起こったのかを確認するために周りの様子を伺います。しかし特に異常がないと感じたのか俺の顔を見てからこう話を切り出してきました。

その、彼女の表情はとても不安そうな感じであり、この人はどうしてここまで弱々しいのだろうと俺が思うくらいの表情を見せてくれていました。そんな彼女に俺の口から自然と優しい声が出ていたのです。俺は無意識のうちにその声を発していたようで自分でも不思議に思っていた。それは今までに出したこともないほどに優しげでそして穏やかな声で、そのせいで自分とは思えないほどに優しく語りかけていました。その声を聴くだけで俺は何故かとても幸せな気分になる。そんなことを不思議に思ってしまうほどだったのです。そしてその不思議な感情の正体を俺はこの時はまだ知ることはできなかったのです。そう俺はこの子の事が気になりはじめていた。俺はこんな感覚になるのは生まれて初めてだと思ったのです。その気持ちに気がつくことができたら俺はどれだけ幸せだろうかと思ったけども今は、目の前の事に意識を向けるべき時だと思い直して俺は彼女に話をすることに決めました。

「大丈夫ですか?」

「はい。ご心配をお掛けしてすみません。私の名前はルシフと言います。」

その言葉を発した時のルシフさんの態度はさっきまでとは違い急に明るくなったような気がする。どうやら俺が目の前にいるからかもしれないけど。それよりも、俺は彼女のことが気になってきたので彼女のことについてもっと詳しく知ろうと話しかけることにしたのだった。

「あっ!自己紹介が遅くなりまして、私はアベックスといいます。よろしくお願いします。それとルシフさんが目覚めてよかったです。もしかしたら死んでしまったかと俺、心配していたんですよ。とりあえずはお互いの身分がわかったことだと思いますので詳しい話は俺の家に来てください。そこでお茶を飲みながら話しましょう」

そう言うと俺は【転移】を使い自宅に移動してから二人分の紅茶を入れて席に着くのであった。そしてしばらくすると二人は会話を始めることになる。その会話の中で分かったことがあるのですがこの子の名前が実は偽名だったことが発覚したのです。そして俺に対しての口調を素に戻してからその事情を話してくれる。そして彼女はその事実を打ち明けた上で、俺の仲間になると言ってくれたのだ。そのことから俺達はお互いに信頼関係を結べることになったと思う。

そうして彼女と俺の関係が構築され、仲間になったのであった。そのあとは、俺と彼女の二人で色々な話し合いを行い、これからのことを相談することになった。

そして彼女は「この街ではこれ以上情報収集はできないので、一度魔王城へと戻りましょう」と言う提案をする。

それもそうだと思った俺は彼女を魔王城まで連れていくことを決めたのだ。こうして俺は彼女と共にヘルシングの街にある魔王城の前まで戻ってくことになった。その道中にルシフには、どうしてこの場所にやってきたのか、そしてなぜこの街で人々を殺す必要があったのかについて問い詰めてみた。その結果ルシフから聞いた情報によると魔王軍が現在抱えている問題を解決するためには勇者の力がどうしても必要なのだということを聞き出してしまったのである。そして俺とルシフの二人が魔王城に辿り着くと、そこには先客の姿があった。それは魔王軍の副将の1人。リリスだった。そしてその隣には副将の一人であるアスタエルもいた。

そしてその状況を目の当たりにしたことで俺の中に一つの考えが生まれるのである。そして俺が魔王に謁見したいことを伝えるとあっさりと俺を謁見の間に通してくれた。

そう、俺が魔王に会いたい理由というのはこの世界についての情報を知る必要があるからなのだ。その事を話す前にまず、この世界に召喚される前のことを簡単に説明すると、俺は普通の高校生をしていたのだ。だがある日を境に、俺は突然謎の頭痛に襲われるようになり。その後の記憶が抜け落ちてしまっている。そして目が覚めた時に俺はなぜか魔王軍に敵対する組織の一員になってしまっていて、そして俺の知らない間に魔王軍は人類の敵にされてしまっていて俺は人類を救う為だけに行動している。だが魔王軍の中にも敵味方が居て、魔王軍の味方をしてくれればその人達の事は見逃すことができると思っていた。だが、現実は全く違い、その考え方は通用しなかったという事だ。

だから今すぐにでもこの状況を変えるために魔王と話をしなければならないと思ったわけである。

魔王との話を終えた俺達は、一旦俺の自宅に戻ることにした。そして魔王との対話の内容を報告するため俺は、この国にいる他の幹部達を呼び出すことにした。俺達が拠点としている家には魔王の次に強い力を持つ四人が滞在していたからである。そうこの国は4人の魔王と一人の将軍が守っている。俺を含めて6人のトップが揃っている。ちなみに四天王とは俺と魔王以外の4人を纏め上げた存在達のことであり魔王の補佐役のようなものである。

そんな、俺達の元に呼び出された5人はこの国の中でも指折りの実力者達ばかりである。

この国の最強の存在である魔剣士と呼ばれる女性。彼女は、名前の通り、魔族であり、そして魔王軍に所属しているのだが、彼女自身魔王の右腕的存在になっている。そんな彼女はこの国で一番の強さを持っていると言われているので彼女が一番強いと思っている人もいるらしいが、実際は俺の方が圧倒的に強くて勝てないそうだ。

彼女は魔王からの命令で魔王軍の偵察部隊を率いて、魔王軍の動向を探る役割を引き受けてくれている。魔王軍の動きは、この国から遠く離れた場所に魔王の居城があるので魔王軍の詳細な動向を俺達に把握することはできないのである。

次に、その彼女の妹にあたる女性が一人存在している。その女性は回復魔法に特化しているようで、傷の治療から体力の回復までも行えるのでとても優秀な人材である。彼女はこの魔王軍を陰ながら支える、参謀的な役目を担っている。彼女の名前に関しては魔王にすら明かされておらず。一部の部下しか存在を知らないのだとか。そのため彼女は常に黒いフード付きマントを身につけていて素顔は見たことがないそうだ。

そして最後に俺よりも遥かに弱いと思えるこの男は元はこの世界の人間ではなく、俺と同じように日本からこの世界に転生させられた人物である。俺の知り合いでもある。彼の名前は 大道 龍一。彼も元々はこの世界に存在しない人物だったが。ある時に俺と同様にこちらの世界に来ることが出来たようだ。そして、彼はこの世界で手に入れた力を使って自分の思い描く世界を作り出したんだ。それは誰もが幸せで争いなどが存在しない理想郷のような場所を作り上げた。

そんな、彼の作る世界に多くの住人たちが救われて、そしてこの世界に平和が訪れたので俺はその功績を評価して俺の仲間として引き入れたのだ。

この三人もかなりの強さを持ち合わせており。俺を含めた六人が魔王の側近を務めているというわけである。そして俺の家に戻って来た俺は、ルシフから聞いた話をみんなに伝えることにする。その話を聞いた俺以外の皆がとても険しい表情を浮かべたのだ。俺はその光景を見て俺は本当に何かとんでもないことが起こってしまったのではないかと思った。

「なぁ、それってやばくないか?」

「うん。確かにこれはちょっとやばいよね」

「あはは、まあなんとかなるんじゃね?」

「うむ。その件は私が調査してみるのじゃ」

そう言って、最初に言葉を発した男が魔剣の魔王ことリリアさんだ。俺と同じ年齢なのに見た目はかなり若い女の子に見える。髪の色は紫色に染まっていて、目はつり目だ。身長は小さくて可愛い顔をしておりとても幼い。だが、年齢は確か俺よりは10個上だったかな。

「そうですね、私の方で調べてみますので皆さんはそのまま待っていてください。それで魔王陛下。私達の方の調査結果の報告があります。今回の勇者は我々と敵対の意思を持ってこのヘルシングの街にやって来た可能性が高いと思います。それとこの情報は既にこの都市の領主である。デムリング伯爵には報告していますのでそのことも合わせてよろしくお願いします」そう言ってリリスは報告を終える。そうして、次の話に移ろうとしていたその時。俺の家に二人の人物が入ってきたのである。その二人はどちらも同じ種族であり俺と仲間になる以前から面識があったのだ。その二人の名前は ライルさんとそのお姉さんに当たるラメルさんだ。

俺の目の前で二人の姉妹が対峙して睨み合っている。その様子を見ていた俺は何故こうなったのかを考えるために記憶を思い返してみる。そして、俺はその原因を突き止める事ができたのだ。

それは俺達が魔王に呼び出されてヘルシングの街に向かった後のことだった。俺は、あのルシフとか言う女性と一緒に俺の家に向かっていた。そこで俺達は、このヘルシングの街並みを見ながら少しの間だけ会話を楽しんだ。そうしているうちにルシフさんの事を少しずつ理解できたような気がするようになっていたからだ。それに、俺は彼女のことをどこか懐かしいような感じになっていたのであった。そこで会話を続けていた時にルシフさんがこんな事を聞いてきたのである。

「アベックスさんは好きな人はいますか?」と。そして俺は、その質問に対し正直に答える事にしたのである。そしてそれを聞いていたルシフさんも、その質問に対して素直に答え始めたのである。どうも彼女には気になっている異性がいるみたいだった。それが俺が気にかけている人物だという事に気づいたのは、この時が初めてだった。そして、お互いに気恥ずかしくなった俺とルシフさんはそれ以降会話を交わすことは無かった。そうすると目の前で、この二人が出会ってしまった。そうなった理由は単純明快。この二人が一緒に歩いているところをたまたま目撃した、他の仲間達が面白半分に二人を追い回していたのである。そして俺は巻き込まれてしまった。それだけのことである。

それから二人はずっと追いかけっこをしているわけだけども一向にこの追いかけっこの決着がつくことはない。そうして、俺の意識は再び現在へと戻ってくるのであった。俺の隣にいるルシフさんが急に立ち上がって、そのあとを追うように立ち上がった。俺はどうして彼女まで追い掛けようとするのかを聞くことにしてその理由を聞き出すことにした。だが彼女は、そのことについて俺には何も教えてはくれなかった。そしてそのままルシフと俺は彼女を追いかけることになってしまったのである。

しばらく俺は、その女性を追いかけていくとルシフは息切れをしてその場に倒れこんでしまう。そのせいで俺もその勢いに巻き込まれて地面の上に倒れた。

俺は、地面に寝転びながら何が起こったのかを確認するために体を起こして周りを見渡すと俺達を取り囲むように多くの人達がいたのである。しかもその全員が殺る気満々の目でこちらのことを見つめているではないか。

俺はこの様子から、この人達がルシフのことを追っていた人達だということがすぐに分かった。

俺が立ち上がろうとするとルシフが慌てて声を上げてきたのである。

そしてルシフの口から発せられた内容は信じられないものだった。なんと彼女は魔王軍の一員であるということが判明したのである。

俺はこの話を詳しく聞こうとすると彼女は立ち去ってしまって詳しい話をすることができなくなってしまう。その出来事によってその場が騒然となった。俺はこの騒ぎを治めようと、立ち上がり周りの人たちを黙らせるため【威圧】を使い強引に全員の注目を俺に向けさせる。その後俺は、ルシフの事が気になってしまい彼女を必死に追いかけた。だがしかし、いくら探し回っても彼女は見つからなかったのだ。

俺は途方に暮れてしまい、この事について誰かに相談しようと思ったのだ。

だがそんな俺のもとに思わぬ情報が入ってくることになる。そうこの国の王。つまり俺の父親が殺されたのだということを。だが俺はその話について信じたくなかったのだ。俺の父親は誰からも尊敬される立派な人だと知っているからである。そんな俺の考えを打ち砕くように次々と事実を突きつけらてしまうのである。その情報は本当なのかと思い確認をしてみると。俺の父親が亡くなったという事は間違いないようなのだ。だがまだ俺は心の何処かに疑いを持ちながらこの国で起きた事件についての調査を開始したのである。その調査を進めるうちに俺は、その事件が起きた日とその場所を特定することに成功したのである。

俺はその情報を頼りにある場所に向かい歩き始めるのであった。そしてその場所に到着した俺の前に広がっていた光景とは一体なんだったのか、そして俺はその真相を確かめることができたのかをこれから説明するつもりだ。だが、ここで説明をするよりも、まずはこの惨状を目の当たりにして欲しいと思うのだ。

俺達がたどり着いた場所は魔王の城がある場所の近くに位置している場所であった。

そしてこの場所に到着するまでの道中で魔物との戦闘があり俺の仲間の一人が命を落とした。その仲間の遺体を前にして俺達は涙を流す。俺は悔しくて悲しくてその亡骸を抱えて泣き叫ぶのである。そんな俺の傍で、一人の少女の叫びが聞こえてくる。

「ごめんなさい、私の力が足りないばっかりに、あなたの分まで私が頑張るわ、だから見守っていてちょうだい」

俺の仲間が死んだ。そのことで心にポッカリと穴が空いた気分になる。俺はその仲間の亡骸をゆっくりと優しく降ろしたのだ。その亡骸の前で膝をついて両手を合わせると、この子のためだけに祈り続ける。この世界に来てからは俺の初めての大切な存在を失ったかもしれないという思いで、この気持ちはとても辛くなるばかりだ。だがそれでも俺には守るべき者が増えていたのである。そして今はその仲間たちを守らないといけない立場になったのだ。俺はこの辛い思いを乗り越えて強くなろうと決意を固めたのであった。

しばらくして悲しみを乗り越えた後の俺達だったが、やはりこの場に留まっているだけではどうにもできないと判断してこの近くに居るはずの敵の元へと向かうことに決めた。そうして進んでいくと目の前に一人の少女が現れる。

「私は魔王軍四天王のミネルバと言います」

俺達は、いきなり目の前に現れた人物に驚いていると。魔王軍という言葉を聞いて、先程聞いた話を思い出して俺は警戒心を高める。そして俺はその少女と対峙することになったのだ。そしてこの目の前の相手は、魔王の側近の一人で。俺の知る限り最強の力の持ち主である。そのことから俺は、この相手と戦うことだけは避けたいと考えていた。そしてその俺の心を読んだかのように、この少女が話しかけてくる。

俺はその言葉を遮って、仲間のためにもこの戦いを早く終わらせるため、そして俺は強くなるという意思を持って戦おうと思っていた。そんな考えを読み取られてしまっていたのか。俺の発言の後に、

「私と戦って勝つ自信が有るのですか?あなたにその実力は有るようですね」と、その発言をされた。その一言に俺は、少し動揺してしまったが俺は覚悟を決めることにする。

俺は相手の力量を感じ取ることができるのが俺の唯一の武器だと思うのだ。だからこそ、俺自身が一番自分のことを信じなければならないと思っているのであった。俺は自分のことを信じることが出来るよう、この相手に打ち勝ちたいと思い始めたのである。

「私に勝つことが、本当にできると思っていますか?」とその発言に対して俺はこう返すことにした。俺にはもうこれしか残されていないのであった。

そしてその返事を聞いた、その人物は俺に向かって剣を構えて襲い掛かってきたのである。俺はそれに対して反応することが出来ずにいたのだが。咄嵯のタイミングで、俺はその剣を受けることが出来たのである。そして俺は、何とかしてこの状況を切り抜けるために必死で頭をフル回転させていた。この相手が持っているスキルは何なのだろうか。そう思って俺は、この人物のスキルを調べるためにステータス画面を見ることにしたのである。そうしてその詳細を確認してみると、目の前の人物の職業が魔剣士だということに気が付いたのだ。そして、この人が使っている魔法についても判明したのである。俺はこの情報を知ったことによりこの相手を無力化させることができるようになったのだ。そしてそのことを目の前の少女に伝えようとするが俺は目の前で起こった光景を見て言葉を失ってしまった。なんと目の前に居た少女の右腕に装備されていた、その細身の魔導具のような物が突如として形状を変化させていったのであった。それは瞬く間に姿を変えると、俺が見た事のある物にそっくりの槍に変化していたのである。そして、俺の事を攻撃してきた。

俺はその攻撃をかろうじて防ぐことに成功する。だが完全に防御することはできていなかったのであった。俺の左腕から血が流れ落ちてきて激痛に襲われるが、そんな事に意識を向けている場合ではない。今は、少しでも時間を稼ぐため、逃げることを考えて行動するしかないのである。そう思っていたが、その願いは叶うことは無かった。そして俺のことを追い詰めるかのように、彼女は容赦なく攻撃を仕掛けてきたのである。

そして俺が持っていた、短刀が折れてしまった。そこで俺は死を確信してしまう。

そして俺の腹部にその一撃が直撃して、俺の体を吹き飛ばしてしまう。

そして俺の体が吹き飛ばされた瞬間。俺の目に入った光景というのは、俺に向けて飛んでくる大量の水球だった。

(ヤバイこのままだと間違いなく死んでしまう!!)とっさにそう思った俺は地面に手をつきなんとか体勢を整えようと努力をする。そして俺はギリギリのところで間に合ったのだ。その結果どうにか地面に激突する事は無く地面に転ぶ程度で済んだ。ただ俺の命が助かった代わりに地面には大きなクレーターができており俺は、それを見ながら絶望的な表情になってしまう。だが俺を助けてくれたであろう、この女性の姿をみて安心していたのだ。この女性はルシフという人物であり助けてくれたようだ、彼女の姿を見てホッとしたのであった。その後ルシフさんに連れられて近くの安全な場所まで移動することに。その道中でも俺はルシフさんから何度も謝られた。俺の方こそ迷惑をかけてしまっているから申し訳なく思っているくらいだ。

そしてルシフさんと別れた俺は仲間と合流を果たすのであった。俺は皆と合流した時にこの国の状況をルシフさんが教えてくれるまで知らなかったため。仲間達に詳しく教えてもらうように頼み、そして状況を把握する。その事によってルシフさんから教えられたのは、俺の父親が殺されたということや、俺の母親もこの国に来ていたという事を知る。俺はその事実を知り、怒りを抑えきれなくなるほど感情的になり始めていた。そんなとき突然、地面が揺れ始めたのである。最初は気のせいかと思ったけど、明らかに地面が割れる感覚があった。そして地面に大きなヒビが入る。そして地面が壊れてしまうのではないかと不安になって俺は、ルシフさんの方に目を向けると。そこには今までに見たこともないような、とてつもない大きさの魔物が出現したのだった。

俺はその化け物の姿を見ると恐怖で身動き一つとることができなくなる。

その化け物は俺達の方を見つめながら何かを話している様子だ。

そして俺は、なぜかその会話を聞くことができてしまい。この化け物の話を聞いていたのだ。

そして俺は驚きのあまり絶句した。なぜならその化け物は、俺の父親がこの国の王に殺される原因を作った本人であったのだ。この男の名前はゼクスと言い。昔この国に存在していた王国を滅亡に追いやった魔王の幹部の一人であったのだ。

この話を聞き終えた時俺は、怒りでどうしようもなくなってしまっていたのだ。この国が滅んでいった経緯を知ってしまったからである。俺はこの話を聞いていて、自分の中での気持ちが溢れ出していて止められなくなってしまったのだ。そして俺は、この男に対して恨みを持つようになっていた。この国に住んでいた人たちは皆いい人達ばかりだったのだ。それをこの男が殺し尽くしてしまったのだ。許せないと思ったのだ。この男は絶対に倒さなければいけない存在だと認識することができたのだ。

俺達はこの巨大な化け物を前にして、一体何をすれば良いのか分からずにいた。この場に残っていた仲間たちも、この状況を理解する事ができずに困り果てていたのである。すると目の前にいる、この国の王様の亡霊が現れると、この国の王を名乗ったのだ。その王が語り始めた、その内容は衝撃的なものであった。俺はその内容を聞き驚愕してしまう。なんと、その話はこの国を襲った災厄について語ってくれたのだ。

そして王は自分の娘について語った。

この王は俺の父親を魔王軍の手引きをして殺した犯人だったのだ。だがその事は仕方が無いことなのだと思うことにしている。この国は魔王軍に狙われるほどの力を持っていないはずなのに、魔王の手下に狙われることなんてないのである。それに俺は、その話を聞いた時は魔王の城に向かっていた途中での出来事を思い出していた。そしてこの国の王妃も、魔王の城の近くにあった街に住んでいる人々と同じように命を奪われていたということを、その話から思いだした。そしてその話の最後に、この王はこう言ってくれた。

「お前たちだけでも逃げなさい。私にはもう時間が残されておらんのだ。私はもうすぐで死んでしまいそうだ。だが私の最後の命令に従ってほしいのだ」そう言われた後すぐにこの人の気配が無くなっていく気がして、俺は必死に声を出そうとしたがもう遅かったのだ。この王の体は消滅してしまったのである。そして俺達は、これからどうするかを決めなくてはならなかった。

俺達が話し合っていると一人の少女が現れる。

その少女が言うに、どうやら少女の仲間の一人がその少女を庇って亡くなってしまったらしい。その話を聞いて俺達はその仲間の仇を討ちたいと言い出したのだ。その話に少女が了承してくえれて、少女とその仲間の亡骸を取りにいくことになったのである。

俺は仲間たちと共にこの場を離れ、俺の両親の家に向かっている。

この国には魔王軍との戦いで滅ぼされてしまった町が数多くある。そして、この辺りには特に酷い状態の町が多く存在している。俺の父が住んでいたこの町もそのような惨状になっていたのだ。俺の両親もこの近くで亡くなっている。俺は今更両親が生きているとは思っていないのだが。もしもまだ生き残っていてくれているのならと思い俺は希望を捨てていないでここまでやってきたのである。

俺は、俺の母と父の無事を祈りつつ俺の住んでいた家を目指して歩いている。そんな俺の隣には少女がいるのだが、俺はどうしても少女のことを見て違和感を覚えてしまっていたのだ。この少女に違和感を感じるという理由なんだけど、まずは、俺のことをずっと見ていることだ。それからもう一点だけ気になるものが存在している。それは頭の上に乗っかっている猫みたいな奴なんだよな。こいつ何なのだろう。

そして俺は少女に、俺が抱えてもいいかと聞くことにした。この子にも俺達の言葉は理解できるようだが俺は一応言葉を選んで聞いてみた。そして俺はこの子の事を抱きしめた。すると、すごく可愛い顔をしてくれていて本当に可愛かった。そうやってこの子を抱きしめた状態でしばらく過ごしているとその子がいきなり光始めたのである。そうして、だんだんとその輝きが増せば増やす程どんどん大きくなっていったのである。俺もその光が眩しく感じ始めてしまい、目を瞑ってしまうほどの光の渦が巻き起こったのだ。そしてその光の収束とともに徐々に目が開いていき、そこには俺のことを見てくる銀髪の美少女がいたのだ。見た目的には14歳前後くらいだろうか?その年齢でこれほどまでに綺麗で可愛くて美しい顔立ちをしている人には出会ったことがないと思うほど綺麗な女の子がそこに立っていたのであった。そう、その美少女に心奪われそうになったのだ。しかも俺のことをじっと見てきていてなんだかくすぐったい気持ちになってしまったのである。そして俺の頭の中である一つの言葉が浮かんできたのだ。そうこれはまさしく。

(この世界に来てから初めて見たぞ!!これが一目惚れと言うものなのか!?まさか俺は出会って早々恋に落ちたというのだろうか?)俺はそんな事を思いながらも俺は少女の顔を見つめ続けていた。

俺がそんな風に一人で悩んでいる間に俺の横では仲間同士の話し合いが始まっていたようだ。

「ちょっと!その子どうするつもりよ!」そんな事を話し合う二人の姿を見た瞬間、何故か分からないけど俺は焦ってしまい。つい大声で止めに入ってしまう。

そうすると仲間の一人は驚いて固まってしまっているし、もう一人の仲間に関しては完全にドン引きしてるような態度を取ってきていたのである。そして俺はそんな事をしているうちに我に帰る。俺はいったいなんでこんな行動に出たのだろうと疑問に思っていたが、俺自身でもわからない感情が渦巻いていた為理解できなかったのだ。

ただ俺は、この少女の事を見つめているだけで胸の内が温かくなる感覚を感じ取っていた。俺はどうしてこのような感覚になっているのかよく分かっていないため戸惑いを感じていたのであった。

(なぜこの子に見惚れてしまうんだろう。)

俺は不思議でならない思いを抱きつつもこの子はどんな種族の子なんだろうかと考えていたその時だったのだ、急に大きな爆発音が響いてきたのである。

そして突然俺の体に激しい痛みを感じたのだ。

俺は何が起こったのかわからず混乱していたが、それでも仲間を助けようと思った俺は急いでその場に向かおうとしたが、俺は足を止める事になった。なぜかと言えば、俺は自分の腕の中に先程の銀色の美少女の姿がないことに気付いたからである。それだけでなく俺のそばにいたはずの仲間達の姿が消え去ってしまったのである。

俺は慌てて周囲を確認するも近くに仲間の姿を確認できないのであった。その瞬間俺はこの異変の元凶が、この目の前に突然現れた、大きなトカゲのような姿の化け物だと確信した。そして、この化物が俺達に襲いかかってきたのだと。そして俺は、この怪物が放った一撃を受けてしまったことで俺の意識は無くなってしまったのである。俺は気を失った事でその場に崩れ落ちたのだ。

俺はその光景を目の当たりにしながら呆然とする他なかった。目の前の男があまりにも無残にやられてしまい、そしてその化け物は次に俺の方へと近づいてくる。

その様子を確認した俺は、恐怖で動くことすらもできずただその場で怯えているだけだった。

化け物は俺の前にたどり着くと俺の頭を鷲掴みにして俺の体を引き裂こうとするが。しかし、俺はまだ死ぬわけにはいかないのだ。この男は許さない。この国の王は、俺の父を殺したのだ。俺の母は、この化け物から俺を守るために死んだのだから。俺だけは殺されてたまるかという気持ちで、必死になって抵抗した。俺は化け物に抗いながらも必死に考えていた。どうやってこの化け物を始末すればいいのだろうと思っていたのだ。そこで俺の頭に何かの情報が伝わってきたのだった。その情報にはこの世界の理が書かれていたのである。俺はこの情報を読み取り化け物に対抗する方法を知ろうとした。俺はこの時【覚醒状態】の力を使ったことにより、ステータス画面に新たに追加されていた項目があることに気づいたのである。その項目はスキルというもので、俺は早速詳細画面を開くようにしてその内容を確認していく。すると俺はその中にあったこの世界における全ての生物の天敵とも言える力を発見したのだ。

俺はそのページをみて驚愕してしまうことになる。

そして俺は化け物の攻撃をなんとか回避していくが、この攻撃は俺の予想していた以上に厄介なもので回避し続けることは不可能なものだと悟る。だがそのおかげでその力を詳しく見ることができたので、試す価値のある方法だと思うことができた。

俺はこの能力を発動するための準備を始めることにした。

俺達は巨大な虫型の魔獣と戦っていた。

だがその巨大な虫の背中からさらに一匹の小さな化け物が現れ俺たちを襲い掛かろうとしてきたのだったのだ。その小さな虫たちは俺たちの事を標的にしたようで俺たちに向かって一直線に向かってきたのである。だが俺はその虫たちに剣を向けて斬り捨てようとした時だ。俺の仲間の一人がその巨大な虫たちを食い殺してしまったのである。俺はそんな光景を見て思わず叫んでいた。俺の仲間は一瞬のうちに巨大な蜘蛛に変貌を遂げたのだ。その姿はもはや人の姿を保っておらず、全身を漆黒の毛が生えそめられていたのである。そうまるで神話に出てくるバハムトのような姿で俺は驚愕を隠せないまま唖然として固まってしまったのだ。

その後すぐに俺の仲間はその巨大化した魔物と戦い始めたのだがあまりの速さについていけずに、俺はその戦いを見ることしかできなかったのである。

それからも仲間の戦闘は続き、最終的にその巨大な生き物は討伐することができた。

しかしその時にはもう俺の仲間は既に人の姿に戻ることはできなくなってしまっていたのであった。俺は仲間たちの安否を心配するがどうすることもできなかった。

だが、俺にはもう1人の仲間の無事を信じることしかできないのであった。

そしてそのあと仲間と俺は、この国の王の娘を無事に連れ帰ることができたのである。だがその少女は仲間の一人を亡くされてしまいとても悲しみに打ちひしがれているように見えたのだ。だがそんな少女の様子に構うこともなく少女を連れ去るようにこの国の王の命令があったのである。

俺達は何も言い返すこともできぬままその少女を城まで連れて行くしかなかったのだ。

少女は俺の仲間たちと共にこの国の王の元に案内されることになったのである。

そして少女は王の前まで行くとその娘が何者かということを問われたらしい。少女はこの国では、魔王軍に殺されたとされる勇者の一族の子孫であることを明かしてくれた。そして少女の言葉を聞いた王は少女にとんでもないお願いをして来たのだ。それは魔王軍との争いを終わらせるために戦ってほしいというものだったのである。その話を聞いた俺は驚いたと同時に疑問を抱くこととなった。

なぜなら魔王軍と戦争をしていたのならなぜ今さら魔王軍を殲滅するために兵を出そうとしているのだろうかと思ってしまったのだ。その疑問に答えられる人物はおらず、とりあえずこの王の言うことに従ってみることにしようという結論になったのである。

そうして俺達はその命令通り、魔王軍の殲滅に向かうのであった。

そしてその途中俺が感じていたあの疑問は、この世界での最強種とも言われる生物の存在を知ることになることによって解けることとなるのである。俺が今感じている不安はこれから起きるだろう惨劇によって生まれているものなのだと俺は気づくこととなる。

この世界には元々神がいたと伝承されている。その力は人間とは比べ物にならない程強く、人間がいくら束になっても太刀打ちすることはできないと伝えられていてこの世の終わりの時は、必ず神々が助けに来てくれると信じられている。その言い伝えは、俺達が暮らしていた国の王が俺の父と母が殺されてからしばらくしてこの世に誕生したのである。そしてこの国に現れたというのだ。

その者の名は、サタンと呼ばれていたのである。

その男は圧倒的な力で俺の両親を殺した犯人を殺し尽くしてこの世から抹消させてしまったのだ。その男の容姿というのは、この世に存在するもので表現するのであれば黒き太陽と呼ばれるべき存在だったのである。その者の瞳に宿った輝きはとても冷たく恐ろしいものだったと、当時幼かった俺は父からそう聞いていたのだ。そしてその男こそ、今から向かう目的地にいるであろう魔王と呼ばれている存在であることも聞かされた。俺の父と母は俺が幼い頃にこの国から出ていき今はどこにいるかわからない状況だった。俺はその時に聞いた話が忘れられず、未だに心に傷を残していた。そんな時に俺はある少女と出会ったのだ。彼女は、かつてこの世界を滅亡の危機にまで追い込んだ元凶であり。最強の力を持っていたと言われる少女が俺の前に現れたのである。その者は、銀色の髪を持つ美しい少女で俺と同じ銀髪の少女であった。俺は彼女にどこか似た雰囲気を感じていたので俺はどうしても彼女から目が離せなかった。そしてその少女の名前はリリアナと言いこの世界では魔王と呼ばれている少女であったのである。そんな少女との出会いをきっかけに俺は仲間を増やしてこの国に仇なす者を退治することを生きがいとするようになっていたのであった。そして俺の心の支えになっていた銀色の髪を持つ彼女のことを思うことで、俺は絶望のどん底にあった心が少しずつ癒されていくような気持ちになっていくのを感じ取れていた。だからこそ俺はまだ生きている。まだ死ねないんだと思うことができたのである。

そうしてようやく俺は魔王の根城にたどり着くことができた。そして俺は、この国の王に言われていた事を思い出してこの城の守りを固めるためにこの城を結界で覆いつくすことで敵の侵入を拒むことに成功するのであった。そしてその間に俺は仲間達の体力回復に努めることにする。俺自身も怪我をしていたがそれよりも先に仲間達の体力の回復に努めようと懸命になって仲間達の看病を続けていたその時のことだったのだ突然俺の仲間の一人が苦しみ出したのだ。

そしてその苦しんでいる仲間の体は徐々に形を変えて巨大になっていった。その体は徐々に大きくなりやがて大きなドラゴンへと変わっていく。その姿を見て他のみんなが驚いていたようだったが俺は違う意味で動揺していたのである。なんと目の前の光景に驚愕した理由は俺が先ほど【鑑定】で見た内容が本当だと分かったからだ。そこにはこんな文字が表示されたのであった。『ステータス詳細』

*種族

* * *

シルバードラゴン(変異個体)

LV99

☆ 攻撃力999 守備力800 HP1000 MP600 特殊アビリティ 【超成長】【竜化】

固有スキル

竜鱗魔法 ブレス 飛行 スキル:〈飛翔〉 俺が確認していたのは種族の詳細画面である。

俺はそこに書かれている内容を見たことで俺は驚きを隠すことができないまま言葉を失っていたのであった。俺の視界の中に映っていたのは間違いなく仲間が進化する直前の光景だった。この変化を目の当たりにしたことでこの国の王が言っていた話を思いだしていた。それは、魔王を討伐した者が魔王に変わるという話を。つまりこの光景が俺が目にした魔王の姿そのものなのではないかと思い始めてきたからである。俺の仲間が姿を変えたのは間違いないだろうと思いながらも俺は仲間たちに声をかける。

そしてその問いかけに答えるように俺の仲間の一人は俺の方に振り返ると俺の方を見つめてきたのである。その姿は完全に俺の知っている姿ではなくなっていたが確かにその少女の顔には俺が見覚えがある少女の面影が存在していた。そうそれは俺の仲間である銀髪を靡かせ俺のことをよく可愛がってくれていた少女が成長した姿をそのまま大きくさせた姿をしていてとても美しく俺の記憶の中にある少女の姿そのままであったのだ。俺は、そんな彼女を抱きしめたい気持ちを抑えつつも話しかけた。すると俺の仲間だったはずの少女は俺のことを見るとなぜか涙を流していたのである。

俺は彼女が泣いていたことに対して困惑してしまったのだがその気持ちを察して俺は安心させようと声をかけることにしたのであった。そして俺はこの子の本当の名前を聞くことにする。しかしその名前がなかなか出てこない様子だった。そこで俺は、ある少女の名前を言ってあげたのだ。

その少女とはリリィという名前だ。

この少女とこの少女は似ているから恐らくはそうだと思っていたがやっぱりそうだったのだ。そうして俺は、この少女に今まで起きた出来事を説明する。そうすると少女はある人物の名を言ったのである。俺はそれが気になり思わず少女に質問をしてしまったのだ。そして俺は衝撃的な言葉を耳にすることになる。その少女の口から出てきた名前は、魔王リディアという名前で魔王の名前と瓜二つだったのである。俺はその名前を聞いて思わず固まってしまう。そして俺は、その人物が今どこのいるのか知りたい一心だったので俺は魔王の事をもっと知る必要があると思ったのであった。そうして俺は、魔王がこの世界に存在していることを確信することができたのである。

だが、俺はこの時魔王についてあまり詳しく知らないことに気づいた。俺は魔王と聞いて最初に頭によぎるのは俺の両親の敵ということだが、それ以外の魔王に関する情報については全くと言っていい程に知らないのだ。俺にはこの世界の魔王が何を目的に行動をしているかもわからない状態だったので困り果ててしまったのである。

俺はまずこの世界にいる魔王のことを知る必要がありそうだと判断したが、どうしたら調べられるかを考えるために情報収集することにした。そして俺の仲間であるこの少女をどうやって元に戻せるのかを考えていた時のことである。少女はこの城の奥に隠された秘密の通路を発見してしまい、俺はその場所を確認すると、そこはどうやら魔王が住んでいるとされている城の地下に向かっていることがわかってしまったのである。俺はどうしようもない焦燥感に襲われてしまっていた。なぜなら俺にはもうこの子を元の状態に戻せる術を持っていない。俺が唯一できるのは魔王を倒すことぐらいしかできないのだ。俺の父は、かつて最強と呼ばれた存在だが魔王と戦うための準備もできておらず無残にも殺されてしまった。そしてその父が死ぬ前に俺に託したことがこの少女を助けることであると知った時に父さんと母さんの思いを俺の代でもって成し遂げてみせるのだと思いながら少女とともにこの場を後にする。

それからしばらくして少女はこの城の秘密の部屋に入ってしまい俺は慌てて後を追いかけていく。少女はその部屋に何かを見つけたのか中に入るがそこには誰もいない。俺はおかしいと思ってこの部屋を調べるために部屋の隅々まで探したが、特に変わったものは見つからなかったのである。しかし、その時突然俺の脳内に映像が浮かび上がってきたのだ。その映像には、銀髪の美少女が巨大な魔物に変身していく様の映像が流れ込んで来たのである。そしてそれと同時に俺の中に魔王に関する知識が刻み込まれていき、そして俺が知る情報が正しいものなのだと認識するに至った。その情報を整理するために俺と銀髪の少女がいる場所に戻ると、俺は少女に今起こったことを伝えるのであった。少女はそれを信じてくれたようで魔王に対抗できる力を持つためには勇者の力を手に入れる必要があるということを俺に伝えてくれた。

俺はその少女の言葉を受けてこの世界を救うことを決心し、仲間を集めることにしたのである。

俺は仲間を集めることを決めてから仲間達を呼び集めて事情を説明した。そしてこれからこの国の王の依頼をこなすことになるがその依頼は魔王討伐の件も含まれているというのでそのことをみんなに伝えるとみんなは魔王と対面するということもあって怖じ気づく者もいれば俺のために魔王を倒すという目的を果たす為にやる気満々と張り切っている者もいたのである。

俺は魔王を倒すことができるのだろうかと不安になっていたのだけれどこの世界に平和をもたらす為ならばやるしかないと覚悟を決めこの国の王に頼まれた任務を遂行することを決めた。

そうして俺達は魔王の元に向かい始めたのであった。

そして俺は魔王の根城に辿り着き、その城内に足を踏み入れる。その魔王城は異様な静けさに包まれていてまるで人が暮らしている形跡など一切感じられずにいた。しかし、俺達は魔王がいるであろう玉座の間に向かうことにして奥へと進んでいくと俺は魔王と遭遇してしまったのだ。そしてその者は俺の父がかつて死闘を繰り広げた宿敵でもある男だったのである。俺は父の敵をここで取らせてもらうつもりで攻撃を仕掛けることにした。その戦い方は俺の持つ特殊能力を使いこなし、【未来予知】で攻撃を避け相手の動きを封じることに成功した俺は【空間転移】で奴の死角に入り込み渾身の一撃を放ったが俺は奴に傷を与えることに失敗していたのである。それどころか奴から強烈な攻撃を受ける破目になってしまった。

その時に仲間達が援護してくれたおかげでなんとかその場を切り抜けることができた。だがこのままではまだ分が悪いと踏んだ俺は【次元斬】で自分の姿を別の場所に移すことに成功する。【神眼】を発動させて相手の様子をうかがい次の攻撃をどう対処すればい良いのか考える時間を作ることにしたのだ。

「お前は誰だ?なぜ私の城に侵入して来ることができた?」

「俺は魔王を討伐に来たものだ。」

俺の問いかけに魔王は答えたのだった。

俺は、奴の発言を聞いて動揺してしまいそうになっていた。なんと目の前にいる者はあの【鑑定】に書かれていた通り魔王本人だということが判明したのである。魔王にそう聞かれたことで俺はこの男が魔王だとわかったのだがそれでも俺の心の中には疑問が生まれてきた。

俺の両親は魔王によって命を奪われたはずなのにこの魔王はなぜか俺の両親を殺した犯人を殺さずそのまま生かしているというのである。その魔王の考えは理解することができなかった。俺の両親が死んだ原因を作った人物をこの男は殺すことなく放置していたのだからな。そしてそのことから俺は目の前にいる者が本当に魔王なのかどうかを疑いたくなっていた。俺の知っている魔族は、残虐な方法で多くの人間を殺しまわるような者しかいないのだ。俺はそんな魔王の姿を見たことはないがそういうイメージがあったのだ。だからこそ目の前の人物が魔王であると聞いた時にはどうしても信じられなかったのである。だがこの男の発した言葉で目の前の男の正体が本物だと分かり俺は目の前にいる者に恐怖を感じ始めていた。それは、目の前にいる者から放たれるオーラはあまりにも異常だったからである。

(なんだこいつからは異常なほどに強い力が溢れ出している。一体何をしたっていうんだよ。こんな化け物がこの世に存在していられるはずがねえ)

そう思った瞬間に、俺は魔王の攻撃を受けていた。そしてその威力は先ほどよりも格段に上がっていることがわかったのである。俺は先ほどまでは本気で戦っていないということが分かってしまったのであった。魔王の強さは圧倒的すぎるのだ。こんな怪物を俺の仲間たちは倒せるのかと俺は心配していた。だが仲間達の気持ちは俺とは違い諦めてはいないようだった。

そして魔王との戦いが始まると俺は仲間のサポートを受けながらも必死に戦う。しかしいくら俺が魔王と戦っていても俺の仲間は魔王には敵わない。なぜなら俺は一人なのに対して魔王は複数人の部下を持っているからだ。仲間が一人で魔王の部下を数人相手にしているが明らかに不利であった。そこで俺は、自分がやるべき行動は何かを考える。その結果魔王を打倒するには自分以外の者を死力を尽くして魔王と戦うことに専念してもらうべきだと判断した。そこで俺は仲間に声をかけた。そしてその作戦を実行することにしたのである。そうして俺は、仲間の力を最大限に活用して全力の一撃を放つことにしたのだ。

俺はこの攻撃を当てることで戦況が変わると信じ魔王の心臓部分めがけて攻撃を仕掛けたのである。その攻撃を防ごうとした魔王に俺はある仕掛けを施しておいたのだ。それは俺が持つ剣に細工を施したものである。それは、魔王の体内に異物を入れ込むことである。俺はそうすることで、その異物を体外に出すように魔王に命令させたのだ。そうすることによって魔王が俺が与えた武器が刺さり続けることとなり次第にダメージを与えて行き魔王の体力を奪うことに成功したのである。その時に魔王が苦しんでいる様子を見ることができ魔王の体に何を入れたのかを説明するとその魔王の体が突然膨れ上がり始めその大きさは約2メートル近くの大きさにまで成長して俺が入れた異物は消え去った。そしてそのあとも、俺の体は魔王の成長と共に大きくなっていくのだった。

魔王が急に大きくなってきたと思ったら魔王からとんでもない言葉が出てきた。

そう魔王が自分の体を変化して、その変化の過程で俺の仲間の一人である勇者が持っていた聖剣と同じものを作り出してしまったのだ。これには勇者である仲間もかなり驚いていた。勇者はその聖剣を見て、魔王に対して強い憎しみを抱いたようなのである。そして、仲間が魔王と戦い始めると同時に魔王と仲間による戦闘が始まるのであった。俺の見立てでは勇者が勝つことは確実であると予想されたのだ。なぜなら勇者は、この世界で一番強い存在であるからだ。勇者の称号を手に入れたものは全ての能力値の上限を超えることができ更に勇者専用スキル【超絶レベルアップ】も得ることが可能であるために、その恩恵でどんどん強くなっているというのである。そして仲間も魔王との戦闘に慣れ始めているのでその戦闘能力が上昇をしているようだ。

仲間の一人は魔王が作り出した巨大なゴーレムの右腕を簡単に切り落としてみせたのだ。俺も自分のステータスを見てみるとレベルが大幅に上昇していることがわかって俺は、これなら勝てるのではないかと思うようになったのである。しかし、魔王がさらに巨大化していき魔王にダメージを与えることが出来なくなっていた。しかもそのせいなのか魔王は全身に鎧を身に着けていて攻撃もまともに効かない状態だったのである。そしてその魔王に対抗できるはずの勇者と仲間たちもその圧倒的な戦闘力に苦しめられているように見えたのだ。俺はこの状況はまずいと感じる。

このまま戦い続けたとしてもいずれ魔王に押しつぶされるだろうと思い俺が今取れる最善の手を考え出す。すると一つだけ思い付いた手があり、それを試してみることにする。そう俺はあの男と融合したときに得られた【神格】を発動させることにした。そしてその能力を試してみるとそれは俺の中にいるもう1人の存在の力を使うものだったのだ。

俺の中にもう一つの魂が存在することを知った時はとても驚いた。その者の名は魔王だったのである。

俺の中で暴れていたのは紛れもなく魔王であり俺を殺そうとしていたことにも気付いていたが俺は魔王のことを許せないという思いもあった。俺はそんな気持ちで融合を受け入れたのである。しかし、それからしばらくしてその考えを改めることにさせられた。その理由としては、その魔王があまりにも哀れに思えてきたのと仲間である他の魔族たちの話を聞く限り、魔族の中だけで魔王は恐れられているのではなく人間の世界でも同様だということが分かったのだ。そして俺は今まで知らなかった魔王についての知識を得ることができた。そしてこの世界の現状を知ることになるのである。

この世界には、複数の大陸が存在しているらしい。その中で魔王が住むとされる魔界とそれ以外の魔族はそれぞれの領域に生活を送っているのだと教えてもらった。魔王は、人間界に侵攻しようと試みるがことごとく失敗するらしくその失敗の原因は魔族の王という立場である為に自由に動けずそのせいで部下たちをまとめることが出来ず統率が取れていないことが原因だということを教えてくれたのである。俺は、それを聞いた時に俺は自分の親の敵討ちの為に復讐しようと決めたのだ。俺はこの世界に生きる魔族たちを束ねて人間どもを倒すという覚悟を決めたのである。そのために、まず俺はこの世界を統一することから始めた。しかし、この世界を統治できるのは俺以外にはいないと確信するようになっていたのである。その最大の理由というのがこの【異世界転移】という特殊能力があるからである。この能力があればこの世界を掌握することも可能だと思ったのである。だから俺はこの世界を統べる為の戦いを始めることを決めたのだった。

俺は、その決意の元魔王を葬る方法を考える。だが、俺の中にあるもう一人の存在の能力を使えばなんとかなるかもしれないと考えた。それは魔王に宿っている【闇属性】というもので、この力はこの世界に存在するあらゆる魔法を打ち消すことができるのである。そしてこの【闇の空間】と呼ばれるものでこの世の全てを封じ込めることができるのだ。その力を利用して魔王が身につけていた装備だけをこの世から消してしまうことにした。だがここで問題が発生する。【次元収納】は時間の流れがないアイテムしか入れることができない。【次元斬】で魔王が持っていた聖剣を取り出すことに成功したのだが聖剣に纏わりついている黒い霧が魔王に害を与える可能性があったのだ。

俺はこの事態に対処するために魔王を殺す方法を他に探すことにしたのである。そして俺は魔王にこの世界の常識を教えて貰う事にしたのである。そうして俺達はお互いのことをよく知ることになった。そして魔王のことについて理解した俺はこの機会を逃すべきではないと判断をした。そう魔王を俺に取り込むべきかどうかの判断をする為にだ。魔王をこのままの状態で生かしておいてもこの魔王がこの世界で何かをするということはないのである。だが魔王は危険人物であるとこの国にいるすべての人が感じ取っているはずだ。それに魔王は勇者によって封印されたとされている。だからこそこの魔王の存在を公にするのはリスクを伴う可能性があると判断したのである。しかし、今の俺は、この世界の誰よりも強い存在であると確信した。それに、仲間である他の者達よりも確実に強者なのだ。だから俺は魔王を取り込んでしまうことにしたのである。

俺は魔王に対してこの世界のことや、この世界のルールなどについて質問を行うことにした。だが魔王からの答えは全て曖昧なものばかりだった。だが魔王の話に出てきた、女神や勇者といったキーワードには興味が惹かれてしまう。そこで俺は魔王の持っている力についても聞くことにした。そうして俺は魔王の口から、この世界における魔王の役割を聞いて驚愕することになったのである。

魔王は自分の力を勇者に渡すことが出来ると言っていたのだ。魔王はそうやって歴代の勇者の力を蓄えていきその力を我が物にしたと言う。俺が知る限りこの世界で確認されている最古の魔王というのは、初代国王が従えた最強の魔物であるという話を思い出した。そしてその魔王を倒した時に手に入れたものが魔王の使っていた武器と能力だった。そのことから、その魔王を討伐したことで初代の王は、最強クラスの能力を持つことになったと考えられる。しかし魔王の力は、俺の想定していたよりも上回っていたのであった。魔王が勇者に渡せると言った勇者の力とはその魔王の力と同等の強さを持っているということになる。だがそれでも勇者が勝てるとは思えない。なぜなら相手は勇者の力が通用しないと言われている化け物のような奴なのだ。俺はそんな相手にどうやって戦えばいいのか悩んでいた。

(まさかこれほどまでに強い力の持ち主とは、一体どうすればこいつを倒しうることができるんだよ。俺の力じゃ絶対にこいつに傷一つつけることができない)

そこで俺は、この場に居ない人物を思い出す。それは勇者の仲間たちであったのだ。勇者の仲間の魔法使いや神官、僧侶などは魔王とまともに戦えるほどに強くなっていた。それは【ステータス鑑定】を使って確かめていたので間違いないことなのである。ただ仲間の一人は、勇者の力を受け継いでおらずその力を引き継げていないようなことを言っていた。つまり俺が考えた作戦が使えるのである。仲間の一人は、聖剣を扱えずにいた。そのためその剣は今現在使えずにいるようだったが、魔王が持つ武器は違うようだ。なぜなら、魔王の持つ武器と勇者が持つ聖剣が同じ性能であると確認できたのだ。そう考えるとやはり、この作戦で魔王に勝つことが可能ではないかと考える。そう考えていたら、魔王がいきなり喋り出したので俺はかなり焦ってしまった。

そうして話している間に俺も仲間達と一緒に魔王と戦っていたのだ。

しかし魔王は俺達に攻撃をしても、ダメージが入らないことに気が付いていないのかずっと一人で戦い続けていた。そうしてしばらく経った後に、俺の方を向いてきたのだ。俺はすぐに攻撃を仕掛けて、魔王を倒そうと試みた。その時に、俺の体が突然膨れ上がり始める。その光景を見ていた仲間たちは俺に近づこうとしたが、それを俺が止めた。そして、魔王が俺に向かって何かをしようとしていることに気付いたからだ。俺の仲間である勇者と女戦士、それと女騎士が魔王の注意を引くように攻撃を行ったことで魔王はそちらに注意を逸らすことに成功する。

「お主、何をするつもりなんだ?なぜ、急に大きくなってきたのだ?」

魔王はそう俺に問いかけてきた。

「俺は今ある男と一体になっている。お前を倒すための作戦を実行するために俺は、今一体化をしているんだ。そして今俺が行おうとしているのは【肉体強化】と【身体能力超絶上昇】、それから【神格】だ。そして【神格】についてはもう使う必要はないと思っている」

そう俺は魔王に言い放った後で魔王めがけて駆け出しながら技を発動させる。その攻撃は俺の全力を込めたパンチであり、それが魔王に炸裂したのである。俺の拳はその瞬間に爆発を起こしていた。しかし俺はそのことを全く気にせずにもう一度殴りつけたのである。そして俺の攻撃が何度も繰り返された時、その一撃で魔王を粉々にすることに成功してしまった。そうして俺は【神域収納】を使い、魔王の装備品と所持品を回収したのである。そしてそれを自分の中に取り込み、その状態で仲間たちと魔王の死体を【神の領域】の中に隔離してから【転移】を使用して元の場所に戻ったのであった。

俺が魔王と融合して魔王を倒すための戦いを繰り広げている間にも、戦況は大きく動いていて、俺はその変化に気付きながらも自分の戦闘に集中することにしたのである。そして俺はついに【神格】を使うことにより魔王を殺すことに成功したのである。しかし俺の中にいる存在の力を使えば、俺はさらに強くなることができそうな予感がしたので【神格】を発動させてみることにした。するとそれは成功してしまい予想以上にとんでもないことになっているのではないかと感じ始めていたのである。

俺はこの世界の最高神と呼ばれる存在である。俺の名はゼクトである。俺はある日一人の人間の少年に運命的なものを感じ取り興味を持つようになった。この俺様の心を惹きつけたのはこの世界に生きるどんな人間でも持っていないものを持っていたからであろう。それは俺と同じ魂である。俺と同じようにこの世界に存在するすべての種族に加護を与えこの世界を支配しようと画策する。そんな男に興味を持ったのだ。この男は、俺の【絶対服従】スキルで命令に従うはずなのだがなぜか俺に対して敵意を持って反抗した。その理由を聞いたところ、俺の考えに賛同してくれなかったがその理由がとても興味深いものだったのだ。その理由というのが、俺のことを見下していたというのだ。しかも自分よりも圧倒的に強くて敵わない存在だと認識しながらもなお俺に逆らったというのだから驚いたものだ。俺はその人間を見ていて、俺を対等の存在として見てくれた人間がこの世界で初めて現れたと感じたのである。俺のこれまでの人生は俺より強い者が現れることはついぞなかったのだからな。

しかし俺は自分の考えが否定されて腹が立った。だが同時にその考え方を面白いと思い始めたのである。その思考の原点を詳しく聞いてみると、この世界の支配を企てるには、あまりにもこの世界を知らないというのだ。確かに、この世界の現状を知っているものから見ればこの世界を征服することはとても容易いことである。なぜなら魔族たちの王でさえ簡単に倒すことができた存在なのだからな。そのことを考えればその人間は自分がどれだけ強いか知らないということになる。だからこそ俺はその人間が気になったのだ。

だがこの人間は、【闇属性】の力を扱うことはできなかったし俺に対して【精神侵食】などの洗脳の能力を試そうとしたらしいがそれさえも成功しなかったというのだ。俺はそんな人間に今まで出会ったことがないからこそ興味が尽きなかったのだ。そのことから俺はこの男の願いを叶える事にしたのだった。

俺は【空間収納】の中に入れてあった【聖属性】で浄化された武器を取り出すとそれをこの世界の王に渡すことにした。この武器はこの世界で最高の攻撃力を誇っている代物であるがこの武器は魔王を殺すことはできないのである。しかし魔王の持つ特殊な防具を消滅させることはできるだろう。そして俺はその事実を伝えると、俺は魔王にこの世界でのルールを説明を始めた。だがこの世界の住人は魔王の力を理解できていないようで、まるで理解していなかった。この国の王が、魔王の力に対抗できるのは、同じ魔王の力だけなのだと俺の口から説明する。その言葉をこの国にいる者たちは信じるしかないのだ。なぜなら魔王の力を実際に目にしていないからだ。そうでなければこんな風に魔王の話を聞き入れることはないのだから。俺はその言葉で納得した様子のこの国の住民を見て少し嬉しく思ったのである。だが、それでも魔王の力がどれほどのものかを理解していないのは明白だったので、俺は魔王の力がどれくらいすごいのかを説明することにした。

「今ここで証明してやろう。貴様に魔王の力を授けてやる。ただしその前に、まずは私と一つになれ。そうしなければ力を貸すことができないのだ」

俺はそう言ってこの国の王に対して、この魔王が使っていた武器を俺の体内に取り込んだ。そしてその後に俺は魔王の持っていた全ての力と記憶を手に入れた。それにより魔王は【ステータス鑑定】の能力と勇者が持つ聖剣の力までをも使えるようになっていた。俺がそのことを証明する為に【神の領域】を発動させ、俺の仲間全員をこの部屋に集めた。そうすることでこの国の王たち全員が俺たちの力を目の当たりにしたので俺の力を信じることになったのである。

こうして俺は魔王の力でこの国に暮らす住民を奴隷化することに成功した。俺は魔王の力を手に入れてすぐに勇者たちが滞在していた城に戻り、勇者と仲間たちの体を乗っ取り始める。そして無事に俺の支配下に置くことに成功すると、勇者の仲間たちに魔王の力を見せ付けて俺が本当の魔王であることを説明した。その後で、俺の力を使って、勇者の力を完全に覚醒させたのだ。

俺はこの国の中で魔王の力を使って好き勝手に暴れ回ることにする。

そしてこの国から逃げ出した勇者が魔王を倒したということを広めるために世界中に触れ回った。

俺はそうやってしばらくの間魔王を演じ続けたのであった。そうしている間に俺はこの国の国王から、俺の国を作りたいという話を持ち込まれる。

俺は魔王である俺が支配するなら別に良いのではないかと考えたので、国王の話に賛同することにしたのだ。俺がそう言うと国王はすぐに行動を起こした。それはこの国にいた魔王の部下だった魔物たちを配下に加えたのだ。その結果この国は魔王軍に支配されたことになる。そしてその支配が完了されると、国王は俺にこの城の地下に巨大なダンジョンを造ってくれないかという話をしてきたのである。

そこで俺は魔王の持っていた知識の中にある技術を思い出したのだ。

俺は、魔王の知識を思い出せたことを喜んだのである。

そうして俺が魔王になって一年が経つ頃にはこの国は完全に魔王軍に制圧されていたのである。俺はそのことについて何も思うことはなく魔王を演じることに集中した。

そうして俺の計画は順調に進んでいたのであるが、そこに邪魔者が入ってきたのである。

それはこの世界の最高神と呼ばれる存在で、その正体はかつて【絶対切断】と【神域収納】の所有者であった勇者である。俺はこの勇者が現れても慌てることはしなかった。それは今の俺の体の中に、魔王の魂があるからである。それに魔王は死んだ時に俺が吸収しているので問題なく【神格】を発動させることができていた。しかしなぜこのタイミングで現れたのか疑問を感じた。俺はこの世界にきてまだ一年ほどしか経っていないがその間に様々なことを行ってきた。それは全て計画のためであり、この国を手に入れることが一番重要なことだと思っている。そして俺がこの世界でやりたいこともすでに終わりつつある。魔王の残した研究データとこの世界に存在していた伝説のアイテム、それを俺は全て集め終えたのである。

そうすればもうこれ以上世界の支配者になることに興味がなくなっていたのである。だからこそ魔王が死んでも俺はまだ魔王を続けようとしていたのだ。しかしなぜこの世界の最高神がわざわざこの世界に来て魔王である俺を殺しに来ることになったのだろうか。その理由がわからず、警戒を強めることにしたのである。しかし最高神の奴は俺を殺そうとはせず話し合いがしたいと言ってきたのである。

俺はその言葉を聞いてすぐには信用できず【真偽判断】を使ったのである。

そうすると嘘偽りはないと分かったので俺は最高神の話を聞くことにしたのだ。

そしてその内容を聞いた瞬間に、最高神がここにきた理由が判明したのである。それは俺がこの世界を支配しようとした行為にたいしての天罰がくだり、この世界のバランスが崩れ始めてしまったのだそうだ。それでこのままでは最悪の場合、他の世界の神々がこの世界に攻め込んでくる恐れがあったのである。その対策として、この世界の最高神は神界にある宝物庫の奥に保管されていた宝具を使うことによって最強の神を創造しようとしていたらしい。その神の名は【神皇】と言う。その神はどんな世界であっても神として存在することができてしまうという特性を持つ存在であり、どんな世界であっても必ず存在し続けることができる存在なのである。しかし神格が高くないと神としては成立しない。なので神としての存在を維持するには膨大な量の信仰が必要となる。だからこそ最高神はその神を作ろうとしていたのだ。その話を聞いた後でも俺の心の中に、その神の存在を危険だと思う感情が生まれてくることは無かったのである。むしろ俺は、そんな存在がいたらとても面白いと思っていたのだ。

俺はその神の存在を知り心が躍った。その話はまるでこの世界の王から聞いた話のような内容である。この世界にかつて存在したと言われている【聖属性】の力を持つ人間の王が、俺と同じく世界を支配しようとする魔王と戦ったという伝説が存在したのである。その伝説の内容はこのようなものであった。『かつて魔王という恐ろしい怪物が存在していた。その怪物は他の世界を支配しようとしている。だが魔王が作り出したその世界の歪みにより魔王の作り出そうとした世界の理を崩壊させていく存在が現れた。その存在とは人間という種族だった。しかしその人間は、【聖属性】という特殊な能力を持つことにより世界の秩序を守る守護者の役割をしていたのだ。だがその人間は、自分と同じような存在を生み出さなければいけなくなり、その方法は、人間を材料にして【人型生命体】という生物を生み出していくことにあった。その生き物は、知能を持った化け物だったらしい。その生物の力に恐怖した魔王とその部下たちは、人間に助けを求めることにしたのだが、その時人間に助けてもらう条件に、その【人型生命体】を倒すことを命じられたのである』

俺はこの話をその昔この世界で暮らしていた勇者に教えてもらったことがあったのだ。この話には裏設定があり本当は【聖属龍族】という種族がいてそいつらは普通の【魔装武具】では傷一つ付けることができないほどの硬度を持っていたそうなのだ。しかし【聖属性武器】だけはなぜか攻撃が通るということらしく魔王はその話を聞いて【人型生命族】を作るための参考にしたと聞いたことがあるのだ。そうして俺と同じように世界を自分のものにしようと考えた男がいたということを知り少し興味が湧いてきたのだった。そうして俺はその神を実際に見てみたいと思ったわけだな。そして俺は自分の【空間転移】を使って、その神が存在する場所に飛んでいったのである。

俺は、自分のスキルを使って神が住むと言われる場所に移動した。俺が行ったその場所は、真っ白な空間が広がっているだけで何も無いところであった。だが俺の目はこの場所で普通では無い何かを感知する。そして俺は自分の持っている能力の一つである、【気配察知】を発動させた。それによって俺は自分がどこにいるかを知ることが出来たのである。そして俺は【ステータス隠蔽】を発動させると、俺は自分の【空間転移】を使ってこの真っ白な空間を抜け出した。俺は今自分がいる場所に驚きを隠せない。なぜなら俺がいる場所は空中に浮かんでいたのだ。そのことから俺は目の前に存在するものの正体をようやく知ることに成功したのである。

そこには一人の老人がいた。その容姿は俺がよく知っている姿である。俺はこの爺さんに話しかけることにする。

「お主は、まさか神なのか?」

その俺の言葉に対して目の前にいる老いた爺が、口を開いた。

そして俺のことを品定めするように見つめている。

そしてしばらくした後に答えてくれた。

「いかにも。私が神だ。私の名前を教えてあげよう。私の名前はゼウス、全知を司る神なり。私の名は君にもわかるように、君の母国語で名乗らせていただいた」

その言葉を聞き俺は笑みが溢れた。そして俺はこのチャンスを逃すことなくこの場で殺そうと考える。俺は【神速移動】を使い一瞬で距離を縮めた。

だが次の瞬間俺は、その攻撃を避けられてしまい反撃されてしまう。だが俺の【ステータス偽装】の効果は続いているため俺はその攻撃を受けたことでも、俺自身の体がダメージを受けることなく平然と立ち続けることができている。そう俺は【完全鑑定】で相手のレベルやステータスを確認することが出来るのである。その結果俺はこの相手に手加減する必要など全く無いと判断したのだ。そして【絶対切断】と【神域収納】の能力を使うことに決める。そうしてまず最初に、俺はこの世界に存在する最強の金属であるオリハルコンで刀を作り出したのである。そしてその刀に俺は魔王が使っていた魔法を封じ込めた。その魔法の名前は、神滅魔法である。

この魔法の効果について説明しておく。この神を消滅させるだけの力が込められている。そして俺はこの魔法で、神であるこの男を殺そうと考えたのだ。そうすれば俺のこの世界の支配はより完璧なものになるだろうから。

俺はそう思いながら【神殺しの聖剣エクスカリヴァーン】に【神殺しの聖剣エクスカリヴァーン】を接触させたのである。そうすると俺の持つ2つの伝説の剣が共鳴を始めた。そうすることで俺はさらに魔力を高めて、神を滅ぼす準備を整えていった。そうすることによって俺は自分の中に宿っていた魔王の力を解き放っていく。その力はどんどん俺の体を侵食していくのだった。そのことによって、俺の体も徐々に変化してきてしまった。それは神の領域に入った証でもあったのだ。そう、神を殺すということは神の力を得ることと同じことになるのである。

俺は完全に体の自由を奪われないように耐え続けていた。しかし俺の体の変化を止めることはできなかったのである。そうこうしているうちに、ついに神をこの場から消すことのできる【神殺しの聖剣エクスカリバーーン】が完成する。この世界最高の鍛冶師であるこの俺の手によって作り出されたその聖剣には、【聖光結界】と【闇影槍】が付与されており、さらにその威力も神を確実に殺す為に必要なだけ高められていたのである。この世界に存在する全ての聖属性を付与し、神を確実に葬り去ることができるであろう聖属武装となっていた。しかしそれだけでは無くその神が使うであろう魔法に対する耐性なども備えていたのである。それは、相手が神であろうともその全てを防いでくれる程の力を秘めていたのだ。しかしそんな聖属武器をもってしても相手は神でありその神の力の前に俺の攻撃は通用しなくなる可能性は十分に存在していた。

だから俺は少しでも成功率を上げる為に、相手よりも速く動こうとする。だがその動きでさえ相手の方が圧倒的に早く俺の行動は全て見切られてしまったのである。

俺は自分の攻撃が全く当たらなかったことに驚いたもののすぐに気持ちを立て直すことにした。そうすると俺は、神との実力の差を感じ取ることができたのだ。この差を埋めるには【超加速】を使用するしかなかったのである。

そして俺は自分の持っている全ての能力を開放すると、【超高速思考】という新たなスキルを手に入れた。これによって、【神速思考】が発動できるようになり更に速度が上昇するのだった。それにより【神域転移】を使えるようになっていたのである。これにより一瞬にして俺はこの場所から離れることに成功する。その後から【聖光の斬撃】と【聖なる裁き】と【神聖光弾】を同時に使い追撃を行なった。

だがそれもまた簡単に対処されてしまうのであった。しかもその一撃は【聖鎧】と【聖なる衣纏いし者】によって完全に無効になっていた。このことからどうやら、相手の力を奪う【吸収装甲】の効果までこの装備では意味を成さないことが分かった。そのことから、俺は今の自分の力が通用するか試すために、全力の力で戦おうとしたのである。

「【魔帝モードII+】!!」

俺がその力を使ったことにより、俺の姿が変化する。その姿はまさにこの世界を支配するにふさわしいものだったと言えるのかもしれない。何故なら俺は神であるこの男と同等の力を持っていたからだ。そう、この姿になった俺に勝てる存在はこの世界にはいないだろうと確信できたのだ。そう、この姿を解放したのは本当に久々でありもう長い間こんな姿を見せることはないと思っていたからである。俺もこの姿になったことは後悔していたのだ。俺自身が神と同等になれるのならばまだ良いのだが、俺の場合は違う。なぜなら俺が使った【神化】とこの世界の人々が呼ぶこの力は神が使うべき力と神格を持つ者の固有技能なのだから。俺は神には敵わないという現実を突きつけられながらも俺は自分の限界を超えることを諦めることは無かった。そして自分の体にさらなる力を流し込む。

そうすることで俺は自分の中で何かが変化したような気がした。そのおかげでこの状態を維持するのも苦ではなくなっていた。そして俺は再び【神速思考】を使い、相手との戦闘を始めるのだった。【魔帝拳】を使い、相手に殴り掛かる俺であったがその拳さえも受け止められてしまいそのまま反撃を受けてしまう。しかし俺はそれでも諦めることが無かった。それからしばらくの間ずっと戦闘は続いていき、俺の体には無数の傷ができ始めていた。そう俺は何度も死にそうな場面に直面するのだが死ななかったのである。そして遂にその時がやって来たのだった。俺が放った最後の攻撃が命中したのである。その攻撃を神が受けたことで初めてダメージを与えることに成功した。そして神はその場に立ち尽くすことになる。

神は自分の身に何が起きたのか分からないといった表情をしているが、俺に負けたことは理解したようだった。そうして俺は勝利することができたのである。そして俺は神から力を奪い取り自分の中に入れることに成功した。

「これで俺に勝とうと思った奴は、お前が初めてだ」

そう言って俺はまだ神として残っている意識があるこの老人に対して話し掛けたのである。そうして俺は神を自分の配下にすることに成功し、【絶対服従】のスキルを手に入れてからその空間から消え去ったのであった。そうして俺は神と戦い勝利しその神を自分の仲間にしたのだ。そしてその神の住む場所はこの世界を創造した神であるゼウスが住んでいる所でもあるのである。俺はその場所で【完全鑑定】を使いその神様のことを詳しく知ることにしようと思ったのだ。その時に俺はある一つの真実を知ったのである。俺が自分の力でその神様のことを調べている時、俺が使っているこの世界の文字では無い言葉をなぜかこの爺は読むことが出来ていたのである。そうして俺は【絶対支配領域】で自分の中にいる神の記憶を全て奪ってからその記憶を見てみた。そうすると俺はその爺が誰なのかがわかったのだ。そしてこの世界に来てからの様々な謎も全て解けたのである。そして俺がなぜあの街にいるはずの勇者がここにいないかがわかりその本当の理由を知ることが出来たのであった。

この世界の人間に神と呼ばれている爺は、この世界を作り管理している全知の神であるゼクスという名を持った爺である。この爺の正体がなんであれ、俺にとってみればどうでもよかった。ただ俺は自分がこの世界で生きていくために必要な知識を得るために行動していただけである。そのためにこの世界のことを知る必要があったためこの世界に来ただけだったのである。俺はこれからどうやって生活すればいいかを必死になって考えた。

そうしてまず俺が一番最初に思いついた案は自分が元々いた場所に帰って、そこで生活をすることである。しかしその案を実行したとしても元の世界に帰ることはできないということは既に確認済みなので俺の考えを切り捨てたのだった。そうすれば次に考え付く案が、このまま別の異世界に移動し、自分の思うままの生活をするというものである。しかし俺は元の世界でやりたいことがあるのでそれを考えるとその方法も選択肢の一つから外れることになる。そして俺は、自分の目的を果たすためにはもっと強くならなければいけないと考えた。そうしなければ俺の目的も果たせないのである。そして俺は、自分のレベルを上げる為の方法を探すことにするのだった。そうすることによって俺も更なる力を手に入れることが出来るし、レベルを上げれば上げるほど自分の目的の達成に近づくことになる。そうして俺はこの世界で生きるために強くなることを決意するのだった。そしてまずこの世界の強さの基準を調べることにした。この世界はレベル制を採用しているらしく、ステータスも表示することが出来るため、まずはそのステータスを見ることにした。その結果、その強さを測るためにある一定の条件を満たしていないもの達はステータスを見ることも出来ないようになっているようだ。つまりステータスを見ることができるのが最低条件としてのレベル50以上が必要ということになるのだ。しかし俺の場合そのステータスを見る能力があるため自分の現在の力を把握しやすい。だからステータスさえ見ることができたらある程度自分で戦うことも出来るのだ。しかしステータスを見たからと言って必ずしも自分の望むステータスが見れるとは限らないので、自分の望み通りの数値にならなかった場合、その数値に近づける為の努力が必要になる。それは自分の望んだ数字に近付ける為に必要な努力の量が増えていくことを意味するのである。

そうすることによって、自分の力をコントロールすることが可能になり、その分自分の理想のステータスに近づくことになるのだ。そしてその自分の力がどの程度なのかを知るには俺の持つ固有技能【絶対測定】を使うことによって分かるようになるのである。この技能は自分の持つ技能や称号などが全て表示される。その表示されたものが本当に正しいのかはわからないが、一応目安程度には使えると思うので、自分の力を把握する為に使用することを決意した。俺はこのスキルを使用する為に【聖魔融合】のスキルを一旦解除することにした。それによって俺の体には聖属と魔属両方が入り混じった状態になってしまったのである。しかしそんなことは全く気にせずに、俺は早速自分の力を確かめてみるのであった。【絶対計測】を使うと、そこにはとんでもない数値が映し出されたのだ。それは自分の力を完全に使いこなせるようになっていた俺は、俺の力の強大さを再認識するのだった。

【名前】

リヴァイア 【種族】

魔族:ダークドラゴン 【年齢】

0歳(見た目)

【性別】

女 【容姿】

163cm 体重 46kg B84 W58 H83 髪の色 赤茶色のセミロングヘア 目の色は紫 【体型】スレンダーボディでとても美しい 【服装】ゴスロリ服に黒革のコルセットを身につけており、背中に大きな黒い翼がある 【職業】闇堕天使 魔王 悪魔公 吸血鬼女王 暗黒騎士 【称号】

神龍の娘 世界を滅ぼす存在 魔界の支配者 闇の帝王 魔帝の姫 吸血王 魔獣使い 悪魔の主 魔神の愛娘 不死鳥の守護 悪鬼羅刹 【性格】お転婆な一面もあるが、根は優しい。甘えん坊。ツンデレさんで照れ屋。可愛い物大好き!とにかく寂しがり屋なのである 【趣味】

料理 裁縫 【好きな事】パパに甘える事 一緒にいられること 寝る事 【苦手なこと】

勉強 【口調】一人称 我/私 二人称 汝、貴様、呼び捨て 三人称 〜よ、〜ね、などの女性言葉をよく使う 語尾を伸ばし気味に話す事が多い。

口が悪い 基本丁寧語で喋るが稀に砕けた口調になる事もある。たまに方言が出る 【セリフサンプル】

「うむ、よくぞここまでたどり着いた。我が名はリヴァイア。魔族の王にして世界の終わりを司る神なる」

「ふんっ、別に待ってはいないのじゃが。まぁ、少しだけ待っていたがのぅ。ふ、ふん。べ、別に待ち望んでいたわけではないのじゃからね!?勘違いせぬようにな!」

「ふぇ?パ、パパーー!!どこに行ったのぉ?」

「んー?なんじゃ、まだ眠いのじゃ」

「えへへ、今日も一緒だよ。」

【備考】神界に存在する五つのダンジョンの一つである魔界の王の一人娘。

普段は父である神龍が住んでる城に暮らしているが、時折気晴らしとして人間のいる街などに遊びに行ってることがある。

基本的には父と一緒にいることが殆どだが一人で行動することも多く、その時は基本的に神界を飛び回っているのでどこにいるのか分からないことが多くあり、見つけた時には嬉しくなって抱きついたりする。しかしすぐに離れてしまう為捕まえておくことは出来ない。

父がこの世界を見守っている間自分は父の側にいないことが多いので、自分だけが父と一緒に居れないことに少し不満を抱いているところがあるが、父は自分にも大事な仕事を任せているのだと理解している為、わがままは言わないようにしている。

ただ自分が寂しいと思っていることを自覚していないのである。

人間の姿になると普通の女の子のような外見をしている。その為、大人しそうな子だと思って声を掛けると痛い目をみると噂が流れてしまっているので誰も声をかけてくれないという残念少女になってしまっている。

基本的に誰に対しても敬語を使いながら話しているが慣れてくるとタメ口になっていき最終的には子供っぽい口調になってしまう事があるがそれが本来の話し方ではない。また親しい人や信頼している人がいる時は時々その人たちにしか見せない笑顔を見せたりする時もある 父から与えられた力については、自分の体に流れる魔力を極限まで圧縮することで強力な武器として作り出すことが可能となっているがこれはあくまでも仮のものであって真の力を発揮した場合、世界そのものが崩壊する程の威力があるといわれているが真相は不明のままである。

またこの世界での戦闘スタイルとしては短剣による接近戦を主体としているが、遠距離攻撃が出来るようになった場合距離を取り攻撃を行うこともあるだろう。

自分の力について知っていることや自分が出来ることについてはまだ幼いながらもしっかりと考えている部分があるのでその辺は凄くしっかりした考えを持っている。自分が何故こんな姿になっているのかを不思議には思っているのだが、あまり考えすぎることはないと考えている。だって今が幸せならいいもん!と言う感じなのだ 父親に対しては溺愛されていると言っても過言では無いほど大切に扱われているためその気持ちが重荷になっていたとしても素直に伝えることは難しい状況にある ちなみに戦闘に関してはかなり手練れで普通ではあり得ないほどの強さを誇り、その戦闘力は勇者や一部の上位の冒険者と同等レベルの強さを誇る。しかしその力は勇者には及ばない この世界において最強の存在と言ってもおかしくない力の持ち主であり、世界最強の座を狙っており勇者とはいずれ雌雄を決する事になろう。

ステータスを見ることが出来れば自分のレベルがわかるかもしれないと思いステータスを見ることを試みることにしたのである。するとステータスを見ることによって俺の本当の力がわかったのである。その力によって俺がこの世界に来ることが出来た経緯がわかってしまったのだ。俺は俺の力の正体がわかり、俺の力の秘密を知ってしまったのである。俺はその事実に衝撃を受けたのだった。しかし俺はこの力でこれから何をすればいいのかを真剣に考える。そしてこの世界には元の世界に帰る方法が一つしかないと知った俺はこの世界での目標が決まったのである。それは俺の親に会うことである。そのためにはまず強くならないと行けないことには変わりはない。しかし強くなる為の方法はいくらでもあると思うがどうしたらいいものかわからないため、今はとりあえず強くなる方法を模索しつつ、他のことも同時に行っていく事にしたのである。まずこの世界のことを理解する必要があると考えた俺は図書館に向かうことに決めたのだった。そうすることによって少しでも俺が強くなれることに繋がり、そして何かしらの情報を得ることもできるはずなので、俺は早速移動することにしたのである。

俺が自分の力を知った日から暫く経ちようやく俺は俺自身の能力を理解し始めようとしていた。そして俺はステータスを開くことによって自分自身の力がどれ程なのかを理解することができたのだ。俺はステータスを開きその力を確認していたのである。

そしてステータスを見たことで分かったことは、自分の持っている力が何であるかということだった。しかしそれを知るまでにはかなり時間が掛かってしまい。俺の力の全てを把握し終わるのに約一週間の時間を要したのだった。その期間の中で自分の持つ力を全て把握できたことに関して言えば非常に優秀な結果を残していると自分で思う。その証拠に、ステータスを確認することによって自分のステータスの能力を知ることができ、更にスキルの熟練度などを知ることもできたのである。そのため自分がどれだけの成長率を持ち合わせているかということがわかるのだ。俺の場合、自分の固有技能によってスキルのレベルが上がるため俺自身がスキルの使い方を覚えること無くどんどん強くなっていくことが出来るのであったのだ。しかも俺はこの世界に来てまだ数日だというのにも関わらずもう既にこの世界に居るどの魔物よりも強いということがわかったため流石に強い力を持つ魔物と戦うことはできない為今の実力のままで行く必要があるということがわかった。つまり俺は弱い状態で強敵に挑み戦わなければいけないということになる。しかしこの力を手に入れてから今までずっと鍛え上げて来た力があるおかげでそこまで苦戦するような事態に陥るようなことは恐らく無いと思われるため問題はあまりないだろうと思う。それにしても一体どんな風に戦うべきなのだろうか? 俺は今、自分がどのように戦いに挑んだらいいか考えていたのである。自分の力を完全に使いこなすために、自分の弱点を克服しようと必死で努力していたのだった しかし俺の力は自分の意思と関係なく勝手に成長しているので特に気にすることも無いのである。だからこそ俺はどう立ち回ったらいいかに悩んでいた。俺はただひたすらに自分の強さを極めるために試行錯誤を繰り返していくのであった。

あれからしばらくが経ったので俺は一旦休憩するために街の外に出ることにした。俺は外に行く前に自分の装備を整える必要があった。俺はこの街の店に顔を出してみた。そこには色々と便利なものが置かれており俺は欲しいと思った物をいくつか購入していくことにしたのである。その後俺は街から出て近くの草原に行き自分の体を慣らす為に軽く訓練を行っていたのであった。

その後街に帰り買い物を終えた後、そのまま宿屋に戻っていったのであった。

【名前】

佐藤 一 【年齢】

20歳 【種族】

人族 【性別】

男 【容姿】

169cm

62kg 髪の色:黒色の肩にかかるくらいの長さの髪型。髪は目を隠してしまうくらいの前髪が少し長い

瞳の色:黒で目付きが鋭く少し目が悪いが本人は視力が良いつもりでいる。その為眼鏡をかけても目が細い為周りからは見えていない状態になっている 【服装】

黒一色のフード付きマントを着用していてその下に黒を基調としたシャツと黒のズボンを履いていて靴も黒を基調としていて黒が大好きな様子である 【職業】

剣士 【称号】

「魔帝の姫」「闇の主」

【魔法系統】火属性 風属性 雷属性 光属性 水属性 土属性 氷結魔法闇魔法 回復魔法の適正有(聖魔法以外)

【体力】

1000 【魔力】

1200 【攻撃力】

13000+500(魔剣)

【知力】

20000 【防御力】

100000

「魔闘術」習得済み(使用回数1日5回限定)「身体強化」発動時35000

「身体能力向上」発動時68000

(消費魔力2倍効果)

「物理耐性」習得

「炎熱耐性」を習得

「精神汚染」耐性

「暗黒無効」

「毒霧無効」習得

「状態異常付与」使用可能

「重力」使用可能

「加速」使用不可能

「結界」防御系スキル「衝撃吸収」

特殊技能

「魔剣術」、「神剣術」、「超再生力」、「絶対命中」、その他不明 【基本情報】

like ゲーム、読書、料理、お菓子作り、裁縫、可愛いもの、猫、音楽、カラオケ、映画鑑賞、アニメ鑑賞、動物観察、自然を眺めるのが好き、綺麗な景色を見たりするのも好き etc. 嫌いなもの 孤独、暗い場所 【持ち物】

魔剣 ミスリルの指輪×2 冒険者ギルドカード 所持金 32000g 装備品 ミスリルの鎧一式

(軽装タイプ、全身が覆われるような防具)

腕輪×4

(通信、鑑定、アイテムボックスの収納、転移の扉の起動装置として使用できる道具、使用者は登録した人間だけしか使用できないようになっている。所有者以外には使えなくなるよう設定することが出来る。また所有者の許可無しでは使えない仕組みになっている為、第三者による強奪は出来ない仕様になってる)

マジックバッグ(容量無制限型で無限に入ることができる。重量制限が一切なしの為中に入れた物の重さは感じない。生き物を入れてもその生物に対して負担はかからないように出来ている。しかし生きているものに関しては入れることはできない。入れようとするとそれに合わせて自動的に入る大きさまで体が圧縮され中に吸い込まれて行き圧縮が終わると体から離して保管することが可能となる)

聖女の加護

(自分の身を守りたいという強い思いにより取得できる。全パラメータを1.5倍にし相手のレベルが高い程、自分のレベルも上がりやすくなり、レベル差が開いている程自分のステータスが上がりやすくなる。レベル差があるほど自分のステータスに補正が掛かる。

自分のレベル以下の攻撃や状態異常を無効化し自分のレベル以上の攻撃を喰らってもダメージを受けることは無くダメージを大幅にカットし致命傷を避ける事が可能。即死攻撃もある程度なら回避可能。ステータスを二割上昇させ自分のステータスの数値分を相手に移すことが出来る。相手に触った場合のみ移すことが可能、相手が死んでいない限りは死霊使いで操ることが可能 この加護を受けている者は女神アルテナからの愛を受け、常に愛で守られているため他の者に愛されることはないとされている。愛されたとしてもその愛に応えることは出来ないと言われている 自分のレベルが上がっていく程に愛で包まれるようになる為その効果は増していく)

精霊王の愛 契約者の愛をその身に受けることにより獲得出来る。愛を受けたもののレベルが自分よりも高い場合、その愛を受け入れることがなければこの愛を受け取ることが出来ない。愛を受け取った時点でこの愛の効果は発揮されないが、その効力は永遠に失われることなく残り続ける)

【備考欄】異世界に転生することになった原因を作った張本人であるのだが、あまり自分のせいだと思っていない節がある。しかしその原因については覚えておりいつかは元の世界に帰るつもりであるらしい しかし帰る方法が今のところ見つからない上に自分の力を試せる環境に恵まれなかったこともあり元の世界に戻るための手がかりも得られていない状況である そして現在は勇者を倒すために強くなるために日々特訓している毎日を送っているのである。そして魔王の娘でありながら魔王軍から追い出されてしまったことを未だに気にしていて何とか勇者と決着をつけるために旅をしているようである。そして自分の父を倒した勇者のことは恨んでいるようで絶対に倒そうと考えているようだ。勇者と戦うことに躊躇はなく寧ろ戦う気満々なのが見てわかる。しかし戦闘スタイルは自分の力で敵をねじ伏せていくような戦いをする為か基本的に一人での戦闘を好んで行う傾向がみられる。仲間を作る気は全く無くこれから先どうなるのかは本人にもわからない 自分の固有能力を使いこなしたいがために自分の持っている能力を調べるため色々な方法を行っている最中である ちなみにだが自分の能力を他人に見せびらかすことはせず隠そうとしている模様でありその方法は誰にも知られていない 自分が持つ力は強力過ぎるためなるべく知られないようにする為に自分の持っている力のことを知られることを恐れていてその方法を探している最中でもあるがそんな方法があるのかさえ怪しいものである しかし自分が持つ固有能力の中には他者に見られたくないようなものがあるのでそういうものからどうにかして情報を秘匿しようと考えてはいるが結局バレてしまいそうであるがそれは気にしていないようだ】

ステータスを確認した俺は自分の持つ力について改めて考え直すことにしたのであった。自分が今までどのように鍛え上げてきたのかを考えると自分の実力がどれほどのものなのかを把握することが出来たのだ。そのため、俺は自分がどれ程の力を持っているのかわかったため一度考えるのを止め街の中で一番賑わっている場所に行き食事をする事にした。

食事を終えた後は街の外で鍛錬をしようと街の外に向かうのであった。俺には最近気になる存在が出来ていたのだ。俺が自分のことを理解するために必要な経験だったのだと思える出来事があった時に俺が街で見かけた女性なんだけど。

街の中で歩いているところをたまたま見かけたので声をかけてみることにしたんだよね そしたら彼女が俺に向かっていきなり頭を下げてきてお願い事をしてきたんだよ。最初は俺もどうして頭を下げられたか理解できていなかったんだが話をしているうちにだんだんわかってきた。彼女は今この街にある奴隷商で働いていて、自分が欲しいと思う人がいなかったために自分の主を探して欲しかったそうだ。

俺はその話を聞いて自分の意思とは関係なく彼女を買うことに決めたのであった。

それから数日の間俺は自分の力を確かめるため、聖騎士団と戦っていた。聖騎士たちは強かったけど俺の力の方が圧倒的過ぎた。その為俺は聖教国の聖騎士団を相手に余裕で勝つことが出来てしまったのだった。その結果を見てから数日後俺はこの街を出ることを決意した。聖女からもらった地図を使って街を出て聖都へと続く道へ足を踏み入れた俺は聖女のところに行くまでに自分の実力を確認するべくひたすら魔物狩りをしていた。するとすぐにでも自分の実力を知ることができ、それに応じてどのように強くなっていくべきなのかという事も知ることが出来た。その為俺は街に戻ってから数日の内に聖国へ向かって旅立つのであった。

俺はあれから特に寄り道をすることなくひたすらまっすぐ進んで行き、今は王城の目の前に立っている。流石に門番は居たが問題を起こすことなく、簡単に城内へ入ることに成功した。その後聖女がいると思われる場所にたどり着いたがそこには聖女どころか城にいる人間の誰一人見当たらなかった。

俺は仕方なく一旦外に出てからまた別の場所へ移動しようとしたのだがその時どこからも視線を感じ始め周りを見渡したが人影はなかった為少し気味が悪くなったが気のせいだと思い込みその場を離れようとした時突然後ろの茂みから誰かが出てきたような気がしたため振り返ると、そこには黒髪を長く伸ばした綺麗系の女性がこちらの様子を窺っていた。

【名前】

レイティア・オルクス 【年齢】

20歳

(見た目年齢は16歳から17歳ぐらい)

【身長】

162cm B85 W55 H86

(Fカップ)

【容姿】

肩より長い黒髪、黒色の綺麗な瞳、目の下にはクマがあり、不健康そうな顔をしているが、胸が大きくて色々と着痩せするため、普段は貧相な格好に見える。スタイルが良くて全体的に細身 【職業】

聖魔剣士 【魔法系統】

闇属性、火属性、風属性、雷属性、水属性、土属性、氷結魔法、回復魔法の適正有(全て使える。ただし適性があるため上位互換の聖魔法に比べると劣る)

【体力】

20000 【魔力】

36000 【攻撃力】

35000 【知力】

29000 【防御力】

35000

「聖剣術」

「魔剣術」

「身体強化」使用時30000

「炎熱耐性」習得

「精神汚染」耐性習得

「毒霧耐性」習得

「暗黒無効」習得

「重力」使用可能

「空間移動」使用可能

「転移」使用可能

「身体加速」使用可能

「結界」防御系スキル「衝撃吸収」

特殊技能習得可能(習得条件:スキル習得レベルを満たしていることが必要

「魔闘術」

「魔剣召喚」

習得可能スキル詳細

(現在習得可能なスキルは全て使用可能となっている)

特殊技能

「暗黒付与」、「暗黒付与」、「暗黒無効」、「重力操作」、「超再生力」、「絶対命中」、「超速演算」、「神剣術」、「超加速」、「超加速」、「結界内自由転移」「超結界」、「光盾の障壁」、「衝撃吸収」、「自動追尾」、「衝撃変換」、「爆進」、「火炎球」、「極冷波」、「閃光弾」、「超再生力」、「魔纏」、「剣舞」、「超斬撃"」etc……)

称号 勇者 勇者としてこの世界に生を受けた。生まれた時には勇者としての力が宿っており、その力を受け継いでいるが本来の姿ではないため真の力を使うことができない 聖女の加護 女神アルテナから授けられた愛をその身に受けており常に愛で守られている、この愛を無下にするような行為を行うことによって女神アルテナの怒りに触れてしまうと言われている 女神アルテナの愛

(女神アルテナからの愛を受けることにより得られる。愛を受け取ってしまったが為にこの愛を返すことが出来ない為受け取るしかなかったのだが。愛を受け取らない限りは害がないが受け取ると女神アルテナの呪いを受けることになると言われている。しかし、その呪いは愛を受け取った本人以外に対しては一切の影響がなくなる 女神から受けた愛の証であり常時発動する。効果内容は自分の身を守るための自己防衛本能、身体能力の強化及び上昇、全パラメータを1.5倍にし相手のレベルが高い程、自分のレベルも上がりやすくなり、レベル差が開いている程自分のステータスに補正が掛かる 自分のレベルが上がる程にこの愛は増していきこの愛で包まれる程愛されているということになるが、あまりにも強過ぎる愛を受けてしまうと逆に愛を受け取れなくなってしまい、最終的にはその愛を受け入れなくなってしまうとされている 自分のレベルが上がっていくほどに愛を受け取れるようになっていきその愛の強さは変わることはない この愛を他の者に与える事は出来ない。もし与えようとするなら愛は拒否されてしまう)

勇者 女神が与えた加護を受けた人間につけられる名称。この加護を受けている人間は普通の人間が持ちえない力を手にすることが出来る。この力を手に入れた勇者は特別な能力が手に入り更にその勇者の能力が強化されるためこの世界の勇者は特別強いとされている。

この加護を与えられた勇者は勇者と呼ばれ、この加護を与えた者の事を魔王と呼ぶようになっている。勇者はこの世界を救うために旅をしなければいけないとされているがこれはあくまでも勇者に対する建前であって本当の目的は勇者を利用して他の世界を征服することにあるのだが。魔王を倒すことによって勇者の称号は魔王に与えられるようになり魔王は新たなる勇者に倒される事になる。そのため勇者は魔王を倒してはいけなくなり勇者も勇者を辞めることもできなくなる。そして勇者に倒された魔王は再び勇者となり復活してしまうため何回勇者が現れようと倒されない限りは何度でも勇者になってしまう為魔王も諦めず何度も勇者を誕生させ続けているのである この世界のどこかにあるとされる宝箱の中には必ず勇者のジョブが入った水晶玉が入れられておりそれを手に取ったものには勇者になる権利が与えられ勇者になるかどうかを選択することが出来るのだが、もしも選択しなければその人は死んでしまうらしい。

その事実を知った私は、その水晶を手に入れることにしたのである。

そして、その宝探しを行う事を決めて数日後、ついにその日がやってきた。それは私の誕生日でありそれと同時に運命を変えるための一日でもあった。

今日で16歳になった私が家にある大きな木の前で何かが起きるかもしれないという謎の予感を覚えながらもその予感は当たらなかったのであった。そんなことを考えていると家のドアが激しくノックされてその音を聞いた母さんが急いで私の部屋の前までやって来た。その様子から只事では無いと思い慌てて扉を開けるとそこには父さんの専属メイドでもあるアリアの姿があった。

どうやらただ事ではないようだったので詳しい話を聞くためにアリアを部屋に招き入れるのであった。部屋に入るなりすぐにアリアが用件を話し始めた。その内容は驚くべき内容だったのだ。

なんとこの国の聖騎士の一人に勇者が現れたのだという。それもつい先日現れたばかりの少年が聖女に選ばれてさらに聖騎士団長も認めたため間違い無く勇者なのだとか しかも勇者はその日から毎日王城に出向いて訓練に明け暮れているという。

正直なところ驚きでいっぱいなんだけど。でも確かにそう考えれば納得できるところもあった。何故ならばあの時の感覚が嘘ではなかったからだ。あの時感じた気配は間違いなくあの中にいた誰かのものだったはずなんだ。だからこそその事が本当なのか確認するために私はアリアから詳しく話を聞いていた。そこで話を聞いて分かったことといえばやはり聖女というのは本当のことでその聖女の力を受け継いだ人が勇者になったということ そして、今から1ヶ月後に勇者が聖騎士の訓練を受けるためにここに向かってくるという。

それを聞いていた私は嬉しさを隠しきれなくなっていた。遂にこの時が来たのだと、やっとここまでたどり着いたのだと。それからしばらく経って落ち着きを取り戻した後、これから起こる出来事に備えなければならないと考えていたその時、再びドアを激しくノックされたのである さっきと同じようにアリアかと思ったけれど今回は違うようだった、なぜならそこに立っていたのは、いつもとは違う雰囲気を放つ父さんだったからである 一体なにが起きたのかと思っているとその答えはすぐに判明した。それは今まで見たことがないほどの威圧感を放っている父さんの姿を見てしまえば一目瞭然だ。それだけではなく隣にいたはずの母さんまでもがその圧力に当てられてしまい、その場に膝をつく始末である

「お前たちはここから出るな、それと暫くの間この国から離れるぞ」

ただそれだけを言い残して二人はその場から出ていってしまった。二人が居なくなったあとも私たち三人は何も言うことが出来ず呆然としていることしか出来なかったのだがその沈黙を破ったのは突然鳴り出した鐘の音である。こんなにもけたたましく鳴らした所で何も変わらないだろうと思ってしまうぐらいの音が鳴っていたのだがその音が突然止まった。

「勇者様がお着きになりました」

「わかりました、直ぐに参ります」

「はい」

そしてまた、私たちは唖然としていたのである。

突然の出来事にまだ頭がついていかない状態で私はその勇者の姿を拝むことになったのだが。まさかこれが勇者だなんて思いもしませんでした。だって目の前に現れた勇者の容姿が予想の斜め上を突き抜けた容姿をしていたのだから仕方ないよね? えっと確か年齢は15歳で黒髪のロングヘアー、背丈は160cmで見た目は綺麗系の可愛い女の子、それに顔も凄く整っていて胸は大きくはないけど小さすぎずちょうど良いサイズで体全体からは色気を感じて思わず息を呑んでしまったほどである あれ、ちょっとまって?聖女の加護を持っているということはこの子は勇者だけどこの子が本当に勇者だという証拠がないってことだよね。そうだとすればまず勇者ではない可能性もあるわけでその場合勇者の力を持っているだけということになる。そうなってくるとそれって勇者と同じなんじゃ?そう思った時にふと聖女の加護という言葉を思い出した、この子の顔を見たときに勇者としてここに来ていると聞いて、加護を持った人間だということで聖女という存在を思い出す、そして加護を貰うのが16歳の誕生日の時だったことを思い出したのである。そうなると加護を持つ人間が生まれる年が同じなのは偶然ではなくその子供もまた勇者であるという可能性が高い、そしてその勇者が勇者の力で成長しているとしたら今の年齢が16歳になるまで成長したのは奇跡的な確率でしかありえない、つまりは、この子は本物である可能性が極めて高いということになる。

そう考えてしまえばしっくりときてしまうような説明がいくらでもあってしまったからこそもう疑いたくても疑えなかったんだよね。でもねこれだけではまだわからないことがあった。この勇者の力の強さ、強さを数値化できるものがあるとしてそれで見てみる限りこの勇者は最低でも50以上の力が有ると思われる、それに加えてレベルが25もあるのだ、流石にその力はおかしいのではないかと思ってしまうのが当たり前だ 普通は加護の力を使ってレベルが上がると10〜12程度になるはずである、なのに勇者の加護だけでここまでの力を持っていてもおかしくないレベルに到達している。これはもう勇者以外の何でも無いんじゃないかと考えてしまう そしてその勇者に父さんは近づいて行くと一言こう言った

「我が娘、聖女アリスが君を勇者として認めましょう」

やっぱり勇者なんだ!! そんな言葉が頭の中で駆け巡った後に勇者はいきなり剣を取り出したかと思うとそのまま自分の首に刃を当てようとしたのである これには驚いたのだが、それよりも早く動いた人物がいた。それはなんと勇者自身だったのである。なんと彼女は自ら死を望もうとしていたのである。

その理由がなんとも可笑しくてしょうがなかった。自分が魔王と呼ばれるようになってしまっていた事、自分の力が強くなり過ぎてしまった為にその魔王に狙われることになってしまっていること、このままだと魔王に殺されるからどうにかしたいと考えているらしい。しかし、今のまま魔王に挑んであっても負けることは目に見えていてどうすることも出来ないから、こうして自分を殺そうと考えたみたいだが それを見ていた母さんが何を考えたのか分からないけれど突然勇者を抱きかかえて抱きしめたのだ。

その光景を見ていて何が起きているのかさっぱり分からなかったのだがどうやら勇者に一目惚れしてしまったらしい 勇者は、突然の出来事に驚いていたがそれでも必死に抵抗しようとしていた。

その姿を見て何をしているのか全く意味がわからなくなってしまったのは私だけでなく両親も同様だったようだ そして何故か母さんは勇者にプロポーズを始めてしまったのだ そしてそれに対して勇者の反応と言えば戸惑いを隠せていないといった感じであった そんな様子を見ていた父が母さんの頭を叩くという行動に出たのは当然のことではあった。そしてそこからは母さんと勇者による激しい口論が始まってしまった。

その言い争いの決着はあっさりと着いたらしく結婚を認めてもらう代わりに聖騎士団への入隊許可を出してもらった これで晴れて父さんの仲間になることが出来た勇者ちゃんであった その後すぐに王城に向かうことになった。理由は聖女となった勇者の紹介と聖騎士見習いのお披露目をする事になったためである。その為父に連れられてやってきたのである聖騎士団の訓練所である そこで聖女となったアリスの姿を見ることとなるのだがその聖女の姿というのが、かなり異質な姿であると言えなくもないものだったのである。

何故なら勇者の姿がどうみても勇者にしか見えない美少女の姿であり。それがどうやら本当の勇者の姿なのだと分かるまでにそう時間は掛からなかったが勇者の姿を初めて見ることになった聖騎士たちが戸惑っている姿が伺えるのである。それもそのはず勇者が勇者の姿になる前はただの普通の男の子だったのだ。それを知っているのはこの世界で勇者の本当の力を知ることができる者以外存在しない。それこそが本物の勇者なのだが勇者の本当の姿を見たことがない人間がその姿を知ろうと思ったらどうすれば良いかといえば勇者から直接本当の姿を見せてもらえばいいだけの話なのだがそれは不可能なのだ 勇者は自分の本当の姿を隠すために常にフードをかぶって生活するようになっており、更に言えば勇者は人の目があるところでは勇者として行動する時は男で居ることを強制される そのため聖教国の国民たちは、皆が皆知らない事になっているのである。

そんな事情があるため本来なら知るはずのない情報を知ってる人物が目の前に現れたことによって困惑していたのだった。しかもそんなことは気にしないと言った感じに勇者である彼女は自己紹介を始めたのである 名前と職業と好きな物嫌いなもの、最後に何か質問はあるかと言い、その問いに答えてあげようとみんなが答えてあげると勇者の姿になった そう、彼女がこの聖騎士訓練所で訓練を始めるのである。この日を境に聖騎士訓練所の教官を務めるようになる勇者は、聖女アリスと共に訓練を行い、その圧倒的なまでの力と才能を見せ付けて訓練生たちを全員圧倒していったのである。

勇者はその訓練で誰よりも力を使いこなすようになりその成長速度は誰もが驚くほど早かったのである そして一年後にはその強さに魅せられていった者達が集まっていき聖女アリスも勇者の力を目の当たりにして心酔してしまうようになっていた その姿を見て聖騎士の面々も自分達の隊長である聖騎士が聖騎士たちを引き連れている姿に憧れを抱くようになっていった。聖女もまた同じで、いつの間にか勇者に対して恋心を懐くようになってしまっていた その二人の様子は、まるで長年付き合っている夫婦のような感じになっていた。

そしてある日のことだった。勇者の力を実際に確認するためという名目で、魔物との戦いに聖騎士の代表として選ばれたのはなんと聖女の加護を受け継いだ少女だったのである。聖女の加護を受け継いだ聖女の加護を受け継ぐ勇者である彼女の戦いを見るためだけに多くの者たちが集っていた

「勇者よ、準備は良いですか?」

「えぇ問題ありません、では始めます」

聖女の問いかけに対し勇者はそう返事をして魔物に向かっていったのである それから戦いは、圧倒的と言える内容になったのである。聖女の加護を受け、聖女の力を継承した聖女の加護を受けた勇者の戦いを見た者は例外無くその強さに感動を覚えることになる 何故ならばその実力はまさに、聖剣を使えるほどの勇者そのものと言っても過言ではなかったからである その強さを目の当たりにした聖女たちは勇者の事を崇拝するようになり聖騎士団に正式に加入させて欲しいという話を王にしていた その言葉を聞き入れた王が聖女アリスの言葉を聞いた時、その願いを受け入れることにしたのである。ただし条件付きである。勇者である彼女の正体を口外しないようにという条件だ 勇者の正体を知った者が、もしも勇者を悪用しようと考えた時に止めることが出来ないからこそ条件を付ける必要があった。

そして、勇者が仲間に加わった事で、戦力が大幅に上昇し、魔族の動きを牽制することが出来るようになったのであった。

俺は今現在この世界を平和に導くために、色々と動いている。まぁ俺は特に何もしてないけどね?とりあえずこの世界に来てからずっと気になっていて調べていたんだけど、俺がこの世界に飛ばされて来た理由を調べたりして色々と分かったことがあったんだよ そもそもこの世界は地球という世界とは全く別の場所なのかどうかは正直まだ分かっていなかった。でも、地球には無かった魔力とかが存在することから俺が居た地球の未来の世界ではなく全く別の別の世界である可能性があると予想を立てていた。

それで俺の住んでいた場所には、魔王が封印されていて、その魔王が復活したことにより世界が滅ぶという予言があったのだけど、それは嘘だったということも判明した そのことを踏まえて考えた場合一番可能性が高い予想はパラレルワールドであるという考えに至ることが出来た。

この世界に来た当初は何が起きているのかさっぱりわからなかったのだがこの異世界に転移してきた時点ですでに、元の世界でも、元の時代に戻ることが出来るかどうか怪しかった。それに俺は既に死んだ存在として扱われており。もし生きていたとしてもそれこそどうやって戻ると言うんだ? そんなことを考えていても仕方ないと割り切って考えることを辞めることにしたんだ。でもこの先どうすればいいんだろうかと考えていたら魔王復活の時期を早めた方がいいのではないかと思うようになった。それを考えるには、どうしてもあの謎の声のことについて知っておく必要があると気が付いた俺は 魔王についてもっと詳しい情報がないかと俺は必死に情報収集を開始したのであった。

それで、色々な情報を探っていくうちに俺は、この国と敵対関係になる可能性のある国に目を向け始めていた。その中でも、俺が一番注目している国が、帝国という国であり。そこには、魔王が封印されていた場所の近くにあるのだから。まずはそこの情報を手に入れようと動き出したのであった。

そこで、帝国の事を調べる中で。どうやら、皇帝と呼ばれる人物がいるみたいだ。

その人物がどんな人物なのかは詳しくは分からないのだが、かなり優秀な人物らしくてその人物を怒らせてしまうのはまずいと判断することになった。

そして俺はその人物を徹底的に警戒することにすると決めたのであった。

そんな出来事が起きてから数日後に勇者が魔王を倒してしまったのだ。そしてその事を嬉しそうに話す勇者の顔を見てしまったので もうこの勇者と戦える可能性は限りなく低いのではないのかと思い知らされることになってしまったのだった。しかしそれでも諦めきれずに俺はどうにか勇者と戦う機会を得ようと考えたのだが、それが中々難しく、魔王が復活して、勇者が魔王討伐に向かうまで待たなければいけない状況となってしまった。

勇者は勇者の加護を継承している勇者に自分の加護を託して魔王を倒す為に旅立つ。その際に俺は、その旅に付いて行くことに決めるのだった。そして俺が勇者に同行することは、王には伝えず、俺だけがこっそり抜け出すような形で勇者に同行することになるのだった。

ただ勇者は勇者の継承した力を使いこなしていないためにまだまだ弱い状態なので、そんな状態で一人で向かわせるのはとても心配なのである。そこで俺はある作戦を実行することにしたのだ それは、勇者を鍛える為の訓練をするというものだった。勇者は勇者の加護を受け継いだばかりで、まともに使いこなせる状態にないため勇者を鍛える必要がある。その為、俺はこの世界の勇者と特訓をしようと思ったわけなのだが、勇者は、どうにも戦うということに対してあまり乗り気じゃなかったみたいなので。

そのやる気を引き出すためにはやはり女の子である勇者が好きな事と言えば恋話をするのがいいかなと思って。俺は、勇者に、勇者に好きな子はいないのかと聞いてみる事にした。

その問い掛けに対しての勇者の反応はとてもわかりやすかった。

好きな子はいるが絶対に告白しないと言い切っていた。勇者がそこまでいうほど好きな相手が一体どんな女性なんだろうと思っているとその人が現れた

「おーほっほ。勇者さまは私が来た途端に逃げだすような情けない人ではありませんよね」

その人物はなんと王女であり聖女の称号を持つ聖女アリスだったのである。まさかこの聖女と勇者が知り合いだったなんて思わなかった それだけではなく聖女もどうやら勇者のことを好いているらしい。それを見てこれは脈ありだとすぐにわかった。

それならばこの二人には幸せになって欲しいので、どうやれば二人をくっつけられるのかと考えを巡らせたのである。その結果としては二人を仲良くさせて勇者に告白させようと考えていたのだ。

そして勇者の事を呼び出してもらい、一緒に出かけるように誘導してもらうことに成功した。そのおかげでデートに行くことになった勇者はどこかそわそわしてる様子だったので この二人の間にはなにか進展が起きるのかもしれないと内心ワクワクしていた。だが勇者の方は聖女の事を避けようとしているようだった しかし聖女が積極的に勇者に話しかけていたのでその努力が実るのを期待していた。

しかし結局、何も起きることなく、聖女が振られてしまい、その後聖女は勇者に謝るために追いかけ回して最終的には勇者の足にしがみつくという行為に発展してしまったのである。

そうすることで、少しだけ二人の距離が縮まったように見えたので俺は満足していたのである 俺はこれから魔王を倒して世界を救うことになるであろう勇者が、俺が居る世界を救うために手を貸してくれるかどうかの確認をしたくて勇者の元に訪れる。

勇者の目の前に立ち勇者の瞳を見ると何か違和感を感じ取ってしまった。そういえば初めて会った時からなんで、あんなにフードをかぶっているのだろうと疑問に思ったことがあった。

「あ、あんたが俺に用があるって話だよな?俺も、あんたと話したいことがあったんだ。俺の話を聞いてくれるなら俺からも聞きたいことがあるから先に聞かせて欲しい」

「あぁ別に良いぞ、それで何を聞きたいんだ?」勇者は、魔王を倒す前に自分が魔王によって殺される未来が待っているから、その時は自分を助ける手助けをして欲しいという話をして来たので 俺は勇者のその言葉を聞いた瞬間、やっぱりかと納得するのと同時にその運命を変えることは俺には出来ないと判断したのである。ただ勇者は聖女の加護を受け継いだので、この聖女の力があればきっと魔王を倒した後も生きて行けるのではないかと期待した。それに俺は勇者の持っている能力に気が付き俺はこの勇者を鍛えることにしたのであった。

それから、俺は勇者に対して聖女の加護の力が覚醒するための方法を教え込んで勇者に加護を受け渡す。これでこの世界に居ない人間に力を託すことが出来たと喜んだのである。その時にこの国のトップから連絡が入り勇者の事を知ってしまったためこの国から出て行くのを止められたのである。

でも、俺は、どうしても、この聖女と勇者を早く会わせてやりたいと思っていたのでなんとか交渉して勇者達を国外に行かせることに成功するのである。

勇者と聖女を無事送り出した後は、あの王都に戻って勇者が魔王を退治できる日を待ちながら魔王についての情報収集を始めることにした。そして、その調査をしている最中に、勇者が魔王を退治した後はこの世界は滅びを迎えると予言されていることを知ったのである。

それで魔王が復活した場合のことを考えて魔王について調べていたら魔王が封印された場所と、復活させる方法を知ることができた。

そしてその方法は、とある魔道具を、ある場所に隠して置けば良いと書かれていた。俺はそれを探すために魔導士を探し始めたのであった。魔族が使う魔道具に詳しくて、魔王の復活についても調べていそうな魔族を見つけると、早速声をかける。

すると案外簡単に協力を得ることに成功して俺は魔族から必要な魔道具を入手することが出来たのだった。その魔道具は俺の持つ武器の一つである神装の一つを使って作り出すことが可能なアイテムであったので俺はその作成を始めた。しかしそれは俺一人だけではどうにもならなかったため、仲間の協力を得るために仲間たちの元に向かったのだ。

仲間を説得し終えた後に俺達はその場所に向かって魔族の国へと向かうのである 仲間を全員連れて行こうと考えていたのだが流石に魔王を復活させるために必要な素材を手に入れることに関しては一人で行くのが一番だと考えた。それで俺は、その目的の場所である遺跡の場所を仲間に教えておく そして俺は仲間を連れて目的の遺跡にたどり着いた。そこで魔王を復活させるための最後のピースを手に入れて。

無事に魔王を復活させることができたのである。

「おい、何でここにいるんだ?お前は魔王が復活したことで死んだはずじゃないのかよ?!」

「いやいやいや!俺は確かに死んでいるはずだけど、どういう訳か気が付いたらまたこの世界で目覚めていたんだよ」

勇と会話をしながらお互いの情報を共有し合ったがお互いにわからないことが多いことがわかっただけで大した収穫は得られなかった。それでも一応、俺の事情を知っている勇が傍にいてくれたら色々とやりやすいとは思っていた。だけど俺の目的は勇者と敵対するような事態だけは避けたいと考えていたので。俺は勇者と一緒に行動をすることをしなかった。

俺は勇者の邪魔をしないように勇者が勇者らしく戦えるように鍛えることにしたのであった。そして勇者に俺の目的のためにも強くなってもらう為に俺は勇者が強くなるために手取り足を取りサポートしていった。

そうしていく内に、俺の中で勇者がどんどんと特別な存在になり始めていた。でも俺は、その感情を抑え込むことにして俺はあくまでも弟子である勇者を厳しく育てていくのであった。そしてその勇者も勇者としての自覚を持ち始めてきたのか段々頼れるようになってきて。

勇者として、戦う覚悟を持つようになった。そのおかげで俺は勇者が成長しているのを見て、自分の目的を達成するための準備を整えていた。

その途中で勇が魔王が倒されてしまう前に勇者としての使命を果たしに行くと言った時は少し心配になったのだがそんな時が来るのを待っていれば良いと自分に言い聞かせるのであった

「うーん。ここは何処だ?」

そんな声と共に目覚めた。辺りを見渡してみると白い部屋に居て扉だけがポツンと置いてあるだけだった。

俺は一体どこに来たのかわからなかったのでとりあえずこの場から移動することにした。

その道中に俺の記憶の中にある記憶を思い出すことにした。

「あれー?ここってもしかして前世なのか?いやーなんか俺の前世は、この世界に来る前の世界で俺を殺した犯人がいるらしいから絶対に見つけ出し殺してやる」

そう言って俺は俺を殺した男への復讐の為に俺はこの世界に来ているので。今すぐ奴を見つけ出して殺したいという気持ちが込み上げてくるのだけれども。ここで、いきなり殺されてしまう可能性もある為慎重になる必要があった。なのでまずは相手の情報が知りたいので俺はステータスを確認しようとしたのだが。ステータスを開くことができなかったのだ、しかもスキルなども使えないようになっているみたいだった。

「はっ?なんだこの状態。これってどう考えても、誰かの仕業だってことだよな」

俺は、この謎の状態に怒りを覚えながらも冷静さを何とか保つ。この状態だと、この部屋の中にあるものを利用してどうにかしないと外に出る事ができないかもしれないと思った。なので何か使えるものがないかを調べる為に周りをよく見渡して見るとそこには剣があったのだ それでその部屋の中を歩いていたのだがその途中で突然背後からの衝撃を受けて倒れてしまった そのまま地面に倒れ込むと頭を強く打ち意識を失ってしまった。だが俺はまだ完全に死んではいなかった そのおかげもあって俺は俺を殺した男の姿を確認する事に成功した。

俺は俺を殺そうとした男を殺すべくそいつに戦いを挑んだ だが結果は惨敗してしまった。そいつも転生者でどうやら俺を殺しにきたようだった。そのせいで、俺は殺されかけたので俺はそろそろ本気でこっちも殺す事に決めた それからの俺の思考が変わっていき俺は、そいつに対して勝つ事しか考えていなかった。俺も、その相手と同じくこの世界の住人から力をもらっていたが。そいつには俺よりも圧倒的に強い力を持っており。俺は、一方的に追い詰められてしまい。もうダメかと思ったその時である俺は不思議な力を手に入れたのだ。

それからは俺はその力を上手く使いこなしてついに俺を殺そうとしていた相手に勝ったのである それからというもの、その戦いで得た知識を使い、今まで使えなかった魔法をこの世界の人間のレベルまで落とすことで使えるようになったのだ。それで俺は魔法を駆使してその男の体をバラバラに引き裂いて殺したのである。これでやっと自由に動けるようになったと思い喜んだのだった。その後、俺は俺の事を殺した相手が、なぜあんなに強かったのかを考えた。すると、この世界に、異世界の人間が召喚されてこの世界に居座っているということを思い出した 俺は、もしそうだとしたら厄介な事になるかもしれないので。俺は、その男が居るという城に向かうことにして俺は城を目指そうとするが。その前に、この世界に来てすぐに俺はある場所に飛ばされた。その転移場所は、この世界に来る前からあったもので。この世界では勇者専用のアイテム倉庫と呼ばれる空間である 俺はその勇者専用のアイテム庫にある物を回収しようと考えた。なぜなら、この勇者用のアイテム庫の中には、勇者専用装備が入っているからである。それがあれば俺は、これから起こる魔王との戦いに役に立てるのではないかと思って勇者が持っていた勇者の装備品を回収しに勇者の道具庫に向かったのである。

そして俺の目の前に俺の勇者のアイテム袋が現れる。

「さてと。じゃあさっきの戦闘の時に手に入れた勇者の指輪を早速使うか」

俺はその勇者の指輪を使って俺の体を強化することにしたのである。その結果は凄まじく体が熱くなり全身が筋肉痛になったような感じで俺はその場に膝をつくのであった。

その状態でも俺は俺のことを襲った勇者に復讐することを諦めておらず。俺の体に回復魔法を使って傷を癒すと勇者の武器である聖剣を拾った。その聖剣は聖剣の中でも最高峰と言われているエクスカリバーだったのである。

そのエクスカリパーを俺は手にすると。俺は、その聖剣を手にすると何か懐かしい感覚に襲われる。そうすると俺はこの世界にやって来たばかりの頃の事を思い出したのである。俺は、俺に聖女が殺されると予言して聖女の加護をこの聖剣に移そうとしたが失敗したことを思い出す。

そしてこの聖剣と、俺の聖女の加護の力を合わせることによって俺に宿っている勇者の力にさらにブーストがかかることに気付いたのである。その聖剣の力で俺は更に強くなることができる。

そして、この世界に来た時にこの聖剣が手に入ったのはこの世界が、俺が勇者として魔王を倒すことを願って、この世界に俺が来た時に渡してくれたのではないかということを考えた。

だから俺のことを襲ってきた男は俺に殺されたのだと考えることもできる。それで俺は、この聖剣をこの先ずっと持ち続けようと決める。俺はこの世界を滅ぼそうと企む魔王を倒すのは勇者であり、その勇者が勇者の剣を使わないということはありえないからだ。

その事を考えていると俺は勇者を騙している魔族の国に勇者達が行くという話を聞いて俺は急いで魔族の国へと移動する。そして魔族を全員倒すために魔族の国に入るとそこにいる全ての魔族を一人で倒しきってしまったのだった。魔族達を倒してしばらくすると。俺は、自分が何をしたいのかがだんだんわかってきていた。

俺は、魔族を全部倒してこの国を支配して魔族の王になろうと思っていた。しかしそう思ったところで、魔王の件もあり魔族の王になることを断念する。俺は自分の正体を明かすことができないし、そもそも魔王が復活する時期が近付いて来ているのであれば、魔族の王になっても結局魔王と戦うことになる可能性が出てくるから無駄なことをする必要もないと考え始めたのである。それで俺は、俺は魔王と直接戦いたいと思うようになっていたのでその準備として勇者達の修行をするのである。俺は、そのついでとして魔族を支配下に置いて支配することにした。

俺は魔族の国王になってしまえば、勇者に魔王を任せてもいいかと思ったのである。

そして俺は俺自身の力の覚醒が終わり。この国の全てを支配する為に俺はこの国の王になるための行動を始めるのであった。俺はこの国を手に入れるための戦いを始める。その準備として俺は俺の事を殺した俺の事を殺した相手を徹底的に探し回ったのである。

俺自身が強くなっているとは言え、今の俺の強さがどこまで通用するのかという事がわからないので。念には念を入れることにする。そうやって俺の事を探していると、俺の事を殺した相手の情報が少しずつだがわかって来た。相手は俺と同じように異世界からやって来たらしく。この世界に転生する前にこの世界の住民を殺しまくり。勇者の使命を妨害するために動いているらしいということもわかったのである。

俺はそんな男の存在を知り許すわけにもいかず殺すために男を捜していた。そして見つけたのはいいのだが。その男はあまりにも化け物過ぎてどうやったら殺せるのかが全くわからずに困っていたのである。俺はどうしたら奴を殺せるのかを考えながら街を見回していた。

俺は自分の強さを確認する為に魔物がいる所に来ていた。自分の現在の実力を知る必要があると考えていたのである。

俺が自分の現状を確認してこの世界の人間ではかなり強者であることがわかった。なのでこの世界の人間なら余裕で殺せそうな魔物を殺していこうと思ったのだ。それで、まず最初に狙うべき魔物をどこに行けば遭遇することができるかを調べる為にあたりを見渡すだが特に変わったことはなさそうである それで俺がその次に何をしようと思っているのかと言うと、まずは自分とこの世界について調べるつもりだった。

だがその調査はすぐに終わらせることにした その目的の為に、この森に生息している魔物の中で上位に位置する者を探すことにしたのであった。俺はこの世界に存在する魔力を感じ取り。その中で最も強いと思われる存在に接近するように動いていくことにしたのであった。そうしていく内にこの世界には存在しない筈の魔力を感じたのであった。その気配の方を見ると、俺と同じ世界から来た男がそこには立っていた。俺はそいつが何者かを探る為に男の前に姿を晒して話しかける事にしたのだった。

俺は自分の姿を見せることで男の反応を見てどんな行動をとるのかを観察することに決めた。俺がいきなり現れて攻撃を仕掛けてこないかどうか確認してみる 俺はそいつから距離を取りいつでも攻撃できるように準備していた しかし、そいつは俺の事をただ見つめたまま動かない なので俺は、男を試すことをやめることにしてそいつに話かけたのである すると俺が思っていたよりも遥かに友好的な態度で俺の事を受け入れたのだ その事に関しては俺の方が困惑してしまった なのでその男のことを調べようとしたのだが、その男は俺に対して何も話すことなく黙って歩き出すと森の中にある村に向かうように見えてきた。

それで俺は、俺はその男にこの世界に来ることになった経緯を聞きだそうと決めた。そこで俺は男の跡をこっそりとつけて男の家に侵入しようとしていたのである。そうして、俺が家に侵入した直後、男は家に侵入してきた俺に向かって剣を抜き放つ 俺も当然だがその攻撃に反応した そして、俺はそいつの動きを完全に目で捉えていて攻撃を防ごうとしたのだった。俺はそいつの攻撃をどうにかこうにか避けることができたがそれでも俺の頬が切れてしまい血が流れていた。

それから、俺はその男にどうしてこんなことになってしまったのかを確認する 俺は、その男が異世界からやってきたということから異世界の勇者だと理解した それで俺のことも勇者だと名乗っておいたのである その俺の発言を聞いたそいつは俺が異世界の勇者であることを知り。俺を殺すつもりがないのであれば俺と一緒にこの世界で魔王を倒して欲しいという事を頼まれた。俺はそれを受けてしまったのだった。この勇者に魔王を倒させることこそが俺の使命であると考えて 俺は勇者の仲間として勇者に協力することを決めたのである 俺は俺の事を殺した相手がこの国に潜伏していることを知っていたのでその相手が今どこに居るのかを調べ上げると。その男はなんと城の中に侵入して城を占拠しようとしているのが分かった そうする事によって俺はこの世界に来てすぐに、俺の事を殺した相手をこの城に呼ぶ事に成功したのだ 俺は俺の事を殺した犯人を呼び出して俺のやるべき事を聞くと この城の中にある聖剣を手に入れろと言われた 俺はこの勇者がなぜその指示を出すかが不思議だったが その指示に従って俺は城の中に入り聖剣を入手することにしたのであった 俺はその勇者の指示に従うと、その男が言った通り。この城の中のどこにある聖剣を手にすればいいかを俺は把握したのであった。そして俺達はその聖剣を手にすることだけに専念し始めた その結果俺達は聖剣を見つけることに成功したのである そして俺達は聖剣を手に入れたことによりこの国を魔王の手から救えるほどの力が手に入るようになったのだ そして、俺の目の前に現れたのは、勇者の剣をその身に宿した魔王の本体である その魔王を見た瞬間俺は確信をした その魔王が聖女を殺した人物なのだと そうして俺がその魔王と戦い始めたが 俺の剣では歯が立たず苦戦することになる その戦いに決着がついたのは聖剣をその身に収めている勇者の力を借りて俺が勝ったのである その後俺は聖剣の力を使いこの国を救うことにした そうすることでこの国は魔王に支配されることがなくなり救われることになった そうして勇者が世界を救った後この世界にやってきたばかりの頃を思い出す出来事が起きる。それはあの時俺のことを殺した男が姿を現したのである。その男の名前は前原真樹でありこの世界の住人ではなく。また俺のように別の世界から来ている人物であった しかし、彼は、なぜかこの世界を救うために戦うことはなく。自分が楽しむ為にこの世界の人々を殺そうとしていることが分かった。それにこの世界の人々は気が付いていないようだったので俺は彼がこれから起こそうとしていることを止めるべく動き始めたのである。それがどのような結末を迎える事になるのか分からなかったがそれでも俺は、自分の意志を貫き通したのである。そして、俺は自分が殺されてしまわないように自分の肉体を強化する方法を考えていた。

だがそれも全て徒労に終わった 俺は、自分が死んだことに気が付き 気が付いたら俺は真っ白い世界に居たのだ 俺は、自分が何者なのかすらも忘れてしまうような状態だったのである そして俺の体が勝手に動き始める 俺の意識があるにも関わらず それで俺が俺の体を自由に動かすと俺がこの世界に召喚された時の状況を思い出して、俺のことをこの世界に転生させてくれた女神様にもう一度会うことができないかと考えていたのである そして俺は、俺を召喚してくれた勇者に会うことができていた 俺は俺の事を殺してこの世界から追い出した相手を許すことができず復讐をしようと思っていたが そうしていると勇者から俺にこの世界の平和を守ってほしいとお願いをされてしまう 俺は、この勇者に魔王を任せれば世界が平和になると考えたので俺は勇者が望むままに動くことにしたのである だが、俺はこの国の王になることで、この国が平和になることを理解していたが。その事実を隠し勇者の手助けを行うと決めていたので俺はまだ俺がこの世界の王であるということを隠しながら、この国のトップである王として振る舞っていた それで俺はこの国の王になり勇者が俺のために戦うことができる場所を作り出そうと考えていた。その考えを実行するために俺は自分の部下達にこの国で最強になれるほど強い者たちを探してくるように命じた 俺も自分でも探したかったのだがこの王としての仕事もあるので俺は王としての仕事を優先しながら勇者に魔王を倒すための力を与えるための方法を考えるのである 俺の力でもなんとかなるかもしれないと考えていたのだが。

やはりそれだけじゃ無理だということがわかり 俺はこの世界に来る前にこの世界にいた時に仲間にした魔王に力を貸してもらう事にするのであった それで魔王に頼み込み力を貰うことに成功 これで、魔王がいれば俺はいなくても大丈夫なのではないかと思った そう思い、俺は自分の役目が終わったと感じた そして俺は勇者に魔王に勝てる可能性を高めるため。魔王と戦わせる為に俺の魂だけを転移させる魔法を使うのであった 俺は、その男と戦うために俺は自分の体を男に任せると俺はこの男と本気でぶつかり合いたいという気持ちが強くなった。俺は、その男との戦いはきっと今までで一番激しい戦いとなるだろうと直感していた。

その男は俺とは違い、自分の快楽のためにしか動かない その男の考えが、自分の楽しみにしか向かないからこそ。男はここまで好き放題にできるのではないかと俺は考えている。そしてその男が、俺に勝つ為に、その男は俺の隙を探っていた 俺もそれは同じで男の弱点をどうにかこうにかぎつける必要があると考えている 俺は男との勝負で負けられないと思っているのである。俺に、自分の命を預けて俺の為に戦ってくれている人たちがいるので俺は絶対にここで倒れる訳にはいかないのだ だから俺は、俺はこの世界で、自分の欲望を満たすだけの男になど、決して俺は負けたりはしないのである。俺はその男のことを殺すと決意してその機会を待つのであった。

私は今、私の元いた世界で私の事をいじめた人間達の事を恨んでいるのですが私と同じように異世界に呼び出されたはずの人達の中でその恨みを持つ者達が私と同じことをしてる人間達を殺し回っている そしてその中には、私の事を一番虐めて来たあの人の名前もあった。その事が許せなくて、その人を必ず殺すことを決めて 私がその人と会えたのはその人の方から接触して来たからだった。その人がその事を望んでいた 私はその人からその人について詳しく話を聞いている そして、その人の望みを叶えるために まずは手始めにこの世界でその人に酷い事をした人達を次々と殺して回る事にしてみた その方がその人も喜ぶんだと思うから その人はとても優しくてとてもいい人だったけど、その人は、いつも笑顔を貼り付けていて、その本当の顔を隠そうとしていたみたいだけど 本当は泣きたいぐらい苦しかったと思う。その証拠に私にその辛さを相談してくれたのに、結局、私はその人を助けられなかった。その人の願いを聞くことはできたけどその人の助けになってあげられなかった。その人の苦しみを、悲しみを理解することはできなかった だからこそその人を救えるのはこの世界にいる他の誰かであって、私ではない それでも私は、あの人に恩義を感じている。その事は変わらない 私は、その人の為だけに、その人を助けることを第一優先に考えると心に誓ったのだ そして、今度こそ、今度の世界では、私がその人を支えていくんだ。そう決めたのである そして私は、自分の復讐が成功した後の事を考えていた。それはその人だけの幸せを願って その人と結ばれることが叶わないとしても その人と一緒に幸せな日々を送る事はできない それは分かっていて、分かっているからその人が幸せになれるようにしたいのである。でも それでは駄目だった 私はその人を救うどころか、助けられていなかった その事が一番の後悔であり。反省点でもある。もっと強くならないといけない 今の私はその人に対してあまりにも弱すぎるのである だから今度は、次はちゃんとその人と一緒に幸せになれる未来を掴み取りたいと願っているのである そのためにも私は強くなり続けなければならない その事を肝に銘じておきながら。

その人を不幸にする存在は全て消さなければいけない。そうすれば、その人の傷つく姿を二度と見ることは無くなってくれるのだと思う。だからその人の周りに居る人間は皆殺しにしないといけない それが、今私がやるべきことだ その人は私の事を好きだと言ってくれている。愛していると その言葉を何度も口にしてくれるのである それが嬉しくないはずがない。ただ、それでも、私はそんな風に想われる資格が自分にはないのだと感じている。なぜなら、自分がやった行為のせいで、私はその人だけではなく周りの多くの人間の心を傷つけてしまっている 自分はもう、その人の事を愛していても、許されるようなことは何もしていないのである それは今でも変わりないことだ だからこそ、自分の事をその人は本当に大切にしてくれているのだと感じるし。こんな自分と居ても楽しくてしょうがないんじゃないかと、心配になってしまう そう言ったら、その人は必ず「お前と一緒の時間が何よりも大切だし何よりも大事な時間なんだから」と言うのである その言葉に偽りはなく、その言葉を信じているが、どうしても、不安を覚えてしまう そう思ってしまう原因が、まだあるのだ。それはその人の心の闇がまだまだ深いところにあるということだ そして自分がしてしまったことも、そして、その人の大切な人を結果的に死に追い込んでしまったという事実は消えることはないし。その償いをする為には、どうしたらいいかと必死に考えたこともある しかし答えが見つからないまま時は過ぎてしまったのである だが、その人が私を選んでくれたことで ようやく、これから先ずっとその人を一緒にいることを許してもらえたような気がした。だがそれは違うと思いなおした その人にはまだやり残したことがある。それを終わらせてからでないと、自分の側にいるべき人間ではないと思っているのである そして自分の罪をその人が清算できる日がいつか来てくれるのか、その時がくるまではその人が望むことをできるだけしてあげようと思って、その人に自分の気持ちを伝えることにした その気持ちを伝えてからはその人が前よりも積極的になり始めて、その行動に驚いていた そして、その人から告白をされたのである 自分の事が好きでたまらないのに、この世界の平和を取り戻す為に頑張ってくれていることを その人に好意を抱いていなかったと言えば、きっと嘘になるだろう。その人の気持ちに、その気持ちに応えたいという思いがあったからこそ 今までの辛いことや悲しいことを乗り越えられた その人の存在こそが私を立ち直らせるきっかけを与えてくれた。

だから感謝しているのである。そして自分の想いを伝えた時。その人は受け入れてくれることができたので やっとその人と結ばれることができるのかもしれないと思うようになったのであるそして、その人の事が好きなのにどうしてそこまでできるのだろうかと考えさせられてしまった その人は誰よりもいい人なのに、他人から嫌われることを気にせずその優しさを振りまいていた その人の優しさに触れた人々は皆その人の事が好きになっていた。私もその中の一人なのだ そして自分の事もその人にとっては特別に想ってくれているのである そんな優しい人間を虐めるのを生きがいにしていた者達もいたのでその人達も排除しておくことに その人の周りを騒がしいハエ達がうろついているのを見て不快に思っていたのだ その人達を排除するために動いている最中。一人の男性と知り合った 彼は自分の目的を果たすために私を利用しようとしていた その目的は私の目的を達成するために役に立つので利用価値のある人間だと考えて、その誘いに乗ってあげる事にした それからは、彼と行動を共にしていると 彼に好意を寄せている女の子達と遭遇する機会が多くあったので、彼女たちを排除しようと企むが上手く行かず、自分の計画が失敗する要因となっていることを痛感させられるのであった 自分の目的の障害となる存在は全員殺していけば問題はないだろうと私は考えていたが 私の考えでは甘すぎたのかもしれないと思った。私が考えていたのは自分の計画を阻害するものだけを殺せば済むという考えだったのである その甘い考えがこの事態を招いているのではないかと考えていた その考えを改めるためにも、この世界では今までの自分では駄目だと思い、強くなることを決めた そして私はその男の言う通り、その男の奴隷となることを決めました。そして私はこの男に一生を捧げることを決めています 私は、その男のためならばどんな事でもしてみせます。

その男を虐めてきた人達は例外なく始末しなければいけ

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俺、こっちでは魔王やっているのですが、地球でも魔王になったら世界を征服できますか? あずま悠紀 @berute00

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