第2話 ゲーセンは魔境だ!

 ゲームセンターは苦しいほどに憎たらしい。 なぜかと言われるとなかなか取れないからだ、 景品がそうである。景品が取れない頑張っても取れないのである。本当に取れない無茶苦茶取れない一生懸命頑張っても取れない。ここのゲーセンは上手だ。だから結構取れる。けどここの店以外のゲーセンは取れない。そんなレベルだ。


「さっきから何をぶつぶつ独り言言ってるの?」 この少女もだ。この俺の邪魔者か? いやきっと刺客に違いない。なんでこんな奴がいるんだろう。


 俺の邪魔する不届き者、そんなふうに考えてしまう愚かな俺ガイル。俺は何て愚かなんだろうか、いや実際愚かだろう。このような年下の幼気な少女に向かってそんな失礼なことを考えているんだから、一切俺はクズだクズだからこそこういう思考に陥ってしまう、ゲームセンターの中はじめじめと暑苦しい。


 雪が冬だろうが春だろうが夏だろうがどんな季節でも、じわっとした重苦しい空気が充満している。それだけ熱気であふれているとも言えるが、人々の統合と焦りが木霊する。あんな世界とも言える 一切のところこの空間でおかしくならない人間はいない。欲望の溢れるまま景品を取りたいと願う。実際に取りたいと願うと欲望のまま自身の欲望を叶えるために人々は金を入れる。100円玉を次々と入れる。何度も入れるそれだけこの世界はおかしい、金が湯水のように流れていく。実際店側は神とするなら我々は小羊だ。だが我々人間だ。だからこそ景品を獲得したい。


 少女は問う。


「 あなたはなぜこのゲーセンに来たの?」


俺は少しだけ考えた。だが答えが出ない。ちょっと返し方が思いつかないので適当に答えた。


「そうだなあ安く取れるから」


 少女は本当に少しおかしそうな顔で俺を見つめていた。だが笑顔だった。


「へーそうなんだでもあなたってでもおかしいわねふふふ」


なんだこいつと俺は思った。だがその程度のことでは考えられないような異常なことが起こった。


 ゲームセンターの中が急に温度が下がったのである。エアコンでも効いているのかというレベルではない。冷蔵庫の中に放り込まれたかのような極寒の寒さと思えるほどひどく涼しかった。なんだこれはむっちゃ寒いぞ。これ凍えるぐらいだ。


「霊的空間に私たちは囚われてしまったようね」


 霊的空間何だそれは。


「楽しくゲームセンターで遊びたかったんだけど仕方ないわね」


「あなたの名前は」


「俺の名前はアキトと名乗っておく」


「アキトって言うのね 私はそうね ゴス子とだけ名乗っておくわ」


それ絶対偽名だろ。なんだよゴス子ってまあいいや、俺は少しだけひねって頭でこの状況を冷静に処理しようとしていた。霊的空間て言ってたな。


 某憂鬱アニメの閉鎖空間的なやつなのかな。少しだけアニメ知識を披露する俺は実際のところどうなのか分からないが、この霊的空間に囚われてしまったらどうやって脱出すればいいのかをゴス子に聞いた。


 するとこの霊的空間ではクレーンゲームをして景品を取ればいいのよとゴス子は言った。


クレーンゲームで景品を取る。そういえばクエスト4が発生している。


 クエスト4 説明 クレーンゲームで景品を二つ取ろう。


 なるほど、そういえば先程のクレーンゲームで景品を一つ取った時に貰えた報酬でスキルをもらえた。


 超感覚。


 なんだろこれはどんなスキルなのかよくわからないが、パッシブスキルのようで オンオフの切り替えができるようだ。


 試しにオンにしてみるすると俺の感覚がものすごく鋭敏になった。これはなるほどなんとなくわかったぞ。これならやれるかもしれない  このゲームセンターで景品を二つ取ってみるか。アキトとゴス子はこの空間から脱出することができるのか。

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