極限にあってあらわになる人間の暴力性

 戦場で虜囚となり、虐待的行為を受ける人のお話。

 戦争の中のひとコマを描いたお話であり、極限状況に置かれた人間のドラマです。。

 いまこうして平時にあるわたしたちから見たなら、およそ狂気としか言いようのない異常な暴力性の発露。
 しかしそれがその場(戦場)にあっては平常のことなのだという、その事実が重く胸にのしかかります。

 主人公のみならず、同様に囚われた友軍の兵、さらにはそれを虐待する敵兵たちに至るまで、誰ひとり逃れ得ない『戦争』という大状況。
 その大きさとどうしようもなさを噛み締めさせられる作品でした。