日本語って美しい そんな事を再認識させてくれる作品群🌷

私がこの作者の方の作品を初めて読んだのは、この作品の前の部分に当たる「今日も明日もくもり空」です。
その時から、この方の文章表現力の凄さ。情景描写、人物描写、心象描写のどれもが優れていて、それがとても丁寧で繊細な文章で描かれている事に感銘を受けました。

それから約1年。その文章表現力は更に進化して、そこに「美しさ」を感じるまでになりました。例えばこの作品の副題。

惨めさの匂いがしてきそうな暗い気分の中、見上げた空は雨だった

私はこの一文を読んだ時に、川端康成氏の作品を読んでいるような感覚に陥りました。この一文は簡単に書けるような文章ではありません。

また、この方の短編に「罪づくりな曖昧さを、その音で包んで」と言う作品がありますが私はこの短編が大好きなのです。その作品は文章も素晴らしいのですが、その構成力は「圧巻の凄さ」です。この作品のコメントで私はおこがましくも解説のようなものを書かせて頂きました。この短編も読んで頂けたら、この作者の方の力量をお判り頂けると思います。

ここまで書いてきて、この「雨の向こうの月」について殆ど何も書いていない事に気づきました。しかし、私如きが何かを語るより読んで頂いた方が判りやすいと思います。この作品は比較的コミカルな描写も多く読みやすいです。しかし、その内容は深くなって行くと思われます。是非、ご一読をお願い申し上げます。


「ここには美しい本物の物語があります」💐💐💐