同棲して

バブみ道日丿宮組

お題:軽い彼方 制限時間:15分

同棲して

 彼方を目指すから、偉大なのか。あるいは夢を持つから、尊いのか。

 生徒会長は優秀だった。

 ぽんこつな俺とは違い、成績優秀、運動神経抜群。

 しいてダメなところをいうのであれば、身体つきか。

 幼児体型。

 とても小さい。

 整列する時、最前列しかありえない。

 もっとも学級委員なので、一番前だ。

 そんな彼女に見合う男になろうと決めたのは、バレンタインチョコを貰った時。自分のことが好きだと言ってくれた時だ。

 成績は赤点ギリギリ、運動神経は普通。顔はキモオタ特有のメガネガリガリ。

 彼女に好かれる点は、自分では採点できなかった。

 それを尋ねると、彼女は顔を赤らめてごまかしてくる。

 いったいどこに好かれる要素があったというのか。

 家にあそびにくるたびに、妹がそうぼやく。俺も同じことを考えてる。

 彼女と付き合うようになって変わったことといえば、成績があがった。試験を一緒にするようになった。わからないところをわかりやすく彼女は教えてくれた。

 1つずつ確実に知識を吸収した。

 高校を卒業する頃には、上位に入れるくらいの学力を身に着けた。

 はるか彼方だと思ってた彼女の志望校へも夢ではなく、普通に挑戦できるまで高まった。

 彼女は推薦で決まってたので、俺は一般試験で挑戦。

 結果は見事に合格。

 彼女は自分のことのように喜んでくれた。

 嬉しかった。

 こんなふうに誰かに思われるなんて陰キャ(今もだけど)時代には考えられなかった。

 大学は双方の両親が納得したので、彼女と同棲することになった。

 朝から晩まで一緒にいる彼女は本当に嬉しそうだった。

 俺はといえば、幻を見てるんじゃないかって何度も毎日起きるたびに自問してる。

 それも隣で寝息を立ててる彼女を見れば、一瞬で倒壊する。

 現実はここにきちんとあるのだと教えてくれる。

 彼女を起こさないようにそっとベッドから抜け出すと、朝ごはんの用意をし始めると、ペットの室内犬がよってきた。頭を撫でて、足元に餌を置く。

 ちなみに犬は彼女が以前から飼ってた愛犬。どうして連れてきたかったらしい。

 ご主人様以外にもこうして愛嬌を振りまいてくれるから、自分にとっても愛犬となった。

 朝ごはんの用意ができる頃には、寝ぼけた彼女がパジャマを半脱ぎで居間にやってきた。同棲してはじめて知ったのだけど、彼女はすごく寝相が悪い。

 普段の凛々しい姿が可愛く見える。

 俺でもこんな幸せな世界を手に入れることができた。

 だから、みんなもあきらめないで生きて欲しい。

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同棲して バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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