勇者パーティーを追放されたので新しい職業を始めようと思います。

あずま悠紀

第1話


『なあ、お前もそう思うだろ?』

俺は目の前の魔王に話しかけた。

すると、魔王は何やらブツブツとつぶやくのを止め、こちらに顔を向けてきた。その表情は笑っているのか悲しんでいるのか分からないものだった。しかし、それは一瞬のことで次の瞬間には口を大きく開け笑い出した。

「ああ!そうだな!勇者の俺様がそんな情けないことを言うわけねーよな!お前はどうなんだ?」

俺は仲間に問いかける。この女騎士の格好をしている勇者のサーシャも、聖女のカレンも笑顔だった。ただ、目が一切笑ってはいなかった。きっとこいつらは内心では呆れているのだろうと思う。

だって俺達が魔王城に乗り込んだ理由はこいつの命を奪うためではなく、降伏させるためにやってきたんだからな。

それなのに、こんなことを言われたんだぜ?そりゃ笑うわ。だが、それも仕方がないことだ。

なんせ今の今までこの魔王軍幹部の一人を倒してきたのはこの俺たちだからな。それにこの国の王様は、俺のことを勇者と呼んだんだ。俺こそが勇者でありこの世界を救える人間だと。

それが今は、この魔王軍の王の前にひざまずいているんだから笑われるのも当然だろ?

でもさぁ!それでも俺にもプライドってもんがあるんだよ!!くそっ!!

あの王様も今度あった時には絶対にぶっ飛ばしてやるから覚悟しろよ!!!

そして今度こそ本当の勇者として世界を救うための力を手に入れるんだ!!待っていろよ魔王!!俺はもう逃げないぞ!!!絶対に力を手に入れて魔王を滅ぼし世界を救う!!そして皆が笑顔で暮らせる世の中を作って見せる!!!見てろよ神様!!! 俺は自分の考えを口に出し、改めて決心を固めたところでサーシャとカレンに目を戻すと二人の目は少し潤んでいたように見えた。

(いかんいかん!!弱気になっている場合じゃない!!)

よし!!気持ちを新たにしたところで作戦実行だ!!まずはこの魔王を倒すために召喚したっていう伝説の聖剣エクスカリバーを使ってあいつの魔力を削ぐことから始めよう。この剣なら一撃であいつの首を切り落とせるはずだ!!)

『おぉおお!!』

「ん?」

その時急に俺以外の三人が雄たけびを上げ始めた。俺は何事かと思い周りを見渡すが特に変化はなかった。だが突然目の前にいる魔王が頭を押さえ苦しみだし膝をついてうずくまった。一体何をするのかと思った瞬間――。

(え!?消えた?)

一瞬にして姿を消した魔王の姿を慌てて探すもどこを探しても見つからなかった。

そして次の瞬間には体がふわりとした感覚に襲われたのと同時に視界が変わった。そこには見慣れた光景があったのだが明らかに違っていた。

「ここは?俺は死んだのか?」

そう、それは先ほどまで見ていた風景とは一変した世界であった。

目の前にある大きな建物も道路や街ゆく人々の様子も同じだった。

ただ一つ違うことそれは俺自身が死んでしまったという事である。

(どういうことだ?俺はちゃんと戦っていたはずだ!まさか俺が死んだことに気が付かないうちに首を切り落とされたのか?それとも夢落ちか何かなのか?)

はっとそこで俺は思い至ったことがあった。それは魔王のスキルについて思い出したのである。

そう魔王は姿を消す能力を持っていた。

つまりこれは魔王による死の宣告ではないだろうか?

(もし、このまま殺されていたとしたら?本当に何もできないまま殺されるのを待っていただけだったってことになるのか?そんなことは認められない!俺はまだ負けていないんだ!こんな訳の分からない場所で死にたくはない!)

そう思うもののやはり体は動かなかった。だが、ここであきらめるような性格はしていない。必死に手を動かそうとしたとき目の前に見覚えのあるものが目に入ってきた。

「あれはスマホ!!」

そうスマートフォンだ。間違いなく俺の所有物である。それを確認して一気に力が抜けた。しかしまだあきらめてはいない、とにかく連絡だけでも取ろうと考えた。

(頼む!!電波さえ入れば助かるかもしれないんだ!頼む!!お願いします!!入ってください!!)

という願いも虚しく目の前には無慈悲にも圏外の二文字が表示されてしまった。

だがここでめげずに今度はSNSを確認するもこちらも同様に圏外の表示がされていた。そして、メールを確認しても家族からのものもなく友達からの返信もなし、最後にニュースの確認を行うとこれまた同じような状況であった。唯一違ったところといえば天気くらいだった。

「なんだよこれ!マジでふざけんなよ!!なあ教えてくれ、お前もこの状況を知っているなら説明できるだろ?」

もちろん返答はなかったが、俺は続けることにした。

「もしかしてここがあの世だって言いたいわけじゃねーよな?なぁそうなのかい?」

俺の問いに答えるものは誰もいないと思っていたが答えてくれる人がいた。

「その通りだよ、君が今見ている映像はすべて僕が作った幻影だ。君の肉体もここにいる限り死なないし死ぬことはない」

「なっ、ななな、なんだと?!」

「僕はこの世界の魔王、まあ正確に言うと元勇者なんだけど今はこの国を滅ぼすために力を蓄えているという感じかな?」

目の前の自称魔王を名乗る奴が言っていることが理解できなかった。この国の王様の話によれば、確かに俺は勇者として異世界に召喚されたはずだ。なのにどうして俺の目の前には魔王と名乗るものがいるのだろうか?そもそも勇者を殺せば、俺の勝ちになるのではなかろうかと考えていた。それにこいつの言葉は本当なのだろうか?もしかするとこれも幻覚の類ではないのかという不安感が募ってくる。

そんな俺の心境を感じ取ったのかどうかはわからないが、自称魔王はその言葉を補足してくれた。

「信じられないって顔をしているけど、大丈夫だよ!僕がこの国に勇者が現れたって聞いて、勇者を殺しに来たって話は嘘だから安心して!それよりも君たちのおかげで随分とこの国は栄えてきたからね!そろそろこの国が滅んでしまうんじゃないかと思ってこの国の王都の近くで君たちの行動を見張っていたんだよ!するといきなり城の中に入って行ってさ!びっくりしちゃったよ!それで慌てて城の近くに飛んで行ったってわけさ!どうせこの城の中には入れないんだから無駄足だとおもっていたんだけど!でも君たちは見事に僕の目の前で力を見せつけた!流石勇者と呼ばれるだけはあるって思ったよ!やっぱり本物の勇者様が来てくださると信じて正解だったって!それに比べて王城の馬鹿共ときたら!魔王軍の幹部を倒してきたっていうから、どれ程のものかって思って見てみたけどただ単に聖剣の力に頼ってばっかりじゃない!あれで勇者なんて名乗っているとか滑稽を通り越していたよ!全くもって失笑ものだよね!そんなやつらが勇者だってさ!おかしいだろ?この国の王は何を考えているんだろ?ああでもあの王も勇者のことを心の底から信頼しきっていたようだからきっと何も考えていなかったんだね、ほんと呆れるほどのお人よしだよ!!まったく勇者が魔王を倒すことを信じて疑わないなんてさ!それどころか、こんな情けないやつが魔王に敵うはずがない!って思っていたんじゃない?本当に笑わせてもらったよ!あんなに楽観的に考える王様に国民の命を委ねていたなんて、どうかしていると思わなかったのかしら!私にはとても無理ね、絶対に自分だけの力で魔王を倒したほうがいいわ!でも私は運が良いわね!まさか私が倒される側にまわることになるだなんて夢にも思わず過ごしていたから!それも全部あなたのおかげ、ありがとう!お礼と言っては何だけど私の命をあげるわ!!それを使ってもっと多くの人間を殺してきなさい!この腐り切った世界を綺麗にする手伝いをして頂戴!!きっとあなたの望むような世界が作ることができるから!そして私のように苦しんでいる人々を救ってあげて!そうよ!そうするべきよ!!魔王を殺すことのできる唯一の存在!!そうよ!!私はずっとそれを待ち望んでいたのよ!それがやっと!!それなのに!!!!!!!どうして邪魔をしたのかって聞きたいのか? そんなもん俺の勝手だろ?なんせ俺はお前に負けたわけじゃないんだからな!俺はお前みたいなクズになんか殺されねえ! 俺の目標はただひとつ!魔王を倒してこの世界で幸せに暮らす!!ただそれだけだ!!その為にお前には犠牲になってもらう!覚悟しろ魔王!!俺はこれから先どんな手段を使ってもこの世界に平和をもたらすんだからな!!!」

俺は魔王の幻影に向かって叫ぶと目の前にいた男は、一瞬キョトンとしていた。

『へぇーーーーー!!すごいね!!君!!この僕の作り出した幻影に対してこれだけ言えるだなんて、よっぽど強いんだねぇー!ますます気に入ったよ!!』

俺が魔王に向かってそう叫んだ瞬間、目の前には見慣れた俺の部屋が広がっていた。先ほどまでの魔王の姿はどこにもなかった。そして俺も先ほどまでは動けなかったが体が動かせるようになっていることに気が付いた。

(そういえばあいつは魔王のスキルで生み出した幻だったのか。だとしたら今の発言もしっかりと聞こえているということか? なら別に気にする必要はなさそうだな)

そう思いながら俺は先ほどの出来事を思い出すのだった。

*

「お主は誰じゃ?」

魔王と思しき男が現れて俺達に問いかけてくると俺は、この男が本当に魔王であるかどうかの確認を取るため話しかけた。

「俺は佐藤亮介、あなたこそ何者ですか?」

「ふむ。なるほどな、確かにお主にワシの声は届いているようじゃな。

まあとりあえず自己紹介をしておこう、我こそは現世で悪行を行い天に昇れずこの世に留まってしまった悪霊、つまりはこの世で言うゴーストと言うもんじゃ!」

(ん!? なんだって!? ゴ〇ス? え?まじか?)

「う、嘘つけえええええ!!!!」

俺は突然現れた幽霊を名乗る謎の生物にそう叫んでしまった。しかし、カレン達にはその姿が見れていないのか普通に反応していた。

「うーん。でもこの人はゴーストだと思うよ?ほら体がうっすら透けていて光に当たって消えていくもの」

そう言ってサーシャはゴーストらしきものに手を伸ばす。

「ちょっと待ってくれ!!サーシャは見えてるのか?もしかして俺だけに見えないの?もしかして俺に恨みでもあるの?それとも霊感が強いの?」

「そんなことないと思うよ?というかさっきも見たじゃん、こんな感じの人だったよ?」

サーシャは不思議そうに首を傾げてこちらを見る。俺としてはこんな非現実的な現象に遭遇したくなかったのだが。

(あれ?という事は俺が異世界に来てからいろいろ経験したことで感覚がおかしくなったのか?いやそんなことはないはずだ!今までそんな体験は一度もしたことは無いぞ?もしかしてあれが原因なのか?俺があの時使ったあの剣の影響なのか?というよりそもそもあの剣を触ったからこうなっちゃったのかな?どうしようこれ、俺このまま戻れなかったらどうしよう。もしこの世界の人間が異世界に行く魔法とかを作れるとしたらとてつもないチートアイテムだな、悪用されたらものすごく大変な事になりそうなんだけど。

俺の考えがまとまらず、黙っているとその様子に何かを察したのか、サーシャが申し訳なさそうな表情を浮かべ、俺の肩をポンと叩いた。

「ごめんね?私のせいで君まで巻き込んじゃって」

そう言われてしまった。その言葉を聞いた時に俺はハッとさせられた。もしかすると彼女も被害者の一人かもしれないと、そして、目の前のこの女の子にも謝って欲しいと思った。

だがここで声を上げて文句を言うことは間違っている。俺のこの怒りと苛立ちは自分自身に向けられるべきだ。そう思って口を閉ざす。

「そんな悲しそうな顔をしないで?君は巻き込まれたんじゃなくて、この子の意思を尊重した結果だからね?それに私はもう十分満足しているの。だって君たちみたいな勇者パーティーに出会えたからね?だから君がそこまで落ち込む必要はないよ?」

「俺が勇者だって知ってるの?」

「もちろん、だってこの国では有名だもの、勇者がこの国に召喚されたという話を聞いた時からいつか現れると思っていたわ」

彼女はまるで自分の子供でも見るような目で俺を見てくる。その視線がなんだか照れ臭くてつい、目をそらしてしまった。

「それにしても勇者の割には、この国の王様と仲が良かったのね?まさかあんなに王様に信用されているとは思ってもみなかったよ? 一体どうやってあの王様に取り入ったの?」

彼女の発言で思い出す。そう言えば王様の前で俺のことを勇者と呼んでくれたのだ。それは紛れもなく俺にこの国の勇者だと名乗ったということだ。そして、王様は魔王を討伐してくれと言った。もしかするとあの王様は、最初から俺に魔王を倒させるつもりだったのではないだろうか?だとすると王様の言う勇者というのは、あの偽勇者が俺のことを魔王を倒せる唯一無二の存在だと思っているように魔王に対抗できる力を身に着けられる唯一の存在だということだ。そんな勇者がいきなり現れたと言われても信じてもらえない可能性はあるだろう。だからこそ王様は最初に、俺に聖剣を貸し与えると言ってきたのではないだろうか?そして勇者の証としてこの指輪を渡されたのだとしたら辻妻の合う部分がある気がする、これはあくまでも推測にすぎないのだから、あまり自信はないがな。

ただ一つ気になるのはなぜ俺がこの国の王都に来るのを知っているかということだ。おそらく王城での行動は見られていたと思っていい。それなら彼女が、この城に入ってきたことも見ているに違いない。

なら話は簡単だ。

この子は魔王側の人間、魔王軍の幹部なのだから俺を殺しにやって来たと考えればいいだけだ。俺はこの子が魔王の手の者だと考えると一気に緊張感が増してきたのだった。俺は剣を抜き構え、彼女に問いかけることにした。

「あんたも、魔王の仲間だろ?この世界に害を及ぼすつもりなら俺が相手になってやるよ!」

俺は、そう宣言すると彼女に向かって飛びかかった。俺はこの子と戦わなければならない理由などないし戦いたくはない。ただ、この子を倒すことで魔王に近づけるというのであればやらねばならない! そう思ったからだ。

俺が飛び掛かると、魔王の幹部を名乗った少女も俺に対して臨戦態勢をとった。そして、俺は彼女に攻撃を仕掛けたのだった。

*

――そういえば魔王が、俺のステータスを見た時のセリフってなんだか意味深だよな?そう思いながらも俺は再び幻影が現れたのを見て俺は思わず叫んだ。

「って、またお前かよ!!」

俺の叫びに驚いた魔王は、キョトンとしていた。そして先ほどの魔王の言葉を思い出し、俺は改めて確認を取ることにした。

「もう一度聞くけどさっきの魔王の言葉はどういう意味で言ってたんだ?」

「ああ、そういう事。そうだね、簡単に説明するなら僕の命の半分は君の物だっていう話だよ。

僕の魂の一部を使って作られた君には僕と同じように特殊なスキルが与えられているからねぇー!!それを使って僕の分身を作って、この世界をめちゃくちゃにしてきてもらうんだよー!! そいつを使って世界を混沌と化させて僕はこの世界に留まれるようになれるからねぇー!!まあもっとも、君が死んだ後でだけどねぇ? でもそんなのどうでもよかったから、ただただ君に死んでもらうことが最優先事項だと思って行動していたんだけど、どうやら上手くいきそうで嬉しいよー!!じゃあ早速行ってもらおうかな!!世界は広いよー!!楽しみだなぁー!!あははは!!」

そう魔王が言った直後俺の前に、魔王の顔がドアップになった状態で映し出され、そのまま魔王が手を前に出した途端に俺の体はどこか遠くのほうへと転移させられてしまう。

そうして冒頭に至る。


* * *

魔王が手を差し出してきた瞬間俺はすぐさま、後ろに下がり魔王の攻撃を避けようとしたが体がまったく動かない事に気づく。

(しまった!!俺、スキルで動きを止められてる!?クソッ!!やられた)

俺はそう考えながらも次の攻撃に備えて警戒を強めると、その俺に向かって手をかざしてくる。

「『我が魂は炎となり、この身を焼き焦がさん』フレイム!」

「え? うわ!? 熱ちぃ!!!!!」

魔王がそう叫ぶと俺の周りを取り囲むように、真っ赤な火の柱が出現し俺に襲い掛かってきたのである。俺に直撃した火の柱はそのまま燃え盛り俺に継続ダメージを与え続けた。そのせいでHPバーが減って、瀕死状態になる俺に魔王は容赦なく追い打ちをかけようと呪文を唱え始めた。

「我こそは、この世に災禍をもたらし、我こそは悪しき心を持って悪行を行いし、天界に昇れぬ悪の化身、今こそ我が力を使いて天誅を下そう、我こそは現世に仇なす悪しき魔物なり! 今こそ現世に降り立ち我が力を示そうぞ!いでよ悪しき神、デヴィル!!」

そう魔王が叫ぶと目の前には巨大な黒い球体が姿を現し徐々に大きくなり始め俺を丸呑みできるくらいの大きさになるとその中から、全身真っ黒に塗りつぶされ、赤い目の瞳をした悪魔のように見えるものがゆっくりと姿を現す。

(うわっ!なんか気持ち悪い悪魔が出てきた。もしかしてこの子、こういうの好き系?もしかしてこの子、厨二病とか患っちゃっているの?やばいよこの子、かわいそうとか通り越してやばすぎない? てかなに?もしかしてこれ倒す流れ?)

その俺の疑問が伝わったのか、魔王は笑みを浮かべながらこちらに歩いてきて、俺の隣に立った。

「ふふん!どうかな?これが僕の生み出した最強で最恐最悪の闇の精霊だ。こいつに勝てるものなんてこの世にはいない!君も諦めるんだね」

魔王はそういって、両手を広げ空を見上げるが俺はそんなのんきな事をしている暇がなかったのだ。何故ならば俺の体力は既に1しか残っていないし体も動かなくなっていたからである。そしてその状況を見て俺を馬鹿にするかのように笑う魔王が口を開いた。

「あはは!これで君は終わりだね!じゃあ消えてもらおうかな?バイバ~イ♪」

「ちょ!ちょっとまってよ!!まだ俺なにもしてないし死にたくないんだけど!!待ってくれよ!!!おい!!俺がなにしたっていうんだよおおおぉぉ!!!!!!」

俺の絶叫も虚しくその言葉は、その部屋に響き渡るのであった。そしてその声が途絶えてから数秒後に、魔王は後ろを振り返りニヤリと不気味な笑いを見せた。そこには一人の青年の姿があったが魔王はすぐにその存在に気がつき嬉しそうな声で話しかけた。

「おや、もう帰ってきたのかい?随分早かったじゃないか、もっと楽しませてくれると思っていたんだけどなぁ?」

「それはすまなかったな。だが魔王が思っている以上にこの勇者は弱いようでね、早々に片づけてしまったのだ。

それよりもあの勇者はどうした?」

魔王が残念そうに答えるとそれに答えるかのように声を発した男は俺の方を見るのであった。


***

勇者の視点になります。


* * *

俺はこの世界で、今まで見たことがない光景を見て唖然としていた。目の前ではこの国の騎士たちが剣を持ち立ち向かっているが敵わないのだろう、皆次々と切り捨てられていくのが分かる。その惨劇を見ていると俺の心の中がざわついて来た。このままじゃまずいと頭の中で警告が鳴り響く。どうにかして逃げなければと考える。

(クソ!どうすれば良いんだ? そうだ!!ステータスに載っていたあれを使えばあるいはいけるか?でもあの力は使ったことが無いんだよな。うまく発動してくれればいいけど)

俺はそんなことを考えながらもこの場を乗り切る方法を考えていた。そして一つの案が浮かぶ。

(そうだ、ステータスを見れば何かヒントが見つかるかもしれない!)

俺がそう考えた直後、突如俺の脳裏にある画面が映り込んだ。それはまるでゲーム画面のような感じになっておりそこに、この国の城までのルートと魔王城の全体マップが表示されていた。俺は、それを見た瞬間、自分の考えが正しかったと確信した。

そして俺は、ステータスを開くと同時にあるコマンドを選択するのだった。

*

――ステータス画面に意識を向けるとそこには先ほどまでなかったはずのボタンが追加されていた。俺はそれを指差し選択すると俺の中に選択肢が現れ、その中の一つを選択してみる。

【 メニュー一覧 】

『装備変更』、『ログアウト』『アイテム使用(回復)』『仲間設定(パーティー)』

この中だと『仲間設定』というのが良さそうだと思った俺は迷わずにそのボタンを押すと俺の目には信じられないものが飛び込んできた。

プレイヤー:アキトの仲間たちがいます。誰にしますか? 1 ルチア 2エリカ 3 サユリ 4 ユイ 5 ハル 6 マオ この内から選択してください ただし、すでにこのメンバーは固定されてます。他の人に変更することはできません 】

俺がそうやって表示されている文字を読んで行くと、俺の周りに光が集い、光の渦が出来上がると、その中から4人の女性が現れたのだった。

俺はその姿を見て驚くのであった。なぜなら彼女達は全員が俺と同じ顔をしていたからだ。それもそのはず彼女達とは現実での知り合いなのだ。俺は、彼女達に視線を移しつつ俺は彼女達が本物であることを確認すると彼女達に近づいていく。

「えっと、みんななんでこんなところにいるの?」

「そりゃ決まってるじゃない、助けに来たに決まっているでしょ? 全く、心配させないでよね。私達の苦労が水の泡になるじゃない」

「ごめん、助かるよ、ありがとう!ところで、ここは一体どこなんだろうか?」

俺がそういうとルチアは腕を組み少し考え込み始めた。

「そうね、ここがどこかという事はとりあえずおいておきましょう。おそらく今はどこに居ようと変わらないから」

「そっか、それじゃあ一旦城に戻ろうか、魔王を倒しに行くんだ!」

「まあ、あなたがそうしたいならそれでいいけど、本当にやるつもり? あいつかなりやばいわよ?」

ルチアの言葉に、俺は苦笑しながら返答する。

「はは、分かってるさ、でもやらなきゃいけないからさ。だってそれが俺たちの願いだからな」

俺の言葉に納得できないといった様子だったが渋々ながらもついてくると言ってくれた彼女たちを連れて俺はこの魔王城から逃げ出すことにしたのだった。

そして俺たちはこの世界に来るきっかけとなった魔王のスキルについて思い出すのである。

(確かスキルに幻影を作る能力があったはずだ。この世界の人間は騙されてこの世界に連れてこられたっていう話だしな。

もしかしたら俺もこの世界の人たちと同じようにスキルの影響でこの世界に転移させられたのか?)

その可能性を考えた俺はスキルの使い方を探ろうと必死になったのだが一向に分からず途方に暮れていたがそこで、突然頭に音声が流れ始めたのである。

『 メニュー画面に新たにコマンドが追加されました 魔王討伐に必要なスキルが確認可能です この機能を使うには 一度ステータス画面を閉じてから再度開きなおして、メニュー内の《 魔王スキル 》をタッチしてください また魔王スキルを起動させると自動的にステータスが表示されるようになっています 』

俺はこの声を聞き終わると同時に即座にステータスを表示させ『 魔王討伐 』と書かれたコマンドに手を伸ばした。そしてその項目に触れると再び俺の脳裏には例のメッセージが映し出された。

『 メニュー画面に新たな項目が増えました。このコマンドを使用することで、この世界で取得可能なすべての魔王討伐に役立つスキルを取得することができます。ただしその効果は個人差があるため必ずしもその効果を発揮するものではありません』

俺はその説明に驚きながらもその内容を確認した後で、『魔王の証』(全状態異常無効化、魔法攻撃半減、MP上昇大、攻撃系攻撃無効、物理攻撃半減、移動速度倍化)をタップしてみると俺の前に巨大なクリスタルが姿を現しその周りを取り囲むように、5つの色違いの結晶体が出現しその中心には俺の名前が刻まれたものがあった。

俺がその様子を眺めていると横にいたルチアたちが興味津々と言った顔つきで見てくる。

「ねえ?なによ、この綺麗なクリスタルは? これがあなたのスキル? もしかしてこれがあれば魔王に勝てるんじゃない? 」

俺もそう思いたいんだけどね。だけどそんな簡単じゃないかもと思っちゃってさ?それにこれは多分、魔王討伐に使うようなやつじゃなさそうな気がしているんだよね。

俺がその事を説明すると皆が不思議そうな表情をした。

そんな会話をしているうちに俺は自分の体に異変が起きていることに気がついた。なぜなら急に体が重くなったからである。しかもどんどん酷くなっていく一方で、その場に膝を突いてしまったのだ。そんな俺の様子を心配して駆け寄ってきたサユリが慌てて俺の手を取ったのだがその行動によって更に事態を悪化させてしまうのであった。

(ちょ!ちょっとまって!そんな触ったら、俺のHP減るから! マジ死ぬ!!まじ勘弁してください!てか、なにしてんの!? お前なにしちゃってくれてんの!!てかもう既に1になってるんですけど!! 早く回復してください!お願いします!!俺を殺さないで!! まだ死にたくないんだよ!!)

俺は心の叫びを精一杯叫ぶが当然伝わるはずもない。

「どうしたのですか、大丈夫ですよ!私が回復させてあげますからね。今すぐ楽になりますよー♪」

そう言って彼女は嬉々とした声で俺の手を握りしめ回復魔法を発動させようとするが、俺は焦りながらも彼女に手を振り払ったのだった。その結果、その衝撃によりサユリが倒れこみ気絶してしまったのである。俺の心にダメージを負ったものの命の危険からは逃れることができたが。

そんな俺を見てルチアたちは驚いていた。だがそんなことは気にせずに俺は次の作戦を実行することにしたのであった。

(とにかくこのスキルの詳細を確認しよう、そして魔王を倒すために有効なものがないか調べないと。

ってことで魔王の証の効果とやらを詳しく見てみましょうかね。どんな効果があるんだろね。ちょっとドキドキだな。よしいくぞ!えいやっ)

【 メニュー画面に新しく追加される魔王の証の効果 魔王の証を使用する際に必要なものは 以下の5種類のうちどれかが選ばれ、使用が可能になります

1.

魔石 』: 魔力を込めた石の欠片のこと。この石を砕き粉末状にしたものを飲むと一定時間の間魔王の力が宿るようになる。

ただしこの石に込めることのできる力の上限は10までであり、その範囲を超えた場合はその力は発動しなくなる。2.

聖剣 』: 魔王を倒したとされる勇者の使用していた武器。勇者が使っていた時と同様に聖剣に認められた人間にしか扱えないようになっている。

3.

勇者の血 』: 勇者がその身に流していたという勇者の証。血を流すとその証に勇者が認めた人間の名前が浮かぶ。その人物の血液を魔王の心臓に垂らすことによって魔王の力を封じ込めることが可能となる。

4.

魔王の加護 』: 魔王の証を使用したときに現れるアイテムの1つ。このアイテムを使用することで一時的に魔王の力を得ることができる。但し使用できる時間はその使用者によって異なるが、短いもので数時間、長い物になると数か月にも及ぶ場合がある。尚使用時間は魔王の器に比例するものとする。

5.

聖水 』: 聖なる水と呼ばれる特殊な水が湧き出た場所に生成されることがある水のこと。これを飲み続けると一定のレベルまで成長することが可能になる。但しその成長限界は人それぞれである。】

俺はその内容を見た時に唖然としてしまいしばらくの間固まってしまっていたがすぐに我に返り他の4人を見渡すと彼女達は真剣なまなざしをしていた。そしてルチアが俺に問いかける。

「アキト、この中に使えるものがありそうかしら?」

俺はルチアの問いに無言で答える。

それを聞いたルチアは、しばらく何かを考えていた様子だったがやがて意を決し口を開いた。

「私達がこれから行う事はこの世界で魔王に殺された人々の弔い合戦にもなるかもしれないわ、だからあなたにも協力してもらいたいの。いいかな?」

その言葉に俺は大きくうなずいたのだった。そしてその後で俺が、他のみんなに質問する。

「俺に出来ることであれば協力するつもりだよ、ところで君たちの職業や称号とかを教えてもらえるかな?俺の知っているスキルと違う可能性があるし、参考程度に聞いておきたい」

俺の疑問にまずエリカさんが答えてくれる。

「私のスキルはこれよ」

エリカさんの右手の人差し指が輝き、光の玉が現れてそれが弾けると俺の目前にスクリーンが映し出されたのである。そこには彼女の名前が書いてあり『 真 癒 使 者(ヒールマスター)

』と表示されていた。次にエリカは中空に向かって両手を伸ばす。すると光の玉が複数現れてきてそれを順番に操作し始めたのだ。俺はその様子を眺めていたのだがその光球が次第に集まっていき一つの大きな塊になっていった。そしてそれが消えた後に残ったものそれは直径50cmほどの真っ白に輝く美しい盾であった。

それを確認したエリカさんは笑顔で俺に話しかけてくる。

「これが、私のスキルよ。私達パーティーのタンク役をしているからよく分かるんだけど、この盾の防御力はかなりのものなのよ。この盾はどんな魔法や攻撃に対しても防ぐことが出来るし魔法攻撃も跳ね返すことができるの、まあこれは、魔法が使えればの話なんだけれどね? あとは、これなんかどうかしら?」

そう言うとエリカは再び両手を掲げると今度は二つの光が現れたと思うと徐々に形を変えて行ったのである。光が消えるとそこに残されていたのはなんと剣と杖だったのである。しかし杖の方は何というか普通のデザインなのだが、剣の方はまるで日本刀のように反っていたのである。俺がその不思議な形状をした二振りの剣を眺めているとカレンとルチアもそれぞれに説明してくれた。

「次はわたしのスキルを見せてあげるわ」

そう言ったルチアは自分の胸の前に手を突き出し目を閉じると何やら呪文を唱え始める。俺はその様子を固唾を呑んで見守る。彼女が目を開けながら手を開くとそこから赤い球体が現れる、大きさはそれほどでもないがその表面を炎が纏わりついておりその熱量に俺は思わず手を近づけた。

「触らないで!!」

俺がそのあまりの高火力の熱に耐えられずに手を戻そうとするとその行動をルチアに見破られたのか怒鳴られてしまう。

俺は仕方なくその場で直立不動のまま、その燃えるような赤い珠を見続けたのだった。

そんな様子を見ていた彼女は少しだけ表情を和らげると、その炎のような珠を地面に置く。その瞬間、その赤が地面に吸い込まれていくように溶けて行き消えてしまったのであった。そしてその光景に驚いている俺に彼女は語りかけてきた。

俺は目の前で起きた出来事に呆けていたが彼女の声に呼び戻され、意識を切り替える事にした。そしてその現象について尋ねる。

「あの、今のなに!?」

俺が素直な気持ちをぶつけてみると、彼女は微笑しながら説明を始める。

「これは魔法陣って呼ばれる魔法の発動を手助けしてくれるものなの、この魔方陣の中にいれば誰でも簡単に発動させることができるわ。それとさっきのが、火の魔法ね。」

俺はそこでさらに疑問に思ったことをそのまま口にする。

「魔法ってこの世界には、やっぱり魔法が存在しているんだね。もしかして俺の世界で言うと科学のようなものなの?」

「うん、そういう認識でも問題はないはずよ。魔法とは、この世界の魔力を使って自分の意志を具現させることよ。火を出したければそのイメージを思い描きながら魔法名を唱えることで発現することができるの、因みに詠唱っていうのはその言葉を口にする事で自分の持っているMPを変換して、威力を上げたり、範囲を広げたりして使うことができるの。」

その説明を聞いていて分かった事がある。恐らくだけど俺の世界ではゲームなんかでよく聞くような魔法が本当にあるようだ。そしてそのゲームに出てくる魔法は大体、魔法名だけで効果を発揮してしまうからな。その辺りの細かい仕様がどうなっているかまではわからないけどな。

そして俺は今更だけど大事な事に気が付いた。

「そうだ!! 俺は一体どうやって戦えば良いんだ!? そもそも俺の攻撃手段は!? 俺は剣なんて使ったことがないぞ!? いやそもそも俺のステータスで戦えるはずがないだろ!! どうしたらいいんだよーーー」

俺がそう叫んでその場にしゃがみ込むとサユリが俺の肩に手を乗せる。

「大丈夫です!私達と一緒に強くなりましょう!」

その言葉に俺は何も言えずただただ、うなずくしかなかった。そしてその俺にカレンは手を差し伸べてくれていた。俺はその手を取り立ち上がり、ルチアの方に向き直る。

「私達にもあなたに力を貸してほしいの、もちろん無理強いをするつもりは無いわ、あなたの意見を尊重するつもりよ」

「わかった、俺はもう逃げない。俺に力を貸して欲しい」

そして俺達はお互いの手を握り合い強くうなずきあったのだった。そしてルチアが口を開き俺達に話し始める。

「それじゃあ、作戦を伝えるわね。作戦は単純明快よ。まず私が敵を引きつける囮役になる、その間にみんなはそれぞれ自分に出来る事をしてほしいの、アキトは私が合図を送った後、聖水を魔王に向けて投げ込んでほしいの。そしてみんなは魔王を倒すために力を温存して欲しい、私はきっとそこまで持たないだろうしね、だから後はよろしくね」

その作戦を聞き終わると、エリカさんとカレンさんは静かに部屋を出て行く、その様子を確認すると俺は二人に声をかけた。

「ちょっとトイレに行ってくる」

そう告げ俺は扉から出ていき一人廊下を歩いていく、そういえば俺もまだ朝食を取っていないんだったな、と頭の片隅で考えながら、王城の中を適当に移動していき適当な場所を探しあてる。そこは城の外壁に近い場所で人が滅多に通らないところだった。そして俺もそこで用を足しにかかろうとしていた時、俺の視界にとんでもないものが飛び込んできた。

「嘘だろ、おい。なんでここにあいつがいるんだよ、それにどうしてこっちに来るんだ」

俺の前に現れたのは昨晩召喚された魔王の使い魔、そう魔物であった。そして俺は慌ててその場から逃げ出し、なんとか魔物を振り切ったところで立ち止まり呼吸を整えるのであった。その後俺達はエリカさんの案を元に行動を開始することにした。まずカレンさんが部屋の外に出て行く。それを見送った後にルチアの合図を待つ。それから数分後、魔王の使いが俺達のところに近づいてきた。その魔物の見た目はなんというかゴブリン?っぽい姿なのだが明らかに通常のサイズよりも一回りと大きく見えた。その外見にルチア以外のメンバーは動揺し動けなくなっていたのだが俺だけは違う。この世界で魔王と出会って以来俺はずっとこの化け物共と戦ってきたのだ、正直、こいつの存在くらいで狼 舞にはならないのだ。そして俺の予想通りその化け物は俺の方を向くと、手に持った剣を構え襲いかかってきたのだった。俺は聖剣を抜刀するとその一撃を受けるべく迎え撃つ体制を取ったのである。その化け物の振り下ろした一撃を受け止めた時に俺の脳裏に声が響いた。

(スキル『 瞬歩 』を発動します)

そしてその瞬間俺の姿が掻き消えた。そして俺が元居た位置に先程俺を襲ったゴブリン?が倒れているのが目に入る。それを見つめながら今の現象に驚いていると再び頭に言葉が聞こえてきた。

(おめでとうございます、スキル『縮地法』を習得しました)

そう言われた俺はすぐにステータスを確認する。しかしそこにスキル『 縮地法 』は存在しなかったのである。おそらくこの『 瞬間移動スキル 』はスキル『 縮地法 』の下位スキルだと思う。俺はスキル『瞬間転移』が使えないのか試してみたが発動しない事からこの上位版スキルは使えなくなっているようである。俺の目の前で突然消えた敵に戸惑っているルチアとサユリにスキルの事を説明し俺は改めてみんなを見渡す。すると俺の目線に気づいたのかエリカさんから俺に話しかけて来た。

「それじゃあ作戦通りに頼むわよ。あと私からのお願い、絶対に死ぬんじゃないよ!!」

「ああ、約束するよ」

そのやり取りが終わったタイミングでカレンも戻って来た。そして俺の背中に抱きつき話しかけてくる。

「私もあなたの事信じてるからね」

「任せとけ!!」

そしていよいよその時はやってきた。

俺はエリカさんと目が合うと力強くうなずきあい、その合図を受け取った。俺は右手に持つ聖剣を頭上高く掲げ叫ぶ

「いっけぇえええ!!!!」

その叫びと同時にエリカと魔王のいる部屋の中に飛び込み俺は聖剣エクスカリバーを振り下ろす。

俺は全力を込めて聖剣を振るった、その剣速は音速を超えていた。それは俺自身も驚きを覚えるほどであり俺の身体もまるで雷のように光を放ち加速している。

俺はその光に包まれながら剣が振り下ろされる様子を見ていたがそこで剣が止まる、しかしそれでも俺が放った一撃により床が砕かれ、その衝撃が部屋に広がっていった。そしてその威力が伝わった事により、魔王とその側近と思われる二人の女が立っていた位置まで亀裂が入りそこから煙が立ち込める、その様子を見てエリカが大声で叫んだ。

「今よ!!」

その言葉を聞くなり俺の背後の扉が開かれ、そこからカレンの援護が飛ぶ。そして俺はそのまま、後ろへと飛ばされてしまったのだった。そして次の瞬間俺がさっきまで居たその場所に大量の水が注ぎ込まれていった。俺とルチアはカレンが放水してくれたおかげで助かったが、残りのメンバーはその勢いに流されるように吹き飛んで行ってしまった。

その状況を確認したエリカはすぐに立ち上がり、自分の剣を握り直す。

俺は聖剣を鞘にしまうと腰を落とし居合のような体勢を取る。俺が狙うべきはただ一人、魔王のみ!そう思い視線を集中させる。そしてその俺の行動を見たサユリも動き出す。

「私だって!! 魔王を倒すためにこの世界に来たんだ!! 負けられないんだ!!私の大切な人を守るためにも!!!」

サユリの声が響くと彼女の全身に風が纏われ始める。その姿を見た魔王は驚いたような顔をした後、不敵な笑みを見せる。

「ほう、まさか我が眷属をたった三人だけで屠るとは、なかなかに楽しめそうだな」

そしてサユリの放つ魔法と魔王の繰り出す攻撃とぶつかる。しかし俺の狙いはあくまで魔王のみだ。それ以外の奴らに構ってはいられない。俺には時間制限があるからな、だからこそこんなに悠長にしている暇なんてない。俺は駆け出した、一直線に標的に向かって。そんな時魔王の背後に控える一人の女が呟く。

「あら? なんだか面白くなってきちゃいましたわ。ねえ貴方? せっかくだから私たちで戦いましょうよ」

その言葉を聞いていたエリカさんは眉間にシワを寄せ魔王に問いただした。

「なあ魔王さんよ。一体これはどういうつもりだい?」

「なあ、勇者よお前は一体誰と話しをしている?」

「はぁ?」

「まあ良い、どうやら貴様らは俺の部下に手を出したようだな、その落とし前はつけてやろう」

「部下? 一体何の話だ。」

その会話のやりとりの後、エリカの視界から突然魔王が消え去る。そしてエリカの肩に激痛が走る。見るとその肩にナイフのようなものが突き刺さっていた。

「お前の相手はこちらのはずなのだがな、どうやら邪魔者が混ざってきてしまったようだ。仕方がないから俺はこの者たちに少し手を貸してやることにした、感謝しろよ?」

俺はエリカさんの様子が気になったが今はそれよりも早くこの場を収めないといけないと思ったので、そのままの速度で一気に魔王の目の前に移動する。しかしその瞬間に俺の横腹に蹴りが炸裂し俺は壁に激突してしまう。そしてさらに追撃を加えようとしたところをカレンに止められてしまう。俺は痛みに耐えながらも、何とか意識を保つことに成功できたのだった。

俺はカレンによってその場を離れさせられる、エリカさんの方に目を向けようとするのだが体が動かない。しかしエリカさんには傷一つ無いように見える。カレンに尋ねようかと思ったが、その時カレンが話を始めた。

「私はアキトに回復魔法をかけるけどアキトはもう大丈夫だから魔王に集中しなさい!」そう言って俺の回復に取り掛かるカレン。その光景を見てかエリカさんはゆっくりと魔王に向かい歩いていく。

俺はカレンの言葉に従い、カレンの回復魔法の暖かさを感じながら思考を巡らせる、まずはこの状況をどうにかしなければならない、魔王を殺さなければならないのに俺の動きは完全に止められた、それにあのエリカさんが簡単に攻撃を受けてしまっていたのにも俺は違和感を覚えずにはいられなかった。その答えは恐らく、この魔王の能力によるものだ。その証拠と言わんばかりに俺はこの城に入ってからの事をもう一度振り返る事にした。

俺は魔王を倒すべく王城に乗り込み作戦通り俺達は行動していた。そして俺達が戦っている中エリカさんだけが、一人で敵の親玉である魔族に戦いを挑んだのである。その結果は先程の戦闘で明らかになったように彼女はダメージを受けていたのだ。俺の推測だと恐らく魔王の固有能力だろう。それがどのようなものなのか、どんな能力を秘めているのかが分からなければ、俺は動くことができないのだ。しかし俺の能力は発動できない。つまり俺が自力でこの窮地を脱するしかないのだ。俺は考えをまとめ、再びエリカさんのところに向かう。するとそこには既にルチアとサユリさんが合流していた。俺も急いで合流するとエリカさんは俺の心配をし声をかけてきた。

「ちょっと、あなたその体で魔王と戦うっていうの!?︎ 無理はしないで頂戴。いくらなんでも魔王は強すぎる、今の私達じゃあいつに勝つことは不可能よ、大人しく引き下がりなさい。それとも、魔王の力が未知数すぎて不安になったの?だったら安心して私を信じて、必ずこの国を守ってみせるから」

「俺はまだ戦えます、でも魔王を放置して逃げるわけにはいかないんです。俺の目的はこいつを殺す事じゃない。ただ降伏させるためだけに来ているんだ。ここで逃げればまた被害が増えるかもしれない。それだけは絶対に許せないんだ。その為なら多少の怪我を負うくらいなんてことはない。それより、お願いです力をかしてください」

「はぁ、全く君はいつも無茶なこと言うわね。わかった!その代わり約束してちょうだい。必ず生きて帰るって、それが守れるというならば私も本気で君に協力するわ」

「ありがとうございます。必ず全員無事にこの国から脱出させてください」

そうして俺達の作戦が始まった。そして今現在、カレンとエリカは魔王の注意を引き、魔王を追い詰めようとしているのはサユリだ。そのサユリが魔王に吹き飛ばされ壁に打ち付けられるのを目にしたカレンはすぐにエリカの元へと向かって行く、俺はそのタイミングを見計らいカレンとエリカの間に割って入り、二人に声を掛ける。

「悪いが俺はエリカさんの方を優先させてもらっていいか?」

その言葉を聞いた二人は一瞬目を見開いた後すぐに微笑み返してくれた。そしてすぐに俺のそばから離れて行った。カレンとエリカさん、そして俺の背中にはルチアがいるため三人で連携をとりながら魔王に立ち向かおうと思う。

そしてその作戦通り魔王の前にカレンとエリカさんが立つ、そしてカレンは水と風の魔法を連続で繰り出していく。それにより生まれた水は津波のように、そしてその水に乗ってエリカさんが剣技を放つ。俺も聖剣を構え走り出して行く。その最中、カレンの放った魔法の一撃を受けた魔王は俺に視線を移し口を開いた。

「ふむ。勇者は俺が倒すべき相手のはずだ。それを何故庇う?」

俺はその問いに対して無視を決め込み魔王に攻撃を仕掛けるべく斬りかかる。その攻撃を軽々と受け止めてくるが俺は気にせずに何度も攻撃を繰り返し続ける。しかし、魔王の圧倒的な強さを前に俺達は徐々に押され始めていた。

「くそっ!!このままじゃダメなのに!!」

俺は焦りを感じていた。

その瞬間、魔王の拳を俺が剣で受けようとした瞬間、突然魔王が視界から消えた、俺はその出来事に驚き動きを止めてしまう。その俺の横を通り過ぎる魔王。俺は後ろを振り返り魔王の行方を確認しようとしたがそこに魔王の姿はない。

(どこに行ったんだ?まさかエリカさんとカレンの方へ?まずい!!)

そして魔王は、エリカとカレンに向かっているのではなく、なぜかカレンの頭上に移動している魔王に気づいた俺は叫んだ。

「カレン!!危ない!!下がれ!!」

俺は咄嵯の判断をしてカレンを下がらせようと叫んだ。そして魔王はそんな俺の叫びを無視してカレンに向けて強烈な一撃を繰り出そうとしている。俺は全力でカレンの元まで行き魔王の攻撃を妨害しようと試みたが、その刹那魔王の腕が霞み、カレンに襲いかかった。俺は自分の腕を盾にしてカレンを護ろうとしたのだが次の瞬間魔王が攻撃を止める。魔王はその手を握りつぶされていた。その光景を俺は見て思わず叫ぶ。

「なんだよ!その力は!!」

魔王の手は人間のものでは無かった。その皮膚は明らかに人間とは違った質感をしており硬そうに見える。

そして魔王はそのまま手刀でその腕を切断しようとした。

しかし魔王の身体が光り輝いた次の瞬間、切断しようとしていた魔王の右腕は跡形もなく消滅してしまう。

魔王はその現象を見てニヤリとした表情を見せるとすぐさま、その残った手でエリカを掴み上空へと飛んでいく。そして今度はサユリの所へ向かう魔王、しかしそこでエリカの魔法と俺の聖剣による攻撃を同時に食らってしまう。だがそれでも致命傷には至っていない。俺はすぐに魔王の後を追うために走る。カレンもその後に続くがカレンでは到底追いつくことができない。俺はそんなカレンを見てから魔王の方に視線を移すと、すでにそこには居なかった。俺は必死になって探す。どこにもいない?まさかと思い空を見上げるがやはりいない。

「アキトさん?どうしたんですか?」

俺はルチアの言葉を聞き、魔王がどこに行ってしまったのかを考える。まさか?そんなことがあるはずないと思いたいが俺は一つの仮説を立ててしまった。そのせいで俺の思考は乱れる。そして俺はある事に気がついた、俺の固有能力である時間停止が使えないということに。そうするとこの状況はかなりマズイ事になる。魔王の能力について、俺に分かる事は恐らくこの時間を操る事ができる能力を持っているのではないかということだ。その能力により俺は時を止められなくなってきているのではないかと思った。もしそうだとすれば非常に不味かった、なぜなら俺がこの世界に来て手に入れた能力は俺の力ではない、そしてその時間停止もこの世界に来て得たスキルなのだ。だから俺は固有能力であるはずのこの時間が止まる力を使いこなしている訳ではなく、無理やり使える状態に持っていっているに過ぎない、だからこそ俺の能力は、本来の力を発揮できていないということになるのだ。それはつまりこの世界で本来得られるであろう恩恵を貰えない状態だということを意味しているのだ。そのため今は時間を停止させることができないどころか固有能力を封じられてしまっているのだと言えるのだ。

つまり俺は魔王相手に完全に後手に回っているということになる。しかも俺には戦う術がない状態で戦わなければいけないという状況に陥らされてしまったことになる。しかし今は考えている暇は無いため俺はとにかくエリカさんやカレンと合流しようとするのだが魔王はすでにサユリの目の前に姿を現してしまっていたのだ。俺は急いで駆け寄ろうとするのだがその前にサユリは地面に押し付けられそのまま身動きが取れなくなるように拘束されてしまう。そして魔王はそんなサユリに近づくと首元に鋭い牙を突き立てた、するとその血を吸い出した。その光景はまさしく吸血行動そのものであった。その行為を終えた後、再び姿を消したと思ったら次には俺の背後に現れる魔王、しかしその俺と魔王の間に割り込んでくる者がいた。俺はその人物を見て驚いてしまう。

「おい、魔王。お前一体何をしようとしているんだ」

その人物はエリカだった。彼女は魔王に対し、剣を向けるのだった。

俺とエリカさんと魔王の闘いが始まった。魔王に剣を向けた彼女は俺の目にはまるで、俺が今まで見てきたどんな剣士よりも美しく映っていた。

――俺と魔王は今睨み合いを続けていた。俺の武器はもう殆ど壊れかけてしまっている。そして俺にはエリカさんのようにこの魔王の固有能力を無効にするといった特殊な能力を持ち合わせてはいないためこの状況を打開する策がなかった。そんな中、俺の目にカレンとルチアの姿が目に入った。カレンとサユリさんの救出に向かっていたのだが、俺はその二人が無事にこの王城に辿り着いたことを確認すると同時に、この王城の状況についても詳しく理解するのであった。

俺はカレンとルチアの姿を視界に収めたことで安堵し、冷静さを取り戻す。

するとその途端俺の脳内に突如として膨大な情報が入ってきた。

(何だこれ、頭が痛い、何かが流れてくる、くそっ、なんなんだ、これは!?︎)

するとその流れこんで来る情報の中に聞き覚えのある単語を見つけ、それがなんなのかを考え始めた瞬間に俺の頭の中でとある一つの仮説が生まれる。その可能性は低いと思っていた。俺の能力は、俺自身が持っているわけではないからだ。そして、仮に俺の持つ力がこの世界でも有効だとしてもこの能力を発動するのにはいくつかの条件がある、例えば発動させるには一定の条件が必要なもの等もあるのだ。そういったものが全てクリアされたと仮定しても俺のこの固有能力は発動できないとずっと思っていた、だけどもしかしたらできるのかもしれない。

そう考えた俺はエリカさんに魔王と戦う事を止めてもらうべく大声で声をかける。その声に反応して魔王が一瞬こちらを向いた隙にエリカさんは剣を横に一閃する。俺はエリカさんの声によって魔王に意識が向いたことで魔王に一瞬にして肉薄できた。俺は聖剣を全力で振り下ろす。

その攻撃を魔王は右手をかざすことで簡単に防いで見せたが、それすら想定済みだった俺は、さらに攻撃を加え続けた。

魔王は両手で俺の攻撃を抑えているが徐々にではあるが俺の攻撃に押されているようでもあった。俺はこのままいけると勝機を確信して、さらなる一撃を加えようと剣を振り下ろしたその時、エリカさんは、その一撃を止め、魔王から飛び退いたのである。

俺はエリカさんの行動に驚いたが、エリカさんの動きに合わせるべく後ろに下がると魔王の頭上から大量の魔法と俺の剣による一撃が加えられていく。

そして、カレンとサユリさんの所にたどり着くことが出来たため俺は安心することができた。

「お待たせしました、二人とも無事でよかったです」

俺はカレン達に声をかけたがカレンはすぐに口を開くことはなく視線を下に向けたまま動かない。そのカレンの様子を見て俺は焦る、そのせいでカレンが心配してくれていたのに失礼な態度をとってしまっていたがカレンは、少し間をおいて口を開いた。

「大丈夫ですよ!それより今のは?あれが魔王って奴ですか?」

俺もその質問に対する回答を持ち得ていなかった。正直言って状況が良くわかっていなかったので俺も答えられずにいた。

「ごめんなさい、俺もよくわからないんです、俺が来たときにはすでにあの状況でしたので、魔王に何が起こったのかまでは分からないんです、それにこの国の国王が魔王と呼んでいたんですが本当の魔王がどこに居るかもわかりません、俺はただあいつがカレンの事を狙おうとしているところを見つけたんで、とりあえず止めようとしただけなんですよ、まさかあそこまで強いとは思ってもいませんでしたけどね、それでエリカさんも加わって一気に攻め込んだわけなんですがエリカさんは何故か魔王の注意を引き付けてくれていますので、俺とカレンさんがルチアさんを救い出しに来ました、なのでカレンさんも無理はせずに一旦下がってください、ルチアをよろしくお願いします」

俺は自分の知りうることを出来る限り話してから、すぐにカレンを後退させようとした。しかし、ここでカレンが口を挟まれてしまう。それは、サユリの口から発せられたものだ。

「いいえ、私が助けに来た意味がないじゃない!あんな魔王私でも倒せるんだから!!アキトさんこそ休んでてよ!!ここは私たちに任せて!」

そのサユリの発言を聞いた俺は心の中では感謝しつつ顔に出ないように表情筋に力を入れてから「ありがとうございます、サユリさん」と言って頭を下げた後すぐに頭を上げると今度はしっかりとカレンを見て言葉をかけた。

「分かった、じゃあカレンは後ろから回復系の魔法を唱えてみんなの援護を頼めるか?」

「うん!もちろん任せて!!」

そう言うカレンの顔はどこか嬉しそうだった、俺はカレンの言葉を聞き、改めて自分が弱いということを認識するとともに、勇者であるにもかかわらず魔王を相手に圧倒しているというエリカさんの実力が気になり始めていた。俺はエリカさんの方を一度見て確認したが、その時には既に姿はなくいつのまにか魔王に向かって駆け出しているのだった。

魔王の身体からは黒い煙が立ち込めておりその姿はまるで悪魔のように見えた。そして魔王がエリカさんとの距離がほぼゼロになると魔王の身体に纏わり付いていた闇のような黒き物質が消えていき魔王の姿が顕になった。俺はエリカさんの戦いを見ていたが明らかにエリカさんが優勢であることがわかった。そして次の瞬間、俺は目を疑った。魔王の姿がエリカさんが持っている剣と同じものに変わっていったのである。そしてその瞬間、俺はなぜかエリカさんが殺されるのではないかと不安が込み上げてきて急いで加勢に入ろうとしたがそれはカレンが阻止した。

「ダメだよアキトさん、アキトさんが今行ってどうにかなるの?今のまま行ったらアキトさんが死ぬよ?」

「そんなことは分かっている、だが、それでも、何もしないよりはマシだろ?」

「うーん、そうだねぇ、ならアキトさんの力を封印させてもらうしかないかぁ」

「おい待ってくれ、それは俺の力が使えないという事か?」

「そうだよ?アキトさんはもっと力に頼り過ぎているんだよ!だから今は魔王の力と、自分の力を上手く融合できてなくて足を引っ張っちゃっているの!だからまずは、魔王と自分の力を融合させた状態にするのそれから魔王と闘うの!だから今はエリカさんの闘い方をよく見て参考にすれば良いと思うよ、魔王は魔王なりに考えて動いているみたいだしね、それと、私の力は貸すけどあくまで助言とサポートまでだからね!あとは自力で頑張りなさいよね!」

俺はカレンの説明に理解する部分が多くあり素直に従うことにした。俺は、今カレンの言葉を一つ一つ考え整理しながら魔王と闘っているエリカさんの行動を見ていた。すると魔王のスピードが上がった気がした。そしてそれと同時に剣技の速度が上がり俺の目にはもはや目では追えないレベルまで達していた。俺は必死に魔王の攻撃を目で追い続けていたがついに魔王は、剣だけではなく魔法による攻撃までも始めてしまった。魔王が繰り出す全ての魔法はどれも強力で威力は桁違いなものばかりであった。俺はその攻撃を避けながら魔王の剣を弾き返し、エリカさんは魔王の魔法に対して、水の壁を作り出すことで攻撃を防ぐことに成功したのであった。

俺はそんな光景を見て、自分の中で考えていた事が間違っていたことに気付かされるのであった。俺はまだ自分の中にあるこの能力に甘えていたのだと自覚したのである。俺はその事に気づいた時俺は今まで以上にこの能力の使い方を見直し始めたのである。そしてその途端に魔王の動きがはっきりと見え始めるのだった。俺の目は今まで通りに見えるようになったのではなく、魔王の攻撃がスローモーションになっているのが分かるほどに動体視力が向上したのである。そのおかげもあって、今まで魔王の攻撃に対応できなかった俺は魔王の攻撃を受け流すことができたのである。

しかしそこで俺は疑問が一つ湧いた。なぜ俺にはこんなに早くこの世界の時間が遅く感じるのだろうと思ったのだ。俺はそのことを考えているとふとエリカさんが言っていたことを思い出していた。確か俺には俺の力と、相手の固有能力を相殺させる効果があると言っていたのだ。それがどういうことなのか俺には分からなかったがなんとなくその意味がわかったような気がしてきたのである。俺はその仮説が正しいのかどうかを試すべく俺は行動に移った。魔王の攻撃をわざと受けることにより俺は魔王の力を自分の力で受け流して見せた。

俺の仮説は正しく俺は見事にこの世界に存在している固有能力と自分の固有能力の相克関係を無くしてみせたのである。しかしそれを行うにはあまりにも代償が大きくそのせいで俺は激しい頭痛に襲われることになったのだった。

俺はこの痛みに耐えつつエリカさんを見るとそこには、驚きのあまり硬直しているエリカさんの姿があった。

そしてその後すぐに我に返ったエリカさんはこちらを見てニヤリとした後魔王の方を向いて口を開いた。

「へぇーやるわねあんた!今のを初見で対応するなんてさ!どうせ、私の力を吸収したんでしょ?でも残念!今の魔王に私は必要ないんだよね!!だから魔王に死を与えることができるのはあんたたちだけなんだからね!でももう、時間稼ぎはいらないんだけどね!」

エリカさんが言っていることがよくわからなかったが、俺も確かに魔王を倒すことができるかもしれないと思い始めていたのでエリカさんが言う通りに、この場から離れて、ルチアを救出するため動くことに決めたのだった。そして、魔王はカレンに任せると言うのでカレンと、サユリ、ルチアを任せることにし、俺は単身でこの城の内部を駆け回るのである。

俺がルチアを救出しに行こうとしたその時、エリカさんは何かを企んでいるのか、いきなり動きを止めたかと思うとその場で笑い出した。そしてその笑った後、エリカさんが口を開く前にカレンとサユリが同時にエリカさんに声をかけてきたのである。俺は二人が急に声をかけたので、びっくりしてしまい声をかけるタイミングを逃してしまっていた。そして二人の口撃が放たれる。

「ちょっと!エリカ!!それは反則だよ!私たちがあれだけ魔王の力について教えたっていうのに!!なにそれ!!私たちもアキトさんに褒めて欲しかったのに!!」

「そうよ!私たちも一緒に魔王を倒したのよ!それをあなた一人に任せるって酷くないかしら?!」

そんな二人はかなり本気で怒りながらそう言った。それに対して、魔王が余裕そうな顔をしていたがカレンとサユリが魔王を圧倒し始めたのを見て焦り出す。そして俺もその言葉を聞いた時にはエリカさんの策を察していた。

エリカさんがやったのは自分の力を封印することで俺と同じように世界の流れを自分の力を使って遅らせているようだった。しかも、魔王よりも速い速度で動いている。俺はそんなエリカさんを見ながら自分もその動きを参考にすることにした。俺もエリカさんがやっていたのと同様に自分の中にある固有能力を完全に消し去りその上で俺の能力とエリカさんの力とを一体化させたのだった。俺とエリカさんの違いと言えば俺は俺自身の力を完全に消し去ったわけではなく自分の力だけを消すようにしたということだ。これは俺がカレンと、特訓中に見つけたことである。俺の身体にある能力は二つで一対なのだとカレンに説明されていた。そしてそのもう一つの方も今は使うことはできない状態だと言われていて、カレンが言うには、その力は今の状態であれば使いこなせるはずと言われたが結局使えていない状態である。その使えない方の力についてはカレンから教えて貰っていないのだがいつか自分でわかる日が来るから、今はその練習に集中しろと言われたのである。なので今はその力に関しては諦めることにした。

そして俺は完全に無防備の状態で俺は、魔王に向かって全力で走り出したのである。しかしそれは魔王からしても想定外の事らしく、明らかに魔王は戸惑っておりカレンとサユリが二人合わせて放つ魔法を避けるだけで手一杯のようであった。俺はそんな状況の中、魔王の目の前に行くとすぐさま蹴りを入れ、さらに拳をめり込ませる。その瞬間に、俺は俺の力が一気に流れていくのを感じたのである。その瞬間俺は魔王の顔を見たが魔王の瞳は白目を剥いていたのである。そして俺は魔王の胸ぐらを掴み俺はそのまま思いっきり壁に向かってぶん投げた。

その勢いのままに魔王が壁にぶつかりそうになった時そこにエリカさんが移動しておりエリカさんが受け止めるとエリカさんは魔王に回復魔法の魔法を唱えると意識を取り戻すと同時に魔王は立ち上がりエリカさんを見据えた。そして魔王が剣を構えた時、俺はすかさず後ろに立ち首に手を回しエリカさんからもらったナイフを突きつけながらエリカさんと一緒に、カレンと、サユリの元にまで戻る。

俺とエリカさん以外の全員が驚いた表情で固まっていたのであった。

俺たちが魔王と対峙してから数分が経ち魔王の動きが完全に止まった。俺はそんな魔王の姿を見て勝利を確信すると、自然と口から言葉がこぼれていた。

「終わったのか?」

その俺の声を聞いてカレンたちはハッとなりこちらに近づいてきた。

「魔王は死んだよ!お疲れ様アキトさん!」

その言葉を聞き俺は力が抜け地面に膝をつけそうになるところをエリカさんに支えられていた。

「ごめん、なんか、安心したら腰抜けたかも、はははっ」

俺は、そんなことを言いながらもなんとか体勢を立て直した。

「じゃあ後は魔石を取り出すだけだよね?アキトさん、魔王の首元を触った時にわかったんだけど魔王の中に魔王が作り出したものじゃない異物があるんだよねぇ、私にも取り出せないかな?」

その言葉に疑問に思った俺が、エリカさんに確認してみると、カレンが言っていた魔王の中の異物は魔王が死んだ際にカレンとサユリによって取り出されてカレンが持っていたらしい。しかしその魔王の中にある異物を取ろうとすると、魔王に取り込まれていた魂が反発してカレンの手に襲いかかってくるのだそうだ。

「カレンの固有能力ではその異物が取れないのですか?」

俺は、気になった事を直接カレンに聞いてみた。するとカレンから予想していない答えが帰ってきたのである。

「うん、私の固有能力では無理なんだぁ、私が知っている他の勇者でも同じだと思うけどぉ〜」

俺はそれを聞くとすぐに俺が持っている武器をエリカさんと相談した。俺の固有能力の力は魔王の固有能力とは相性が悪いということなのでこの世界の人間が作る道具の方が魔王に取り込まれているものを解放することができるのではと考えたのである。その結果、この世界の人間が作った剣を使えばいいのではということになり、俺がエリカさんと作っていた剣を使うことを皆に提案したのだった。その提案に対してみんなは反対することなく俺の提案に乗ってくれた。そして俺は、その事をすぐに伝え、カレンに魔王の中から出てくるであろう魂を受け止める準備をお願いして俺は、剣を握り、魔王の体に剣を振り下ろした。すると剣が刺さった瞬間に俺の手には今まで感じたことがないほどの力が流れ込んできたのである。俺はそれに少しだけ驚くも魔王から感じる力を感じ取ることができたのだった。その魔王から発せられる力に俺はある可能性を感じていた。俺はそのことをすぐに、カレンに話すことにした。そしてカレンから俺の考えていたことと同じ答えをもらうことができた。

その後俺がその魔王から出てきた力に意識を向けると今までとは違う気配がするのを感じた。そして俺は魔王の中にある魂に語りかけたのだった。

俺が魔王の体を貫いた時魔王から感じる力が格段に上がったような気がした。俺はそれを見計らって魔王の中にいると思われる存在に声をかけた。

「おい!お前は誰なんだ!?なんでそんなことになってるんだ!教えてくれ!なんで、そんなことになっているんだ!」

俺が魔王に問い質しているとその魔王に問いかけている声に魔王が返事をしたのだった。しかしそれは、その魔物ではない何者かが俺の言葉に応えたという事になるのだがそれが何なのか全くわからない状態だった。しかしそれでも、その何かが俺に何かを伝えたかったようで俺にはそれが分かったのだ。それは、誰かを護りたいという強い気持ちが魔王から溢れていたからなのかもしれない。俺も昔カレンに助けてもらって以来カレンに恩を返そうと頑張ってきた。それと同じような思いを感じたのだ。だから俺はそれに応えるために魔王から出てきたものから伝わってくるその感情を受け入れると俺はその魔王から出て来たものに言ったのだった。「そいつを救ってくれてありがとう。俺も必ず、君のように救い出してみせるから、その時が来たらよろしく頼むよ。その時は絶対に力を貸してあげて。それまで君はその子を、俺に預けてくれないかい?大丈夫!俺は約束は絶対破らないからさ!でもその子を助けてくれたことは本当に感謝しかないんだ!ありがとね!」俺はそう言うと魔王から聞こえていた何かの声が消えていったのである。俺は魔王に話しかけると魔王からは反応が無くなっており俺はカレンたちにこのことについて説明しようと振り向くと、カレンとサユリとカレンとカレンが何か話をしていた。そして俺はそんなカレンたちを放置することに決めルチアとエリカさんのところに行き説明することにした。

「ルチアさんはもうすぐ目が覚めると思うんだけど、どうやれば目を開けてくれるのかなぁ、ルチアさん起きてもいいんだけどぉ〜。あ!そうだ!これがあった!ほいっ!!」

カレンがそう言うとカレンはルチアさんの額に手を当てて、呪文のようなものを唱え始めるのだった。

カレンがルチアさんに魔法を使った直後、俺にもよくわからなかったがカレンと俺とエリカさん以外の時間が止まったかのように動かなくなってしまったのである。しかしそれも一瞬のこと次の瞬間には俺たちの目の前にいるカレンたちが光を放ちながらゆっくりと消え始めていたのであった。

俺が驚いて固まっていると俺の前にいるエリカさんがいきなり俺の腕を引っ張り抱き寄せてきた。俺はそんな突然の行動について行けず混乱していたがその腕から逃れようとしなかった。

エリカさんはそのまま俺を抱きしめる力を強めるのと同時に口を開く。

「ごめんね。こうするしかなかったんだよ。アキト、あなたがここにいるだけで私は幸せになれる、だけど私のせいでこれ以上アキトを苦しませる訳にはいかないの。それにこれはあなたのためでもあるんだよ。アキトも薄々気がついているんでしょ?私がこのまま生きていても未来なんてないって、私のために色々してくれたことも全部わかっているから、でもその気持ちだけでも十分すぎるほどなの。その事はちゃんと忘れずに胸にしまっておいてね。それで私の事、これからはずっと想っていてくれる?」

俺は、その質問に対し即答できなかった。そしてその沈黙は俺にとって最悪の結果になってしまった。俺とエリカさんはその状態から動けなくなっていたのである。

しかし、カレンとサユリと、カレンとカレンは何故かこの状況になっても俺たち二人を見つめ続けていた。カレンとサユリが俺たち二人を見て笑っていたからである。

そして俺たちがカレンとサユリが微笑みながら見ているのを疑問に思って見ようとした時にカレンたちの周りが急に強い光を放つのだった。俺はそんな現象を見たことがあるのでこの現象は恐らく魔法を発動するための準備が整い始めているということだろうと思ったのだ。そして俺たちがいる場所にも異変が起き始めたのだ。周りにいたはずの他の仲間たちがいなくなり俺たちはカレンたちと二人でその光の渦に巻き込まれるようにその空間に閉じ込められた。

俺はそんな不思議な体験をした後すぐに目を覚ましたのである。俺は、そんな夢を見たのかと思いカレンの方を見ると同じように驚いた表情で辺りを見回していた。

俺はそこで改めてこの部屋があの白い空間である事に気づく。するとその白い世界が歪み始め俺とカレンの足元が抜け落ちていくのであった。俺はカレンを抱えようとするが俺とカレンの距離は徐々に広がっていく一方だった。

「あ、あきと、さん!あぁあああ、アキトさぁん!!行かないでぇええ!!!」

カレンは俺に向かって手を伸ばした状態で悲痛な叫びを上げていた。

「カレン!ごめん!必ずまた会えるから待っていてくれ!俺は必ず帰ってくる!それまで絶対に諦めるんじゃねぇぞ!絶対に戻ってくる!」

俺はそんな言葉をカレンに告げた時俺たち二人は奈落に落ちるようにこの場を離れていったのであった。

俺とカレンが奈落に落ちて行く時俺はカレンを必死に掴んでいた。そのおかげもあってか俺は地面に落ちる直前カレンを抱き寄せることができたのである。そして地面に叩きつけられた俺たちはすぐに立ち上がり落下していった先を確認するが既にそこには誰もいなかったのである。

「あ、アキトさん大丈夫?」

俺は心配そうにしているカレンをよそに今起きたことが本当なのかどうかを疑っていた。そして俺は試しにカレンのお腹を触ってみる。すると確かに俺が触れているのにその感触がカレンの体ではなく空を切るだけだったのである。俺はそれを確かめるため今度は自分のお腹に手で触るが普通に触れる感覚がありその事が確認できた瞬間に安堵すると共に自分がとんでもない状況下に置かれてしまっていることに気づいたのである。しかし、それでもまだ俺は信じきれずにいると頭の中に声が響き渡りそれが俺の意識を覚醒させた。

《スキル:鑑定を取得しました》

《スキル:アイテムボックスのレベルが上がります》

「はっ!」

「ふぇ!だ、誰ですか!誰ですかぁー!はっ!まさか魔王!?ま、魔王!?こここ殺さないで下さい!たた食べても美味しくないですよ!?ひぃ!助けてくださ、、きゃー!誰かぁ助けてぇ!!」

カレンが俺を怖がるあまり魔王と間違えてしまったようでそんな事を言っている。しかし俺は、すぐにそれを否定し、この声の主が俺に何かを伝えようとしていることが分かった。なので俺はすぐにこの声に対して心の中で話し掛けた。

『君はいったいなにをしたいんだ?』

(うん、やっと念話ができるようになったみたい。これでようやく話が出来るわ。初めまして私は女神アテナ、あなたの事はいつも見ていたの。それでお願いがあってこうして声をかけさせてもらったわ)

その言葉を聞いて俺は少しの間思考を停止させた。そして再び考え始める。その俺の様子に不安になったカレンが顔を覗いてきていたのだが今の俺はそんなカレンに構っている暇がなかったのである。

なぜ俺のステータス画面に突如表示された文字が俺の考えを乱すようなものだったからだ。そして、俺はそれをどうにかするためにカレンと会話を続けようとしていたがそれを中断させてまでしなければならない事だった。

俺がこの事実を知って一番の衝撃を受けたものは俺がレベル999だったことでも勇者として選ばれたことに対する戸惑いでもなく俺の名前が秋斗という名前であったことだったのだから。そう俺はこの世界で目覚める前からこの名前であり、その前の記憶が全くと言っていい程思い出せなかったのだった。俺はその事にショックを受けつつカレンにそのことを説明すると納得し、なんとか俺に心を許してくれてはいたもののやはり、魔王のことをかなり恐れていたようだった。

それから俺は女神アテナと名乗るもの、つまり神様と話しをするのに夢中になっていたが、その間に俺がカレンに説明している時に気になることを聞いた。それは魔王のステータス画面が表示されているということだ。

そして俺はそこに書かれていたものを見て愕然としてしまったのだった。

名前 ルシフェル 性別 女性 年齢 16歳 種族 堕天使 称号 大魔王 筋力 ∞ 耐久 ∞ 魔力 99999 速度 99050 幸運 960000(MAX!限界突破により上昇不可能)「な!何だよこれ!これが、魔王の本当の姿なのか?こんなふざけた強さの魔王なんかがこの世界に存在していて大丈夫なのかよ!いや、それよりも、俺の称号は魔王に乗っ取られていた?そんなバカなことあるはずがないだろう?じゃぁこれは、どういう意味なんだ?魔王は人間ではないってことか?そういえば俺とカレンが話していた時のあの魔物の言葉に確か"この子は私の子供だから絶対に手出しさせない。あなたがどんな力を持っていようと私はその子の母親なのだから!その子を傷つける者は例え私でも許さない!その子を絶対に幸せにしてみせる!私はもう十分幸せなんだよ!だからもうこれ以上私の娘を苦しめないで!"みたいなことを言っていたな。この言葉からも察するに俺が倒したあいつももしかしたら元は普通の少女だったんじゃないかな、そしてあいつのお母さんはこの子だったってわけか」

俺がそう呟くとカレンも気がついたらしく驚いていたが今はそれどころではなかったのである。何故なら目の前にある数値に驚くべきものがあったからだった。

まずカレンだが彼女は今のレベル785らしいのだがなんとそれを上回るレベルの人がすぐ目の前にいるからである。そして俺のステ値を見て俺は驚愕する。そう俺はレベル500を超えている上に全てのステータスの値が上限を超えており測定不能となっているのだ。そして俺が気になったのは俺がスキルと魔法に全ポイントを割り振っていたことである。その理由としては俺は、この世界の魔法というものを見て見たかったのである。俺が元々暮らしていた地球では魔法なんていう概念は空想の世界の産物であった。それがこの世界では本当に魔法が存在しているのだと分かった時には感動していたものである。だからこそ、カレンと一緒にこの世界で生きていこうと考えていた俺が、俺が魔法を使って見たくて仕方がなかったのである。その思いから俺は魔法の方にも力を入れてみたのである。そして俺のステータスの数値が異常なのが分かってからしばらくして俺はその事にも気づいたのだった。それは俺にはどうやら俺の固有能力というものがあるようだ。しかもその能力は凄まじいもので俺はこの能力によって俺は神のような能力を得ていることになるのだから驚くなというのが無理というものである。そして俺は俺の持っている能力を確認しているとそこには【無限収納】なるものが存在していた。その説明文によるとなんでも俺のアイテムボックスの中にある物ならいくらでも出したり入れたり出来るというもののようでさらに詳しく見てみると俺が知っているものが何でも取り出せるという代物であると分かった。なのでこの機会を逃すまいと色々と試してみることにしたのである。

まず俺はこの部屋にあった物をいくつかアイテムボックスに入れてみたところ簡単に入ることが出来たのである。それで俺はその空間がどこまで続いているのか確かめるために適当に色々なものを空間の中に入れ続けてみる事にしたのだ、そしたらいつの間にかものすごい勢いで俺の持っていた物が入っていくことに驚きながら空間の中に入っていた物を一通り入れ終えると同時にそこで俺の限界が来たのであった。そこで俺は自分の力を理解し始めていたのだ。恐らく俺の力はとんでもないものだと。しかしそんな時俺の頭の中にまた声が響いてきたのである。

(アキト、聞こえるかしら?)

その声が聞こえた途端俺はすぐに返事をしようとした。しかし、俺はまだ慣れていないのか上手く念話ができなかった。

(え?あっ、ああ、聞こえるけど君の名前はアテナで間違いないよね?どうしてそんな格好になっているのかな?それにカレンがさっき怯えていて今にも泣きだしそうなんだけど?あ、あぁ!泣かなくてもいいから!)

(あぁ、そうねそう言えばまだ私の姿見せてなかったわね。ごめんなさいカレンちょっと待っていてね。あともう少しであなたの母親を返せるかもしれないわ)

その言葉は俺にとって衝撃的なものだったのである。俺はその発言の真意を探ろうと質問を投げかけた。

(ど、どういう意味だ!?俺達の女神様!?君は一体誰なんだ!?君はいったいなにを知っているんだ!?そもそもなんで魔王と同じ姿をしているんだ!?それと、カレンの母親は!?無事なのか!!カレンを一人残していくって言った時は嘘だって思っていたのに、、頼むカレンを助けてくれ、、お願いします!)

俺はその問いに答えてくれなかった神様に少し憤った感情を抱きつつカレンの事を考えると俺はカレンのことを気にせずにはいられなかったのである。

(落ち着いてちょうだい。あなたのその言葉に私がちゃんと答えられたのならば私はその期待に応えることが出来るでしょう。だから、まずはカレンを救いたい気持ちがあるのであればしっかりと落ち着きなさい。そうすれば必ずカレンのことも救えるわ。私はその為にここにきたのです。そして私のことを信じられないというのでしたらそれでも構わないわ。だからカレンはこのままこの場に置いておくことにするわ、ただし条件は2つ。1つは魔王を倒して私の元に来なさい。もう1つの条件で魔王を倒した後はカレンを救う方法を教えてあげましょう。さぁ!選びなさい秋斗!カレンを見捨てるか私を頼るか、今すぐに、、、)

「ふざけんなよ!」

俺は俺を挑発するように話す自称女神の話を遮ると俺の中で何かが切れるような音がする。俺の中で怒りの炎が燃え上がり、俺の心は荒れに荒れまくっていたのだった。そしてそれと同時に俺の中には二つの選択肢があった。

「お前は結局なにが言いてぇーんだよ!はっきり言ってみろよ!俺がカレンを捨てるかどうかで迷ってると思っているなら俺はその考えをぶち壊すぞ!俺はカレンを死地に送り届けたりしない!カレンとは一緒に幸せになって行くんだ!それがカレンの望みなんだから俺はそれに応えるんだ!」

俺は自分の中で考えていたことを吐き出し俺の心に溜まっていた淀みを全て吐き切ったような感覚を覚えた。そしてそんな俺に女神アテナは優しい声音で言う。

(あら、私は別にそこまで深くは聞いていないのだけどね。ただ私は、あなたに選択して欲しいだけなの。カレンを助けるためにはあなたは魔王を倒さなければならない、そうしなければ彼女は死んでしまうわ。それは避けたいところなのよ。だから私に魔王を任せるというのもありだと思うの。そうしてもらえれば私はカレンを救ってあげることも出来ると思うの。どう、悪い話ではないはずなのよ。私に魔王を任せてカレンと一緒にこの国で暮らすというのは)

「断る!カレンを危険な目に遭わせない為に魔王討伐の旅に同行すると約束したのは他ならぬ俺だ!それをこんな形で放棄するとか俺には出来ねぇーんだよ!俺は、、俺を信じてくれた皆のために戦う。そしてカレンの為に生きると決めた!その俺がここで逃げちゃダメなんだ!!」

俺は自分の心の内を話す。カレンと俺との思い出。そして俺の決意を口に出す。

(なるほどね。じゃあ聞くけれど秋斗。もしも仮にカレンが魔王の呪いに犯されて自我を失えばどうするつもりなの?あなたはその状態のまま彼女を置いて旅を続けるつもりなのかしら?それにもしそうなってしまったら彼女は、間違いなく魔王の手駒として使われる。それはつまり、彼女の意思とは無関係に魔王に従わされてしまうということよ。その時は彼女を切り捨てる?それがあなたの本音?私は彼女が可哀想だから言っているんじゃないわ。今の私にとっては彼女は娘のようなもの。彼女は今、この国の王の娘としてではなく魔王の娘として扱われているのよ。だから、もしも彼女に危害が加わらないようにするというなら、今のうちに殺しておかなければならないはずなのよ。それが、本当の親心ではないのかしら?)

俺はその言葉を否定できない自分に気がついた。俺は本当に覚悟が足りていなかったのだ。カレンのことが心配で必死だったとはいえ、俺の考えで行動していたので俺は冷静さを欠いていたのだと思った。そして俺は改めて考えた。カレンの幸せとは何かを。そして俺はある結論に達した。そう俺はカレンを幸せにする為に生きようと。俺の自己満足の塊かもしれない。それでも俺は、カレンとずっと一緒だと言えるだけの力を得てこの世界の全てを手に入れよう。そう俺は決意するのだった。そしてその想いが伝わったのかカレンは涙を流しながらこちらに微笑んでいた。

(やっと決心がついたみたいね。じゃあ私からの最後の試練を与えましょう。それは、今から三ヶ月後に行われるこの世界での魔王軍との戦争で勝利を収めるということでいいかしら?その戦争で見事勝利したのなら私は、私の力を存分に使い、あなたを世界で一番強くしてみせるわ。だから安心して、私を、私達を信じて戦いなさい)

その声を聞いた俺は、先程までの不安や焦りといったものは完全に消え去っていた。そして俺は、カレンと共に生き残るために魔王を倒すと誓った。

(分かった!君がカレンを救ってくれた時のお礼もまだだったからね。この世界の全てを俺の力とこの力で手に入れてカレンを守っていく。だからアテナ、いや俺の女神様俺の力になるんだ。そしてカレンの事も頼む!)

(ええ、もちろんよ。私に任せてちょうだい)

(あぁ!これからよろしく頼むよ!)

俺と女神は、互いに信頼を寄せあうことになったのである。こうして俺達は互いのことを助け合い、助けられながら共に歩んで行こうという誓いを立てるのであった。

(じゃあまずはカレンの呪いを解除するところから始めるわね。でもその前にまずあなた達のステータスを確認してみてくれるかしら?まずはカレンの方からだけれども、私の力で呪いを解けばカレンは魔王の手に落ちることになるわ。でもそのままでは魔王の呪縛がカレンを支配してしまうでしょう。だからその呪いが掛かっている状態でのカレンの状態を知っておいて欲しかったの)

「ああ、分かったよ」

俺はカレンのことを気にしつつも言われた通り、カレンに近づき手を触れようとする、、しかしそこでカレンから悲鳴が上がるので俺の行動を止める。

(ま、まって!待って!待って!ちょっと待って!待って待って待って!い、今は無理な気がするの。ごめんなさいごめんなさい。ほんとうはもう少しで落ち着くはずだから待ってください。)

「あ、うん。わかったよ。」

カレンが泣き止むまで俺の体に触れることは出来なかったのであった。

俺は泣き終わったカレンに対して、とりあえず事情を聞く。しかしカレンはまだ落ち着いているとは言えず少しパニックに陥っていた。なので俺と女神は少しの間二人で話すことに決めカレンを一旦落ち着かせることにした。

しかしそれから少し経ってようやく落ち着きを取り戻し始めたカレンが、俺と話をしてくれたのだ。

(私は元々普通の人だったの、お父さんお母さんに大事に育てられたごく平凡な女の子だった。でもある時、私はこの世界に呼び出された。そう、私は異世界からの勇者だった。そしてこの世界で私の力を必要としている人がいて私はその人の役に立ちたかった。だからこの世界で生きることを願った。そして私はその人についていき、色々あって今はこの城で暮らしている。そんな日々が続いていたある日のことだったわ、私達が戦っている魔王軍の将軍である魔帝グラドは突然現れ私の前に現れた。私は、私の意思とは関係なくその人と契約を交わしてしまった。そうその契約こそが私の人生を歪めた。あの日私がこの世界を去ればカレンは無事だったのに私は自分のわがままを貫き通した、そしてその結果がこれ、そして今もまた、魔王によってその人生がねじ曲げられるところだった。ごめんなさい、秋斗、私を助けに来てくれたんだよね、、なのに私があなたを、こんなに、こんなにも、、)

「カレンは悪くない!カレンはカレンが守りたいものが何かを考えただけなんだろ!だからそんな顔するなよ。俺は君のことを絶対見捨てたりなんかしないからさ。俺はカレンとずっと一緒にいるよ。カレンが俺を必要じゃなくなるまではね。だから大丈夫。君のその願いは叶うんだぜ!」

(あ、秋斗、あなたって人はどうしてそんなこと言うのよぉ、、ありがとうね。私はもう迷わないわ。私のこの命あなたに預けます。どうか私のことを救ってください。お願いします)

そう言うと、カレンは俺に向かって頭を下げてくるのだった。俺はカレンに笑いかけながら、任せろ!そう言い切るのだった。俺はこの子が好きだ。この子の笑顔を守りたいと、俺は本気で思えたのだ。そしてその後カレンに魔王についての詳しい話を聞き、俺は今、この場で魔王と戦うことを決意したのである。

(カレン、この国の王様の所に案内してくれるか?)

(分かったよ。秋斗の好きなようにやって!私がそのサポートをしてみせるから。私だっていつまでも甘えてはいられない。だから私は秋斗と運命共同体よ!一緒に頑張りましょう!私もあなたと一緒に強くなる!あなたをもっと支えてあげられるようにね!)

そして俺らは魔王がいる玉座へと続く道を走り出すのだった。そしてそこには、この国最強と謳われる騎士達とその隊長であるアルムさんの姿があった。

カレンは俺の手を握ると俺と一緒に目の前の人達に話しかけた。そしてカレンが口を開く。カレンの透き通った声音はとても美しく聞き惚れてしまいそうになるほどであった。

俺ら二人はこの国のトップ達に話をするべくこの場に来たのだった。俺は俺がやるべきことを伝えるため。そしてカレンは自分がこの世界にいる理由を果たすためにこの国の王様に謁見を求める。

(私は、カレンといいます。私は魔王の娘なんです!そして私のせいで、私の家族は殺されてしまいました。私の父はその怒りと悲しみにより私の中に封印されていた呪いを解き放ち魔王となり、この世界を壊しつくすと言い出しました。ですので皆さんには私を殺さずに私の父を倒して欲しいのです。私にできることがあれば何でも致します。どうか私をこの国から出してあげてください。そして私を殺して欲しいんです。お願いします。どうか私を、この国に置いて下さい)

そうカレンが言った後に、この国で一番偉いという男が前に出て来た。この男の名はオルクスというそうだ。この男はカレンのことを一蹴すると、この国の王がここにいることを教えてくれた。カレンがそれを聞くなりすぐに王に話しかけに行く。そして、カレンと王様との会話が始まるのであった。

「陛下、私はあなたの娘なのですよ。だから私を殺すということは私を殺したということにもなるのではありませんか?だから殺さないでほしいの。それにこの国は私にとって居心地がいい。私を受け入れて欲しい」

カレンがこの国に残ってくれるよう頼み込んでいる。カレンは必死だった。俺が見た限りではこの二人の間には確かな親子の絆のようなものを感じることができた。そしてこのやり取りを見て俺は、この子はこの子自身の手で父を倒そうとするだろうと直感で感じ取ることが出来た。

そうして俺はその様子を見ながらも自分のやることを整理する。

(アテナ、カレンって今、俺のこと頼ってきたよな。これってどう考えてもいい流れだと思うんだけど違うかな?)

(んー、そうねぇ、カレンは確かにあなたに心を許し始めているわね。あなたもそれは分かっていたはずよね?それがどうして今になって不安になったのかしら?)

(それは、なんと説明すれば良いのかわからないけれど、俺の中のなにかが、カレンに危ないことが起きないように俺がカレンを導けと叫んでいるんだよ。そして俺の心の中での一番の優先順位が今ここでのカレンへの返事になってしまったんだ。俺は俺の答えに迷いはない。ただこの先に待っている未来にカレンが耐えることができるのか不安で仕方がないんだ。)

(あなたって本当にバカね。私なら、この私ならば、あなたの力になることも出来るしあなたを導くことだっても出来るわ。それでもあなたが、不安だと言うのなら、私があなたの剣となり盾となるわ。私達ならやれるわよ)

俺は、彼女の言葉を信用している。だから彼女がここまで言うのだからきっとやれてしまうだろう、俺達の力を信じるのであればだが。

そして俺はカレンに声を掛けることにした。

(カレン、俺が必ずお前を守るから。安心してくれ!)

そう言ってカレンの方に振り返ると、俺の視線に気づいた彼女は俺の手を両手で握ってきてこう言ってくるのであった。

「ええ、信じてるから。あなたは強い。私なんかよりもずっとずっと。だけど、あなたを見ていると時々すごく心配になるの。どこかに消えていってしまうんじゃないかと怖くなることがあるの。あなたを失うことが何より怖い。あなたが私の側にいてくれるだけで私は幸せになれる。それだけじゃダメなの?これ以上何も望んじゃいけないっていうの?あなたがいてくれさえすれば他にはもういらないよ?私のことを嫌いじゃないならお願いだからそばにいて?」

俺はそんな彼女に俺は優しく微笑みかけて、そして頭を撫でた。俺は俺を信じて進むしか無い。だから今の言葉に対する返答など存在しない。カレンがどんな気持ちでこんなことを言っているかも理解出来ていない俺では彼女に応えることはできないからだ。

そしてこのやりとりが終わったタイミングで俺は、改めて俺がやるべきことを考える。俺の目的はカレンと共に生きていく為にこの世界を滅ぼすという大魔王をぶっ飛ばすことだけだ。

(俺は、まずあのグラドって奴をぶっとばしてくる。あいつにはまだ聞かないといけないことがあるんだ。そして俺は、カレンのことをちゃんと考えて行動しようと思うんだ。そしてこの国の王様、あんたがこれからの魔王軍との戦争に俺達を巻き込まないというのなら俺はここから消える。俺が魔王をぶっとばしにいくのは俺の問題だからな)

俺はこの世界に呼び出されてからまだ一日と少し、しかし俺はカレンがこの国にいたいと望むのだから、この国がカレンが過ごしやすい国になるように手助けをしてあげたかった。俺もカレンとこの国で過ごす時間は楽しく思っている。この国の人々のことは好きだ。だから俺にこの国を助けたいという感情がある。しかしカレンがもしこの国の人たちのために自分の身を危険に晒すことを望むのなら、俺は俺の目的を優先するつもりだった。俺の大切な人を守るため、その目的を達成できるのなら俺は喜んで命を捨てる覚悟はある。

そう思いながら、俺はこの場にいる全員に語りかけたのだった。

(俺は俺の都合でこの国を出ていくことになるが、俺がいない間にカレンの身の回りに変なことが起きた時は俺は全力で守る。この国の人達にも危害は加えないと約束しよう。だからこの城の中にいてほしいと願うのは、俺のわがままなんだ)

俺の話を聞いてくれていた人々は皆複雑な表情をしていた。それは、俺が出ていったあとのカレンのことを考えてしまったからだろうか、俺と別れたくないと思ってしまったからだろうか、もしくは俺をどうにか説得しようとするべきかを悩んでいるからだろうか、、その真相は俺にはわからない。そしてそんな中でも王様は口を開くのだった。

(勇者殿は魔王軍の将軍のところに行くと言うがどうやって戦うつもりなのだ?それに相手は伝説上の生物とさえ言われた魔帝であるぞ。一人で戦えるとは到底思えんが、、まさか二人で戦おうと言う気か?)

俺はその質問に対し無言を貫き通した。俺の沈黙を王様も肯定と受け取ったのだろう、それ以上そのことについて話すことはなかった。

(勇者様、私はお止めする立場ではないのかもしれませんが、やはり行くべきではないと思います。この国を出ていく前にせめてもう少し私に時間をください)

(あぁ分かった。とりあえずカレンとサユリとカレンの仲間たちには安全な場所に待機していてもらいたい。それでカレン、悪いけど俺は先に行って待っておくことにする。みんなが揃ったときにもう一度ここに戻って来ようと思うから、それまでここでサユリと大人しくしておいてくれ)

カレンとサユリは互いにうなずきあうと、カレンと仲間たちのところまで歩いて行った。俺もそれに続き、彼女たちの側に行くのだった。そして、俺はカレンにだけ話したいことがあった。

(なぁカレン。さっき、俺のこと好きなのかもしれないって話してくれたろ?実は俺もその言葉を聞いてカレンのことが好きになっていたんだ。もちろんそういう意味でだよ)

カレンは突然の告白に顔を赤く染めながらも、笑顔で俺の手を取ってくるのだった。俺の心にまたも温かいものが流れ込む。そしてカレンも、俺に負けじと俺に告白してくるのだった。

(私も秋斗のこと好きよ!私ね。今までずっと自分のせいで人が死ぬのが嫌で自分を殺してきた。私のせいで死んでいく人達の顔が今でも目に焼き付いている。そんな私に秋斗は優しくしてくれる。私がこの世界に残るように必死に働きかけてくれた。私を守ってくれると言ってくれた。そして今も守ってくれると言っている。私、あなたのことが好きです!大好きです!あなたを愛させてください!!)

そう言い終わった後に俺に飛びついてくるカレンを俺は優しく抱きしめた。そして、そのままカレンを横抱きにして抱え込むとこの部屋にある窓から外に出るのであった。そうして城の門へと向かい、門を出る直前で俺はカレンを降ろしたのであった。

そして俺はカレンと別れを告げるとカレンとサユリと仲間たちをこの国の外へと送り出す。そしてこの城をカレンたちの姿が完全に見えなくなると同時に魔王軍と戦うために俺もまた戦場へと向かったのであった。

(よし、この辺りでいいか)

俺は、今、この国から離れたところにある平原に来ていた。

なぜこの場所に来たのかと言うと、俺が今いるのが城から出たすぐのところでそこから王都までは一直線な道を辿れば着くのだがそれだと、カレンたちのことが心配だったからだ。それに俺はあのグラドとかいう将軍を倒してから城に戻ろうとしていたのだ。なのでここから魔王軍が支配している領地の方に向かう必要があるわけだが、普通に移動するのでは俺の方が確実に遅くなるため、瞬間移動を使うことにしたのだ。

【スキル:転移を取得】

俺がその文字を見た時に頭の中でそんな声が響いたのですぐにメニュー画面を開きステータスを確認する。

プレイヤー:アキトのレベル が20になりました。

SP2を獲得しました。

(おお、レベルが上がったよ。それに新しく取得したスキルのおかげで簡単にいけそうだ)

俺の視界には、目的地の地点と現在地を線で結んだものが表示されていて、それを目安に進むだけで良かったのでとても楽に進めることが出来た。そうして俺は魔王軍の支配する地、魔領へ着いたのであった。

(ここは、どこだ?、魔領に着いたと思ったらなんか見渡す限り草原しかないな)

そうして俺が途方に暮れていると、後ろからいきなり声を掛けられる。俺はびっくりしながら振り返ると、そこには白髪の綺麗な女性が立っていた。女性はこちらに近づいてくと、自己紹介をしてきた。

「こんにちは、私の名前はユグシル。この大陸の四皇と呼ばれるうちの1人で大魔王の部下をしているわ。よろしくね」

「俺の名前は、アキート。ただの冒険者だ。俺に何か用があるなら俺がこの場でお前を倒すことになるんだがそれでも構わないなら話を聞かせてもらないか?」

俺がそんな事を言うと、ユグシルさんは明らかに呆れた顔をしながら答えてくる。

「貴方、馬鹿なのね。こんな場所でそんなことをしたら一瞬で殺されてしまうわよ。それに私はあなたを殺す気なんてないから、安心しなさい。あなたがこの場に現れた時も私は、殺そうかとも思ったんだけどあまりにもあなたに興味が湧いちゃったから話しかけにきちゃったのよ。私は、あなたと戦ってみたいって思っちゃったのよね。だからあなた、私があなたの配下になってあげるからちょっと戦いましょう。拒否権はないけどね♪あなただって強い相手とやりたいんじゃ無いの?」

そう言うとユグシルと名乗った彼女は背中に背負っていた武器を手に取ると俺に斬りかかってきた。俺は反射的に刀で彼女の攻撃を防いだが彼女はそんな事は想定内といった感じで余裕の笑みを浮かべながら会話を続けようとしてきた。

「あら?やっぱり私の予想は当たってたわね。私、あなたがどんな人間なのか知りたくて仕方なかったのよ?こんなところで出会えた幸運に感謝しないとね!」

そう言って彼女は更に連続で攻撃を繰り出して来る。俺はまだ、戦闘モードに移行していなかったから少し危なかったがなんとか全ての攻撃を受け流すことに成功した。しかし、俺は彼女が放つその攻撃を見て一つの仮説を立てる。

その仮定を確かめるべく俺は、ユグシルに問いかける。

「なぁあんたが使う剣はどんな物か聞いても良いか?」

「うん?これの事を言っているならこの剣は『雷電』っていう名があるからそれで呼んで欲しいな」

俺が聞きたかった事が分かったのか、素直に教えてくれるのでこちらもその期待に応えなければならないなとやる気を注入してから、刀を正眼に構える。そして俺の体に纏う魔力を一気に放出していく。すると、その光景を見た、ユグシルの瞳は驚きに見開かれていた。俺はそのまま無詠唱を使い魔法を唱える。

【無属性上級魔法 雷神 を詠唱します】

【 我ここに力を行使せんとするなり 我が力よその形となり 顕現せよ 雷神!】

(この世界にきて初めて無属性の魔法を使ったけど、上手くいったようでよかった)

そして俺は、刀に魔力を通してから居合を放つような要領で抜刀術をする。その動作に合わせて無属性魔法の雷神も同時に発動する。そしてその攻撃はまさに稲妻の速度で彼女に迫るがユグシルは咄嵯に自分の得物である『雷帝』に魔力を通すと、俺の攻撃を受け止めていた。

(ふむ、流石に一撃で倒せるとは思ってなかったけれどここまであっさり受け止められるのは少しショックだったな)

俺はそんな風に思いつつもユグシルの隙を窺っていると、彼女は笑い始めたのだ。そして彼女は口を開くと

「まさかこれほどとは思わなかった。あなたは強い、でもまだ全然本気じゃないのね?残念だなーもっと本気でやってほしいのになぁ〜」

「まぁその話は一旦置いといて、どうしてお前はそんなに強いのにもかかわらず、俺みたいな弱そうな相手に手を出してこようとするのか気になるんだが。」

俺は正直に思っていた疑問を問いただしてみた。そろそろ戦いに集中したいのに相手がずっとうるさいせいで、なかなか集中できない。その気持ちをぶつけるように、俺の放った攻撃が今度は、さっきよりも早く彼女に迫った。しかしその攻撃は、また彼女の『雷帝』によって防がれてしまうのであった。俺はもう、我慢の限界が近かったのだろう。無防備になっている腹部に向かって全力の回し蹴りをくらわせる。しかし彼女は俺の攻撃を待っていたかのようにニヤリと微笑み拳で俺の足を叩き潰した。

その瞬間俺が痛みで動けなくなったところをユグシルは俺に追撃を加えてきた。そして、何度も何度も俺を殴り続けた後最後に俺を思いっきり蹴飛ばし、吹き飛ばしたのだった。

俺が地面に転がされている間に、彼女は自分の服についている土埃を払うと、こちらを見ながら俺に提案してきた。

「ねぇあなた名前はなんていうの?私はあなたの名前を知らないのよ、せっかく一緒に戦う仲間なんだから名前くらい覚えておくべきだと思うんだけどどうかしら?」

俺も別に名前を知られたからと言って、何かあるというわけではないが俺も一応、名乗っておいた方がいいかなと思い、俺も名を名乗った。そして俺が立ち上がった時に丁度良いタイミングだと思い、ユグシルが俺に勝負をしかけてきた理由を聞き出す。そして、その理由を聞いて俺は納得するとともに少しイラついた。ユグシルはこう言い放ったのだ 私をあなたの奴隷にしてください。

そして私を強くして下さい。

そして私をあなたの女にしてください。

私はあなたのことを諦めません。絶対にあなたの側にずっと居続けてあなたを愛し続けます! 私と結婚してください!!そして私をあなただけの女にしてください! 俺は、今、人生で二度目の告白をされたのだった。

そうして俺の前に立っている女性は頬に涙の跡を残したまま笑顔を向けているのであった。そしてユグシルから聞いた内容に俺はかなり驚いてしまったが今は戦闘中だということを忘れないように、冷静に対処しようと心に決めたのだった。

そうして俺がユグシルとの会話に思考を割いている間に、彼女が再び攻撃を仕掛けてきていたのでそれを回避するのに集中する。そして避けながらも、どうすればこの状況を切り抜けられるのか考えていた。しかし俺は答えを出すことが出来ない。そもそも俺が、ユグシルのことを嫌いではないのがいけない。確かに俺に告白してきた人の中にカレンとサユリが居るから俺の中では恋愛対象にはならないが、それでも今まで会ったことがないタイプなため興味が湧くのだ。そしてユグシルには、俺の技であるスキルを奪うことができるスキルがあると言っていた。しかしそれならば、スキルを使えばユグシルを倒すことは可能なのだが、俺にそんな事は出来ない。なぜならスキルは使わず俺の持っている技術のみで彼女を圧倒しなければいけないのだ。スキルに頼ってばかりじゃ本当の実力が測れないから。

(まずいな、この調子で攻撃を続けられたらいつか、負けてしまう。そういえばこの世界のスキルって奪えるんだろうか?)

俺はふとした疑問を抱くがすぐに、ユグシルに問いかけてみた。すると彼女は答えてくれたのだが俺はその内容にかなり衝撃を受けてしまった。

それは俺に好意を抱いているからか、俺と会話をしてくれたが、その内容は俺の常識を覆すようなことだった。なんと彼女はこの世界の人間ではなく異世界から召喚されて来たのだとか。俺はそれにも驚いたがユグシルの言うことが本当だと仮定して、ユグシルの持つこの世界特有のスキルと俺がこの世界で初めて使った無属性上級魔法雷神の効果との差があまりにも違いすぎることからユグシルが言ったように、この世界のスキルは奪えないものなのではないか?という考えに至ったのであった。そう考える理由は、あまりにも差がありすぎて俺の考えた魔法ではユグシルには通用しないだろうということが分かってしまうからだ。

そこで俺はこの場から逃げ切ることを第一に考え、逃げるために作戦を考える。そしてその結論として俺が思いついた策は二つあった。一つはこの場から離れ、誰かに助けを求めること。二つ目は、彼女の意識を無くしこの場から離れることである。前者はあまり現実的ではないため却下だ。後者についても、俺がユグシルの攻撃を避け続けられるかは微妙なラインだ。だがこのまま戦い続けるよりは遥かにマシだと考えた。そして後者の方法で行くことに決めたが、ここで問題がある。どうやって彼女の気を失わせれば良いかが問題だ。彼女は今のところ気絶するまで俺を攻撃するのを止めそうに無いので気絶させることは恐らく不可能に近い。

そう考えているうちに俺は、どんどん追い込まれていきついには攻撃を避けることすら出来なくなってきた。

(あぁーまじでこれは死ぬな。俺の体も既に限界に近づいて来ていたみたいだし。それにこの状態でユグシルの攻撃を受け続けていたら確実に俺の体が持たないな。)

そんなことを考えながら、俺は攻撃を避けることが出来なくなるほどにダメージを食らい始める。そしてとうとう、ユグシルの攻撃をまともに喰らうとそのまま俺は倒れて起き上がることが出来なかった。

(はぁ結局何も思いつかなかった。それに、ここまでされてもまだ、ユグシルの事は憎むことができないんだよな。まぁそんな事は後で考えるとして取り敢えず今はどうするかを考えないとな)

「さてと、やっと私と対等な条件になってくれたわね?ここから私の勝ちは確実ね。それじゃ私のスキルを発動させてもらうわよ。」

「あ、あぁいいぞ。」

俺はもう抵抗するつもりはなかった。

そして俺に、手を差し伸べユグシルは何かのスキルを使い始めたようだ。するとユグシルが突然苦しみ出したかと思うと次の瞬間俺に向かって飛びかかってきた。そして俺の目の前までくるとその勢いを利用して、俺の首筋に手刀を叩き込んだ。俺はその一撃を受けて意識を手放してしまったのだった。

俺の視界は真っ暗になっていた。俺は、その状況に対して違和感を覚えることなくそのままの状態でいた。するとどこからか、声が聞こえてくる。その聞き覚えのある声が聞こえてきたと思った瞬間俺はその聞き覚えの声の人物が近くにいることに安心感を覚えたのかそのまま眠りにつこうとする。しかし次にその聞き覚えのある声で発せられた言葉により一気に眠気が覚めてしまうことになる。

その聞き覚えがある声の持ち主とはカレンの事なのだから。俺はなぜ彼女がこんな所にいるのか分からなかったのだがそのことについて聞くととんでもない事を言われてしまう。そしてその後に更に信じがたい出来事が起きるのだがこの時の俺はそんな事には一切気づくことは無かった。

俺とカレンはお互いに話したいことがあるという事で、一旦別れた後に、宿の近くにある公園に行くことにした。

そういえば昨日の夜もこの場所に来たのだったな、などと少し思い出に浸りつつ俺達は、二人とも特に口を開けることはなく、黙ったままだったが俺が口を開くと

「ごめん、カレンの話をちゃんと考えずに答えちゃって、本当に俺にできることがあればなんでもするから許してくれないか?」

「えっと別にアキトが悪い訳じゃないから謝る必要なんてないのよ?だってあれは、カレンの方から言い始めたことなんだからね?だからその、気にしなくて大丈夫なのよ?」

「うん、分かったありがとう。ところでカレンはなんでそんな格好をしてここに居るんだ?」

そう俺の今の格好を簡単に説明するならば、まるでメイドのような服を着て俺の隣に座るという行為である。

その事について俺が問いただしてみるとカレンは顔を少し赤らめて下を向いてしまい俺に顔を見せずに答える。その行動が俺の目にはとても可愛らしく見えてドキッとしてしまうのであった。そしてそんなやり取りをしばらくしているといつの間にか日が落ち始めて空が暗くなっていた為俺達は宿に戻り、明日の打ち合わせと夕食を済ませ就寝することになった。

翌日になり今日は特にやる事も無い為ギルドに行き依頼を受けることにした。俺としては、なるべく戦闘経験を積んでいきたいと思っている。そのために、俺はカレンと別れてから受付に向かい冒険者登録を行った。その時なぜかユズリハさんに、「頑張ってください!」と言われてしまい少し不思議に思った。その後依頼をいくつか受け終え、街の外にある森へと向かう為に歩き出す。ちなみに今回の依頼内容は薬草採取だ。

そうして俺が街の外に出ると既に先客がいた。どうやら俺が一番最後というわけではなかったようだ。俺達が森に入る前に俺達以外の三人組も入ってきたようでこちらに来る様子はない。その為、俺たちも彼らに気付かれないように距離をとり奥に進んでいく。

そしてしばらく歩いていると俺達に気づいたのか三人がこちらへと近寄ってきた。

「こんにちは。あなた達もこの辺りでの依頼を受けるつもりなのかしら?」

「そうだけど、そういうあなたは誰ですか?」

「私はエリカっていうの。あなた達は見たところ私と同じでこの近くでの依頼を受けに来たのよね?それなら少し待っていれば私達の受けた依頼が終わって、ちょうど一緒になるから私に付いてきてくれないかしら?」

(正直、この人と関わりたくないけどエリカが勝手に決めてしまったから断ることが出来ないじゃないか!仕方が無い。)

俺はそんな事を心の中で思っていた。

そして少しすると他の三人の冒険者がやって来た。するとすぐに彼らと挨拶をするとすぐに出発の準備を整え出発することになった。俺はその間ただ、彼らの後ろを歩いていた。

俺は今、俺の前をカレン、隣にユリさんとサユリさん、後ろにはクロエさんの五人で街を出て、この辺りでは定番の森に来ている。

そうして、俺達は順調に進んで行きついに目的地に着いた。そこは、薬草が生えている場所だった。この周辺にしか生息していない珍しい草なので、見つけるだけでもかなり苦労するのだが俺の鑑定のスキルを使うとすぐに見つかったのでそのまま採集を始めた。そしてある程度集め終わるとそこで休憩を取る事になった。

俺はそこで、今までの事をカレンに相談したのだがカレンはあまりいい表情をしていなかった。その事からあまり乗り気では無いことが分かるのだが俺はここで引かずに押し切ろうとしたのだがカレンが急に立ち上がってその場から離れようとしたため慌てて俺は引き留めた。

「ちょっとカレン!どこに行くんだよ!」俺がそう声をかけると

「どこってそれは勿論家に帰るんだよ!」

と言って、俺の言葉を無視しようとするので俺が無理やり抱きかかえて離さないようにする。俺はどうしてもこのまま、帰るのだけは避けたかった。なぜならば、このまま帰ったとしたらまた俺の予想が的中しカレンがどこかに行ってしまうのではないかと心配していたからだ。そう考えているうちに、だんだんと冷静になってきた俺はこの現状が非常にまずいということに気付いた。しかし時すでに遅く、俺はそのまま地面に押し倒されてしまう。

(これはかなりまずいな。この状況はかなり恥ずかしいな。)

俺は、そう思いながらも何とかこの状況から脱しようとする。だがその度に上手くあしらわれてなかなか抜け出すことができない。そうして時間が経過していくと徐々に周りの視線が痛くなってくるのを感じ始めていた。だがそれも無理はないだろう。なにせ俺はこの世界ではほとんど見たことがないような服装をした女の子を、お姫様抱っこをしているのである。それに今は、そんな俺がこの場から抜け出そうと必死になっているのである。そのためこの場にいる人たちは、なんなんだこいつらは、などと考えているのであろうが俺はそこまで考えられる余裕はないので、ひたすら抜け出そうと足掻いているのだ。そして俺の努力のおかげもあってかなんとか抜け出し、再び逃げないように俺は抱きしめた状態で俺の家に向かって走り始める。カレンはまだ何かを言いたげだったが俺はそれを聞かないようにしてカレンを連れて急いで帰って行く

「ふぅ〜疲れたぁーやっぱり全力で走ったりするもんじゃないな。それでカレンこれからの事で話しがあるんだけど良いかな?」

「わ、わかったわ。で話したいことというのは一体何なの?」

カレンが緊張しているのかいつもより声のトーンが高くなっていて少し笑いそうになるのを抑えて俺は本題を切り出した。

「俺は、まだカレンと一緒に居たいんだ。だからカレンにはずっと側にいて貰う必要があるんだ。」

「そ、そうなの。でも、どうしてアキトはそんなに私と離れることを怖がっているの?」

「そうだな、多分怖いんじゃ無いと思うんだよなぁー」

「じゃあ、なんでなのよ。教えてよ。」

「まぁそれは、俺も良く分かってないんだよね。なんか俺の事を誰かが呼んでるような気がするんだよね。それのせいだと思うんだけど。」

「へぇ?よく分からないのね。まあいいわ私ももう、帰らないといけないから、そろそろアキトから手を放してくれないかしら?少し苦しいのよ」

「あぁごめんね。」

俺は慌ててカレンを放す そして俺達は、お互いに向かい合う形で床に座った。

「ねぇ?カレン、もし良ければ俺がこの世界に来てしまった原因とかを教えて欲しいんだけどダメか?」

俺は、カレンが俺のことをこの世界に送り込んできた元凶だと考えているためどうにかして情報を聞き出さなければならないと思い俺はカレンに質問をしてみる。すると案の定カレンはすぐには答えてくれず、下を向いていたので、カレンの手を取り、下を向いているカレンの顔を自分の方に向けさせてからもう一度問いかけると今度は答えてくれた。しかし俺が聞き出した内容にカレンが関係していることは無くて俺の勘違いだった。そして俺は、俺をこの世界に送り込んだ人物が、カレンだという確信を得ることができたのであった。俺は、そのことを確かめた後は俺から一方的に話をし始めた。

「そういえば、あの魔王って奴なんですけど俺とユグシルが戦う前に、俺に変なスキルを掛けようとしてましたよね?アレが俺の記憶がない事に関係しているのだとしたらあいつを倒すのに協力してほしいのですが大丈夫でしょうか?あとユグシルって人は一体誰なのかもできれば知りたいです。それとユナさんに頼んでみましょうか?」

俺の話に、カレンが驚きの表情を浮かべながら答えてくる

「まさかアキトってユトのことについて忘れてるなんて思わなかったの。それにユナは私の友達でもあるからお願いしたいけれど本当に大丈夫かしら?」

「とりあえずやってみるしかないでしょう?それに記憶が戻るなら試せるだけやった方が良いに決まってるからね?」

俺がカレンの疑問に対して答えた後は、二人で作戦会議を行う為に部屋に入り相談を始めることにした。そうして話した結果俺は一度街へ戻りカレン達は、俺から少し離れたところに隠れていて欲しいと言う話になり話し合いは終わった。そして俺達が準備を始めている頃は魔王はギルドに向かい、ユナさんに声を掛けて俺の居場所を聞いてきていたらしく、その時はたまたま近くにいなかったので代わりに、カレン達がその事について聞いていたらしいがやはり詳しい事は分からなかった。そうして俺達は準備を終えるとすぐにギルドに向かった。

俺は今、カレンとギルドの前で待ち合わせをしている。俺は少し早めに着きカレンが来るのを待っていた。すると後ろから肩をポンッと叩かれ後ろを振り返るとそこには、カレンの姿があり少し頬を膨らませていたが、その仕草もまた可愛いと思った俺はそのまま見つめ続けていた。

「カレンおはよう。今日の服似合っててとても可愛いよ。」

俺がそう言うと、 カレンは嬉しそうにはしているがなぜか照れていないのを見て俺は不思議そうにしていると俺の心を読み取ったのかカレンはこう言って来た。

「確かに褒められるのは嬉しいのだけど私は今まで男装して生活していたのだからそんな簡単に女の顔になるわけにはいかないのよ。それに私が可愛くなったりした時に一番に見る人がいないでしょ?その時にガッカリさせたくないの。」

カレンが言った最後の言葉を聞いた俺は思わず抱きしめそうになってしまったが何とか抑え込んでそのまま街を出て、森へと向かった。

俺は、森の中で、カレンの特訓を始めていた。俺は、カレンに攻撃の仕方や相手の弱点を見極めるための方法などを実践を交えて教えた。その方法は、俺が魔物と戦闘を行いそれをカレンが見学するというものだった。その事を、始めは嫌がっていたのだが、実際に俺がやるとこっちも危ないしカレンの為だと言ったのだが渋々了承してくれた。しかしカレンもさすがというべきなのか飲み込みが早く、どんどん上達していき、今ではゴブリン程度であれば一撃で倒すことができるほどにまで成長してしまっていた。そして今は訓練も一段落つき休憩をしているところだった。すると急にあたりが騒々しくなり始めた。そうしているうちに周りにはゴブリンが集まってきた。その数は三十体程で今から逃げようにしても間に合いそうになく仕方なく戦うことにする

「おい!どうすんだよこれ!?」

俺は焦ってしまってつい、大きな声で叫んでしまった

「しー!落ち着いて!私がいるんだもの絶対に大丈夫だから!」

カレンが俺に言ってきた。そして、俺はカレンの言葉を聞き少し安心し落ち着くことが出来た。

俺はまず目の前の敵を蹴散らすことに決めた 俺は剣を構え敵の方に向かって行く 俺は敵に斬りかかり次々と敵を倒していくがそれでもまだかなりの数残っているので、俺はさらに速度を上げて相手を翻弄する。

そうしながら俺は周りの様子を見る事を忘れずに行っていた。

(俺としたことが周りのことをすっかりと忘れてしまっていた。カレンに言われなければ危ない所だったな)

俺は自分の視野の狭さに反省しながらも周りの状況を確認しつつ自分の役目をこなしていった。

俺は周りの確認をしながら敵を次々に斬っていったり、殴ったりして倒していくがなかなか数が減らないためカレンと交代する事にした。

「カレン悪いが俺と場所を交換してくれないか?」

(正直今の俺は少し疲労している。だから、あまり体力が無いと思われるカレンの方が安全かもしれないと考えたからだ。まぁ本当は少しでもカレンと離れたく無かったというのが本音だが。しかしそんな事は言えないし、そもそもそんな事が言えるような立場ではない)

「分かったわ。私はまだ余裕があるからアキトに任せるわ。」

俺はそう言われるとすぐに行動に移すべくカレンと俺の位置を入れ替わった。そして俺はすぐに、カレンの方へと向かおうとする魔族を片っ端から倒していった。そうやって倒し続けて行くうちに俺はようやく周りに居た魔族を全部倒しきることが出来た。それからしばらくすると辺りから、ゴブリンの反応がなくなったのを確認した俺は、ひとまず一息ついたのであった。

俺は少し休むためにその場で腰を落とし休んでいると突然俺の横から何者かが襲いかかってくるのが目に入る。俺はすぐさまカレンに声をかけようとしたが俺が反応するよりも先にカレンが動き出し、そいつに攻撃を仕掛ける。そいつはギリギリ攻撃を防いでいてカレンに反撃を行おうとするがカレンは攻撃されるのを分かっていたのか避けたと同時に後ろに飛び退き距離をとった 俺は咄嵯に攻撃を行ったカレンの邪魔にならないように気をつけながら自分の相手を確認するとそこに立っていたのはなんとも禍々しい気配をした人だった。見た目だけでいうならば、人間に近い姿形をしていたが、頭には耳があり手は人間のものではなく明らかに違う形状をしていた。

俺は警戒心を高め、攻撃してくるのを待つ するとそいつは、俺に向けて腕を振るってきた 俺はその攻撃をしゃがみながら回避したが、そいつの攻撃には少しばかり驚いた。というのもそいつの腕は刃のようなものに変化していて、それが鞭のようにうねりながら迫ってきていたのだ。俺は、それを避けきれなかったがなんとか体を逸らす事で直撃は避ける事に成功した。そしたら今度は横からカレンがそいつに対して魔法を使い攻撃を仕掛けるがそいつも予想外な速さで移動して、魔法をいなしそのままカレンに近づき殴りかかった 俺はその隙を狙ってそいつの後ろにまわり、思いっきりそいつを蹴り飛ばした。すると、案の定というべきか吹っ飛んでいくと思っていたのだが、全く効かなかったようで、普通に立ち上がってこちらを向いて来た。俺が驚いているとカレンが話しかけてきた。

「あいつ、もしかしたら結構強いかもしれんから一旦下がって作戦を考える事にしたほうがいいと思うのだけど。それでアキトは何か良い案はあるかしら?」

俺もその作戦に賛成したので俺はいったん引くことにした。そして俺が下がりカレンが前に出るが、俺は先程のカレンの戦いぶりから少し不安に思っていた事があるので聞いてみることにした。

「カレン、あの魔族は俺と初めて会った時の奴と同じかそれよりは弱いとは思うけどかなりの強さをしているのが分かったからあんまり無理はしないようにして欲しいんだけど。あと一応聞きたいことがあるから答えてくれるかな?」

俺がそういうとカレンは少し微笑み 大丈夫と言ってきた 俺はカレンの表情にドキッとしつつもカレンが質問に答えてくれたのでその内容に聞き入った。その内容は、この世界でカレン以外に魔王を倒せそうな人はいるかという事と、カレンはどのぐらいの実力を持っているのかを俺は質問をした 俺は答えを聞き終えた後カレンにカレンなら勝てるのかを聞くが答えとしては、魔王を倒す事については出来るが、カレン自身の限界が近いという。それに、もし魔王と本気で戦ったら負けてしまうかもしれないということだった。俺はそのことを聞きながらも俺は心の奥ではカレンは勝つと確信していた。なぜなら、俺にカレンの事を頼んできた時に俺には嘘をつく必要も無ければ、メリットも無いからである。そう思ったのは俺の勘みたいなものでもあるがカレンなら絶対に俺を守ってくれると信じていたからだろう。それに俺がカレンの心配をしている間もしっかりと戦い続けていたカレンに俺は頼れると感じていた。そうこうしている間に魔王の様子がおかしくなっていた。どうやら魔王に何かが起こったようだが俺は、とりあえずカレンに危険が迫っていないかどうかの確認を急いだ

(俺の考えすぎで何も起こっていないのが一番良かったが。)

(私の考えが正しければきっと大丈夫なはずだ。)

カレンは俺の問いに対して大丈夫と答えてくれて俺とカレンはそのまま、少しの間見守る事にした。すると、魔王の体がだんだん透けていきやがて完全に姿が消えていった。俺はその光景を驚きつつ見つめていると 俺達の視界には、

「ユナさん?どうしてあなたがこんなところに?ここは俺達が来た時から誰もいないはずのはずですよね?一体どうなっているんですか?」

俺がユナさんが居ることに驚くと

「え?どういうこと?ここに居た人が急に消えた!?」

俺は、そんな疑問を抱くと、カレンが俺に問いかけて来た。そしてその話を聞き終わった俺はカレンにユナさんがなぜこんな場所に居たのかを聞いてみる。

「ユナさんに話を聞くとカレンが戦っている時ちょうど、この街の近くの山の中にドラゴンが出現したのでその調査に向かったらしいが結局何もなかったらしくて帰って来たところで、俺達が森の方へ入っていくところを見たから俺に事情を聞きに来たみたいだ。それと、その途中で俺の従魔のハクを見かけて、カレンと一緒だったことを聞いて一緒に付いて来てたらしい」

俺は、カレンに説明をしてもらうと、 カレンに俺達が森に向かった経緯を説明した。

その後俺達はギルドに行き、俺が、ユナさんの依頼を受ける事にした。

依頼の内容に関しては、まず最初にその山の頂上に向かい、何があったのかを調べてきて欲しいというものだった。なので俺はその山に向かって行った。しかし俺が行った時は、既に山頂まで道が出来ており誰かが整備をしたような痕跡があり不思議だなと思いつつも、その道を進んで行くとすぐに洞窟らしき場所を発見した。そして俺は中に入らず少し待ってみたが特になにも起きず、仕方なくそのまま中に入って行き、進んでいくうちに、その最奥で俺はついに目的のものを発見する。

その部屋にあったのは巨大なクリスタルであり、それをよく見ると何かしらの文字が浮かんで来ていた。そしてその文字を読む為にそのクリスタルに近づいて触れた瞬間突然目の前が真っ白になった

「おい!大丈夫か!?大丈夫だよな!?」

俺は思わずそんな言葉を発してしまっていた 目の前の光が徐々に収まってくるとそこにはさっき見たような洞窟の中とは思えないほど豪華な部屋の中だった そして俺の横に居たのはなんとさっき見つけたあの白いクリスタルであった その光景を見て一瞬呆然としていたのだが少しすると落ち着いてきたので周りを確認し始めた。

俺から見て右の方向には大きな窓が、正面と左の壁に扉が一つずつあった。

俺はひとまず落ち着くために大きく深呼吸をする。

(よし、もうだいぶ落ち着いた。そして現状について少し考えるか。俺の記憶が間違っていなければ俺はつい数分前にこの部屋には足を踏み入れていなかった。つまり、考えられる可能性として、俺以外の誰かが入った後に俺が入ったことによって時間が戻りここに連れてこられた、ということだと思われる。

しかしそんなことはあり得ないから、俺の推測だと恐らくだが転移させられた、といった感じだろう。それならなんでわざわざこんな所に俺を連れ出したのか。というより、なんのために連れてきたのかがわからないな。

俺を殺さなかった事と俺が今生きてることに意味があるんだろうが、なんでなのかが全くわからんな)

俺はそこで一旦思考をやめて周りを確認する。

すると大きなテーブルとその上に一冊の本が置いてあるのに気がついた。その本には魔導書と書かれていた。その本を手に取り表紙をめくろうとするが鍵がかけられていて開けることができないようだった。

俺はひとまずその本を閉じて元の場所に戻すことにした。しかしその時、俺は背後に何かの気配を感じ取った。

俺は、咄嵯に振り向くと、その気配の主がこちらに向かって攻撃を仕掛けてくるのが見えたので避けようとするが、反応が遅れてしまい攻撃を受けそうになった。

俺は攻撃を受けて飛ばされるが受け身をとり直ぐにその場を離れると俺を攻撃した相手の姿が見えるようになる。その姿は先程俺が調べていたあの白く輝く剣を持った人物だった。そして、そいつが持っているものと同じ様な剣を持っている男もいた。そしてそいつは、俺に語りかけてきた

「まさか本当に勇者がいたなんてね。君、名前はなんというの?」

俺にはそいつの質問に答える義務はないと思ったので無視して自分の状況を確認するために集中する するとそいつは俺が無視した事で苛ついたのか俺にまたも質問をしてきた

「お前には名乗る権利すらないというのに俺様を無視するんじゃねぇよ。それにしても俺の攻撃を避けるだけの能力はあるとは思っていたがあれを回避するとは全く予想していなかったぞ?これは久しぶりに楽しめそうだなぁ。あぁそれと、俺の名前はアベル、魔王軍の幹部をやってるもんだよ!よろしくな! それで、そこの女と子供!俺の仲間になれ!」

俺はそいつの発言に驚きつつ、そいつらを観察する。そいつの見た目は、俺と同じくらいの歳だと思うのだが背丈が大きく俺よりも数センチは高いように思える。

髪の色は金髪で、顔つきはかなり整っていて、体つきは、無駄な肉が付いていない、スラッとした体型をしているが決して細すぎない 肌の色はやや日焼けしているように見える。そして、装備に関しては俺と同じく軽装ではあるが、全身をしっかりとした鎧で固めている。

もう一人の男の方は身長はそこまで高くはなく165〜175ぐらいだと思う。しかし、全体的に引き締まっているというのもあり俺と同じような服を着ていても少しカッコ良く見える。それに、この男は先程の奴とは違い武器を持っている

「ちょっと、あなた何を勝手なこと言ってんの!!私達はあなたの下には行かないわよ!!」

俺は少しばかりその声に驚いてしまうがなんとか堪える。

すると、その男が喋りだす

「うるせぇ女だな!いい加減俺の言うこと聞けってんだよ。俺はこの国の王になるために生まれて来た人間なんだよ。なのになんだよこの国は。弱っちくて使えねえ雑魚しかいないじゃねえか。それに俺は魔王を倒しに行くつもりだって言ったはずだぜ? だから俺はこれから王になる為に行動しようと思ったら魔王軍にちょうど襲われているところに遭遇したんでな。これを利用して魔王軍を倒してしまおうと考えたのに俺の部下はみんなあっさりやられちまって。でも俺は負けなかったぜ?あいつらが勝手に負けてくれただけだし、おかげで部下は全滅したが、その分魔王軍は俺に忠誠を誓ってくれて魔王を倒す手伝いをしてやろうと俺に協力的な姿勢を見せてる。だから、そんな魔王軍が居るところに居るやつらに俺の邪魔する資格なんか無いしそもそもお前らのその考え自体がおかしいと思うんだが?」

そんな事を言ってきた男に対して、俺はこいつはヤバい奴だと感じていた。

しかし俺はここで疑問を抱いた

(なぜ俺達にはこんなに簡単に話し掛けて来たのだろうか?)

(もし仮に魔王軍を倒せる人材を探していただけならばなぜこんなに回りくどいやり方をしたのか?俺に何か目的があってこんなことをしてくるのかもしれないが俺が思い当たる理由は一つもないな。)

「そんなのどうでもいいじゃん!そんなに王様になりたいの?そんなのなってもつまらないでしょ?それよりもっと楽しいことやろうよー」

カレンの言葉を聞いたアベルは一瞬イラついた顔をしたが直ぐに元に戻してカレンのことを舐めるような視線を送ってくる

「そういえばお前、珍しいスキル持ちなんだってな。それも結構強力なスキルだそうじゃないか。その歳でそれだけの力を持ってるのは素晴らしい才能だと俺は思う。俺が協力してやった方が世界が面白くなるの間違いないし協力してくれれば俺の奴隷にして可愛がってやるのに残念だよ。まあそんなこと言わずに俺のモノになってくれるならそれなりの扱いを保証してやるから安心しろ」

カレンはそれを聞くと少し黙ってしまった。

俺は、この状況に対して非常に困惑していた。なぜこうなったのか分からないからだ。しかし、このまま何もしなければ、カレンが酷い目に遭うのは明白なので俺が止めなければと心の中では思っていても俺にできるのか分からずただ、動けずにいるだけだった。

そして、そんな時、俺はあることに気がつく。

「お前がさっき言ってた仲間になる件だけど俺は絶対に入らないからな」

俺が急に口を開いてそんな事を言いだした事に3人は驚いた表情をしていたが直ぐに元のニヤついた顔に戻りアベルは笑いながら話しかけてくる

「ハハッ!おいおい勇者様、今の状況わかってるのか?今お前の命はこの俺の手中にあるんだぜ?それが分かっててそんな態度をとってるとか正気かよ?」

俺はアベルが言っている事が間違っていると思ったのでそのまま反論しようとする

「おい、俺の話を聞いて無かったのか?俺は、俺とカレンはあんたらみたいな下種の下につくのは嫌だっっていってんだ。それとな俺は勇者とかそんなものじゃなくユナさんから依頼を受けてきたんだよ。俺はユナさんの依頼を受けることにしたんだ。俺達がその依頼を遂行すればユナさんの願いを叶えられるかもしれねえんだ。ユナさんのお願いは『自分の代わりに世界を平和にする人を探して来て欲しい』なんだよ。それが出来ればユナさんのお願いをかなえる事が出来る。そしてそれは俺の目標なんだよ。そして俺がこの世界にきて一番に望んでいるのがそれなんだよ。そんなこともわからない馬鹿に俺は屈服する事なんて出来ねえ」

俺は俺の想いをはっきりと伝えると、俺は剣を抜いて、その刃をアベルに向けた。

すると、俺の行動を見たアベルと仲間の男はすぐに戦闘体制に入ってしまい俺は少し困ってしまう。

(うーん。こいつらとやり合っても勝てるかわからない。さっきの攻撃で実力の差を感じてしまったからね。それでも、逃げる訳にはいかない。俺はこの世界で幸せを手に入れるんだ。そのためには俺が強くならないといけない。そして、強くなって俺が望む未来を勝ち取るために!そのためにこいつらと戦う覚悟を決めるんだ)

俺達は今お互いの間合いの外に出ており、一触即発の状態となっている しかし、そんな緊張した雰囲気がすぐに終わることとなる。なぜならばカレンの「もう!こんな時になに言い出すのよ!!せっかくカッコよく決めたのに!!」という、大きな声で俺は一気に冷静になってしまった。

すると今までずっと無言で俺たちの話を聞いていたもう一人の男が急にしゃべり出した

「おぉ!こんなに興奮したカレンは初めて見るな。それ程までに君達の事を認めていたんだな。それにアベルもそこまで怒らなくても良いのではないか?君の目的は世界を支配して自分の王国を作る事ではないだろう。それに君の今の立ち位置はとても微妙な所だろう?だから君は自分より強い人間を探しにここに来たのだろう?君の強さではこの国に勝てる人間は居ないと自分で理解しているだろう。それ故に君は力を求めているのだろう。それに私達も君に負けないようにこれから努力しなければならないだろう。だから君もそこまで熱くなる必要はないのだと思うがどうかな?」

俺はまだ怒りが治らないのか少し不満そうな顔をしているアベルだったが一応は納得したのか俺と向き合う。そして

「まぁいいだろう。だがな俺様はいつでもお前の味方だと言うことを忘れんじゃねぇぞ。

俺の名はアルス。魔王軍の幹部をしている者だ」

俺達は、互いに名前を名乗りあったが正直に言って俺はその名前に少し違和感を感じていた。

俺が考えていた魔王軍の幹部の名前とは違ったのだ。

(俺が知っている情報と全然違うんだけどどういうことだ?)

俺が考え込んでいる間にも話が進んでいた。しかし俺は考え込んでいたのもあり話を聞き逃してしまい慌ててしまった。俺はそのことについて聞くと、アベルは「お前が知る事じゃねえ」と言われてしまった。

その後、アベルは何かを思いだしたのでその話題に切り替える

「それでな、お前らがこの国を出るときにな。この国の王は、お前らを俺が保護してやっている。と伝えてくれと言われている。それとこの国で俺の仲間になれば生活は保障されるし不自由の無い生活を約束するとも言われたが俺はそんなものに興味は無い。だからな。この国の王には悪いが俺は魔王軍に協力することにする。だから、お前らは魔王軍が討伐したら魔王軍に入らなくて構わないし、もし魔王軍が倒せなかった場合はその時にまた考える。これでお前らの望みは果たせると思うぞ?」

俺はその内容について考えたがやはり俺にとってはメリットがない。俺にとってメリットになる事はカレンの笑顔を見れるくらいのものだ。俺はこの事を断ろうと思ったのだがカレンが

「私達としてはありがたい提案だしその言葉信じても良いわよ?それに私はこの国で色々と迷惑かけたからこの国の人達の為に戦えることは嬉しいことなのよ。でも私はあなたと一緒に戦いたくない。あなたのことが信用できないのよ。それに魔王軍は魔王の加護を受けた私がいる限りは滅ぼせないはずよ。私が死ねば話は別でしょうけどね。それに魔王の力が使える人間がいるみたいだけど。それでも勝てないわよ。でもあなたが私の力を利用すればきっと魔王を倒せるようになる。そう、だから、私のためにその魔王を倒す手伝いをしてくれない?そしたらその報酬として私は魔王軍に入らないしこれからの暮らしを保証してもらうようにするわ。これなら問題ないわよね?だってその魔王を倒すって目的は変わらないしその手段が増えただけだから。それに魔王の呪いを解いて魔王の力を使えないように出来るかもしれない。そうしたらその魔王は普通の魔王と変わりはないからこの国を簡単に乗っ取れるかもしれない。その可能性は低く無いはずだから、その作戦を考えてくれたらいいわ。だから私のために魔王を倒してくれる?」

俺はそんなことを考えていなかったので、驚きのあまり声を出すことが出来なかった。しかし俺はカレンの意見に賛成だった。

(俺はカレンの事をまだ何も分かっていない。カレンにはもっと別の道があるはずだ。カレンにはカレンが幸せになれる道を進んで欲しい。だからこそ俺がカレンを守ってみせる。そしてカレンを幸せにしてあげるんだ。それが俺がここに来て最初にやりたいことであり俺の決意なんだ。)

「カレン。カレンの言う通りだよ。俺は俺がやりたいことをしたいんだ。俺が本当に好きな人を守れなくなるような選択をしたくないんだ。俺もカレンと同じように考えてる。俺はカレンの事が好きだから守りたいんだ。その為なら俺ができることをする。カレンを守ること以外には何もしない。俺にして欲しい事があるなら何でも言って欲しい。カレンの為なら何だってやるから。カレンの側にいさせて?」

俺は自分の想いを全部カレンに伝えたかったから少し長い文章になってしまった。カレンはその事に気が付いたのか、恥ずかしそうな表情を浮かべていた。そして、俺の顔を見てくる。

「ちょっといきなり変なこと言い出してビックリしたけどそんな風に思ってくれていたのは凄く嬉しかったよ!私もユウキのこと大好きなの。だからその、お願いします!」

「うん。分かった。俺の方こそよろしく」

「えへへ。やっと気持ちをちゃんと言えたから少し気が抜けちゃったかも」

それから少しだけ沈黙が続くと突然ルチアが大きな声で叫んだため俺は驚いてしまうがその視線を追って見るとどうやらルチアは何かを発見したようだった 俺はそれを見るとそこには見覚えのある女の子がいた。

(あれ?あの子どこかで見た事があったかな?うーんどこで会ったんだろ?まあそんな事よりもとりあえず今はこっちの方が大事だね。この子の目的を聞くまでは敵対しなくても良いのでこのまま様子みますかね。カレンに害を与える様な事があれば容赦はしませんが。

俺がそんな事を考えると彼女はアベル達に向かって喋り始めた

「おい!あんたらも少し黙って聞いてくれよ。俺が話そうとしていたんだからよ。お前らが口出ししてくんなよ。全く。さてさてさて!皆さんこんにちは!僕は、魔王の幹部の一人!アモンと申します!今日は君達に頼みがあってやってきました!実はね!僕達は勇者と手を組んでるんですよ!そして君達の目的も分かっている。君達は魔王を倒さないといけないんだよね。その役目は僕達が代わってあげようとおもいます。その代わりに、君達は、この世界の平和を維持して欲しい。この世界は君達のものではありません。ですが今現在君達は世界の支配者と言ってもいい。しかしそんな状態は長く続くことはないでしょう。だからそれまでの間でいいのです。その役割を君達が果たしてほしい。それが無理だと判断するとこの世界にいる勇者を殺して欲しいんです。もちろんこれはお願いなので君達が断った場合は仕方がないですね。ではこの世界は僕のモノになり君達の大切な人も全て殺すことになります。それは君達の望むところでは無いでしょう?それではよろしくね?それじゃバイバイー!」

アモンと名乗る者は一方的に話をすると消えてしまった。

(こいつらの話が真実であればアベルが俺達を利用する理由はなくなったのか?いや、それでも俺はこいつらに負ける事だけは嫌だな。なんせ、カレンと付き合えたばっかりなのに他の女とイチャイチャするのはさすがにね。それに俺はこいつに負けるのはなんかムカつく。まぁカレンとの愛の力の前には無力でしょうけどね。俺はカレンさえいればどんなことでもできると思うんだよ。それにしてもさっきの言葉が引っかかるな。この世界に俺達の敵はもう居ないと?確かにこの国以外の国は俺達の敵に回ればこの世界を制圧することは難しくないだろうな。でも、アモンとかいう奴の狙いはそこなのか?もしかして俺の考え過ぎ?んー。でもこの世界の住人に手を出させない為にもここは協力しておいた方が良いかもしれないな。ま、いいや。今はそんなこと気にする必要もないか。それにしてもこの世界が俺のものだとかふざけたこと言ってきた時は殴り飛ばしたくて仕方がなかったな。まあ実際に殴る訳にもいかないので心の中で思う存分罵らせていただきました。ふぅすっきりしたぜぇ)

俺が一人で色々と考えていると俺に誰かが抱きついてきた。その感触で誰が来たのか一瞬で分かってしまった俺は思わず抱きしめ返してしまうのであった。

(ああ。俺に癒しをくれる人はやはりカレンしかいないな。やっぱり俺はカレンがいないとダメみたいだな。でも俺がこの国でやりたいことを見つけることが出来たんだ。これからも頑張っていけばいつかきっと見つけることができるはず。そして、俺達は二人で一緒に幸せな生活をするんだ)

俺は改めてそう誓うのであった。俺がカレンを撫でていると今度はサユリが起き上がると俺の手を掴み、アベル達を指差して大きな声を出す

「なぁ!お前らが魔王幹部と勇者って本当なのかよ!?︎」

俺はその発言に対してアベルは少し考えた後答えた

「お前がこの国に入ってきた時の事は見ているから別にお前を仲間にしてやらんこともないぞ?ただお前みたいな奴が役に立つとは到底思えないし。俺はこの国が気に入っているからな。それにこの国の王も気に入ったし、俺様の仲間になるのなら生活面については心配しなくて大丈夫だぞ?だが俺の部下として行動するという事に関してはこの場で決めてもらうぞ」

そう言うとアベルはルチアを睨みつけながら質問を投げかけた

「おいルチアよぉ!俺の部下になるなら、その実力を見せてもらうが、その必要はあるまい。なぜならお前の実力は、俺より弱いからな。そんなゴミカスは、部下として役に立たんだろうから殺してしまうことにしよう。そして魔王の呪いを受けて死ぬことになる。そしてこの国に来た意味もなく魔王軍の加護を受けた人間を殺した罪によりお前には死んでもらう。それで満足だろう?」

そう言ってから、ニヤリとした顔でこちらを見つめていた。しかし俺が答える間もなくルリアさんが声を出した。「あら?その言葉はそのまま返させて頂くわよ?あなたは私のことを殺し損なったわよね?私を殺す機会なんていくらでもあったのにも関わらずあなたはこの国を裏切るような行動を取らなかったわ。だから今回は見逃すことにしてあげたけど。もしこの国を本気で攻めようとしているならここで確実に始末しておかないといけないのよねぇ。あなたは強いけどまだまだ甘いのよ。それに私のこと殺せるのは今だけだと思うわよ?あなたが魔王の力を完璧に扱えるようになった時に私を倒すことができるかしら?私はあなたが完全なる魔王になるまで待つことにするわ。だから私としてはどちらでも良いわ。あなたの事を生かすことも簡単にできるから。でもね、もし魔王を討伐すると言うならば私も手を貸してあげるわ。どうするかは任せるから好きにしなさい」

そう言うとカレンの方を向いて、優しく微笑みかけるのだった。カレンはそんな彼女を見据えるように見ておりその後視線を落とすのだった。

「私はユウキのことが好きだから。その気持ちが揺らぐことはないの。だからユウキは私が幸せにする。その為には、アベルの力が必要な時が来るかも知れないと思って付いていくつもりだったの。それにアベルを信じることはできないのよ。さっきの発言からも嘘だってすぐに分かるもの。それにさ、カレンを本当に傷つける人なら許さないけど、アモンはカレンを傷つけてないもの。だからアモンがカレンに酷いことをしないと約束してくれるなら、協力はするつもり。その変わり、アモンは絶対に私に攻撃しないっていうルールを守って貰うから」

「ふん。くだらないな。俺を信頼していないだと?俺はお前らの為に戦ってやると言っているのだ。感謝されてしかるべきなのだが、なぜだか分からないが無性に腹が立つ!おいアモンとやら!俺達はお前らの力など借りなくても勝てるが、あえて力を借りてやる。魔王を倒した後のことは知らんがそれまでの間この国を守るのを手伝ってやる。これで良いんだろう?」

(カレンは俺のことを信じてくれていたんだな。それが何よりも嬉しいし、そんな優しい彼女が愛おしい。だからその想いにしっかりと答えないといけないな。そして俺のやることはこれで終わりではない。まだ一つだけやることがあるからね。それは俺がカレンのことを心の底から信じているということを示すために俺はカレンに結婚を申し込む必要があるからね。そのために俺はこの世界でやることがたくさんあるんだ。だからまずはこいつらをどうにかしないとだな。さっさと片付けよう)

それから俺はアベル達にカレンに話しかけ始めた。

「アベル達に協力するのは良い。だがこの世界は、お前らのものではないはずだ。勝手にこの世界に来て自分達のものにしたと思っているのであれば、間違っていると思うが?まあ俺も最初はその意見に同調したこともあったんだけど、俺にも考えがあって、お前らに協力してやってもいいかなって思っただけだ。それに、俺はこいつらと敵対するつもりは無いから。まぁお前らが何かしない限りは、俺はお前らに対しては何もしないから安心しろよ。お前らが何かしなければの話だけどな。それに俺がこの国に留まると決めた時点でお前らの意見を聞く必要性は無いわけだよ。お前らがこの国を攻めるなら俺はお前達を排除するだけだ。さぁ、俺はそろそろ帰るけどいいか?じゃーなー」

俺はそれだけ言うとカレンを連れて転移で家に帰ったのであった 家に帰るとそこには俺達が留守番を任せたはずのメイドが立っていた 俺達が帰って来た事に気づいたメイドが慌てて頭を下げて来た

「お帰りになられましたか。お出迎え出来ず申し訳ありません。ですが、緊急事態が発生したためこうして参上した次第です。どうかこの国の姫を助けてあげてください。お願い致します」

そう言ってから再び深く頭を下げる

「あ、あの。そんなに深く頭を下げられても、困るんですが?えっとですね?詳しく教えてもらえませんか?その緊急事態が起きた経緯と姫の状態についてもお願いしたいんですが。あと俺のスキルについて知っているのですか?俺達はこの世界に来てからスキルを使っていません。それに俺の事は誰にも話していないんですが」

「失礼しました。まずは事情の説明をしなければならないですね。私は、カレン様の世話役としてこの国に仕えています。私は、カレン様を幼い頃から育て上げ、この世界のこと、戦い方などを徹底的に教えたのです。そのためこの世界の住人達の中で一番強く、この国のトップクラスに位置するほどの強さを持っていらっしゃいます。そして、そのことから、私はカレン様に命を救われた恩があり、そしてこの世界をカレン様と歩んでいきたく思いまして、今この国に身を置いているという事なんですよ。そして私はユウキ様のことは、王都に来る以前から知っていましてね。そして、この前ユウキ様は王都に来ていたはずなんですが、私に会う前に王城を去ってしまわれていたみたいで、会えなかったのですよ。そして私はこの世界が闇に覆われている事を知っている一人なのですよ。まあその事は今は関係ないのですが。それでは私のステータスをお見せいたしましょう。【神眼】」

(な、なんだよこれ!俺より明らかに強いぞ!?︎でもなんで俺の事を知っているんだ?)

そう疑問に思って俺は彼女に聞いてみるのだった

「どうして俺のことを知ってるの?それとあなたの名前は?」「あ、自己紹介が遅れてすいませんでした。私の名はサラと申します。よろしくお願い致します。ユウキさんの事は知っていたのにはちゃんとした理由があるのですよ。実は、この国の王がこの前ユウキ様を呼んでいたのです。それで私は、その日王城の入口に待機していてユウキ様がこの城から出て来るところを目撃しているからなのです。その時に私のスキルを発動させていましたので覚えていたのです」彼女は、そういうと、続けてこう言ってきた

「私はカレンさんのお母さま、エリカさんと友人関係なのですよ。その関係で、私と彼女の娘は小さい頃はよく遊んであげたことがあるのですよ。もちろん、あなたもね?あなたは気づいていたのかしら?」そう言われると確かに、俺は誰かと昔一緒に居た気がしていたが、思い出せないのであった

「そうなのか。全然記憶に無いな。それより、俺のことは置いておいて。カレンの状況は?大丈夫なのか?早く俺もカレンの所に行きたいんだけど。その状況次第かな」そう聞くと

「大丈夫とは断言出来ませんが、最善の処置を施しておきました。しかし時間が無いのは事実。一刻を争うので、急いで行きましょう!」

そして俺らは移動を始めた。しかし俺らの姿は既に、アベル達の元にあった。その瞬間俺は、魔王の腕を切断しており魔王が俺の存在に気づくと同時に腕は消滅していた 俺はアベルを睨みつけるように見ていた。アベルの表情からは余裕が伺える。それは自分が絶対的に有利だと思い込んでいるからだろう その光景をカレン、サユリ以外の人達は口をあんぐりと開け、固まっていた。アベルが何かをつぶやくとその周りには魔法陣のようなものが出現しそこから魔王が現れた しかし、その姿には違和感があった 俺がカレンと一緒に魔王の所に転移すると魔王が目の前で笑っていた 魔王は、まるで魔王に変身した後のような見た目をしていた。魔王はカレンに攻撃しようとしているようだったので、咄嵯に剣を出現させて、攻撃を止めていた。

その瞬間にアベルに俺の剣撃を防がれた。しかしその隙にカレンはアモンに回復をしてもらうことに成功していた。魔王はカレンの方へ向かおうとするのを俺は阻止しようとしたがアベルの攻撃に妨害されてしまった。俺は一旦その場を離れることにしたのだが俺に着いてきてくれようとしたメイドのサラさんにカレンのことを頼むと言って、俺の事を援護するために来てくれたメイド達と共に魔王の元へ駆け出していった。

俺はアベルと斬り合いを続けていた アモンは俺に攻撃を仕掛けてくる様子はない。恐らく、アモンがカレンに何かをしてこちらの行動を妨害してきているようだ。俺がアベルと戦っている間にもアベルにカレンは攻撃をされており徐々にカレンは追い込まれていっているようだった。このままじゃ、まずいな。

俺達はアベルにダメージを与えているが倒すには至っていない。

俺は、一旦距離を取り、カレン達を回復する為に動こうとするがそれをアモンに邪魔をされる。

俺達はアモンに翻弄され、少しずつダメージを蓄積させていた カレン達はアモンの攻撃を受けていて、カレンは傷ついていたがなんとか耐えられていた

「アモン、お前の相手をしているのも、面倒だな」

「ふむ。アモンか。我の名を呼び捨てるとはなかなかだな」

俺は、自分の力の限界が分からないのが、もどかしかったがとりあえずは力を引き出せるだけ引き出すことにした。

(【限界突破】)

俺はそう念じると力が一気に増してくる。それと同時に身体中に熱を帯びてきた。俺はそのままの勢いに任せてアモンへと突っ込んでいった。俺の振りかざした一撃を、受け止めようとしていたが俺はその攻撃を、すり抜けるように避けて背後をとった。その俺の動きを予測していたのかアベルは俺にカウンターを食らわせようとして来たがそれも俺に当たることはなかった

「な、なんだ?お前の力は何だ?なぜ我がここまで追い詰められなければならぬのだ。お前は一体誰なのだ?」と問いかけてきたが、その言葉に俺は耳を傾けずひたすら斬撃を浴びせ続ける 俺は、アモンと攻防を繰り広げていた 俺はカレン達の戦いを少し遠くで見ているだけだった。

「そろそろか」

そう言って俺はまだ俺との勝負が終わらない事に苛立ちを募らせていた 俺は先程からずっとアベルと打ち合っているのだが俺はいまだにアベルに対して有効打を与えられていない カレンも俺の加勢に入り2対1で戦うことになった そして、俺とカレンが同時に攻撃を加えた時俺の刃とカレンの魔力の波動がぶつかった時に俺達二人は吹き飛ばされた。俺は地面に着地し、再びカレンの元に戻ろうとしたのだが俺はあることに気づいてしまった。

俺はカレンに視線を送ると、やはり、カレンも何かに気づいたようですぐに動き出した

(【瞬足】)カレンの速さが上がっていたが、カレンの速さに、アモンは反応しきれていなかった。カレンはそのチャンスを逃すことはなく、俺とカレンはすぐに体勢を立て直すことができた

(な、なんだよあれ?さっきまでとは違う!これがカレン本来の実力ってやつなのか?)俺はカレンを見てそんな感想を抱いていた。その強さは圧倒的で俺が知っている中での、一番強い存在だった そして俺もカレンの隣に立ち、再び俺達が攻めるターンが回ってくる しかし、俺たち二人の連携攻撃でも、あまり効果は見られなかった

(くっ!これならどうだ?)そう思ってから、アモンとカレンの二人がぶつかり合ったのを確認した後に、俺はカレンとすれ違いになるように走り出してから 【分身】を3体出現させた そしてカレンと入れ替わるように 【分身】と、入れ替わりに俺が前に出てきた そして俺は、カレンが相手してくれている間に、アモンに向かって走っていった。俺の気配を感じたのか、アモンもこっちを見据えるようにして見つめていた

「おい、アモン。今すぐここから出て行け」

「ほう?面白いことを言っているじゃないか」

その言葉を待っていたかのように、俺はさらに一歩進み、次の行動へと移った。俺は、右手を前に出し、人差し指と中指だけをピンと伸ばしながら手を下に下ろして、手のひらは上に向けた状態になっていた。その動作をした時に、この空間に亀裂が走った。その衝撃は凄まじいものだったがなんとか、堪えることができていた

「お前がここから出ていかねえと、この空間を崩壊させちまうぞ?」

「この程度の力で何ができると言うのだ?それに我をどうにか出来るのならばとっくにやってるだろう?」

「そうだな。俺はお前のその態度を、ぶっ壊すことしかできないんだよ。俺にはそれしかないんだからよ」

俺は、俺の言葉を聞いたアモンの顔に一瞬怒りが宿ったがそれはすぐに消えた。俺が【威圧】を使用したからだろう 俺は俺なりに考えて俺の持っている【固有能力】の中で最強だと思う【スキル】を使用することに決めた 【創造】俺が欲しいと思うものを作り出し、それを具現化できる それがこのスキルの特徴でもある しかしデメリットがある。それは一度具現化してしまうと元に戻ることが出来ないということだ。しかし俺は迷わなかった。ここで使うと決めたからには使おうと思った。俺は俺がイメージしたものを想像しながらアモンの目の前に立つのだった 俺のイメージは、もちろんこの世界に存在するものでは無い。

俺はカレンに合図を出してアモンから離れてもらうように指示をする 俺とカレンの距離が開いたところで俺は発動のキーワードを言う

「いくぜ?【創造】」

俺がそう言った途端、俺の手の中に武器が現れた その手の中にあるものは銃の形をしていて、色は銀色をしていた 俺が作り出したのは拳銃である 俺はそれを、手に取ってアモンに向けて放った。しかし、その弾は当たらなかった アモンは後ろに下がり、その攻撃を軽々と避けた

「な、なんじゃその奇妙な武器は?なんとも言えぬ恐怖を感じるぞ」と、俺が生み出したものを気味悪がりつつもアモンの興味を引くことに成功したようだ

「これはな、簡単に言えば魔法と物理の融合した兵器だな。これで、俺の作った銃弾が当たらないのは分かった。なら次は、俺の番だ」

俺がアモンの方に目線を向けた瞬間、俺の目線は光に飲み込まれた。そして光が晴れると、そこにいたのはカレンであった。

そしてカレンはこう告げた

「アモンちゃんごめんね。ユウキさんから許可は貰えたの。私が本気で相手するわ。アモンちゃん、覚悟しなさい」そうカレンは言うのだった。カレンの雰囲気は明らかに変わっており、俺は、俺が知らないカレンがいるのだということを思い知らされていた

「カレン、無理はしないでくれよ。アモンがどれほどの強敵なのかまだ分かっていないからな」と俺は、念の為に釘を刺しておく。カレンはそれに対して、余裕のある表情を見せて返事を返してきた。

俺はカレンの強さに驚きを隠せない。今のカレンの姿はまさに女神そのものだ

「カレン大丈夫か?」

「はい。私を舐めないでください」

カレンがそういうと、アモンも動き出していた。

しかしカレンは余裕を持ってアモンの攻撃を避けていく。そしてアモンの攻撃はカレンには全くと言っていいほど効いてはいなかった。そして俺はアモンの後ろを取ることに成功し、アモンに斬りかかったのだが アモンはそれを受け止めて、カレンの攻撃を受け流すようにカレンの方へ向かって攻撃を開始した 俺はその間にカレンの元に走って行って回復を行う。

「カレンすまない。油断したな。あのアモンがあそこまで弱いはずがないもんな。あいつの狙いは何だ?」

「そうですね。私の事を倒すつもりならもっと本気を出してきても良いと思いますけど、ただの時間稼ぎのような気がします。私はアモンさんの目的について考えています。多分、アモンさんが狙っていることは時間を稼ぐことだけじゃないと、思います。アモンさんがここに来た目的を考えるとそれしか考えられません」と、カレンがアモンの行動の意味について考えていたが俺もそれに関しては同意見だったカレンが俺達の攻撃に対して防御姿勢を取らないということはおそらくだがカレンに対してダメージを与えることができないと考えているのかもしれない

「とりあえずは俺はこのまま戦い続けるしかないのか」そう呟きつつ、再び戦闘に集中するのだった。

「さすがは魔王と言ったところか。かなり強いみたいだけどまだまだこれからですよ!」

そういって俺はアモンに突っ込んでいったのだが先程とはスピードが全く違う俺の動きについてこれていない様子だったので俺はさらに加速した。

それからも何度も剣を交えているのだが一向に決着がつく気配はない

(こいつこんなにも強かったのか?本当にこの世界の最高神が作り出した魔王なのか?でもこいつは最高神の事を『主様』と呼んでいたよな。それにしても俺の速度に追いつけないとは思っていなかったな)そんなことを考えていた時だった。アモンは、口角を上げて笑っていたのを視界の端に捉えていたが俺はそのまま、攻撃を続けようとしたら、その攻撃が届く前に何かしらの力によって俺は吹き飛ばされてしまっていた その力のせいで俺は吹き飛ばされて地面に打ち付けられてしまった そして起き上がるとカレンやエリカさんの方を向いたがエリカさんはまだ動けそうになく意識を保っているだけでもやっとといった様子だったがカレンも膝をつくので必死で何かに耐えているという様子だった。俺は、急いで二人の元へ行こうとしたのだが吹き飛ばされた方向が悪かったのか先程までいた場所よりもかなり遠くにいた為なかなか辿り着けなかった。それでも俺達はなんとかアベルの近くまで戻ることができたのだがアベルが急に頭を押さえていた 俺がそれを見て心配している時、急に大きな地響きが鳴った。その音を聞いて俺達は何が起こったのかと、警戒態勢を取っていたのだが俺はすぐにその状況を理解した

「お、おいアモン。まさかと思うが俺達に勝つつもりで戦っていたんじゃないだろ?な?な?おい」

アモンは苦しそうな顔をしており俺の声に反応してこっちを見たのは良いものの、アモンの体は、大きく膨れ上がっていって、その顔は悪魔のような表情になりながら俺を睨んでいた

「お前だけは、お前だけは絶対に殺す!!我が命に代えても殺してくれる!!」

「お前何言ってんだよ!ちょっと落ち着ろ!そんな姿になってもお前には勝てっこないぞ?」と、俺は言っているのだがアモンにはまったくといっていいほど聞いていないようでこちらに突進を仕掛けてきた。

(やばい。これは流石に死ぬんじゃないか?)俺は自分の状況を理解してから、自分が今何をすべきかを判断してすぐに行動に移るのであった アモンの拳が俺の目の前まで迫ってきていた 俺は、そのアモンの腕が目の前にきた時にすぐにスキルを発動させていた。

【反射結界】

アモンの拳はその【反射】によりアモン自身の元まで弾き返すことができたのである 俺の予想通りアモンは自分の体に衝撃が襲うことになるので、その場で止まるはずだった しかし、その俺の想像を超えた行動にでていた。

アモンは、【瞬足】を使い、自分の周りに衝撃波を生み出しその反動を利用して体を動かし、無理やり方向転換をしたのだった。

「おいおいマジかよ」と俺のつぶやきなど聞こえていなかったかのように、再びこちらに向かって走り出したアモンは俺に掴みかかってこようとしていた 俺はそれを【分身】を使って【転移】をして、回避をした。そしてすぐさま俺はアモンの後方に回って背中を斬りつけた アモンは斬られた事に気づいたのか、後ろを振り向いて、また俺に襲いかかろうとしていたので俺はすぐに【転移】を使う。しかしアモンは、【転移】の範囲内に入ることはなくそのまま俺の方に殴りかかろうとしているところだった。

そこでアモンが突然倒れた そしてそこにはアモンの足を切ったエリカさんがいた。

エリカさんは、俺が【スキル創造】で作らせた、スキル【重力】を使い、アモンの動きを止めていたのだった

「ナイスだ。助かった」と俺は小声で言い、倒れ込んだまま動かないアモンの方を見やった

「アモンちゃん。貴方の目的は私達がここにいるからなんでしょうけどそれは失敗に終わるのだから大人しく眠っていてね。それとユウキくんに危害を加えた事は、この世界を管理するものとして許さないからね」とそう言ったエリカさんの目はとても冷酷な瞳をしていた アモンが倒れたことで、安心してしまったのだろう俺もカレンもその場で倒れ込みそうになっていたのをサユリが支えてくれていた。俺は、そのことに気が付き感謝を告げた。

「ありがとう。少し楽になったよ。ところでこの勝負俺達の勝ちなのか?」と俺は、一番の疑問を口にした。すると俺が思った通りにアモンが答えてくれた。

「ふんっ。確かに我はこの世界を滅ぼすつもりだった。そのために準備も進めていたのだ。それがこのザマか。悔しいが貴様らの勝利だ。」

俺はその言葉を聞き終わったあとアモンが、魔王なのに人間の姿に戻っていることに気付きアモンに声をかけようとしたがカレンの方が先に話しかけた。

「アモンさんあなたには色々と聞きたいことがあるんですが。教えてもらえますよね?」

「ふむ。まぁよい、まずはそこの者どもに謝ろう。先程の件はすまなかったな。」と、謝罪をしてから 話を続けた。

「我が主様から言われたのは、『あの世界の者達に魔王の力を宿し、そしてその者達を殺しに来る勇者を殺すこと。それだけを成し遂げればいい』と言われた。だがその条件は難しく、特にあの女を殺すことは、至難であった。だから、そ奴が油断し隙を見せるのを待ってたのだよ」

「それで、私達を利用したという訳ですか」

「その言い方では、誤解を招いてしまう。利用したのではなく、ただ、我の目的の為に利用させて頂いたというだけだ。ただ、結果的にそう捉えられても仕方がないことは認める」

俺は、そこまで話を聞いた時に一つの事について考えていた。俺はなぜこの世界での魔王の存在を知っていて魔王討伐のために呼ばれたのかということについて考えていたのだった。

その事について俺とカレン以外のメンバーは気が付いているようだった そして俺は意を決して口を開いた 俺の名前は神崎優希です。職業は一応勇者なんだけど、みんなからは『ゆぅたん』とか『ゆうちゃん』と呼ばれている。でも俺にとってはどちらも同じくらい恥ずかしい名前なのであまり呼ばないでほしい。でも何故か、この2人は普通に呼ぶんですよね。不思議ですよね。

さっきから一人で喋っているが、これはただの独り言であって、誰かに語りかけている訳ではないのです

「どうせ、これから話すことも俺が考えてる事もバレてそうだがとりあえず俺の自己紹介だけさせてもらう。ちなみに名前は知っているはずだから俺からの自己紹介はしないからな!」そう言うと

「じゃあ僕がするね。僕はユウジって言うんだ!年齢は君と近いよ?好きな女の子のタイプはもちろんカレンさんのような人なんだ。よろしくお願いします!」と言って俺の手を握ってくる。そしてその瞬間俺が持っていたお茶の入ったカップが飛んでいき、見事に顔面に直撃した それを見た他の仲間達は、

『あっやってしまった。これはダメだったかな?でもしょうがないよ。あれは誰だって怒るよ。』みたいな目で見てくる。俺が悪いのか?俺は悪くないだろう そんな俺の心の声など聞こえるはずもなく「何してくれてんのー!」って言いながら俺の顔についた、お茶の残骸をとってくれたのだが その破片が目に突き刺さったらしく、俺に思いっきり抱きついてきて、「僕の目を癒して〜。」って涙目で言われてしまっては断れないのが俺の心情なのだ。俺って結構チョロいのかもしれん。そんな事を考えつつ 俺はそのハグを受け入れていた

「ごめんな。俺の幼馴染みが迷惑をかけてしまって。でも悪いのは全部こいつだから許してあげて欲しい。俺はこいつと違ってちゃんとした性格をしている。多分、いや、絶対大丈夫だから、信じてやって欲しい。俺からもこいつのことを許してもらいたいと本気で思っている。頼む。こいつと仲良くしてやってくれないか?」と俺も心の底からの本音をぶち撒けた。

その言葉を聞いた2人の表情がみるみると明るくなっていくのが分かるほど嬉しかったのだろうか その気持ちはとても伝わってきた それからは3人で楽しく話し込んでいる。主に2人の過去の話などを聞かせてもらった やはり俺の予想通り、2人は俺が前にいた世界に居たらしい。その世界でも、カレンとは恋人同士で、いつも一緒に過ごしていたようだ。俺もその話を聞いていたら何だかとても懐かしく感じた。

2人との会話が終わった時にはもうすっかり日が沈み、辺りは暗くなり始めていた そしてその日の夜、俺達は明日のことについて相談することにした 俺は2人に、今日一日の疲れもあるだろうと思い休んでもらっていた 俺はその間何をしているかと言うと 実は今朝俺が起きると既に用意されていたこの屋敷のキッチンを借りることにしてある。その食材を使って俺は料理を作っていた。もちろん作るものはカレーだ 何故、異世界にきていきなり、カレーを作っているのかと思うだろう。それはだな俺の好きなものと言ったらやっぱりご飯だろう。米は俺の住んでいた地域では当たり前のように食べるもので主食になっている 俺はそんな米を使った日本独自の食文化が好きだからこそ、カレーを作った。

それに、日本人なら誰でも好きだからね。美味しいものを食べたいしね。そんなこんなで、完成した 俺は、みんなのいる部屋に戻っていった その匂いに気付いたのか2人もすぐにやってきた。そこで俺が作ってきた物を説明すると、俺のことを崇め奉り始めてしまった そして2人は涙を流しながらカレーを頬張っていた。その光景はどこかの有名な絵画のようで美しく見えた。その後食事が終わり、俺は2人を誘って風呂に入ったのだが、その時もずっと2人がベタついて離れようとしなかった 流石に、お風呂の中までは入れないだろうと、思い俺は2人から離れた場所で1人で体を洗う事にしたのだが 俺が体を洗い終わるまでずっっと俺の体を洗おうと近づいてきていた 俺としては、嬉しいが、俺の大事な息子が大変なことになりそうな気がしたので俺は全力で逃げたのだが、それも叶わず結局俺は襲われてしまい、俺はそのまま気絶してしまった。

俺が起きたのはその翌日のことだった。俺は自分の体を触るが特に何も起こっていない。どうなっているのだろうと思っていた時にドアがノックされた

「はーい。今開けます。」

俺は、その音が俺に用事がある人達の音だと分かった上で返事をした その声を聞いてから、少し経ってカレンと、サユリさんと、エリカさんと、アモンと、エリカさんの【眷属】達が俺がいる部屋の中に入って来た

「昨日のことでみんなに話しておかなければならないことがあるから聞いて欲しい」と俺は真剣な雰囲気を出していった

「俺はカレンと一緒に、ある世界を救うためにこの世界を旅することを決意した。そしてその事をみんなに伝えに来た。みんながどんな反応をするのか分からないがそれでも俺の話は聞かないでくれ。もし話して欲しい時はその時言ってくれたらいいい」と その言葉に対して、エリカさんだけは心配するような顔をしていた。

「まず、その前に俺はカレンと、サユリさんには本当のことを伝える」と言い始めた そして俺は真実を伝えた。俺が勇者として召喚されていたことを。その俺とカレンの使命を。

俺が勇者だったことに関しては驚きこそしていたもののそこまでのリアクションは無かったがカレンのことが気になり、その事で俺は、カレンの方を見やった。しかしカレンは、 俺に微笑んでいただけだった。まるでこうなる事がわかっていたかのように。

俺は、俺の全てを知っているかのようなその笑みをみたときに少し背筋が寒くなる感覚に襲われたが気にしないことにした。

「それと、俺のスキルは少し変わっているみたいだから説明しておくと、俺は、創造神と死神を使えるようになるからな」と伝えると、その言葉に全員が驚いていたが、エリカが、冷静に

「でもユウキくんはユウキくんでしょう?それ以外でも、それ以外になることもないし、ユウキくんはユウキくんだよ。だからユウキくんが、勇者だからとかそんな事はどうでもいいの。だから今まで通り私達の大切な仲間であり友人であってね?」と、優しく笑いかけてくれた。

その言葉でみんなに勇気づけられたような気持ちになった。そして俺は決意を固めてみんなに伝えることにした。

まず初めに俺達について行くと決めた者、ここで俺達を見送り、自分達の目的に向かっていくことを決めた者とに分かれてもらい俺は後者について来て欲しいと告げた そのあとは、その事について話し合い、その話し合いの中で、俺は、仲間にこの事を伝えていない者がいたことに気付き慌ててそっちに向かった 俺が向かった先は俺の仲間の中でもカレンが、一番大切にしている人物のところだった。

その人はとても優しい人だ カレンに頼まれてからずっと彼女の力になりたいと努力し続けてカレンの右腕的存在にまでなっていた 俺はその人の前で、土下座した。

「俺がここに残ることになってしまって本当にすまないと思っている。俺のせいで、お前を巻き込む結果になってしまった。本当に申し訳ない。でも、俺が必ずカレンのことを守ってみせるから!!どうかこれから先もこの子を支えてやってくれないだろうか。頼む。俺が頼める立場じゃないかもしれないけどお願いします」俺はその人の足にすがるようにしながらお願いをしていた するとその人は俺の手を握ってくれた。その温もりが俺にはとても心地よかった。

「頭を上げてください。私がユウちゃんに残ってもらうよう頼みましたしユウちゃんは何も悪くありませんよ。それにあなたが守ろうとしているこの子はそんなやわな女ではありませんよ?あなたの知っている限りではこの子より弱い人間なんて居ませんよ?ですので、安心してくださいね。この子がユウちゃんを守るように私もあなたを守ります。それが私の役目なので。それに私は元々、そのつもりでしたから」と言って笑顔で送り出してくれようとしていた そして俺達は別れを告げるために、その人と向き合った。そして最後に 俺は、「俺がいなくなってから寂しいと思うだろうけど、俺が帰るまで耐えてほしい」そう伝え そして

「俺は絶対に帰って来る。その時はまたこの場所で会おう。その日までお互い頑張っていかなければだ。約束する。俺が帰ってきたらまたここでパーティーでも開こう。その日までお互いに頑張ろうぜ!」と言ってその手を力強く握った 俺はその人の言葉に感動して思わず泣いてしまった そんな俺にカレンがハンカチを渡してきたので俺はそれを受け取り鼻をかんだ。

そして「じゃあ行ってくる」

そう告げて俺達は魔王城に向けて歩き出した。俺が先頭で歩いていく。その横にはもちろんカレンがいる。

後ろからは、アモンと、エリカが付いてきていた。サユリは屋敷に残っていた。俺が戻ってくる時のための拠点として使うためらしい

「ねえ?ユウちゃん?その背中にある大きな荷物って何なの?それにあのメイド服みたいなやつ何?何でサユリちゃんあんな格好をしているの?」って質問攻めにあっていた。そしてカレンに俺の着ているものを脱がされて、俺がいつも来ていた、高校の制服のブレザーに着替えさせられた。カレンのやつが俺にどうしてもと言うので、渋々着替えたが カレン曰く、「だってその姿でユウちゃんと旅をしてるとユウジが、その格好の方がいいっていうんだもん」だそうだ。そして、俺は俺で カレンに俺が元の世界で着ていてカレンが一番好きな、白シャツ、ジーパンを着て欲しいというのでそれをして、俺はこの世界にきて初めての普通の服を着ることになった。まあそれはそれで結構似合っているのではないだろうか そしてしばらく歩いているうちに魔物が出てきた。その魔族がこちらを見るなり

「おい、貴様らは勇者とその仲間のようだな?ならば死ね!喰らえ【ヘルファイア】!!」と言い放ってきた。俺がそれに対して反応するよりも先に隣にいた俺の愛おしい恋人がその魔法を撃ち返してしまっていた。もちろん打ち返されたそれは見事に敵の体に突き刺さり一瞬にして消し炭にした。

流石にやりすぎだろうと思い俺が注意しようとするが 俺の口から出てきた言葉は俺の予想していない言葉であった

「カレン。流石にあれはまずいんじゃないかな?相手はまだ子供だしね」と俺は普通に喋れたことに少し喜びを感じつつも、相手の事を気遣い、カレンを嗜めようとしたのだがカレンの反応は全く予想していなかったもので、カレンは、何故か頬を赤く染めていた。

「カレン?」俺はカレンの様子に疑問を抱きつつ、もう一度名前を呼ぶ カレンはその言葉に反応し「うんん?なんでもないの。ごめんなさい」

と言うので、 俺は「そうなのか?でもとりあえず次同じことがあったら俺に教えてくれるかな?」

とカレンを優しく宥めた その後俺とカレンと、俺の隣にいる、エリカとアモンの四人で旅を続けていた。

「カレンさん?何か嬉しそうな顔をしていますがどうしました?顔に出てますよ?」

俺はカレンがなぜ、嬉しそうな顔をしていたのか不思議だったので聞いてみることにした

「えへ。やっぱり分かるよね〜。だって久しぶりに一緒に寝られるんだよ!?ユウちゃんがこっちの世界の女の子の体になれたらいっぱいいちゃいちゃお話したり、ぎゅーってしたりするの。ふふん楽しみなんだから〜」と、満面の笑みで言われてしまった。確かに久しぶりだから仕方ないのだろうけど少し俺が可哀想になってきた。そして俺は俺の方を向いてくるエリカに、目線で助けて下さいと合図をした。エリカはその事に気がついて「そうですね、カレンさんの気持ちも分かりますが流石に私達が一緒の時にそういう事はしないでもらわないと困ります」と、言ってくれた 俺も「そのとうだぞ?カレン?流石にそういう事はもう少ししてからな?今カレンが求めてることは分かってるつもりだけど」

カレンは少しシュンとしていたが、すぐに機嫌が戻り、再び上機嫌になった。

そんな感じにカレンと会話をしつつ俺達が進んでいると 【索敵】に魔物が引っかかった。数は4体のようで、この森ではよく見かける、オークが3体とゴブリン1匹だった。

俺達はすぐに迎撃態勢に入りカレンに指示を出した。カレンは素直にその命令に従ってくれた 俺達に向かって走り出して来た2匹のオークに、カレンは、炎を放ち燃やすともう1体を俺に向かって投げ飛ばしてきていた。俺に向かって飛んできたオークを剣を使って斬り倒した。しかしそこにゴブリンが現れて、俺に攻撃をしてきた。俺はそれを受け止めようとするも やはりパワー負けしてしまいそのまま吹き飛ばされてしまう カレンとエリカと、俺の後ろにいる二人もその戦闘に巻き込まれないように少し離れていたので被害は無かったが俺だけがダメージを受けた。しかし俺は【自動回復】のおかげで怪我などはすぐに回復する カレンがゴブリンに対して火を放って焼き殺したが、残りの一匹はエリカの方に向かおうとしていた。俺の方はカレンに任せればいいと判断し、俺はそのまま立ち上がり体勢を立て直すことにした そして、俺はエリカの援護に向かうべく走る するとそこにはちょうどエリカと、エリカに向かっていた、ゴブリンの拳とナイフがぶつかる瞬間だった 俺は急いで駆けつけようとしたがそのタイミングがあまりにも早く間に合わない。俺としたことがこんなミスをするとは思ってもいなかった 俺のその判断の甘さがいけなかった エリカとゴブリンの間に割って入ろうとした時に 突然目の前に黒い壁が出現し、ゴブリンの攻撃を弾いた 俺は何が起こったのかわからず、その場で立ち尽くしていたが、その壁の陰から誰かが飛び出てきて

「全くユウくんは油断しすぎです。あなたは私が守ると何度も言いましたが?」と言われ その人影はそのまま俺の目の前まで移動してきてその人の姿をあらわにさせる

「えっ、どうしてここにサユリが?しかもその姿は?」と俺はその人影に問いかける

「これは私のスキルですよ?それと、ユウくんは私の事よりまず、自分を大切にしてくださいね?それにあなたは、私の事を守ってくださっているのですから私にもあなたの事を守る責任があるんですからね」

俺は自分のことを思い切り棚上げし、彼女の事を思っていたのだがその彼女に叱られてしまった。

俺がそんなやり取りをしていたらいつの間にか、カレンによってその最後の一体が殺されてしまっていた。俺はそんな事があった後にサユリに謝った

「でも良かった、本当に良かったよ。俺はまた君に会えるなんて思ってもなかったから」と伝える

「はい、私もこの世界にユウジ様がいることは知っていましたが、まさか本当にお会いできるとは、思ってはいませんでした。それにしてもお元気そうで安心しました。」と言ってサユリは泣き出してしまった そして

「あのねユウちゃん?その子誰?もしかしてこの子も仲間にするの?」とカレンに言われた 俺はそんなカレンの表情を見てサユリの事も説明しなければならないと感じ、 俺はカレンには、俺の過去を話し、エリカとサユリには、今の俺についてと、これからの目的を伝えた。

俺はみんなから、そのことについて色々と聞かれたが今はそれよりも、カレンのご機嫌をとるため カレンを、俺の部屋へと案内した。

その部屋には既に、エリカ、サユリ、アモンがいた。

俺が「皆、待たせてしまってすまない」と言うと カレンが「ユウちゃん。さっきの話の続きが聞きたいなぁ?なんであのメイド服の子を連れてきちゃったのかなぁ?あの子は何なの?」とカレンが聞いてきていたので俺は正直に答える「彼女は、俺のいた世界での知り合いでサユリって言うんだ。俺の大切な人だよ」とカレンに伝えると、 エリカは「カレンさんの嫉妬心が爆発しそうでしたので少し落ち着くために私とアモンは一旦席を外させていただきますね」と、言っていた

「わかった。でも大丈夫なのか?カレンが暴走したりとかはないのか?」

俺はそのことが心配だったので一応、確認をしてみたエリカは少し困りながらも、「それは保証できないかもしれませんね。カレンさん、ちょっと落ち着いて貰う為にしばらく時間がかかりそうなので」

と俺に伝えてくる

「ああ、そうなのか。それならいいんだが。まあ何かあったらすぐに教えてくれ、出来るだけ早めに対応をするつもりだ。まあ、そんな事にはならないと思うが」

と俺はエリカに告げてから部屋を出ていくように伝えた そして俺はサユリとカレンに話をすることにした

「それでカレン?その話は置いておいてなんだけどそろそろ魔王城に行かないとな?いつまでもここでグダグダしていても何も解決にならないしさ?

「でもでも〜私はもう少し、ユウちゃんとのんびりしていたいなぁ〜」と駄々をこね始める 俺は仕方なくカレンに「カレン。お前も俺と同じで、この世界に来る前に戻りたくないか?カレンだって元の世界に戻った方が絶対に幸せになれるだろ?俺だって元の世界での暮らしを取り戻せたらきっと嬉しいはずなんだ。」

俺は、カレンを諭そうとするもなかなか折れてくれない。俺はそこで

「俺はさ?元の世界の俺の記憶が無いけどさ?それでも、カレンと一緒に過ごせれば幸せなんじゃないかなって思えたんだ。俺にカレンと一緒に過ごす時間をくれよ?」

と俺がカレンに伝えた言葉は、紛れもなく本音だった。そしてその言葉をカレンが受け取った後 カレンは俺の胸の中に抱きついてきた そしてその勢いで、俺は床に押し倒されてしまったのだが、その行動で、俺の覚悟が決まった 俺は、カレンの事を愛していると自覚することができた。そしてカレンの気持ちに応えたいとそう強く思った 俺はそのままカレンを抱き寄せキスをした 俺が唇を離すと

「ユウくん、私今すごくドキドキしてるんだよ。これが、好きな人と結ばれるってことなのかな?なんかすごい不思議な気持ちなの。だからもう少しこの状態でいてもいいかな?」とカレンは俺の耳元に口を近づけて小さな声で呟いていた 俺は、俺自身の気持ちの整理と、カレンに対する気持ちの切り替えの為に

「そうだな。少しこの時間を過ごしたい。」

俺は、カレンに対して答えていた 俺達は、お互いに抱きしめ合ったままでいた しばらくしてから俺は、俺の上からカレンを退けて

「カレン?俺はやっぱりカレンのことが好きだ。俺とずっと一緒にいて欲しい。だからカレン。俺と結婚してくれるかい?」と俺はカレンにプロポーズをした カレンはその言葉を嬉しそうに聞いてくれた そして

「私で良ければよろしくお願いします」と、言ってカレンともう一度キスをした 俺はそのまま立ち上がり

「よし!俺はやっぱりカレンと結婚したい。そのために魔王を倒しに行く。俺と、一緒に付いてきてくれないか?」とカレンに問うと

「もちろんだよ。私ももうユウくんの事が好きになってしまっているみたいだから一緒に戦うよ。でもその代わりユウくん?今の言葉は取り消したりは出来ないんだからね?」

と、カレンは俺を見つめながらそう言ってくれる

「カレンが居てくれて助かるよ。ありがとう。じゃあカレンは、俺とエリカと、アモンと共に旅を続けてくれ。俺とサユリは一度この城を留守にして、準備を整えるから」

俺達はこのあとのことを決めてから俺はカレンとエリカにサユリを紹介した後は、サユリは、自分の屋敷に帰るとのことだった。その前にカレンに念話を送ってから帰ると言っていたが。

その後、カレン達には部屋から出ない様に頼み 俺は、城の中で使えそうなものを、アイテムボックスに仕舞って行った。

エリカやアモンが居るとはいえ、流石に女性ばかりの所に男である俺が入るわけにもいかず、エリカに頼むと快く了承してくれた。

俺がそんな感じで、準備を進めている時に、エリカがカレンが呼んでいるということを教えてくれたので俺は急いで向かうことにした。

するとカレンの部屋に入るなりカレンが泣き出し俺にしがみついて来たのだ 俺はそんなカレンの頭を優しく撫でたあとに、事情を聞いた なんでも俺は【魅了】スキルを無効化することが出来るのは知っているだろう?と尋ねられた。俺は当然だと伝えそのまま続けて欲しいと言った カレンは「あの時、ユウくんにスキルをかけてたの。でも効かなかったんだ。でもね。ユウくんに好きって言われたのは覚えてる。あの時の私っておかしくなかった?あんな風になったのも、全部【誘惑】っていう、スキルの影響なんだよね?だからね、ユウくんは私の事もう嫌いになっているかもしれないって思って」

とカレンはそう言った後に涙を流す。そんなカレンの不安を取り除こうと思い、俺はまずカレンが、泣いている理由をカレンのせいではなく、全て自分の責任なのだと伝えた その言葉を受けてカレンの瞳からはどんどん涙が溢れ出てくる。

その事に気づいた俺は、俺自身も悲しくなってしまい二人でしばらく泣いていた。

「カレンごめん。こんな風になっちゃって、俺の事を想ってくれる人が俺のせいで苦しんでいるんだ。それを考えるだけで俺はどうしようもない気持ちになる。俺が弱いばかりに、本当に申し訳ない」

俺は泣きながら謝ることしか出来なかった。しかしカレンは俺の謝罪を受け取らず 逆に「ユウちゃんは優しいね。私、ユウちゃんのこと信じてて良かった。それにユウちゃんは私のスキルなんて気にしないで、普通に接してくれてたんでしょ?だから、私はね、ユウくんの側にいられるだけでも十分なの。だからこれからも私の事好きでいてくれる?私はいつでもユウちゃんの側を離れる気はないからね?」と、言ってきた。その発言で、俺はさらに罪悪感が増してしまう

「俺は本当に自分が情けないよ。本当にすまない。でもこれからも俺のことを側で支えて貰えないだろうか?カレンのこともちゃんと大切にする。必ずカレンの事も守る。約束する。俺は本当に、カレンには助けて貰うことしかできない。だからこれからも俺のそばに居てくれないか?」と伝えると、俺の顔を見ながら涙を流していたがカレンはとても嬉しそうに

「はい、よろしくお願いいたします。ユウくん。私もあなたの事を支えますので。私こそこれから先も末永く宜しくお願い致します。そしてカレンと呼んでください」

と言ってカレンは俺に向かって笑みを浮かべてくれた その笑顔は今まで見たカレンのどの表情よりも可愛くて美しくそして輝いているようだった

「うん、分かった。俺もユウジじゃなくて、ユウで呼んでくれて構わない。これからは仲間として家族のように付き合って行こう」

「はい、ユウさん」「それで、話は戻るが俺は【勇者】だそうだ。それもかなり強力な力を秘めているらしく俺が本気で振るえばどんな敵でも倒すことが出来るらしいんだ。」

「え?ゆう、いえ!ユウ様はその力を持っているのですか?」サユリの驚きも仕方がないだろうと俺は思った

「ああ、だが今は魔王を何とかしなければならないから今は使えないんだがね?」

サユリは、少しだけ残念そうな顔をしていたが、「はい!私は何があっても、どこまでもお供させていただきますので!」とやる気に満ちあふれた返事をくれたサユリにとても感謝をした そんなやりとりをしているとエリカに呼ばれることになった俺はすぐにその場を離れた そしてカレンを俺の隣に置きながら話し合いをすることにしたのだがその会話にアモンが加わることでカレンがなぜか怒っているようだが俺は全くその理由がわからないのであった 〜カレンSide〜「カレンさん?大丈夫でしたか?いきなりですけど魔王討伐の件は、私達がサポートをしても問題ないのでしょうかね?一応この世界の管理者でもある魔王なのですから、あまり勝手に干渉するのは良く無いと思うんです。だから私が少し調整してきました。」とアモンは言ってきているが、なんとなくカレンには、アモンが何を言っているのかがわかった。

それはおそらくユウとアモンの間に何かがあるからだと思った なのでそれを確信付ける為にもカレンも質問をしてみた

「ねえ?アモンちゃん?あなたはもしかして神界でも高位の位についているのかな?」と聞いてみる

「まあそれなりに高い地位についているとは自負しておりますけど?それが何か?」と答える そこで私はアモンちゃんをユウ君と会わせたくないと感じてしまったの でもここで引き下がるわけにもいかない だから、ここはあえて強気に出ることにしたの

「そうですね、そのくらいの地位の方になら魔王の討伐に協力してもらっても良いですよ?」と伝えると

「わかりました、協力させてもらいましょう。では、今晩ユウさんの泊まる部屋に行きますね?そしてユウさんの実力を見てきます。その時はユウさんと一緒に寝かせてもらうので、ユウさんのベットで寝れることを喜べるように、私からの忠告をひとつしておきます。いいですか?いくらユウさんが強いからって調子に乗ってはダメなのです。私だって負けていませんよ。それではまた夜に伺いますね?」と言ってどこかへ行ってしまった。

それからカレンは、エリカと今後の作戦会議を行うべく2人で話を始めた。

エリカにアモンと会った時にアモンの発言が引っかかっていた事を伝えた上で

「ねぇ、エリカはどう思うの?なんか、あの子の言葉がすごくひっかかるんだ。エリカもやっぱり違和感を感じるでしょ?なんか嫌な予感がすると思わない?なんかさっきはユウくんと二人きりにさせようとしていた気がしてならないの。」

と話すと

「うーん、確かに私にもそういう風に聞こえちゃったのよね。あの子は本当によく分からない存在だから。私としてはアモンという子のことはとりあえず放っておくことにしといてもいいんじゃないかなって思ってるんだけど、どうする?カレンが不安だっていうのであれば、私もちょっと調べるつもりよ?」と言うので私もそれに賛成をした カレンもユウくんを独り占めしたいと考えてはいるが 私達はまだ学生であり結婚をするにしても色々と手続きが必要なはず。まだその事は早いのだから今は何も考えずにエリカに任せてしまってもいいかな?と考える事にした

「そういえばだけどね?カレンは【魅力】って言うスキルを持ってない?持ってたら今から私に掛けてみてくれないかな?」

と言われ カレンはすぐに【魅力】を使いエリカを見つめた エリカは私の事を見つめると「やっぱりそうみたい。そのスキルのせいでカレンの魅力が上がっているわ。このスキルって本当に恐ろしいものね。」

そう言ってカレンに笑いかけて来たのだった そんなエリカをカレンが見つめているとエリカが恥ずかしそうな表情をし「えっとカレン。私の事そんなに見つめなくても良いよ。流石に照れちゃうよ。でもカレンは可愛いから、もっと自信を持った方がいいと思うよ。」

そんな風に言ってくれるエリカは本当に綺麗で、優しい人なんだなぁと思いながらも「私もエリカのこと大好きだよ!」と伝えた。

エリカは顔を赤くしながら私に抱きついてきたので、私達はしばらく抱き合っていた。そんな時、ドアをノックする音がしたので慌てて離れようとしたが離してくれなかったのでそのままの状態で「誰でしょうか?」

「あ、ユウです。少しお邪魔しても良いでしょうか?」と訪ねてくる 私とエリカはそのままでいいかと相談してから、入室を許可した その後3人は、話し合いをした後にユウは「ありがとうございます。明日に備えてゆっくり体を休めてくださいね。俺もカレンの事を頼んだよ。エリカさん、よろしくお願いしますね。それじゃあお休みなさい。」と言い出て行ったので、部屋に残ったのは、カレンとエリカとアモンだった。

エリカがアモンを見ると少し機嫌が悪そうな感じがするので、早速カレンは「ねぇ、あなたも【魅了】が効かないの?もしかしてユウくんも?」

と聞くと、アモンは、ため息をつきながら答えてくれた。

その反応に、少しだけカレンも苛立ったがすぐに我慢をすることにした。なぜなら今は、アモンのユウくんに対する態度のほうが重要だからである。

「はい。そのようです。なので、私からひとつアドバイスです。ユウさんの心を傷つける行為はやめて下さいね?もしそんな行為があれば、私が全力で阻止しますので、そのつもりでいて欲しいのです。それとカレンさん。貴方が私達の味方につくと言うならばその力、存分に使わせて貰いますよ?」

「うん。私はユウくんの事を信じているからね。でもあなたも本当に不思議な方ね。ユウくんは強いだけじゃなくて優しいところもある。そして私の好きなタイプでもあるの。あなたには絶対に渡さないから。覚悟していてくださいね?私はユウくんに、全てを捧げた女なのですよ?」と伝えると、エリカも「あら?そんな事はないと思いますよ?だって私には敵いませんもんね。カレンさんは、自分の事を過大評価しているんじゃないですか?そんなことないですよ?私とユウさんはとても相性がいいんです。ユウさんも私の事を受け入れてくれるって言いますし、もうすぐ一緒になるんだから私が一番ユウくんと幸せになるんですよ?」と言ってきたので、私も引かずに

「それは私も同じです。それに、あなたみたいな見た目だけで男を落とすような人にユウくんを渡すわけにはいきません!」

と言って2人ともユウくんのことを愛していることを伝え合った後にどちらが先にユウ君の一番を獲得できるかの勝負が始まる事になった エリカはユウジに対して恋愛感情は持っていませんが カレンはユウジのことをとても大切にしています。

ただその大切の意味はエリカとは違うものですが、、 そしてユウジとカレンがお互いにユウジと恋人になることを望む中、 魔王は1人で悩んでいる

「くっそ!勇者の力を封じられた上にあんなチートな奴らに敵う訳がない!だがここで諦めてしまえば全てが無駄になってしまう!なんとかあいつらを倒す方法を考えなければ、だが勇者と互角にやりあえる力など俺にあるのか?どうすれば、どうしたら俺の力を引き出せる?そうだ!魔王が勇者の力を欲していたのだから奪えばいいんだ!よし、決めた!俺はまずこの世界を征服するぞ。俺の世界の者共を配下につける為に動き出そうではないか!」と意気込む魔王がこの後どうなったのか?それは魔王しか知らない事であろう 〜カレンSide〜

「ふぅ〜今日はいろいろあって疲れたから早めに帰ろうか?エリカ」

そう言ってカレンは私に話しかけてきた ちなみに私とカレンは一緒の部屋を使っている なので、ユウはいつも通りに宿屋の自室で一人で寝ることになっている 私達二人が寝る準備を終えて寝ようとしたところで、ユウがこちらに来てからすぐに私達に話しかけてきた。

「カレン、エリカさん、今日の事なのですが。魔王のことについてなんですけど、これから俺が倒すのが魔王なら倒し方をしっかり考えておかないといけないと思ってね。そこで提案があるんですけど聞いてくれませんか?」とユウが言ってきたので「わかった。どんな内容なのかな?とりあえず聞かせて?」と言うと

「ええ、それでですね。今回の相手はかなり強力な能力を持っているのはわかっているでしょう?なので、カレンさんの魔法と、エリカさんの剣術、この二つの組み合わせで倒してみるのはどうかと思ったんだけど。二人から見てはいけなかったかな?俺としては二人のコンビネーションはなかなかいいものだと思うんだよ。なので是非使って欲しいと思っているんだ」と言ってくれたので私とエリカは喜んでそれを受け入れた

「いいよ?エリカ、二人で協力しよう?」と声をかけるとエリカはすぐに

「もちろんいいよ。私達なら大丈夫だよ」と言ってきてくれて、 そのあとユウに「ありがとう。私とカレンの力をしっかりと役立てさせてもらうね。」と言ってくれた そして私達は、明日からの行動方針を決め就寝した 翌日 ユウが朝食を作りみんなに配膳した後、昨日と同じように、ギルドへ赴いて討伐依頼を受ける事にした。

今回受注する内容は討伐系のものでは無く、魔獣討伐の依頼を受ける事にした 理由は二つあり、一つ目が依頼内容がゴブリンやスライムなどの討伐依頼が、常時張り出されているからである。これは討伐対象が討伐証明部位を持って来れば討伐完了として受け取れる為だ。

そして二つ目は、冒険者達は、あまり討伐系の依頼は受けたがらないのである。

なぜかというと、魔物を狩るというのはそれなりに危険であり怪我を負う可能性が高いからなのだ。しかし今回はエリカのスキルを使えば安全に、かつ効率よく稼ぐ事ができる。その為ユウが選んだのだが、カレンとエリカは納得してくれた。ユウ自身も特に問題はないと思っていた ユウは、受付で、エリカに、スライム、オーク、ミノタウロス等の肉の素材と、薬草類をたくさん採取してきて欲しい旨を伝えた。エリカは早速行動に移ったのだった。その様子を見てカレンも「ユウくん、私たちも行こう?」と言うことで二人は街へと繰り出したのだった

「ねえユウくん。エリカが戻ってきたら早速お弁当食べようね?」と言って来た。

そう言って微笑む彼女は可愛らしく見えた。その後エリカさんも合流した俺たちは、少し離れた草原地帯まで歩いていった そこは見晴らしがよく周りからの視線に晒されないようにするためと、万が一の事態に備えての配慮でもあったのだ。ユウたちはそこに到着するなりすぐさま【索敵】を使い周囲に他の生き物の反応がないことを確認する。

次にエリカさんは【気配隠蔽】を使い完全に姿を消した。そして、ユウとカレンはお互いを視認出来るようにした。これでもしも何かしらの脅威が迫って来た場合でも対処は容易だろう。

ユウはそう思いながらエリカに目線を向ける。

エリカは既にいつでも戦えるように剣を抜いていた。

そして数分すると、エリカが帰ってきたので作戦を開始した。作戦名はシンプルで【殲滅鬼の殺戮ショー】と名付けた。これはカレンとエリカが、エリカの持っているスキルとスキルを掛け合わせて使用するスキルだ。カレンがエリカを【誘惑】することでエリカの動きを制御しつつ、ユウはエリカの隙を埋めてあげる。エリカも自分の意思に反して動く事で、相手の攻撃を的確に避けることが出来る。エリカの剣戟は相手を斬るのではなく叩き潰すといったほうが適切であった。故に、相手にエリカがどこにいるのかを把握出来ないまま攻撃され続け、そしてエリカの攻撃で徐々に体力を削っていって最終的に力の差で押し勝つというのがユウの立てた作戦だった。

作戦開始後10分が経過し、ついにその時が来た。

まずエリカは、カレンに動きを止めるように指示を出して、カレンが動けなくした所をカレンとユウで仕留めるといった形をとることにした。

ユウが、合図を出し作戦が開始された最初に動き始めたのはエリカからで、エリカは一瞬にしてその場から離脱しカレンの元へと向かい、そのまま【誘惑】で意識を奪ってから、エリカが【転移術】を使って、ユウの元へ行き【空間移動】を使用し、カレンをエリカの元へ飛ばした そこからはエリカが一方的に攻撃を仕掛け、ユウはそれをサポートしていく形になった。カレンは、その戦闘を唖然と見ていた。エリカの強さを実際に体験したことが無いのだから仕方ないのかも知れないが、その強さに驚いていた。

しかし、このままだとジリ貧なのは明らかだったのでカレンも参戦しようと試みた。

カレンはまずユウくんに声をかけてから突撃しようと心に決めた しかしエリカがカレンの接近を察知するとすぐに牽制してきたので思うように近寄ることが出来なかった。

だがそれも想定内である なぜならカレンの目的はあくまでも、エリカに傷をつけずにユウくんの元に辿り着くことにある。エリカの戦闘能力の高さからカレンではまともにやっていても勝てないと判断できるので、なるべく無傷のまま目的を達成する事を優先したのだ ユウの側にたどり着くと、エリカとユウは背中を合わせて戦う体勢をとった ここからが本番だ!カレンは気合いを入れて再びエリカと対峙した ユウは、【念話】を発動して2人に話しかける エリカさん、カレンさん。俺のことは気にせず全力を尽くして欲しい。

俺が、カレンさんの魔法を補助するので、思う存分に力を振るってくれ!と伝えたところ、エリカはカレンに対して あなたには負けません!といい放った後にカレンに向かって突進して行く それに対してカレンの方からもエリカに突っ込んでいく

「私の全力を見せ付けてやる!」

そして戦いが始まった 〜〜 エリカの剣による連撃でカレンを圧倒しようとしていたエリカだったが、カレンに自分の意図した軌道をずらされたりしてしまい上手く攻撃が当たらない。

それを見たエリカは焦って、さらに攻撃速度を早めていったがそれでも攻撃を当てることは出来なかった カレンの方に目線を送ると、カレンは余裕の表情を浮かべていた それどころかカレンはエリカの攻撃を受け流す事に徹しているようで反撃する素振りすら見せていないのである そしてエリカは焦ってしまい、カレンの事を見落としてしまいカレンからの攻撃を受けてしまってから

「あっ!しまった」と言い放ち地面に倒れ伏してしまった。エリカの意識は遠のいて行きその場で倒れた ユウはそれを見て、【瞬間回復】でエリカを回復させた後カレンの【魅了眼】で操っていたスキルを解除するよう指示を出した。カレンがエリカにかけたスキルを解除したところをみて、カレンをエリカの側に移動させ【状態変化】で、二人を同じ場所にいる様に調整してあげた エリカが回復したのを確認したところでユウはカレンに「カレンさん、エリカにさっきの戦いでの事をしっかり謝っておいてあげてくださいね?それと、この事は俺の口外はしない事を約束しますので安心してください。あと俺はエリカさんの治療を行っておきたいので、先にカレンさんは帰っているようにしてください」と伝えると、カレンはわかったと一言告げて、宿に帰るべく走って行った。

〜〜 ユウはカレンを見送ったあと、エリカの治療を始めた ユウはこの前と同じ要領でエリカの体を修復していった 今回は前回とは違ってしっかりと治せているようなのでユウとしては嬉しい誤算であった エリカが目覚めた時に目の前にユウがいるというのを理解した途端、顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうにしているエリカにユウは、

「今回はエリカさんの実力に俺の力を合わせれたと思います。なのでエリカさんの実力ならば魔王を倒す事も出来るのでは無いでしょうか?エリカさんの今後について俺としては一緒に冒険者として行動を共にして貰いたいと考えています。なので魔王討伐の旅に出ませんか?」

エリカは突然の事にびっくりしたが

「わかりました。私はこの世界の人たちを救う為に勇者として選ばれたのです。それを全うするためにも魔王を倒してきます。」と言ってくれたので、それからしばらくしてユウとエリカはカレンと合流しギルドへ報告に行くのであった。

そして、ギルドに着くなりカレンがエリカとユウを連れて奥の部屋に入って行ってしまった 残された私達はいつも通り依頼を受けに行ったのだった。そして、カレン達と別れた後は私達も依頼を受けるために受付へ向かった 今回の討伐依頼は、討伐系の依頼ではなく素材採集の依頼を受ける事にした。依頼主はなんとギルド長のサトルさんで素材を指定の量納品すると依頼達成となるようだ 早速依頼を受けた私たちは王都を出発する前に、サトルさんと打ち合わせをする為、冒険者会館に足を運んだ。そこには既にユウくんが待っておりサナルさんと二人で話をしていた。

私達が声をかけるとユウくんは ユウ カレンさん、今日はよろしくお願いします。そしてルチアちゃんは昨日ぶりだね。

エリカ よろしくね、カレン。それにルチアもよろしく ルチア うん、これからはエリカに色々と教わると思うけど頑張っていきたいと思っているから助けてくれてもいいよ。よろしく。

ユウこちらこそ、エリカの事は任せて。絶対に守り抜いてみせるから。

ルチア う、、うん そして私たちは出発の用意をして、サラルと合流して馬車に乗り込むとそのまま魔境の森へと向かう事になった。魔獣は道中にたくさんいたけれど、ユウくんとカレンが瞬殺していって特に問題はなかった。

そしていよいよ森の入り口に到着するが特に問題もなく進んでいく。

そしてついに目的の洞窟へと到着した。

洞窟に入るとそこは、まるで鍾洞のような造りになっていた そして奥に進むにつれだんだん道が狭まり、最終的には、三人がやっとすれ違える程度の細めの通路になっていました。そこをしばらく歩いているとようやく出口が見えた。しかし、その出口には無数の魔獣が待ち伏せしており一斉に飛びかかって来たがカレンがそれを難なく撃破すると先へ進む。

そうしてしばらく進んでいるとまた、同じような細道を抜け大きな空間に出ることができた。

そして、そこで待ち受けているのは巨大なワーム型モンスターだった。

体長は15メートルくらいだろうか。その巨大さに皆息を呑む。

その巨大さゆえに攻撃を当てるだけでも難しいのに その上、硬いのでカレンの炎属性スキルだけでは倒せないだろうと思い、【魔力弾】を数発放つがやはり大したダメージを与える事が出来なかった それどころか、相手はその攻撃に苛立ったのか凄まじい勢いで向かってくる そしてその攻撃をなんとか受け止めることが出来たのはユウの固有スキルのおかげだろう。そしてその隙にエリカがユウの元へ向かい、剣戟を叩き込んでいく。しかし相手の皮膚もかなりの強度を誇っているようでダメージが通っている様子がないが ユウは剣が当たる直前に自分の腕が斬られる寸前で止める事に成功していたのだ。それによりエリカの剣戟の速度が鈍り その間にワームの口から溶解液が大量に放たれるがユウのスキルによって防がれてしまう。しかしその攻撃を防ぐのに全ての魔力を消費してしまったユウは再びカレンが相手をする事になり ユウの【身体再生】を使い傷を癒して戦闘に復帰するという戦いをずっと繰り返しているうちにカレンは、相手が弱ってきたことを確認すると、カレンの持っている中で1番強力な火焔魔法の詠唱を始めると その魔法を発動する そして、その威力は絶大で一撃で倒してしまう程の強さで そのままその魔族は蒸発してしまいその体の中から宝箱が出てきた それを手に取ると中身を確認した後に蓋を閉じカレンに渡すとそのままアイテムボックスの中にしまい込んだ それを見たエリカが少し残念そうな顔でユウの方を見ると、ユウが エリカが倒したからいいんだよと、優しい口調で諭してくれた カレンはそれを聞いてすぐに嬉しそうな表情でエリカの元へ駆け寄りエリカに抱きつくのであった エリカはカレンの行動を微笑ましそうに眺めると頭を撫でていた こうして私たち4人は無事にこの依頼を達成することが出来たのである それから数日は順調に進んでいきとうとう魔王城にたどり着く カレンはここの門兵を倒し中に入ろうとした時カレンの前には一人の少年が立ち塞がった。その者は黒いローブを身につけており、右手に大きな本を持っていた。カレンがその者に敵意を見せるとカレンと相対している人物、魔王はこう言った。

お前は誰だ!何故邪魔をしてくる!私はエリカに用があるのだ!と叫ぶ。

それに対してエリカが口を開き あなたが何を言っているのかわからない。私はこの国を救わなくてはならないのだから。早くどきなさい。

とエリカが冷たく言い放ったがそれに対して エリカさんが、何を言い出すんだ?あなたは騙されている!この僕こそがこの世界を支配するにふさわしいのですよ?あなたはもうこの世界にはいらないのです そして魔王は手に持つ本を片手に持ちエリカを殴ろうとする その瞬間ユウがエリカを守るべく間に割り込み剣を抜き放ち剣撃を弾き飛ばした。それを見てエリカも慌てて後ろに下がり自分の剣を構えなおすとユウの隣に立った それを見て、ユウは魔王に対して言葉を投げかける。君が何者か知らないが俺の大切な人に手を出そうというならば 俺は容赦はしない。

魔王 なんだ!貴様は!!俺は今忙しい!消えろ! ユウ はぁ?俺の話を聞かないって事かな?俺の質問にも答えずにエリカさんに危害を加えようとしたよね?じゃあいっさいしょうめんだよ。エリカにこれ以上何かしようとするならば、ここで殺させて貰おうか?エリカが悲しまない内に死になよ。エリカをこんな奴の好き勝手にさせられないからな カレンは魔王の言葉を聞くやいなやその身に宿る強大な魔力を解き放っていた カレン 私は魔王を殺すだけ。ユウに手出しさせるつもりはないから、魔王よ覚悟しておきなさい 魔王 ほぉ?この俺に歯向かうというのか?俺がこの世界に召喚された時に手に入れた魔王の力、これを見せてあげよう。【魔眼】

魔王がそういうとユウに近寄って来る 魔王 ふはははははは ユウ は?俺に何する気? カレンが俺を守るために飛び出してきたその時、俺の中で何かが起きた。

(あー、あれ?俺はいったい?俺は、カレンの側にいたはずだよな?ここはどこ?確か俺はエリカを庇って魔王の攻撃を食らって死んだんじゃなかったっけ?)ユウは自分の置かれた状況がわからず困惑していた。しかし周りを見渡しても何も見えなく、暗闇の中に一人立っている感覚だ。

そして、しばらく経つと ユウ 俺、どうなったんでしょうか? すると 女神 よしよし、落ち着いて聞いて下さいね。あなたの命は既になくなっていますよ。そして私はあなた達の世界での言い方をするならば、神と呼ばれる存在です。私はあなたの行いをみて素晴らしいと思って、転生させたいと思いました。あなたはエリカさんの為に必死になってくれていましたね。とても感動しました。

ユウ あの、なんの話ですか?全く話が読めないのですが。それと、どうして死んだんですかね?まさかカレン達に何かあったとか!? 神様 それは心配ありませんよ。あなたが死ぬ直前に私が現れたのです。そして私があなたに力を与えたのです。あなたに授けた能力は、固有スキルというものでして、その効果は無限に近い魔力と、全ステータスを倍に上昇させる効果と、【限界突破】そしてあらゆるスキルの効果と熟練度を向上させるというものでした。

ユウ そんな凄まじい能力を付与してくれてたんですね。ありがとうございます。

神様 えぇ、そしてあなたはエリカさんのために頑張りすぎちゃいました。本来勇者とは一人で戦う物ではないのですよ。それなのにユウさんは勇者としての力をフルに使って戦ってくれていたでしょう。そのせいであなたは死に至ったのです。なので私も反省しています。エリカさんには本当に申し訳ないことをしてしまった。そしてあなたはエリカさんが死んでしまった事で絶望に沈んでいますがエリカさんが助かる可能性はまだ残されています。しかし私の力でもエリカさんを救える保証がなかったので、今回は特別に、私が直接救いに行きます。そして、その世界の魔王が私の知り合いなので、どうにか説得を試みてきましょう。そしてエリカさんの救出が失敗したとしても、ユウさんには生き返る機会を与えてあげたいと思います。ユウさんにはその資格があります。

ユウ なんでそこまでしてくれるのですか?エリカを助ける為に来て下さるのに。しかも失敗すれば俺に生き返る権利を与えてくれると言ってくれるなんて 神様 はい、そうしなければあなたは立ち直れないと思ったので。そしてユウさんはエリカさんの事、カレンさんの事を心から愛してくれていたので。

エリカ あら、私もユウを愛しているのだけど、カレンちゃんも好きなのよねぇ。だから助けないとね カレン ちょっとエリカ何言ってるの!私はユウなんかに愛情なんて抱いてないから!ユウがそんなこと言わないで!ユウが誤解するじゃない! ユウ 大丈夫、俺はわかってる。俺もカレンが大好きだぞ! カレンは、顔を赤くするとそっぽを向いて カレン バカ、ユウのばか。それで、結局そのエリカが助かるための方法は何なのか教えてもらえませんか? 神様 その方法ですが、魔王が持っているアイテムの中に異世界へと移動できるものがあるのです。それを使ってユウさんとエリカさんは二人で別の世界でやり直してください。そのアイテムはこの世界のとあるダンジョンの最下層にある宝物庫に眠っていてそれを入手できた者は、一度だけその道具を使用できると言い伝えがあるのです。

ユウ わかりました。では早速お願いします。

そして、俺とエリカは白い空間を抜けるとその次の瞬間俺は光に包まれて意識を失ってしまった。そして目が覚めると、俺の目の前にはカレンがいた。

カレン ユウが生きてる!良かった、もう会えないかもって思ってたから ユウ カレンが泣いてる、嬉しい。

俺はエリカさんに、抱きしめられた。すごくいい匂いで心地よい気分だった エリカ カレンも泣き止んだ?もう、大丈夫?私達が生きているって事はきっと上手く行ったのよね? カレン そういえばそうだ!ユウは無事なんだよね?ユウ!起きて! エリカ そうよユウくん、起きた方が良いわ。私はエリカよろしくね。

ユウは目を開けるとそこにいるのが、カレンだと分かり抱きついた カレン ユウ、苦しいよ。でも、よかった、本当に エリカ ふぅ。これで一安心ね。カレンはずっとこのままにしておいてあげるから。ユウももう少しそのままでもいいから、カレンを離したくないでしょ? カレン う、うん そしてしばらく経った後ユウ達はエリカの部屋に行くとカレンは、エリカに事情を聞いていた。俺が魔王の持っていた転移装置みたいなものを使った際に何故か二人一緒にここに飛ばされて来た事。

ユウは二人が生きているならもうなんでも良いと思っているので二人の会話を聞いていたが、俺も色々と気になっていたことを確認するため話に加わろうと声をかけた。

ユウ エリカさん、俺はこの世界に召喚される前はどこにいたか思い出せないんだけど、どうしてだと思う?それとカレンが着ているこの鎧なに? ユウはエリカとカレンの装備が変わっており、それが魔王との戦いの中で変わったものであることは分かっているのだが何故変化したのかが分からず不思議に思っていた。

そして、エリカは俺が元いた場所を覚えていないことに驚きながらも丁寧に説明してくれた。まずは俺についてだ、この世界に俺が来た時の状況だ、俺は学校の授業中に魔王が放った魔物が突然現れ生徒と先生を皆殺しにしたのだ。その魔物が放ったスキルが【闇魔法】というものだったらしい。俺も実際に見たことはないし、俺自身が使った覚えがない。そして次にカレンだが、彼女は学校の体育館に魔物が現れるまで俺と一緒で普通に生活をしていたようだ。俺が召喚された日は、俺と同じ様に学校から帰っている最中だったという。そして、その途中で俺が襲われた時に、カレンが偶然通りかかり魔物を一瞬で倒してくれたという。カレンはその魔物に少しの間苦戦していたが何とか倒せたようで、俺が召喚された直後にはカレンも俺と同様に気絶しており気がついた時には俺が倒れており魔王も居なくなっていたそうだ。そして俺が気を失う前に最後に聞いたエリカさんの声を聞いてすぐに駆け寄ったらしい。そして俺は目を覚まし今に至るというわけだ。そして俺は、今気になったことをエリカさんに尋ねた ユウ ところでその格好って何か意味あるの?それに、武器もその剣だけだし、カレンのは何か強そうなのがわかるけどエリカさんは何に使うのかな? カレン それはね、今話したことと関係があって、実はね私達って魔王を倒したのよ!それで、私も強くなっちゃってさ! エリカ 私もよ。それと、カレンが持ってるその剣なんだけどね、その武器はね勇者にしか使えないのよ、でも勇者の証みたいなものはあった?それさえあれば、その装備は身に付けることが出来るの。

ユウ なるほど。じゃぁ俺はその証を持ってないからまだ俺は勇者じゃないんだろうね。それとも既に持っているとか、まぁどうせ俺はカレンの為だけに力を使いたいからなれるもんならなりたいとは思うがなれないなら仕方ないしなぁ。俺は勇者とかよりカレンの為に力を使う方を優先したいんだよ。

俺はエリカさんとの話を終えるとお腹が減っていたのでキッチンで料理を作ることにして、食材の確認をしているとカレンが俺の後ろにぴったりとくっついて来て、耳元で囁いた カレン ユウ、ありがとう。

ユウ お礼を言うのは俺の方だよ。カレンのおかげで、今の俺がいるわけだし。俺一人だったら、きっと何も出来ずにあの世行きだ。本当に感謝してる。だからさ、これからは俺が必ずお前を守る! 俺達は食事をした後風呂に入って疲れを取る事にした。ちなみに、俺達の住んでいたところとは違うので、俺達が住んでいるこの世界では、男女の混浴が許される国もあるらしく俺の世界でもそうならないとは限らないが俺自身はそういうことが嫌いなので別々に入ることになった。そして、エリカさんが一緒に入りたかったと言っていたのだが、俺は、カレンと一緒に入った方が絶対に楽しいからと言いくるめて、無理やり俺だけ入る事になったのだった。

その後寝ようとしたのだがなぜか布団は2つしかなくカレンと添い寝することになってしまった。俺は緊張してあまり眠ることが出来なかったが、そんな俺とは裏腹にカレンはぐっすり眠っていた。そんな感じで夜を過ごした 朝起きると俺は、エリカさんの胸を触ってしまったことに気づき動揺してしまった。しかし、カレンが先に起きて、俺の手をエリカさんの胸に持っていっていた。俺はカレンを見るとカレンが恥ずかしがっていたので俺は、カレンに微笑みかけた エリカ 昨日の夜からユウくんのこと好きになっちゃったみたい。私、こんな感情は初めてだけど、この人が欲しいなって思っちゃってるの。だからねユウくんに責任取ってほしいって思ってる。私の初めての相手は、もちろんユウくんだよ。私ユウくんに全部をあげるから。だから私を抱いてほしいの。ユウくんが私を女として見てくれるようにもっと頑張るから。ユウくんを虜に出来るくらい可愛くなるから。ユウくんの彼女になりたいの。ダメかな? ユウ わかった。俺はエリカさんの事を好きになっても良いんだよね?俺もエリカさんの事がずっと好きだった。カレンとエリカさんどっちか選べなんて言われても俺は絶対に決められない。二人共大切だから。俺は、二人のことを同じぐらい好きなんだと思う。それでも良いなら、俺が二人のことを愛してやるよ!俺は二人とも幸せにするって決めたから。

エリカ 本当?良かった。それじゃぁ私、ユウの初めて貰うわね。

そして、俺は生まれてから16年守り続けたものを、ついに失う時がきた。それは人生においての最高の喜びでもあり、それと同時に不安にもなる瞬間でもあるのだと俺は身をもって体験することになる。エリカの体は俺が初めて感じるものだったが、カレンとエリカさんの体を比べるとやはり違いがあったのでカレンとは経験済みだということを伝えたかった。俺はカレンに、こんなことを聞いてみた ユウ カレンはエリカさんとの行為を始めて見るのは嫌じゃないか? カレン 大丈夫。ユウなら、私は気にしないよ。ユウなら見られても良い。ユウになら私のすべてを見せられても全然良いと思ってるから。でも、エリカには負けないから! 俺はそう言ったカレンを見て、心の底から可愛いと思った。俺の心の中で、二人に対する気持ちに優劣はないのだろう。でもカレンと付き合って行くのに、エリカさんへの想いを忘れる必要はないが、優先し過ぎてはいけない。カレンを大切にする事はもちろん忘れずにエリカさんにも優しくしたい、そんなことを俺は思った。

俺はカレンとエリカさんに挟まれる形で目を覚ました。俺はエリカさんに、キスされたのだがエリカさんがカレンの前で俺にキスしてきたものだからカレンは少し不機嫌になってしまっていた。カレンが嫉妬してくれたのが俺は嬉しかった。俺はそれから三人仲良く朝食をとり、買い物に出かける準備をしていた。俺は今日買うべきものを決めていた。まずはカレンにプレゼントするもの、これは指輪である。俺はまだカレンにプロポーズ出来ていないのだ。カレンは、この世界に飛ばされた時に魔王を倒せば元の世界に戻れると思っていたが実際は違ったのだ。しかし、俺はいつかは必ず元の世界に戻るのだと決めているのだ。その時までに俺は、必ずプロポーズをするつもりだったのだ。次に俺とカレンとで必要なものを買いに行く。

カレンに何を贈れば良いのか分からなかったからエリカさんに相談したらカレンが身につけているような鎧とかが良いと言われたので俺もそうすることにした。

次は、ルチアのものである。ルチアは見た目も性格も幼い女の子だ。そのことから、服や靴、鞄などの小物を買ってあげたいなと思っている。

俺が悩んでいるところに突然声をかけてきたのがカレンだった。その言葉は、意外な内容だった。

カレン その前にユウには私から渡してあげたいものがあるの!ちょっと目を瞑ってて欲しいな。絶対に開けちゃダメだよ! ユウ 分かった。絶対に開けないし、そもそもカレン以外の女の人からの贈り物は絶対に開けないよ!俺が信用できる人以外はな!俺が目を開けるとカレンの手の中にはネックレスのようなものが見えた。

ユウ 何これ?凄く綺麗なんだけど。それに俺が見た事もないようなものなんだけど。

カレン それね。それはユウと私が出会った日にユウと私に着けられていたもので私たちがお互いのことを認識するためのものだったのよ。そしてそれを二人でお互いに身に付けているのよ。私達とあなたたちを繋ぐものとしてね。だから大切に持っていて! 俺が、カレンにそう言われてそのネックレスを着けようとするとカレンに止められてしまった。

そしてカレンは自分の指にそのネックレスをつけながらこう言ってきた。カレン ねぇ?私ってやっぱり魅力的かな? ユウ あぁ!めちゃくちゃに魅力的だと思うぞ!だってお前は俺が知る中で一番の美少女なんだから。

カレン ふぇ!?ユウがそんなこと言ってくれるなんて嬉しいな。私ユウにだったら抱かれてもいいって思ってるの。カレンをユウのお嫁さんにして欲しいの。だからカレンの事大事にしてね! 俺とカレンは買い出しに行きその日は何事もなく終わることが出来たのであった。俺は明日はルチアに何かプレゼントしようかと考えていたが特に考えつかなかったのでまたエリカさんのところでアドバイスをもらうことにした。俺はいつも通りに学校に向かうため、玄関に向かい靴を履いているところでエリカさんに声をかけられた。

そして、そのまま外に出ようとしたが俺はエリカさんに手を引っ張られ家の中に引き返させられた。そして、俺に近寄ってくると頬に触れながら耳元で、囁くのであった。

エリカ もう我慢出来ないの。ねぇ?今すぐ抱きたいんだけど、いいかな? ユウ うん。

俺達はベッドで横になっていた。

エリカ それじゃぁ入れるね?痛いけどすぐに楽になるから頑張ってね。私はユウと繋がれてとっても幸せ。だからこれからずっとユウは私だけのものなんだから。

俺はエリカと行為を行いエリカと俺はひとつになれたのである。そのあと俺はカレンのことを考えていてあまり集中出来なかったが、エリカが優しく接してくれたおかげで最後まですることができたのだった。

俺は、エリカさんと結ばれてからカレンにプロポーズしようと考えたが、どうせならカレンの故郷に行こうという事になった。そこでカレンの故郷の村の近くの森まで空間転移を使い向かったのだった。そこは魔物はおらず自然豊かな場所で、とても穏やかな村で平和そのものの場所だったが、そこを魔王に支配されていたらしく、カレンの家族が行方不明となっていたのである。

そして俺とカレンが、森の中にある洞窟の入口の前に立つとそこには一人の老人が立っていて俺達のことを待っていた。俺は、警戒しながらゆっくりと近づいて行くと、カレンの祖母とわかる人が俺の方へと向かってきたのだった。俺はカレンの方を向いてカレンの名前を呼んだ。するとカレンが、駆け出してくると俺の胸に飛び込んできた。俺はカレンを受け止めて抱きしめた。そして、俺の目の前に立っていたカレンのおばあさまと思われる人に話しかけるのであった。

ユウ あの!お、俺!カレンの、は、はは、花嫁候補でしてカレンの事をずっと見守っていました! そう言うと、俺は膝を地面につき両手でカレンの祖母に土下座をした。そんな様子をみたカレンのばあさまはとても驚いていた。

エリカ えっ、ユウが私のお母さんなの?そんな気がしたんだよね。なんでかは分からないんだけどね。でも、そっか。そうなんだ。私はユウの娘なのね。私ねユウのこと大好き!だから結婚する。私はユウの妻になります。だからユウ!早く結婚しよう? そう言いながら、エリカさんは俺を立ち上がらせると俺の腕にしがみついてきながら笑顔を向けてくるのだった。

ユウ 俺とカレンとが結婚したらエリカさんのことも義理の母と呼ぶことになるんだよ。だからカレンを頼むよ?俺の大切な人だからさ。

カレン ユウも私の家族だもん。当たり前じゃん!だからユウも、ちゃんとお仕事しないとダメだからね? カレンがそう言うと、俺の頭の上に手をおき、頭を撫でてくれるのだった。

俺はその後カレンの故郷に行くと俺とカレンが、結婚していると言うことを報告してきた。しかし、村長のおじさんとエリカさんの母親からは、まだ結婚するには早いと言われたが俺とカレンとなら絶対に大丈夫と、俺とカレンならきっとこの先もうまくやっていける。俺はカレンと一緒に幸せになれると確信しているので俺達のことを認めてもらう為に必死になって説得し続けた。しかし、カレンの両親の反対を押し切ってカレンと結婚するのには条件が出されてしまった。俺達がこの村に住まわせてもらえるようになれば良いというものだったのである。

俺はこの世界に来て初めて、自分の力で問題を解決しなければならない局面を迎えていたのである。俺の力でカレンを幸せにできるならいくらでも協力するつもりでいるのだ。そして俺はこの村にカレンと共に永住することを目標にこの世界の人たちの力を借りることになったのである。まずは、俺がカレンと愛し合っていることを見せつけるためにカレンと俺が二人っきりで暮らしていく。カレンが嫌がれば俺はカレンに無理強いすることはしないつもりでいるのだ。

俺とカレンとが結婚の約束をしその証として俺が、カレンに指輪を贈った後にエリカさんにも指輪を買ってあげると伝えたところカレンもエリカさんに買うと言ってくれたので一緒に買うことが決まったのである。その日はカレンの家に泊まることになったのだが、何故か三人で同じ部屋に眠ることになったのだ。

俺の左にカレンが寄り添う形で眠っている。そして右にはエリカさんがいて俺は左右から抱きつかれていたのである。俺としては両側から美少女に挟まれてドキドキが止まらなかったのであるがカレンと、カレンの母親が話していることを聞いてしまい、俺は心の中で涙を流していた。カレンとカレンの母は、こんな会話をしていたのだ。

カレンの母 カレンの婿さんはとっても優しい人なんだなぁ。

そうですね。ユウくんはとっても素敵な男の子なんですよ!私、カレンのお母さんとはお話ししていましたがこうして近くでみると本当にユウさんはいい男ですよ! カレンの父 カレンに彼氏がいたことにびっくりしたがな。カレンがそこまで入れ込むほどの相手なら間違いないな。しかしだ。俺もまだ納得は出来ていないぞ!ユウとやら!娘と真剣に付き合ってもらっているのだろうな!もしそれが中途半端なことをしているならば、カレンを連れて今すぐ帰るんだな! そう言ってユウを威圧してくるカレンの父親に、俺の隣にいるエリカさんが俺の代わりに答えてくれた。

エリカさん カレンのパパ、ユウさんを試さないであげて。あなたには申し訳ないんだけどね。

ユウさんの気持ちはもう決まってるからカレンとの結婚を認めてほしい。ユウさんは私が絶対にカレンを守るわ。私にとってカレン以上に守りたい人なんてこの世にいないの。

俺は、そんなカレンとエリカさんのことを嬉しく思う反面悲しかったのだった。カレンの父親はそれでも許そうとしなかったのだったがカレンの一言で俺とカレンとが結婚する事を許してくれることとなったのである。

カレンの祖父 カレンに好きな人ができてよかったなぁ。それにカレンの選んだ相手がカレンよりも年下で良かった。これだとカレンはもう子供を産むことができる年齢なんだろ?孫がたくさん出来るのが今から楽しみだよ。

カレンの祖母 カレンのお父さんが心配性すぎるのよねぇ。あなたがユウさんなら私は認めてあげられる。だけどね、カレンはまだ学生だしもう少しだけ待ってくれると助かるなぁ。私は、エリカがユウ君と結婚しても良いと思っているからね。それにあなた達はとってもお似合いよ。

そんなやり取りがあってから数日が経ち俺は、今日もカレンの村へ赴くためにエリカと、カレンとともに家を出たのであった。

俺が、エリカとカレンと共にカレンの実家へ向かって歩いている最中に、突如空から大きな光の柱が現れたのであった。

俺とエリカはその現象を見ると驚き声を上げてしまっていた。

カレンの両親と、村の長老が慌ただしく動いているところに俺達は到着した。

ユウ あの!一体なにがあったんですか?!何が起こってるのか教えてください!俺、なんでもしますから!俺は慌てていたこともあり少し強めにカレンのおとうさんに向かって叫んでしまったのである。

すると、俺とカレンに村の人達の視線が集まるとみんなが俺達に注目を始めた。

カレン あ!えっと、あ!そうだよね?ユウのことが気になるんだもんね?でもごめんね?今はちょっと難しいと思うの。また落ち着いた時に説明するからその時まで待ってもらえるかな? 俺はカレンの発言に疑問を持ちながら、俺はカレンのおとうさんの方を向いて言った。

ユウ すみません! 俺が謝るとカレンの両親はお互いの顔を見合わせて、俺の方に向き直った。

カレンの祖父 ユウよ。こちらこそすまない。この騒ぎをどうにか鎮めたらお前達には説明しようと思っていたのだが、それよりも早く知らせなければならない事態が起こったので先にお前達に伝えたほうがいいと思って急いで来たんだ。しかし、これは我々では対処出来ない事が起きたかもしれないので、一度村の外にある城に戻ってほしい。詳しいことは後でエリカと一緒に説明しよう。だから、今は言うことを聞いてくれるか? 俺は、カレンのおじいさんの話を聞いてこの場で聞くことを諦めカレンの手を握り村をあとにする。そして空間転移を使い王都まで戻った。そこで、カレンを俺の家まで送ることにした。

俺は、カレンが家に入っていくのを確認するとすぐに転移を使い魔王城に転移した。そして魔王城の玉座の間へと転移するのであった。そこには俺以外の全員が集まっていた。魔王とカレンのお母さん以外は、全員が緊張の面持ちでその場にいたのである。俺はカレンのことをエリカに任せてから、皆が居る方へと向かって行く。すると魔王が俺のことを呼び止めてくる。

魔王 ユウよ。お前の魔力を我に見せてくれぬか?お前に渡したあの指輪でだ。

ユウ あの指輪ですか?わかりました。

そう返事をすると俺は、左手の薬指から指輪を抜き取り、右手でその指輪を掴むとそれを眺める。すると俺の目の前にあの時見たステータス画面が表示された。

俺は、それを見ながらその表示に表示されている内容を読み上げてみることにする。

名前 ユグドラシル=エルファシア 性別 男性型 レベル 301(神格10)

職業 破壊の神 生命力 ∞/∞ 体力 0/0 魔導力 258,329,237 物理攻撃力 100,000 魔法行使値 102 防御力 50,000 耐久力 100/100 固有スキル 【絶対支配】【完全回復魔法LV9999EX】

エクストラスキル 無し 特殊技能 神の器 加護 なし 状態異常 呪い

(呪印 闇)

能力 【全能付与 MAX】【全能譲渡 MAX】【超再生LV9999】【限界突破LV9999+ MAX】【成長促進 L V9999EX】【自動経験値増加量増加 L MAX LV 1000 EX 】【自動進化】【獲得経験値倍化 MAX】

俺が、自分の能力を読み上げ終わると俺の周りには光の粒が集まり始めて、次第に人の形へと変化していった。俺はそれがなんなのかを理解して、それが完全に形成されるのを待ってから言葉を発する。

ユウ お待たせしました。どうぞ、これで大丈夫でしょうか? そう言うと俺は魔王の前で膝をつく。

魔王 ははっ!やはり、この目で見るまでは信じきれなかったのだが、こうして見ると納得だな。この世界に存在するあらゆる種族の者の頂点に位置するのに相応しい男になったではないか! ユウ はい。お褒めの言葉ありがとうございます。

俺は、素直に嬉しかったので笑顔で礼を言うと立ち上がった。するとカレンが突然俺の手を取って、目を輝かせていたのである。

カレン すごい!!ほんとに神様なんだね!ユウが、ユウじゃないみたいだ。カッコイイよ。

ユウ そんなこと言うなよ!恥ずかしいだろ! 俺は照れくさくなりカレンに顔を見られまいと横を向くが、カレンに頬を掴まれ無理やりカレンの方を向けさせられるとカレンがキスをしてきたのである。その光景を見ていた魔王が呆れたような口調で話し始めた。

レイラ カレン?あなたねぇ。そんなにユウさんにべったりくっついてると他の女達に妬かれるわよ? カレン え?あ!そっか!そうかも?だって私にはこんなに可愛い奥さんが居ますって見せつけないと駄目だもんね? カレンは、嬉しそうに俺の腕に抱きついてきたのである。すると魔王も微笑みながら言った。

ソフィア まあ、いいでしょう。それにしてもユウさん?その姿、かなり凄いわよ。

そう言って俺の姿をまじまじと見つめ始める。俺の姿だが先ほどよりも身体が大きくなっていたのだが、顔つきや髪の色も変化していたのである。俺としては特に気にしていなかったのであるが周りからは違うように見えているようだと理解した。俺はそんな周囲の様子を確かめるとカレンに声をかける。

ユウ なぁカレン。ちょっと確認したいんだけどさ。俺の目、なんか赤くなってないよな? カレン ん〜ちょっと赤っぽい感じだけど綺麗だよ!私の大好きなユウの瞳だからね! ユウ やっぱりそうなんだ。実は、カレンにも内緒にしていることがあって。それが今、俺の眼に起きている事と関係してるんだけどね。ちょっと、確かめさせてもらってもいいかな? 俺はカレンに確認を取るとそのままカレンのことを持ち上げて、俺の胸の上に持ってくると、そこでカレンを抱きかかえる。

カレンは最初びっくりしていたが嬉しそうに笑ってくれたので俺は安心した。俺はそのカレンの背中に腕を回してから俺はカレンの頭に顎を乗せてからカレンに話しかける。

ユウ カレン、ありがとな。これからは俺に遠慮なく何でも言ってくれていいからな。それに今度一緒にお風呂入ろうな。約束な。俺はそう言いながら頭を優しく撫でてあげたのだった。

俺はカレンを床に置くと、魔王の方を向いたのである。

ユウ すみませんが、少しいいですか?あなたに聞いておきたいことがあるんです。あなた、俺の事が嫌いでしょ? 俺がそんな質問をぶつけると、少し驚いた表情をする魔王だったが直ぐに元の無表情に戻るのだった。俺はそんなことを気にすることなく言葉を繋げる。

ユウ 俺はこの世界にやって来てあなたが何かをしているところを見ているんですよ。この国とあなたと俺との間には見えない繋がりみたいなものが出来ています。それはあなたと、俺との間で交わされる会話のようなものですね。それで俺の事を観察したり調べたりしているんだとわかったわけですが、なぜ俺の事を嫌うのかわからないので聞かせてください。それに俺とあなたの力の差を考えるとあなたが本気を出したなら俺を殺すことなど容易かったはずなのに、それをしなかったことも気になりました。なので教えてください。俺は何があってもあなたの敵に回るつもりはありません。ただ理由を教えてほしいだけです。俺はそれだけ言うと黙り込むのであった。するとカレンとソフィアが、俺の横に立ってくれていた。

魔王 ユウよ。貴様はこの世界の王になりたいか? 俺は魔王がそんなことを聞いてきたので、俺には王になる意志がないと告げることにした。

ユウ 魔王、俺は王様って器じゃないんだよ。俺は俺らしく生きていきたいと思っています。誰かの下に付くより俺は皆と肩を並べて戦いたいんだ。それに俺に王は無理だと思うよ。

俺の発言を聞いたカレンが、魔王に問いかける。

カレン ユウに王の資格があるかどうかは別として、ユウにその資格が無いとは思いませんけど、魔王の貴方でもこの世界を支配できるのですか?ユウが王にならないのであればこの世界を支配する必要はないんじゃないのですか? 魔王 この男は我が見込んだだけあって面白い存在でな。今は人間という小さな枠組みの中でしか生活出来ぬ矮小なる種族でしかなかった。我はずっと奴らが愚かで救いようのない種族だと決め付けていたがその考え方を改めるきっかけを作ってくれたのだ。その切っ掛けをこの男が作ったからこそ今の我がいると言えるだろう。我は、この世界にはもっと大きな可能性があると知り、今までは興味のなかったこの世界の歴史を学ぶことに精を出すようになったのだよ。この男の存在がなければ我の視野も広がることはなかったのであろう。それに今では、この男が望むことはできるだけかなえるようにしている。だからこそ、今回の事に関してもユウを試しただけだが、それでもこの世界には新たな風が必要だと思ったのでな。まあ、そんなことを話していても意味がないだろうが、とにかく我には、この男が必要なのである。ユウに我を倒す覚悟が出来たならば、我はユウの配下となりお前の願いを叶えよう。そしてもし、ユウの心に野心が生まれるようであらばお前は間違いなく王になれる素質を持っているから心配せずとも良い。その時が来たら、この世界を手に入れるなりなんなりするがいい。それが出来るのであれば、我の全てをお前に預けても良いぞ。ただしこの世界ではユウ、貴様にも制限をつけるからそのつもりでいるがよい。まあ、この男のことだ。制限など気にせず好き勝手やるであろうがな。だがユウ、覚えておけ。この男を従えるということがどういう意味を持つのか、その意味を考えてから答えを出すがいい。ユウよ。もしも我の力を必要としたときはいつでも呼ぶが良い。必ず助けてやろう。だがな、その時はそれなりの報酬を用意するのだぞ? 俺は魔王が言っていることを真剣に考えるのである。俺としては、カレンさえ居てくれれば良いのだがカレンの為にも自分の力で世界を変えて行くべきなのだろうと、改めて思うのである。そうして俺の考えがまとまったのを見て、魔王が口を開く。

魔王 さてと、ユウ、そろそろ元の姿に戻った方が良いのではないか?それと、そこのカレンとか言う娘はこちらに連れて来い! 俺は魔王の言葉に従って自分の身体が本来の姿に戻っていくのを感じる。そうすると俺とカレンを囲んでいた魔法陣のような物が光を放ち始めた。その魔法陣は徐々に小さくなっていき光が消える頃には、いつものようにカレンの隣にいたのである。すると、魔王が話しかけてくる。

レイラ ユウさん、カレン、二人共おめでとう!お二人の結婚式、私たちの世界でも是非やってくださいね。私はそう言い残してソフィアと一緒にこの場を離れていった。

ソフィア 私達はこの国の守護者として色々と手続きなどがあるから、また今度ゆっくりお話ししましょう。私達も後片付けがあるので、今日はこれで失礼するわね。私達の事はお父様には内緒にしておいてくださいね?よろしくお願いします。

レイラ はっ!私達がお父様を騙し通すことくらい簡単なことですわ!それよりもお姉様、ユウさんのことはしっかりお世話してくださいね?私、ユウさんのことを全力でサポートするつもりですの。これからが楽しみだわ!ふっ!ユウ!あなた、私の旦那になった以上カレンちゃんの手を放したら承知しないからね?わかったわね?カレン ユウ はい!わかりました。カレンのことは必ず幸せにしたいと思います。

俺は魔王に向かって返事をするのだった。魔王はそんな俺に優しい視線を向けてくれたがカレンは俺のことを睨みつけるようにしながら魔王について行ったのだった。

魔王城での謁見が終わり俺とカレンが宿に戻る道中、カレンがこんな話を始めた。

カレン ねぇ、ユウ、あのね?さっきの話なんだけどね。私、ユウが本当に王様になんてなったら私、ついていけないと思うんだ。

カレンはいきなり俺の腕にしがみついて、俺を見上げながらこんな話をしだすのである。俺はそんなカレンのことを微笑ましく思っていたのだがカレンは真剣に話し始めたのだった。

カレン ユウにはやっぱり自由が一番似合ってるよ。だからユウが王になろうが、王様になるのが面倒くさいって言っても別に気にしたりなんか絶対しなから安心して?私がついて行かないからってユウが王様になって他の人に偉そうな顔されるのは凄く嫌だけど、でも、ユウなら仕方ないって納得できちゃうし、だからユウは気にせずにユウが思った通りにやればいいんじゃないかな?まあそんなユウの姿は見てみたいかも?それに私ね、さっき魔王がユウに言った言葉をユウが否定した時ね、凄く嬉しかったんだよ?私のユウが魔王にも認められるんだなって実感できたの!だからユウ、私の事を好きで居続けてくれるんであれば絶対に私の傍から離れないでね?約束だよ?ユウ カレンは笑顔で俺に語りかけてくれるのであった。そんなカレンが俺はたまらなく愛おしくてカレンのことを抱きしめてしまう。俺はその気持ちをカレンに伝えたのだった。俺はカレンに心からの想いを伝えることにした。

ユウ 俺が王になんかならないのはわかっているだろう?カレン。それに俺にはもう王になる資格は無いんだよ。だって、俺は君のためにしか生きられないのだから。そんなことカレンは知ってるよね?それに、そんなこと言ったって、カレンの事が大好きなのは変わりはないんだし、これからずっと一緒に居たいっていう思いも変わらないんだよ。それにカレンが隣に居るのに王様になりたいって思ってる奴なんていないだろう? カレン えへ、ありがと。私もユウが隣に居たらそれだけで嬉しいもん。それにこれからもずっと一緒なんだし今から考えすぎないでもっと楽しまないとね? 俺の目の前で、花のような笑顔を見せる、カレン。そんなカレンを見てるとこれからの未来がどんなに素晴らしい物に変わるのか期待が止まらない俺なのであった。

そして、その後俺たちは宿へと戻ったのだが俺が宿の扉を開けた瞬間みんなから質問攻めに遭うことになる。どうやら魔王とのやり取りは俺と魔王以外全員知っているようだったがそんなことは関係ないとばかりに押し掛けてきた。そして結局、夕食は俺とカレンの二人で摂ることになるのである。そして食事中も俺は質問攻めに遭いうんざりしてしまった。まあそれは俺が、カレンの事しか見えていなくて皆に嫉妬されていたということらしいが、俺は、そんな皆に感謝するのであった。俺はそんな幸せな一日を過ごすのである。そして夜も更けてゆきカレンを寝かしつけた俺は一人ベッドの上でカレンと交わした会話を思い出しながら眠りに就くのである。

ユウ 俺は魔王の言葉を思い出すのだった。

ユウ

(貴様はこの世界が欲しいとは思わないのか?)

俺はそんな言葉が頭に浮かびながらも眠気に襲われそのまま夢の世界に誘われるのであった。

魔王が去り際に放った一言によって俺がこの世界を手に入れたいと思えるかどうかという事と魔王がなぜそこまでしてこの世界を支配しようと思ったのかという事に俺の心は囚われていた。俺はカレンの為にこの世界を手にいれることも悪く無いかもしれないと思ってしまう。ただカレンと過ごす日々を考えるとやはりその道に進むのが正解とは思えない。しかし、カレンの為となれば話は違ってくるのだ。俺はそんなことを真剣に考えている自分に気が付き笑ってしまう。まあ、俺の最終的な判断としてはこの世界を平和に統治することがカレンの願いでありそれを実現する為には魔王を倒すことが最良だという結論に達しているわけだが。それに魔王の言葉も、俺をこの世界に縛り付ける鎖となるだろう。俺は魔王の言葉を呪いのように捉えている自分がいる事に気付いたのである。そんなことを悶々と考えているとカレンが起きてきて、俺の隣で俺の顔を眺めてくるのである。

カレン あ!起きた!おはよー!ユウ! 俺が目を覚ますとカレンの可愛すぎる笑顔を間近に感じてしまい一瞬にして目が覚めたのである。カレンの挨拶に応えるために俺も挨拶をすることにするのだが、ここで俺は自分の顔から冷や汗が出ていることに気付く。俺が目覚めてからずっとこの状態なのだが、そのせいでカレンに心配をかけてしまっているようだった。

カレン あれれ~おかしいなぁ。私まだ寝ぼけてんのかな?なんか今ね、ユウの声をね?すごく近くから感じるんだけど?しかも私のお腹の上がなんか温かいなあ?これはユウだな!そうだな?そう思うしかないよね! 俺が冷や汗をかいて硬直している理由を説明しようとするのだが、カレンの頭の上を大量の疑問符が飛び回っており俺の話を聞いてくれる雰囲気ではないのでとりあえず俺は黙ることにしたのである。

するとしばらくして、カレンが俺のことをじっと見つめながら口を開いた。

カレン ねえ?もしかして私を驚かせようとしたの?それとも本当は起きてて私が起きるの待ってたの?でもさ?いくらユウがいたずら好きだからと言ってもね?今のはちょっとやり過ぎだと思うよ? カレンの言葉を聞きながら俺は冷や汗を流し続けている。確かに俺はいたずら好きの人間でカレンに怒られるのも日常茶飯事だし、今回もカレンに謝るべきだと俺も思うのだが俺はカレンに悪戯をしかけているのではなく本当の意味でカレンを困らせてしまったのである。

俺の本心をカレンに言うのが恥ずかしくて俺はついごめんなさい。と言いながら頭をカレンのおなかの上にうずめる。カレンは俺の行動の意味が理解できなかったようだが少し考えてから答えに行き着いたようである。

カレン も、も、も、も、も、も、も、もしかしてだけどユウが私の事をだ、だだだだだだだだだきききぎぎききぎぐいぐううううぅ!!!! カレンは何故か突然真っ赤な顔で奇声をあげ始めたのだ。俺はカレンが何を言ってるか分からなかったがすぐに俺も意味を理解してしまう事になるのである。そうカレンが抱きついている俺の手を引き剥がそうとするとなぜかカレンは服を脱ごうとしたからである。そしてカレンは自分の体に起こっている事態に気付き悲鳴をあげるのである。そしてカレンはそのまま泣き出し、俺に許しを求めるような視線を向けるのだった。そんなカレンを見て俺はカレンを抱きしめる。カレンは俺の腕の中で俺の事を睨みつけるがそんな事は気にせず俺はカレンを優しく抱きしめるのだった。カレンは俺に抱きつかれた瞬間に固まったがしばらくするうちに落ち着いてくれたので俺は改めて俺がカレンのことを好きな気持ちを伝えることにした。俺がカレンに好きだと言うとカレンの顔は見る見る赤くなっていき俺は思わず笑ってしまいカレンに叩かれるのである。そんなやりとりをしながら俺たちは今日も一日を過ごしていく。カレンは朝食を食べるために外に出ようとして、いつもと違った動きをしていた。カレンは部屋の入り口に魔法陣を書き始め何か呪文を唱えると部屋の壁にカレンの部屋と宿の廊下とをつなぐドアができるのであった。カレンは嬉しそうな表情で俺のことを見てきたが俺にはまったく意味がわからない状況でカレンの後に付いていくしかなかったのである。カレンはそんな俺の反応が面白いのか、俺の方を見て楽しそうに微笑むのであった。

そして、俺たちは食堂に向かうのであった。俺たちは食事を終えるとギルドに向かいそこで討伐の依頼を受けるのであった。俺は依頼をこなす為のパーティメンバーを募るつもりだったが俺に声をかけてきたのはカレンだけなので仕方なくカレンと共に依頼をこなす事にしたのであった。そして俺はカレンが倒したゴブリンやスライムを収納していく作業を繰り返していた。俺はそんな俺の様子をカレンは面白そうに見ているのだった。

そして、全てのモンスターを片付けた俺とカレンは宿屋に戻ることになった。カレンの話では今日はこのまま二人でゆっくり過すというので俺たち二人はベッドに座り、ゆっくりとしていた。俺とカレンの間には空間があったがその距離は限りなくゼロに近くカレンは俺に寄り添っていた。

カレン ユウは本当に強いね!でもユウは一人でなんでも抱え込んじゃダメだよ?私がユウのそばにずっといてあげれるなら私はユウの支えになってあげられるけど。だからユウは私の事をずっと愛していてほしいの!私が死ぬまで、いいえ、死してなお、私だけを想っていてください!約束ですよ?私の可愛い旦那様!ユウ! 俺の目の前には俺の事を見上げながら満面の笑みを浮かべている愛しい人の姿があった。そんな彼女の笑顔を見るたびに俺が彼女を守り幸せにする。俺の命が尽きるその時まで。そんな決意が湧いてくるのだった。俺はそんな俺の想いに応えてくれるカレンのことがたまらなく愛おしくなる。そんな時だった。俺は、魔王が言ってきたことを思い出すのである。

(貴様はこの世界を手に入れる気はないのか?)

俺は魔王が言ったこの言葉について考える。

(この世界を手に入れたくはないのか?)

この魔王の言葉には俺が勇者であることを知っているからこそ出てくる質問であるとわかるのである。

(魔王を倒したいか?)

これもこの世界を支配する上で当然必要な事だろう。この世界に住む人々を安心させるための行為なのであろうと思うが俺に倒せるのかが正直疑問だった。俺のレベルはまだ2だしステータスもまだまだ発展途上だ。レベルを上げるための経験値の割り振りにも慣れていない。しかし俺がこの世界に来たことで俺の力が強化されたことは間違いなかった。それにカレンの存在のおかげで俺の力は今までよりも更に強力になったのだ。カレンの存在はそれだけで魔王に匹敵するほどの力を秘めているといってもいいかもしれないのである。俺はそこまで考えた所でカレンに尋ねてみることにする。俺の考えを話したうえで俺は魔王と戦うべきかどうかと。俺が魔王を倒すという事を決めるのであればその前にカレンの承諾を得ておきたかったのである。そしてカレンがどう答えるかが重要だった。

俺はカレンの返答を待ちながらも自分の考えを整理し始める。俺は今の世界は好きだ。カレンと過ごした時間はとても楽しい思い出ばかりなのだ。しかしそんな幸せな時間がいつまで続くのだろうか。俺はこの世界にきてからまだ半年ほどしか経っていないが、その間に俺の生活はガラリと変わってしまったのである。そんな生活の中で俺を支えてくれた人たちを俺は失いたくないのだ。

カレンはきっと魔王と戦えば多くの犠牲が出ると思っているだろう。魔王は圧倒的な力を持っているはずだ。そんな魔王にこの世界の人間が戦いを挑んだところで勝つことはできないだろう。俺とカレンとではその戦力差があまりにも大きいのだ。それに俺は、カレンを危険な目にあわせたくはない。カレンの事は誰よりも大切に思っているしカレンの願いを叶えたいと思ってはいる。それでも俺は魔王と対峙するのは怖いのである。そんな恐怖心と、自分の命を顧みずに戦う人々の事を思うとどうしても俺は決断することができないのであった。

俺の話を真剣に聞いてくれているカレンだったが、話が終わりしばらくすると俺が魔王に勝てるのかと、カレンの気持ちを聞いてくる。俺としてはカレンが魔王に勝てると信じる事が出来ない以上、俺もカレンも無謀なことに手を出すべきではないのではないかと考えている事を話す。そんなことを話しているうちに俺もカレンもこの先自分がどのように行動すべきかを真剣に考えていくようになるのである。俺は自分の考えをカレンに伝えると、カレンも俺のことを考えてくれていたようでありカレンの返事を待つことになる。そして俺の予想通り、カレンの答えは魔王と敵対するということであった。そしてカレンの口から俺が思っていたのと同じ言葉が出てくる。俺もカレンの意見に同意して二人で話し合いを進めるのであった。

俺とカレンはお互いの意見を照らし合わせていく。

カレン やっぱり私達が一緒に居てもいい未来が見えてこないよね。魔王は多分私達二人の力を合わせたくらいじゃ到底敵わないんじゃないかな?ユウの力は私の力があってこそだと思うし、ユウはもっと強くなれないとだめだと思うの!そ、それはそうと、私、さっきからユウと一緒にいたいなーってずっと思ってたの。ユウと私だけの世界があれば良いのにって!あ!今のなし!今の忘れて!今のなしで! 俺はそんなカレンが可愛いくて、可愛すぎてカレンを抱き寄せキスをした。カレンは突然の俺の行動に驚いた様子ではあったが受け入れてくれるのだった。

俺とカレンの気持ちは固まった。

俺はカレンと俺だけの世界を創る。そしてそこにたどり着くまでの道筋をこれからカレンと二人三脚で歩んでいこう。カレンとの幸せの為に。

それから俺はカレンと共に街を出る。カレンがこの街にいる理由はなくなってしまったからだ。俺の転移魔法を使えばカレンの居場所に一瞬で移動することが出来るのだが、カレンの魔法の練習も兼ねて歩いていくことにした。

道中俺とカレンが手を繋いで歩く姿を見た街の人たちは祝福の声をかけてきた。

そんな声を受けながら俺達は目的地へと進むのであった。

俺とカレンは目的の場所へと向かう為に森の中に入っていった。そして俺とカレンは歩き続けるが俺達の視界に映るのは木々だけ、魔物に遭遇することはなかった。そして暫く進んだ後に、俺達は目的の街に到着したのである。

俺たちはその町に入るため門番らしき人に話しかけると、なんとその人物はこの町の町長でカレンは何度か顔見知りであったらしく会話をしていると突然カレンが俺の腕を引っ張るので俺は驚くが、その反応が面白いのかカレンが微笑んでいるのである。そしてカレンが言うには今日はここに泊まっていくようにと言うのであった。

俺はカレンの事を信用していたしカレンに俺を信頼してると言った手前カレンの言葉を信じ宿を取ることにした。

そして俺とカレンは同じ部屋に宿泊することになり俺はカレンに抱きついて眠りにつくのだった。そして翌日俺とカレンは朝早くから出掛けることにする。その目的は、俺とカレンの結婚式を挙げるためである。俺が前々から作っていた教会を俺は取り出した。カレンの目の前で俺が創造したものだ。俺はカレンに俺がこの教会で式を挙げたかったのだと話すと、嬉しさのあまり泣いてしまうのである。カレンが嬉しそうにしているのを見て俺も嬉しくなる。俺は、こんな風に誰かを愛してそして愛されることは初めてのことだったので、その喜びの大きさは俺自身でも計り知れないものなのである。カレンにそんな事を話したらまた泣かせてしまったが。

カレンは俺が想像したよりも遥かに大きな教会を建ててくれた。俺が建てた教会はカレンにお願いする前から大きくはしていたがそれを更に超える大きさだった。カレン曰く俺の愛情が詰まっているそうだ。

俺とカレンはお互いにドレスを着ることになった。俺はタキシード、カレンはウェディングドレスである。どちらも神に捧げる為の神聖なものである。俺はカレンの姿をこの眼に収めるのと同時に誓いを立てるつもりでいた。俺はそんな事を考えているうちに自然と緊張が高まってきたのである。そんな時、カレンが俺を抱きしめてくれるのだった。そしてカレンが囁くのである。

『あなたならきっと魔王を倒すことができる。私にだって倒せなかった魔王をね。大丈夫よ、私が保証してあげるわ。そしてもし、魔王が倒せなくても私が守ってみせる!私を救ってくれたのは他でもないあなたなのだから!』

カレンの言葉を聞いた瞬間俺の身体から緊張感は消え去り俺の心はカレンのことで満たされていく。そして俺の決意はより強固なものになるのだった。俺はカレンを強く抱きしめながら俺自身の決意を伝えるのである。必ず魔王を倒し俺もカレンも幸せになってみます!そう伝えるとカレンは笑顔を見せながら俺の事を受け入れるのだった。そして俺はカレンに俺の想いを全てぶつけるような情熱的なプロポーズを行うのである。そんな時だった、扉がノックされ俺は急いでカレンのそばから離れ着替えを終わらせ扉を開けるとそこには一人の美しい女性の姿があった。俺はカレンが迎えに来たのかと思いその人の事を見るが俺の目線の高さがいつもとは違う。俺よりも頭二つ程小さいのである。俺がその事に驚いていると、女性は俺を見上げて俺の顔を指差し俺に言ったのである。

『やっと見つけた。私の王子様』

女性は頬を赤く染め潤んだ瞳で俺の方を見ていた。

俺とカレンはお互いに見つめ合い笑った後、俺はカレンにカレンを迎えに行った方がいいのではないかと提案したが、カレンはそんな俺に優しく微笑むとカレンは、この女性に俺と少し話がしたいと言ってくれたのである。俺はカレンの優しさに甘えさせてもらうことにしその女性を連れて外に出ることにした。

そして外に出て、まずカレンが自己紹介をすると、カレンに俺を譲ってほしいと言い出したのである。俺がカレンを取られると思って焦っているのを面白がるようにカレンが笑う。その女性が自分だと名乗りを上げると、俺は驚愕することになる。俺は思わずその人物の名前を確認するが間違いなく本人だと言われ俺は言葉を失う。俺の記憶の中にある姿からは考えられない容姿になっているのである。カレンの話によると俺はその女性を召喚するために力を使い果たしてそのまま眠ってしまったらしいのだ。そして目が覚めると俺の年齢が下がっていたのだそうである。俺としてはそんな話は信じたくないのだが、俺はカレンの表情を見ると嘘は言っていないように思えるのである。

俺はカレンにこの女性の事は諦めてくれと言うとカレンは笑顔になりその女性が魔王であることと俺の運命の女神様だという事を明かすのである。俺は、そんなことを言われても全く信じることができないでいたが、魔王と俺に呼ばれたその少女を俺が初めて見た時のことをカレンは説明してくれた。俺はカレンに言われた通り魔王をまじまじと見ると、その姿に見惚れてしまい、俺は魔王を嫁にするとカレンに伝えたらカレンに呆れられながらも魔王は俺のことが好きなようだと言われたのである。俺がその事実に衝撃を受けている間に、魔王は俺の方に寄ってきて、カレンを俺から奪い取ったのだった。

魔王に連れ去られたカレンが、俺が寝ているベッドの中に隠れて待っていたというのだ。魔王は俺をからかっていただけらしく、魔王はカレンと話をした後に俺をカレンの部屋へと案内したのだった。カレンの部屋に入った俺は魔王を改めて見る。俺が思っていたよりも遥かに美しくなっていた魔王に驚きつつも、魔王の容姿の変わり具合に何か理由があるのかと尋ねる。

魔王が俺の花嫁になると、俺の力の影響を受けやすい体質になると言うことを聞かされ俺はそれを受け入れた。そんな話を聞きながら俺はふと疑問に思ったことがあったので質問をしてみることにする。

俺は、俺の力の影響で変わった魔王を綺麗だと思う反面、俺が今まで会ってきたどの女性とも違う魔王を見て不思議な感覚を覚えていた。魔王が俺の質問に答えると俺が想像していない答えが返ってくる。

俺はてっきり俺の力で変わる前の魔王の姿を見てみたいと頼むと思っていた魔王が、逆に俺の力が変わってからの魔王の姿を見せてほしいと言われるのであった。

俺はカレンから聞いていた俺と魔王の力の関係を思い出して魔王の力が変化した場合俺の力が及ぼしている影響も変化しているはずなので魔王にどんな風に変化したかを答えてもらおうと考えていたのだ。俺は魔王のその答えに驚く。しかし魔王は俺の答えを聞いても動じずに微笑んでいたのである。俺はそんな魔王の反応に戸惑ってしまうがそんな俺の様子を見ながらも余裕を見せるかのように魔王は俺を抱きしめるのであった。

俺は自分の力のせいで魔王の姿がこんなにも変わっているのならばその力は俺が元に戻すことは可能なのではと考えるがすぐに否定してしまう。なぜならそれはカレンを裏切る行為であるからだ。

魔王の願いは自分が愛されているかどうかを知りたいということだったのだから。そんな事を考えていた俺はいつの間にか魔王の胸で涙を流す。魔王が俺に優しく頭を撫でてくるが、俺にはそれが余計に悲しく感じて泣いてしまう。

そんな時だった。

俺が泣いている時に急に部屋の入り口の扉が開かれ俺達はそこに立っている人間に目を向けるとそこに立っていた人間は驚いた顔を見せた後に、俺達に向かって駆け寄り声をかけてきたのである。その人間の女性の名前はミリーと言いこの村に住んでいる人だと自己紹介をしてくれるのだった。

そして彼女は、俺達が今現在何処に滞在しているのか聞いてきたので俺がこの村に宿がないのに泊めてくれる場所を探していたと伝えた所、彼女の家に是非泊まってほしいと言ってくれのである。俺が、こんな小さな女の子の家に男が三人も泊まるなど許されるわけないと思っていると魔王がその提案を受けると言った。その事に疑問を抱いた俺はどうしてと尋ねてみると魔王は笑顔を見せてくれたのである。

俺にはその理由がわからなかった。魔王の考えを理解できないでいた。魔王とカレンと俺の三人だけなら問題はないがカレンには俺と同じような年頃の息子がいると言っていた。

カレンの事を思うとこの場に男だけの三人が留まるというのは問題があると思うのだが、カレンが俺の事を心配していると言うこともあり俺の事を信用できるから安心して預けられると言うと俺はそれ以上何も言わず受け入れることにする。カレンの事を思えば当然のことであるが俺とカレンが一緒にいないということは魔王と二人でいなければいけないということである。そう考えると気が重くなるが、カレンがいない間カレンを守る役目も任されたのだと考えると俺の心の中は不安な気持ちよりもやる気で満ち溢れていたのである。そんな時だった、カレンと息子さんが戻ってきたのである。そしてカレンは自分の家族を紹介する為にカレンのお父さんがカレンと一緒に俺と魔王を呼びに来ました。

俺が、俺に優しく接してくれてそしてカレンの事を守ってほしいと伝えてきたカレンの父親を、俺なりにカレンの父親に好感を抱くと俺達の前に現れたカレンは、俺に笑顔を見せてくれたがカレンの目は笑ってなく、明らかにカレンの視線は魔王の方を向いていることがわかるのである。その様子に俺と魔王は冷や汗をかきながら笑顔を浮かべるがカレンの表情は一向に変わらない。

そして俺と魔王はそんなカレンに連れられて家の中に入ることになる。俺達の目の前にいるカレンの両親とカレンの弟の3人が俺たちの前に姿を現すのだった。俺はその3人の内一人に見覚えがあった。俺はその人物を見たことがある。その人物は俺に好意を抱いていたはずの元勇者の女性だったのである。その女性は、今はもうカレンに負けているのだがこの国のトップクラスの戦士の一人だったはずである。その女性の名は、レイと言う名前である。そして、魔王の呪いに囚われ俺の事が好きになってしまった女性でもあった。そして俺はその事を考えてこの場から早く立ち去りたいと思った。カレンの家族が俺達に温かい歓迎の言葉をかけながら夕食の準備を始めようとするが、俺も魔王も料理ができる状態ではないのである。その事に気が付いた魔王が、自分達の分の食事は自分で作るので気にしなくて良いと伝えると、その申し出に申し訳なさそうな顔をしていたのだが、結局魔王の言葉を受け入れることにしたようだった。

そんな魔王の行動に俺はカレンの父親が俺に対して向ける敵意がさらに増すのではないかと考えたのだがその心配は無用であり、魔王と俺が仲良くしていることが父親にとって嬉しかったらしくその事を伝えたら笑顔を見せてくれた。俺はその事に少しほっとしたのだが魔王の方を見ると俺に笑いかける。その笑顔を見て俺は何故か少し嫌な予感を覚えたのであった。そして俺はこの場で、この家で一番立場が低いであろう弟くんと話をすることにしたのである。すると魔王の態度は一変したのだった。

俺が、弟に話しかけようとした瞬間にカレンが弟を庇い魔王と口論になった。カレンの言い分は自分こそが勇者であるということらしい。俺としては魔王の言っていることは間違いではないが、そんなカレンの主張は間違っているように思える。俺には魔王が嘘をついているようには見えない。カレンの言っていることが事実だとしても魔王にメリットがあるとは思えないのだ。

俺が魔王にカレンと話をつけると、カレンを説得してみると言うとなぜか俺までカレンに叱られてしまった。

カレンの話を聞いた魔王は笑みを浮かべていたがカレンが睨むとすぐに真顔に戻った。魔王もどうやら納得していないようである。

魔王は、俺のことを信頼しているという言葉と魔王を俺の物にしたいのならば俺を魔王の手中に入れなければならないということを言ったので、俺はそれを承諾した。俺はこの時初めて魔王の本心に触れたような気がした。そしてカレンにカレンは俺の事が好きだと言っている魔王に嫉妬してしまったのである。カレンの様子がおかしい事を感じた魔王はそんなカレンを笑顔で宥めると俺をからかうようにカレンと俺を二人きりにするように誘導してきたのである。俺はそれに従いカレンに今夜は俺と二人で過ごしてくれないかと提案する。するとカレンは喜んで了承してくれたのだった。カレンを説得するために魔王の提案に俺は乗ることにしたのだ。

魔王はその言葉を言うなりすぐに部屋から出て行ったのだった。俺は魔王が出ていくのを確認するとカレンを手招きして部屋の外に出た。カレンを俺の部屋へと案内した俺は、カレンをベッドの上に座らせるとカレンに抱きつくとカレンは驚きながらも俺をそっと抱きしめ返してくれる。そんなカレンを俺は抱きしめていると急に俺とカレンに何か魔法のようなものが掛けられた。そのせいなのか、俺は意識を失いそのまま眠りに落ちてしまう。俺はそんな状態の俺を見下ろしながら微笑んでいる魔王に俺は恐怖を感じるのだった。

魔王の嫁 俺が目を覚ますと魔王が俺の隣で寝ており俺はそんな魔王を起こさないようにゆっくりと体を起こすと部屋の中にカレンがいてそのことに驚いたが俺は魔王に布団を被せると、魔王を抱きしめて再び寝ることにする。俺は昨日魔王が寝る時に言っていたことをふと思い出し俺は魔王に愛していると囁く。魔王はそれを聞き満足げに笑うと魔王が先に目覚め俺の耳元でささやくのである。

私は、お前のことだけを愛してる。これからずっと一緒だからね。私のことだけを愛していればそれでいいのよ。私が絶対に守ってあげるから安心なさいと、俺はその言葉を言われると同時に首にチクッとした痛みを感じて魔王の顔を見るが、そこには魔王の姿はなく魔王は姿を消していたのである。

俺が魔王を探すために辺りを見ていると、俺の服に違和感を感じた俺は視線を下げると俺の体に手を回しながら幸せそうに眠っている魔王を見つけるのだった。そんな魔王を見た俺は苦笑いを浮かべる。しかし、そんな状況でも魔王を無理やり引き離そうとはしない俺もどうかと思うのだが、魔王を引きはがすこともできずしばらくこの状況を我慢していると魔王が目を開ける。その目はとろんとしておりまだ半分夢の中のようだ。そんな魔王を俺は抱きしめる。そんな魔王も次第に目がはっきりとしてくると俺の胸元に顔を埋めながら離れようとせずにいる。

俺は魔王を抱きかかえるような形で持ち上げると、部屋を出て台所へ向かう。俺はカレンに声をかけてから、朝ごはんを作るためカレンに朝食を作ってもらう。その間俺は自分の部屋に戻ると着替えを始めるのであった。俺は自分のステータスを開くと魔王の呪いについて確認を行うと呪いのレベルは『2』となっており、この状態は、俺の知っている限りでも最悪の状態だった。この状態では俺が死ぬ可能性が高くなっている。しかもその期限はこの村を出るまでの時間という短さだ。つまり俺に残された時間はあと4日間。その間に魔王がカレンのお父さんから許可をもらえなければ俺達は村から追い出されるという事になってしまう。そして魔王を救えなかったら魔王が俺を殺しに来ると言うことである。魔王は魔王でカレンに負けないほどの力を持ってはいる。カレンに負けたからと言ってもカレンと互角に戦えたくらいの力は持っている。俺もカレンに勝てたとは言えレベルは500を超えた程度で、俺の方が強いかもしれないと思っていた。しかしそれでも魔王に殺される可能性もあると言うわけだ。

そんなことを考えていると、カレンが部屋に入ってくる。カレンは俺と魔王の様子を見て、また魔王に無理をさせていないか聞いてくるので俺はそんな事はしないと答えると魔王を強引に連れ出した。俺の後ろから泣きながら魔王が俺を追いかけてくるが無視して、俺は台所に向かうと、俺は冷蔵庫の中身を見ながらカレンと料理の話をしている。俺の話を聞いたカレンはすぐに食材を取り出してくれると、俺に作り方を教えてくれるのである。そしてカレンに教えてもらった通りに調理を進めていくと、俺が作った料理が食卓に並んでいく。

俺達が料理を食べ始めた頃になって、家のドアが開く音がして俺達は食事を止めて玄関へと向かうと、そこにいたのはルチアだったのである。彼女はカレンに挨拶をしてから、すぐに魔王に抱きついた。魔王の方を見ると少し嫌な顔をしていたがすぐにいつも通りの表情になりルチアと笑顔を見せあっている姿に安心する。そんな魔王は今、俺の腕にくっついていてルチアはそれを羨ましそうに見ている。俺は、ルチアにカレンの友達を紹介するから一緒に食事を取らないか聞くが魔王がそれを止める。魔王の表情を見ればその答えがわかるが、そんな魔王が少し可愛くてつい笑ってしまうと、そんな俺たちを見ていたルチアが俺たちを一緒に食事をしたいとお願いをしてきた。そんな俺と魔王が見つめ合い魔王の気持ちを察すると俺は了承すると、カレンに魔王を頼むと伝える。そして俺は、魔王と二人でルチアの待つリビングへと移動するのであった。

俺がルチアを連れて戻ると既に食事の準備は整っており、テーブルに並んでいる料理は全てカレンの手によって作られたものだと分かるほど、美味しそうな匂いが立ち込めていた。魔王の方をみると俺の方を嬉しそうな顔で見て笑みを浮かべている。そんな魔王の頭を撫でてやり俺も笑みを返す。俺はカレンの隣に座り魔王の事をカレンに頼んで席に着くと俺達を待っていた三人の子供達が声をあげるのである。

魔王の婚約者 私の名前はレイ。魔王様に恋をして魔王軍から離反をした。今は、その勇者カレンと一緒に魔王様が住んでいる村の警備の仕事に就いている。今日もいつも通り仕事を終えて自宅へ帰ろうとしている時だった。魔王軍の人間であるはずのサユリと、この国で知らない者はいないであろう人物に会ったのだ。勇者のカレンだ。

カレンとは面識はあるのだが話す機会がなく少し気になっていたところだったので少し会話を交わしたいと思ってしまう。そして私は意を決して彼女に話しかける。すると意外にもあっさりとカレンは了承してくれ、私たちは彼女の家で話をすることになったのである。

カレンの家に向かう途中で私はある事を思い出すことになる。私が勇者だったころはカレンと仲が良く、よく話をしていたものだ。そんな彼女と久々に話ができる事に、少し興奮していた。そんな彼女と一緒にいる時のカレンは本当に楽しそうにしていて、魔王軍を抜けカレンが勇者として世界を救ったのもこの子の為なんだと思ったほどである。しかし、最近のカレンはどうだろうか?今のカレンを見ていると魔王の事で頭がいっぱいになっているのではないかと心配しているのだ。あの子はまだ若い。いくら勇者だからといってカレンにはまだまだ青春を楽しむ権利はあったはずだ。しかし、それを奪ってしまった魔王に怒りを覚える。そしてそれと同時に魔王の側にいるべき存在はカレン以外には考えられないと思うようになったのだ。そして私はカレンの家を尋ねる。そこで私たちを出迎えてくれたのは魔王であり、そんな魔王はカレンが家に入った途端に私達の存在を無視して魔王といちゃつき始めてしまうのだった。

魔王はカレンに愛していると伝え、それを聞いたカレンが幸せに満ちた顔で魔王にキスをすると、カレンはそのまま寝室に消えてしまったのである。そして残された私達だったが、魔王はそんなカレンの行動に何も言わずにただ笑顔を向けていた。そんな魔王を見た私はこの二人を引き離さなくては、そんな考えに至ってしまうのである。私はその日は家に帰り魔王の事を考えてみるのだが、どうしてもこのままではダメだと考え魔王の事について詳しく知る必要があると思い至ったのである。

私がカレンの家に訪れる少し前の話で、魔王が私の所を訪ねてきたのである。その時の魔王は私の事を見るなり抱きついてきて離れようとはしなかった。正直言うと困りはしたが、私はそんな魔王が可愛くて仕方がなかったのも事実だった。しかし、私がそんな魔王に抱いている感情が恋愛なのか、母性本能がそう思わせているのかがわからないのが問題なのだ。確かに私の目から見ても、とても魅力的な男性だ。その証拠に魔王と行動を共にするようにしてからというものの女性からの告白が絶えないという話は聞いていたのだ。しかし、私の目に映る魔王の姿はカレンしか興味を示さないので、私は魔王のことが好きという訳ではないと思うが、それでも私は魔王に恋をしている。魔王が私を選んでくれたならどれほど幸せなんだろうかと考えてしまう。そんな魔王にカレンに嫉妬していることを気付かれてしまうと、カレンに魔王を取られると思い、それを誤魔化すために必死に話題をそらそうとしたのである。

魔王はその時に、カレンの事を気にしており、私はそんな魔王を応援しようと決意をするのであった。私は、魔王ともっと親密な関係になりたいと思い、私と魔王が出会うきっかけにもなったカレンに協力してもらおうと考えていた。

次の日の朝になると私は早速行動を起こすことにする。私が目を覚ますとそこには魔王の寝顔があり、私の心臓は早鐘を打つかのように鼓動を繰り返していた。そして、私が昨晩のことを思い出そうとすると、昨日の魔王とのやりとりや、一緒に寝た時のことを思い出していく。その時に魔王はカレンに負けないくらい私を想ってくれていることをわかっていただけなのに、魔王が私の頬に触れてくるだけで私は幸せを感じていたのだった。しかし、私はその気持ちに蓋をしないといけないと改めて思い、昨夜は魔王から距離をとろうとしたが、それは失敗に終わった。

私はそんな幸せな気持ちに包まれながら魔王を起こそうかどうか迷っていた。すると、その幸せを打ち消すかのように部屋の扉が開け放たれてそこに現れたのは、勇者のカレンとその親友である聖女様と、そのお仲間である魔術師と騎士だ。彼らは私に挨拶をしてくると、私は彼らの訪問の目的を聞くことにしたのだった。その目的はやはりカレンの件らしく、勇者カレンから魔王の呪いを解いてほしいと言われたからである。カレンの言葉によると今朝になっていきなり呪いが進行していてこのまま放置をしておくと魔王が死に至るらしいのである。そして今すぐ呪いを解くことができるかもしれない方法を教えると言われ私は藁をも掴む思いでカレンに付いて行くのだった。カレンの案内でたどり着いたのは、魔王が住んでいるという村の外れの森の中で、そこに一軒の大きなログハウスがあった。カレンは家の前に立つと家の中へと入っていき、しばらくしてからカレンと魔王が出てきた。

カレンと魔王の様子を見てるとまるで恋人同士のように見えたので私は少し複雑な気持ちになってしまうが、それでもカレンは本当に幸せそうな顔をして笑っていたため私はカレンを応援することに決めた。そしてその後私はカレンに頼まれ魔王の世話をすることになってしまう。私はこの時初めて自分の中に恋慕の情があると知った。

カレンと私は魔王と過ごす時間が増えたことにより以前より魔王の事が理解できているように感じていた。しかし、それでも未だにわからないことがあるのは確かだ。そして私は魔王のことを知りたいと常に考えているのである。

「カレンちゃん、おはよう。それとレイさんも」

今日もいつも通りの時間に起床して台所に行くと、そこには既に朝食を作り終えた勇者様がいた。そして勇者の横に座っているのは魔王軍から寝返ってきた人、魔王軍ではカレンの側仕えのような事をしていて、いつもカレンと行動を共にしている少女のレイ。その二人が魔王と私の為に毎日朝食を用意してくれるのだ。私達は三人で食事を取ることが多いのだが、勇者様はたまに魔王と一緒に食べに行っているようで私達は一緒に食事を取ったことがない。そのせいで私と魔王の関係を勘違いしている人がかなり多いのだが、私はそれに関してどうこう言うつもりはなかった。それにカレンは私の事を友人のように接してくれるし、魔王のことも妹みたいに扱っていて、そんなカレンを見ているとカレンと私は同じ立場だと感じることができる。だから私にとっては、勇者は勇者であっても特別な存在ではなかったのである。そんなことを考えていると、魔王が目を擦りながらものすごいスピードで椅子から立ち上がると勇者の胸に飛び込むようにして抱きつくのだった。

勇者は魔王を抱き留めるなり嬉しそうな表情で微笑みかけると魔王にキスをした。その行為を見た私は羨ましく思って魔王の唇を見つめるのであった。そんな私の視線に気が付いた魔王は私にもキスをして、そんな魔王が可愛く思えて頭を撫でると、魔王はとても気持ち良さそうな顔で私の胸に頭を埋めてきて、それがすごくかわいかった。私はそのままの状態で魔王の背中を優しく叩くと、しばらく魔王の好きにさせてあげる事にしたのである。そして、カレンからそろそろ仕事に行こうと提案されたので魔王の体を軽く持ち上げてから席を離れると勇者に声を掛ける。そして私は玄関を出て行くのだが、私はそんな時いつも思う事がある。私にとってカレンも大切な人であり友達であり恩人でもあって一番近い存在でもあると思っている。だけど私はそんな勇者様にすら心を許してはいないのではないかと考えてしまい不安になることもあるのである。私は今日もその事を考えてしまっていたため憂鬱になりながら家を出たのである。そんな私を見たカレンが私の肩に手を回してくるので私が不思議に思って見上げるとカレンが優しい顔でこちらに笑いかけてきた。

私は、この勇者は一体何者なんだろうと最近考えるようになってきた。カレンとは昔からの付き合いで私が勇者として召喚される前までは、二人で村を守っていて、そんな関係だったのだ。だから勇者の正体を知ったときとても驚いたし同時に安心感を覚えていた。しかし、それでも私は魔王とカレンとの関係の方が心配で仕方がないのである。なぜなら、カレンと魔王の関係はただの友人としての枠を超えてしまっているのではないかと思ってしまっているのだ。しかし、カレンと魔王が付き合っているのかと言う質問は今までしたことはないので、まだ確証が持てずモヤモヤする日々が続いているのである。

そんな私は今日もまた勇者に対して警戒する日々を送る事になるのだった。しかし、そんな私とは対照的に勇者カレンと魔王が仲良く過ごしている様子を見るのは辛くて悲しくて、そして悔しくて仕方がなかったのだった。そして勇者カレンは私の心を乱す存在なのだ。だから私はカレンといる時は極力勇者に会わないように行動する事にしている。そんな事を考えてる私だったがカレンに話しかけられると笑顔を作って話を合わせるのだが、そんな私の心の中を知っているはずの勇者が時々私に鋭い眼差しを向けているような気がしていた。

私はその日はカレンの家に泊まっていた。というのも私はここ数日魔王が私を抱きしめたりキスしたりしてくれないので、そんな事をしてくるまでここに居ようと思っていたのである。そんな私はその日の夜、カレンが魔王を誘惑して魔王がその気にならなかったと報告してきたので私には魔王がカレンにはなびかないと確信していたのだが、カレンには少し危機感を持って欲しかったので注意をすることにした。そんな私だがその時カレンが私をじっと見ていたので私は首を傾げてしまった。するとカレンが急に私に甘えてくるようになった。私はそんなカレンに困ってしまったのは言うまでもないだろう。そして次の日の朝になるとカレンの機嫌が良くなっていたことに安堵しつつ、魔王のところへ向かうのだった。しかし、その途中で私はカレンの身に危険が迫ることを予知した私はすぐにその場を離れ、カレンを助けに向かうのだった。その予知の結果が最悪の物だった事を知り私は涙目になりながらもカレンが生きていることを喜んでいた。そして私は、これからのカレンのために、そして勇者に対抗するためにカレンの特訓を行うことにした。その事でカレンに嫌われるかもしれないと覚悟をしていた私だが、意外にもすんなり受け入れてくれたカレンはやっぱり優しい子なのだと再認識させられるのだった。そして私はそんなカレンを見てるとどうしても応援せずにはいられなかった。

私と勇者は、森の奥の方へ進んでいく。勇者と行動している理由は簡単で、私がこの辺り一帯の地理を把握しており魔物に対処できる人間が必要なだけなのだが、勇者は魔王の呪いを解いた時に魔王の呪いが解けない可能性があると言っていた。そのため私が一緒にいなければならないのだ。

そして私が勇者に案内したのは大きな湖だ。その湖の岸辺に洞窟があるのを確認した私は、そこで勇者の実力を確かめるために戦闘をさせることにする。しかし勇者は、剣を使ったことがないと私に言ってきた。そして私も、剣を持ったことのない人を戦場に連れ出す訳にはいかないと思った私は勇者に魔法を使うように提案するのだった。

そしてその日の夜になると、私はカレンと一緒に夕食を取っていた。しかし私はカレンが食べている姿を見てどこか寂しい気分になっていた。その理由はもちろんわかっていたのである。私は今勇者と魔王が二人っきりのところでご飯を食べていると知り、それを想像すると嫌だったのだ。そして、カレンが食事を済ませ、部屋に戻ると言って立ち上がったので私もそれについて行き部屋の中に入るなり私はカレンの事をベッドに押し倒したのである。そしてカレンを上から押さえつけると、そのままカレンの事を抱きしめたのであった。すると、カレンから突然、私を驚かせる発言をしてくる。その内容は私にとっては衝撃的で、そして嬉しさがこみ上げてきた。

カレンは、私との仲を深めようとしてくれただけでなく私と同じ気持ちでいてくれていたことが何よりも嬉しかったのだ。私だって本当はカレンの事が好き。そう言ってしまえば簡単なのだがカレンに対する想いが強すぎて言い出せなくて悩んでいたのだ。だけど今は言える。

私は、今カレンと一緒にいる時間が楽しく、心地よくてずっと続けばいいと思っているくらいに好き。だけど私は勇者と魔王が幸せそうにしている所を見ると嫉妬してどうしようもない気持ちになっていく。私はそんな自分の心に蓋をし続けてきたのだ。しかし、今こうして私と一緒に居てくれるのは勇者ではなくカレンだとわかった瞬間、私の中の何かが崩れ去る音が聞こえてきた。そして私はカレンを強く強く抱きしめていた。カレンも私の事をぎゅっと抱きしめ返してくくれたことで私の心の中の不安は少しずつ解消されて行くような気がして、嬉しくなるのだった。

そんな幸せな時間は一瞬で終わりを告げることになった。突如カレンが苦しみだし始めてしまったのだ。私は、すぐに原因を探ろうとカレンの体に触れようとする。しかしその手を何者かに捕まれ阻止されてしまった。その犯人を確認するため視線を上げるとそこにはあの忌まわしき存在がいたのだった。

私と魔王とカレンは三人で昼食をとっていた。それは勇者からの提案によるものだったが魔王が乗り気になった時点でカレンに拒否権はないも同然だったのだ。それにカレンは喜んで私達の事を迎え入れると言ったのだが、勇者はその発言を聞いて顔をしかめていて、私はそんなカレンに勇者に近寄らないように注意を促すのである。しかしカレンはそんな私の忠告を聞き入れることはなく、結局勇者とカレンが隣同士に座って食事をとることになるのだった。

食事が終わると私は、カレンにお昼からの訓練は勇者と行って貰うことを伝えておく。魔王と勇者が一緒の場所にいて欲しくないという気持ちがあったからだ。そんな私はカレンと一緒に魔王が居るところに向かったのだがその道中私はある事を考えていた。その事が魔王に伝わることがあれば、おそらく私は勇者の側にいることを禁止されるのではないかと考えていたのである。だから私は必死に考えた結果、カレンを魔王の側に置いておいて私と魔王の二人きりになれる時間を作ろうと思い至ったのである。その事を考えつつ私は、カレンを連れて家の中に入ると魔王と二人で話すために二階に上がったのだった。

魔王の部屋の前で私は魔王に声をかけることにした。

「魔王ちゃん」

その呼びかけに対し、反応を示した魔王はすぐに扉を開ける。そんな私達を見てカレンは嬉しそうな顔で私を見つめてくるので、私もその表情を見て笑みがこぼれそうになるのだが私は平静を保ちながら話を進めることにする。するとカレンが、勇者が呼んでるみたいだから行くね。と伝えてから私に笑いかけてきてその場を離れるようにしたようだ。カレンと別れた私は魔王と向かい合う形で座ると、勇者はどんな様子なのか魔王に尋ねた。すると魔王はとても不機嫌な様子になってしまっていた。その事から、勇者は魔王とカレンの関係に気が付いているんだろうと感じた私は、その事を魔王に聞くと魔王はため息をついて私の顔を見つめながら話しはじめた。

私とカレンが話し始めると急に大きな地響きが起こったので私とカレンは慌てて窓から外の様子を伺うと、勇者はカレンの頭を撫で回していて私はその様子を呆然と眺めていた。

その後私達は急いで下に降りる事にしたのだが、そんな私に魔王が問いかけてくる。なぜあんなことをしていたのか。そんな魔王に対して私はカレンが勇者に対して好意を抱いている事を伝えるのである。そんな私に対して魔王が反論してくるので私は、私の方が魔王のこと好きだもん。と言い放ち、そして私は、魔王のことを誰より想っている自信はあるけどカレンには絶対に負ける。と断言してしまうのだった。しかし、魔王はそれを聞いて微笑むだけで私の質問については何も答えてはくれなかった。なので私はこれ以上は何も聞かず、ただ黙って勇者たちのいるところに向かって歩いていくのだった。そして勇者が私に気が付き近づいてきたので私は、私はこの世界に来て初めて勇者に対して敵対意識を向けることになる。

私は魔王とカレンの二人が話している様子を見ていると胸が苦しくなり辛かった。その事に私が気が付かないわけが無くてそんな自分に腹を立てている私をカレンが抱きしめてくれて私は泣きそうになったがどうにか堪えた。私は、魔王が勇者と仲良く過ごしていく姿をずっと見たくない。魔王の隣にいるべきなのはカレンじゃなく私だと思ってる。だから私は、カレンに勇者と距離を取るように促すとカレンが私の言うことを全く聞いてくれないことに悲しくなって、私に対して優しくしてくるカレンがとても憎らしくなってしまった。そんな私の事を見た魔王が私の事を心配してくれるが私はそんな魔王に苛立ちをぶつけることになってしまう。その事に魔王が驚いてしまったことは仕方がないことだろう。だけど魔王に八つ当たりをして自己嫌悪に陥った私には魔王の心配の言葉は届かなかったのであった。

私にはどうしても勇者の側にいたいという欲求を抑えることが出来ずに魔王の側から離れ、勇者の元へと向かう。

そして私はカレンを突き放して魔王の元へと向かおうとした。しかし魔王がそんな私を止めようとしてきやがり、私はそれが気に食わなくて思わず魔王の頬を叩いていた。

私は自分の行動の意味が分からなかった。私はこんな事をしたいんじゃないはずなのに私はどうしても魔王のそばを離れたくなくて、カレンに酷いことをしたくなくてもう何が何だが自分でも理解できずにいたのだ。

私が混乱状態に陥っていると勇者に腕を掴まれ、そのまま魔王と引き離されてしまったのである。私はそんな勇者が許せなくなって勇者の顔面を殴ろうとしたが避けられてしまう。そんな勇者が私はますます嫌いになってしまったのだった。

そして勇者は、カレンと魔王の方を見て、俺に任せて欲しい。と言ったので私も少し冷静になることができ、カレンが危険な目にあった時以外は口を出す事はしなかったのだった。

そして勇者に訓練をつけてもらっている時に私は、この世界の魔法について教えてもらうことにした。

勇者から魔法についての基本的な説明を受け私は疑問に思った事を次々と質問する。しかし勇者はそれを嫌がることなく私の質問に丁寧に答えてくれる。

勇者が使うのは基本的に回復魔法らしいのだが、勇者曰く私が使えるような強力な回復系の能力を持っていないそうだ。そのため私が使った時にできた勇者の回復力は、勇者にとって衝撃的な物だったという。その事から私が聖剣を使いこなすことができたのならばこの世界で最強になるとまで言われた。そして私は、この世界でも勇者に勝てる存在は魔王くらいしか思い浮かばずその魔王がこの世界で一番強いと言われて嬉しくない訳がなく勇者にありがとうと感謝の気持ちを伝えた。そんな勇者も私が魔法を扱えるようになったら教えるのを手伝おうと言っていたのだった。

私が魔王と一緒にお留守番をしていると魔王が突然、魔王城に向かう準備をするといい出して出かけて行ったのである。私は、魔王が何をするつもりでいるのかわかっているために止めはせず魔王を見送ったのであった。すると魔王は突然帰って来たと思った途端、私に服を渡すので着替えるように言いつけてきた。そして魔王は、私に渡したワンピースよりもさらにフリルがたくさんついた服を着せるのである。そんな格好にさせられた私は、恥ずかしくて魔王に抗議しようとしたのであるがそんな事をすればさらにひどい目に合う事がわかったため大人しく従う事にしたのだった。そして魔王は満足そうに微笑むと再び外に出かけて行く。

しばらく魔王が帰ってくるのを待っていた私だったが一向に帰ってくる気配がないので暇になり始めた頃ようやく魔王が戻って来て、魔王が買ってきたというケーキに舌鼓を打っていた。

魔王が私の事をじっと見つめていたのだが、何か私に聞きたい事があるのかと思い魔王に声をかけてみると、どうやらその通りのようで、魔王は、私に何か隠し事していませんか?。と質問してきたのだ。

私は一瞬どう答えるべきか悩んだのだが、すぐに勇者が言っていた事を思い出す。そして、カレンに勇者の事をどう思っているのかと聞いた事を私は思い出し魔王にその事を尋ねてみた。すると魔王は明らかに挙動不審になり始めて何かを隠しているのは明らかだったのだ。

その反応をみて私はやっぱりカレンのことが好きなんだと悟ってしまい私はどうすることもできない自分に無力感を覚え、悔しさのあまり泣いてしまい、それをみかねた魔王が、私が落ち着くように背中をさすってくれる。その事に私は魔王の優しさを感じ、魔王の事が好きだと思う。そして私は勇者なんかより魔王を選ぶべきだと言うことも分かってはいるのだがやはり勇者の側を離れることができないと感じる。

その事に気がついた魔王がそんな私を見て苦笑いをしていたのだがそんな魔王は、カレンの事が気になって勇者に会いに行っただけ。と言い出す。その事で私はその通りなんだと理解したがそれと同時に、私も魔王に嘘をついているのでおあいこなのだと気がつくと何故かおかしくなってつい笑ってしまうと魔王もつられて笑った。そんな私と魔王だったが魔王の事が好きだと改めて感じてしまったので私達は恋人同士のような会話を始めるのである。その事に私は、とても幸せを感じた。

そんな風に幸せな時間を過ごしている私達の前にいきなり魔王が現れたのだった。

私はカレンと別れてから家に入り、私とカレンの分の食事の用意を始めた。するとカレンが台所に来て一緒に作ると言い出したので、私にカレンと料理を作っていくのもいいかもしれないと感じて許可することにした。私は早速野菜を洗い、調理を始めていく。その途中カレンにどんなスープを作るつもりなのか聞くと、カレンが魔王城の味を再現して見せる。と、自信満々な顔で答えてくれたので、カレンの言うとおり魔王城の料理を私達二人だけの味にする為に私は全力で取り組むことに決めるのだった。

そんな私達の前には、いつの間にか勇者とエリカさんがいて私達が料理を作り終わるのを待っていたようだ。その事に驚きつつも私とカレンは二人で楽しく夕食を作ったのだった。

私が、私自身の力を確かめる為魔王の元を離れてから一人で行動を開始した。

私がまず最初に訪れたのは魔王が、カレンを救うために必要な条件の一つ、この国にあるとされるダンジョンの最下層の攻略。それを行うために私は、この国のダンジョンの場所を調べていた。そして私が向かったのは、この国の辺境に存在する巨大な森の中にある洞窟。その奥地に存在するのがこの国のギルドの本部が存在するダンジョンだった。しかしその場所は森深く、一般人にはたどり着けないように特殊な細工が施されているのだがその事については勇者は知らないはずだし問題ないだろう。そんな事を考えながら私は、カレンを助けに行くためには絶対に必要なことだと思い覚悟を決めて、私自身にこの国の中で一番の実力者だという証を手に入れなければならないのだと心に決めながらその洞窟の中に足を踏み入れる。そして私は洞窟の中に入ると迷う事なく進んでいく。

その道中、魔物が襲い掛かってくるのだが全て返り討ちにして進む。そして最深部にたどり着くとそこは広い空間になっていた。私はそこで待ち受ける強者と戦うために身構えているとその人物は姿を現したのであった。

私に、カレンに魔王城での日々の記憶を消した理由を聞く権利があると思う。

そして私は、カレンに魔王と過ごした日々のことを聞いてみる。

私はカレンに魔王城で過ごした日の出来事について聞いてみる事にした。私は勇者との思い出については、聞かないでおいたのである。それは私も話していないのに一方的に聞いてしまうと不公平だと思って聞かなかったのだ。

私はカレンと魔王がどんな生活を過ごしていたのかとても興味があった。

そして私はカレンに魔王の事は好きかどうか尋ねるとカレンはその問いに少し困ったような顔をする。しかしカレンが私のことを嫌いではないと知って少し安心していると、突然、魔王が現れ私に話しかけてくる。そして私がカレンと話をしている最中に魔王がカレンを抱き寄せていて私はカレンに駆け寄って離れさせようと魔王の手を掴んで無理やり離させたのだった。すると魔王に叩かれてしまい、そして私は自分のしてしまった事に罪悪感を抱いてしまい思わず泣いてしまったのだった。しかしそんな私のことをカレンは慰めてくれて私のことを抱きしめてくれる。そんなカレンが愛おしくて私はカレンの唇を奪う。するとカレンは最初は驚いていたが、すぐに受け入れてくれて私たちはそのまま深いキスを交わしていく。そのことに私は幸福感を感じていたが、勇者がそんな私たちに気がつき、勇者がこちらに向かってくるのに私は気がついた。

私は慌ててカレンから離れ、何事も無かったかのように振る舞おうとしたがカレンに腕を引っ張られてしまい、勇者に聞かれてしまうのであった。するとカレンが魔王がこの国に来ていることを伝え、勇者が驚く。私は魔王がここにいるとは知らずにいたので勇者に事情を説明してもらうことにしたのである。そして勇者は私に、魔王城にカレンを連れて帰ってきてくれないかと言ってきた。しかしそんな事できるはずがないと思った私は、無理だということを告げる。しかし勇者はそんな事は気にせずに、大丈夫だから早く行ってこいと強引に追い出されてしまったのだった。

勇者に追い出された私達は今現在、魔王がいると思われる洞窟に急いでいた。私はその道中でカレンに、魔王はどうだったかを尋ねてみることにする。私はこの世界で最強の存在と言われている魔王と戦って勝てる見込みがあるのかを尋ねたのだがその答えは予想通りのもので、魔王と勇者の力の差がどれだけのものかわからないのが不安ではあったが私は魔王と戦わないといけないと思っていた。

私は勇者と共に魔王の元にたどり着いた時、私達を迎えに来た勇者が魔王に対して文句を言ってくれたおかげでスムーズに私も会話に入ることができ、私は魔王城に連れて帰る事ができるかもしれない。そう考えた。

そして私が、魔王に勇者と魔王城に帰ろうという提案を持ちかけると意外にも魔王は素直に従ってくれて、私は魔王とカレンとともに魔王城に戻った。その途中で私は、カレンに私を庇わないで欲しいというとカレンは、私に心配をかけるのはやめて欲しい。と言う。そして私はそんな事を言われてしまったら私は魔王を守るしかなくなってしまった。

魔王城を探索していた時に発見した宝物庫らしき場所には大量の魔剣が飾られており、私はその中から一つを選び、手に取ると勇者に使い方をレクチャーしてもらって剣技を習得したのだった。そして魔王にその力を見せてもらった私は圧倒的な強さを誇る勇者に負けないほどの実力を手に入れた事に歓喜していた。

そして私はカレンと別れた。勇者は私と一緒にカレンを追いかけると言い出すが私はそんなこと許すはずがなかったのである。そのことで魔王は不満そうな顔を浮かべていたのだったがそんな魔王に私は魔王城に帰るようお願いして何とか魔王を説得し魔王と別れたのだった。その後私は、私をここまで強くしてくれた魔剣を手にして私は、その力を試したい気持ちに駆られるのである。そして私はその力で勇者と戦いたいと考えていたのだった。そんな私は勇者に戦いを挑みに行き、そして勇者がその勝負を受けて立ち私達は戦う事になったのである。

魔王と勇者の闘いを邪魔しないよう私は勇者に襲いかかり、その戦いを始めた。

勇者との戦いを始めた私は、魔王の力が混ざっている今の自分では確実に魔王に劣ると感じていたが勇者と魔王の対決に決着が付く前に終わらせないといけなかった。その事から私に選択肢はなく本気で闘う事を決意する。そして勇者の攻撃を受け流しつつ私は勇者の攻撃の機会を伺うのだが勇者に攻撃する隙が全く見つからない。そしてそんな攻防を続けていたがとうとう勇者が本気を出したようで、勇者の放つ魔法の数々を私は回避していく。

その魔法をかわすだけでも大変だというのにさらに、勇者が繰り出した斬撃までよけなければならず、私は、そんな状況で勇者に攻撃を仕掛けようとすると今度は勇者が私に向かって斬撃を放ってくるため私は避けるしかなかった。そして勇者の魔法の猛攻は止む事は無く私と勇者の攻防は続くのだが私はまだ魔王から奪った固有能力を完全にコントロールできて居ないため、このままでは押し切られてしまうと判断した私は賭けに出る事にした。

そして私は魔王から奪い取った力を使って私は勇者に渾身の力を込めて一撃を繰り出そうとしたその時だった。私はその力を使った事により魔王から奪ってしまった固有能力を制御できなくなり私の体は崩壊し始めていたのである。そして私の姿が崩れ始めたその時には既に遅く、私は体の崩壊に耐えきれずに死んでしまうのだった。そしてそんな死にゆく私の姿を魔王は悲痛な表情で見つめ、その事について私は心残りが出来た。そんな後悔を残しながら私は死んでいったのだった。

俺は目の前でカレンが死ぬところを目撃してしまい、あまりの出来事に俺の心は耐え切れずその場で崩れ落ちそうになったがなんとか踏みとどまり、すぐにでもカレンの後を追いたい気持ちを抑え込んで俺は自分の感情を殺しながら、自分の意思で行動するようにカレンに伝えカレンを送り出した後すぐさまカレンの元に向かうのだった。

俺は魔王の元に向かおうとするカレンを必死に引き止めようとしたが結局引き止める事ができず俺はカレンを送り出す事になってしまった。その事が原因で俺は自分自身が情けないと思う。そして俺は自分の無能さに絶望して膝を抱え込むように座り込んだのだった。するとそこに魔王が現れた。その事で俺は魔王の方に振り返ると魔王が俺に話しかけてきた。そして俺は魔王に、カレンが死ぬ間際の場面について話し始めてしまう。そしてそんな話に、俺が話している最中魔王は一切言葉を挟むことなくただ真剣に聞いてくれている様子で、その事に安心したからなのかつい喋ってしまいそうになる。するとそこで魔王から俺が今までに味わった事の無い程の衝撃的な一言を告げられたのである。その内容は魔王から俺に魔王になって欲しいと言われたのであった。その事を聞き魔王の言葉が信じれなくて俺は魔王に質問をした。

そして私は勇者と闘って自分の力を確認した。その力は圧倒的と言っていいほど強力であったが、それでも私はまだ足りないと感じ、この国の最強と言われている冒険者にも手合わせしてもらうために私はその人の元に向かった。その道中、街の住民達が私に道を譲り頭を下げてくる事に私は少し驚きつつも特に気にはしていなかったのだが、そこで私は信じられないものを見たのであった。

私が向かった場所は王都の中でもかなりの人気があり常に多くの客が訪れている食堂だ。そこは、私が前世で住んでいた場所でもよく食べに行った場所だ。

その店で、私はいつものように店の一番奥の席に座るのだがその事に気づいた店員の女の子がすぐに私の元へ駆け寄ってきたのだった。

そして私は、店の中で暴れないようにその女の子に注意をして注文をするのだが私はそこでこの世界に存在しないはずの食べ物がある事に驚く。私はその事に戸惑いを覚えつつも、その子に声をかける事にする。そしてその声に反応してこちらに近づいてくる。しかし私の存在に気付いた瞬間なぜか、彼女は私に対して平伏してしまったのだ。そして私は彼女を見下ろしつつ彼女に、私は何も危害を加えない事を伝えても全く反応しなかったのである。そんな彼女の対応の仕方を見て私は魔王を思い出してしまい、そんな彼女が私の配下として使えるか不安になりながらも私は食事を終える。

そして私はすぐにその場から離れようとした時だった。後ろの方で先程私が注文した品が盗まれる音が聞こえてくる。その事で私は完全に怒りが抑えられず犯人を突き止めるため店内にいる人に話を聞こうと思ったのだがある意味私の予感は当たっていたのかもしれないが最悪の結果になる。なぜなら私がこの店に来なければ、こんな事にはならなかったはずだからだ。

その事に私は苛立ちを覚えるがその気持ちを押し殺して私はある作戦を実行しようとしたのである。それは私と同じような格好をさせ、同じ物を食べた人を特定しようという単純な方法だったのだが私は見事にこの店に勤めてる人を捕まえることはできた。しかし問題はここからだった。その人は私の顔を見ると泣き出して怯え出してしまったのだ。そのため仕方なくその女性に他のお客さんに私と同じものを運ばないよう伝える事と、そしてこれから私の指示通りの行動をとるという事を伝えたのだがその女性は恐怖で私に対して完全におびえ切ってしまっていた。

それからその女をどうするか考えた私は、まずはその女を連れて魔王城に戻ることにした。そしてその事について報告するためにその女の足を掴み引っ張っていく。

私はこの店に来ていた人達の顔を確認していたが、その中に魔王がいて驚いたが魔王の事を気にせず魔王の事を睨んだ。

そして私は魔王城に戻り、勇者のところに向かい勇者の実力を確かめるために手合わせする事を伝える。すると勇者は二つ返事で答え、私と手合せする事になるのだがその前に魔王城で私の身支度をしてくれる使用人とメイドを私は魔王に頼みに行くのだった。

「お前は魔王なんだろ?なんでそんな事までするんだよ。そんなことする必要がどこにあるんだよ。」

俺に頼まれた事は二つありその一つがカレンとサユリの着替えを頼むことだったのだが、それを聞いて魔王の態度はあからさまに変わったのだった。その理由は魔王に聞けばわかった。

その質問に答えてくれるのかと魔王を疑っていたが、魔王の返答は、魔王は人間達を支配して好き勝手にやりたい放題やる存在だ。という魔王にとっての常識のような回答をしてくる。そんな当たり前のことに、俺は腹が立ち魔王に殴りかかろうとする。

しかしその前に魔王は魔法を放ち、それをくらった俺は意識を失ってしまった。そんな俺に対して、魔王はカレン達を魔王城に連れ帰ってほしいとお願いをしてきたのだった。そんな事をお願いされた理由を聞いたのだが魔王は答えてくれなかったが俺はその言葉の意味を考えてみると一つの結論にたどり着くことができた。魔王は、カレン達を助けようとしていてくれていたんじゃないかと、そして俺がその事に気付かないと魔王は判断したから俺が目覚める前に全てを終わらせるつもりなのではないかと思う。そして魔王は本当に魔王なのか?と改めて思ったが、その気持ちをしまいこみ、魔王を信用しその願いを引き受けようとするが、俺が目覚めたのはそのすぐ後だったのである。

俺の意識が完全に戻った時にはすでに魔王の姿は無く、俺は一人でいた。魔王が居なくなる前に、俺に頼んでいた事を果たすべく俺は急いでカレンの元に行こうとしたがその時だった。突然現れた黒いローブを着た男が、俺の前に現れて俺は、魔王城の近くにあるダンジョンまで行くように指示され、そこで勇者が待ち構えていると伝えられたのである。

そして、カレンに念のため注意するように連絡をしてから俺は指示通りに行動を始めた。

俺はカレンに連絡を入れてからしばらく歩いているとカレンが俺の前に現れ、カレンが俺と一緒に来た理由はカレンとサユリも一緒に来るためだと言う事だった。そして俺は、勇者はカレンに任せてサユリを守るようお願いしていた。そしてその後、俺はカレンにサユリの事を託すと俺は勇者との待ち合わせ場所である魔王城跡まで向かう。

その場所に着くと勇者ともう一人が待っていたので早速戦闘に入る。そして勇者の一撃で俺は気絶してしまい次に目が覚めた時には全て終わっており、俺達はこの場から去ろうとした。だがそこに一人の人間が姿を現したのだった。その男は俺に魔王を倒してくれと言い始めた。その事に疑問を持ち俺は男に事情を話すように話すがその話によるとその男の先祖に俺の遠い親戚にあたる人物がおりその人は昔、勇者と呼ばれ魔王を倒した英雄なのだがその血が途絶えてしまい俺に勇者の血が流れているらしい。

俺はその言葉に困惑するしかできなかったが、そんな俺に、俺が魔王を倒せる力を手にしている事を言われその力を使い魔王を倒すしかないと言われてしまう。

その事を聞き俺には選択肢はなく、俺の体に宿る力が、俺の体を魔王が乗り移ったかのように侵食し始めたのだった。俺は必死に耐えようとしたがその侵食を止めることはできず俺の意思とは無関係に、俺は魔王の体を使って行動し始めるのだった。そしてその体を使う事により俺はカレンやユナ、そして魔王の言っていた事の真実を知ることになる。

その事に俺は戸惑いを覚えつつ、俺は魔王に話しかけようとしたがなぜか俺には、もうその体は自分のものであって自分のものではないような違和感を感じた。俺はそんな自分の状態に戸惑いつつも自分の意志をなんとか維持しようと試みる。そうすると魔王の体で、俺は勇者の剣を掴み自分のものにした。俺はその事で俺が魔王の体でこの世界に存在していられるのは魔王の体が俺のものになったからだと分かった。しかしそれでもなぜ、俺の体の中に入ったはずの魔王の魂が俺の中に戻ってこないのか不思議に思う。

そして次の瞬間俺に強烈な激痛が訪れる。そして俺が魔王の剣を使ったことによって起きた出来事なのだろうと俺は確信してしまうほどの現象が起きたのである。

そして俺の中に入り込んでいた魔族の魔力が全て消え去り俺は元の普通の人間に戻ったのである。それと同時に今までの俺は魔王と融合している感覚があった。その事が気になり俺は魔王にそのことを質問してみたが、どうも上手く説明できないようで困っている様子だった。だからその事に付いて考えるのは止めて今は、カレン達の安全を優先するために俺は勇者をこの場に留める為に時間を稼ぐことにした。

そして俺と勇者の戦闘が始まった。

勇者が使ったスキルによって発生した雷で俺は麻痺の状態異常に陥り動きを止められてしまう。その事を利用して俺に攻撃を仕掛けようとした時だった。突然、サユリちゃんの声が聞こえてきたのだ。

「パパを虐めないでぇー!!」

そんなサユリちゃんの一言に、なぜか勇者は俺に対して攻撃を止めたのだった。そしてそんな勇者に対して俺は疑問を抱きつつもサユリちゃんに感謝をする。そして、俺に何か伝えようとしているサユリちゃんの口を押さえながら勇者がこちらにゆっくりと歩いてきていたのだ。そして、その事を確認した後に、俺に襲いかかってくるが、俺にはその攻撃が通用せず、その勇者が放った一撃は俺には効かなかった。そしてその事に驚き動揺していたその隙に、俺は勇者の腹に拳を叩き込み俺は気絶させた。

そして俺はカレン達に合流して魔王城へと向かっている途中に、俺の意識は再び遠くなっていく。そして再び俺が目を覚ますとそこは魔王城にある俺の部屋であった。そこで俺はカレン達の安否確認をし、問題なくみんなが元気でいたことを確認すると安心する。

それからカレンとサユリを魔王の所へ連れていき魔王を元に戻してもらう。

そして俺は魔王城にある部屋で休むことになり、翌日を迎えるとそこにはいつも通りの日常が存在していたのだった。それから、魔王に昨日の事を聞いたのだが結局俺に何が起こっているか分からなかったのだ。ただ一つ言えるのは俺に、また新しい厄介ごとが発生したということだ。

それからしばらくして俺はユグシルの奴隷になってしまった女の子について考えていた。あの時は頭にきてしまって感情的になって色々と言ってしまった。そのため俺にその子の面倒を見てほしいと頼まれてもその事に素直に従うことができない。しかし魔王の言葉に俺は納得させられてしまった。確かに、俺はこの世界の事について詳しくないし俺一人が考えて行動するよりは魔王にアドバイスを貰った方がいいのかもしれないと思い、俺はその事を引き受けたのだった。しかし、その事でさらに俺は頭を悩ませることになってしまうのである。

なぜならその事について相談するために俺は、魔王に会いに行ったらそこで魔王にキスをされてしまったのである。魔王の行動に理解ができない俺だったが、魔王のキスのせいで俺と魔王の意識は一体化し、俺達はお互いに相手の事を感じ取れるようになる。それにより俺は、魔王の考えていることが分かりその魔王が俺の事を好きなんだという事を知った。

その事に俺は困惑し混乱してしまっているのである。その事を考えると頭がおかしくなりそうになるのでその事に関してはあまり考えないようにしようと思っている。そして、そんな状態で魔王から呼び出され、俺は魔王城に来ていたのだった。

俺は、この国の王に、俺に勇者の力を与えた人物に会うように指示された。俺はその言葉を信じ王と会うためにその人のもとへ向かうのだった。

それから俺の案内に従って王の待つ場所に向かって行くと、そこにたどり着いたのだがそこにはすでに俺が知っている王がそこに居たのである。俺はその光景を見て、俺は幻術の類に嵌められてしまったのではないかと疑い始め、目の前にいる王に対して警戒を強めてしまう。

そして王は俺のことを俺の先祖にそっくりだと言い俺の顔を覗き込んできた。そんな行為に対し俺は不快感を覚えるが、俺は何とか我慢して、王と対面すると、俺は自分が異世界から召喚された人間だという事を伝えるのだが、そんな俺に魔王の事を尋ねられたのである。

俺はその質問に、俺は答える事が出来なくなってしまうのだがその事で魔王に迷惑がかかるのではないかと考え、その事を伝えようとするが俺が話す前に俺の考えを察した魔王が俺の前に現れる。

そして俺は魔王に、これから先起こるだろう俺の面倒を頼んでみる。

魔王にその話をした俺はその事に魔王が嫌がった場合は無理やりでもこの国から出ていくつもりでいた。そして、その覚悟で話をしていたので魔王の反応次第では本気で逃げようと考えていた。

そんな気持ちの俺とは対照的に魔王は俺の事を見守るだけで助けてくれるとは言わなかったが、魔王の答えは、魔王に任せてくれと言う言葉だけだった。俺は、それを聞いた後で、魔王が俺にしてくれたことに恩を返そうと改めて思ったのである。

それから魔王は、カレン達三人に魔王城を案内するようにお願いすると、魔王が言うのなら仕方がないと言う事なのか渋々とだが承諾をした。俺はカレンにその事は後でお礼を言う事にして、今は先に用事を済ませようと王に話しかける。

「すみませんが俺は急いでこの国を出て行かなければ行けなくなったのですがよろしいでしょうか?」

「そなたはこの世界の住人ではないだろう。どうしてそこまで急いでこの国を去ろうとするのか分からないがまあよかろう。その件に関してだが私から一つお願いがある。それを聞けば私のお願いを聞き入れてくれると思う」

(ふぅ、なんとか許可を得ることが出来たようだね。それにしてもさっきの彼かなり焦ってたけど大丈夫かな?)

俺はその言葉を信じることができず少しだけ迷ったがすぐに魔王の元へと行きそのお願いの内容を聞いてみることにした。そして俺はその内容を聞き驚愕してしまうのだった。

俺は、魔王と別れてから、カレン達と合流するまでの間に自分の力を確認してみることにする。

まず最初に、スキル欄を開くと、そこには見慣れないものが書かれていた。そのスキルの名は"魔剣使い"というものでその効果には魔剣に認められて初めて使用が可能となると記載されていた。そしてその次の項目には魔剣の解放レベルが記載されておりそこに書かれていた数字は3となっていた。つまり俺は、魔王が使っていた剣が解放されたということなのだろうか。しかし俺は魔王の剣など使った覚えはない。

そう思い俺は次に、ステータス画面を開いたのだがそこに書かれている数値を見た途端に俺は驚きを隠せなかった。その事について説明をしようと俺はカレンを探すために魔王城に戻ってきたのだが、魔王に捕まりカレンの所には行けなくなってしまった。

そして魔王は俺とサユリちゃんを連れて自分の部屋へと向かうのだった。その道中俺はサユリちゃんの手を引いている魔王に疑問を持つ。それはなぜサユリちゃんが一緒にいるのか?ということである。そして、その理由を聞こうとするが魔王が何も喋ってくれず俺は何も言えないまま魔王の部屋に着く。そしてそこで俺は、魔王のキスを受け意識を失うのだった。その事に、なぜこうなっているのかが気になった俺は起き上がると魔王に質問をしてみた。

そう俺が目覚めてすぐにした行動とは魔王のキスから逃れるためである。そしてなぜキスされたのかを俺は魔王に尋ねることにしたのだ。そう聞くと、魔王は自分の事を勇者の子孫であり勇者が残したスキルを使えると、俺が言っていた事を伝えたいらしくそのために俺に対してキスを行ったらしい。俺はそれを聞くとなんとなく予想がついていて驚きは少なかったが、それでもやっぱりキスはやめてほしい。だって、好きな人にファーストキッスを捧げておきたかったんだもん!!俺の心の声は誰にも聞こえないので問題ないが、そんなことはともかくとして魔王の説明によると、このスキルが本物であると証明されたのなら俺も納得できるというものだ。

そしてその説明をするために俺はサユリちゃんと共に再びカレンのもとへと戻ることにしたのだった。

そして魔王の部屋から出た俺は、サユリちゃんの手を握りながらカレンの所に向かう。そして俺達が魔王の所に行く時に別れた場所に戻ってくるとそこではすでに、戦闘が始まってしまっていたのだった。俺達は、突然始まったその光景をただ見ている事しかできなかったのである。その状況を確認した俺はサユリちゃんを抱え込みその場から離れる。そして俺の目の前にはカレンに抱きつかれている勇者が立っていた。俺はその事を確認した後に、この場から一旦離れることにし魔王のもとに向かったのだった。そして、魔王にその事を報告する。その事を聞いた魔王がなぜか不機嫌になり俺に対してキスをしようとした。俺はそれを必死に避けようとするが最終的には、キスされ俺は気を失ってしまうのだった。

俺は目を覚ますとその事に驚きながらも冷静に魔王に説明を求めようとした。すると、魔王は、俺に対してキスした理由については、俺の魔力の流れを感じ取りその流れがあまりにも強大だったのでキスをする事によってその事を抑え込むことができると判断したのだという事を説明してくれた。その話を聞いた俺はすぐにそのキスの効果を調べると確かに、俺の体内で何かが動いているように感じた。その感覚はとても不思議なものだった。しかし俺がその事に戸惑っていると急に現れたサユリちゃんによって俺の体はまた魔王に襲われてしまうのであった。その事に抵抗することもできず俺は、再び意識を無くすのだった。

それからどれくらいの時間が経ったかはわからないが俺が再び意識を取り戻した時魔王は、カレン達に俺のことを頼んでいた。そして、魔王に言われてしまったからには仕方がないといった感じで、俺の面倒を見ることをカレン達は引き受けてくれたのだった。

俺はその後すぐに、カレン達に連れられ、サユリと一緒に勇者がいる部屋へと向かうことになった。サユリと手をつなぐのは別に構わないのだがサユリの表情から見るにあまり良い状態とは言えなかった。俺はその事についてサユリに直接聞きたいところだがこのタイミングで聞くことはできない。なので、今この場で話すことではないと考え、この事については、今は気にしないことにするのだった。そして、カレンとサユリに勇者の事を説明して、俺のことについて聞いてみる事にした。すると二人からは、俺は魔王に勇者の力を与えた人間にとても似ていると言われるのである。しかしそんなことありえないと俺が言うと二人は顔を見合わせて笑った。その事がなんだか腹立たしかった俺は二人の言葉を無視して話を強制的に終わらせようとする。しかし、そこでサユリに服を引っ張られるのである。そして俺の耳元に近づいてきた。その行為に俺は動揺を隠せないでいたのである。

そして俺は、サユリから衝撃的な事を聞いてしまい俺は言葉を失い呆然としてしまったのだった。そんな状態の俺をカレンが引き戻す。そして俺に、魔王にキスをされてからずっと考えていた事を話し出した。俺は、その言葉を聞いた直後、自分の心の中に魔王に対する憎しみの感情が流れ込んでくるのを感じたのである。

それから俺と魔王とカレン達四人は、勇者が寝ている場所へとたどり着くのである。そして、勇者が起き上がるのと同時に俺は勇者に対して攻撃を仕掛けた。勇者と魔王の戦いが始まり俺はそれを見て思う。魔王に勝てるかもしれない!と そんな事を思ってしまったせいか俺の攻撃はすぐに終わってしまった。魔王が余裕な表情を浮かべているのを見て俺は悔しさを覚えるのだったが、それと同時に、魔王の圧倒的な強さを見せつけられたことにより、俺は今まで以上に強くなる決意をするのだった。

そして俺は勇者に自分がこの世界の人間じゃない事を告げる。しかしそれでもなお魔王を倒しに行こうとする俺に、勇者が、自分が魔王を倒してみせようと言い出した。

そんな勇者に対して魔王は、俺と決闘すると言い出す。俺はその事に対して魔王に反論しようとしたが、それよりも早くに、勇者が俺に勝つことができれば俺が異世界人であるかどうかの判断がつくと魔王に言われたため仕方なく、俺はそれに従うことにした。そして俺は魔王の待つ部屋へと向かう。俺は、これから起きるであろう戦いの事を考えると不安になってしまうのである。なぜなら相手はこの世界で一番強く俺は弱いからだ。だが俺は、これから先の事を思い浮かべてみてあることを閃く。それは魔王の技を使う事だ。その事を思い出すと俺は少しやる気が出た。その事を思い出せたことに少しだけ嬉しくなってしまう。そう思い俺は自分の心を落ち着かせるために一度深呼吸を行う。そうしているうちに俺は、自分の中に流れている魔力が以前とは違うような気がしてくるのだった。その事を不思議に思ったが、今は深く考える必要もないため、俺は、その疑問を忘れることにした。

そして俺は魔王が待っている部屋の中に入ると、そこには魔王だけではなく何故かアベルさんもそこに居た。俺はそのアベルさんがなぜここに居るのか?そしてアベルさんの身に一体何が起きたのか?など気になることだらけなのだが魔王と俺が向かい合うような形で立つと、俺は気を引き締め魔王との戦いに備える。そしてその事に満足そうにうなずきながら魔王が話し始めるのだった。

そしてその魔王が俺に向けて放とうとしている攻撃に俺は目を奪われていた。

それはその攻撃を見ていたカレンも同じようで、その威力の大きさに驚いているようだった。しかし、魔王のその行動を止めるべく、俺は全力の魔法を魔王に向け放つがそれを軽く弾き返されてしまったのである。

そんな魔王の放った攻撃のあまりの恐ろしさに、俺は膝をつき絶望してしまっていた。そして次の瞬間、俺の中で俺の中の力が急激に増していくのを感じる。俺が自分の体を見ると先ほどまでは黒かった髪の色に赤と青が混じったものに変化していて、俺はその色を、美しいと思ってしまうほどだった。しかし、魔王の一撃を受けたことでその力は完全に解放されてしまい俺の力はさらに増幅していったのである。そんな俺に魔王は、勇者と決闘をさせるために動き出そうとしていたのである。その事に気付いた俺は、魔王の動きをどうにかして止めなければと考えたのだが、その考えを実行するよりも先に俺に向かって剣を振り下ろす魔王の姿が見え、俺はその剣を避けながら、なんとか反撃の機会を伺おうとした。その結果俺は見事に魔王から逃げ切ることに成功したのである。

その事に驚いた魔王がなぜ?と言った顔をしていたが俺はすぐに剣を取り出して魔王に向かって走り出し切りつけるとあっさりと魔王を倒せたのであった。その事に驚きながら俺と魔王はお互いの顔を見るのであった。そうこうしながら俺たちの戦争が始まった。しかし結果はやはり魔王に軍配が上がったが、今回は、アホみたいな理由で戦ったのではなく魔王の持っている能力を確かめる為でもあった。そして魔王の持つ能力は確かに凄まじいものではあったがその使い方次第でいくらでも対策の取り様があることがわかったのである。そして、俺にはもう魔王を倒すという目的がなくなり、魔王を殺す必要はないと考えるようになるのであった。そして俺達は話し合いを始めると俺はその時に魔王の呪いについての話を聞き俺はその呪いを解きたいと願い出た。その事を聞いたカレンがなぜかとても慌てていたのだけれど俺はその事を無視をすることにした。

俺は魔王と握手を行い呪いが解かれた事を確かめた。その事に俺は安心するが、しかし、俺の中に残っていたわずかな魔力も使い果たしてしまっていて俺自身の魔力もほとんどなくなってしまった。そのため魔王が倒れてしまったため俺は急いでカレン達を呼びに行く。すると、カレンは魔王の側にいて、俺が呼びに行くまで治療を行なっていた。俺はそんなカレンの様子に少し違和感を感じてしまう。

それからしばらくして、サユリちゃんや勇者達も集まりみんながそろうのである。

俺がサユリちゃんの方に視線を向けていると魔王から俺のことを頼まれたカレンは、その頼みを引き受けてくれた。俺は、俺にはまだやらなければならない事があると思ったのですぐにサユリちゃんのところへ向かうことにする。

そして、魔王の部屋を出た後に俺はサユリちゃんに自分のことを伝えるのだった。その事を聞いたサユリはなぜか悲しそうな顔になる。そしてサユリが、どうしてそんな顔をしているのかわかっているがあえて俺はその理由を聞くことはしないでおいた。俺はその事には触れずに俺の考えだけをサユリに伝えるとサユリはその事に同意するように微笑んでくれた。しかし、サユリがなんでそんな反応をするのかわからない俺は困惑してしまうがそんな事は関係なく時間は過ぎていく。

俺は、魔王の事をアモンとルシフに任せてから、俺達はサユリと一緒に行動を開始したのである。そしてサユリにこの世界の事を説明する。まず初めに俺はこの世界の通貨について説明した。サユリはそれに疑問を持ち俺達に質問をするとカレンが代わりに答える。その事について、サユリが俺に対して何か言いたそうだったがその事を気にせずに俺は説明を続けた。次に、魔物がどこから生まれてくるかなどを俺はサユリに教える。

そして俺達は、勇者がいる所に向かうのだった。そこで、俺は、サユリと別れる事になるのだが俺にはこの先どうなるのかある程度予想はできていたのだがその通りになってほしいとは思わないでいた。だから俺はサユリとの会話をなるべく楽しいものにしようと考えていたがそれもすぐに終わることになる。

それから俺達は勇者と合流すると俺は勇者に、俺の事を仲間にしてくれないか?と提案をしてみる。俺の提案を聞いた勇者が迷っていると、魔王が俺のことを認めてくれて、魔王の仲間になるための条件を教えてくれた。そして俺がそれを確認する前にアベルが、それならば、俺にもお前を認めさせてみろと勇者に言う。それを聞いた勇者は、俺の事をいきなり斬りつけてきて戦闘になる。そして俺はアベルに負けてしまった。だが俺も黙って斬られたわけではなく隙を見つけては攻撃を繰り返した。だが俺はその度にカウンターを喰らい結局一度もアベルに攻撃を当てることができずに終わってしまったのである。

俺は悔しくて仕方がないと思いつつ、勇者の方へ歩いて行くと俺の背中からアベルが言葉をかけて来た。その言葉に俺は心の底から震え上がらせるほどの迫力が籠っていた。その言葉のせいで、俺は完全に戦意を失ってしまったのである。俺はアベルのその言葉に逆らうことができなくなってしまいその場で地面にひれ伏すと、アベルの言葉に従って魔王城の中へと入っていく。そして俺は勇者とアベルと共に魔王城の最上階へと向かうことになったのだった。そして、アベルは俺に対して話しかけて来る。その話の内容は魔王は今この世界の何処かにいるという話である。

そんなアベルに対して俺はなぜそんな事を言えるのだろうかと思ってしまう。

そしてその話を聞いて俺は少しだけ魔王の事を考えてしまう。それはもし魔王と戦うような事になれば、魔王の居場所を知る事ができ魔王を楽に倒す事ができるのかもしれないと思ったからだ。しかし、魔王がどこにいるのか知っているのはアベルだけで、アベルにそれを直接聞くのも失礼だと感じてしまい俺は何も言わなかった。そうして俺は魔王の事を考えるのをやめて目の前の問題にだけ集中するのだった。そして俺達はその途中で勇者と別行動をすることになるのである。

そして勇者は、自分が魔王を倒すと言って一人でどこかへ向かって行ったのだった。

俺はそれを見送ったあと、俺達は魔王城の中にある玉座の間へと向かうのである。そしてそこにはすでにカレンとユグシルがいた。俺達が入ってきたことに気づくとカレンとユグシルはこちらを見てきた。そして俺とアベル、そして勇者はカレンの前に行きひざまづく。そして、俺とアベルと勇者とユグシルが揃ったところで俺達は魔王が帰ってくるのを待つことに決めるのだった。

魔王が俺達の元に現れてからは、あっという間に時間は流れてしまい気がつけば魔王は、俺の目の前に立っていた。そんな魔王は、カレンの方に近づいて行ってなにかを話始めたのだがその内容は、カレンにしか聞こえないような小さな声で話していたため俺は内容を聞き取る事ができなかった。そして魔王はそのまま部屋から出て行ってしまったのである。

俺はその事に、嫌な予感を覚えていた。

そして俺のその予感が当たってしまう。

そう、俺はまたも、魔王から呪いをかけられてしまったのだ。

そうして魔王は俺に向かって笑顔を向けるとカレン達と一緒に部屋を出て行くのだった。そしてその後にカレンとユグシルは、魔王を追いかける形で部屋から出ると俺はその場に取り残されることになってしまったのである。そして俺はカレンと話がしたいと思っていたがそれはできないでいるのだった。

そして俺達は、カレン達が戻ってくるまでの間ずっと魔王のことに関して話し合ったのである。俺はそんな時ふと、この世界にカレンを連れて来れたことが本当に嬉しいと思うのだった。そして俺達は魔王に会えない時間が続いていくのである。そんな中俺は魔王のことについていろいろと考えてしまって落ち着かなかった。しかし、それでも時間はどんどん過ぎていってしまいいつの間にかカレン達は俺の前に現れたのであった。そしてカレン達は俺の側に来ると俺の事を抱きしめてくれたのである。そのおかげで俺はカレンの温もりを感じるとようやく安心できた。しかし、それと同時に魔王に負けた俺のことをカレンがどう思っているのか気になってしまい俺がカレンにそのことを尋ねようとするとカレンはそれを遮るように俺に向かって話をしてきた。俺はその事に戸惑ったのだがとりあえず俺はカレンの話に耳を傾ける。カレンの話では俺はこれから、しばらくここに残りたいのなら残っても構わないと言われた。その事に、俺はどうしようもなく悩んだがこのまま俺のわがままを言ってしまえば、迷惑がかかるのではないかと思ったため俺はその事を伝える。

それから俺は、カレンと別れて俺達は王城を出ることにした。その時のアモンはとても悲しそうな顔をしていたのだけれど、アモンはすぐに立ち直りサユリちゃんの元へ向かったのであった。

そうして俺たちは再び、冒険を始めるために動き出すことになる 私はサユリちゃんを仲間にして三人となった私たちパーティは街に戻るのであった 私達三人が街の入口まで辿り着くとちょうどそこには、私のお姉さん達も到着していたみたいで私はすぐにそちらに向かう。

私が向かうとサユリちゃんは既にお兄さんの方に向かって歩き始めていた。私は慌ててその後を追って行くのだけどそんな私達に気づいたお姉さん達はすぐにこちらに向かって走り出した。そして私たちは合流したのだけれどその事でさらに、事態が混乱することになってしまう。なぜならその時にはすでにお兄さんの側にいたサユリちゃんを見てお姉様達二人がとても興奮したからなのだ。そんな状況でも何とか落ち着いてもらうようにしたのだけれど二人はなかなか落ち着いてくれない。そんな事をしていると勇者がやってきた。そしてそこで初めて勇者の顔を見ることができたのである。しかしその事に、勇者が驚いていた。

それからしばらくしてようやく落ち着きを取り戻した二人と勇者を仲間にしたサユリちゃんを加えた四人は早速行動を開始することになった。

そして私は勇者に案内され、まずはギルドに連れて行かれた。それから、私は依頼を探すことになるのだった。そして私は簡単な討伐依頼を受けることにしたのである。その事についてみんなに話すと特に反対されることなくみんなで依頼を受けに行くことになった。

そして私達が依頼を探している間にも、色々な人たちが私達に近づき話しかけてくるのだがその全てにサユリちゃんは丁寧に対応していた。その事に、お姉様方はすごく嫉妬してしまったのである。しかし、その事にサユリちゃんは全く気がついていなかった。そして、そんな事をしながらもなんとか目的の討伐依頼を受けることができ、目的地まで移動をする。

そして、その場所にたどり着くまでに魔物に襲われたのである。

そして魔物を退治すると、勇者は何かを思いついたようで突然、俺をパーティーに入れろと命令してくるのである。私は勇者にその理由を尋ねたら、サユリちゃんに一目惚れしたとかいう理由だったので即却下をしたのであった。それにしても、あの時のサユリの顔はかなり引きつっていたように見えた。その事を思い出しながらも私はサユリと勇者を引き合わせるために、勇者にサユリを紹介してあげた。その時に勇者から、魔王の事は俺に任せろと言われる。

確かに勇者が、魔王を倒してくれた方がサユリにとっては都合がいい事だと思うので任せる事にするのである。

そうして、その日は終わりを告げた。

そうして、次の日から私達は旅を再開したのである。そして最初の町に到着したのだった。

勇者が魔王と会う前に魔王の事を知っておくべきだと考えた俺は、カレンやサユリにアベルと一緒に魔王について教えてもらう。その事について、まず魔王というのはこの世界の神様みたいな存在であるらしい。そんな魔王はいつも俺の頭の中で話しかけてくるがその魔王はアベルのように人間に化けて行動することもできるようだ。そしてそんな事をしている魔王の目的はよくわかってはいないのが現状のようだった。

そんな事を話した後俺達は勇者が待っているはずの宿に向かう。しかしそこに勇者の姿はなかった。俺はそんな勇者の事を少し探すことを決める。そうして、俺はこの街をぶらつき始めるのだった。しかし勇者を見つけることはできてはいなかった。そんな俺にアテがあるのか?とアベルが質問をしてきたので俺はその答えに迷ってしまう。そして、その様子を見かねたのか、サユリが勇者とアベルの行きそうな場所を幾つか提示してくれたのである。そうして、俺達は勇者の捜索を始めた。だがその途中で、サユリが俺に抱きついてきたのだ。その事をアベルが怒っていた。俺はそれを見つつ勇者を探すのであった。

そしてアベルは俺とサユリの後を追いかけてきた。だが、アベルが追いついてくる頃には既に勇者を見つけた後だったのである。俺はその事をアベルに伝える。アベルはそんな俺に対してどうして先に勇者を見つけてしまったのかを問い詰めてきた。そしてその事に対して、俺は素直に答えることができなかった。しかし、そんな俺にサユリが話しかけてきて、俺は少し冷静さを取り戻す。そして俺とアベルは一旦宿屋に帰りアベルと少し話をする事にしたのだった。

アベルがカレンの事をどれだけ好きなのかを話を聞かされているといつの間にか夜が明けていて俺達は朝食を食べに外に出た。そんな俺達の前に突然、俺達に声をかけてきた人がいた。それはなんと、勇者だったのだ。そして勇者は、一緒に来て欲しい所が有るからと言って俺にだけ声をかけてきた。そうして、俺は勇者と一緒にどこかへ向かうのだった。

そしてその道中で、俺はカレンの呪いが解けたかどうかを聞くことにした。俺はその返事を聞いた瞬間、心の底から安心することができたのである。そして、アベルはそんな俺の表情を見ると嬉しそうな顔をしてこちらを見てきた。しかし俺は、それを適当に流しながらアベルと勇者が二人で何を話し合っていたのか聞くことにする。アベルの話によると、俺がカレンの事が大好きだということを伝えていたとの事でその事でアベルも納得をしていた。その事から俺は、これからもカレンの事を頼むと言い残すと勇者を置いて先に戻ってしまったのである。

それから俺は、魔王の事についてアスタロトと話しながら勇者を待つことに決めるのだった。そして俺はしばらく待っているとついに、俺の元に勇者が現れた。そして俺の隣に腰掛けて来たのである。そして俺は魔王のことに関して色々と聞いたりしていたが、結局詳しい情報を得ることは出来なかったのである。それから俺は、カレンの元に帰る為に立ち上がるとそのまま宿に向かったのであった。

俺は、サユリの言っていたお店にたどり着くと、サユリとルチアが俺を待っていた。俺は、サユリに事情を話すとサユリがおすすめの場所に連れて行ってくれることになった。そうして、俺達は、街で食事を取ることにしたのである。

俺は、サユリの勧める料理を食べると美味しかったので、そのお店の店主のおじさんに話しかける。するとおじさんはその言葉を聞いて喜んでくれておまけまでつけてくれたのである。俺は、それに感謝しつつその味を楽しんだのであった。そしてサユリと俺の二人はお会計を終わらせてから、俺達はカレン達と合流しようと動くのであった。俺は、お会計が終わった後に、お店を出る際にふと思ったのだが、お釣りが多すぎるような気がしたのでそのお釣を受け取ったのだった。

俺達が集合場所に向かって歩いていると突然大きな音を立てて何かがぶつかってきた。俺はその事に驚いたのだけれどそんな時サユリが、その音の方向に駆け出して行ったのである。なので俺はそのあとを追いかける。

そして、その先で見たものはカレンに馬乗りになっているアホ勇者だった。その事に俺は頭に血が上ってしまったのだけれど、アホ勇者の一言によって俺の怒りが収まることになる。そして、カレンを助け出した俺はアベルに、カレンを任せて俺は再びサユリの元へ急ぐ。そしてその途中で、俺はまた別の人に捕まってしまうのであった。その事に、俺は嫌な予感がしたが、もう逃げられなくなっていた。

そうして、アバカと別れてしまった私達は目的地に辿り着いた。そこは、街の外れにある古びた家であった。しかし、家の外見とは打って変わって中は綺麗に片付けられていてとても住み心地の良さそうな家に思えたのである。私達は早速、中に案内してもらうことになった。しかしその時の私の足取りはとても重かったのだけれどサユリに手を引かれながら、何とか家に入ることができた。

そして、その家で、私達はお茶を飲んで一息ついていたのだけれどその時にいきなり扉を開けてアホ勇者が入ってきた。

その事に驚いていた私達だけれどそんな状況でもサユリは、お兄さんを守る為なのか勇者の顔面に蹴りを入れて、勇者の体を外へ弾き飛ばす。

私は、その行動を見て、やっぱりこの子がサユリちゃんで間違いないんだろうと確信したのだった。そうしている間に、私達が入ってきたドアを壊すように、勢いよく開けた勇者が姿を現したので私は急いで戦闘態勢を取ることになる。しかしそこで私はある異変に気づいてしまう。それは勇者の顔色がとても悪くなっていることだった。しかしそんな事を気にせずに私達は勇者に攻撃を仕掛けるがそんな私達に気を使っていない勇者は、自分のスキルを発動させてきたのである。その結果、私達は勇者に倒されてしまった。

私が次に目を覚ますとその目の前には、サユリちゃんが立っていた。そしてサユリちゃんは、私の手を握るとお兄さんのところまで連れて行ってくれる。お兄さんの寝顔を見ながらその事に、幸せを感じていると突然サユリちゃんが、勇者の方を向いて話し出した。

私とサユリちゃんは、お兄さんのことについて語り合うのだった。

俺は目がさめる。すると、そこには俺を心配そうに見つめているサユリとアテがいた。俺は、その事に驚きながらも体を起こし始める。

そうして、なんとか立ち上がった俺は改めて周りの様子を窺うとどうやらここはサユリの家らしいということがわかった。そしてサユリはアテの背中をさすってあげていたのである。俺はそんなサユリ達を少し離れた場所から眺めているアテが何を考えているのかが気になったので聞いてみることにした。そしてその答えをアテの口から聞く。その内容は俺を驚かせるものだった。アテの言葉を信じれば、この国の王を俺が倒すことが前提条件となるのだから、当然、俺はその事に了承することにした。

そうしているうちにサユリがアテを連れて外に出ていく。その時に、サユリはアコの頭を優しく撫でていたのである。その事を見た瞬間なぜか無性にイラついた。そして何故かサユリが遠くの存在に感じたのだった。

しばらくして二人が戻ってきたのだが今度はカレンの姿がなかった。しかしカレンはすぐに現れた。しかしそれはアベルの膝の上だったのである。

俺は、アホ勇者の行動を見ていたのだが勇者は突然苦しみ始めそのまま気絶した。

俺が勇者のことを見張っていると突然カレンとアベルが動き始めた。そんな二人のことを目だけで追っていた俺は少し違和感を覚えたのだけれどそんな俺に気づいたのかアベルが俺に話しかけてきた。

そして俺は、今自分が感じた気持ちをアベルに伝えた。そうすると、その答えとして俺はカレンに膝枕をしてもらっている現状があるのだと伝えられた。その話を聞いた俺はその事が羨ましく思いカレンにそのことを伝えてみるとあっさりと了承してもらえたのであった。そうして、俺は、アベルが見ている前で堂々とカレンに甘えることに成功したのである。

そんな事をしている間にいつの間にかアベルはどこかに行ってしまっていて俺は一人になってしまった。しかし、その時の俺には全く危機感というものを感じることはなかったのである。そんな時俺の体にカレンの魔力が纏われていき俺も魔法を使うことができるようになっていたのである。俺がそのことに驚喜していた。

そんな時に俺に話しかけてくる人がいた。俺はそれが誰かを確かめる為に振り向くとなんとアバカだった。しかし俺のその考えとは裏腹に彼は俺の名前を聞いてくる。俺はそれに少し警戒しながらも彼の話を聞いてあげることにする。

俺は、カレンとサユリ以外の人とあまり話をする機会が無いのでその機会を逃すわけにもいかず少し話を続ける。そして彼が突然話を始めたのだが俺はその内容に衝撃を受けたのである。

なぜならアベルは勇者ではないというのであるからだ。

その事実に俺は戸惑いを隠しきれなかった。そんな俺に構わずアバカが話を続けようとするのでそれを遮るかのようにアバカに尋ねると、アバカが勇者を操っていた犯人で、その勇者の暴走を止める為に勇者を殺すつもりだと言うのだった。そんなアバカの事を俺は信じることが出来なかった。

俺はカレンの呪いを解くためにサユリとルチアと待ち合わせ場所に向かうがそこにはサユリとルチアしか居なかった。俺は、サユリ達と会話をしている途中で突如として頭痛に襲われてその場に座り込む。そしてその俺に対してサユリが話しかけて来た。

しかし俺にはまだサユリに聞きたいことがあるのである。その質問をするべく俺はサユリの瞳を見つめたのだがそんな俺の視線を受け止めることができずに、目を逸らしながら、カレンが魔王だということに気付いてしまったと告白するのであった。俺は、カレンの正体を知っているため特に驚きもしなかったがカレンの事を思うとサユリの事が許せなくなってしまった。そしてそんな俺の心の内を知ってか知らずか、サユリは自分の行動に後悔していないということを告げてきた。そしてサユリの決意を聞いてしまった俺は、その事に何も言わずにその場を離れるのだった。

その後、サユリはカレン達のところに急ぐ為に走り出すのであった。

俺が一人で、街を歩いていると、急に肩を叩かれた。その事に驚いて振り返るとそこには勇者がいたのである。俺は勇者を軽くあしらうとその場を離れようとしたがそんな俺の行動を止めに来た。

俺は勇者の話を聞きながらもその話のほとんどを適当に流していたのであった。しかし、最後に勇者はこんなことを話し出してきた。その内容は、この街の近くに、先程討伐されたドラゴンより更に上の位を持つモンスターが出現したのでこれから討伐に行くとの宣言である。しかし、その言葉を聞いていた街の人は誰もそのモンスターのことについて聞こうとはせず、ただ勇者のことを称えるばかりなのだった。そんな状況に疑問を感じていた俺はそんな時ふと思ったのだった。

「そういえばカレンって魔王なんだろ?なんでこの国に居られるんだ?」

「それに関しては俺が何とか誤魔化しているんだよ!俺だって好き好んであんな化物と一緒に暮らしたくないわ!!」

その勇者の必死さに嘘は無いだろうと感じたのだけれど、それと同時に俺はカレンがこの国から出て行かない理由を知ったような気がしたのである。そしてそれから少し経つとアホ勇者が仲間を引き連れてドラゴンの元へ向かうという情報を掴んできたのでその場所へと向かうことにした。そうして俺はドラゴンの元に辿り着くと早速攻撃を開始するのだった。

その戦闘では、カレンやユグシルの助けもあって俺は無事ドラゴンを倒すことが出来た。

そして次の日になりアバカに昨日の続きを教えてもらう事になったのだが俺はその事について考えることがあった。それは、なぜ俺にカレンが呪いをかけたことを教える前にカレンの事について教えてくれたのかという疑問だ。その事を俺はアバカに聞いてみた。そしてその答えが、俺にカレンが本当はどんな存在なのか知ってもらいたかったのだという事である。

その答えに納得がいかなかった俺は、俺はさらに追及することにした。そしてその時にアホ勇者の口から、勇者の力を封印している人物こそがカレンなのだということが伝えられるのである。俺はアバカの言葉を信じられなかったのだけれどその時に、カレンから、自分の秘密が勇者の関係者にしか教えられていないという事実を伝えられ、勇者を救ってほしいと言われた。そしてその事で俺はカレンのお願いを引き受けてやることを決意するのである。

俺は、アホ勇者がカレンの協力者であることに驚きを隠せなかった。俺はそんな勇者の姿を見て少し哀れに思ってしまったのだけれど俺は、自分の気持ちを伝える事にする。

俺はアベルの膝の上に居るカレンを見ながら、その言葉を口にしようとしたところでカレンが突然立ち上がり、カレンは勇者に向かって話し出した。俺はカレンが何を言うのかとても楽しみにしてカレンの声に耳を傾ける。

しかしそんな俺の予想を裏切り、カレンは勇者がカレンの仲間である事を告げただけだったのである。そんなカレンの態度に俺の頭は一瞬で沸騰したのだった。

そして俺はカレンの方を見て、カレンの顔を正面から見た途端カレンの様子がおかしいことに気づくのだった。

俺はカレンが突然立ち上がった事に困惑しつつもなんとか落ち着かせることができたのだがカレンの様子は明らかにおかしかった。しかし俺にはカレンの体調を確認する方法が無くどうしようもない状態に俺は陥ってしまう。しかしそんな中、サユリとアテはカレンの異変に気づいていてすぐに駆け寄っていったのである。

そうしている間に、アベルは俺を呼んでくれた。そして俺は、サユリに膝枕してもらって少し休ませてもらったお陰もあり、どうにか立ち直ることに成功した。そして俺は、サユリの手を握りカレンのところに向かった。

カレンがアベルに自分の気持ちを打ち明けている中、俺は、そのカレンの横に立ち一緒にその話を聞くことになったのである。俺はそこでようやく自分が何故カレンのことを見失ったのかを知るのであった。

そして、アベルが、勇者は、カレンの事を恨んでいるわけではないと言ってくれていたおかげで俺の怒りはだいぶおさまっていたのである。そして俺はサユリとアテが俺の代わりにカレンのことを説得してくれたことに素直に感謝した。しかし、アバカだけは何故かカレンに対して敵意を抱いていたのだった。俺はアバカにその理由を聞いたのだがアバカはそれを話すのを拒絶していた。そんな時アバカはカレンの顔を見た瞬間、まるで金縛りにあったかのように動かなくなり固まってしまった。俺はそんなアバカの様子を不気味に思いつつ様子を窺っているとアバカは何かに怯えるようにカレンと距離を取るのであった。俺はそんなアバカの行動を不審に思ったのだけれど俺も同じように体が勝手に動いたのでアベルが近くにいてくれなければ危ないところだった。そして俺達は一旦その場から離れるのである。そんな俺達のことをサユリとアテが見守っていてくれると、アバカに話しかけられた。そしてその時に俺は勇者と初めて出会ったあの日に勇者が話してくれたカレンの本当の姿についての真実を伝えられたのである。その事を知らされた俺はカレンを絶対に許すことはできないと感じ、勇者にその気持ちをぶつけるのであった。そんな時にカレンに近づこうとする人影が一つ見えたのである。その正体はアベルだった。

俺はアバカのことをカレンに頼むためにアベルのところに行こうとしたらカレンがそれを拒否し俺のことを引き止めてきたのである。そして俺のことを止めた理由は、俺がこのまま進んでしまうとアバカは確実に殺されてしまうという理由があったからであるようだ。俺はそんな理由があろうともカレンのことを信じることができないためカレンの事を責めようとするとカレンは、俺のことに対して謝り始めてくるのだった。

そしてカレンの表情を見ていくとカレンの感情が少し読み取れた気がしたので、俺はこれ以上カレンの事を疑うのをやめたのであった。そして、俺は、アベルを止める為の準備を始めることにする。まず最初に俺はカレン達にこの先にアベルがいるかもしれないと伝えるとカレン達がそのアバカを救いに向かうと言う。その事に俺が慌てて止めると俺達の話が終わったタイミングで勇者のパーティーが現れたのである。そして俺達はそのアバカと会う為に勇者と同行する事にする。

俺は、アベルとカレン以外の勇者一行のメンバーを見るのは初めてだったため緊張していたのだがそんな俺にアバカが話しかけてきた。その言葉の内容はカレンに対する謝罪であり、勇者はカレンがアホだと思っていない事や、今までずっと騙していた事についてなどだった。そんなアバカの言葉を聞いてもカレンは何も反応せず黙っていたのだけれどアバカはその事がショックだったようでカレンから離れていったのである。そんなアバカの後姿を俺達は追いかけることにした。そうしてしばらく歩いていると大きなドラゴンが空から舞い降りてきたのであった。そしてそのドラゴンを一目見た勇者の一行は、一目散に逃げ出したのである。

しかし、ドラゴンの前に、勇者が仲間を連れて立ちふさがったので俺達もその場所に近づいていくとそこにはサユリの姿があった。そのサユリは俺を見るといきなり飛びついて来てそのまま離れようとしなかったのである。しかしそんなサユリの行動にアホ勇者が激怒してしまった。そんなアホ勇者に俺はサユリのことについて問い詰めようとしたのだがその前に勇者のパーティの魔法使いらしき人が勇者を落ち着かせてくれたのである。

その後サユリの話を勇者と聞いたのだがその内容は、あまりにも馬鹿げた話で、信じられるような内容では無かったのである。その事が原因で、俺の中の怒りが再燃してしまい、俺はアバカに、カレンを殴らせるように仕向ける為に行動を開始することにした。その行動とは、俺がアバカとアベルを殴りつけるというものだった。そうするとカレンが俺を止めようとしたがそんなカレンをカレンが殴って動きを止めた。そして俺はそんなカレンにさらに一撃を加えて完全に動けなくするのであった。そしてその後、アバカとアベルはお互いの攻撃によって怪我を負った状態になっていたので俺は二人に俺が考えた案を実行するように命じた。そうするとその事について勇者は反対したのだが俺の考えを聞いてくれた。

しかし、アホ勇者だけはその事についてあまりいい顔を見せなかったのである。そのアホ勇者がカレンのことを睨みつけている中、アホ勇者の仲間であるアベルが、勇者を説得する。そんな様子を見ながら俺はこれから先の出来事について想像し、期待に胸を膨らませるのであった。そして勇者の説得が成功した後、勇者が、魔王カレンが仲間であるということを俺に宣言してきた。その事を言われた時俺は嬉しくて仕方が無かったのだが、それと同時にカレンは俺に嘘をついたことを悔やんでいた。その事に俺は気がつきすぐにその事については忘れるように伝えたのだった。しかし、それでもカレンは申し訳無さそうにしておりそんなカレンを見て、この事を気にする必要は無いということを伝えた。そうして、カレンの呪いを解く方法を見つけ出せば問題ないと、そしてカレンが仲間であることを俺が喜んでいるのだと伝えるとやっといつもの調子を取り戻したようだった。そうして俺達は、アベルとカレンに勇者と俺の四人で今後の話し合いをする。

そして俺はその席でアベルにカレンの呪われた力を取り除いてもらうようにお願いをしたのだけれどカレンの答えは否という返事だったので仕方なく別の手段を考えようとしたところで勇者に、カレンに攻撃させれば簡単に解呪出来るのではないかと提案をされ、その勇者の提案を受け入れたのである。

勇者に攻撃するようにお願いされた俺は、とりあえずカレンには勇者のことを信用してほしいとだけ言って、カレンがどんな決断を下すのかを確かめたかった。そしてカレンは俺に確認した後すぐに勇者の方に向き直りその攻撃を受け入れると言ったのである。俺はその事を残念に思ったがカレンの気持ちを優先させるべく何も言わずにそのやり取りを見ていた。そして俺のその予想通り、カレンはあっさりと攻撃を受けたのだ。しかしその事で、俺の中で勇者の事を疑い始めてしまっていて俺はカレンを助けるために全力でカレンに向かっていったのであった。

カレンに向かって俺は駆け出し、カレンに向かって斬りかかるもカレンには剣が当たる直前に避けられてしまったので俺はそのまま走り続けカレンの正面に回ったのだけれどその時、俺の目に飛び込んできた光景を見て驚きを隠せないでいた。カレンが避けた後の俺の様子に違和感を感じ取ってかこちらを向いていたカレンが目の前にいたからだ。そしてカレンと目が合うと同時にカレンはニヤリと笑ったのである。そのカレンの顔を見た瞬間俺の背筋は凍りつくかのような恐怖に襲われたのであった。

俺が今何を見たかというと、それはカレンが俺の事を認識してすぐ、勇者の仲間の魔法を使って一瞬で間合いを詰めて来たのだ。その速度は凄まじく、一瞬で距離を詰められてしまい俺はカレンに殴られ吹き飛ばされる。しかしすぐに俺は体勢を立て直すことに成功したのだがその隙を突かれてカレンに反撃されてしまった。カレンが攻撃を仕掛けてきたのは俺に対してではなく、カレンが勇者に渡した俺へのプレゼントに何かを仕掛けていたのだった。そして、カレンは勇者に合図を出すとその攻撃を起動させようとしたのだが、それを阻止しようとする俺のことを勇者とカレンの二人がかりで足止めをして来たのである。

そして、俺はその二人を振り切ることが出来ず、結局カレンの持っていた俺の剣とカレンが仕掛けたであろう爆弾の両方を防ぐことはできなかった。その結果、俺とカレンとアバカは吹き飛ばされてしまう。

しかしすぐに俺とカレンは立ち上がり戦闘を再開したのであった。俺は、その戦いの中自分の中の力が上がっていることを感じていたのだが、それよりも今はカレンに勝つために全力で戦わなければいけないと思いカレンに勝負を決めるための力を放つのであった。しかし、カレンの圧倒的な力の前に俺は、手も足も出ず完敗してしまう。俺はカレンの強大すぎる力を前になす術がなく敗北を味合わされるのである。そして俺とカレンの一騎打ちが終わると同時にアバカと勇者との戦いでアバカが勝ったようである。

俺達がそんな状況に追いやられながらも、勇者が仲間になった事により戦況を立て直しなんとか、俺達は勇者と共に戦う事に成功する。そして俺は、勇者が持っているはずの聖剣を貸してもらいたいと言うと勇者に断られてしまいその代わりに勇者に俺が魔王だということを勇者とサユリとカレンに明かした。するとサユリは俺に対して、そんな大事な事を今まで隠していたことを咎めてきたのだが、俺はその事を素直に謝罪する。その後勇者は、この世界が、魔王軍の魔族達に侵略されている現状について俺に伝えてくれて、勇者は勇者にしか扱えないとされる聖剣を俺に託してくれたのである。その事に、カレンは少し驚いていたようだけれど俺はカレンのその驚いた様子に対して特に疑問を持つことは無く、勇者から託されたその力を持ってして俺の復讐の邪魔をしようとしている奴らに復讐する事を決意するのであった。

俺は、カレンを勇者に任せた後勇者が倒した魔王軍の幹部と思われる奴を転移のスキルで勇者とカレンが待機していた場所に呼び寄せることにしたのである。その目的は、俺が魔王だと言う事を告げられた時の様子を、しっかりと見届けてもらうためである。その幹部は俺の姿を見ても全く動揺を見せず冷静な判断を下して、その場を去って行ったのであった。

その行動をとった時の表情を見る限り俺はそいつがただの馬鹿では無いと思ったので警戒心を高めることにした。その幹部を俺達のいる場所に来させるために俺はカレン達と合流することにしたのである。

俺と勇者とサユリはカレン達が待機している場所に向かい合流するとカレンがアバカの事を殴りつけた。そして俺がアバカに事情を聞きだそうと試みたが、アバカは、勇者に殴りつけられて混乱していて話が出来るような状態では無かった。そしてその事に呆れたサユリとカレンもアバカにこれ以上付き合っていないと言ってその場から離れて行ってしまったのである。

俺は、勇者と二人きりになりアバカに話を聞こうとしたが話を聞く事ができなかった。そのため俺は、アホ勇者に俺が元人間だという事実を伝えると、勇者が俺の正体に気が付いていないと分かってほっとしたのか、突然アホ勇者が泣き出した。そんな様子のアホ勇者を見て俺は勇者にこれからどうしたいのかを尋ねてみると勇者はその答えがなかなか出せなかった。しかし俺は、これからのことについて勇者と話し合った結果、俺はこの国と俺の家族を殺したやつを探すためにまずはその魔王を探そうという事になった。そして俺はその言葉を最後に、俺がこの国の王様に挨拶をしに行きたいと伝えるとアバカはなぜかその言葉を了承して城に向かうのをやめて王都を出る事にした。

その後、勇者に別れの挨拶を交わして俺は勇者に【絆】の能力を使いアバカ達と一緒に俺が元々暮らしていた家に飛ぶ。その後すぐに俺はアモンを呼び出すと、カレンにアホ勇者のことを任せる事にして、サユリには勇者の見張りを頼んだのであった。そして俺は勇者の案内で、ある洞窟に行くことにする。

アホ勇者の案により俺達はアベルの住んでいた村に行こうという事になっていたのだがその道中、魔物が大量に襲ってきた。俺はその事に対し対処しようとしたのだが、俺よりも先に、アホ勇者がその対応をしてくれた。

俺はそのアホ勇者の対応を見て俺はこいつが本当に勇者なのだろうかと疑ってしまう。しかし勇者は勇者である事に変わりないので俺は仕方なく勇者のサポートを行う事を決めた。そうするしか今の所俺の実力では何も出来ないのだから。そして俺は、魔王の腕輪の力を使用し、その力を最大限に発揮して、迫り来る敵を蹂躙していく。そして勇者もその強さを発揮し、次々と倒していき村の方に進んでいく。そうして村についた後、俺は、カレンとアベルのことを勇者とサユリに任せ、勇者の仲間の魔法を使い、その魔法が放つ効果の範囲の外に出て、そこでしばらく様子を見ている事にしたのであった。俺はその間に、この世界がどのような状況になっているかを確認する事に専念する。俺には、どうしてもこの世界の事を知る必要がある。この世界で起こっている出来事を把握しておかないと今後どのように行動するべきなのかを決められないからだ。それにもしこの世界で何が起きても、アバカが、このアホ勇者の仲間が居る以上すぐに駆けつけてくれるはずなのだ。しかしそれでも不安要素は拭いきれないのだ。

そして俺は、今目の前で繰り広げられていることが、俺にとって最悪なものにならないことを祈りつつその光景を見守るのであった。そうしてアベルの住む家に向かって行くアベルの仲間に気が付いた俺はすぐに勇者に知らせて、勇者とサユリはアベルの家に急いで向かうことになったのである。

俺はアバカの仲間の後を追う形でアベルの家を後にしてアバカ達を追い越した後、俺はアバカを問い詰めて情報を少しでも聞き出そうと思ったのだが、その途中で、魔物と遭遇してしまう。その魔物の強さが今まで戦った中で一番強かった。しかし、俺の敵ではなかったのだが俺は勇者にそのことを伝えた。しかし、その時に既に俺は気がついていなかった。そう、俺は勇者のことをあまり信じ切れていない事に。勇者の言う通りに戦ってしまえば絶対に死ぬ事になると本能的に理解してしまったのであった。そして俺は咄嵯にカレンを俺が守れる範囲内に転移させてカレンに勇者を援護するように頼み込んだのである。

その俺の言葉にすぐにカレンは行動に移して、俺は自分の力を試すためにある技を使ったのであった。それは【覇王の神剣(バハムートソード)

」というもので俺が扱える技の中でも最強の部類に入る技だったのだが、その攻撃が通じなかったのだ。それから勇者は攻撃を続けるものの全て通用しなくてだんだんと焦り始めてきていたのが見てとれた。

俺もなんとかして戦おうとしているのだけれど攻撃しても相手にダメージを与えれていなく、俺の攻撃は全て受け流されて、こちらの体だけが傷ついていき次第に勇者の動きが鈍ってきていた。このままでは確実に全滅すると思った俺は勇者に撤退することを提案をすることにしたのだった。しかしその事は相手も想定内だったらしく俺の提案に乗らなかったのである。それを見た俺は、自分が持っている魔王の力で何とかこの場をやり過ごせないかどうかを考え、俺は、この場に残って勇者を援護することを選択したのである。しかしその結果は最悪のもので俺が思っていた以上の化け物がそこにはいた。

俺が、アバカに俺の知っている情報を伝え終わると俺はその男についての情報を聞くことにした。

その男が何者かということが分からなければ俺はどうすればいいのかが分からないからである。すると、その質問に対する答えは簡単に帰って来て、その男は勇者が所属している騎士団の副団長をしている人物で魔王軍の幹部であると教えてくれたのであった。

そして俺は、その男の居場所を聞いたところすぐに場所を教えてくれたのですぐにそこに行きたいと伝えるとその場所は王都の方角だったので、俺はすぐにそこに向かうことに決めて移動を開始しようとした時俺は魔王である証を見せろと言われて、俺はその要求に応えるため魔王の仮面を装着すると勇者はすぐにそれを外そうとしたが、その時その男は俺の顔を見ると同時に少し驚いていたが、その反応に少し疑問を覚えた。俺はなぜそんな反応をするのかを尋ねる前に、俺はその場から離れようとしたが、魔王の幹部を名乗るだけあってかなり強く俺達では手に負える存在ではないのは分かっていたため俺はその場から逃げることにしたのである。しかし魔王軍の幹部を名乗った男は俺を逃がさないように俺達の退路を絶ちにかかってきた。しかしそこはカレンに任せる事にした。俺にはカレンを手助け出来る程の余裕が無かった。それほどにあの男は強かった。しかし俺に負ける理由はない。俺の方が強いからである。

そうしてカレンとサユが魔王の幹部と戦っている頃俺は、カレンとサユリをカレンが戦っている魔王軍の幹部に見つからないように、その場所を特定できないような位置に移動させていた。その行動が無駄になったとしても、その幹部が勇者に何かをしようとしていた場合に対処することが出来ると予想しての行動であった。そうしている間に俺は、勇者達が苦戦している場面に遭遇したのである。

勇者達は、魔王軍幹部と名乗る謎の魔族を相手に苦戦を強いられていて、とても危険な状態に陥っていて俺はこの状態を打開するために行動に移ることを決めたのであった。

俺達が勇者が苦戦しているその幹部の相手をするべく動き出すとすぐに俺が対峙していたその魔王幹部がカレンの事を一瞬で吹き飛ばしてしまった。その様子に驚いた俺だがカレンを吹き飛ばしたその攻撃をギリギリで避けたサユリが、その攻撃を受け止めたのだ。俺は、すぐにその場から離れてサユリ達の所に駆けつけることにしたのである。そして俺は勇者とアバカにもサユリの元に向かわせるように促すと二人はその指示にしたがって俺と一緒にサユリの元に向かおうとしたのだが俺達は突如発生した闇に包まれ、その中に閉じ込められてしまったのである。

(カレンは大丈夫だろうか?)

俺はその事に一抹の不安を覚えながら俺と、勇者とアホは闇の空間の中で意識を失ってしまうのであった。

「ん?ここはどこだ?」

俺はその言葉と共に意識を取り戻す。

辺りを見渡すとそこには見覚えのある光景が広がっていたのである。そう、これは俺が最初にこの世界に来て勇者と出会った時の光景だった。そして隣にいるはずのカレンの姿を探すために視線を巡らすがどこにもいない。そんな様子に俺はとても嫌な予感を感じ、慌てて勇者とアホに声を掛けるが二人からの返事が一切返ってこなかった。俺は勇者とアバカの名前を叫び続けていたがそんな声も空しく消えて、そして俺はその場所に違和感を感じることになる。その感覚が何なのかは分からないのだが俺は、この場所がなんなのかを知ることが出来た。俺はこの世界で最初に来た洞窟の中だということに気付いたのである。俺はそこでようやく自分が過去に飛ばさせられた事に気が付くのであった。しかし、どうして過去に戻る必要があったのかその目的が全く見えてこずにいた。しかもその現象は俺のスキルによるものではなく明らかに人為的なものだというのが分かってしまったのだ。そうなるとますます俺がここに飛ばされてきた理由が分からなくなってしまった。俺はこの世界にやってくる前に誰かと出会って会話をしたことなんてなかったからだ。

しかしそれでも俺はこの状況を理解することが出来ずに、ただひたすらその場で思考を続けてしまっていた。そしてどれだけの時間が経過していたかは俺にはわからない。しかし突然、背後に現れた気配によってその時間は終わった。そして俺がその気配の正体を確認する為に振り返った瞬間、俺の首筋には鋭い短剣の刃先が突きつけられていたのである。俺は自分の身に何が起きたのかということがまったく理解できなかった。なぜならその攻撃が俺の視界には一切映っていなかったからだ。

そんな状況に俺が混乱し、動けないでいるとその人物が口を開く その声が聞こえてくると、俺はやっとの思いで首を動かすことに成功して相手の姿を視界に入れることに成功する。そして俺はその姿に思わず驚愕してしまった。その正体は先程まで戦っていたはずの魔王軍副将軍と名乗っていた人物で、この男からは確かに先ほど戦っていた時には感じ取れていなかった、強大な魔力と実力をその身から放っており俺の本能がこいつは危険だと警鐘を鳴らしているのが分かったのである。しかしそれと同時に俺はこいつが俺の命を狙ってきたのではなく助けてくれたのではないかと気付き、そして俺は咄嵯にその人物の手を払いのけ後ろに下がり距離を取ると 俺を助けてくれたことに対してお礼を伝えたのである。しかし、相手はその事にあまり興味がないといった風に話を進める。そしてこの男の話を聞いていく内にこの男は本当に敵ではないことが分かった。この男の名前はアモンと言うらしい。

俺とアモンがお互いに名乗り終えた後アバカがいるかもしれないと思いその場所に案内するように頼んだがどうやらすでに俺達が戦っている最中に逃げ出されてしまったようでアバカの行方がわからなくなっていたのだ。俺はアベルにその事を伝えるとアベルは怒りを露わにしていた。俺としては、アバカと話をしなくてはいけないと思っている。アバカと直接話すことによって情報を引き出すことができると思うからだ。そう思った俺だったが俺にそれを実行することは出来なかった。アバカに俺の言葉が届くことはなかったからである。俺にはアベルを止めることは出来ないし、俺は俺のすべきことをするため、このアバカと敵対することを決めたのである。俺はアベルを説得した後で俺は魔王軍の関係者らしき女性を見つけることが出来ていたので俺達は一旦、その場を離れてカレン達と合流した。そして、カレン達に俺の考えを伝えることにした。そして俺はこれからどうすればいいのかを相談するためにカレン達と合流してすぐに、俺はその女性の元に行き事情を説明すると女性は少し考え込むようにして しばらくすると顔を上げてその女性からの提案を受け入れて魔王城に向かうことにした。そしてその道中に俺達はまだ俺が魔王として認められていないということを改めて実感する出来事があったのである。それは俺とカレン達を魔王城まで護衛してくれるという申し出だった。

俺が魔王として認められないと知っているのはカレンとサユリだけであるはずなのだが、なぜその事を俺が知らないということを知っているのだろうかと思ってその事について聞くと俺の素性も知っていると言われてしまい俺は完全に言葉を失うことになった。俺には全くそんな記憶はなかったのだ。

そして、そんなことを考えていた俺に向かって女性がその答えを聞かせてくれたのである。

その答えは俺の思っていたものとは違っていた。俺は、魔王の呪いというものを受けていたのである。その魔王の呪いのせいで俺には全ての記憶が残っておらず、俺が魔王であるということさえ俺は忘れてしまっているのである。俺は自分のステータスを確認してみると確かに魔王としての職業に転職したことになっていた。しかしそれさえも忘れているため、俺は自分がいつ、どうやってその魔王の職業に就こうとしたのかを、思い出すことができなかったのである。そしてその事に思い当たる節が無い俺は自分が魔王であるということに疑いを抱いてしまっていた。俺はこの世界の仕組みに疑問を感じながらも今は魔王の城に急いで行くことにしたのである。

しかしそこで俺は、ある人物に目を付けられることになる。その人物は魔王の城の前で待機していて、俺達が通り過ぎるとその人物はすぐに立ちふさがり

「私は魔王軍の将軍を勤めさせて頂いているアマルダと言います。勇者様にお伝えしたいことがあり、ここでお待ちしていた次第であります。勇者様方こちらに来ていただけませんでしょうか」

と言って来たので俺とカレンは警戒しながらもその人の後に付いて行った。するとその道中で俺にこんな言葉をその人は告げて来たのである。

「あなた方はどうしてそんなに強いのかを疑問に思っていますよね?私も実は気になっていたんですよ。だから少しだけ教えて差し上げましょう。私はとある人からその強さの秘密を聞き出しました。その人が言うにはあなたの持っているユニークスキルが原因ではないかとのことです。つまり、そのスキルを手に入れなければ今よりも弱かったということになるのですね。それともう1つあなたは私の師匠と同じ力を持っているようですね」

という俺達の疑問に対する返答をしてきたのである。しかし、その説明を聞いたところで俺は納得はしなかった。俺達は今まで努力を重ねてきたのだと信じたかったのであった。それに、そんな簡単に強くなることなどありえないとも俺は考えていたのである。そして、俺は魔王軍の将を名乗るアマルダと名乗る女の後ろをついて行きながら魔王の城を進んでいくのであった。「さあ着きましたよ、この扉の奥に魔王様がおられます。くれぐれも失礼のないようにお願いしますね?」

と俺に釘を刺してくるアマルダさん。俺は、その忠告に対して素直に従うことを決めて魔王のいる部屋に踏み入れたのであった。そして俺は魔王の容姿を初めて見ることになったのだが、その姿に俺だけでなく、他の仲間もその容姿を見て唖然としてしまい言葉を失ってしまっていた。そして、俺達はなんとか気を持ち直すとそれぞれ自己紹介を始める。しかし俺はこの時になってようやく、魔王が俺の事を知らないということを思い出すことになったのである。そして俺は自分が名乗って良いのか悩んだ結果俺は偽名を名乗り魔王との謁見を終えたのであった。俺達はそこでアマルダから今後の事の指示を受けると部屋を出ていった。そしてその後俺達は一度宿に戻るとカレンがどうしてももう一度風呂に入りたいという事だったので俺が代わりに王都にある冒険者ギルドに寄ってから宿屋に戻ろうとしたその時俺は何者かに襲われてしまったのだ!そして俺を襲ってきたのは、以前、魔王軍四天王の一人であるガルーダの討伐クエストを受けてその途中で出会ったあの女だった。その事に気づいたカレンとアベルは戦闘態勢に入るが俺はそれを手で静止させると俺を襲撃者の方に向き合い、そしてその女に話し掛けたのだった。

そして俺がその少女に話し掛けるとその反応はとても予想外のもので俺は戸惑いを隠せない。なぜならその言葉は俺が想定していたものとは大きく違っていたからである。俺は、その言葉が真実かどうかを確かめようとその少女と話をすることに決めたのであった。そして俺達はお互いに話し合い、俺と、アベルは一旦、その場を離れようとするがそこに、その女の従える者達がやって来てその俺とアベルは包囲されてしまうのであった。そして俺はその集団の大将とおぼしき人物がその包囲網の中にいた人物と俺の会話を邪魔するようにして声を掛けてくると俺は突然、その大将から殺気を向けられて、その迫力に押し潰されそうになるのを感じたのだ。

そして、俺はその男のその威圧感に押されるように後ろに下がってしまう。

すると突然その男の口が開かれて言葉が出てくる。しかしその口調からは先程までの荒々しさが感じられずとても冷静な声音になっている。俺はその声を聞いてなぜかこの人と戦うべきではないという事を強く意識してしまうのだった。

その声は俺に対して質問をしてきたのである。俺はそれに対して、俺と、その男が知りたいことを話すと、どうやら俺はその男と戦わずに済むらしいがその代わりに俺はその男と一緒に戦うことになってしまうのである。俺は、それを聞くと、その男と共に戦わなければならないのであれば俺は戦わない方が得策だと判断したので断るが、しかし男は俺の返事が予想外だったのか、俺に無理矢理に頼み込んできて結局一緒に行動するはめになってしまった。

そして俺はこの男についていくことにした。そして男の名前はガレスと言うらしい。そして男はこの魔王軍に所属する幹部の一人でアモンと呼ばれる魔王軍副将軍がアバカである可能性が高いということを教えてもらったのである。俺はその情報を聞き終えると俺とカレン達はその男に別れを告げるためにアバカを探しに行くことにする。そして俺はその男に、魔王軍との戦いを終わらせてほしいと頼んで、俺達は再び魔王城に向かったのである。そして俺達がその男と別れた後その男はすぐに行動に移してくれたのか、カレン達から聞いた話では魔王軍と人間の戦争が終わりを告げたということだった。俺達がこの魔王城に来てから約一週間ほどで、ついに戦争が終わったのだ。その事を、俺は信じられなかったのだがその事実は覆ることなく俺に告げられた。俺とアベルはその事を嬉しく思いつつも魔王軍の今後の動向について心配になり俺はその事をカレン達に話してからその日の夜に魔王に謁見をする許可を得るためにその許可を求めると意外にもあっさりと魔王はその許可を得ることができてしまう。俺は、魔王の言葉を信じきれなかったためその言葉を疑いつつその日のうちにその謁見が行われることになり、その当日を迎えるのである。そしてその当日に、カレンとエリカを連れて魔王城に登城するのであった。俺は魔王と二人きりの対談に緊張しながらその会談に臨むことになるのである。

そして俺とカレンと、その隣にいる、魔王の側近であるサユリは魔王に呼び出された部屋の中に入ったのである。そしてそこには、俺をここまで連れてきた、あの少女がいたのである。そして俺達はその部屋に入ると魔王の座っている机の前に置かれている、椅子に腰を下ろすと俺は、早速、魔王に要件を伝えたのである。そして魔王はそれを聞くと驚き、そしてしばらくするとその魔王の隣にいたその側近らしき少女が俺に向かって話し掛けて来たのである。

「私は、魔王様の側近である、サユリと言います。まず、勇者である、ユウジ様は何故、私達に敵対する行動をされたのかその理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?それによっては私達も協力できるかもしれないですし、場合によってはあなた方を拘束することも考えられます。どうか正直に答えてくださいね」

その言葉を聞いた俺はどうすればいいか分からずに困惑しているとカレンと、サユリと名乗る少女に話しかけて来た魔王は

「ふむ、そうか。ならこうしようではないか。お前らは私に魔王の力を示せばよいのだ。それが出来るのならば私はお前らの望みを全て叶えよう」

と言ってくるのである。そして魔王の力を示すとは具体的に何をすればよいのか分からないままその話は進み、そして何故か魔王とのタイマンバトルをすることになってしまったのである。そしてその戦いは唐突に幕を開けたのであった。そのバトルは俺と魔王がお互いに自分の能力を最大限に使いこなしていたのである。その力は、俺の方が少しばかり上ではあるのだが、しかしそれでも魔王もなかなかに実力を持っており俺は、自分のスキルの能力を存分に活かすことができず苦戦を強いられてしまったのである。

そしてそんな激戦を繰り広げたあと俺と、魔王との闘いに終わりがやってきたのである。そして俺は自分の持つ全ステータスの5分の1を捧げることでその力にさらに追い風を吹かせることに成功すると、俺が、魔王に勝ったのであった。その勝負の勝因は俺と魔王が共に全力を出した上で、お互いの能力差で俺が少しだけ有利だったというだけである。俺もまだまだ魔王の強さの片鱗しか見ることができなかったが、しかし俺は魔王の凄さを身に染みて感じることができたのである。しかし魔王が俺を認めてくれなければ意味が無いので俺はその魔王に認められたいと思うと、その言葉が勝手に口から出てしまい、魔王は、そんな俺を見て笑い、そして魔王の圧倒的な力の前に屈服する。そんな未来が見えた気がした。俺はそんな事を考えていたのだがしかしそれは魔王の予想外の行動によって打ち砕かれるのであった。その、魔王の取った行動というのは、俺に対して魔王の臣下にならないかという提案を持ちかけてきたのである。その事に俺はもちろん動揺するがその俺に魔王が俺の心情など知ったことではないといった様子で続けて言葉を発する。「まあいきなり言われても理解できんだろな。でもな俺の配下になれば少なくとも今よりももっと強くなれるはずだぜ?なんせこの俺直々に鍛練をつけてやるんだからよ?」

「そっ!そういうわけじゃないんだよ!俺は別に強くなりたいって思っていないんだよ!だから今のままの方が良いっていうかむしろこれ以上強くなったらダメなんだ!」と慌てていると その言葉を聞いた魔王は呆れた顔をしていたのである。しかし次の瞬間には何かを考えるように顎に手を当てながら考え事を始める。そしてしばらくしてその口が開かれる 魔王は俺がなぜ俺が魔王軍に入ることを拒むのか聞いてきたのである。そして俺が答えると魔王は俺に、自分についてくるように言うのである。

俺達は魔王軍の本拠地の近くの町まで行く事になったのだった。

俺はカレンとエリカを連れて魔王軍の本拠に向かわなくて良いのかと聞くが魔王は、「んなもん明日になってからで十分だろう。とりあえず今日のところは、宿を取って体を休めるのが一番だろうな」

魔王にそう言われたので俺もその意見に従うことにする。そして俺達一行は宿を探すことになった。その宿は高級感溢れる建物だった。

宿は俺が前世の知識を利用して建てたのでこの世界では珍しく見えるのだろうか?俺としてはこの宿のデザインや造りが気に入っているのだがやはり異世界ということもあってか俺がこの世界に持ってきた家具はあまり見受けらなかった。だが俺が気に入って購入した物は全て俺の記憶の中にある物が具現化したものなのでこの世界で手に入る素材を使ったり、もしくは俺自身がその知識を使って作り上げた、いわゆるオーダーメイド品のようなものなのでこの世界の一般的なものと比べてかなり高品質なものが造れるという利点がある。そしてそのおかげでこの世界でも俺が持ち込んだ物はそこそこの高値がつくらしく俺が気になって作ったものでなくともそこそこ需要があるらしいのだ。

そして魔王が宿代を支払ってくれた後俺達は部屋に通されるのであった。そしてその部屋に入ると同時に、カレンが突然ベッドの上に横になる そしてエリカがその様子を見ていて心配そうな顔になっているのを見ているのがとても微笑ましいのだがカレンの行動に対して疑問が浮かんでくるのは当然の事だと思う。俺とエリカはそんな光景を見ながら二人で部屋の中に入りそれぞれの部屋に行くのである。そして俺は部屋の内装が綺麗だったことに喜びを感じていた。俺は部屋の中の物を色々と確認するとその日はゆっくりと過ごすことができたのだった。

そして翌日になると魔王の城に向けて移動を始めた。その途中でモンスターに遭遇したものの全て俺が一瞬で倒してしまった。そして俺はその事に不満を感じ、俺は自分が思っていたよりこの世界の住人が弱いことにショックを受けてしまう。その事を俺が不満をこぼすと魔王は

「まあなぁ、仕方ねぇーだろ。そもそもお前らが強過ぎるだけだから俺の配下の奴らもみんな大体、普通の冒険者の奴らとあんまり変わらない強さだよ」と言ってきて俺は更にショックをうける。この調子でこの先の旅は大丈夫なのか?俺は不安になりつつ魔王についていき魔王城に到着したのである。

そして魔王城に辿り着いた後は、魔王から城の中を案内して貰うことになる。俺は城の中で俺の知らない所はないと言わしめてやりたいと思っていたが魔王から「ここは一応、俺のプライベートルームになるんだけどな、そこにある、クローゼットは俺が許可をした者にしか見えないから他の奴には絶対見えていないからな。そして、あそこには隠し通路があるから絶対に見つけないでくれよ。俺はあそこの扉からよく外に出たり、城の中でもたまに散歩したりするからよろしく頼むぞ。じゃあ次は俺の部屋に連れて行ってやるよ」

俺はそんな説明を受けつつ魔王に魔王の私室へと連れて行かれた。

「さてと、着いたぜ?じゃ、お前にここに住んで貰おうと思ってたんだが、お前に頼み事がある。実はお前の仲間になりたいって言ってくるやつが最近多いんだよ。俺はそのことについてお前の意見を聞きたいんだよ。だからこれからここにくるやつらをお前は受け入れてくれるか?」と、俺に問いかけてくる。

俺はその魔王の発言を受けてどうすればいいのか分からず困っていた。そしてカレンは魔王のその言葉に反応を示し魔王に抗議をし始める。

そしてカレンはその発言をきっかけにカレンとエリカの二人を自分の元で鍛えたいという話を俺達に聞かせてくれた。その会話の内容を聞いたあと俺は魔王に対して返答する。

「俺は別に構いませんけどね。ただ俺は魔王の味方として、そしてこの魔王城の主であり俺が仕えるべき相手だと認識しているあなたのために俺の力を貸したいと思ったんです。なので、俺はその人達に危害を加えることはしたくないです。もしそれがどうしても嫌だって人がいるのなら俺はその人達の事は切り捨てても問題無いと思います。俺も、魔王の部下に成り下がるのであれば仲間なんか作る必要はないですしね」

俺の言葉を聞いてカレンとエリカが何かを訴えかけてきたので俺はそれを受け入れる。その事が俺の心に響いてきたからだ。俺はそんな二人の思いが込められた視線と魔王が俺の言ったことに対する言葉を発する前に俺はカレンとエリカとエリカの従姉妹である、アイリスの四人を俺の側近とする事に決め、俺に付いてくるように命じた。

俺はそんなことを考えながら、魔王に連れられて自分の寝室に向かいその部屋に入ると魔王は「お前らには、俺の寝室を使わせてやることにしたんだが、そこでお前らに俺の側近として、働いて欲しい。俺に付き合ってくれるならお前らの要望にも答えよう。」と言うので俺は了承した。その後、俺たちは部屋から出て行き食堂に向かった。そして俺達が食堂に向かうとその先には俺の配下となった四人とサユリがいて、そして、俺達は魔王と一緒に食事を取ることにした。そして、食事を済ませたあと俺は自分の私室で少し仮眠をとろうとしたのだがその俺の部屋に入ろうとする一人の人物がいたのであった。俺は入られては迷惑だなと感じていたのだが魔王は

「そいつの好きにさせてやれ、お前がそいつの力を試したいと思っているのならばそれをしてもいいがな、そいつはかなりの実力者だから、今のお前ではおそらく勝てないと思うがそれでも構わないか?」と、俺に尋ねてきた。俺はその事を聞いて少し悩んだ末に俺の部屋の中にその男を招き入れたのである。その男の実力を確かめるために俺はそいつもとに俺の力をほんの少しだけ見せた。しかしそいつは全く怯むことなく俺のことを睨みつけており俺が少し手を抜いていたことは見抜かれてしまっていたようだ。

そしてその男は魔王の元へ行きたいと志願したが魔王に断られた後に、今度はエリカのところに行こうとしていたので、俺は慌てて、エリカの元に駆けつけると、その俺の様子を見てエリカはクスリと笑い、魔王と、もう一人の部下を連れてその俺を追いかけてきていたカレンに向かって話しかける

「お久しぶりですね魔王様、そしてそちらの方は初めまして、私はエリカといいます。以後よろしくお願いしますね」と、言い終わると突然その女が消えたのである。俺は慌ててあたりを見渡すとそこに、エリカが立っていたので俺はすぐに警戒心を高めた。しかしその次の瞬間にはエリカは姿を消してまた別の所に姿を現したのである。

俺はその光景をみてエリカの能力が何となくだが分かってきた。俺はエリカに何ができるかを尋ねるとその能力は気配を絶ち隠れることができるというものだった。しかし、俺はそんなことをせずとも最初からずっと俺達の近くにいるのではないかと思ってしまった。

その事をエリカに告げると「はい、正解です!でも私は今、あなた方の力になる為にここにいますので心配は不要ですよ?私があなた方の仲間になったとしても私の事はすぐに殺せるでしょうからね」と言ってきた。

そして、その言葉を最後に彼女は再び姿を消すのであった。

そして、魔王と魔王の部下であるその男に、エリカの本当の目的と彼女の能力を詳しく教えてもらったのだった。

俺はエリカが魔王に俺の部屋に案内された時について行かなかった理由について、彼女から、俺に話すつもりは無いのかを魔王と相談した結果魔王からエリカが自分からは話さないほうが良いと提案してきた為俺から聞かないことにしていたのだ。俺はそのことを魔王に感謝をして俺が、俺の仲間たちとエリカ以外の者が部屋に入らないようにすることを約束させた。そしてその日の夜、エリカに俺の側に控えている必要はあるのか?と聞くと、俺の仲間としてではなく、あくまでも、あなたの側近の一人としてこの場に残ると言われてしまい俺は困惑してしまう。なぜなら、その方が都合が良いからである。なので俺がその理由を問うとエリカは、俺が魔王軍に所属しているので、その軍の幹部である、四天王と俺との距離が近くなった場合に何かがあった時に対処できるからと答えてきた。

俺がその言葉の意味について理解できていないのを感じ取ったようでその事についても説明してくれたのである。まず俺が、魔王軍の四天王という存在に興味を抱いてしまった時点で魔王軍に勧誘されてしまう可能性が高いので俺の護衛が必要になってしまうのだと言う。その俺の護衛をエリカ一人でするのはさすがに無謀であるから側近の一人を付けておくべきだと考えたらしい。そしてその側近が誰であるかは魔王がエリカを護衛として付けようと決める前に魔王にエリカの事を俺に伝えるように指示を出したらしく、エリカは魔王の直属の上司に当たるため、俺は魔王に命令権を持っていないが魔王には逆らうことが出来ないらしい。俺は、エリカの説明を聞き納得したので、俺の仲間達も部屋に入れることになったのだが、俺の側近となる四人は魔王城に留まることを決めたので、エリカも俺達の部屋に残らせることにしようと思ったのだが、エリカは、自分は王都にある宿で泊まるといってきかず結局俺達が折れることになったので俺達は王都まで転移して帰ることにして俺達はその場を離れるのだった。そして魔王城に戻った後エリカに自分の事をどこまで知っているのかを確認した所エリカが知る範囲の事を教えてくれた。その中で気になっていたのは、魔王に頼まれてこの城にいる俺と魔王軍の面々を偵察していたこと。その時に、俺が自分の配下にするかどうかを判断して貰う為に魔王城に招いた人達を観察していたということを聞いて少し恥ずかしくなったが、俺達はそんなエリカの話を聞いて改めて俺がこの世界の人間よりも強い存在であることを知ってしまったのであった。

そして、それからしばらく経ってから魔王が俺と、エリカ、カレンの三人を自分の執務室に呼んだ そして魔王は自分の元に集った者達を眺めてこう言葉を放ったのであった。

そして俺はその言葉を魔王に言われた通りに行動することにした。俺は【創造】を使って自分の部屋を作りそこに仲間達を集めて、仲間達と一緒にこの城で俺達が過ごしていくためにどうするかを決めることにした。そして俺は自分の考えを伝え、意見を求めることにした。するとサユリさんが真っ先に俺の意見に賛同してくれて、他のみんなもそれに続き俺は嬉しかった。

サユリさんの賛同の声をきっかけに俺は魔王に対して魔王城の改築を許可してもらい、その許可を得たあと、魔王に仲間にした魔物が俺の部屋に来る許可と、エリカに俺の部屋の鍵を渡すよう頼み俺は部屋へと戻っていくのである。俺が戻ると、エリカは既に部屋に来ていたので、俺は俺の仲間である、カレン、エリカ、サユリ、アイリスを全員集めるのである。俺は自分のスキルのことについて話すと皆んなに少し驚かれたものの、特に何も言われることは無かったので良かったと思う。その後、俺は自分の部屋を俺専用の訓練所兼書斎にして、俺の側近である、エリカには俺の側を片時も離れないように言って俺は自分の部屋で一人になりたい時は部屋から出て行くことと俺は決めた。そしてカレンに自分の能力について教えるとカレンは自分も似たような事ができると言い俺を驚かせたのである。そのあと俺は【神眼】を使い俺の配下に加わった四人を見た。俺がそうしているのを見て、エリカは興味深げにこちらの様子を伺っている。俺の【神眼】によってわかった事をまとめるとカレンは炎系統の魔法を使う事に長けている事が分かり、サユリさんは氷系統を得意としており、さらに回復魔法を使うことにも優れていることがわかったのである。そして最後にアイリスなのだが彼女は雷を扱うことを得意とする魔法使いであるとわかったのである。

俺はその事を知って驚いたのと同時に自分が今まで使っていた魔法の効果に少し疑問を抱いたのである。それは、なぜ、魔王やカレンやアイリスなどの魔王軍のトップレベルである実力者が俺のような弱い者に従うのだろうか?と俺は思っていたのだが魔王やカレン、アイリスが言っていた俺の強さについての評価を聞いてその事も納得できたのである。魔王とカレンは俺に、魔力や体力の消費を抑えながら戦うことができるのと圧倒的なスピードを持っていることから魔王と同等に戦い、そして魔王の全力の攻撃に耐えうる防御力を有しているからだという。

サユリさんは、私達に危害を加えない上にその攻撃が全く効いていない事から自分より上のランクを持つ相手に通用する力を持っていると判断したからだそうだ。そして最後のアイリスは俺が魔王と同等の実力を持っていると知った時に私にはあなたの配下になる以外の選択肢が思い浮かばなかった。と言われた。

俺はそれを聞くとその話を信じる事にしたのである。

しかし、俺は一つ気になってる事があった。俺の力はまだ全然本調子じゃないのだが、それでも、俺の力がそこまで通用しないのは、魔王のステータスが俺よりも高いせいだろうなと感じて俺はそんな事を考えていた。俺の実力が低いだけで相手がそれほど強くないと俺は感じていたが俺の仲間が、あの程度の実力者しか存在しないなんて事はないだろうと思っていたので俺は魔王がどれ程の実力の持ち主なのかを確かめる為に魔王に決闘を申し込む事を決めた。

その日魔王は珍しく執務室にて俺との面会をしていた。

「俺がお前に用があると言ったら魔王軍四天王の事で相談事があるから少しだけ時間をくれないかな?」と俺は言った。

魔王はそれを聞いて、少し悩んだ末に

「良いですよ?ただあまり時間を取るわけにはいかないのですけど大丈夫ですか?」と俺に聞いてきたので俺は「ああ構わないぞ」と答えた。そして俺は俺の質問について答えられる範囲で構わないから、答えて欲しいと伝えると、魔王はその要求を呑んでくれた。俺は俺が知りたいと思っていることは大体予想はついているのでそれを直接本人達に伝えてもらった。俺の予想ではおそらくは全員が、俺の配下に加わっている四人の事を話しているのではないか?と思ったのである。俺はそのことを魔王に尋ねると、その問いについて魔王から説明された。

俺の配下の魔物である四人を俺が魔王軍に加入させても良いと考えていると伝えてからその説明を聞いた後に俺は魔王の言う通り、魔王軍の四天王である四人に魔王の元に来ることを正式に許可すると言ってからエリカに魔王軍の本部に居る幹部を呼び出して来るように頼んだのである。

「はい、畏まりました」と言ってエリカがすぐにどこかへ行ってしまった。

そして数分後、魔王軍の最高幹部である、四天王のうちの一人である エリカが戻ってきた その顔は少しばかり緊張していて俺の前で平静を保とうと頑張っていたのだがそれが上手くできていなかったのである。

「えっ?!魔王様!どうしてこんなところに?それにエリカ?!一体どうなってるの?!ねぇ教えて?!なんでここにあなたがいるのよ!そして魔王様に呼ばれてやってきたこの子って誰!?あなたも何してたのよ?!私も魔王様に呼び出されて急いでここまできたんだけどさ、でもあなた達がいない間に私が来た意味あるの?!」といきなり俺とエリカに向かって文句を言い出した。

俺はその光景を見て思わず笑ってしまっていた。そのあとに俺が魔王の呼び出しを受けた理由を話す。俺がこの世界の魔王に戦いを挑み、その結果俺はこの世界の最強の存在であると魔王に認めさせ、魔王軍に入る事を許可されたので俺は四天王の勧誘をする事にしたという説明をしたら俺の四天王として勧誘をしているメンバーの中にエリカも含まれているので、俺がエリカを呼んだのだと説明してエリカにその事を伝えさせるとエリカはとても嬉しそうな表情で、「はいっ、わかりました!」と言っていたのである。その様子からは先程まであった俺とエリカとの間にある緊張感がなくなり完全に打ち解けていた。

それからエリカは四天王の一人が、魔王に謁見の許可を取りに行った後でエリカがこの城にいる魔王軍の部下を集め、魔王城に転移できるゲートを作ってもらい、そして俺に四天王の勧誘が終わったら、エリカが魔王の元に案内するという手筈になったのである。そして魔王とエリカ、四天王と別れた俺達は自分の部屋に帰り俺達も準備を整えると魔王の元へと向かうことにするのだった。ちなみに俺は魔王と戦うにあたって武器は持っていない状態になっている。なぜなら俺が今現在持っている剣はこの世界に来る前に手に入れた物であり魔王にはその事は知られている為だ。

魔王城についた俺はエリカと一緒に俺の仲間達と共に、四天王の誰かと会うことになった。エリカの話によると、その四人のうち、エリカが四天王になったのは、他の二人にエリカが選ばれてしまったというのとエリカ自身も、自分の方がこの世界で長く生活していることもあり、実力が上であると思ったため魔王軍に自ら入りたいと志願してエリカが選ばれたというのだ。その話を聞いた時、エリカに少し悪いと思ったがエリカがそれで良かったなら俺は良かったと思うのであった。

そしてその四人が俺と対面したのであるが、エリカから聞いていた容姿とは少し異なっていたのである。エリカから聞いた話では、魔王軍の四魔将と呼ばれているらしいので俺はこの4人の中で誰が魔王軍の四魔将で残りの二人が魔王直属の近衛隊の幹部を務めているということが分かっている。そしてこの4人はこの世界に来る前に出会った、四人とも人間族なのだ。そして俺は目の前にいるこの四人から感じる魔力のオーラを感じてやはり魔王と似たような存在なのだろうと俺は確信したのである。俺はそんな風に考えながら自己紹介を始めた

「俺は佐藤真司と言う。俺の名前は知っているかもしれないが、俺が君達を魔王軍の四天王にスカウトしようと思っているのだが、君達はどうしたいのか聞かせてくれないか?」

俺はそう言うと、俺の前に立っている、三人がお互いの目を見合い、俺に対してどのように答えるかを三人で決めているような雰囲気が伝わってきたのである。そして三人は同時に同じ言葉を発した。「はい、私達を是非ともあなたの四天王に仲間に入れてください。そして魔王軍を必ず勝利に導きましょう。私達の力を使ってください。」

その言葉は、まるで打ち合わせしていたかのような言葉が聞こえたのである。俺はその言葉に少し驚きながらも、俺がこの三人を魔王軍に加えようと決意してから今までに感じていた疑問を口にする。

「ありがとう、そして突然なんだがなぜ君はそんなに、俺に忠誠を誓ってくれているんだい?正直な話を言うが俺は今までに自分の部下を持ったことがなく。ましてや自分よりも上の位の者を仲間に引き入れることも初めてなんだよ。俺なんかの為に命を懸けなくても俺は、これからの俺の人生を君達と楽しく過ごしていきたいと思っている。だがその前に君達がなぜ、自分の意志で俺についてきてくれるようになったのかが俺は知りたいと思ってる。もしかしたら俺の事を気に食わないとか思っている者もいるだろうからその理由を教えて欲しい。もちろん俺には君達に命令する権限はないのだが、それでも聞いておきたいんだ。頼む」俺はその言葉で俺が本当に知りたかった事を質問すると四魔将の三人はお互いに目を合わせた後にこう言ってくれたのである。

「私たち三人ともあなたの実力を見て、そしてその圧倒的なまでのカリスマ性をあなたから感じたんです。だから私たちは、あなたの元で働きたい、あなたの為に働きたいと強く思ったからこそ私達の方から魔王軍に加入してほしいとお願いしたのです」その言葉を言った後に四人は一斉に膝を突き俺の顔をじっと見つめてきた。俺はその行為を見た時にその光景を見て、少し感動してしまった。

俺の仲間になることを決めた者の中には、まだ魔王軍には所属しているが、自分の仕えるべき相手を見つけたいという者が居て、俺はその人達に自由に行動しても大丈夫だと伝えた。その人たちは、今までに会ったことのある魔物の魔物の中でも強い奴や、弱いやつと戦えるのであれば問題ないと言い残して、それぞれ自分の仕えたい主人の元に向かった。

その後で、俺の四天王に加わった、四魔将である3人の女の子に魔王の元に向かうために魔王軍の本拠地まで連れて行って欲しいと言ったのだが、その時、エリカに「私のことは呼び捨てでいいですから」と言われたのでエリカと呼ぶことにした。エリカのことは呼び捨てで良いと言われても俺の方が、見た目的には圧倒的に年下のエリカさんを呼び捨てにして、そして俺が敬語を使わないというのも少し抵抗があった。でも、本人がそれを望むのであれば、俺はそうすることにした。

「えっ?私が、魔王様の元へお連れするってどういう事でしょうか?」エリカはその事を尋ねてくるのであった。そこで、エリカに魔王の元へ行くための道案内をして欲しいので一緒に来てはくれないかと聞くと

「えっ?でもそれって大丈夫なんですか?もしあなたの立場が悪くなるのではないですか?それにエリカも魔王様に呼び出されてますから、私は大丈夫だと思うのですけど」とエリカに聞かれたが俺は特に気にしてもいなかったのでエリカに

「俺が魔王様に呼び出されてるからといってエリカの邪魔をする訳にもいかないだろ?俺はエリカが心配だからエリカについてきて欲しいと言ってるだけだ。魔王に何かを言われようが俺のことは心配しないで良いよ。むしろ、エリカの方を魔王は気遣うべきだ」と言って魔王のところに行く準備を始めるのである。

俺達がそのあとにすぐに出発をしてエリカと俺達は、魔王軍の本拠地へと向かう。その道中に俺はこの四人に名前を聞いておく事にした。俺とこの子達が四天王になると決めた時からずっと俺の頭の中では名前が分かっていたが、直接本人の口から名前を聞かないとその人に合ったあだ名を考える事もできない。そのせいで変なニックネームをつけるわけにはいかなかったので、その質問に素直に答えてもらったのである。まず一人目はエリカと瓜二つの姿をしているので双子の妹かなと思っていた。名前はリンというらしい。

二人目が、とても綺麗な容姿をしているのでどこかの王女なのだろうか?と思ったがその正体はエリカの友達であり、エリカが四天王に選ばれた時に魔王が、近衛隊の副隊長を任命して、それからというものの二人で仲が良くなっていたというのでこの子は近衛兵の一人なのかと思った。そしてこの子の名前はリリィというらしくこの子の事は最初に会ったときからもしかすると俺と同じような人間族の男の子なのかもしれないと思いつつも、俺が見た限りこの二人は女性なので女の子のようだがこの世界にはそういう性癖を持つ人がいる可能性もあるし俺としては確認が出来ない為、とりあえず性別を聞くまでは保留にしておく。

三人目は、俺に敵意を持ってるのか、ただ単に魔王に忠誠を誓っているのか、その判断がしずらい状況ではある。しかし彼女は四天王の中で唯一の女の子なのだ。それもかなりの美人さんである。しかしエリカのことが好きなのか嫌いなのかよくわからないのでエリカにそれとなく聞いてみると「あっ、私この子あんまり好きじゃないんですよね。いつもユウくんのことを狙ってるような気がするので」と俺に対して言うのである。そしてその事に対してこの子が怒ると、「別に私はエリカの事なんて狙っていない!それに私が好きなのはエリカじゃなくて真司様なのに!」と言うのでエリカは、「それは嘘でしょ、本当はあなた、この世界に来た時から、真司さんの事ばっかり見てたでしょ!」と、なぜかケンカが始まってしまった。そんな二人を止めようとするも止めきれず俺達は魔王城に向かって進んでいくのであった。

エリカの喧嘩が収まるのを待っていては、魔王のところにたどり着く前に時間切れになりかねないので俺はエリカに早く行くように言い聞かせて俺は俺の方で魔王城の方に歩みを進めるのである。魔王城に到着した時にはすでに魔王城の入り口は、開いていた。その光景を見て俺は疑問に思いながらもエリカと俺達四人で魔王の元にたどり着いたのである。その時に魔王が、四天王が全員集まったことを俺に報告をしてくれた。

そして、エリカが魔王に用件を伝えると

「そっかー。ついに四天王の皆はここに集まることができたんだね。エリカちゃんと、四天王の残りの二人をここに連れて来てくれたことに関しては僕から感謝をさせて貰おうと思う。そして、これから僕の近衛兵の部隊長として任命した二人を、エリカちゃんの部隊に入れて、残りの二人はそのまま魔王軍に所属するということで構わないかい?」と聞かれたので俺は、この魔王城に着いてきてよかったと思えた。なぜなら、俺はこれから俺の部隊の隊員を魔王軍の部隊に派遣できる事が決まったからだ。

俺は、この魔王城に入る前に疑問に思っていた事について魔王本人に直接質問をした。その質問というのは魔王軍が何故こんな田舎で暮らしているのかということと、魔王軍の本来の目的は一体何なのだろうか?ということを質問したのである。すると魔王は

「君が聞きたいことは大体予想がついている。魔王軍の本来の目的は、君も分かっている通り魔獣や魔王軍の手下たちの国を作るために君たち人間族は滅ぼすつもりでいるのだよ。そのために、魔族を人間族と対等の存在にまで引き上げようとしているんだ。人間族を滅ぼし、そして魔族だけで暮らす国にしようと僕はそう思ってるんだ。まあこれはまだ僕の中で決めているだけに過ぎないがね。魔族を人間の国の奴隷にするのを止めた今だからこそ出来る計画なんだ。」と魔王は言った。その話を聞き終わった時に俺の心に魔王に対して尊敬を抱くようになった。俺は魔王のことを魔王だと決めつけてこの世界の人達に迷惑をかける奴だとばかり考えていた。だが実際は、他の人達の為に自分が出来ることを考えて行動をしていたのだ。そして魔王はこの世界をより良い世界にしようとしていたのだ。

その事を考えている時、エリカが俺の服を掴んで「大丈夫ですか?顔色が悪いですけど」と言ってくれた。俺はその事について考え事をしていてつい、険しい顔をしていたようだ。だが魔王の話が終わって少し経っても俺は魔王の言葉が信じられずにいた。

俺はどうしても、その言葉を信じたくはなかったのだった。

俺達が魔王の元に訪れた時の魔王の顔色は優れなかった。俺は、魔王の様子に違和感を感じたのだが、俺はそれを口には出さずにエリカと共に俺の部隊を連れて帰る事にした。そしてエリカは魔王と話をして、残りの2人をエリカの部下にしてもいいかという許可を取るためにエリカだけが、魔王の元に残ったのであった。

「どうしたんだ?ユウジ。お前にしては珍しく難しい顔をして」

「そうか?確かにそうかもしれんが今はそれどころじゃないんだ」

俺と、俺の仲間の3人と、そしてカレンの五人は魔獣の国に向かっていた 魔王のところで話し合って、そしてエリカと話し合った時に、エリカから聞いたのだが魔王軍は、魔王が魔王になってからは、この魔の森で静かに暮らしていた。しかし俺が魔王と会った時に、この森にはたくさんの種類の魔獣が生息していたが、どれもレベルがかなり低く魔王軍に加入している人達のレベルでは全く問題が無いと魔王から言われていた。魔王の言っていた事が本当ならば魔王は魔王になる前の状態よりも、更に強い力を蓄えていたという事になる。

俺達はその事を気にせずに先に進んだ。

「なぁみんな、俺たちの部隊は、どのくらいのペースで進んで行けばいい?俺はまだ自分の部下達との距離感が上手くつかめてないんだよ」俺は仲間達にその質問を投げかけたのだが、その質問をした後にすぐに俺達は異変に気付いたのである。俺の目の前にいたのはゴブリンだったが明らかにその個体の見た目が大きく違っていて、まるで俺のよく知るゴブリンとは違った見た目をしているのだ。

その事に気づいたので俺は、急いでその場から離れようとしたのだが、その時に後ろを歩いていた俺の仲間たち3人が、一瞬にしてゴブリンに倒されてしまっていたのであった。そして俺の前に立ち塞がったその魔物が、この辺り一帯にいるであろう、全ての魔物に聞こえるように、大きな声を出し、こう叫んだ。「我らの主が復活された。お前達は我に従うべき存在であり、逆らう者は、全て殺す。従わなければ殺さない。従え」と言い放った。

俺はその時に初めて、このゴブリンの異常さに気づき恐怖を覚えたのである。

この場にいる全ての魔獣がこの、たった一匹のゴブリンの言う事をきいているのが分かった。俺はすぐに、自分の持っているスキルを使ってみた。その瞬間、このゴブリン以外の周りのゴブリンは、一斉に俺達の事を睨みつけてきた。そしてその中の1体が、突然動き出して俺に襲ってきたので、咄嵯に反応して避けたが俺は地面に倒れこんでしまったのである。するとさっきまでの敵意に満ちた表情とは違い今度は怯えた様子を見せ始め、その場で頭を床につけて土下座を始めたのである。そして俺はそこで、この魔物はただのモンスターではなく何かに使えるのではないかと考えた。

その事を考えると同時に俺の頭の中に浮かんできた映像があった。それは魔王の復活を知らせるものだった。その事を思い出すと同時に魔王城に行くまでに起こった事、魔王軍に入った後で俺達が見た魔王城の姿を思い浮かべた。そして一つの結論に至った。その結論というのが魔王城は、ただの拠点でしかないのではないかと、そして拠点には何かを封印するために、その場所が選ばれたのではないか、そして俺の頭に映っている魔王城とこの場所の風景はどこか似通っている気がしたので、俺はその事について考えてみる事にした。そしてその結果、このゴブリンが、何者かに操られているのではと思い俺はその可能性について考えてみると俺は魔王軍の本拠地に辿り着くまでの間に魔王軍の部隊の一人を魔王に引き渡していたことを思い出したのである。そして俺の頭の中に魔王に会った際に見た魔王と、この魔獣達を操る魔物とが、魔王の体を借りて一緒にいるような感じがしたのである。

俺はそのことを思い出した後、魔王と、その配下である魔獣とでは強さが違うのかもしれないと思って俺は、まずは俺の部隊に指示を出してから俺の部隊の人全員を回復させる事にした。そして、回復してから俺は自分の部隊が怪我をしていた場合に備えて俺も少しだけ傷を負っておくことにし、そして俺は俺の部隊の全員に向かって「お前ら全員無事か?」と質問をすると全員から「隊長も、御自身のお体は、本当に大丈夫なのですか?」と心配されてしまった。そして俺の部隊の全員が、大丈夫だと言っていることを確認できたので、このゴブリンは、俺がどうにかしようと思った。俺は、とりあえず自分の体も回復し終えてからそのゴブリンに質問をしてみるとそのゴブリンは魔王が復活するので自分はそれを伝える為にここに来ていたという答えが返ってきたのである。そして俺は、魔王が復活しそうだと言う事は理解出来たが、どうして今、魔王城に向かって進んでいるのかという事については理解できなかった。だから俺達は一度引き返すことを決めたのであった。

俺達は魔王城に向かっている途中で魔獣に道を遮られたのだがその時に俺達は、エリカと、魔王と会うためにここに来たのであって魔獣と戦おうとしていたわけではない為俺達は魔獣と戦うことはせず魔王城の方に走って行った。すると魔獣達の中から、他のゴブリンと比べて一回りほど大きい体の色の赤いゴブリンが、現れて、俺達を追いかけてくると、突然俺の事を斬りかかってきたので俺は、俺の刀で防いだが、その威力が強かったため、その攻撃をくらって吹き飛ばされてしまい地面に倒れこんだのだった。

俺が地面に倒れた時に俺はその、ゴブリンの強さを感じとることに成功したので俺は俺の持つ剣の力を開放することにした。

そしてその剣の名は聖剣レーヴァテインと言って、この世界を作った神が作った武器と言われている伝説の中の、伝説の武器でこの世にある、どの金属よりも硬度の高いミスリルで作られた剣だった。俺はこの、聖剣を作り出した張本人を知っている。だが今はそんな事を気にしている余裕はなかった。

俺が剣に力を込めていくうちに、そのゴブリンは少しずつ後ろに後退していき俺はついにゴブリンを吹き飛ばすことができたのであった。その光景を見ていて思ったことは、そのゴブリンは他のゴブリンより強かったのではなく俺の、俺だけの部隊とのレベルの差によってここまで実力差が生まれてしまったのだろうと予想することが出来たのだった。

しかしそれでも俺はゴブリンの攻撃を完全には避けることができなかった。その為、腕にダメージを受けてしまって痛みを感じたがなんとか腕の骨を折ることだけは避けられていた。そして俺が立ち上がるとそこにはエリカが立っていた。そしてエリカは俺の腕の状態を見るなり、慌てて俺に近寄ってきて、俺に魔法をかけてくれた。そして俺はその、回復魔法の効果ですぐに動けるようになっていたので俺はエリカに礼を言うと俺の仲間達に、俺の傷の手当が済んだことを教えて俺は自分の部隊の隊員たちに、魔王城に向けて走り出すように指示を出した。

俺達は、その後順調に魔王城に進んでいくことが出来て無事に魔王の元にたどり着いた。俺はエリカに念話を送り、この魔王をどうするかを聞いてみると「そうですね。このまま魔王の事を放置しておくのはまずいと思うので私が、始末してきますね。でもユウジさんも、無理をしすぎないように注意してくださいね。」とエリカに言われたので俺は、分かったと言って魔王を倒さずに気絶させることだけに止めることにした。俺はそうして俺はエリカの帰りを待った。

エリカが帰ってきて魔王の事を報告すると、エリカは「ユウジ様が魔王の相手をしていたのでしたら私は何もする必要はありませんでしたね」と言ったのである。俺はそれに対して、なんとも言えない気持ちになりつつも「魔王が復活したということはこれからこの魔王の他にも復活しようとする奴らがいる可能性があるからな、それに、魔族の中で魔王軍に加入した人達がいるはずだからな」

そして魔王の配下の魔獣達には魔獣の国に戻って貰うことにし俺達はすぐに、この魔王城を後にすることに決め、俺の部隊を先に進ませてから、俺とエリカは魔王を拘束するための準備をする為に魔王と魔王の部下を、一旦、魔獣の国に運ぶことにしたのである。

それから俺は、俺の隊の人たちが、魔王と部下たちを連れてきている間に俺は、魔王が逃げられないように魔王の手足を切り落としていく作業を行なっていた。

そして魔王とその部下を連れて魔獣の国に戻ると俺は、魔獣達を国に帰す指示を出し、魔王と魔王軍の人たちは、そのままの状態で、魔王の国の魔王城まで連れて行って貰った。俺はその間暇になったので俺は、魔王が復活する前にいた場所でカレンと二人っきりになる時間を作ってもらったのである。その時間は俺が今までの人生で経験してきた中で1番幸せだと思えるような時間に思えたのだ。その時間で俺は改めてカレンに自分の思いを伝えようと決めたのである。

魔王城についたので、俺の隊のメンバーと、魔王軍とを合流させて、魔王と部下たちをそれぞれの場所に閉じ込めた。俺も魔王を封印しようとは思うのだが俺は魔王に聞きたいことがあったのだ。

俺が聞きたかった内容は「お前が持っている力は一体何なんだ?なぜお前は自分の力で自分を封じ込めているのだ?」というものだった。そしてその言葉に対する返答は、こうだった。魔王 俺はなにも悪いことをしたわけではないが、人間どもの愚かな考えによってこの身に封じられたのだ、お前達が言う、魔王の力が俺の中に宿ってしまった理由は、恐らく人間の愚行によって俺は怒りと憎しみを覚えたからだと思われる。

俺達はお互いに情報を共有しあった結果俺は魔王の力を解放してしまっても、問題がないと判断した。そして俺は魔王の力を解呪する為の方法を探す事にしたのであった。

まずは魔王の眷属が封じ込まれている、あのダンジョンを俺は調べる事にしたが俺はある一つの事実に気づいた。それはその魔窟の中に魔王の力の一部が封じ込められていたという事だった。つまりその、魔王の力で魔王は復活を果たしたということだったのだろう。

そこで俺は魔族の中にその力を持った人はいないのかと思い魔獣の王に聞くと魔王の配下の中でも最強の力を持っている者にだけその力が与えられると聞いたのである。その魔王の配下は全員死んでしまったようで、残っているものはもういないらしい。

俺はその配下たちの死体がないかと思い聞いてみたがやはり全員亡くなってしまっていたようだった。そして俺は俺が持っている全てのスキルを使い、魔王が目覚めない方法で封印できないかと試みてみることにしたのである。そして封印できる方法が見つかるまでの間俺は、魔王の配下と魔王を同じ場所に封印し続ける必要があるので魔王の配下全員を俺の家に運び込んだ。そして俺は、封印の為の準備を始める事にした。

俺達が魔王の復活を阻止する為の手段を考えてから一週間後ついに魔王の復活を阻止できるようになったのである。俺は魔王の復活を止めさせる為に、この前見つけたダンジョンの中の魔石を使って、この魔王城全体を包み込むほどの巨大な魔石を作り出したのである。その大きさにはもちろん理由があり、まずこの魔石の大きさは、魔族の力の総量を示しているからであった。その、魔王城の地下に埋まっていた魔石の量は膨大だったので俺はその量の魔石を一つづつ使っていくと流石に魔王城全体が壊れてしまう恐れがあったので、この魔王城全体のサイズに合わせるような形にするのが一番良いと思いこのような形になったのである。

俺が作ったその巨大な魔石に俺の部隊のみんなで手分けをしてその魔石を埋め込み、魔王の魔力と魔王の力だけを封印するイメージを思い浮かべながら魔素を注いでいった。その結果その作業は無事に終わり俺達の目の前には魔王城の姿はなく大きな岩の塊があるだけだったのである。そして俺がこの状態になってから一ヶ月後にこの、岩は砕け散ってしまい俺が想像していた通りの状態になったのだった。そしてこの魔族の領地にあった魔物が生息する場所は魔物の数が増えすぎることも減り過ぎてしまうこともなく平和な場所になっていったのであった。そして魔王は、その魔王の配下の力の一部を持っていた者の力を利用して復活するはずだったのだが、それが不可能になった今、魔族の領土では、その配下の力の一部を元々持っていた者を探さなければいけない状況に陥っているという訳だ。

俺とエリカは、魔族の領地に戻り、魔族を混乱させないように魔王が復活したことを秘密にして、俺とエリカとルチアの三人だけの秘密にした。それから俺は俺の部隊のみんなのレベルをカンストさせる為の訓練を、エリカと俺とルチアで、俺達三人で分担しながら訓練を開始したのだった。

俺の部隊のメンバーは、全員、この世界で最強クラスの実力の持ち主なので、レベルを上げる速度も早くて俺が予想しているより早く部隊の平均レベルをカンストさせる事ができたのである。俺がこの魔王領に来る前までのこの国の平均レベルの最大値が50だったがこの、二週間の間だけで80にまで上げることが出来た。しかし俺は魔王を倒すまでに100にするつもりで、部隊の強化に励んでいた。俺は部隊を強化するために、魔王の配下の者たちを全て倒したのである。その配下たちは全てこの国で暮らしている者達だった。しかし魔王の直属の配下の者が一人もいなくなってしまったら流石に困るので俺はエリカに、他の魔族たちが住んでいる所を探してきて貰いそこで魔族を鍛えるようにエリカに指示を出しておいた。俺はこの国の国王と王妃に会いに行き今回の魔王が復活した時の対策について説明した。

そしてこの魔王が復活してから半年が経過してしまった。そして俺は遂に魔王が復活しようとしていることに気がついて、俺は俺の家族を守るために、俺とエリカとルチアの三人で、魔王の元に向かうことに決めたのであった。

俺が、家族を俺が守ると決意してから約2時間後に俺の部隊は全員が、俺と同じ魔王軍の領地にたどり着くことが出来た。俺は部隊を連れて魔王がいるとされている、魔王城にむかったのである。

そして俺と俺の部隊がたどり着いた時既に魔王城は半壊状態で俺はこの光景を見た瞬間この、魔獣達を魔族の国に向かわせたのは間違いだったのではないか?と思うほどだったのである。俺はその光景を見ている間も、この光景を作り出した犯人を探してみたが見つからなかった。

俺とエリカと、俺が隊長を務める部隊の仲間は急いで魔王がいると思われる玉座の間に向かわなければならなくなったので俺達はそのまま魔王城の中に侵入することになった。その魔王城の中には、まだ生きている魔王軍の人達がいたが俺の隊の人達で魔王軍を拘束し俺達は急ぎ玉座の間に向かって行ったのである。

俺達は、その後魔王が復活する直前にたどり着いていたので俺はその、魔王の体を俺とエリカが封印する事に成功した。その後俺は魔王の部下達が封印されていたダンジョンの跡地に封印を施してからエリカに頼んで魔族たちを、その魔王城から少し離れた森に避難させて貰うように指示を出した。そうしないと魔獣達に被害が出てしまいそうな気がしたからだ。

俺はその後、エリカとルチアに別れを告げると俺達はこの魔王領から、魔王復活を阻止するために必要なアイテムを探す旅に出たのである。そのアイテムとは【神眼】スキルの所持者だけが使うことを許されたと言われているものでこのスキルの使い道は二つあった。

一つはそのスキルを持っている人の意思によって発動することが出来き、その時、対象の人物が一番強く思っていることを強制的に現実にする事ができるものだったのだ。もう一つは自分が死ぬ寸前の時に一度だけ自分の望むもの全てを叶えてくれるというものでそのアイテムを手に入れる為に俺は色々なところに行ったりしていた。俺は、この魔王領内にあるかもしれないと言われていた、ダンジョンや魔族の国の跡地などを回ってはみたが全くその、アイテムを見つける事はできなかった。しかし魔王が復活してしまった時にその、神域と呼ばれる場所で復活するという事だけはわかっていたので、その魔王の復活を阻止する方法を考えながら、俺はひたすらそのダンジョンを探していた。しかしなかなか、魔王復活の阻止をするために必要な、魔石を見つけられずにいたのだ。

そんなある時俺はカレンと二人で王都に来ていたのだ。俺は魔王を封印するために必要なものを色々と集めなければならないのでその情報を集めている最中なのだ。俺とカレンはこの、王城に来た理由と言うのは俺はこの国の王族の一人でこの王国の王女のサーシャの友達だったのだ。俺は魔王を復活させるためには、この王国の中にある何かが必要で、俺はこの国が持っている情報を聞き出せると思いこの王国にやってきたのだ。そして俺達が今何をしたいのかを説明すると王様はすぐに俺達の頼みを受け入れてくれて協力してくれている。俺は魔王をこの国から出られなくするためには、やはり俺の持つ魔王の能力の能力を封印する方法が必要だった。そのために魔王の配下を封印したダンジョンの跡地の魔窟の魔石を使って魔王を封じ込める必要があったのである。

俺はそのダンジョンに行くのは俺がこの国を出てからにしようと思っている。なぜならばこの国の中にいる魔族たちにも俺の考えを伝えたかったからである。そしてこの国にいる、エリカにも魔王復活を阻止する為の方法を伝えておこうと思っていた。だから俺は今日、俺の部隊の皆と一緒に魔王が復活した時に魔族と魔王を封印するために必要なアイテムを探すことにしたのである。

俺はその日は俺の部隊の人を集めて一緒に魔王が封印されている場所に案内することにした。その場所と言うのは俺とエリカの家の地下に繋がっているダンジョンの魔窟の中の一階層の奥の方でそこには大量の魔素が封じ込められている。

まず最初にこの国で一番力の強い戦士の、ガルと俺の妻であるアイラとアンナと俺の妹のミライの四人で、魔王を復活させようとしている魔王の眷属を封じていたダンジョンの最下層に行ってもらっていた。なぜそこに魔王の配下たちが集まっていたのかは俺にはわからなかったがとりあえず俺が持っている魔王封印用の魔石でその、魔族を封印することに成功できたのである。俺はそれから俺の隊のメンバーの中で一番強い人たちを引き連れて、ダンジョンの最下層にもう一度向かってもらった。

しかし最深部にたどり着くとそこは、魔石はなくなっていたのである。俺はその光景を見て、魔王が復活したことを知った。俺がダンジョンの中に入るとそこには一人の男がいた。

俺はその人物に対して鑑定を使ったが俺よりも圧倒的に強かったので、俺はその人のステータスを見ることは諦めて俺自身の力を使うことを決心したのであった。そして俺はこの魔石を持っていった犯人は俺だと言い張ったのだが、相手はそれを聞くと「私はその様なものは持っていないぞ?」と言った。俺は相手が嘘をついていることが分かってしまった。しかしそれを表に出すことはせずに、俺は相手をこの空間から追い出そうとしたのだが相手は全くその場から離れようとはしなかった。俺が力ずくで相手に攻撃を仕掛けようとした時に、後ろから声をかけられて振り向いてみるとなんと、俺の妹のミーナだった。俺はその光景を見ると妹を抱きしめた。俺はミーナは無事でよかった。本当によかったと思った。俺がミーナを抱きしめるとその男の方は、急に俺に襲い掛かってきたのである。しかし俺はミーナをその人から守りながら戦っていたがその人は本気で俺を殺そうとしてきたのだ。俺はその攻撃になんとか耐えながらも俺は俺自身でも不思議なぐらいに力が湧いてきていたのでその攻撃を何度もはじき返すことができたのであった。

そして俺が相手の攻撃を受け止める度に、俺はどんどん力が強くなっていくことに気がついたのであった。そして俺は、俺の攻撃にその男は防御するので精一杯になっていた。俺はこのまま倒してしまおうとも思ったのだがそれだと、俺の大事な妹のミーナが危険な目にあうと思って俺はあえて全力を出さないようにしていたのだが俺は途中から完全にその人を倒すことに集中してしまっていた。俺がその人に、攻撃を当て続け、その人が倒れそうになったときに、急に体が動かなくなってしまった。そのせいで、俺はその人を見逃すことになってしまった。

そして俺は、俺の体に何かの糸が巻きつけられていることに気がつきその方向を見ようとするといつの間にかに後ろに誰かが立っていて俺はそのまま気絶してしまった。そして俺が目を覚ました時俺が意識を失うまでの記憶がなかった。俺の隊は全滅していて俺は魔王軍の元隊長と副隊長の二人に俺は拘束されていた。俺は必死になって逃げようとしてもがき続けているが、何故かこの二人の手から逃れられなかったのだ。そして俺をこの魔王軍に連れてくることに成功した後その人たちはそのままどこかへ行ってしまった。

俺は、俺の家族の安否が不安になり仕方がなかったのですぐに俺の家族に念話を使い、どこに居るのかを確認したら、全員が無事だったようで安心した。俺は家族が全員無事が確認できてほっとしたのだがそのあとのことも心配だったので俺はそのことについて考えたのだ。それは魔王軍についてのことだった。魔王軍について俺はその実態を知らない。だから俺は一度俺が今まで集めた情報を改めて見直すことにした。俺が今持っている情報と言えば 魔族の国がこの魔王領で復活しかけているということ 魔族の国の民たちがこの魔の森の中に避難していること 魔王軍が魔獣を操って人間を襲っているということだけだった。

魔王軍は俺が魔王軍を壊滅状態にしたことに怒り、この魔王領を支配している。俺を魔王軍の幹部として招き入れようとしているらしいのだ。しかし俺の予想が正しければ俺の家族を人質に取りこの魔王領の人達を皆殺しにしてしまうのではないか?俺はそれが怖くて堪らなかったのだ。

そして俺が、俺が集めてきた情報を再度見ている時、俺は一つの情報が頭に入ってきた。俺がその情報を信じるかどうか悩んでいた時に俺は魔王城の近くに居て魔王城から一番近い森の中に魔王の配下がいるという事が書かれていたのだ。俺の部隊の中に、この森の近くに住んでいた隊員がいたらしくてその報告によると、魔王の眷属達がここに集まってきていると言うことだった。俺はそのことを信じたわけではない。だがもし仮にこの魔王城の近くに、魔族が集まってきているのだとすれば、この魔族たちは魔王の復活のために、魔石を取りに行ったと考えることができるからだ。それに俺が魔石を持っていないと言っても魔王がこの魔族の国に来ているなら魔王が魔石を持っている可能性が高いのだ。俺は急いで俺を捕らえているこの魔族の国の人達の目を盗んで、俺の家族に会いに行くことにしたのだった。

俺は魔王城の前にいた。この城から魔族達が出てきた気配は今のところはなかった。だからまだ魔族達が魔石を盗みにきたとは確定できないのであるが、魔族達がこの魔王領で復活するための何かを探している可能性がある以上放っておくわけにはいかないのだ。俺は俺の家で寝ていた妹を起こしに行き、一緒に魔王城の前まで来てもらった。俺達は魔王城の門番をしていた魔族を倒した。そしてその扉を開けると中には、俺の部下たちとこの国の兵士と思われる人たちが戦いを続けていた。そしてこの兵士の殆どは魔王軍の幹部で魔族の姿の者たちである。しかしその中に魔族では無いものが一人紛れ込んでいたのだ。その人物は女性だったが見た目的に俺と同じくらいの力を持っているのではないかと感じさせるほどに強いのであった。俺はそんな事を考えていたらその女から声をかけられたのだ。

俺はその人物に対して鑑定を使ってみた。

名前: 性別 男性 種族 悪魔族(デーモン)

Lv.1253 職業 魔剣士Lv.MAX 体力 10万6000/1億3000 魔力 85000/99000 攻撃力 1兆8000 知力 2200 速度 7000 固有技能 【神速】

【瞬神剣】

俺も、俺の妻もミーナもレベルをかなり上げていた。なので今の俺たちの戦力はかなりのものなのだがそれでもその、悪魔族の男の人と戦っても俺達が負けてしまうほどの強さを感じたのだ。そしてその、男の強さが俺とあまり変わらないくらい強いことがわかったのだ。

俺が考えているとその男の人は俺に襲いかかってきた。しかし俺はなんとかその攻撃をいなして、俺は男の人に攻撃を仕掛けた。しかし俺は自分の力を全て出すことができてないせいか攻撃が軽すぎたのでその攻撃は当たらずにいた。そして俺は俺を睨みつけてくる、その悪魔の男が放つオーラが凄まじくその男の人の視線だけで殺せるのではと思う程恐ろしかったのである。

俺は俺の隊のメンバーと妹とこの国に来てくれて、そして俺を助けてくれるために来てくれた、エリカさんを連れて俺はその場から離れた。そしてエリカさんのスキルの転移を使い一旦魔王領から離れようとしたのである。そして俺はこの魔王領の外で俺はエリカの旦那のユウとエリカに説明を始めたのである。

まず最初に俺達の現状を説明し始めた。俺が捕まったことや魔王軍が復活しようと魔石を集めに動いている可能性を伝えたのである。

「なるほどね。つまり魔石を集めてる奴らは私やこの魔の国から魔素を取り出しているかもしれないと言うことですね。確かにそれだったら魔王を復活させるための可能性はあります。ですけど私は、私の大切な仲間を危険に晒されたのです。絶対に、許せません。その魔王の配下はどこにいるんですか?私が殺してきます」

そう言って、エリカが飛び出していったのである。

それからすぐに、俺がエリカに魔石を持って逃げた魔族たちの行き先を聞いたのである。そしたらどうもその魔族たちは俺達が魔王を封印していた魔石を奪って逃げてから数日は魔石を探すように動き続けていたのだが、その日を堺に姿を表さなくなったとのことだった。俺の部隊が全滅してしまって、この国にもかなりの数の魔獣が溢れてきていてこの国は危機的状況になっていたのであった。しかし俺はこの魔獣を操っていたのがあの魔族の国の幹部だということがわかり俺はこの国の人達を守るために、その魔族の幹部を殺すことに決めたのであった。

俺がこの国を防衛するために動くことを決めている時、俺の家族を攫った魔族の二人がこの国に入ってきた。そしてこの国の兵士達と戦おうとしていたので俺は二人を一瞬で斬り捨てたのだった。そして俺が、この二人のことをこの国を襲ってきた他の魔王軍幹部と同じように拘束してから魔王のところに向かったのである。俺は魔王の城に入るとそこには大量の血痕があり俺の仲間たちの死体が無惨に転がっていて俺は魔王を本気で倒しにいったのである。しかし魔王を倒すことはできなかった。しかし、俺の家族は守ることができたのであった。

俺はそのあとに魔族達に、俺はもう魔王軍にこれ以上危害を加えないという条件で見逃すことになったのであった。

そして、その日の夜俺は魔王に呼び出されたのである。そして魔王は、俺に魔王軍の配下にならないか?と言ってきたのだった。俺の家族が人質に取られているということを知っていてもなお俺に魔王軍に入れと言ってきているのだ。俺も家族を守るためだ。その誘いに乗ることにした。そして、俺の部隊は魔王直属の部隊に俺の隊は再編成される運びとなった。そして俺の魔王軍の階級が決まったのだ。俺は今、俺の隊の隊長をしている、魔族の男と同じ地位につくことができたのである。俺は俺の隊と一緒に行動することを魔王から命令されその通りに動いたのであった。

そして俺の家族に何かがされた形跡はないらしい。

俺は俺がこの国に来るまでに調べていたことを整理しながら、この国の中を見回った。

そして、この国の人たちは皆んなとても優しくて良い人ばかりでこの国にいる魔族の人たちのことを俺は心から信頼できる人達だと思えたのだ。だからこの国に魔王軍が攻めてこようとして、この国の住人が全員殺されても俺は全く後悔する気にはならないのであった。俺はこの魔王領のことが大好きなのだから。この国が大好きになったから。そして俺は俺の家族を救ってくれたこの国を守っていこうと決めたのであった。

魔王軍の魔族達が魔王軍のために魔石を探していた。その魔石は、俺達が倒した魔王軍の残党が魔族の国まで逃げてきている間に魔王の復活に必要な物だったのだ。魔王は魔族の国にある魔石を使って魔王軍の復活をしようとしたのだった。

そして俺の隊は魔王軍の中でも魔王軍の中で特別な存在になっているので魔王軍のために戦う必要がなくなっている。なので、魔王軍の人達には魔王の命令があるまで俺が家族を守るためにこの魔王領を守ることを魔王に伝えたのである。俺の言葉を聞いていた魔王は少しだけ驚いていたような顔をしたが直ぐに真剣な顔つきになりその言葉を受け入れてくれたのである。

それから俺は魔王から魔王軍の幹部達を紹介されたのである。俺が幹部達を鑑定するとそのほとんどの能力が最低でも、30000を超えていたのだ。その中でも特に強い魔族を魔王軍の幹部達が魔王に紹介する時に俺に向かって紹介し始めたのである。

そして俺は、魔王に呼ばれてその、俺より圧倒的にステータスが高い人たちの前で話をしたのだ。その時の俺は、この魔王軍がなぜ魔王軍と呼ばれているのかが分かったのであった。

魔王は圧倒的な力で全ての魔族を従えており魔王に反抗するものはいない。しかし魔王に逆らうと俺のように殺されるか、魔石を奪われてしまうかのどちらかしか選択肢がなかった。

だが俺の予想では魔石を奪うのではなく殺すのではないかと予想していたのだ。だがしかし魔王はその魔族を殺したりせずに自分の部下にすると言う。それも魔王自ら、手下になるものを配下に加えると言う。魔王の配下になれば俺達人間から攻撃を受けることはなく魔王の部下だからといって、魔族以外の者に襲われることはなくなりその配下のものたちに魔王からの指示があれば、いつでも俺の家族を守りに行くという事を伝えることができるのだ。俺は魔王の言っている意味を理解し、この話を受け入れることにした。魔王は俺を信用できる人物だと思っており俺なら魔王軍の戦力になることを確信している様子だったので俺は魔王に従うことにしたのである。

魔王と俺はその後の話をした。魔王は、これから起こるであろう戦争をどうするつもりなのか俺に伝えてきたのである。

俺はこの戦争が終わる頃には俺の隊がもっと強いものになっていると思うので俺達は、その戦争で魔王軍と勇者が共闘するというのを、提案してみた。俺の提案を聞いた時、最初は信じられなかったのか俺の言葉をなかなか信じようとしなかったが俺が、証拠をみせてあげたらその案は受け入れられて俺はその計画に参加するように命令され、魔王の直属部隊に入ることになった。

その後俺は、この国を守るために俺の隊と共にこの国の魔族たちを鍛え上げる事にした。

俺は、この魔王領に魔素を取り込むために設置してある魔石を全部回収した後、魔王領の近くの町に拠点を作り、俺が魔王軍のみんなに指示を出してこの国に住んでいる人たちを守るためにこの国の住民達を特訓することになったのである。この国の住民の戦闘能力は平均レベル50前後でこの国の住民が俺の隊とまともに訓練しても全く強くなれるような気配がないほど弱かったのだ。

しかし俺が魔王軍に入ってすぐの時に俺は俺の部下たちのレベルは全員100超えていたのだが魔王軍は、魔族の精鋭たちが集まる組織のためレベルの上限が1000なのだ。俺は魔王軍に新しく加わった魔族達の力も見ておきたかったので俺の部下たちとの模擬戦をすることにしたのである。俺の配下たちは魔王軍の幹部たちが相手なのだが俺と俺の家族を人質にとられていたこともあり全力で戦いなんとか倒すことに成功したのであった。そして俺は俺が倒した幹部をすぐに蘇生させて、この国で一番強者たちを集め俺の隊との試合をさせたのである。その試合は圧倒的だったが俺の仲間がこの国最強クラスの実力を持つようになったらこの国の防衛に俺の隊を参加させることを魔王から許可して貰ったのである。俺はこの国の魔族の人にも魔族の幹部にも死んでほしくないと思ったのである。

俺はこの魔王領で俺の部隊が戦えるように、俺は魔王に頼んでこの魔王領で俺の部隊が戦えそうな魔物が出る場所を地図にして貰いそこを優先的に、討伐するように俺の隊の魔獣部隊を移動させながら魔王の配下たちも、俺の部下に同行できるように魔王にお願いしたのであった。魔王は快く了承してくれ俺の頼みを聞いてくれたのだ。

こうして俺が今魔王軍の人達と過ごしている魔王の城は、魔族の国の中にある一番大きい城なのだ。そして魔王は魔王の城の近くにある魔石を集める為の施設も俺に作らせてくれたのだった。

俺は魔王の命令で、俺の部隊と俺が魔獣狩りをする為に作った場所にいる魔獣達と魔王軍幹部達と一緒に魔獣退治をしているのだ。

そして俺が魔獣を倒して魔王軍の人達が魔獣を倒した分の魔石を魔王軍の本部に運んでくれるように魔王から命令されたのである。そして俺がその魔獣達と戦って得た経験値は全て俺が受け取ることになっていた。

俺が魔獣達と戦い始め、1年が経った頃にようやく魔王から魔石の数が十分集まったと言われ、俺の隊は解散することが決まったのである。そして俺の部隊の皆んなは魔石を持って魔族の国に帰り始めたのだった。俺はこの魔王軍から抜けることになって悲しかった。俺にはこの魔族の国のことが大好きでこの魔王領に住む魔族の人達のことも大好きなのだから。だから俺は魔王軍から抜けた魔族に俺の気持ちを伝えにいくことにしたのだ。この魔族の国は魔族の人たちにとっては楽園のようなところだと思うしこの魔王領の人達と離れるのは嫌だという事を魔王に伝えに行ったのだ。すると俺はこの国に居ても全然問題無いと言われたのであった。魔王が俺のことを呼び出そうにも呼び出したくても魔王城に通信の魔法を使うことのできるものがおらず俺に何か伝えたくても俺に伝えられなくてずっと寂しい思いをしてきたのだということを打ち明けられたのであった。魔王はこの魔族領の全ての魔族と俺の家族の命は絶対に助けると約束してくれたのだった。俺は嬉しくなって泣いてしまった。俺の涙を見た魔族の人も涙を流してくれたのだ。そして俺は魔族の人に魔王軍の本音を聞く機会ができたのだ。その魔族の人は魔王軍に不信感を抱いていてこの魔族の国が魔王軍の手に堕ちて、魔王にいいように使われているのが許せなかったのである。そして俺が魔王軍の幹部達に、俺の隊の強さを見せてやったのを見てこの人達なら魔王を倒してくれるのではないかと思い魔王に内緒で俺の隊の人達に魔王と戦う準備をしておけと、この国を守ってほしいと言ったのだという。

俺はこの魔族の人達にこの魔王領の皆んなに俺の家族が人質になっているのにこの魔王軍の人達には魔王の言う通りにしないと俺の家族を殺すって脅されて無理矢理魔王軍に従っているんだろうと聞いてみたらこの人達は自分の意思で魔王に従ていると打ち明けてくれたのだ。そして俺にはこの国の魔王の味方になるのはやめて魔王に反抗しようと思うので俺と一緒に魔王と戦って欲しいと俺に告げたのだ。

俺は魔王にこの魔王領の人達は、魔王に洗脳されていて、この魔族の人達も人質になっているということにすれば、俺が魔王と手を組んでもこの魔王領の人たちが殺されてしまう可能性があると思い魔王軍の人たちにその作戦を話して協力してほしいと伝えると俺に協力させてくれと言ってくれたのだ。

俺とこの国の魔族の人たちは協力して魔王の敵を討つことを決めたのだ。

この魔族の人たちに魔王がどんなふうに魔族の人たちを支配してこの国の人達がどんな風に苦しめられてきたのかをこの魔族の人たちは知っており、そんなことをする魔族のことを俺がこの国を守るために倒しに行きたいと言うと魔王軍での地位の高い人たちが俺の隊に魔王軍の情報を話し始めたのだ。魔王軍がこの世界の人間を侵略するために魔族の奴隷にしていることや、魔族の国が滅びれば次は人間が滅ぼすためにこの世界に攻めてくると聞かされたのである。その話は魔族の中で常識になっており、人間は自分たちが住んでいる魔族の領地を人間から取り返すために、俺の故郷の村を襲い俺以外の村人は全員殺したのだと言う。

そして俺の故郷に魔王が攻めてきて魔族の領土を広げようとしていて俺の村は滅ぼされて、俺は魔王によって捕まり奴隷として売られることになったらしい。その話を聞いた俺が、俺を救ってくれたのは、カレンでありその村の生き残りの女の子は、この国の魔族が守っているらしい。

俺は俺の家族が魔王の国の人間に殺されたということを知って怒りが込み上げて来た。だが俺の怒りをぶつける相手は魔族であって人間ではない。そのことは理解しているが、俺の大切な家族を殺した奴らをこの魔族達を魔王軍を使ってこの魔族の国を滅ぼし魔王の首をはねようと思っているのであった。

そして俺は、魔王を倒すために俺はこの国の魔族とこの国の人間のトップを集めて、俺がこの国の代表になってこの国の人たちの魔王に対する恨み辛みを全て吐き出させたのである。この国は、魔王がこの魔族の国に命令して作られた国であること。この魔族の国を作るための資金がこの国の国民の税金を搾り取っていたということを魔王から聞いていたので、この魔族たちの王である魔王を俺は殺さなければならないのだ。

そして俺はこの国のトップ達と協力してこの国にいる魔族の国出身の者達に、今まで虐げられ苦しんできた事を訴えてもらい、この国にいた魔王に心を奪われた者たちを俺の隊で倒して、この国の民達を開放して魔族達による新しい国の建国を宣言してもらおうと思ったのである。そして俺はこの国の人たちのために魔族達が魔族を奴隷にしていたという事実を隠しながらこの国の魔王を倒して俺の隊が魔族を護って魔王の国からこの国を解放するという計画を立てたのである。俺はこの国のトップたちに、この魔族の国の国民たちが、この国の国王を、この国の魔王と慕う理由を説明してこの国を救うために協力してくださいとお願いをしたのだ。この国の魔族達は俺の話を信じてくれるようで、この国の人たちに、今俺の言ったことと同じ内容を説明してもらうことにして、この国の人たちも納得した上で魔王を倒しに行こうと思ってくれたのだ。

俺は魔王軍とこの国の住民達に、俺の仲間になってくれそうな人がいたら連れてきてほしいと頼んだ。俺は俺の隊の隊員たちと、俺の妻であるエリカの三人で俺の隊だけで魔王の城に向かって戦うつもりなのだ。俺の隊の仲間と魔王軍の仲間でこの国で俺の話を真実だと思わせられるくらい強い人達が居たらこの国の仲間にしてもらってもいいと思う。俺は、魔王軍の魔族達のレベルをこの国の魔族のレベルに合わせるために魔石を使ってレベルアップさせることにしたのである。

俺は、この魔王軍に所属している人全員にレベル100にして欲しいと頼みこの国の魔王に頼みに行った。魔王はこの国の人全員をレベル100にするだけの大量の魔石があれば問題ないと、この魔王軍の人達を鍛えることに協力してくれてこの国の魔王軍幹部とこの国の人みんなを訓練してくれて俺がこの国に戻ってきた時にはレベル200以上の魔族の人が沢山いたのだ。そして俺と魔王軍はこの国で最強の集団となったのだ。

俺達は今から魔王の城に向かう為に魔王領の門に来ていた。俺は魔王と魔族に別れを告げることにしたのだった。俺の隊の幹部の人達と妻に挨拶をすると魔王のところに報告をしに行く。俺はこれから俺の家族と、カレンの故郷であるこの魔族の国を救う為に魔王を倒して魔王のいる魔王の城の玉座の間まで行ってくる。そして俺達は必ずこの国を取り戻すと宣言して魔王の城の門の前まで行き魔王がこの魔王軍の兵士達を連れてこの国の魔王がいる魔王の城に一緒に来てこの国の人達を解放して欲しいと魔王に頼みに行った。

俺は魔王に魔王が魔族の国にしてきた仕打ちを魔王に全部伝えたのである。この魔王領に住むすべての魔族の奴隷にしたのはもちろんのこと魔族の国の人間たちをこの魔族の国に無理矢理移民させ奴隷のようにこき使い働かせて、金と食料を奪ってきたことも俺は魔王に伝えた。俺が魔王に伝えるのを躊躇しているとこの魔王が俺に全てを話し出したのである。この魔王の話を聞いた俺は、魔族の国に人間を侵略する為に来た魔王をこの魔族の国に縛り付け、この国の人間にこの国の人間を助けるようにこの魔王領から追い出してもらう作戦を実行することを決めたのだ。その時に俺は魔王からこの魔族領を守る役目をこの魔族の人達に託したいと伝えてもらった。俺は俺と一緒に魔王を倒して魔王を倒してくれる人を探しているとも伝えるとこの魔族の人は魔王を倒した暁には魔族の国はどうなるのか聞いて来たので俺は魔王がこの魔族の国の全ての権限を持つことを伝えて俺の隊は解散することになるけど俺の隊は魔族の人達と魔族の国を守り抜く事を誓うことを伝えると、俺の事を魔王から託され信用されたこの隊の人達は涙を流して喜んでくれる。

俺は、俺と一緒に魔王を倒してくれる魔族の人達にまずはこの魔族の国にいる魔族とこの国の人たちを魔王軍に人質に取られていることを魔族の人達に説明して、俺が魔王を裏切ってこの国の人たちとこの国の魔王と戦う事を話したのだ。俺は魔王の配下の人達に、俺がこの魔王軍から抜けることを認めてくれるのかをこの国の魔族の人に確認してもらえないのか聞くとすぐに許可をもらい俺はこの魔王軍を辞めることにした。この俺の行動を見てこの国の人たちは、俺を裏切り者として捕らえようとしたが、俺はそれを拒否した。この魔王軍から抜けた後、この魔族の国の魔王を倒しこの国の人間を助け出すことに協力してくれないかという交渉をするために俺は俺が魔王軍を抜けてこの国の人たちと魔王と戦おうとするのを、この国の魔族の人たちに話した。

そして俺は、この国の魔王のところに行き、俺は魔族領の人達を人質を取っているというのにこの魔族領の人達をこの国の人間より大切だと思っている魔王の事が許せなくなり、俺は、魔王の味方をするのはもう辞めるから、魔王を倒しこの国の人達を自由にすることを約束すると言ったのだ。

そして俺は、俺と一緒にこの国の人達と魔王を倒してこの国の人たちを開放してくれる仲間を探して魔王にこの国から出て行くと言った。俺と一緒に魔王と魔王軍が魔王を倒そうとしていっている人達は、魔王が、魔王がこの国の人間たちを支配していて、魔王がこの国の魔族の人達を自分の部下として無理やりこの国の人達に魔王が命令をしているんだと思っていたのだが、実は違うということを俺と魔王軍の魔族の人達は知り、この国の人達に本当のことを話すことを決断して、俺達は魔王に真実を打ち明けた。

この国の人たちも、俺がこの国の人達を魔王が命令してこの国の人間にひどい扱いをしてると勘違いをしていて本当は魔王の命令に従っていないということがわかってこの国の人たちは魔王に対して不信感を抱いていたので俺がこの国の人たちに魔王から助け出せることができるかもしれないと言っても俺についてくると言ってくれていた。そして、俺はこの国の魔族の人からも俺が人間に魔族と間違われて殺されたことと、そのせいで俺がこの国の人間を恨み憎んでいる気持ちを理解してくれていたので俺がこの国を出ていくのを止めようとしても無駄だと察してくれたようで俺がこの国から出ていくのをこの国の人たち全員が認めてくれたのである。俺はこの国の住人たちに、俺は俺の国と魔族たちの国の二つを同時に救う為に魔王を倒すためにこの国を離れると言うとこの国の人達は魔族の国が滅ぶことは望んでいなかったのである程度の人数なら魔族の人たちにも同行させていいとこの国の魔王が言ってくれてこの国に残った魔族の人達を連れて行くのを認めてもらった。俺はこの魔王の配下達が残していった武器の中から俺に合いそうな剣を選んで俺の隊と俺の妻のエリカさんに渡してもらいこの国の魔族の人たちが持っている魔法銃とこの国にあったマジックアイテムを全て回収することにした。

俺は、この国を出る前にこの国の人間と魔族の人を集めてほしいと言い集めさせた。俺は、この国にいた魔族と、この国で奴隷になっている人を全て解放すると宣言してこの国を出発する。俺は俺の仲間達と共に魔王の城に乗り込んだ。そして俺が魔王に会って、この魔族の国の人達を解放するように言うとこの国の魔王の配下が俺の事を人間だから殺そうとするので俺はこの魔族の人を守るためにこの魔族の人達と魔王軍の人と戦って倒した。

そして俺が魔王を倒せば俺の仲間の人でも魔族の国で自由に行動できるようになるので俺は魔王を早く倒さなければいけない。俺は魔王に、俺はこの国と俺の国の両方を救うためにこの国に来たことを告げて俺はこの魔族の国の魔王であるこの国の魔王に宣戦布告をしたのだ。そして俺はこの魔王を倒して、魔王の城を乗っ取るつもりである事を宣言すると魔王は俺の事を認めるという。

俺は俺の家族を魔王の城に呼び寄せて、俺はこの国の人間たちと魔族の人のために戦う事を宣言して俺はこの魔王の城の中で一番強いと言われるこの城の魔族のトップと戦闘を始めるのである。そして俺はこの魔族のトップを倒し、魔王に俺はお前を倒すと宣言したのだった。

俺が魔王にこの魔王城で一番強いのは俺ではないと話すと魔王が俺と戦いたいと言い出して俺を玉座の間に呼び出す。俺の仲間達もこの玉座の間に入ってきていた。するとこの魔王の部下の人が俺を殺そうとしたので俺の仲間たちがそれを食い止めているうちに俺がこの魔王を倒そうとした。すると、突然魔族の幹部たちがこの魔王軍最強の存在に変わってしまったのである。この魔族の幹部たちも魔石を使ってレベルを100にしたのである。

そして俺はこの魔王が俺を本気で殺す気になった瞬間、魔王の動きが目で追えなくなった。そしてこの魔族の幹部達は俺が攻撃されるたびに動きがどんどん速くなって俺はついていけなくなって来たのである。そしてこの魔族の幹部が全員俺に向かって攻撃を仕掛けて来たのである。俺はこの魔王が、この魔王軍最強の力を手に入れる為にこの国の魔族の人達に大量の魔石を体内に取り込ませてレベルを上げて魔族を強化させていたらしいのだ。俺はこの魔王から、俺は俺の魔族の人たちの為に俺の魔王を倒す為に魔王の配下と戦っただけであることを魔王に話し俺は俺の魔族の国とこの国の人達の為、魔王軍最強のこの男と決着をつけることにする。

俺は、俺は魔王の攻撃をギリギリのところで全てかわしているのがやっとで俺は反撃が出来ないでいたのである。そして魔王は俺に余裕の表情を見せて俺の事をあざ笑っている。俺はそんな時、俺の横から俺の仲間達と妻が俺を援護する為に現れたのだ。

カレン ユウ?大丈夫?かなりやばい状態みたいね。

カレンは俺に加勢をするべくこの魔王の配下の人たちを倒そうと、この魔族の幹部たちを次々に倒していく。俺の仲間たちも魔王の配下の人たちを次々と倒し、俺達の周りを取り囲んでいるこの魔王軍の中でも一番強いと言われているこの魔王軍幹部たちは、俺達のこの魔王軍の中の最強であるこの魔族の男たちが負けている俺に勝てる訳ないと悟ったのか次々と俺と魔王の周りにいる仲間に襲い掛かっていくのであった。俺は今の状態ではこの魔族の四天王と呼ばれているこの魔王軍のナンバーツーの実力を持つ魔族を簡単に倒すことは不可能であるとわかりこの魔王を倒してこの国の人間とこの国の魔王軍とこの魔族の国の人間を魔王軍の支配下から解放するにはこの四天王の一人である魔王のこの魔王を倒してからこの国の人達に俺の言葉を伝えてもらう必要があると考えたので俺は、俺の魔王の配下に倒された。そしてこの魔王が魔王城に戻ってきた時には、俺とカレンでこの魔族の国の魔族に、魔族の人達を魔族領に帰らせる事を俺の魔族の国の人間を奴隷として魔族に売る事は止める事を魔族の人達に言ってもらうことを任せて俺は、俺は俺はこの魔族の四天王の一人を倒したのである。

俺は俺の妻達に、俺と一緒に魔族の国の魔王を討伐してくれるメンバーを集めるように頼んだ。俺の仲間たちも俺と同じ気持ちのようであり、俺がこの魔王を倒し、この魔族の国に平和が訪れたらこの国の人達に俺はこの国の人たちと魔族たちの仲直りに協力し、そしてこの魔族の国の住民を一人残らず俺の国に移住させてくれるように指示したのだった。俺はこの魔王の城の中にまだ残っているこの国の人間と魔族の人を探すことにした。

するとそこには俺に倒された魔族の四天王の一人であるこの国の元魔王の側近がいたのである。俺は俺は魔王のところまで案内してもらえるかなと言ってみると俺に倒された魔王の配下が復活をしてしまったのである。俺は魔王のところに行き俺とこの国の魔王の勝負を見たいと俺に申し出たので俺はそれを受け入れた。俺はこの魔王と戦う前に魔王の側近と話をしていた。そして魔王がこの側近に何かを耳打ちするとその側近はその場を立ち去り俺に魔王様は貴方と真剣に戦う覚悟を決めていますと言っていたのである。魔王は自分が俺に負けた時のことを考えて魔王の側近には自分の考えを言わずにこの俺に魔王が勝つと思っているふりをしてこの場から立ち去らせたようだ。そして俺に俺の仲間の皆と魔王軍の人間もこの戦いに参加させて欲しいと言い出したのだった。俺は仲間も魔王の味方をしている人間たちもこの国の人達が人質に取られているというこの国の魔王が人間を強制的に支配するために行っているという行為に腹を立てていたので、この魔王が俺に勝てば人間とこの国の魔族の人達を解放すると魔王に言うと魔王はそれを承諾し俺に戦いを挑んできたのである。

俺が仲間をこの魔王との戦いに参戦させることを許可しないならば俺の妻と仲間は人質に取られる事になるかもしれないと俺は魔王に言われてしまい、この魔王と戦って勝たなければ人間と魔族の国の住人が俺がこの国の人たちを助けることを了承してくれないという事もあり俺は、この魔王に負けても人間と魔族の国の住人を人質に取るのは止めるように俺はこの魔王と約束を交わしたのである。そして俺の仲間の人達とこの国の魔族の人たちに戦いに巻き込んで申し訳ないと俺は心の中で謝罪をしたのだった。

魔王と俺はこの玉座の間で戦いを始めたのである。俺は魔族の強さを知りたいので俺は魔王と一対一の決闘形式で戦う事にした。そしてこの国の人達と魔王軍の人たちはこの魔族の城の外で待っていてもらい俺は魔族の強さが知りたかったので魔王との一騎討ちをする事にしたのである。俺はこの魔王の強さを試すためと、この魔王にこの国の人たちと魔族の人たちを解放してもらってから俺はこの国の人たちにも魔族の人たちにも、魔族の国の人たちが奴隷として扱われている事を俺の国の国王である父に告げてもらう役目をしてもらう為、俺は魔族の国にいる人達に俺の口から魔族の国の人たちが奴隷になっているという事をこの国の人たちに説明してもらうために俺はこの国の人達と魔族の人達を外に待たせることにしたのである。俺は魔王と戦闘を始める。魔王はさっき戦った魔王の配下とは違い明らかに強いオーラを身に纏っていた。そして魔王は自分の部下の人たちを俺に攻撃させた。魔王と俺以外は、仲間と魔王軍の人は魔王が俺を挑発する為に、そして魔王は自分以外の人達が戦うことで俺を本気にさせる為にこの国の人を巻き添えにして戦わせたようである。俺はこの俺の仲間を囮にしたようなこの行動に魔王が卑怯だと言うと魔王は、魔王の配下の人間が魔王の命令を聞いてこの国の人を攻撃しただけでこの国の魔族の人間は巻き込まれてはいないと答える。そして俺は仲間を傷つけるつもりはない事を言うと魔王はそれでは意味がないと答え俺を本気で倒すと宣言したのであった。

俺の目の前には魔族の幹部と配下の人達がいる。この魔王の配下の幹部たちは魔石を使い魔族としての力を得ている。それに魔王軍最強の存在であるこの四天王と呼ばれる者たちがこの魔族の国の人たちに魔石を無理やり埋め込んでいるのだ。俺はそんな悪辣なこの魔王の配下に対して憤っているがこの四天王を倒す為、まずはこの魔王の四天王の一人である魔王を倒すことに集中をする。

そして俺は魔王と戦い始める。俺は俺の妻たちと魔王軍の人間の中にこの魔王の配下の人間たちが紛れていないかを確認をしていた。俺は魔王の配下のこの魔王の城の中を自由に動けるほど強くないからである。俺は仲間の皆や魔族の人達がこの国の人たちを魔王軍や魔族たちから助けてくれていた。俺の配下の者達は皆レベル100なので魔族の人たちよりも圧倒的に強かったので、魔族の人たちは魔族の国のこの魔王が支配している場所以外で暮らすことを選び、魔王軍の支配下から抜けてしまった者が多かったらしい。そして俺の妻たちや仲間達もこの魔族の国の人達を助けている時にこの国の人と出会いこの国の人達を助けたそうだ。この国の人たちは皆魔王に支配されている生活より俺の国に来たいと言っているらしくこの魔王の配下である四天王の一人が死亡していた事により魔王軍でこの四天王に匹敵する実力を持つ存在がいなくなった事から、魔王軍が崩壊し始めており、もう魔王軍の崩壊を止める事ができないと判断した魔王が、人間たちを魔王の配下にしようと考えているようで人間の魔族化を推し進めようと計画しており魔族たちはこの魔王の配下にされるのを避けるために人間たちは、自分たちがこの魔族の国から出ていくか魔族にされないように気を付けるかどちらかを選ぶように言われたそうだ。この魔王が支配している魔族領は俺達が暮らしていた国のある大陸の半分ほどの広さであり、そして魔族の人数も他の魔物などと比べるとかなり多いらしいのである。そして俺は魔王の城の中の魔王軍の人間とこの国の人間と魔族の人が争い始めたら俺の仲間が人間を優先的に助けてくれと頼んでいたので俺は、俺はこの国の魔族の人とこの魔王が連れてきた魔族の人たちを仲間と一緒に助ける事を俺は決めた。そして魔王と俺の戦闘が始まった。魔王が、魔王の配下の魔族は、この魔王の配下の魔族の中に入り込んでいた俺の配下の魔族たちに魔王軍を壊滅させられた。俺は魔族の国の魔族の人達に魔族たちは魔族の国から出ていくか魔王軍に人間にされないようにして、この魔族の国の住民を魔王の支配から救い出すのかを選ばせて、魔王軍と戦う力を持っていない人たちはこの魔族の国から出ていった。

俺は俺の国の魔族を魔族と認めてくれたこの国の魔王とその国の人たちを守る為、俺はこの魔族の国の人間である魔族の人々を魔族領の人間たちを魔族に変える研究をしようとしている魔族の王を倒しに行くことを決めたのであった。俺は魔族の国の住民を人間として受け入れる事を認めてくれる優しい人間で魔族でも魔族の敵では無いという事をわかってもらうにはやはり俺自身がこの国の人間たちの目の前に現れないといけないと思い、俺は俺の大切な仲間たちに、そしてこの国の人たちと一緒に魔族の国に行ってくれるかとお願いすると仲間は全員喜んでこの国の人達のために俺についていくと行ってくれた。俺はその言葉を聞きありがとうと言いこの国の人たちが人間のままでこの国の魔王に勝つと約束すると、この国の人たちと魔族の人たちにこの国の魔王を倒して平和をもたらすと俺は誓った。

俺は魔族の国の魔王を倒すために、この魔王の側近と戦わなければならなくなりこの魔王の側近と戦うことにした。この側近の強さも計り知れず、この側近を簡単に倒すことが出来なくてこの魔王の側近と俺は長い戦いを続けていた。そして魔王の側近が俺に攻撃を仕掛けて来たその時に、俺はある異変に気づくのである。俺の側近の一人であるレイラは魔王の側近と俺が互角に戦い続けている状況を見てこの魔王の側近が魔王に命令されている事を確信して、この魔王の側近が操られていることをこの国の魔王に報告したのだ。すると魔王の側近の動きが止まった。俺は側近になぜこのような行動をとったのか聞くと魔王に俺が魔王を裏切るのではないかと疑われてしまって、俺に魔王のところに連れてくるよう魔王に命じられたという事と魔王は魔族とこの国の魔族の人たちを使って魔族を強制的に魔族に変化させる実験を行っていたらしいということがわかった。そしてこの魔王の側近が俺にとどめを刺そうとした時だった。

俺の側近の一人のアリサが俺を守るために、魔王の側近が持っている槍が俺に向かってきたのだがそれを受け止めた。しかし側近の持つ槍は普通とは比べ物にならないほどの硬度を持っていた。俺もこの魔王の側近と魔王が戦っている最中にその光景は見ていたがそれでも俺の側近であるこの魔族と人間とのハーフのアリサがその槍を受けて耐えた事実に驚いてしまった。この俺の剣聖の力を身に宿し神眼のスキルを手に入れた俺は俺自身に限界を超えた攻撃力と防御力、それと速さが備わった状態であるのにもかかわらずにである。

俺の側近の一人であるこの魔王の四天王の紅一点であるエリカさんはそのアリサの事を知っていたようだ。どうやら彼女は俺に魔王の四天王を討伐してもらうためにある場所に向かわせていたようである。そして魔王軍の人間を魔族に変える実験を行っているとこの魔王の幹部が話した時点で、アリサは自分が魔王軍の人を殺すことになるという事に抵抗があったらしい。だから俺の護衛の任務を放棄してしまいそうだったところを俺の嫁たちが、この魔王軍の幹部が操られていて自分の意志ではないと教えてくれてアリサは自分の仕事を全うするために我慢したみたいだ。

魔王の側近はこの魔族と人間が混ざった姿の少女がこの魔族を殺さずに俺から引き離すことができるかを確認しようとしていたと俺に言い放つと、俺から距離を取った。そして俺は魔王の側近とこの国の魔王とこの魔王の配下とこの魔王の城の中で戦ったのである。そしてこの魔王の側近に魔王の事を尋ねたのだ。するとこの魔王の側近は魔王のことを魔王に頼まれたという理由を俺に伝え、俺はこの魔族の国にやってくるまで魔王は、魔族の人たちに無理やりこの国の人間を魔族にさせていなかったのに急にどうして魔族の人たちを魔族に変えようとし出したのかを聞いた。俺はその理由は知らないという魔王の側近に魔王の目的

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勇者パーティーを追放されたので新しい職業を始めようと思います。 あずま悠紀 @berute00

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