case1 「Endress Dream」~パート4・接敵~

 俺達が歩き出して数分後、創也そうやが警戒の言葉を発した。

「人型の何かが4体、正面からくるぞ。距離は400m、接敵時間は約3分後だ」

 

 創也の<夢神能モルペウス>、<五感発達ごかんはったつ>は非常に有能だ。文字通り五感が異様に発達するだけでなく、危険察知という、第六感のようなものまで誕生する。運動神経の良い創也との相性も非常に良く、個人戦の模擬戦では高い成績をおさめている。


「全員、いつ戦闘に入ってもいいように準備しておけ」

 俺は後方に一声かけてから、先程具現化したAK-47を構え直す。

 そして、創也の予想通り3分後、俺達は対象を捉えた。


 それは、腐った人間のような見た目で皮膚は所々はがれており、個体によって差はあるものの皆、ボロボロの衣服をまとっている。おぼつかない足取りで今にも転びそうだ。

「敵は腐屍者ゾンビだ。このホラーゲームはゾンビものらしい。戦闘を開始するぞ」

 俺はそう言ってすぐ、AK-47て敵一体に銃撃を浴びせる。すると、直ぐに腐屍者は消滅してしまった。どうやら、一体一体は弱いらしい。

「なんだ、こいつら。もろくてよええな」

「せやなぁ。張り合いないわぁ」

 なんと、たくましい御二方だこと…。

 俺達は、その後も順調に、何ら不具合なく進み、生命反応があった地点へ到着した。

 しかし、肝心の夢陥者むかんしゃを探しても発見することができない。

 俺達は一度、優美ゆうびさんに連絡をとることにした。

「優美さん、聞こえますか?目的の場所べ到着しましたが、夢陥者がいません」

『あぁ、知っている。丁度連絡を入れようとしたところだ。お前らの到着数秒前に反応が消失した。こちらの不具合ではないことは確認済みだ。よって、夢陥者は死亡したと判断する。一度戻ってこい』

「了解しました」

 俺達は一度現実世界に戻るために夢想状態に入ろうとした。

 その時、謎のアナウンスがどこからともなく聞こえてきた。


 "ゲームオーバー。プレイヤーの死亡が確認されました。開始地点に強制テレポートします"


 次の瞬間、一瞬意識が薄れたかと思うと、俺達は最初、夢に入ったときの地点に戻っていた。どうやら、夙也しゅくや真昼まひるも戻されているようだ。

 そして、もう一人。

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ブレイク・ザ・ナイトメア いと @ito_3830

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