彼女の永遠に終焉を
草餅みどり
プロローグ
とある大陸の最西端に、老いたエルフの王が治める小国があった。アルワ王国と呼ばれるそこは、嶮しい山脈と、大蛇のようにうねる大波に囲まれており、世界から忘れられたかのような静寂に包まれた国だった。西の果ての小国があらゆる記憶の中からから消え去りかけたその瞬間、アルワ王の一声がその静寂を破り捨てた。
『王国の地下迷宮に封印された不死の女王を討ち、証として彼女の持つ魔法のイヤリングを持ち帰った者に、王の座を譲る』-アルワ王 デュース・ソレイグ
この声明は瞬く間に大陸中を駆け巡り、多くの夢を動かした。
とある野心家の貴族は、自らの理想とする国を建てるために、傭兵を募った。
とある勇敢な戦士は、不死の女王討伐の名声を求め、愛馬を走らせた。
とある聡明な魔術師は、魔法のイヤリングの謎を解き明かしてやろうと、転移の呪文を唱えた。
そして二十年余りの時が過ぎた。アルワ王国には、今日も多くの夢追い人が集う。魔術師フラバ・サラセニアと戦士アラタ・サラセニア。この若き冒険者の姉弟も、奇妙な声明に魅せられた夢追い人である。
彼女の永遠に終焉を 草餅みどり @m_kusamochi
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