世界で1番つまらない小説家

伝えたく、ても


伝えたい、ことは、あっても


言葉は、でてこなくて。


思わず、耳にはめた、イヤフォンは


音を、遮っては、くれなくて


音を、ぼんやり、ぼかすだけ


やけに、緊張が、高まった、だけ。


無造作に選んで、流れた曲は


よりによって、アップテンポな、洋楽


それは、あまりに、今の僕と不協和で。


ずっと、下を見て、歩いていたら


ずっと、地面に埋まり、キラキラ輝く小石を見ていたら


急に増えた、不安。


思わず、目線を、上げた。


ああ、やっぱり。


やっぱり、目線の先にいたのは、信号待ちをする、あの三人組。


後ろにせまる人たちを、見たら


僕はもっと、彼らに近づいて、列を詰めるべきなのだろうけど


そんなこと、できやしなくて


ただ、スニーカーが、地面の凹凸に、引っかかった。


いつも以上に、ゆっくり歩いて


彼らと、距離を置いて、やっと着いた、駅ビル。


次の電車まで、時間はあったけど


前みたいに、本屋を覗きにいく気は、起きなくて


僕は、勢いそのまま、駅員に、定期を見せて


塗装の剥げた、階段を降り


ホームで


ただ


この文章を


書いた。


謎の勇気が出てしまって


一番前に並んだ、2番乗り口に、立ちながら。


何の、ストーリーも無い


起承転結も、無い


気持ちのまま書いただけの、ノンフィクション。


でも、


でも、僕だって、小説を、書いてみたくて。


無理矢理に


頭の妄想を、掻き立てて


"ストーリー"のある、小説にしてみた。


僕の隣には、彼らを、置いて。


僕を中心に、仲良く、話させて。


みんな一緒に、本屋なんかじゃなくて


その反対にある、菓子屋に行って


奢りじゃんけんなんか、させてみて。


時を、飛ばしたら


僕は、好きな人に、告られていて。


結末に、たどりついた。


やっぱり、僕は、つまらない小説家にしかなれなかった。


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青すぎる、僕ら 青鳥 @A_Blue_Bird

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