小型艇の戦い
周囲から迫り来るミサイルの群れを見てを星子は笑った
同時に操縦桿を押し倒し、自分の乗るフランカーを急旋回させ、急速回避。
更にチャフ、フレアをばらまきミサイルを攪乱。
数多のミサイルを至近距離で回避した。
だが直後、ミサイルが自爆する。
「くううっ」
爆発の衝撃の中、星子は機体を急降下させる。
敵味方共にミサイルにやられたと思い込ませ、戦闘空域から海面へ急速離脱。
「起きろ!」
低空で操縦桿を引き、機体を起こす。
激しいGが加わる中、星子は耐え抜き、上昇させる。
海面が迫る中、徐々に空が見えてきて海面すれすれで、機体は上昇する。
「何とかなったわね」
星子は機体を水平にするとレーダーから逃れるため海面近く高度を保った。
「さて、十分成果を上げたし、帰るとしますか」
陸上は砲撃戦が行われているはずだ。
対空部隊を潰すために北の砲兵部隊が射撃をした。
当然、南も黙っておらず、対抗砲撃を行っている。
砲弾が乱舞する陸上を飛ぶのは危険すぎる。
海から迂回して帰る事を星子は賢明な判断から選択した。
しかし、そこで予想外の事態が起こった。
水平線上から自分に向かって光の線が延びてきた。
「前から撃たれている!」
激突は空と陸だけでなく、海でも起きていた。
撃墜された航空自衛隊戦闘機のパイロットが海上に着水したため、近くにいた海上自衛隊余市防備隊のミサイル艇部隊が即座に反応した。
北との対立により大湊では遠すぎるため、小樽も守れる位置に作られた海自の部隊だ。
境界線の警備のため魚雷艇、ミサイル艇が主に配備されており四隊一六隻と海自最大ミサイル艇部隊が配備され交代で警備が行われていた。
この日も警備に第一ミサイル艇隊が出ており、撃墜され脱出したパイロットを救助するため出て行った。
パイロットが着水したのは公海上だった。
だが、軍事境界線、事実上の対立ラインの北側だったため、北のミサイル艇部隊が、侵犯と判断し攻撃してきた。
勿論、海自側も防衛の為に反撃する。
日本のミサイル艇事情https://kakuyomu.jp/works/16816927862107243640/episodes/16818093091574827124
双方とも応援部隊が駆けつけ、激しい乱戦となった。
そこへ星子のフランカーが飛び込んでしまった。
海自は航空機の攻撃と判断し、3インチ砲とスティンガーミサイルで迎撃する。
「本当に勘弁してよ!」
星子は機体を横滑りさせ、回避。
「この!」
同時に機銃を発砲してダメージを与えようとする。
咄嗟だったが、命中弾はあった。
しかし、オーサ級に対抗する為、搭載されている三〇ミリ機関砲に耐えるための装甲が施されていたため、殆どダメージはなかった。
それどころか、反撃さえあった。
「硬すぎる!」
それでも就役したばかりの五〇〇トンクラスのタランタル型コルベットが出てきて押し返そうとする。
しかし、海自部隊も搭載砲では負けていない。
射撃管制装置などの火器管制システムが優れていたため優勢だった。
更に、最新鋭の一〇〇〇トンクラスDE、コルベットと分類される神通型護衛艦が出てきた。
火力も排水量も圧倒的に上位の艦を前に、北は、後退するしかないように見えた。
「え?」
しかし、突如海自部隊は反転し始めた。
「どうして? 優勢だったのに」
パイロットを救出できたことも大きかったが、レーダーが接近する大型艦を発見した。
そして、星子も水平線上に浮かんだ大型艦を見つけた。
「武蔵……いえ、<解放>」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます