ラインバッカーⅠ 開始
ブリーフィングを終えたパイロット達は席を立つと、愛機へ向かうべく飛行甲板へ続くエスカレーターに乗り込む。
上原の戦闘第一飛行隊はF4Jを装備した飛行隊で、爆装も出来るが今回は制空任務だ。
F4Jについて
https://kakuyomu.jp/works/16816927862107243640/episodes/16818093086873713604
攻撃は配備されたばかりの攻撃第一〇一飛行隊のA6イントルーダーが行ってくれる。
「発艦始め!」
航空団長の号令と共に、KA6空中給油機、E2C早期警戒機、HSS救難ヘリが飛び出し、航空隊の支援体制を確立する。
準備が整うとA6攻撃機イントルーダーからカタパルトより発艦していった。
「発艦急げ! 遅れているぞ!」
四基のカタパルトから重たいA6を全て発艦させると、軽い震電改が飛び立つ。
大戦末期の震電を拡大改良した古い機体だが、改設計によって70年代でも使える機体となっていた。
そのためA4スカイホークの導入計画を取りやめた位だ。
流石にイントルーダーほどの搭載力はないが、空戦性能が優れているためマルチロール機として使われている。
今回は、ファントムがいるため、爆撃が任務となり爆弾を最大重量まで抱えている。
攻撃機が全て出て行くと、重戦闘爆撃第三〇一飛行隊のF111CJ戦闘爆撃機が甲板に上がってきた。
マクナマラの肝いり、空軍と海軍が同じ機体を使い、諸外国にも輸出することでコストを安くするために作られたのがF111だ。
だが、アメリカ海軍空軍双方の要求が高すぎて機体が大型化。
戦闘機としても爆撃機としても中途半端な機体となってしまった。
アメリカ空軍とオーストラリア空軍が採用したが、日本は独自改造を行い、機首のレーダードームを折りたたむことで艦載型にしていた。
F111も爆弾を最大限に搭載し発艦。
戦闘機隊に追いつこうとする。
最後に最も速い戦闘機隊F4ファントム、上原達が発艦した。
攻撃隊は飛び上がると目標に向かって進撃を始めた。
信濃だけでなく、他の空母からも発艦し攻撃目標へ向かった。
先陣を切ったのは、英国の攻撃隊だった。
旧式だが、低空での性能に優れるバッカニア――北海から英国本土へ侵攻してくるであろうソ連北洋艦隊に核爆弾の雨を降らせるため、低空侵入性能を優先して付与されていた。
ラインバッカーでは、その能力と戦術、練度が最大限に生かされた。
レーダーに映らない低空から北ベトナムに侵入したバッカニアは、予め判明していた北ベトナム軍の防空レーダーを破壊。
攻撃隊の突破口を開いた。
多数の攻撃隊は、北ベトナム軍に見つかることも妨害を受ける事無く、侵入し攻撃を始めた。
勿論、北ベトナム空軍も抵抗する。
攻撃を受けてすぐに援助で配備されたミグ戦闘機が飛び出た。
しかし、レーダー基地を破壊されたし、残ったレーダーもEA6グラウラーの電波妨害により機能不全となった。
「全機突入」
北ベトナムのレーダー網が全滅すると、攻撃隊は一斉に突入した。
F111が高速低空侵入能力を使い、レーダー基地と対空ミサイル陣地を破壊する。
無防備になった地域に対してイントルーダーが突入し物資集積所、操車場に爆弾を雨あられと投下。
重爆並みの爆弾を降らされ、北ベトナム軍の基地は機能停止する。
生き残った箇所には震電改二とA4が軽快な動きで精密爆撃を行い破壊した。
「上手くいっているな」
無線交信を聞きながら、上原は上機嫌で言った。
「北ベトナムは温存を図るのか」
戦闘機が出てこないことを不審に思ったが、杞憂だった。
「シカゴよりバンシー01へ」
ピラズ艦、防空管制を行う重巡シカゴから指示――上原達の今日のコールサインはバンシーだ――が飛んだ。
「北方より多数の機影あり、直ちに迎撃せよ。敵機の高度二〇〇〇。三〇〇〇に上がったのち、回り込んで迎撃せよ」
「了解! 全機続け!」
誘導に従い、敵の後ろに回る。
「見つけたミグ21だ」
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