あらためて

土曜の5時、約束の時間が近付くにつれ幸隆はそわそわする。

そろそろ向かわなければ。 どんな女の人だろう? 可愛いだろうか、ブスだろうか、スタイルは良いだろうか、ポッチャリだろうか、電話では話しているので、気は合うと思う。

けど、とんでもないのが来たらどうしよう…なんて考えて気持ちが落ち着かない。

約束の時間、幸隆は自家用車に乗り、ファミレスに6時10分前に到着した。

どんな時も10分前と決めている。

車から降りると窓越しにファミレスの中で楽しそうに食事をする家族やら男女やらが目に入る。

そういえば店の外か中か待ち合わせ言ってなかったのを思い出した。

しまったと考えていた時、スマホの着信が鳴った。

慌てて通話ボタンを押して電話に出た瞬間、そらの第一声は、うしろ の一言だった。

え?幸隆は後ろを振り返ると、そこには想像していた以上の美女が立っていた。

美女と言うより、限りなく幸隆好みの女性だった。

よく僕がわかったね。

そらはニヤリと笑顔を浮かべた。

それだけキョロキョロしてたら分かるよ。

少し幸隆は恥ずかしかったが、そんな事より想像以上に好みのタイプな事にビックリ。

たか、早く入ろ。

そらに手をひかれファミレスの中に入った。

心臓の鼓動が止まらない。

超絶タイプな子にいきなり手を握られて幸隆は気がどうにかなりそうだった。

席に座り、そらにメニューを渡し、好きなの食べて。と言うと、そらはたかと同じのでいい。と言った。

店員を呼び、ハンバーグのライスセットを注文した。

子供っぽいよね?

そんな事ないよと言い、少しクスッと笑うそらだった。

ねぇ、たかの本名なんて言うの?

まぁ名前くらいならバレてもいいかと考え、僕は幸隆。

そらさんの本名は?

私は京子。

あっさりと教えてくれた。

あらためてよろしく。

こちらこそ。

まぁ偽名かもしれないが。なんて考える幸隆だった。

ご飯を食べ終わりかけの頃、幸隆は話を切り出した。

この後、ちょっとドライブでも行く?

京子は笑顔で答えてくれた。

うん。

この時、幸隆が良からぬ事を考えていたのを京子は勘づいていただろうか。

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桜の下でまた逢おう いつかの喜生 @yoshikun3

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