大丈夫な女

@N_tokyo

大丈夫な女

Twitterで知り合ったSさんが体験した話だ。

Sさんは昔から心霊スポットや廃墟巡りなんかが好きで、この時もそういった場所を一人で散策していたそうである。


「いつもはどういうとこか調べてから行くんですけどね。その時は別の廃墟から帰る途中で、来た道を一本間違えたんですよ。そしたらあの家があったんです」


その家は山奥にぽつんとあった。きれいな青い屋根の二階建ての一軒家で、2階の部屋から玄関が見えるようにカーテンのない窓が突き出ていたらしい。


「最初は人が住んでると思ってたんです。窓とか閉まってたし、外から見た感じ廃墟らしさがなくて。ただ表札がなかったんですよ。それに玄関の張り紙がね…今思い出してもちょっと…」


玄関にはガムテープで周囲をしっかりと固定するように紙が貼られていて、そこにはきれいな字で

「大丈夫です。ここに人はいません。」

と書かれていたそうだ。


気味の悪さを感じたSさんが車に戻ろうとした時、ふと背後に人気を感じたという。ゆっくり振り返ると2階の窓から白い服を着たのっぺりとした顔の女が無表情でこちらを見ていた。


驚いたSさんは一瞬固まってしまったがすぐにでも逃げようと後退りした時、急に2階の窓が開き、割れんばかりの声で女が

「大丈夫ですかぁー!?大丈夫ですよぉー!大丈夫ですよぉー!大丈夫ですかぁ?大丈夫ですかぁー?大丈夫ですよぉー!大丈夫ですよぉー!大丈夫ですかぁー!?大丈夫ですよぉー!大丈夫ですよぉー!大丈夫ですかぁ?大丈夫ですかぁー?大丈夫ですよぉー!大丈夫ですよぉー!」

と壊れたように繰り返し言っていたらしい。

相手は人間じゃないと本能で思ったSさんは急いで車まで戻り逃げたそうだ。



「家に帰ってからもずっと頭に鳴ってました。もうあそこには行きたいと思いません。

ただ…1ヶ月くらい前からですかね……普通に生活してる時に「大丈夫ですかぁ?」って言われてる気がするんです。周りに誰もいない時にもそういう事があったりして…なんかこの声に答えたらダメな気がするんですよね、何でかは分かんないですけど。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大丈夫な女 @N_tokyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ