魔女の置き土産
「……聞きしに勝る無法っぷりですわね」
下界の喧騒――もとい破壊っぷりに、空を舞うアリスは嘆息とも感心とも取れる息を吐いた。
街の血管たる交通網は今や病院待ったなしの血栓だらけ。駅でもないのに停止している電車。煙を上げる交通車両。崩れた
「いやいや過剰でしょあの火力!」「カカシさぁ、あんなんどっから調達してるワケ!?」
赤い飛行艇と並走する双子のFPライダー、ハンプとダンプは口々に疑問と不平を
問い詰められた少年、カカシは「さぁ」とだけ。しかも届かなくて構わないような意識の小ささで
かく言う彼の
それだけの武装。
「……僕らは新参の『第二席』だからね」
呟きは風に乗って後方へ。
【
ドロシーとアリス、どちらが先か。迷惑を度外視すればただの子どもの喧嘩だが、度外視できるほどその迷惑さは小さくないのが困りもの。
/
どこかの誰かが見上げた空を、撮って動画としてアップした。光の尾を引く二人の少女と、それに追従する赤い飛行艇と双子の少年二人。喧騒ついでにどかんどかんと物騒な音が入る
とはいえ今の彼女に屋号は無い。その看板はだいたい二年前、まさしくこの事態をロンドンで引き起こしている連中に椅子ごと強盗されたから。
ぶれっぶれで画素も粗い動画を見て、元第二席――
「……もう少し気合入れて撮ってくれないもんかねェ。観たいモノが豆粒くらいにしか撮れてないじゃあないか」
なんて。
〈鉄と火薬の魔女〉セシリア=ウィッチ・デュンゼは、そっと愚痴をこぼした。
「払いがいいのはイイことだけどさ。ソレで採算取れてるのかい? カカシ」
そう言い、今回の彼らの作戦につぎ込まれた武器弾薬の領収書を楽し気に指で
加担はしているが蚊帳の外。二年前に
――決着の時は近い。だが結末は大方の予想よりも遥かに盛大に世の中を騒がせるのだが、さて。
強盗童話―C’robber〈OZ〉― 冬春夏秋(とはるなつき) @natsukitoharu
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