第9話 皇帝の部屋の案内

 当主用の部屋は大きく3つのブロックにわかれている。公的な場――――執務室や会議室と、私的な場――――寝室やリビング、食堂などの部屋の主のスペースと、厨房や侍女などが住む裏方の場だ。


「こちらが執務室になります。通いの各専門の文官が5名、学園外からこの寮まで送られております。」

「ありがとう。できるだけ早く女性文官を育てないとね。」

「そうですね。」


 現在、一番近いのはアリスなんだが、今年入学したばかりだからなぁ。


「こちらが会議室です。」


 中は、10人ほどが座れる机が置いてある。帝城にある第5会議室と同じように設置されているものと同じ大きさだ。


「議会は帝城内の議事堂で行いますが、主要の議員での打ち合わせをするのはここになる予定です。」


 一応この国の構造上、皇帝が最終決定権を持つ。議会も皇帝の意思が優先されるが、皇帝が無体なことをすることを防ぐため議会も一定の権力を持つ。

 だけど、現在皇帝は帝城ではなく学園にいるので議会で決まったことをこの会議室で聞くことになる。


「こちらが応接室になります。」


 この応接室は高さの低いテーブルとソファが置いてあり、見映えを重視した調度品や装飾を施されている。皇帝の応接室として問題ないようになっている。


「この先が私的スペースになります。リビング、食堂、そして陛下の私室です。」


 私室は帝城にある私の部屋の物の一部が持ち込まれている。寝るときに使っているぬいぐるみとか、お気に入りのカップとか。クローゼットには部屋着や寝間着も用意されている。


「では陛下、準備が終わり次第、お呼びしますのでしばらくお待ちください。」


 そう言って、アリスとメリーは退出した。使用人の部屋を確認しにいっているのだろう。この部屋には侍女が1人残った。その顔を見ると、大分緊張しているように見える。まあ、帝城所属の侍女に受かって新人として研修を受けていたら、いきなり皇帝の専属侍女に指名されたんだから、緊張しないはずはないわね。アリスの方が新人って言ったら新人だけど、妙に侍女の仕事に詳しかったから、つい侍女長に指名しちゃった。ま、事故の影響で上の方がごっそりいなくなっちゃったから彼女たちには次期侍女長候補として頑張ってもらわないとね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少女、皇帝になる 中城セイ @Sei_N

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ