カク(リ)ヨム日記

緋糸 椎

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 近況ノートにあとで書こうと思ったことなのですが、実はKAC期間中、コロナ感染して自宅隔離生活をしておりました。このたび、せっかく日記というお題をいただきましたので、その間の出来事を綴ってまいりたいと思います。

 ひとことお断りしますと、僕はドイツ連邦共和国在住で、日本とは色々違う点があることをご了承ください。


3月11日

 KAC4回目「お笑い失格」公開

 息子たちに自主テストを施すと、うっすらと陽性のラインが現れた。見えるか見えないかくらいの薄い線で判断は微妙。彼らの通う幼稚園に連絡すると、公式テストセンターで改めてテストし、陰性証明が出れば連れて来て良いという。そこでついでに家族全員受けたが、結果はみな陰性。


3月12日

 夕方になり喉がいがらっぽくなった。少しだるさはあるものの熱はない。自主テストをしてみたところ陰性。安静にして様子見。


3月14日

 KAC5回目「氷解」公開

 お題が88歳とのこと。うーん、この年代、引き出しない、と悩む。このエピソードは前から構想はあったものの、88歳では戦争経験者としては若すぎる。そこで、戦死者の息子という設定に変えて執筆。

 職場には出勤。


3月15日

 仕事には出たものの、今ひとつ体調が回復しない。そこでその晩に自主テストをすると、陽性反応が出た。


3月16日

 翌朝早くテストセンターへ出かける。

 簡易テストの結果は陽性。そこでPCR検査を受ける。結果は24~36時間後で、陽性の場合、センターの方から保健所に連絡するとのこと。結果が出るまで仕事は休み、自宅待機。家族にも外出は控えてもらい、息子たちも幼稚園は休み。

 家庭内でも隔離状態のため……執筆がはかどる。

 KAC6回目「焼き鳥」公開


3月17日

 テストセンターから陽性との通知を受ける。保健所からは何の連絡もなし。そこで市の広報サイトで情報を得る。その結果、

・陽性が出て、症状が現れない場合、10日間の自宅待機。ただし7日後にテストを受け、陰性だった場合その時点で隔離終了。

・同居者は、3ヶ月以内に二回目接種を受けている場合隔離の必要なし。

 ということで、妻は隔離する必要がないことがわかった。幼稚園に連絡すると、月曜日(21日)から陰性証明持参で来ても良いとのこと。


 ともあれ、この日から正式に隔離生活が開始する。熱や咳などの症状はなし。

 他の回復者に聞いた話では、最近は保健所も陽性が出ても特に連絡してこないという。オミクロン株感染者数が急増して無症状の感染者には手が回らないらしい。


3月18日

 KAC7回目「赤い観覧車」公開

 これは前のアカウントで書いた作品を、設定を少し変えて書いたもの。ただし、以前の原本は残っていないので今回書き下ろした形になる。


 隔離期間中、時間が出来たので家にあって読んでいない本を色々と読む。その中で特にはまったのは、チャルディーニ著「影響力の武器」。ここから着想を得て、三作の短編を書いてみた。そのうちの一つは第8回の「サイコロジカル・ヒーローハント」、もう一つは第9回目「雲の上の存在」。あと一作は今回KACのお題に合わなかったため、お蔵入り。


3月21日

 KAC8回目「サイコロジカル・ヒーローハント」公開

 お題が「私だけのヒーロー」だったので、もともと「白馬の王子様」としていたところを、「ヒーロー」に差し替えて公開。お題後付けにしては、なかなかマッチしたと自負。

 子供たち、幼稚園通園再開。


3月22日

 常にマスクをしているので、耳のゴム紐のかかる部分が炎症を起こして痛くなる。ネットで見ると、紐を頭のサイズに合わせて自作するといいらしい。ということで、マスク紐を自作する。


3月23日

 KAC9回目「雲の上の存在」公開

 前述の通り、「影響力の武器」からモチーフを得た作品。同書に【連邦航空局の事故調査官は、機長が犯す明白なミスが他の乗員によって正されず、その結果航空機が墜落してしまうことが多いと指摘しています】との記述があり、インスピレーションを受けて執筆。「猫の手を借りる」とは少しズレている気もするが、まあよかろう。奇しくも中国東方航空事故と時期が重なったが、これは全くの偶然。事故のモデルケースとしては1991年スカンジナビア航空墜落事故を参考にしている。

 PCR検査からちょうど7日目で、この日陰性結果が出れば隔離終了なのだが、自己テストでまだ陽性反応が出るので見送り。


3月24日

 何となく調子が良いので自己テストしてみると陰性が出た。これにより自宅内での隔離は解除。子供たちからの怒濤の「遊んでくれ」要請、家事などで忙しくなる。


3月25日

 テストセンターへ出かける。結果は陰性。これにより晴れて隔離生活は終了。ああ、空が青い。

 KAC10回目のお題は「真夜中」

 ストックしている短編でマッチするものはなく、一からの書き下ろし。真夜中と聞いて連想したのは、尾崎豊の「15の夜」。盗んだバイクで夜のとばりに走り出すと、自由になれた気がした、という歌。この「なれた気がした」という部分に目がとまる。自由になれた、でも、自由を感じた、でもない。気がした、というのは本当は自由じゃない、明日になればまたいつもの生活が待っている、そんな認識が前提となっている。15歳の少年が自由を求めて真夜中に走り出したらどうなるか、そんなことを考えると、頭の中にパーッとプロットが浮かんだ。

 ところが、なまじ隔離が終わったために、筆を執るヒマがなくなってしまった。とりあえず出だしの部分だけ書いてこの日は終わる。


3月26日

 合間を見て、執筆を続ける。

 乗客たち全てのエピソードも盛り込もうとしたが、冗長になりそうなので、きれいなお姉さんに絞る。また、運転手は若い頃尾崎豊を聴いて家出に憧れた、という設定で15の夜を歌わせたりもしたが、歌詞をのせると著作権に引っかかるようなので却下。


3月27日

 あまり推敲する余裕はなく、ロゴーンとEnnoで簡単に文章チェックして「東京行深夜バス」公開。


3月28日

 約二週間ぶりに出勤。これでやっと、普段の生活に戻れた気がした。同僚たちも、あんまり心配していた様子はなく、ちょっとした風邪が治ってやって来たという反応だった。まあその方が面倒くさくなくていい。



 この二週間、それらしき症状もなく過ごせたのは幸いだが、世間一般も「共存」に向かっているなというのが実感である。今回お題の多かったKACも、おかげで皆勤賞クリア。


 ご愛読、応援ありがとうございました。

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