第3話 店長登場その名はパンチ

ガチャ

「失礼しまーす」


扉を開けると奥から1人の男がやってきた

パンチパーマをかけ髭を生やした痩せこけた男、同年代だろうか…


「おーいらっしゃい、パンダ君だよね?話は聞いてるよ。入って」


案内されるがままに店内の奥へと進んだ。

中は短めのカウンターが一つとボックス席が一つ、あとは壁沿いにぐるっとソファーが並んでいる。

そのうちの一つに案内される


「はじめまして、店長のパンチです。話は聞いてるよ、芸人なんだよね?うちは面白いやつとお酒飲めるやつ大歓迎だから!」


「宜しくお願いします、これ履歴書です」


「履歴書とかいらないよ、とりあえず朝まで働いて日給一万円だからそれで良ければ採用ね」

めちゃくちゃスムーズに話が進んでいく、面接落ちるかもとか緊張していたのがアホらしい…

「宜しくお願いします。」

「よし!じゃあ早速トイレ掃除から教えるね!」


色々なバイトの面接に行ったけど入店から2分でトイレ掃除はさすがに人生初だった。


そこからパンチ店長は丁寧にトイレ掃除を教えてくれた、水商売っていうぐらいだから水回りは綺麗にしておかなきゃいけないとか、トイレには女性用の生理用品や化粧落とし、綿棒やマウスウォッシュとか普通の飲食店にはないものが常備されていた。


「よし、あとはお客さん来るまで待機ね。みんなを紹介するよ。」


次々にメンバーを紹介される、イケメンオカマのユウ、最年少のタケ、腕のタトゥーが印象的なシュウ、キッチン担当のジープ。

皆20代の同年代で気さくに話しかけてくれた。

それにお店のママのナミさん。

イモトアヤコ似の30代半ばの女性だ。


そうこうしているとお客様が来店される、何も業務の説明は受けていない。

パンチ店長にどんなお店か聞いたらお酒飲んでお客さんを盛り上げるだけ、難しい事はないとのこと。


何そのお店?


後々知った事だがサパーやミックスバーといった形態のお店らしい。

今ではカラオケバーやメンキャバ、ボーイズバーなど色々あるがその当時は店舗もあまり無く、ホストやキャバとは違い惚れた腫れたのない単純に楽しんで盛り上がってお酒を飲もうという空間だったらしい。


僕も働き始めてからお店の説明を求められたら色恋のないホスト、でも俺は色恋するよと明らかにホストなんか出来ない太った男だけが許されるボケをしていた。


来店して30分、盛り上がっていた席についに呼ばれる…

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