004・初戦闘&レベルアップ!!

 外は曇天、現実なら雨がすぐにでも降りそうな天気だった。


 「暗いな、でも何故か居心地がいいな。これもゲームで再現しているのならとんでもないな」


 何度も思うが流石は第6世代と言うべきか。


 ゆっくりと外の景色を見回す。


 特にこれと言って特徴のあるような景色ではなく、ただ薄暗い森が広がっているだけだが。


 森の中に入り、歩いていると少し奥の方に灰色の毛皮の狼の群れを見つけた。


 木を影にして狼達の様子を窺う。


 「……こっちには気付いてないな。これなら先制攻撃が出来そうだ」


 【ユグドラシルの秘宝鍵】には先制攻撃ボーナスというシステムがあり、相手が気づいていない状態で攻撃すると攻撃の威力が通常の1.5倍になる。またこれは無効を除く属性相性の効果を受けない。


 いわゆる不意打ちである。


 『血剣』を狼の分だけ生成し、【切断魔術】を重ねがける。


 そして狙いをつけて放つ。


 『血剣』の風切り音で攻撃に気付くがもう遅い。


 『血剣』はなんの問題もなく【切断魔術】を発動し、狼達を一刀両断した。


 「……以外と簡単に倒せたな」


 レベルは上がらなかったものの、本来であれば厄介な狼の群れをほぼ一撃で倒せたことに驚く。


 「少し拍子抜けだがこの調子で行けばすぐにレベルアップが来るだろうな」


 狼の死体をあさり、初期装備に付いていた解体用ナイフで剥ぎ取りを行い、別の群れを見つけに行った。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆






 あれから少し時間がたち、狼の群れを七つほど潰した。


 一回だけ攻撃する前に気付かれたが準備だけは終わっていたので問題はなかった。


 「スキルレベルが結構上がったな。ずっと使ってたからか【血液操作】なんかもうレベルが、4になってる」


 確認が終わり、次の群れを探す。


 『グ、ガアアアアアッ!!!』


 熊と思われる猛獣の叫び声が森に響く。


 「っ!!!なんだ!!!」


 叫び声の方向を見ると木々をなぎ倒しながら猛スピードでこちらに向かってくる体長5mはありそうな大熊がいた。


 すぐに【血液操作】を発動し、熊の進行方向に8個血の球を生成し球同士を繋げ合わせる。


 熊が血の球に触れた瞬間、発動させる。


 「『鮮血棘ブラッディ・スパイク』!!」


 血の棘が熊に深く突き刺さる!!


 棘はついに熊の体を貫通し、悲鳴を上げさせる間もなく、熊の息の根を止めた。


 「……ビックリした~」


 もう動かないことを確認し、腰が抜けたかのように地面に腰を下ろす。


 『種族レベルが上がりました!』


 『職業レベルが上がりました!』


 熊を倒したことで種族レベルと職業レベルが上がった。


 「もう上がったのか……少し休んでから見よう」


 5分ほど休んだあとにステータスをイジる。


 「よし、ちゃんと自動成長で上がっているな。これなら思う存分INTに極振りしても問題ないな」


 レベルアップで増えたステータスポイントを全部INTに振る。


 振り終わったあとのステータスがこれだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――

 ・PN・ヴァイオレッタ・フルーリングシュトルム

 ・種族・高貴吸血鬼ノーブルヴァンパイア Lv2

 ・職業・血界魔導師 Lv2

 ・HP 10/10 ・MP 3/50(自動成長)

・STR 5(自動成長) ・VIT 0

 ・AGI 5(自動成長) ・MIND 0

 ・DEX 0 ・INT 25 

 ・LUC 0

 ・種族スキル

  【血液操作Lv5】【霧化Lv1】【暗闇補正Lv2】【日光脆弱LvMAX】【聖属性脆弱LvMAX】

 ・職業スキル

  【血属性付与Lv1】【簡易血界Lv1】【固有領域】

 ・エクストラスキル

  【切断魔術】【行動発芽】

 ・通常スキル

  【初級剣術Lv1】【初級体術Lv1】【火属性魔術Lv1】【風属性魔術Lv1】【治療魔術Lv1】【初級錬金術Lv1】【魔力操作Lv6】【MP自動回復Lv3】

 ・称号

  【高位種族】【吸血鬼】

――――――――――――――――――――――――――――――――


 「【魔力操作】がすごい上がってるな。【血液操作】と【切断魔術】の重ねがけでかなり使ったからか?」


 スキルレベルの最大値は10だ。つまり【魔力操作】はもう折り返し地点を超えたということだ。


 「これからもずっと使うだろうから困るもんでもないし、逆に成長したことを喜ぶべきかな」


 ステータス画面を消す。


 「レベルアップでかなり魔力も増えたし、【切断魔術】単体の魔術を作ってみるか」


 【切断魔術】、というかエクストラスキルにはスキルレベルが存在しなく、所有者のイメージ次第で大きく化ける。


 「どんな感じにしようかな……。遠距離は『血剣』があるし、近づかれたら『鮮血棘ブラッディ・スパイク』を使えばいいだけだから、今必要なのは中距離の攻撃手段だな」


 少しの間スキルにある設定をイジり、納得のいった一つの魔術を登録する。


 「……よし、これで完成と」


 地面から立ち上がり、せっかくなので木に向かって魔術を放つ。


 「『斬戟スパーダ』!!」


 不可視の斬撃が木々を伐採した。


 ……本来であれば一本だけ切れればよかったものを。


 「……『血剣』の時も思ったけど殺意高すぎでしょ……」


 少し伐採された森を見て唖然とした。


 そしてこの魔術はよっぽどの強敵に会わない限りは封印することにした。


 きっとそれは間違いではないだろう。


 この光景を他のプレイヤーが見たら二度見することは間違いない(断定)。


 




 

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星界樹へと至る鍵 春海天夏 @38141226

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